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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1268217
審判番号 不服2011-23291  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-28 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 特願2009-168751「光学的投影システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月 3日出願公開、特開2009-282535〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成14年3月27日に出願した特願2002-577629号(パリ条約による優先権主張、2001年3月29日、米国)の一部を平成21年7月17日に新たな特許出願としたものであって、平成23年6月15日付けで手続補正がなされたが、同年6月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月28日に審判請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年6月15日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「画素のアレイを生成するように構成された画像ソースと、
180度よりも大きい投影角度で該画素のアレイを表面上へと投影するように構成された広角レンズアセンブリと、前記画像ソースと該広角レンズアセンブリとの間に存在し、前記画像ソースの該画素のアレイを光学的に該広角レンズアセンブリに中継する画像リレーレンズアセンブリとを含む、レンズアセンブリであって、該画像リレーレンズアセンブリにおける前記広角レンズアセンブリに近い画像の画素のアレイ内の分散と、該画像リレーレンズアセンブリにおける前記画像ソースに近い画像の画素のアレイ内の分散とが実質的に一致している、レンズアセンブリと
を含んでなることを特徴とする光学的投影システム。」

第3 刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許第5762413号明細書(以下「引用例1」という。)には、以下の記載がある。

(a)第2欄40行?44行
「A hemispherical optical projection system according to the present invention preferably includes at least one source of high intensity linearly polarized light which projects polarized light along a light path. An image source includes an array of image pixels.」
(仮訳)「この発明による半球光学投影システムは、好ましくは光路に沿って偏光を投影する少なくとも1つの高強度直線偏光光源を含む。画像源は画素のアレイを含む。」
(b)第2欄55行?60行
「The lens assembly preferably includes a collimating lens assembly in the light path downstream of the polarizing filter, and a meniscus lens assembly in the light path downstream of the collimating lens assembly to project the collimated light into an angular projection of at least about 160 degrees.」
(仮訳)「レンズアセンブリは好ましくは偏光フィルタの光路の下流側にコリメータレンズアセンブリを有し、コリメータレンズアセンブリの光路の下流側に平行光線を少なくとも160度の角度で投影するメニスカスレンズアセンブリを有している。・・・」
(c)第6欄34行?36行
「Still referring to FIG. 2, lens assembly 60 includes three elements: a collimating lens assembly 62, a wavefront shaping lens assembly 64 and a meniscus lens assembly 66.」
(仮訳)「さらに図2を参照して、レンズアセンブリ60はコリメータレンズアセンブリ62と、波面成形レンズアセンブリ64と、メニスカスレンズアセンブリ66の3つの要素を有する。」
(d)第7欄31行?41行
「In the optical projection system 14 described above, the need to place and align the optical components may require the lens assembly 60 to be spaced from the liquid crystal layer 46 more than in conventional projection lenses. In particular, as shown in FIG. 2, the distance L between the liquid crystal layer 46b and the first lens 62c in lens assembly 60 is more than six times the size of the image array 52b. Nonetheless, lens assembly projects the array of image pixels 12 from the image source 48 to a hemispherical surface at a projection angle of at least 160 degrees.」
(仮訳)「上述した光学投影システム14では、光学要素を整列して配置するために従来のものよりレンズアセンブリ60を液晶層46から離しておく必要がある。特に、図2に示されるように、液晶層46bとレンズアセンブリ60の第1レンズ62c間の距離Lは、画像アレイ52bの大きさの6倍以上もある。にもかかわらず、レンズアセンブリは画像源48からの画素のアレイ12を半球表面に少なくとも160度の投影角で投影する。」
(e)「図2



上記各記載事項を含む引用例1全体の記載及び当業者の技術常識を総合すると、引用例1には、以下の発明が記載されているものと認められる。

「画素のアレイを含む画像源と、
偏光フィルタの光路の下流側にコリメータレンズアセンブリを有し、コリメータレンズアセンブリの光路の下流側に平行光線を少なくとも160度の角度で投影するメニスカスレンズアセンブリを有し、
画像源からの画素のアレイを半球表面に少なくとも160度の投影角で投影する半球光学投影システム。」(以下「引用発明」という。)

第4 対比・判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(あ)引用発明の「画素のアレイ」、「画像源」及び「半球光学投影システム」は、それぞれ、本願発明の「画素のアレイ」、「画像ソース」及び「光学的投影システム」に相当する。
(い)引用発明では「画素のアレイ」は画像源からのものであるから、引用発明の「画像源」(本願発明の「画像ソース」に相当)は「画素のアレイを生成するように構成された」ものである。
(う)引用発明の「メニスカスレンズアセンブリ」は「平行光線を少なくとも160度の角度で投影する」から、本願発明の「広角レンズアセンブリ」に相当する。そして、本願発明と引用発明は「広角レンズアセンブリ」が、ともに「所定の角度よりも大きい投影角度で該画素のアレイを表面上へと投影するように構成された広角レンズアセンブリ」である点で共通する。

したがって両者は、
「画素のアレイを生成するように構成された画像ソースと、
所定の角度よりも大きい投影角度で該画素のアレイを表面上へと投影するように構成された広角レンズアセンブリとを含んだ光学的投影システム。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

(相違点1)
所定の角度が、本願発明では「180度よりも大きい」のに対して、引用発明では「少なくとも160度」である点。
(相違点2)
本願発明が「画像ソースと該広角レンズアセンブリとの間に存在し、画像ソースの該画素のアレイを光学的に該広角レンズアセンブリに中継する画像リレーレンズアセンブリとを含むレンズアセンブリであって、該画像リレーレンズアセンブリにおける広角レンズアセンブリに近い画像の画素のアレイ内の分散と、該画像リレーレンズアセンブリにおける画像ソースに近い画像の画素のアレイ内の分散とが実質的に一致しているレンズアセンブリ」を含んでいるのに対して、引用発明は、そのようなレンズアセンブリを含んでいない点。

2.判断
(相違点1について)
広角レンズアセンブリを有する光学投影システムにおいて、投影角度を180度よりも大きく設定することは、ごく普通に行われる周知技術(特開平4-69611号公報参照)であって、引用発明の投影角度を180度よりも大きく設計することは、その必要に応じて、当業者が適宜採用しうる事項である。
(相違点2について)
広角レンズアセンブリを有する光学投影システムにおいて、画像ソースと該広角レンズアセンブリとの間に画像ソースの画像を光学的に広角レンズアセンブリに中継する画像リレーレンズアセンブリを設けることは、ごく普通に行われている周知技術(米国特許第5473474号明細書参照)であって、引用発明に当該リレーレンズアセンブリを付加することに、格別の技術的困難性も阻害要因もない。
そして、本願発明の上記相違点2に係る構成の「画像リレーレンズアセンブリにおける広角レンズアセンブリに近い画像の画素のアレイ内の分散と、該画像リレーレンズアセンブリにおける画像ソースに近い画像の画素のアレイ内の分散とが実質的に一致している」ことの技術的意味は、請求人の審判請求書の主張に基づけば「画像リレーレンズアセンブリは、いくつかの画素を中間の画面で焦点を合わせるように構成されることにより、中間の画面が新しい画像ソースに実効的になるもの」であって、このことは、リレーレンズアセンブリの有する技術的意味そのものに他ならないから、引用発明においてもリレーレンズアセンブリを付加することにより、当然達成されるべきものである。
してみると、引用発明に周知のリレーレンズアセンブリを付加することにより、上記相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。

(本願発明の効果)
そして、本願発明の効果も引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。

3.小括
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基き当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-03 
結審通知日 2012-08-07 
審決日 2012-08-21 
出願番号 特願2009-168751(P2009-168751)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 吉喜  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 吉川 陽吾
伊藤 昌哉
発明の名称 光学的投影システム及び方法  
代理人 有原 幸一  
代理人 松島 鉄男  
代理人 河村 英文  
代理人 奥山 尚一  

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