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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1268248
審判番号 不服2012-16631  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-27 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 特願2007- 88406「現像装置、画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月16日出願公開、特開2008-249835〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成19年3月29日の出願であって、平成23年10月31日及び平成24年1月16日付けで手続補正がなされ、同年5月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月27日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成24年1月16日付け手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項によって特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。

「磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送スクリュを備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送スクリュと同方向に搬送する現像剤回収搬送スクリュを備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送スクリュとは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送スクリュを備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とは略同じ高さで並列に設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられた現像装置において、
該現像剤攪拌スクリュの現像剤搬送方向上流側の現像剤搬送量が該現像剤回収スクリュの現像剤搬送方向下流側の現像剤搬送量に対し同等以上となるように構成したことを特徴とする現像装置。」(以下「本願発明」という。)

3 刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-167260号公報(以下「引用例」という。)」には、図とともに次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタや電子写真装置等の画像形成装置に搭載される現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、記録密度の高いレーザプリンタ、ファクシミリや、デジタル複写機或いは、フルカラーのデジタル複写機やレーザプリンタ等の実用化に伴い、グラフィック等、プリント面積の大きい、高印字率の画像の表示品位の安定化が要求されている。
【0003】このため現像装置においては、トナーが大量に消費される高印字率の画像に対しても均一且つ十分なトナー供給を実現し、べた画像や連続階調の再現性に優れ、且つトナーが磁性材料を含まない事から小粒径化に対応でき、カラー化にも適すると言うことから、トナー及びキャリアからなるいわゆる二成分現像剤にて磁気ブラシを形成して現像を行う磁気ブラシ現像装置が多用されている。
【0004】このような二成分現像剤による磁気ブラシ現像装置の中で、高印字率の画像に対しても現像剤の攪拌性に優れ、且つ複数の現像装置を横方向に並列搭載して成る4連タンデム方式等のフルカラー現像装置の横方向の小型化の要求に応じて、従来、特開平5-3336991号公報に開示されるように、上下に2つの搬送路を有する筐体の上搬送路及び下搬送路に搬送方向が相反する2本のミキシングオーガを配置し、筐体内で現像剤を撹拌しつつ上下に循環する縦型の現像装置が開発されていた。
【0005】即ちこの縦型の現像装置は図7及び図8に示すように、筐体1上部にトナー供給搬送路2a、下部にトナー回収路2bを設け、上下2本のミキシングオーガ3、4を用いて、この両搬送路2a、2b内にて二成分現像剤6を撹拌しつつ矢印o方向及び矢印p方向に循環する様になっている。そして二成分現像剤6を撹拌しながら循環する間に、上方のトナー供給搬送路2aにて現像ローラ7に二成分現像剤6を供給し、感光体8の現像を行う一方、現像終了後、下方のトナー回収搬送路2bにて現像ローラ7から現像剤6を回収している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの様な縦型の現像装置において、上下2つの搬送路間を循環しつつそれぞれミキシングオーガにより攪拌を行っても、高印字率の画像に対しては、依然として部分的にトナー濃度の不均一を生じたり、あるいは濃度低下を生じてしまうという問題を有していた。
【0007】即ち従来の現像装置にあっては、補給トナーと二成分現像剤6との十分な攪拌を確保すると共に現像画像の濃度に影響を与えない様、現像時に消費されたトナーに見合う分のトナーを補給するトナー補給部1aは、図8に示すように上部のトナー供給搬送路2aにおいて、現像ローラ7通過端部付近に設けられ、現像ローラ7に供給されなかった余剰現像剤と補給トナーとは、合流されて回収口1bから下部のトナー回収搬送路2bに落下供給されミキシングオーガ4に十分攪拌される。
【0008】しかしながら、トナー回収搬送路2bには、トナー補給を受け、回収口1bから落下供給され攪拌される現像剤のみならず、現像ローラ7から回収されたトナー補給を受けない現像剤が回収され合流されている。このようにトナー補給を受けた現像剤と受けない現像剤とが合わさり、十分な攪拌をなされずに供給口1cからトナー供給搬送路2aに循環されると、特にトナーが大量に消費される高印字率の画像の場合には、トナー補給部1aからのトナー補給の遅れが大きく影響し、現像ローラ7における二成分現像剤のトナー濃度が低下し、画像濃度の低下を来すとともに、トナー補給を受けた現像剤と受けない現像剤とが十分な攪拌を成されていない事から濃度ムラを生じ表示品位を低下させてしまっていた。
【0009】更に濃度センサ10が設けられるトナー回収搬送路2bの供給口1c付近は、トナー補給を受けた現像剤と受けない現像剤とが合流されて通過する事から、濃度センサ10による検知出力の変動が大きく、結果としてトナー濃度の検知精度が悪く、良好な濃度制御を得られず、画像の濃度にバラツキを生じる事からも表示品位の低下を来していた。
【0010】そこで本発明は上記課題を除去するもので、二成分現像剤を上下搬送路にて循環する縦型の現像装置において、像担持体に、常に十分なトナー濃度を有しかつ均一でバラツキのない二成分現像剤を供給する事により、大量のトナーを消費する高印字率の画像に於いても、画像濃度が一定且つ濃度ムラの無い表示品位の高い画像を得られる現像装置を提供する事を目的とする。」

(2)「【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明を図1乃至図6に示す第1の実施の形態を参照して説明する。16は、デジタル複写機用のレーザプリンタ(図示せず)等の画像形装置に組み込まれる現像装置であり、筐体17内にて、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤20を上下方向に循環させて現像手段である現像ローラ18に供給し、静電潜像保持手段である感光体ドラム21の現像を行う様になっている。
【0021】感光体ドラム21は、60mmφのアルミニウム(Al)のドラム21a上に有機光導電体21bを設けてなっている。現像ローラ18は、サンドブラストにより表面粗さが約20μmの凹凸が設けられる外径28mmのアルミニウム(Al)からなる現像スリーブ18aが、感光体ドラム21に対して0.5mmのギャップを介する様配置されており、現像スリーブ18a内周には、は固定のマグネットローラであり、950ガウスの現像極N1、500ガウスの現像剤規制極S2,600ガウスの現像剤供給極N2、600ガウスの現像剤剥離極S3、800ガウスの現像剤回収極S4を有するマグネットローラ18bが固定されている。22は現像スリーブ18aに対して0.45mmのギャップを介する様筐体17に取着され、現像ローラ18周囲に形成される磁気ブラシ19の層厚を規制するステンレスからなる現像剤規制ブレードである。
【0022】筐体17内には、現像ローラ18に対して平行に設けられ各々現像剤攪拌手段である第1乃至第3のオーガ23、24、26を有し、第1及び第2の隔壁31、32により仕切られる第1乃至第3の搬送路27、28、30が形成されている。第1の隔壁31の一端部には、第1の搬送路27と第3の搬送路30間を導通し、第1の搬送路27の現像ローラ18に付与されない余剰現像剤27aを第3の搬送路30に落下供給する第1の回収口31aが形成され、第1の隔壁31の他端部には第3の搬送路30内で攪拌搬送された攪拌現像剤30aを第1の搬送路27にオーバフローにより循環供給する供給口31bが形成されている。
【0023】又、第2の隔壁32の一端部には、第2の搬送路28と第3の搬送路30を導通し、第2の搬送路28の回収現像剤28aを第3の搬送路30にオーバフローにより供給する第2の回収口32aが設けられている。
【0024】第1乃至第3の各オーガ23、24、26は、8mmφの金属シャフト23a、24a、26aに金属板23b、24b、26bを螺旋状に巻いたもので、第1及び第3のオーガ23、26の直径は23mm、ピッチは34mmとされ、第2のオーガ24の直径は18mm、ピッチは27mmとされている。又、第2のオーガ24の第2の回収口32a側端部には回収現像剤28aを第3の搬送路30に受け渡し逆方向に搬送し易くするための折り返し羽24cが設けられ、第3のオーガ26の供給口31b側端部には攪拌現像剤30aを第1の搬送路27に受け渡し逆方向に搬送し易くするための折り返し羽26cが設けられている。
【0025】そして筐体17内において図2に示す様に、第1の搬送路27にあっては、第1のオーガ23の矢印q方向の回転により、余剰現像剤27aが第1の方向である矢印r方向に搬送され、第1の回収口31aを介し第3の搬送路30に落下供給され、第2の搬送路28にあっては、第2のオーガ24の矢印t回転により回収現像剤28aが第1の方向である矢印r方向に搬送され、第2の回収口32aを介し第3の搬送路30に供給される。第3の搬送路30にあっては、第3のオーガ26の矢印u方向の回転により、合流された余剰現像剤27a及び回収現像剤28aを、第2の方向である矢印v方向に攪拌搬送し、この攪拌現像剤30aを供給口31bを介してオーバフローにより第1の搬送路27に循環供給する現像剤の循環路34を形成している。
【0026】又、17aは、現像時のトナー消費量に応じて第1の回収口31a近傍にて、トナー補給機(図示せず)から第1の搬送路27に新たなトナー補給を行う為のトナー補給口であり、36は、供給口31b付近で第3の搬送路30内の攪拌現像剤30aのトナー濃度を検知する濃度センサである。濃度センサ36は、攪拌現像剤30a中の透磁率の変化を検知してトナー濃度を検知するものである。この濃度センサ36は図示しない画像形成装置の制御装置に接続されており、制御装置(図示せず)は、濃度センサ36による検知結果に応じて現像ローラ18に最適トナー濃度の余剰現像剤27aを供給可能と成るよう、トナー補給機(図示せず)を制御してトナー補給口17aへのトナー補給量を制御している。」

(3)「【0027】次に作用について述べる。画像形成装置の画像形成工程開始により、現像装置16にあっては、現像ローラ18の現像スリーブ18aが矢印x方向に回転し、第1乃至第3のオーガ23、24、26もそれぞれ矢印q、t、u方向に回転する。これにより現像ローラ18は、供給口31bより第1の搬送路27に供給される攪拌現像剤30aを現像剤供給極N2にて供給され、マグネットローラ18bによる磁界と現像スリーブ18aの回転により、現像剤規制ブレード22に高さを規制されながら現像スリーブ18a上に磁気ブラシ18cを形成し、現像極N1にて、画像形成工程を経て感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する。この後現像スリーブ18aはその回転により現像剤回収極S4にて現像済みの余剰現像剤27aを第2の搬送路28に落下回収され、次の現像のため、現像剤供給極N2にて、新たな攪拌現像剤30aを供給される事となる。
【0028】一方、第1の搬送路27にあっては、第1のオーガ23の回転により、攪拌現像剤30aのうちの現像ローラ18に供給されなかった余剰現像剤27aを矢印r方向に攪拌搬送しつつ現像ローラ18に供給し、更に現像に寄与しなかった余剰現像剤27aを第1の回収口31aから第3の搬送路30に落下供給する。尚この間、トナー補給口17aには、濃度センサ36からの検知結果に応じて制御装置(図示せず)により制御されるトナー補給機により補給トナーが補給され、トナー消費量或いは画像の印字率、画像濃度に応じた最適なトナー濃度を保持する様、第1の回収口31aから第3の搬送路30に供給される。
【0029】又第2の搬送路28にあっては、第2のオーガ24の回転により現像剤回収極S4から落下回収された回収現像剤28aを、矢印r方向に攪拌搬送しつつ第2の回収口32aから折り返し羽24cによりオーバフローにより第3の搬送路30に供給する。
【0030】第3の搬送路30では第1の回収口31a及び第2の回収口32aから合流される、余剰現像剤27aと回収現像剤28aとを第3のオーガ26の回転により矢印v方向に十分攪拌搬送し供給口31b位置にて、折り返し羽26dによりオーバフローしながら、攪拌現像剤30aを新たな現像のために上方の第1の搬送路27に循環供給する。又濃度センサ36は供給口31b近傍にて搬送路30を通過する攪拌現像剤30aのトナー濃度を検知し、検知結果を制御装置(図示せず)に入力する。
【0031】次に上記現像装置16を、デジタル複写機ED-2460((株)東芝製)に搭載しての現像テストについて述べる。現像テストに用いる本デジタル複写機は、感光体ドラム21の周速127mm/sec、印字速度22枚/分(用紙サイズ:A4横)、記録密度600dpi(dot/inch、1dotは約43μm)とする。現像位置における感光体ドラム21の電位条件は、帯電電位-600V、露光後電位-50Vとし、露光部にトナーを付着現像させる反転現像方式にて現像するものとする。
【0032】現像装置16の駆動条件は、現像スリーブ18aの周速を感光体ドラム21の周速の1.3倍、第1乃至第3のオーガ23、24、26の回転数を各々350rpm、現像スリーブ18aに印可する現像バイアスを、-420Vの直流電圧に1.6V_(P-P)、周波数4kHz、波形が方形波の交流電圧を重畳して印可する物とする。
【0033】二成分現像剤は、キャリアとしてほぼ球状で飽和磁化65emu/g(3000エルステッド時)、電気抵抗10^(8)Ωm、真比重5.0g/cm^(3)の平均粒径が60μmのフェライト粒子を用い、トナーとして平均粒径9.3μm、マイナス帯電極性、真比重1.1、の上記デジタル複写機ED-3850用の黒トナー((株)東芝社製)を用いた。」

(4)「【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、縦型の現像装置において、現像手段に供給されなかった余剰現像剤と現像終了後に現像手段から回収される回収現像剤とを合流する第3の搬送路を設け、この第3の搬送路にて二成分現像剤を十分攪拌した後現像手段側に循環供給する事により現像手段に常にトナー濃度の均一な安定した二成分現像剤を供給出来、トナーが大量に消費される高印字率の画像においても画像濃度が一定で濃度ムラを生じる事の無い表示品位の高い画像を得られる。又濃度検知手段による検知精度の向上によりトナー濃度制御精度を向上出来、画像濃度の変動が少ない安定した良好な画像をえられ、表示品位の向上を図れる。」

(5)図1の記載から、図1のx方向を第1の回転方向とし、第1の回転方向と反対の回転方向を第2の回転方向とすると、図1の矢印q、t、u方向は、それぞれ、第2の回転方向、第1の回転方向、第1の回転方向であること、及び、現像極N1が感光体ドラム21に対向していることが見て取れる。

(6)図2ないし図4の記載から、矢印r方向を第1の搬送方向とし、第1の搬送方向と逆の搬送方向を第2の搬送方向とすると、矢印v方向は第2の搬送方向であり、第1の搬送方向及び第2の搬送方向はいずれも現像ローラ18の軸方向に沿った方向であることが見て取れる。

(7)図1ないし図4の記載から、第2の搬送路28と第3の搬送路30とは略同じ高さで並列に設けられ、第1の搬送路27は第2の搬送路28及び第3の搬送路30の上方に位置していること、第1の回収口31aは第1の搬送路27の第1の搬送方向(矢印r方向)の下流側にあること、及び、第2の回収口32aは第2の搬送路28の第1の搬送方向(矢印r方向)の下流側にあることが見て取れる。

(8)上記(1)ないし(7)からみて、引用例には、
「トナー及びフェライト粒子を用いたキャリアからなる二成分現像剤を上下方向に循環させて現像手段である現像ローラに供給し、該現像ローラ周囲に磁気ブラシを形成して静電潜像保持手段である感光体ドラムの現像を行う様になっている、二成分現像剤を上下搬送路にて循環する縦型の現像装置において、
感光体ドラムに、常に十分なトナー濃度を有しかつ均一でバラツキのない二成分現像剤を供給する事により、大量のトナーを消費する高印字率の画像に於いても、画像濃度が一定且つ濃度ムラの無い表示品位の高い画像を得られる現像装置を提供する事を目的として、現像手段に供給されなかった余剰現像剤と現像終了後に現像手段から回収される回収現像剤とを合流する第3の搬送路を設け、この第3の搬送路にて二成分現像剤を十分攪拌した後現像手段側に循環供給する事により現像手段に常にトナー濃度の均一な安定した二成分現像剤を供給でき、トナーが大量に消費される高印字率の画像においても画像濃度が一定で濃度ムラを生じる事の無い表示品位の高い画像を得られるようにした現像装置であって、
筐体17内に、現像ローラ18に対して平行に設けられ各々現像剤攪拌手段である第1ないし第3のオーガ23、24、26を設け、第1及び第2の隔壁31、32により仕切られる第1ないし第3の搬送路27、28、30を形成し、第2の搬送路28と第3の搬送路30とを略同じ高さで並列に設け、第1の搬送路27を第2の搬送路28及び第3の搬送路30の上方に位置するように設け、
第1の隔壁31の一端部に、第1の搬送路27と第3の搬送路30間を導通し、第1の搬送路27の現像ローラ18に付与されない余剰現像剤27aを第3の搬送路30に落下供給する第1の回収口31aを形成し、
第1の隔壁31の他端部に第3の搬送路30内で攪拌搬送された攪拌現像剤30aを第1の搬送路27にオーバフローにより循環供給する供給口31bを形成し、
第2の隔壁32の一端部に、第2の搬送路28と第3の搬送路30を導通し、第2の搬送路28の回収現像剤28aを第3の搬送路30にオーバフローにより供給する第2の回収口32aを設け、
第1ないし第3の各オーガ23、24、26を、8mmφの金属シャフト23a、24a、26aに金属板23b、24b、26bを螺旋状に巻いたものとし、第1及び第3のオーガ23、26の直径は23mm、ピッチは34mmとし、第2のオーガ24の直径は18mm、ピッチは27mmとし、
現像ローラ18の現像スリーブ18aが第1の回転方向に回転し、第1のオーガ23が第1の回転方向と反対の回転方向である第2の回転方向に回転し、第2及び第3のオーガ24、26が第1の回転方向に回転することにより、現像ローラ18は、供給口31bより第1の搬送路27に供給される攪拌現像剤30aを現像剤供給極N2にて供給し、マグネットローラ18bによる磁界と現像スリーブ18aの回転により、現像剤規制ブレード22に高さを規制されながら現像スリーブ18a上に磁気ブラシ18cを形成し、感光体ドラム21に対向している現像極N1にて、画像形成工程を経て感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像し、この後現像スリーブ18aはその回転により現像剤回収極S4にて現像済みの余剰現像剤27aを第2の搬送路28に落下回収させ、次の現像のため、現像剤供給極N2にて、新たな攪拌現像剤30aを供給し、一方、第1の搬送路27にあっては、第1のオーガ23の回転により、攪拌現像剤30aのうちの現像ローラ18に供給されなかった余剰現像剤27aを現像ローラ18の軸方向に沿った方向である第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ現像ローラ18に供給し、更に現像に寄与しなかった余剰現像剤27aを搬送方向の下流側にある第1の回収口31aから第3の搬送路30に落下供給し、又第2の搬送路28にあっては、第2のオーガ24の回転により現像剤回収極S4から落下回収された回収現像剤28aを、第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ搬送方向の下流側にある第2の回収口32aからオーバフローにより第3の搬送路30に供給し、第3の搬送路30では第1の回収口31a及び第2の回収口32aから合流される、余剰現像剤27aと回収現像剤28aとを第3のオーガ26の回転により、現像ローラ18の軸方向に沿った方向であり、第1の搬送方向と逆の搬送方向である第2の搬送方向に十分攪拌搬送し供給口31b位置にてオーバフローしながら、攪拌現像剤30aを新たな現像のために上方の第1の搬送路27に循環供給するようにした、
現像装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「フェライト粒子を用いたキャリア」、「トナー」、「二成分現像剤」、「電潜像保持手段である感光体ドラム」、「静電潜像」、「現像」、「現像手段である現像ローラ18、現像スリーブ18a」、「現像ローラ18の軸方向」、「第1のオーガ23」、「第1の搬送路27」、「回収」、「第2のオーガ24」、「第2の搬送路28」、「『第1の搬送路27』にあって『第1のオーガ23の回転』により、『現像ローラ18の軸方向に沿った方向である第1の搬送方向に攪拌搬送』しつつ『現像ローラ18に供給』する『攪拌現像剤30a』のうちの『現像ローラ18に供給されなかった余剰現像剤27a』」、「『第2の搬送路28』にあって『第2のオーガ24の回転』により『第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ搬送方向の下流側にある第2の回収口32aからオーバフローにより第3の搬送路30に供給』する『現像剤回収極S4から落下回収された回収現像剤28a』」、「第3のオーガ26」、「第3の搬送路30」及び「現像装置」は、それぞれ、本願発明の「磁性キャリア」、「トナー」、「2成分現像剤」、「潜像担持体」、「潜像」、「現像」、「現像剤担持体」、「現像剤担持体の軸線方向」、「現像剤供給搬送スクリュ」、「現像剤供給搬送路」、「回収」、「現像剤回収搬送スクリュ」、「現像剤回収搬送路」、「現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された余剰現像剤」、「現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された回収現像剤」、「現像剤攪拌搬送スクリュ」、「現像剤攪拌搬送路」及び「現像装置」に相当する。

(2)引用発明の「現像剤担持体(現像ローラ18)」は、「トナー」及び「磁性キャリア(キャリア)」からなる「2成分現像剤(二成分現像剤)」を供給され、周囲に磁気ブラシを形成して「潜像担持体(静電潜像保持手段である感光体ドラム)」の「現像」を行う様になっており、マグネットローラ18bによる磁界と「現像剤担持体(現像スリーブ18a)」の「回転」により、現像剤規制ブレード22に高さを規制されながら「現像剤担持体(現像スリーブ18a)」上に磁気ブラシ18cを形成し、現像極N1にて、画像形成工程を経て「潜像担持体」上に形成される「潜像(静電潜像)」を「現像」するものであるから、本願発明の「現像剤担持体」と、「磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する」点で一致する。

(3)引用発明において、「現像剤供給搬送路(第1の搬送路27)」にあっては、「現像剤供給搬送スクリュ(第1のオーガ23)」の回転により、攪拌「現像剤」30aのうちの「現像剤担持体(現像ローラ18)」に供給されなかった余剰「現像剤」27aを「現像剤担持体の軸線方向(現像ローラ18の軸方向)」に沿った方向である第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ「現像剤担持体」に供給するから、引用発明の「現像剤供給搬送路」と本願発明の「現像剤供給搬送路」とは「現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、現像剤担持体に現像剤を供給する」点で一致する。

(4)引用発明の「現像装置」は、磁気ブラシ18cを形成し、「潜像担持体(感光体ドラム21)」に対向している現像極N1にて、画像形成工程を経て「潜像担持体」上に形成される「潜像(静電潜像)」を「現像」し、この後「現像剤担持体(現像スリーブ18a)」はその回転により現像剤回収極S4にて「現像」済みの余剰「現像剤」27aを「現像剤回収搬送路(第2の搬送路28)」に落下回収させ、次の「現像」のため、現像剤供給極N2にて、新たな攪拌「現像剤」30aを供給し、「現像剤回収搬送路」にあっては、「現像剤回収搬送スクリュ(第2のオーガ24)」の回転により現像剤回収極S4から落下回収された「回収現像剤(回収現像剤28a)」を、第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ搬送方向の下流側にある第2の回収口32aからオーバフローにより「現像剤攪拌搬送路(第3の搬送路30)」に供給するから、引用発明の「現像剤回収搬送路」と本願発明の「現像剤回収搬送路」とは「潜像担持体と対向する箇所を通過後の現像剤担持体上から回収された現像剤を現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、現像剤供給搬送スクリュと同方向に搬送する現像剤回収搬送スクリュを備えた」点で一致する。

(5)引用発明の「現像装置」は、「現像剤供給搬送路(第1の搬送路27)」にあっては、「現像剤供給搬送スクリュ(第1のオーガ23)」の回転により、攪拌「現像剤」30aのうちの「現像剤担持体(現像ローラ18)」に供給されなかった「余剰現像剤(余剰現像剤27a)」を「現像剤担持体の軸線方向(現像ローラ18の軸方向)」に沿った方向である第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ「現像剤担持体」に供給し、更に「現像」に寄与しなかった「余剰現像剤」を搬送方向の下流側にある第1の回収口31aから「現像剤攪拌搬送路(第3の搬送路30)」に落下供給し、又「現像剤回収搬送路(第2の搬送路28)」にあっては、「現像剤回収搬送スクリュ(第2のオーガ24)」の回転により現像剤回収極S4から落下「回収」された「回収現像剤(回収現像剤28a)」を、第1の搬送方向に攪拌搬送しつつ搬送方向の下流側にある第2の回収口32aからオーバフローにより「現像剤攪拌搬送路(第3の搬送路30)」に供給し、「現像剤攪拌搬送路」では第1の回収口31a及び第2の回収口32aから合流される、「余剰現像剤」と「回収現像剤」とを「現像剤攪拌搬送スクリュ(第3のオーガ26)」の回転により、「現像剤担持体の軸線方向」に沿った方向であり、第1の搬送方向と逆の搬送方向である第2の搬送方向に十分攪拌搬送し供給口31b位置にてオーバフローしながら、攪拌「現像剤」30aを新たな「現像」のために上方の「現像剤供給搬送路」に循環供給するから、引用発明の「現像剤攪拌搬送路」と本願発明の「現像剤攪拌搬送路」とは「現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送スクリュとは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送スクリュを備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する」点で一致する。

(6)引用発明の「現像装置」は、「現像剤回収搬送路(第2の搬送路28)」と「現像剤攪拌搬送路(第3の搬送路30)」とを略同じ高さで並列に設け、「現像剤供給搬送路(第1の搬送路27)」を「現像剤回収搬送路」及び「現像剤攪拌搬送路」の上方に位置するように設けたものであるから、本願発明の「現像装置」と、「現像剤攪拌搬送路と現像剤回収搬送路とは略同じ高さで並列に設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられた」点で一致する。

(7)ア 本願発明の「該現像剤攪拌スクリュの現像剤搬送方向上流側の現像剤搬送量が該現像剤回収スクリュの現像剤搬送方向下流側の現像剤搬送量に対し同等以上となるように構成した」との事項に関し、本願明細書の発明の詳細な説明には、次の(ア)ないし(オ)の記載がある。
(ア)「【0034】
次に、本発明の特徴部について図1、図6、図7及び図8を用いて説明する。なお、特に記載のない場合は、現像剤搬送部材である供給スクリュ8、回収スクリュ6及び攪拌スクリュ11のスクリュの外径はφ22[mm]、スクリュピッチは25[mm]及びスクリュ条数は1条であり、各スクリュの回転数は約700[rpm]である。当然ながら、これらの諸条件に限定されるものではない。」
(イ)「【0035】
[構成例1]
本構成例においては、供給スクリュ8と回収スクリュ6の回転数を約700[rpm]、攪拌スクリュ11の回転数を約730?780[rpm]とする。これにより、攪拌スクリュ11の現像剤搬送量が他のスクリュよりも多くなるため、現像剤は攪拌搬送路10の現像剤搬送方向下流側に多く滞留し、攪拌搬送路10の現像剤搬送方向上流側にある現像剤の量が少なくなる。よって、回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流側から攪拌搬送路10の現像剤搬送方向最上流側への現像剤の受け渡しが、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側の現像剤の嵩が高くなり過ぎないないような供給量でスムーズに行なわれ、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流に滞留する現像剤が減る。したがって、図1に示すように、回収スクリュ6の現像剤搬送方向下流側における現像剤の嵩が低くなり、現像ローラ5に回収現像剤が再付着する、いわゆる連れ回り現象の発生を抑制することができる。」
(ウ)「【0037】
[構成例2]
本構成例においては、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向上流側のスクリュ径をφ24、上記現像剤搬送方向上流側以外のスクリュ径をφ22とする。これにより、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向上流側での現像剤搬送量が他のスクリュよりも多くなるため、現像剤は攪拌搬送路10の現像剤搬送方向下流側に多く滞留し攪拌搬送路10の現像剤搬送方向上流側にある現像剤の量が少なくなる。よって、回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流側から攪拌搬送路10の現像剤搬送方向最上流側への現像剤の受け渡しが、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側の現像剤の嵩が高くなり過ぎないないような供給量でスムーズに行なわれ、回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流に滞留する現像剤が減る。したがって、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側での現像剤の嵩は低くなり、上記連れ回り現象の発生を抑制することができる。」
(エ)「【0039】
[構成例3]
本構成例においては、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向上流側のスクリュのピッチを30、上記現像剤搬送方向上流側以外のスクリュのピッチを25とする。これにより、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向上流側での現像剤搬送量が他のスクリュよりも多くなるため、現像剤は攪拌搬送路10の現像剤搬送方向下流側に多く滞留し、攪拌搬送路10の現像剤搬送方向上流側にある現像剤の量が少なくなる。よって、回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流側から攪拌搬送路10の現像剤搬送方向最上流側への現像剤の受け渡しが、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側の現像剤の嵩が高くなり過ぎないないような供給量でスムーズに行なわれ、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側に滞留する現像剤が減る。したがって、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流での現像剤の嵩は低くなり、上記連れ回り現象の発生を抑制することができる。」
(オ)「【0041】
[構成例4]
本構成例においては、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向上流側のスクリュ条数を2条、上記現像剤搬送方向上流側以外のスクリュ条数を1条とする。これにより、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向上流側の現像剤搬送量が他のスクリュよりも多くなるため、現像剤は攪拌搬送路10の現像剤搬送方向下流側に多く滞留し、攪拌搬送路10の現像剤搬送方向上流側にある現像剤の量が少なくなる。よって、回収搬送路7の搬送方向最下流側から攪拌搬送路10の現像剤搬送方向最上流側への現像剤の受け渡しが、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側の現像剤の嵩が高くなり過ぎないないような供給量でスムーズに行なわれ、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側に滞留する現像剤が減る。したがって、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側での現像剤の嵩は低くなり、上記連れ回り現象の発生を抑制することができる。」

イ 上記アの(ア)ないし(オ)の記載からみて、本願発明の「該現像剤攪拌スクリュの現像剤搬送方向上流側の現像剤搬送量が該現像剤回収スクリュの現像剤搬送方向下流側の現像剤搬送量に対し同等以上となるように構成した」との事項は、次の(ア)ないし(エ)のいずれかの構成を備えることを含んでいる。
(ア)現像剤攪拌スクリュの回転数を現像剤回収スクリュの回転数よりも高くする。
(イ)現像剤攪拌スクリュのスクリュ径を現像剤回収スクリュのスクリュ径よりも大きくする。
(ウ)現像剤攪拌スクリュのスクリュのピッチを現像剤回収スクリュのスクリュのピッチよりも大きくする。
(エ)現像剤攪拌スクリュの条数を現像剤回収スクリュの条数よりも多くする。

ウ 引用発明の「現像装置」は、「現像剤供給搬送スクリュ、現像剤回収スクリュ及び現像剤攪拌スクリュ(第1ないし第3の各オーガ23、24、26)」を、8mmφの金属シャフト23a、24a、26aに金属板23b、24b、26bを螺旋状に巻いたものとし、「現像剤供給搬送スクリュ及び現像剤攪拌スクリュ」の直径は23mm、ピッチは34mmとし、「現像剤回収スクリュ」の直径は18mm、ピッチは27mmとしたものであるから、「現像剤攪拌スクリュ」の直径を「現像剤回収スクリュ」の直径よりも大きくし、「現像剤攪拌スクリュ」のピッチを「現像剤回収スクリュ」のピッチよりも大きくしたものである。

エ 引用発明の「現像装置」は、上記イ及びウからみて、上記イの(イ)及び(ウ)の構成を備えているから、本願発明の「現像装置」と、「該現像剤攪拌スクリュの現像剤搬送方向上流側の現像剤搬送量が該現像剤回収スクリュの現像剤搬送方向下流側の現像剤搬送量に対し同等以上となるように構成した」点で一致する。

(8)上記(1)ないし(7)からみて、本願発明と引用発明とは、
「磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送スクリュを備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送スクリュと同方向に搬送する現像剤回収搬送スクリュを備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送スクリュとは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送スクリュを備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とは略同じ高さで並列に設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられた現像装置において、
該現像剤攪拌スクリュの現像剤搬送方向上流側の現像剤搬送量が該現像剤回収スクリュの現像剤搬送方向下流側の現像剤搬送量に対し同等以上となるように構成したことを特徴とする現像装置。」である点で一致し、相違するところはない。

(9)したがって、本願発明と引用発明とは同一の発明であるから、本願発明は、引用例に記載された発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明である。

なお、原査定の拒絶の理由は、特許法第29条第1項第3号に該当するというものではないが、審判請求人は、審判請求書において、本願発明と上記引用例とを対比し、容易性のみならず、同一性についても検討していることは明らかである。

5 むすび
本願発明は、上記4のとおり、刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-22 
結審通知日 2012-10-26 
審決日 2012-11-07 
出願番号 特願2007-88406(P2007-88406)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 勝見  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 清水 康司
西村 仁志
発明の名称 現像装置、画像形成装置  
代理人 黒田 壽  

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