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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B42C
管理番号 1268565
審判番号 訂正2012-390130  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-10-11 
確定日 2012-12-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4950636号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4950636号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4950636号は、平成18年11月27日に特許出願され、その請求項1ないし3に係る発明は、平成24年3月16日にその特許権の設定登録がなされたものであって、同年10月11日に本件訂正審判が請求された。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1.請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4950636号の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。
・訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3からなる一群の請求項について、請求項1に、「速く」とあるのを、「遅く」に訂正する。
・訂正事項2
本件特許明細書の段落【0010】に、「速く」とあるのを、「遅く」に訂正する。

2.特許法施行規則に基づく一群の請求項について
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2及び3は、それぞれ訂正事項1を含む請求項1を引用するものであるから、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。
また、本件特許明細書を訂正する訂正事項2は、関係する全ての一群の請求項である請求項1ないし3が請求の対象となっている。
したがって、訂正事項1は特許法第126条第3項の規定に適合するものであり、訂正事項2は特許法第126条第4項の規定に適合するものである。

第3 当審の判断
これらの訂正事項1、2について検討する。
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
本件訂正前の明細書である特許明細書の段落【0064】には、「糊付け部Bは、図11に示すように、用紙束540をグリップする糊付けグリッパ523、糊を貯蔵する糊容器525、用紙束540に糊を塗布する糊塗布ローラ524、および糊塗布ローラ制御モータ522から構成される。糊容器525、糊塗布ローラ524、および糊塗布ローラ制御モータ522が、糊付けユニット585を構成する。」(なお、下線は審決で付した。以下、同じ。)と記載され、段落【0075】には、「なお、上記の構成では、糊容器525内の糊Gの粘度に応じて、糊塗布ローラ524の外周面から用紙束540の下側面までの距離Lを切り替えるようにしているが、これに代えて、下記のように構成してもよい。すなわち、糊付けユニット585が用紙束540の下側面に上昇して所定位置で停止し、その後、用紙束540に糊付けするために糊付け製本装置500の前面から背面へ向けて移動するが、そのときの移動速度Vを複数用意する。そして、その中から、糊容器525内の糊Gの粘度に応じて、移動速度Vを選択するようにする。例えば、移動速度Vとして300mm/sおよび200mm/sを用意し、糊の粘度が所定の閾値以下である場合は300mm/sを選択し、所定の閾値よりも大きい場合は200mm/sを選択する。つまり、糊の粘度が高い場合、糊付けユニット585の移動速度を遅くして、糊塗布ローラ524上の糊層Grが用紙束540と接する時間を増やすようにし、これによって、糊を用紙束540に付着しやすくする。」と記載されているように、糊の粘度が所定の閾値よりも高いときは糊付けユニットを構成する糊塗布ローラの移動速度を遅くし、糊の粘度が所定の閾値所定値以下のときは糊付けユニットを構成する糊塗布ローラの移動速度を速くする、すなわち糊の粘度が所定値よりも高いときの糊塗布ローラ(塗布手段)の移動速度を、前記所定値以下の時の前記糊塗布ローラ(塗布手段)の移動速度よりも速くなるようにすることが示されており、また上記の事項は、技術常識に照らしても自然である。
してみると、本件訂正前の請求項1に記載の「前記検出手段によって検出される粘度が所定値よりも高いときの前記塗布手段の移動速度を、前記所定値以下の時の前記塗布手段の移動速度よりも速くなるように」における「速く」は、「遅く」と記載するべきであった誤記であることは明らかであるから、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

(2)本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0064】及び段落【0075】の記載は、上記(1)に示した本件特許明細書の段落【0064】及び段落【0075】と同じ記載であるから、訂正事項1は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記のとおり、訂正事項1における、訂正前の「速く」との記載は、訂正後の「遅く」との記載の誤記であることが明らかである。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて
本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

2.訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
上記1.(1)のとおりであるから、本件訂正前の明細書である特許明細書の段落【0010】に記載の「前記検出手段によって検出される粘度が所定値よりも高いときの前記塗布手段の移動速度を、前記所定値以下の時の前記塗布手段の移動速度よりも速くなるように」における「速く」は、「遅く」と記載するべきであった誤記であることは明らかであって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

(2)本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記1.(2)のとおりであるから、訂正事項2は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記1.(3)のとおりであるから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて
本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
糊付け製本装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、糊付け製本装置に関し、特に、用紙束の背部に糊付けを行い、該背部に表紙を接着して冊子を作成する糊付け製本装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製本装置として、画像形成された用紙を積載し、用紙束の背面となる一辺に糊付けし、用紙束に対して略倍の大きさの用紙を表紙として、用紙束の背面と表紙とを接着するくるみ製本装置がある。また、表紙を用いず、用紙束の背面となる一辺に糊付けを行うのみの天糊製本装置がある。
【0003】
こうした糊付けのために、従来、所定位置に固定された用紙束の一辺に沿って、糊を収納した容器を移動させて糊を用紙束に塗布するようにした製本装置(例えば、特許文献1参照)がある。また、固形の糊を一旦液状にするために、糊を収納した容器内をヒータなどで加熱する製本装置(例えば、特許文献2参照)や、容器内で液状になった糊の粘性を一定に保つために希釈剤を混合する製本装置(例えば特許文献3参照)がある。
【0004】
また、糊付け製本装置とは別に経糸糊付け製本装置があるが、該経糸糊付け製本装置において、糊を経糸に塗布するローラ対の圧力を糊の濃度や粘度に応じて制御する装置(例えば、特許文献4参照)がある。
【特許文献1】特開2004-209869号公報
【特許文献2】特開2001-71661号公報
【特許文献3】特開2001-121055号公報
【特許文献4】特開平3-97951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糊をヒータで加熱する上記従来の製本装置においては、加熱により糊の水分が蒸発し、水分量の減少に伴って糊の粘性が高くなっていく。通常は、糊容器内に糊を補充することで糊の粘性が低下するが、糊の補充が行われないまま加熱を行い続けると、糊の粘性が高くなってしまう。糊の粘性が高くなると、粘性が低い場合に比べて、糊が用紙束に対して付着し難くなり、その結果、糊の塗布量が少なくなり、生成された製本の中紙が取れやすくなるなどの問題が発生する。
【0006】
なお、上記従来の製本装置のように、糊に希釈剤を混合して糊の粘性を一定に保つほうほうがあるが、希釈剤を収納する構成や、希釈剤を糊容器に混入させる構成などが必要となり、その分のコスト高を招いてしまうという問題がある。
【0007】
また、糊を経糸に加圧して塗布する上記従来の製本装置では、糊の粘性が少し高くなった場合でも、加圧により、比較的上記の問題の発生を回避できる。しかし、糊塗布部材を用紙束の背部に加圧して接触させるため、用紙が折れてしまい、成果物の品位が低下してしまうという別の問題が発生する。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、糊の粘性を一定に保つための構成を追加せずに、糊の粘性が高くなった場合でも適切な量の糊を塗布することを可能にした糊付け製本装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の糊付け製本装置は、用紙束の背部に糊付けを行い、該背部に表紙を接着して冊子を作成する糊付け製本装置において、用紙束の背部に沿って移動しながら、該背部に対して糊を塗布する糊塗布手段と、前記糊塗布手段の前記用紙束の背部に沿った移動速度を変更する変更手段と、前記糊塗布手段により塗布される糊の粘度を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出される粘度が所定値よりも高いときの前記塗布手段の移動速度を、前記所定値以下の時の前記塗布手段の移動速度よりも遅くなるように前記変更手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、糊の粘性を一定に保つための構成を追加せずに、糊の粘性が高くなった場合でも適切な量の糊を塗布することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施の形態に係る糊付け製本装置を含む画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【0019】
画像形成装置は、図1に示すように、画像形成装置本体10と、糊付け製本装置500と、フィニッシャなどの後処理装置400とから構成されている。画像形成装置本体10は、原稿から画像を読み取るイメージリーダ200と、読み取った画像を用紙上に形成するプリンタ350とを備えている。
【0020】
画像形成装置本体10のイメージリーダ200には、原稿給送装置100が搭載されている。原稿給送装置100は、原稿トレイ上に上向きにセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ、図1の紙面における左方向へ給紙する。そして、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上を、流し読み取り位置を経て右方向へ搬送し、その後、外部の排紙トレイ112に向けて排出する。原稿がプラテンガラス102上の流し読み取り位置を左から右へ向けて通過するときに、原稿画像が、流し読み取り位置に対応する位置に保持されたスキャナユニット104により読み取られる。この読み取りは、一般的に原稿流し読みと呼ばれる方法によって行われる。具体的には、原稿が流し読み取り位置を通過する際に、原稿の読取面がスキャナユニット104のランプ103の光で照射され、その原稿からの反射光がミラー105、106、107を介してレンズ108に導かれる。このレンズ108を通過した光は、イメージセンサ109の撮像面に結像する。
【0021】
このように、流し読み取り位置を左から右へ通過するように原稿を搬送することによって、原稿の搬送方向に対して直交する方向を主走査方向とし、搬送方向を副走査方向とする原稿読み取り走査が行われる。すなわち、原稿が流し読み取り位置を通過する際に、主走査方向に原稿画像を1ライン毎にイメージセンサ109で読み取りながら、原稿を副走査方向に搬送し、これによって、原稿画像全体の読み取りを行う。光学的に読み取られた画像は、イメージセンサ109によって画像データに変換されて出力される。イメージセンサ109から出力された画像データは、プリンタ350の露光制御部110にビデオ信号として入力される。
【0022】
なお、原稿給送装置100により原稿をプラテンガラス102上に搬送して所定位置に停止させ、この状態でスキャナユニット104を左から右へ走査させることにより原稿を読み取ることも可能である。この読み取り方法は、いわゆる原稿固定読みと呼ばれる方法である。
【0023】
原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取るときには、まず、ユーザが原稿給送装置100を持ち上げてプラテンガラス102上に原稿を載置する。そして、スキャナユニット104を左から右へ走査させることにより原稿の読み取りを行う。すなわち、原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取るときには、原稿固定読みが行われる。
【0024】
プリンタ350の露光制御部110は、イメージリーダ200から入力されたビデオ信号に基づきレーザ光を変調して出力する。該レーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111には、走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。ここで、露光制御部110は、原稿固定読み時には、正しい画像(鏡像でない画像)が形成されるようにレーザ光を出力する。この感光ドラム111上の静電潜像は、現像器113から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。
【0025】
一方、プリンタ350内に装備されている上カセット114または下カセット115からピックアップローラ127、128により給紙された用紙は、給紙ローラ129、130によりレジストローラ126まで搬送される。用紙の先端がレジストローラ126まで達したところで、レジストローラ126を任意のタイミングで駆動する。且つ、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、用紙を感光ドラム111と転写部116との間に搬送する。感光ドラム111に形成された現像剤像は、給紙された用紙上に転写部116により転写される。現像剤像が転写された用紙は、定着部117に搬送され、定着部117は、用紙を加熱及び加圧することによって現像剤像を用紙上に定着させる。定着部117を通過した用紙は、フラッパ121及び排出ローラ118を経てプリンタ350から画像形成装置本体10の外部(糊付け製本装置500)に向けて排出される。
【0026】
ここで、用紙をその画像形成面が下向きになる状態(フェイスダウン)で排出するときには、定着部117を通過した用紙を、フラッパ121の切換動作により一旦反転パス122内に導く。そして、その用紙の後端がフラッパ121を通過した後に、用紙をスイッチバックさせて排出ローラ118によりプリンタ350から排出する。この排紙形態を反転排紙と呼ぶ。この反転排紙は、原稿給送装置100を使用して読み取った画像を形成するとき、またはコンピュータから出力された画像を形成するときなどのように、先頭頁から順に画像形成するときに行われ、その排紙後の用紙順序は正しい頁順になる。
【0027】
また、手差給紙部125からOHPシートなどの硬い用紙が給紙され、この用紙に画像を形成するときには、用紙を反転パス122に導くことなく、画像形成面を上向きにした状態(フェイスアップ)で排出ローラ118により排出する。更に、用紙の両面に画像形成を行う両面記録が設定されている場合には、フラッパ121の切換動作により用紙を反転パス122に導いた後に両面搬送パス124へ搬送し、両面搬送パス124へ導かれた用紙を上述したタイミングで感光ドラム111と転写部116との間に再度給紙する制御が行われる。
【0028】
画像形成装置本体10のプリンタ350から排出された用紙は、糊付け製本装置500に送られる。
【0029】
操作表示装置600は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを備える。
【0030】
(全体システムブロック図)
次に、本画像形成装置全体の制御を司るコントローラの構成について、図2を参照して説明する。
【0031】
図2は、図1に示す画像形成装置全体の制御を司るコントローラの構成を示すブロック図である。
【0032】
コントローラは、図2に示すように、CPU回路部150を有し、CPU回路部150は、CPU(図示せず)、ROM151、RAM152を内蔵する。ROM151には制御プログラムが格納され、これをCPUが実行することにより、各ブロック101,201,202,209,304,601,501が総括的に制御される。RAM152は、制御データを一時的に保持し、またCPUの演算処理の作業領域として用いられる。
【0033】
原稿給送装置制御部101は、原稿給送装置100をCPU回路部150からの指示に基づき駆動制御する。イメージリーダ制御部201は、上述のスキャナユニット104、イメージセンサ109などに対する駆動制御を行い、イメージセンサ109から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部202に転送する。
【0034】
画像信号制御部202は、イメージセンサ109からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を行い、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部304に出力する。また、コンピュータ210から外部I/F209を介して入力されたデジタル画像信号に対して各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部304に出力する。この画像信号制御部202による処理動作は、CPU回路部150により制御される。プリンタ制御部304は、入力されたビデオ信号に基づき上述の露光制御部110を駆動する。
【0035】
製本装置制御部501は、糊付け製本装置500に搭載され、CPU回路部150と情報のやり取りを行うことによって糊付け製本装置500全体の駆動制御を行う。この制御内容については後述する。
【0036】
操作表示装置制御部601は、操作表示装置600とCPU回路部150との間で情報のやり取りを行う。操作表示装置600から出力されたキー信号が、操作表示装置制御部601を介してCPU回路部150に出力される。また、CPU回路部150からの信号が操作表示装置制御部601を介して操作表示装置600に送られ、この信号に基づき対応する情報が表示部に表示される。
【0037】
(糊付け製本装置の構成)
図3は、図1に示す糊付け製本装置500の内部構成を示す断面図である。
【0038】
糊付け製本装置500は、用紙積載部A、糊付け部B、接着部C、断裁部D、製本排出部Eから構成される。用紙積載部Aでは、製本モードとして画像形成装置から排出された記録紙を積載して用紙束を作成する。糊付け部Bでは、積載された束に対して糊付けを行う。接着部Cでは、糊付けされた積載束と表紙とを接着する。断裁部Dでは、製本端面の整合を行うため、表紙の接着後に糊付け面以外の3方向を断裁する。製本排出部Eでは、完成した製本を排出する。
【0039】
次に、一連の製本動作の流れについて説明する。なおここでは、一連の製本動作の概要の説明のみに留め、各部の詳細な説明は後述する。
【0040】
用紙積載部Aは、製本モードにおいて、画像形成装置から排出された記録紙を積載トレイ520に積載して用紙束540を作成する部位である。用紙積載部Aによって出来上がった用紙束540は、糊付け部Bに搬送され、糊容器525、糊塗布ローラ524、及び糊塗布ローラ制御モータ522によって、用紙束下側面に糊の塗布が行われる。接着部Cは、糊付けされた用紙束540を画像形成装置10から排出された表紙Pに接着し、冊子570としてトリムグリッパ512に受け渡す工程を担う。そして、冊子570はトリムグリッパ512により断裁部Dに搬送される。断裁部Dでは、カッター制御モータ527によりカッター528を水平方向へ移動させ、冊子570の断裁を行う。断裁された断裁屑は屑受け箱533の中に落下し、一連の断裁動作が終了すると、屑箱532に断裁屑が回収される。断裁部Dにおいて断裁が終了した冊子570は、断裁部Dから製本排出部Eに搬送され、冊子570が排出される。
【0041】
以上の流れが、製本モードにおける一連の製本動作である。なお、製本モードの他に、製本を行わない通常の排出モードが選択できるようになっている。
【0042】
搬送ローラ対505の下流側には、切換フラッパ521が配置されている。切換フラッパ521は、搬送ローラ対505により送られてきた用紙を用紙積載トレイ520または後処理装置400に選択的に導くためのフラッパである。
【0043】
通常の排出モード時には、画像形成装置10から排出された用紙Pが、搬送ローラ対505、510、511、513、514、及び排紙ローラ515によって後処理装置400に排出される。後処理装置400では、束としての加工、つまり、束排出処理、綴じ処理、折り処理、製本処理などの後処理を行うことができる。
【0044】
また、製本モード時にあっては、画像形成装置10から排出された用紙Pが、搬送ローラ対506、507、508、及び積載部排出ローラ509によって用紙積載トレイ520に排紙され、整合されて用紙束540となる。
【0045】
(糊付け製本装置の制御構成)
次に、糊付け製本装置500を制御する製本装置制御部501の構成ついて、図4を参照して説明する。
【0046】
図4は、糊付け製本装置500を制御する製本装置制御部501の構成を示すブロック図である。
【0047】
製本装置制御部501は、図4に示すように、CPU590、ROM591、RAM592で構成される。製本装置制御部501は、図示しない通信ICを介して、画像形成装置本体10側に設けられたCPU回路部150と通信してデータ交換を行う。そして、CPU回路部150からの指示に基づき、CPU590が、ROM591に格納されている各種プログラムを実行して糊付け製本装置500の駆動制御を行う。
【0048】
また、製本装置制御部501は、各種センサの監視や負荷の駆動を行う。積載制御部580、糊付け制御部581、接着制御部582、断裁制御部583、排紙制御部584はそれぞれ、糊付け部B、接着部C、断裁部D、製本排紙部Eの駆動を行う。
【0049】
(用紙の流れ)
次に、糊付け製本装置500における用紙および表紙の流れについて、図5?図8を参照して説明する。
【0050】
図5は、糊付け製本装置500において用紙Pが用紙積載部Aに至るまでの流れを示す図である。
【0051】
図5に示すように、糊付け製本装置500が、画像形成装置10から排出された用紙Pを搬送ローラ対505により内部に取り込み、用紙Pが搬送パス(a)へ導かれる。この用紙Pが用紙束の中紙である場合、搬送ローラ対505により内部に取り込まれた用紙Pは、切換フラッパ521により搬送パス(b)へ導かれ、搬送ローラ対506、507、508、509により搬送される。用紙Pは、搬送ローラ対509から用紙積載トレイ520へ排出される。
【0052】
用紙束の中紙となる用紙P全てが用紙積載トレイ520へ排出されると、図6に示すように、中紙が束の状態になった用紙束540が糊付けグリッパ523によりグリップされ、用紙積載部Aから糊付け部Bの上方へ移動される。図6は、糊付け製本装置500において用紙束540が用紙積載部Aから糊付け部Bの上方に至るまでの流れを示す図である。
【0053】
糊付け部Bの上方へ移動した用紙束540は、図7に示すように、糊付けグリッパ523にグリップされた状態で垂直な方向に回転され、用紙束540の背表紙となる側面が糊付け部Bと対向する位置となる。図7は、糊付け製本装置500の糊付け部Bにおいて行われる用紙束540の回転と、表紙Pcの給紙とを示す図である。
【0054】
その後、詳細は後述するが、糊容器525および糊塗布ローラ524が用紙束540に沿って移動し、これによって、用紙束540の端部に糊付けが行われる。この間に、表紙となる表紙Pcが画像形成装置10から排出され、糊付け製本装置500へ搬送される。搬送ローラ対505により内部に取り込まれた用紙Pcは、切換フラッパ521が切り換えられており、搬送パス(a)から搬送パス(c)へと導かれ、搬送ローラ対510、511、513、514により搬送される。
【0055】
搬送パス(c)には、搬送ローラ対513の下流側に、図示しないセンサが設けられており、図8に示すように、センサが表紙Pcの先端部を検知すると、その後、表紙Pcが所定距離だけ搬送された後、表紙Pcの搬送が停止される。図8は、糊付け製本装置500の糊付け部Bにおいて行われる表紙Pcの搬送を示す図である。
【0056】
表紙Pcが搬送パス(c)内で停止した時点で、表紙Pcの後端が切換フラッパ521を抜けるようになっている。そのため、連続して用紙束を作成する場合は、表紙Pcが搬送パス(c)にある間でも、切換フラッパ521が切り換えられる。そして、次の用紙束用の用紙を画像形成装置10から受け取り、該用紙を搬送パス(a)から搬送パス(b)を経由して用紙積載トレイ520へと搬送する。
【0057】
その後、糊を塗布された用紙束540に表紙Pcを接着して下流へと搬送する部分に関しては、後で詳述する。
【0058】
なお、上記の説明では、表紙Pcを画像形成装置10から搬送する例を示したが、糊付け製本装置500の上部には、図3に示すようにインサータ300が設けられており、表紙のみインサータ300から挿入することが可能となっている。これを、図9および図10を参照して説明する。
【0059】
図9は、インサータ300から糊付け製本装置500への表紙Pcの給紙と、用紙束540の糊付け部Bの上方への移動を示す図である。
【0060】
中紙となる用紙は、画像形成装置10から順次給紙され、用紙積載トレイ520で用紙束540にされ、糊付けグリッパ523により糊付け部Bの上方へ移動される。
【0061】
一方、このように用紙束540を糊付け部Bの上方へ移動している間に、インサータ300において、給紙ローラ301が、給紙トレイ310に積載された表紙の最上の1枚を取り出す。取り出された表紙Pcは、搬送ローラ対303、503、504で搬送され、切換フラッパ521により、図10に示すように、搬送パス(d)から搬送パス(c)へと導かれる。図10は、インサータ300から給紙された表紙Pcの糊付け製本装置500での搬送を示す図である。
【0062】
次に、糊付け製本装置500の各部における構成および動作を詳細に説明する。
【0063】
(糊付け製本装置の糊付け部B)
図11は、糊付け製本装置500の糊付け部Bの構成を示す図である。図12は、糊付け製本装置500の糊付け部Bにおける糊付け動作の概要を示す図である。
【0064】
糊付け部Bは、図11に示すように、用紙束540をグリップする糊付けグリッパ523、糊を貯蔵する糊容器525、用紙束540に糊を塗布する糊塗布ローラ524、および糊塗布ローラ制御モータ522から構成される。糊容器525、糊塗布ローラ524、および糊塗布ローラ制御モータ522が、糊付けユニット585を構成する。
【0065】
糊容器525に浸漬されている糊塗布ローラ524は、糊塗布ローラ制御モータ522の回転により、常に回転をしている状態にある。糊付けユニット585は、糊付けグリッパ523によって直立状態にグリップされた用紙束540の下側面長手方向に、図示しない駆動手段によって移動される。用紙束540に対する糊の塗布は、糊付けユニット585の往復動によって行う。
【0066】
図12に矢印D1で示すように、糊付けユニット585は、図3における糊付け製本装置500の背面側の初期位置から移動を開始し、図3における糊付け製本装置500の前面の所定の位置で停止する。この時、糊付けユニット585による用紙束540の下側面への糊付けは行わない。
【0067】
所定の位置で停止した糊付けユニット585は、図12に矢印D2で示すように、用紙束540の下側面に糊塗布ローラ524が当接する位置まで上昇する。図13に示すように、糊塗布ローラ524は回転しており、糊容器525内の糊Gが、糊塗布ローラ524に粘着し、糊塗布ローラ524の外周に糊の層Grを形成する。図13は、糊付けユニット585における糊付け動作を示す図である。
【0068】
この糊の層Grが用紙束540と接した状態で、糊付けユニット585が、図12に矢印D3で示すように、図3における糊付け製本装置500の前面から背面へ移動し、これによって、用紙束540の下側面に糊が塗布される。
【0069】
図14は、糊容器525の上視図であり、図15は、糊容器525の側断面図である。
【0070】
糊容器525の底部には板状のヒータ526が配置される。糊容器525は、仕切り壁519によって、糊塗布ローラ524が配置された分室525aと、糊補充用の分室525bとに分けられるとともに、仕切り壁519の一部に切り欠きが設けられる。糊容器525内には、ヒータ526により液状に溶かされた糊が入っているが、糊容器525内の糊の量が減ると、分室525bに固形の糊が補充される。この補充された固形の糊は、ヒータ526により液状に溶かされ、仕切り壁519の切り欠きを通して分室525bから分室525aへ送られる。
【0071】
図15に示すように、分室525a内の内壁には低い位置に糊温度検知サーミスタ535が配置され、高い位置に糊量検知サーミスタ536が配置される。そして、糊液面が糊量検知サーミスタ536より下降すると、糊量検知サーミスタ536が検知する温度と、糊液面より下にある糊温度検知サーミスタ535が検知する温度とに差が生じる。これを利用して糊容器525内の糊量が減ったことを検知し、ユーザに通知する。この通知を受けたユーザが、分室525bに固形の糊を補充することになる。
【0072】
また、糊容器525内の糊を液状に融解している状態に保持するために、糊の温度を所定の温度範囲に保持しておく必要があり、糊温度検知サーミスタ535が糊容器525内の糊温度を検知する。そして、該検知された温度が所定の上限温度より上昇したならば、ヒータ526の温度を下げ、所定の下限温度より低下したならば、ヒータ526の温度を上げるように糊温調制御を行う。
【0073】
ところで、糊容器525内においては、上述したように、固形の糊を液状に融解するために、また液状の糊を所定の温度範囲に保持するために、ヒータ526による加熱が行なわれる。糊が消費されず、また固形の糊の補充が行われないまま加熱を繰り返すと、糊の水分量が減り、糊の粘度が高くなる。糊の粘度が高くなると、糊塗布ローラ524の外周に形成された糊の層Grが用紙束540へ付着し難くなる。そこで、糊の塗布手法を複数用意して、糊容器525内の糊Gの粘度を検出し、検出された粘度に応じて、用紙束540に対する糊の塗布手法を選択するようにする。
【0074】
具体的には、糊付けユニット585が糊付け製本装置500の前面から背面へ移動した後に、糊付け動作のために用紙束540の下側面に上昇して停止する位置を複数用意する。すなわち、糊塗布ローラ524の外周面から用紙束540の下側面までの距離L(図13)を複数用意して、その中から、糊容器525内の糊Gの粘度に応じて距離Lを選択するようにする。例えば、距離Lとして1mmおよび2mmを用意し、糊の粘度が所定の閾値以下である場合は2mmを選択し、所定の閾値よりも大きい場合は1mmを選択する。つまり、糊の粘度が高い場合、糊塗布ローラ524と用紙束540とを接近させて、糊塗布ローラ524上の糊層Gr(図13)が用紙束540と接する量を増やすようにし、これによって、糊を用紙束540に付着しやすくする。
【0075】
なお、上記の構成では、糊容器525内の糊Gの粘度に応じて、糊塗布ローラ524の外周面から用紙束540の下側面までの距離Lを切り替えるようにしているが、これに代えて、下記のように構成してもよい。すなわち、糊付けユニット585が用紙束540の下側面に上昇して所定位置で停止し、その後、用紙束540に糊付けするために糊付け製本装置500の前面から背面へ向けて移動するが、そのときの移動速度Vを複数用意する。そして、その中から、糊容器525内の糊Gの粘度に応じて、移動速度Vを選択するようにする。例えば、移動速度Vとして300mm/sおよび200mm/sを用意し、糊の粘度が所定の閾値以下である場合は300mm/sを選択し、所定の閾値よりも大きい場合は200mm/sを選択する。つまり、糊の粘度が高い場合、糊付けユニット585の移動速度を遅くして、糊塗布ローラ524上の糊層Grが用紙束540と接する時間を増やすようにし、これによって、糊を用紙束540に付着しやすくする。
【0076】
なおまた、上記の2つの構成では、糊の粘度を所定の閾値と比較して、その結果に応じて、距離Lまたは移動速度を切り替えているが、これに代わって、糊の粘度に比例して、距離Lまたは移動速度の値を設定するようにしてもよい。
【0077】
さらには、上記の2つの構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0078】
次に、糊の粘度の判別手法について、図16および図17を参照して説明する。
【0079】
図16は、時間経過に伴う糊の粘度の変化を示す図である。ここでは、糊容器525内に固形糊を補充した時点からの経過時間に基づいて、糊の粘度を推測して糊の粘度を判別する第1の判別手法を説明する。
【0080】
上述したように、製本処理が行われずに糊の加熱が継続的に行われた場合、または、製本処理が行われたとしても糊の消費量が少なかった場合、固形糊の補充が行われずに時間が経過して、糊の粘度が高くなる。
【0081】
すなわち、前回の固形糊の補充後、今回の固形糊の補充が行われずに所定の時間T1が経過した場合、糊の粘度が所定の閾値を超えたと判断する。この判断に従って、距離Lまたは移動速度の切り替えを行う。
【0082】
その後、製本処理が行われ、糊量検知サーミスタ536および糊温度検知サーミスタ535により糊容器525内の糊量が減ったことが検知され、その結果、時間T2の経過時点で、固形糊が補充されたとする。これにより、新たに補充された糊と糊容器525内に残っていた糊とが混合されて糊の粘度が低くなり、糊の粘度が所定の閾値以下に戻ったと判断する。
【0083】
なお、時間T2の経過時点で固形糊が補充された後、製本処理が連続的に行われた場合は、糊の粘度が所定の閾値を超える前に固形糊の補充が行われる(時間T3の経過時点)ので、糊の粘度が所定の閾値以下であると判断される。
【0084】
時間T2および時間T3の経過時点である固定糊を補充した2つのタイミングでは、補充前の糊粘度が互いに異なるので、補充後の粘度に差が生じる。そのため、所定の時間T1の経過によって糊の粘度が所定の閾値を超えたと判断する第1の判別手法には、判断精度に難点がある。次に説明する第2の判別手法では、こうした判断精度の難点を克服するようにしている。
【0085】
図17は、糊の粘度を判別する第2の判別手法を採用した糊容器525の構成を示す図である。
【0086】
ここでは、4つの羽部で構成される回転部材599を糊容器525内に設け、この回転部材599をモータ(図示せず)によって一定速度で駆動する。図17(A)は、回転部材599を含む糊容器525の側断面図であり、図17(B)は、回転部材599を示す平面図である。
【0087】
モータが回転部材599を一定速度で駆動しようとした場合、糊の粘度が高くなるに従い、モータ負荷が高くなる。そこで、一定速度で駆動しようとした時のモータ駆動電流を検出して、この電流値に基づいて糊の粘度を検出するようにする。
【0088】
(糊付け製本装置の接着部C)
図18は、糊付け製本装置500の接着部Cの構成を示す側断面図である。
【0089】
接着部Cは、搬送ガイド560、561、加圧部材563、折り部材562、564から構成される。搬送ガイド560、561は、画像形成装置10から供給された表紙550を受け取って搬送し、所定の位置に停止させるためのものである。加圧部材563は、表紙550を用紙束540の糊塗布面に圧接させるためのものである。折り部材562、564は、用紙束540を表紙550でくるむ際に用いられるものである。
【0090】
次に、接着部Cの動作を、図18?図25を参照して説明する。図19?図25は、接着部Cにおいて行われる、用紙束540を表紙550でくるむ工程をそれぞれ示す図である。
【0091】
用紙束540への糊付け動作終了後、図示しない駆動手段によって、用紙束540をグリップした糊付けグリッパ523が糊付け部Bから下降してくる。そして、搬送ガイド560、561によって水平方向に用意された表紙550に対して、用紙束540の糊塗布面が接着される(図18参照)。
【0092】
接着後、糊付けグリッパ523が下降し、加圧部材563上に載置された表紙550の接着部が、用紙束540の糊塗布面に圧接されて接着される。なお、用紙束540の下降による糊塗布面の圧接を行う前に、搬送ガイド560の上部と、搬送ガイド561の上部とを退避させて用紙束540との干渉を防止する(図19参照)。
【0093】
表紙550を用紙束540に接着したのち、折り部材562、564、搬送ガイド560の下部、搬送ガイド561の下部が、図示しない駆動手段によって、加圧部材563を残して斜め上方向に上昇し、破線位置から実線位置まで移動する。この折り部材562、564の斜め上方向への上昇によって、表紙550は上方に押し上げられ、表紙550が糊塗布面の側縁部から湾曲され、用紙束540をくるむ(図20参照)。
【0094】
表紙550のくるみ処理終了後、折り部材562、564、搬送ガイド560の下部、搬送ガイド561の下部が、図示しない駆動手段によって、破線位置から実線位置まで退避する。同時に加圧部材563も、図示しない駆動手段により、水平方向に移動する。加圧部材563の水平移動によって、冊子570(用紙束540と表紙550との合体物)が糊付けグリッパ523の下降手段(図示せず)により下降することができる空間を確保する(図21参照)。
【0095】
冊子570が、糊付けグリッパ523の下降手段により、搬送ガイド560、搬送ガイド561の下方へ下降し、冊子570の下端がトリムユニット受け渡しローラ565、566に当接する位置まで下降を行う(図22参照)。
【0096】
その後、冊子570をグリップしていた糊付けグリッパ523が冊子570のグリップを解除し、同時に冊子570は、トリムユニット受け渡しローラ565、566によって下方向に搬送される(図23参照)。
【0097】
トリムユニット受け渡しローラ565、566によって、冊子570の下方への搬送が行われ、所定の位置まで搬送された後、冊子570の搬送を停止する。その後、トリムグリッパ512が、図示しない駆動手段によって冊子570をグリップする(図24参照)。
【0098】
そして、トリムグリッパ512の図示しない下降手段が、冊子570を下方に下降し、断裁部Dの位置まで冊子570を下降させる。この時、水平方向に移動していた加圧部材563が、接着部Cにおける表紙の圧接を行える位置まで移動する(図25参照)。
【0099】
(糊付け製本装置の断裁部D)
次に、糊付け製本装置500の断裁部Dの動作について、図25?図29を参照して説明する。図26?図29は、断裁部Dにおいて行われる、冊子570を整形する工程をそれぞれ示す図である。
【0100】
図25に示すように、冊子570が、トリムグリッパ512により断裁部Dに移動された後、トリムグリッパ512、カッター528、断裁屑受け箱533が連動して冊子570の各端部の断裁を行う。
【0101】
すなわち、カッター528による断裁を行う前に、断裁屑受け箱533が冊子570の下方に移動し(図26参照)、そこで、カッター528が冊子570の一辺に対する断裁を行う(図27参照)。この時、断裁屑が、冊子570の下方で待ち受けている断裁屑受け箱533に収納される。その後、カッター528は逆方向に駆動されて退避位置へ移動し、断裁屑受け箱533も退避位置へと移動する(図28参照)。
【0102】
冊子570に対する上述の断裁は、小口および天地の3辺に対して行う。すなわち、冊子570は背表紙端部を下側にして移動されるため、回転可能なトリムグリッパ512を90度回転させて冊子570の向きを90度回転させた後、冊子570の地辺の断裁を行う(図29参照)。次に、トリムグリッパ512を同一方向に90度回転させて、冊子570の小口の断裁を行う。更に、トリムグリッパ512を同一方向に90度回転させて、冊子570の天辺の断裁を行う。これにより、背表紙部端部を除いた冊子570の3辺の断裁が終了する。
【0103】
なお、断裁後の冊子570を、背表紙部を下方にして後述する製本排出部へ搬送するために、図30(E)に示すように、トリムグリッパ512により冊子570を更に90度回転させる。図30は、糊付け製本装置500の断裁部Dにおけるトリムグリッパ512による冊子570の回転の手順を示す図である。
【0104】
断裁屑受け箱533は、断裁動作を行っていない時の退避位置と断裁動作中の屑受け位置との間を移動する。断裁屑受け箱533の退避位置は、断裁屑箱532の上方に位置している。また、図31に示すように、断裁屑受け箱533の底板部は開放可能な構成になっており、退避位置に移動すると、断裁屑受け箱533の底板部が開放され、断裁屑受け箱533内の断裁屑が断裁屑箱532に収納される。図31は、糊付け製本装置500の断裁部Dにおける断裁屑受け箱533および断裁屑箱532を示す図である。
【0105】
(糊付け製本装置の製本排出部E)
図32は、糊付け製本装置500の製本排出部Eの構成を示す側断面図である。
【0106】
製本排出部Eは、トリムグリッパ512、製本排出部入り口ローラ515、製本積載板529、製本支持板530、積載安定板534、そして排出搬送ベルト531から構成される。トリムグリッパ512は、断裁部Dから製本排出部Eへの冊子570の搬送を行う。製本排出部入り口ローラ515は、冊子570の製本排出部Eへの搬送を行う。製本積載板529は、搬送された冊子570を一時的に積載する。製本支持板530および積載安定板534は、冊子570を縦方向に安定に支持するためのものである。排出搬送ベルト531は、製本支持板530を水平方向に移動させるためのものである。
【0107】
次に、製本排出部Eの動作を、図32?図35を参照して説明する。図33?図35は、製本排出部Eにおいて行われる、冊子570を排出する工程をそれぞれ示す図である。
【0108】
断裁作業終了後の冊子570は、図示しないトリムグリッパ512の下降手段によって、断裁部Dの直下にある製本排出部入り口ローラ515へ搬送される。冊子570は、製本排出部入り口ローラ515によって搬送される一方、トリムグリッパ512は、冊子570の支持を解除し、接着部Cの所定の位置へ移動する。この時、製本排出部Eでは、製本積載板529が、図32の紙面における右方向に倒れており、冊子570は、製本排出部入り口ローラ515によって製本積載板529上に積載される(図32参照)。
【0109】
その後、倒れていた製本積載板529が垂直方向に起立し、冊子570は、製本支持板530によって縦になった状態で支持される。そして、排出搬送ベルト531の下方にある積載安定板534が、図示しない上昇手段により上方に移動し、製本支持板530と積載安定板534とで冊子570を支持する(図33参照)。
【0110】
その後、製本支持板530は、排出搬送ベルト531によって、図34の紙面における左方向に移動し、次の冊子571が搬送されてきた場合の排出スペースが確保される(図34参照)。
【0111】
次の冊子571の排出スペースを確保し、該冊子571に対する上述の排出動作を行うことによって、冊子570の隣に冊子571が縦積みされる(図35参照)。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態では、糊容器525内の糊Gの粘度が所定の閾値よりも高いとき、糊塗布ローラ524の外周面から用紙束540の下側面までの距離Lを狭めるようにする。または、糊容器525内の糊Gの粘度が所定の閾値よりも高いとき、糊付けユニット585の移動速度Vを遅くする。これにより、糊の粘性を一定に保つための構成を追加せずに、糊の粘性が高くなった場合でも適切な量の糊を塗布することが可能となる。
【0113】
〔他の実施の形態〕
本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0114】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0115】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0116】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0117】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施の形態に係る糊付け製本装置を含む画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置全体の制御を司るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す糊付け製本装置の内部構成を示す断面図である。
【図4】糊付け製本装置を制御する製本装置制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】糊付け製本装置において用紙Pが用紙積載部Aに至るまでの流れを示す図である。
【図6】糊付け製本装置において用紙束が用紙積載部Aから糊付け部Bの上方に至るまでの流れを示す図である。
【図7】糊付け製本装置の糊付け部Bにおいて行われる用紙束の回転と、表紙Pcの給紙とを示す図である。
【図8】糊付け製本装置の糊付け部Bにおいて行われる表紙Pcの搬送を示す図である。
【図9】インサータから糊付け製本装置への表紙Pcの給紙と、用紙束の糊付け部Bの上方への移動を示す図である。
【図10】インサータから給紙された表紙Pcの糊付け製本装置での搬送を示す図である。
【図11】糊付け製本装置の糊付け部Bの構成を示す図である。
【図12】糊付け製本装置の糊付け部Bにおける糊付け動作の概要を示す図である。
【図13】糊付けユニットにおける糊付け動作を示す図である。
【図14】糊容器の上視図である。
【図15】糊容器の側断面図である。
【図16】時間経過に伴う糊の粘度の変化を示す図である。
【図17】糊の粘度を判別する第2の判別手法を採用した糊容器の構成を示す図である。
【図18】糊付け製本装置の接着部Cの構成を示す側断面図である。
【図19】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第1の工程を示す図である。
【図20】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第2の工程を示す図である。
【図21】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第3の工程を示す図である。
【図22】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第4の工程を示す図である。
【図23】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第5の工程を示す図である。
【図24】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第6の工程を示す図である。
【図25】接着部Cにおいて行われる、用紙束を表紙でくるむ第7の工程を示す図である。
【図26】断裁部Dにおいて行われる、冊子を整形する第1の工程を示す図である。
【図27】断裁部Dにおいて行われる、冊子を整形する第2の工程を示す図である。
【図28】断裁部Dにおいて行われる、冊子を整形する第3の工程を示す図である。
【図29】断裁部Dにおいて行われる、冊子を整形する第4の工程を示す図である。
【図30】糊付け製本装置の断裁部Dにおけるトリムグリッパによる冊子の回転の手順を示す図である。
【図31】糊付け製本装置の断裁部Dにおける断裁屑受け箱および断裁屑箱を示す図である。
【図32】糊付け製本装置の製本排出部Eの構成を示す側断面図である。
【図33】製本排出部Eにおいて行われる、冊子を排出する第1の工程を示す図である。
【図34】製本排出部Eにおいて行われる、冊子を排出する第2の工程を示す図である。
【図35】製本排出部Eにおいて行われる、冊子を排出する第3の工程を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
10 画像形成装置
100 原稿給送装置
200 イメージリーダ
300 インサータ
350 プリンタ
400 後処理装置
500 糊付け製本装置
512 トリムグリッパ
520 用紙積載トレイ
522 糊付けローラ制御モータ
523 糊付けグリッパ
524 糊塗布ローラ(糊塗布手段)
525 糊容器
527 カッター制御モータ
528 カッター
529 製本積載板
530 製本支持板
532 断裁屑箱
533 断裁屑受け箱
534 積載安定板
535 糊温度検知サーミスタ
536 糊量検知サーミスタ
581 糊付け制御部(変更手段、検出手段、制御手段)
599 回転部材(検出手段)
600 操作表示装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束の背部に糊付けを行い、該背部に表紙を接着して冊子を作成する糊付け製本装置において、
用紙束の背部に沿って移動しながら、該背部に対して糊を塗布する糊塗布手段と、
前記糊塗布手段の前記用紙束の背部に沿った移動速度を変更する変更手段と、
前記糊塗布手段により塗布される糊の粘度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出される粘度が所定値よりも高いときの前記塗布手段の移動速度を、前記所定値以下の時の前記塗布手段の移動速度よりも遅くなるように前記変更手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする糊付け製本装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記糊塗布手段により塗布される糊が蓄えられている糊容器に固形糊が補充された時点からの経過時間に基づき、前記糊の粘度を検出することを特徴とする請求項1記載の糊付け製本装置。
【請求項3】
前記糊塗布手段により塗布される糊が蓄えられる糊容器と、
前記糊容器に蓄えられている糊を攪拌するための攪拌手段と、
前記攪拌手段を駆動するための駆動モータと、
前記駆動モータの負荷電流値を検出する電流検出手段と、
を有し、前記検出手段は、前記電流検出手段によって検出された負荷電流値に基づいて前記糊の粘度を検出することを特徴とする請求項1記載の糊付け製本装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-11-29 
出願番号 特願2006-318657(P2006-318657)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (B42C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 草野 顕子  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 長島 和子
鈴木 秀幹
登録日 2012-03-16 
登録番号 特許第4950636号(P4950636)
発明の名称 糊付け製本装置  
代理人 別役 重尚  
代理人 別役 重尚  

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