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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1268179
審判番号 不服2011-13684  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-28 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 特願2007-536371「動画像配信装置およびその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月29日国際公開、WO2007/034550〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一 経緯
1.手続
本願は、2005年(平成17年)9月22日を国際出願日とする出願であって、平成23年4月5日付けで手続補正がなされたが、平成23年4月21日付けで拒絶査定された。
本件は、本願についてされた上記拒絶査定を不服とする平成23年6月28日の審判請求であり、同日付けで手続補正書(審判請求と同時にする補正。)が提出された。

2.査定
原査定の理由は、概略、以下のとおりである。

理 由
本願の請求項1ないし17に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1:国際公開第01/43435号
刊行物2:特開2001-52154号公報
刊行物3:特開2005-71350号公報
刊行物4:特開2002-232601号公報

第二 補正却下の決定
平成23年6月28日付けの手続補正について、以下のとおり決定する。

[結論]
平成23年6月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成23年6月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という)は、特許請求の範囲の請求項13についての補正を含み、当該補正は、下記〈補正前の請求項13〉を下記〈補正後の請求項13〉(補正部分をアンダーラインで示す)に補正するものである。

〈補正前の請求項13〉
伝送路を介して動画像の配信を受けて、所定の広さの画面に表示する画像表示装置に対して、前記動画像を配信する動画像配信方法であって、
前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式の動画像を生成する動画像生成ステップと、
前記生成された動画像を、前記伝送路を介して、前記画像表示装置に対して配信する動画像配信ステップと
を含む動画像配信方法。

〈補正後の請求項13〉
伝送路を介して動画像データの配信を受けて、所定の広さの画面に表示する画像表示装置に対して、前記動画像データを配信する動画像配信方法であって、
前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップと、
前記生成された動画像データを、前記伝送路を介して、前記画像表示装置に対して配信する動画像配信ステップと
を含む動画像配信方法。

以上のことからみて、本件補正は
(ア)補正前の「動画像の配信」、「動画像を配信」、「生成された動画像を」の記載を、補正後の「動画像データの配信」、「動画像データを配信」、「生成された動画像データを」とする補正、
(イ)補正前の「画像表示装置により表示されうる形式の動画像を生成する動画像生成ステップ」を、補正後の「画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」とする補正を含むものである。

2.補正の適法性
(1)補正の範囲(第17条の2第3項)
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の記載に基づくものであるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。

(2)補正の目的(第17条の2第4項第1号?第4号)
(ア)補正前の「動画像の配信」、「動画像を配信」、「生成された動画像を」の記載を、補正後の「動画像データの配信」、「動画像データを配信」、「生成された動画像データを」とする補正は、補正前は動画像にかかる処理(配信、生成)であったものを、動画像データに係る処理に限定しているといえる。

(イ)補正前の「画像表示装置により表示されうる形式の動画像を生成する動画像生成ステップ」を、補正後の「画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」とする補正は、
補正前の動画像生成ステップは、画像表示装置に表示されうる形式の動画像が生成されれば、どのような形式の動画像データを生成する生成ステップであっても、請求の範囲に含まれる構成であったのに対し、
補正後の動画像生成ステップは、「画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する」ステップであって、上記(画像表示装置により表示されうる)形式の対象が、「動画像符号化の形式」であると限定されているということができる。
よって、当該補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮に該当するといえる。

(3)独立特許要件(第17条の2第5項)
本件補正は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的として含むものである。そこで検討する。

(ア)補正後の本願発明
本件補正後の請求項13に記載される発明(以下「本件補正発明」という)は、以下のとおりのものである。

【請求項13】
伝送路を介して動画像データの配信を受けて、所定の広さの画面に表示する画像表示装置に対して、前記動画像データを配信する動画像配信方法であって、
前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップと、
前記生成された動画像データを、前記伝送路を介して、前記画像表示装置に対して配信する動画像配信ステップと
を含む動画像配信方法。

(イ)刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された国際公開第01/43435号(以下「刊行物1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(イ-1)
この発明の目的は、テレビ電話機能を有する携帯型端末でインターネット上のマルチメディアを視聴するのに好適し、インターネットにおけるマルチメディアの多重方式と回線交換におけるマルチメディアの多重方式とを効率的に変換して伝送するのに適するマルチメディア提供システム、マルチメディア変換サーバ、およびマルチメディア端末を提供することにある。(明細書10頁7行-13行)

(イ-2)
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明によるマルチメディア提供システムをインターネット上に適用した場合の一実施形態を図示する。同図に示すように、このマルチメディア提供システムは、マルチメディア変換サーバ1(以下、単に変換サーバ1という。)、マルチメディア端末2(以下、単に端末2という。)、回線交換装置3、コンテンツサーバA 4、コンテンツサーバB 5、コンテンツサーバC 6とを有し、インターネット7により変換サーバ1とコンテンツサーバA 4、同B 5、同C 6とがアクセス可能である。
変換サーバ1は、コンテンツサーバA 4、同B 5、同C 6からのインタネット7上のデータを端末2との通信に適するように変換し再発信などするものである。
端末2は、マルチメディアの提供を、変換サーバ1、回線交換装置3を介し受け、ユーザの利用に直接供するものである。
回線交換装置3は、変換サーバ1と端末2とを回線交換で接続するものである。コンテンツサーバA 4、コンテンツサーバB 5、コンテンツサーバC 6は、それぞれマルチメディアコンテンツの提供元となるものである。
これらの具体的動作については、変換サーバ1、端末2の実施の形態を説明する以降の明細書部分において同時に説明する。
次に、本発明による変換サーバ1の一実施形態を、図2を用いて説明する。同図は変換サーバ1の一実施形態を示すブロック構成図である。同図に示すように、この変換サーバ1は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101、インターネット接続機能部102、テレビ電話機能部106とを有する。
マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101は、マルチメディアコンテンツストリーム(マルチメディアコンテンツからなるデータストリーム)およびHTMLをインターネット接続機能部102から受け取り、コンテンツを構成する各メディアに分けてテレビ電話機能部106に渡す。また、端末2(図1に図示)に源があるデータ(例えばURL情報)をテレビ電話機能部106から受け取り、インターネット接続機能部102に渡す。
インターネット機能部102は、インターネット7(図1に図示)を介しコンテンツサーバA 4、同B 5、同C 6(同)に接続してコンテンツの提供を受ける。また、それらの提供されたものを所定の処理の上マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101に渡す。
テレビ電話機能部106は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの各メディアを多重等して、回線交換装置3(図1に図示)を介して端末2(同)に再発信する。また、端末2(同)からのデータ(例えばURL情報)を受け取りマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101に渡す。
(明細書23頁5行-25頁3行)

(イ-3)
テレビ電話機能部106は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの各メディアを多重等して、回線交換装置3(図1に図示)を介して端末2(同)に再発信する。また、端末2(同)からのデータ(例えばURL情報)を受け取りマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101に渡す。
・・・・・
テレビ電話機能部106は、回線インタフェース部107、多重分離部108、制御インタフェース部109、音声インタフェース部110、映像インタフェース部111、データインタフェース部112とを有する。
回線インタフェース部107は、回線交換装置3(図1に図示)を介し端末2(同)と通信するインタフェースである。インタフェースされた情報は、多重分離部108との間でやり取りされる。
多重分離部108は、各インタフェース部109、110、111、112からの情報を多重して回線インタフェース部106に渡し(下り方向)、回線インタフェース部106を介された図1における端末2からのデータ(例えばURL情報)をデータインタフェース部112に渡すものである(上り方向)。
制御インタフェース部109は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの制御データを受け取り多重分離部108に渡すものである。
音声インタフェース部110は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの音声データを受け取り多重分離部108に渡すものである。
映像インタフェース部111は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データを受け取り多重分離部108に渡すものである。
データインタフェース部112は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からのHTML等のデータを受け取り多重分離部108に渡し(下り方向)、また、図1における端末2からのデータ(例えばURL情報)をマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101に渡すものである(上り方向)。
(明細書25頁21行-26頁24行)

(イ-4)
次に、図2、図8に示した変換サーバ1とは異なる変換サーバの本発明による実施形態について図11を参照して説明する。図11は、図2、図8に示した変換サーバとは異なる、変換サーバ1の一実施形態を示すブロック構成図である。
図11において、すでに説明した構成要素と同一の構成要素には同一の番号を付しその構成・動作説明を省略する。
この実施形態の、図2、図8に示した実施形態との違いは、以下に述べるように、端末2側に実装すべきソフトウェアの処理量をさらに低減するようにこの変換サーバ1を構成したことである。
端末機能補助部113は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101で再生された映像を入力され、これと、下り方向のHTTP処理部105で得られたHTMLと、端末からの上り方向データのうちユーザの指示等を含む情報(これはデータインタフェース部112からマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101を経由しこの端末機能補助部113に入力される。)とから、端末に表示させるべき画像を作成し、作成された画像を映像インタフェース部111に送り出すものである。また、端末からの上り方向データのうちユーザの要求等を含む情報(例えばURL情報)をマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101から受け取り、HTTP処理部105に渡すものである。
すなわち、この変換サーバ1においては、端末側で表示させるべき画像を、マルチメディアの一構成要素である映像(下り方向)と、WWWページを表現するHTML(下り方向)と、端末からのユーザからの指示(上り方向)に基づき、この変換サーバ1において合成・作成するものである。合成・作成された画像がテレビ電話機能部106から端末に伝送される。
したがって、端末側ではかかる画像の合成・作成を行う必要がなく、伝送された画像をそのまま表示すればよいので、端末側で実装すべきソフトウェアの処理量はさらに低減され得る。
ここで、この変換サーバ1のマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101の内部構成例について図17を参照して説明する。同図は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101の一構成例を示すブロック構成図である。
同図において、すでに説明した構成要素と同一の構成要素には同一の番号を付しその構成・動作説明を省略する。
データ分離部1013で、上り方向の多重データを、データアプリケーション処理の出力データとユーザの指示・要求に関する情報(例えばURL情報等)とに分ける。データアプリケーション処理の出力データは、図11におけるインターネット用プロトコル処理部104へ出力され、ユーザの指示・要求に関する情報(例えばURL情報等)は、端末機能補助部113(図11に図示)に出力される。
また、ここで、端末機能補助部113(図11に図示)の内部構成例について図19を参照して説明する。同図は、端末機能補助部113の一構成例を示すブロック構成図である。
同図のように、この端末機能補助部113は、映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133とを有する。
映像合成部1131は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101(図11に図示)からの映像データとHTML整形部1132からの作成画像とを合成し映像インタフェース111(図11に図示)に供給するものである。
HTML整形部1132は、HTTP処理部105(図11に図示)からHTMLを入力され、これとキー入力解釈部1133からのユーザ指示に基づき画像を整形・作成する。作成された画像は画像合成部1131に出力される。また、キー入力解釈部1133からのユーザ要求情報(例えばURL情報)を受け取り、これをHTTP処理部105(図11に図示)に渡すものである。
キー入力解釈部1133は、端末からの上り方向データのうちユーザの要求等を含む情報(例えばURL情報)を、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101(図11に図示)から受け取り、ここでキー入力に関するものを解釈するとともにHTML整形部1132に渡すものである。
これらの構成説明から分かるように、この端末機能補助部113の一例は、図11における端末機能補助部113として動作することが可能である。
なお、図11におけるマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101、端末機能補助部113は、上記で説明した図17、図19の構成とすることに代えて、図17においてはデータ分離部1013を削除し、かつ図19の構成においては図18の構成に変えるとすることもできる。図17におけるデータ分離部1013と同等の機能を有するデータ分離部1134を、図18に示す端末機能補助部113は具備するからである。
次に、図11に示した変換サーバ1に対応することが可能な本発明による端末2の実施形態について図14を参照して説明する。図14は、図6、図7、図10に示した端末2とは異なる、端末2の一実施形態を示すブロック構成図である。
図14において、すでに説明した構成要素と同一の構成要素には同一の番号を付しその構成・動作説明を省略する。
この端末2では、映像インタフェース部205から取り出される映像はすでに変換サーバ1(図11に図示)によりマルチメディアコンテンツの映像とWWWページとが合成されているので、この端末2側で映像を合成する必要がない。
端末2のユーザインタフェース部211では、例えば上下左右のキーにより選択候補のうちキーの方向に候補を順次移動していくようなインタフェースを採用したときには、ユーザにより入力されたキー入力がそのまま変換サーバ1(図11に図示)に伝わる方式が考えられる。
また、画面上にマウスポインタのようなカーソルを表示する方式を採る場合であっても、カーソル描画を変換サーバ1(図11に図示)が作成する合成画像に対して変換サーバ1(同)が行うことにより、カーソル描画位置を変換サーバ1(同)に管理させることができる。
これにより、端末2側でカーソルを管理する必要がなくなり、また、端末2側からのカーソル位置の指示を単なる移動方向の情報として伝送可能となるので、カーソル位置の座標情報を転送する必要がなくなる。よって、端末2の負担をより減少可能でかつ変換サーバ1(同)への情報転送量を低減できる。
なお、ユーザによるキー入力等のユーザインタフェース関連情報と、データアプリケーションが発生するコンテンツサーバA 4、同B 5、同C 6(図1に図示)等向けデータは、データ多重部215で多重された後データインタフェース部206に渡される。
変換サーバ1(図11に図示)に届いたこの多重データは、すでに図11、図17、図18において説明したように、図17のデータ分離部1013または図18のデータ分離部1134にてキー入力情報とデータアプリケーションの出力データに分離され、キー入力情報は、キー入力解釈部1133(図19または図18に図示)に、データアプリケーションの出力データはインターネット用プロトコル処理部104(図11に図示)に渡される。(明細書39頁20行-44頁12行)

(ウ)刊行物1に記載された発明
(ウ-1)「端末2に対して、マルチメディアコンテンツの映像とWWWページとが合成された映像を伝送する変換サーバ」
上記(イ-4)には「この変換サーバ1において合成・作成するものである。合成・作成された画像がテレビ電話機能部106から端末に伝送される。
したがって、端末側ではかかる画像の合成・作成を行う必要がなく、伝送された画像をそのまま表示すればよいので、端末側で実装すべきソフトウェアの処理量はさらに低減され得る。」の記載がある。
変換サーバから端末に画像が伝送されるのであるから、変換サーバから端末に伝送路を介して画像データが伝送されているということができ、端末は、上記画像データを受信しているということができる。
また、刊行物1において、端末は「テレビ電話機能を有する携帯型端末」(上記イ-1の記載より。)を想定しているから、(比較的小さい)所定の広さの画面に画像を表示する表示装置であるということができる。
以上のことから、刊行物1には、「伝送路を介して画像データを受信し、所定の広さの画面に画像を表示する表示装置に対して、画像データを送信する変換サーバ」が記載されている。

(ウ-2)「変換サーバが行う画像合成・作成」
上記(イ-4)の記載によれば、変換サーバは、端末機能補助部113を有しており、端末機能補助部113は、「端末機能補助部113は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101で再生された映像を入力され、これと、下り方向のHTTP処理部105で得られたHTMLと、端末からの上り方向データのうちユーザの指示等を含む情報(これはデータインタフェース部112からマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101を経由しこの端末機能補助部113に入力される。)とから、端末に表示させるべき画像を作成し、作成された画像を映像インタフェース部111に送り出すものである。
・・・・
この端末機能補助部113は、映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133とを有する。
映像合成部1131は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101(図11に図示)からの映像データとHTML整形部1132からの作成画像とを合成し映像インタフェース111(図11に図示)に供給するものである。
HTML整形部1132は、HTTP処理部105(図11に図示)からHTMLを入力され、これとキー入力解釈部1133からのユーザ指示に基づき画像を整形・作成する。作成された画像は画像合成部1131に出力される。」の構成を有している。
すなわち、端末機能補助部113は、マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部で再生された映像と、HTML処理部で得られたHTMLとから画像を作成し映像インターフェイス部に出力しているということができる。
そして、上記端末機能補助部113の詳細な構成は、「映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133」とから成り、HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成しているということができる。
また、(イ-3)の記載によれば、変換サーバのテレビ電話機能部106は、映像インターフェース部107を有し、映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3(図1に図示)を介して端末2(同)に再発信することが理解できる。
そして、(ウ-1)で検討したように、端末側に伝送される画像(データ)は「端末側ではかかる画像の合成・作成を行う必要がなく、伝送された画像をそのまま表示すればよい」画像(データ)である。
以上まとめると、刊行物1には
変換サーバの端末機能補助部は、「映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133」とから成り、HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成し、映像インターフェイス部に出力し、
変換サーバの(映像インターフェース部を有する)テレビ電話機能部は、映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3を介して端末2に再発信するものであって、このとき端末側に伝送される画像(データ)は「端末側ではかかる画像の合成・作成を行う必要がなく、伝送された画像をそのまま表示すればよい」画像(データ)である構成が記載されているということができる。
上記構成において、テレビ電話機能部は、「映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3(図1に図示)を介して端末2(同)に再発信」するのみであるから、「マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データ」、「HTML整形部1132が整形・作成した画像」を、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換しているのは、「端末機能補助部」であるということができる。
してみると、端末機能補助部は、『「マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データ」、「HTML整形部1132が整形・作成した画像」を、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換』する機能を有しているということができる。
すなわち、上記刊行物1に記載された端末機能補助部および、テレビ電話機能部の構成は、
変換サーバの端末機能補助部は、「映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133」とから成り、HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成し、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換し、映像インターフェイス部に出力し、
変換サーバの(映像インターフェース部を有する)テレビ電話機能部は、映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3を介して端末2に再発信する構成
ということができる。

(ウ-3)まとめ
上記(ウ-1)、(ウ-2)をまとめると、刊行物1に記載された発明として、以下のとおりの発明を認定することができる。

伝送路を介して画像データを受信し、所定の広さの画面に画像を表示する表示装置に対して、画像データを送信する変換サーバであって、
変換サーバの端末機能補助部は、「映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133」とから成り、HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成し、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換し、映像インターフェイス部に出力し、
変換サーバの(映像インターフェース部を有する)テレビ電話機能部は、映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3を介して端末2に再発信する構成
を有する変換サーバ。

上記変換サーバが行う処理は、変換サーバが行う処理方法として捉えることができるので、刊行物1発明を次のように画像処理方法として以下の発明(刊行物1発明という。)認定することができる。

伝送路を介して画像データを受信し、所定の広さの画面に画像を表示する表示装置に対して、画像データを送信する方法であって、
変換サーバの端末機能補助部は、「映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133」とから成り、HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成し、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換し、映像インターフェイス部に出力するステップを有し、
変換サーバの(映像インターフェース部を有する)テレビ電話機能部は、映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3を介して端末2に再発信するステップ、
を有する方法。

(エ)対比
(エ-1)「伝送路を介して動画像データの配信を受けて、所定の広さの画面に表示する画像表示装置に対して、前記動画像データを配信する動画像配信方法であって」
刊行物1発明は「伝送路を介して画像データを受信し、所定の広さの画面に画像を表示する表示装置に対して、画像データを送信する方法」である。
本件補正発明の「配信」は、例えば、発明の詳細な説明【0014】に
「 図2は、ネットワークシステム1における動画像の配信の態様を示す図であって、(A)は、WEBサーバ26から、WEB閲覧サーバ4を介して、テレビ電話機32に動画像が配信される態様を示し、(B)は、WEBサーバ26から、WEB閲覧サーバ4を介して、PDA装置22およびPC24に動画像が配信される態様を示す。
但し、図2(B)に示した2つのIPネットワーク20-1,20-2は、同一のIPネットワーク20であってもよい。
これらの構成部分により、図2(A)に示すように、ネットワークシステム1においては、ブラウザ機能を有さないテレビ電話機32に対するユーザの操作に応じて、例えば、HTML(HyperText Markup Language)により記述されたWEBデータが、WEBサーバ26からWEB閲覧サーバ4に対して、HTTP(HyperText Transfer Protocol)により供給される。
供給されたWEBデータは、WEB閲覧サーバ4により、例えば、テレビ電話機32に表示可能なMPEG(Moving Picture Experts Group)形式の動画像データに変換される。
さらに、この動画像データが、WEB閲覧サーバ4とテレビ電話機32との間に回線交換により設定された伝送路を介して、テレビ電話機32に配信され、表示される。
つまり、ネットワークシステム1においては、動画像表示機能および音声送信機能を有するが、ブラウザ機能を有さないテレビ電話機32のユーザが、インターネット上のWEBページの画像を閲覧することができる。」
とあるように、WEB閲覧サーバが、動画像データをテレビ電話機に伝送することといえる。
これに対して、刊行物1発明は、上記(ウ-1)で検討したように「変換サーバから端末に画像が伝送される」から、上記画像の「伝送」は、本願発明の「配信」と相違がない。
また、刊行物1発明において、変換サーバから端末に伝送される画像データが、「動画像データ」も含むものであることは、以下の(エ-2)で検討するとおりである。
以上のことから、刊行物1発明と本件補正発明とは、「伝送路を介して動画像データの配信を受けて、所定の広さの画面に表示する画像表示装置に対して、前記動画像データを配信する画像配信方法」である点で相違がないということができる。

(エ-2)「前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」
本件補正発明の「静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データ」について検討する。
上記記載における「これら」は「静止画像および動画像」を指していることは明らかである。
したがって、上記本件補正発明の記載は「静止画像および動画像または静止画像および動画像のいずれかを含む画像を示す画像データ」ということができ、「または」は、「静止画像および動画像(の両方)を含む画像を示す画像データ」と「静止画像および動画像のいずれかを含む画像を示す画像データ」を択一的に選択し、そのいずれかひとつの構成を採用したものを特許請求の範囲として記載しているととらえることができるから、以下では、「静止画像および動画像の両方を含む画像を示す画像データ」の場合について、すなわち、「前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像(の両方)を含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」について、刊行物1発明と対比する。
刊行物1発明は「変換サーバの端末機能補助部は、「映像合成部1131、HTML整形部1132、キー入力解釈部1133」とから成り、HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成し、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換し、映像インターフェイス部に出力するステップ」を有している。
刊行物1発明の「HTML整形部1132が整形・作成した画像」は、HTMLで記述された命令を、利用者が見ることができるように、いわゆるホームページの形態で表示することができるように成形した画像であるから、通常は静止画であるということができる。
また、刊行物1発明の「マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データ」の「マルチメディア」が動画を想定していることは、刊行物1の上記(イ-2)に「マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101は、マルチメディアコンテンツストリーム(マルチメディアコンテンツからなるデータストリーム)・・・をインターネット接続機能部102から受け取り、コンテンツを構成する各メディアに分けてテレビ電話機能部106に渡す。」の記載から明らかである。
すなわち、上記記載から、マルチメディアコンテンツのデータは「ストリーム」状のデータであるということができるから、上記マルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データは、ストリーム状のデータであるということができ、このことから、上記映像は、動画を前提としているといえることは明らかである。
したがって、刊行物1発明は「静止画像データ」と「動画像データ」とを合成し、端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換(すなわち生成)しているということができる。
上記入力画像データに動画データが含まれているのであるから、この動画像データを合成し変換出力したあとの画像が、変換前の画像と同じように見ることができるためには、変換後の画像が動画であることは明らかであり、変換後の画像データは動画像データということができる。
そして、刊行物1発明の端末は、テレビ電話機能を有する携帯端末を想定しているから、テレビ電話で採用されるデータ形式で伝送された動画像データは、そのまま表示することができる動画像データといえる。
一般に、「動画像」とは、連続する「静止画像データ」を短時間(フレーム周期という。例えばNTSCのテレビに表示される動画は1/30秒)で更新表示することにより、動画像として表示を行っている。
すなわち、「動画像データ」とは、フレーム周期で更新される静止画を生成するためのデータであるということができることは技術常識であって、動画像データは、通常上記フレーム周期で、静止画が生成できるよう、データが連続して入力している。
これに対して、静止画は通常変化がないから、静止画データは変化がない。
上記変化がない静止画データと、フレーム周期で静止画が生成できるよう連続して入力する動画像データとを合成して、(テレビ電話で採用されるデータ形式で伝送される)動画像データを生成するには、(入力する動画像の)フレーム周期で、合成画像に用いる動画像データを更新し、(変化がない)静止画データと(フレーム周期で更新される)動画像データから生成される(そのフレームにおける)静止画データとを合成し、上記合成された画像である静止画の静止画データを(テレビ電話で採用されるデータ形式の)動画像データとして、(テレビ電話で採用される)フレーム周期で出力することが必要であることは、当業者には明らかである。
刊行物1発明の『端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データ』について検討する。
端末は、テレビ電話機能を有しているから、テレビ電話で採用される動画伝送方式により伝送される画像データの形式が、そのまま端末で表示可能な画像データの形式であることは明らかである。
そして、そのような動画伝送方式により伝送される画像データの形式として、動画符号化の形式も含まれることは、技術常識であって、『端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データ』は、『端末側で「伝送された画像をそのまま表示すればよい」符号化形式の画像データ』も含んでいるということができる。
また、刊行物1発明は「端末側では、変換サーバから伝送される画像がそのまま表示される」構成は有しているものの、画像の大きさについては、特に規定されていない。
したがって、刊行物1発明は「前記画像表示装置の画面よりも広い画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示す動画像データを生成」することは想定していない。
以上のことから、上記静止画データと入力する動画像のフレーム周期で生成される動画像データ(あるフレームの静止画データ)とを合成した画像の画像データは、静止画像および動画像を含む画像を示す画像データということができ、上記(静止画像および動画像を含む画像を示す)画像データから、伝送された画像をそのまま表示すればよい(テレビ電話で採用されるフレーム周期で、テレビ電話で採用されるデータ形式(符号化形式を含む)の)動画像データを生成して出力しているということができる。
したがって、本件補正発明と刊行物1発明とは、「静止画像および動画像を含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置により表示されうる形式に符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」である点で相違がない。
もっとも、本件補正発明は、「前記画像表示装置の画面よりも広(く)い、(静止画像および動画像含む)画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示(し)す、(前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された)動画像データを生成する動画像生成ステップと、」であるのに対し、刊行物1発明は、上記下線で示す、画像の大きさについて想定していない点で相違する。

なお、上記対比では、本件補正発明の「前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像(の両方)を含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」について、刊行物1発明と対比したが、「前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像(のいずれか)を含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」(下線部)についても検討する。(下線部以外は、先の対比を援用する。)
刊行物1発明は、「HTML整形部1132が整形・作成した画像とマルチメディアコンテンツ再生・データ変換部101からの映像データとを合成」することを前提としているが、いわゆるホームページは、必ずしもマルチメディアコンテンツを含んでいるとは限らない。すなわち、「HTML整形部1132が整形・作成した画像」のみからなるホームページも当然想定されるものであり、この場合、「HTML整形部1132が整形・作成した画像」のデータは「静止画を含む画像を示す画像データ」ということができ、出力は、先に検討したように、伝送された画像をそのまま表示すればよい(テレビ電話で採用されるフレーム周期で、テレビ電話で採用されるデータ形式(符号化形式を含む)の)動画像データを生成して、出力するのであるから、「静止画像および動画像(のいずれか)を含む画像を示す画像データから、・・・動画像データを生成する動画像生成ステップ」を有しているということができる。

以上のことから、本件補正発明と刊行物1発明とは、
「静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップ」を有する点で一致し、
本件補正発明が、「前記画像表示装置の画面よりも広(く)い、(静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む)画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示(し)す、(前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された)動画像データを生成する動画像生成ステップと、」であるのに対し、刊行物1発明は、上記下線で示す、画像の大きさについて想定していない点で相違する。

(エ-3)「前記生成された動画像データを、前記伝送路を介して、前記画像表示装置に対して配信する動画像配信ステップ」
刊行物1発明は「変換サーバの(映像インターフェース部を有する)テレビ電話機能部は、映像インターフェース部に入力した映像データを、他のデータと多重して回線交換装置3を介して端末2に再発信するステップ」を有している。
映像インタフェース部に入力した映像データは、上記(ウ-2)で検討したように、「伝送された画像をそのまま表示すればよい」形式の画像データに変換したデータであるから、上記(エ-2)で検討した、「動画像生成ステップ」で生成された動画像データということができる。
テレビ電話機能部が端末にデータを伝送する回線は、上記(ウ-1)で検討した、「変換サーバから端末に画像が伝送される伝送路」と同じであるから、「前記伝送路」である。
本件補正発明の「配信」が刊行物1発明の「伝送」と相違がないことは、上記(エ-1)で検討したとおりである。
以上のことから、刊行物1発明は「前記生成された動画像データを、前記伝送路を介して、前記画像表示装置に対して配信する動画像配信ステップ」を有しているといえる。

(オ)一致点・相違点
以上の対比によれば、本件補正発明と刊行物1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

[一致点]
伝送路を介して動画像データの配信を受けて、所定の広さの画面に表示する画像表示装置に対して、前記動画像データを配信する動画像配信方法であって、
静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する動画像生成ステップと、
前記生成された動画像データを、前記伝送路を介して、前記画像表示装置に対して配信する動画像配信ステップと
を含む動画像配信方法。

[相違点]
本件補正発明は、「前記画像表示装置の画面よりも広(く)い、(静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む)画像を示す画像データから、前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示(し)す、(前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された)動画像データを生成する動画像生成ステップと、」であるのに対し、刊行物1発明は、上記下線で示す、画像の大きさについて想定していない点。

(カ)判断
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物3(特開2005-71350号公報)には、以下のとおりの記載がある。

「【0001】
本発明は、一般にウェブ・ページを携帯用表示装置上に表示するための装置および方法に関し、詳細には、ある画像の断片をその画像の所期の解像度で表示するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上に存在するウェブ・ページは、当技術分野では周知である。ユーザは、マイクロソフト社のInternet Explorer(R)やネットスケープ社のNetscape Navigator(R)などのウェブ・ブラウザを使用してウェブ・ページを閲覧する。ウェブ・ページの設計者は、一般にウェブ・ページ・デザイナと呼ばれている。ウェブ・ページ・デザイナは、ユーザがウェブ・ページから有用な情報を素早く得られるように、画像、テキスト、ハイパーリンクなどのウェブ・ページ要素を秩序立ててレイアウトする。ウェブ・ページ上の画像のサイズは、一般に画像解像度と呼ばれている。ウェブ・ページ・デザイナは、画像をレイアウトし、デスクトップまたはノートブック・コンピュータの画面上に表示するように画像解像度を設定する。
【0003】
ウェブ・ブラウジング機能を有する無線電話や携帯情報端末(PDA)もまた当技術分野では周知である。これらの装置は、一般に携帯用表示装置(hand held display device;HHDD)と呼ばれている。HHDDウェブ・ブラウザを用いてインターネットをブラウズする際に遭遇する問題の1つが、HHDD上の表示画面がデスクトップまたはノートブック・コンピュータの表示画面よりかなり小さいことである。より小さな画面上に全体のウェブ・ページを表示するために、HHDDは一般にウェブ・ページをより小さな解像度に収縮または縮小させる。したがって、ユーザは全体のウェブ・ページの小型版を見ることになる。しかし、ウェブ・ページのサイズを縮小するのは、ウェブ・ページ要素が小さくなりすぎて読めない、または理解できないものになり得るので問題である。したがって、当技術分野においては、ウェブ・ページの諸要素をHHDDの表示画面上にそれらの所期の解像度で表示する方法が求められている。
【0004】
従来技術は、縮小されたウェブ・ページを見ることに関する問題にこれまで取り組んできた。例えば、「ウェブ・ページ適応システムの表示画面およびウィンドウ・サイズ」(Display Screen and Window Size Related Web Page AdaptationSystem)と題する米国特許第6,300,947号(‘947号特許)には、ウェブ・ページをより小さな画面に合うように適合させる方法が開示されている。‘947号特許の方法は、ウェブ・ページの諸要素をばらばらにし、それらの諸要素を異なる画面上に別々に表示するものである。しかし、‘947号特許に開示されている方法は、ユーザが所期の解像度で画像を見ることができないので好ましいものではない。
【0005】
「低解像度表示器用ウェブ・ブラウザ・ユーザ・インターフェース」(WebBrowser User Interface for Low-Resolution Displays)と題する米国特許出願公開第2002/0158908号(‘908号出願)にも、ウェブ・ページをより小さい画面に合うように適合させる方法が開示されている。‘908号出願の方法は、ウェブ・ページをそのウェブ・ページのフル解像度で表示するものであるが、ウェブ・ページの一部分だけをHHDDの表示画面上に表示するものである。‘908号出願の方法は、ユーザがウェブ・ページの一部分だけしか見ることができないので好ましいものではなく、ウェブ・ページのすべての要素をフル解像度で見る方法が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第6,300,947号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0158908号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野においては、ウェブ・ページをHHDD上で見るための改善された装置と方法が必要とされている。ユーザがウェブ・ページの全体を見ることができ、同時に画像をその画像の所期の解像度で見ることができる装置と方法が必要とされている。さらに、分離した別個の部分に分けてでも、ユーザが全体の画像をその画像の所期の解像度で見ることができるような、ユーザが画像をナビゲートできる方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の必要を満たすものであり、無線電話や携帯情報端末(PDA)などの携帯用表示装置(HHDD)上にウェブ・サイトを表示するための方法である。本発明のソフトウェア実施形態は、画像修正プログラム(Image modification program;IMP)およびナビゲーション・プログラム(Navigation Program;NP)を含んでいる。IMPは、ウェブ・ページのHTMLを解析して画像が存在するかどうかを判断し、存在する場合には、その画像がHHDD表示画面上で割り振られた画像表示スペースを越えているかどうかを判断する。画像が表示画面上で割り振られたスペースを越えている場合には、IMPはx軸およびy軸の必要分割数を計算し、それに合わせて画像を断片化する。本発明は、縮小されたウェブ・ページをHHDD上に表示し、その縮小された画像を断片化された画像のうちの1つの断片で置き換えるものである。断片は、ウェブ・ページ・デザイナが意図した解像度で表示される。したがって本発明は、全体の画像が縮小されて表示されるウェブ・ページではなく、画像の一部がフル・サイズで表示されるウェブ・ページをユーザが見るという点で従来技術と異なっている。本発明のNPを用いると、ユーザは、ある断片から別の断片に移動することができる。
【0008】
別法として、本発明のソフトウェア実施形態は、プロキシ修正プログラム(ProxyModification Program;PMP)およびプロキシ・ナビゲーション・プログラム(Proxy Navigation Program;PNP)を含むこともできる。PMPおよびPNPは、IMPおよびNPと同様に動作するが、HHDDに送信しなければならない情報量を削減するためにプロキシを使用する。具体的には、PMPは画像を断片化し、縮小されたウェブ・ページといっしょに単一の断片をHHDDに送信するだけである。必要があれば、ユーザはPNPを使用して別の断片を要求することもできる。」

「【0029】
図7を参照すると、プロキシ修正プログラム(PMP)400の論理が示されている。PMP400は、PMP200と同様に、HHDD上に表示される画像を断片化し、所期の解像度で元の画像の一部を表示するプログラムであるが、プロキシを使用する。PMP400はプロキシ上で動作し、HHDD用の画像を自動的に断片化する。PMP400は、ユーザがウェブ・ブラウザ・アプリケーションを開始したときに始動する(402)。PMP400は、ウェブ・ブラウザに従って所望のウェブ・ページに到達する(404)。PMP400は、ウェブ・ページにアクセスし(406)、ウェブ・ページのHTMLを解析し、ウェブ・ページが画像を含むかどうかを判断する(408)。画像が存在するかどうかを判断するために、PM400は、.bmp、.jpg、または.gifのファイル拡張子を含むファイルを検索する。当業者なら画像ファイルの別の拡張子も知っているはずである。ウェブ・ページがまったく画像を含んでいない場合には、PMP400は画像をそのまま表示し(412)、終了する(428)。ステップ408で、PMP400が、ウェブ・ページが画像を含むと判断した場合には、PMP400はステップ410に進む。
【0030】
ステップ410でPMP400は、画像のサイズが、画像を表示するために割り振られたHHDDの表示画面サイズ上の領域より大きいかどうかを判断する(410)。PMP400は、IMP200と同様にして表示画面サイズおよび画像サイズを解析する。画像のサイズが、割り振られた表示画面サイズより大きくないとPMP400が判断した場合には、PMP400は、ウェブ・ページをそのまま表示し(412)、終了する(428)。画像サイズが、割り振られた表示画面サイズより大きいとPMP400が判断した場合には、PMP400はステップ414に進み、そこでx軸の分割数を計算する(414)。PMP400は、IMP200と同様にしてx軸の分割数を計算する。次いで、PMP400は、y軸の分割数を計算する(416)。PMP400は、IMP200と同様にしてy軸の分割数を計算する。
【0031】
次に、PMP400は、画像を断片に分割する(418)。PMP400は、IMP200と同様にして画像を断片に分割する。次いで、PMP400は、第1の断片を有するウェブ・ページをHHDDに送信する(420)。PMP400は、断片化された画像をプロキシ上に格納するので、元の画像の一部分だけをHHDDに送信すれば済む。次いで、HHDDは、IMP200の場合と同様に、断片化された画像を有するウェブ・ページを表示することができる。」

「【0034】
図9を参照すると、ウェブ・ページの画像が示されている。図示した画像は、HHDDのユーザがアクセスしたいと思うであろう画像のタイプの特徴を有している。図は、極めて詳細に表示された大量の情報を含んでいる。図9に示したような画像が、HHDDのより小さな画面に適合するように縮小されるとき、画像上の多くの情報は、ユーザにとって小さすぎて使えないものになってしまうであろう。したがって本発明は、図10に示したように、IMP200またはPMP400を使用して画像を断片化する。次に、ユーザが元の画像の一部分を見ることができるように、番号付けした断片の1つをHHDD上に表示することができる。画像が所期の解像度で表示されるので、ユーザは、画像から容易に識別可能なあらゆる情報を識別することができる。図11は、本発明を使用するウェブ・ブラウザが稼動するHHDDを示す図である。ウェブ・ブラウザは縮小されたウェブ・ページを表示する。しかし、図11に示したように、縮小された画像が5番目(中央)の画像断片で置き換えられているので、ユーザは所期の解像度で画像を見ることができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態は、HHDDを使用してインターネットをブラウズすることを対象としているが、この好ましい実施形態は本発明の制限を意味するものではない。例えば、本発明のいくつかの態様は、デジタル・カメラ表示器、特により高い解像度のデジタル・カメラに適用できる。デジタル・カメラの液晶表示器(LCD)画面は、本発明を使用して、デジタル写真が印刷されるのと同じ解像度でフル・サイズのデジタル写真を表示することができる。本発明は、フル・サイズの表示器にも同様に適用できる。本明細書に提示された新規で自明ではない態様の他の適用例を、当業者なら理解しているはずである。」

上記【0001】ないし【0008】の記載を見ると、背景技術として、ウェブ・ページを携帯用表示装置(HHDD)上に表示する際の課題として、「HHDD上の表示画面がデスクトップまたはノートブック・コンピュータの表示画面よりかなり小さいことである。より小さな画面上に全体のウェブ・ページを表示するために、HHDDは一般にウェブ・ページをより小さな解像度に収縮または縮小させる。したがって、ユーザは全体のウェブ・ページの小型版を見ることになる。しかし、ウェブ・ページのサイズを縮小するのは、ウェブ・ページ要素が小さくなりすぎて読めない、または理解できないものになり得るので問題である。したがって、当技術分野においては、ウェブ・ページの諸要素をHHDDの表示画面上にそれらの所期の解像度で表示する方法が求められている。」【0003】ことをあげ、
そして、その課題を解決するための具体的構成として、「ウェブ・ページのHTMLを解析して画像が存在するかどうかを判断し、存在する場合には、その画像がHHDD表示画面上で割り振られた画像表示スペースを越えているかどうかを判断する。画像が表示画面上で割り振られたスペースを越えている場合には、IMPはx軸およびy軸の必要分割数を計算し、それに合わせて画像を断片化する。本発明は、縮小されたウェブ・ページをHHDD上に表示し、その縮小された画像を断片化された画像のうちの1つの断片で置き換える」【0007】構成を開示し、
さらに、上記処理を「プロキシ修正プログラム(ProxyModification Program;PMP)およびプロキシ・ナビゲーション・プログラム(Proxy Navigation Program;PNP)を含むこともできる。PMPおよびPNPは、IMPおよびNPと同様に動作するが、HHDDに送信しなければならない情報量を削減するためにプロキシを使用する。」【0008】ことで実現できることも開示している。
さらに、他の実施形態として、「本発明の好ましい実施形態は、HHDDを使用してインターネットをブラウズすることを対象としているが、この好ましい実施形態は本発明の制限を意味するものではない。例えば、本発明のいくつかの態様は、デジタル・カメラ表示器、特により高い解像度のデジタル・カメラに適用できる。デジタル・カメラの液晶表示器(LCD)画面は、本発明を使用して、デジタル写真が印刷されるのと同じ解像度でフル・サイズのデジタル写真を表示することができる。」【0035】の記載もある。
これらの記載から見て、刊行物3には、「解像度の高い画像を、比較的表示画面の小さい表示装置で表示するとき、画像全体を縮小して表示すると、全体を見ることができるものの、要素(細部)については、理解することができなくなってしまう(課題)から、上記高い解像度の画像をもとの解像度のままで表示可能とするため、画像をいくつかに分割し、分割した画像を小さい画面の表示装置に表示することにより、上記課題を解決した」ものといえる。
そして、上記小さい画面の表示装置が、サーバ等と接続されていれば、送信する情報量を削減するため、サーバで、上記分割を行い、送信は、分割された画像のみを行うことも可能であることも開示している。
刊行物1発明の端末は、テレビ電話機能を有する携帯端末であるから、刊行物3が想定している、小さい画面の表示装置と共通であり、上記端末が表示する画像は、変換サーバが変換した、WWWページを表現するHTMLから整形した画像とマルチメディアの一構成要素である映像とを合成した画像であり、WWWページを表現する画像は、通常携帯端末のような小さな画面を想定してしておらず、刊行物3で開示された課題があることは、当業者であれば普通に想定されるものであり、刊行物3に接した当業者であれば、これが、刊行物1発明に適用できることは容易に想起し得たことである。
そして、刊行物3に開示された技術事項は、上記のとおり、「解像度の高い画像を、比較的表示画面の小さい表示装置で表示するとき、画像全体を縮小して表示すると、全体を見ることができるものの、要素(細部)については、理解することができなくなってしまう(課題)から、上記高い解像度の画像をもとの解像度のままで表示可能とするため、画像をいくつかに分割し、分割した画像を小さい画面の表示装置に表示することにより、上記課題を解決した」というものであり、刊行物1発明において、端末が表示すべき解像度の高い画像は「サーバが変換した、WWWページを表現するHTMLから整形した画像とマルチメディアの一構成要素である映像とを合成した画像」であるから、刊行物3に記載された技術事項を、刊行物1発明に適用すれば、上記「合成した画像」を分割して端末で表示するように構成することが普通であり、また、刊行物3には「小さい画面の表示装置が、サーバ等と接続されていれば、送信する情報量を削減するため、サーバで、上記分割を行い、送信は、分割された画像のみを行う」ことも開示されているから、上記分割処理を変換サーバに行わせるようにすることは当業者が容易になし得たことということができる。
以上まとめると、刊行物1発明に刊行物3に開示された技術事項を適用し、変換サーバが「WWWページを表現するHTMLから整形した画像とマルチメディアの一構成要素である映像とを合成した画像」を分割し(すなわち、前記画像表示装置の画面よりも広く、静止画像および動画像またはこれらのいずれかを含む画像を示す画像データから)、分割した画像を小さい画面の表示装置に表示する(前記画像表示装置の画面に対応する広さの画像を示し、前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する)ことは、当業者が容易になし得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、上記相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本件補正発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(キ)むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三 本願発明について
1.本願発明
平成23年6月28日付けの手続補正は上記のとおり却下したので、本件出願に係る発明は、平成23年4月5日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項17までの各請求項に係る発明であるところ、請求項13に係る発明(以下、これを「本願発明」ともいう)は、前記第二 1.で示した〈補正前の請求項1〉の記載事項により特定されるものである。

2.刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶理由に引用された国際公開第01/43435号〔前記第二 2.(3)(イ)での刊行物1に同じ。〕には、前記第二 2.(3)(イ)に示したとおりの記載があり、上記第二 2.(3)(イ).(イ)(ウ-3)の「刊行物1発明」を認定することができる。

3.対比・判断
本願発明は、前記補正後の発明〔前記第二 1.に示した〈補正後の請求項1〉に係る発明〕との対応でみると、前記第二 2.(2)での認定から明らかなように、
(ア)本件補正発明の「動画像データにかかる処理(配信、生成)」から、「動画像にかかる処理(配信、生成)」とすることで処理対象が(動画像)データであるという限定を省き、
(イ)本件補正発明における、動画像生成ステップの、「前記画像表示装置により表示されうる形式に動画像符号化された動画像データを生成する」構成の「動画像」について、「動画像符号化された」、「(動画像)データ」の限定を省いた
ものであって、その余の点では上記本件補正発明と同じである。
然るに、上記(ア)、(イ)の点について、上記限定を省いたことによって上記刊行物1発明との対比・判断に相違が生ずるものではない。
そうすると、本願発明の構成要件の全てを含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第二 2.(3)(カ)」に記載したとおり、刊行物1及び刊行物3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記刊行物1及び刊行物3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1ないし12、14ないし17に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-07 
結審通知日 2012-08-09 
審決日 2012-08-21 
出願番号 特願2007-536371(P2007-536371)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 奥村 元宏
千葉 輝久
発明の名称 動画像配信装置およびその方法  
代理人 特許業務法人アイ・ピー・エス  

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