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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L
管理番号 1268641
審判番号 不服2009-8879  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-23 
確定日 2013-01-10 
事件の表示 特願2008-535208「ポリマー組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月11日国際公開、WO2008/149505〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯


本願は、平成20年5月26日(優先権主張 平成19年5月31日 平成20年1月15日、共に日本国)を国際出願日とする特許出願であって、平成20年12月12日付けで拒絶理由が通知され、平成21年2月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月23日に拒絶査定不服審判が請求され、同年5月19日に手続補正書及び審判請求書の手続補正書(方式)が提出され、同年6月12日付けで前置報告がなされ、当審において、平成23年8月9日付けで審尋がなされ、同年10月24日に回答書が提出され、当審において平成24年2月3日付けで拒絶理由が通知され、同年4月6日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月17日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2.平成24年10月22日提出の手続補正についての補正の却下の決定

〔結論〕
平成24年10月22日提出の手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正の内容

平成24年10月22日提出の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成24年4月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の、


【請求項1】
熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン/ポリスチレン-ブロックコポリマー(SEPS)であり、
前記有機化合物はトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、およびトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートの中から選ばれた少なくとも1種であり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。
【請求項2】
熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン-ブロックコポリマー(SEP)であり、
前記有機化合物はアリルチオイソシアネートであり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。
【請求項3】
熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン/ポリスチレン-ブロックコポリマー(SEPS)であり、
前記有機化合物はポリシロキサンであり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーYの含有率は、0.5w%以上20w%以下である、請求項1から3のいずれか一つに記載されているポリマー組成物。
【請求項5】
形状が繊維形状である、請求項1から4のいずれか一つに記載されているポリマー組成物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一つに記載されているポリマー組成物を原料にして、押し出し成型、ブロー成型、回転成型または射出成型により形成された、ポリマー成型品。
【請求項7】
請求項1から4または6のいずれか一つに記載されているポリマー組成物を含有する塗料またはインキ。」

との記載を、


【請求項1】
熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン-ブロックコポリマー(SEP)であり、
前記有機化合物はアリルチオイソシアネートであり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。
【請求項2】
熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン/ポリスチレン-ブロックコポリマー(SEPS)であり、
前記有機化合物はポリジメチルシロキサンであり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーYの含有率は、0.5w%以上20w%以下である、請求項1または2に記載されているポリマー組成物。
【請求項4】
形状が繊維形状である、請求項1から3のいずれか一つに記載されているポリマー組成物。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一つに記載されているポリマー組成物を原料にして、押し出し成型、ブロー成型、回転成型または射出成型により形成された、ポリマー成型品。
【請求項6】
請求項1から3または5のいずれか一つに記載されているポリマー組成物を含有する塗料またはインキ。」

とする補正を含むものである。

2.本件補正の目的について

上記特許請求の範囲に係る補正は、本件補正前の請求項1を削除するとともに、本件補正前の請求項3における「ポリシロキサン」を「ポリジメチルシロキサン」と限定して本件補正後の請求項2とするものであり、本件補正の前と後とで産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではないことから、本件補正後の請求項2についてする上記補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件について

そこで、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は以下のとおりのものである。

熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン/ポリスチレン-ブロックコポリマー(SEPS)であり、
前記有機化合物はポリジメチルシロキサンであり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。

(2)刊行物の記載事項
平成24年8月17日付け拒絶理由通知において引用された、本願の優先日前の平成9年10月28日に公開された特開平9-278955号公報(以下、「刊行物B」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。

B1「
(A)スリットダイ法により温度170℃で測定される剪断速度10^(1 )sec^(-1)における溶融粘度(η_(1 ))と剪断速度10^(2) sec^(-1)における溶融粘度(η_(2 ))との比(η_(1 )/η_(2 ))が3.5?8であるプロピレン-α-オレフィン共重合体 100重量部、
(B)ゴム状重合体 5?100重量部、
(C)鉱物油系軟化剤、フタル酸エステル系可塑剤およびシリコーンオイルからなる群から選ばれた少なくとも1種の可塑剤 1?40重量部ならびに
(D)有機過酸化物 0.005?0.5重量部からなる混合物を動的に熱処理して得られ、かつ、下記(a)?(e)からなる性状を有するプロピレン樹脂組成物。
(a)メルトフローレート 2?50g/10分
(b)主吸熱ピーク温度 130?150℃
(c)主発熱ピーク温度 80?100℃
(d)主発熱ピークの半値幅 5.0℃以上
」(特許請求の範囲 請求項1)

B2「
【発明の実施の形態】 本発明における(A)プロピレン-α-オレフィン共重合体(以下「BPP」という)・・・」(段落0007)

B3「
本発明における(B)ゴム状重合体は、特に制限されるものはなく、例えば、天然ゴム(NR);ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソブテン-イソプレンゴム(IIR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン共重合ゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、プロピレン-ブテンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどの合成ゴム;スチレン/イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン/イソプレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン/ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)などのスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
さらに、低分子量ゴムであるポリブテン、アータクチックポリプロピレン(APP);液状BR、液状IR、液状CRなどの液状ゴム、さらには、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン-プロピレン共重合体ゴムなどの塩素化ポリオレフィン;クロロスルホン化ポリエチレンなども含まれる。これらの中でも、EPR、EPDM、水添SBR、SEPSなどが好適に用いられる。これらは1種でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、BPP100重量部に対する(B)成分の配合割合は5?100重量部であり、10?90重量部が好ましく、とりわけ15?85重量部が好適である。(B)成分の配合割合が5重量部未満では柔軟性に乏しい。一方、100重量部を超えると機械的強度が低下するので好ましくない。 」(段落0020?段落0022)

B4「
また、シリコーンオイルは、直鎖状ジオルガノポリシロキサンを主体とする流動性油状物質であり、作動油、離型剤、消泡剤、塗料・化粧品などの添加剤として利用されているものである。具体例としては、ジメチルポリシロキサン、モノメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アルキル高級アルコール変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、クロロアルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。これらの中でもジメチルポリシロキサン、モノメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。これらのシリコーンオイルは1種でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、BPP100重量部に対する(C)成分の配合割合は合計量として1?40重量部であり、2?35重量部が好ましく、とりわけ3?30重量部が好適である。(C)成分の組成割合が1重量部未満では柔軟性およびプレス成形性に劣る。一方、40重量部を超えるとブリードアウトの原因となるので好ましくない。」(段落0025?段落0026)

(3)刊行物Bに記載された発明
摘示B1から、刊行物Bには以下の発明(以下「刊行物B発明」という。)が記載されているといえる。

(A)スリットダイ法により温度170℃で測定される剪断速度10^(1 )sec^(-1)における溶融粘度(η_(1 ))と剪断速度10^(2) sec^(-1)における溶融粘度(η_(2 ))との比(η_(1 )/η_(2 ))が3.5?8であるプロピレン-α-オレフィン共重合体 100重量部、
(B)ゴム状重合体 5?100重量部、
(C)鉱物油系軟化剤、フタル酸エステル系可塑剤およびシリコーンオイルからなる群から選ばれた少なくとも1種の可塑剤 1?40重量部ならびに
(D)有機過酸化物 0.005?0.5重量部からなる混合物を動的に熱処理して得られ、かつ、下記(a)?(e)からなる性状を有するプロピレン樹脂組成物。
(a)メルトフローレート 2?50g/10分
(b)主吸熱ピーク温度 130?150℃
(c)主発熱ピーク温度 80?100℃
(d)主発熱ピークの半値幅 5.0℃以上

(4)本件補正発明について
(4)-1.対比
本件補正発明と刊行物B発明とを対比する。

刊行物Bに、「BPP100重量部に対する(B)成分の配合割合は5?100重量部であり」(摘示B3参照。)、「BPP100重量部に対する(C)成分の配合割合は合計量として1?40重量部であり」(摘示B4参照。)との記載があることからすると、(A)成分が樹脂組成物中のマトリックス成分であることは明らかであり、刊行物B発明における「(A)成分」は、本件補正発明における「熱可塑性であるマトリックスポリマーX」に相当する。

また、「BPP100重量部に対する(B)成分の配合割合は5?100重量部であり」(摘示B3参照。)との記載から、刊行物B発明は、本件補正発明における「マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーY」との規定を満たしているといえる。

また、「シリコーンオイルは、直鎖状ジオルガノポリシロキサンを主体とする流動性油状物質」(摘示B4参照。)であるとの記載から、刊行物B発明における(C)成分は、「マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zを含有し」との規定を満たしているといえる。

刊行物B発明における「(A)プロピレン-α-オレフィン共重合体」は、本件補正発明における「ポリオレフィン」に相当する。

刊行物Bには、ゴム状重合体として「スチレン-エチレン/イソプレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)」などを好適に用いることが記載(摘示B3参照。)されているところ、上記SEPSは、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)中のイソプレン部分が水添されることにより、エチレン-プロピレン構造と同視できることから、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体のことであると認められる(例えば、「プラスチック・機能性高分子材料事典」2004年2月20日 411頁?416頁を参照のこと。)から、刊行物B発明の「ゴム状重合体」は、本件補正発明の「ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン/ポリスチレン-ブロックコポリマー(SEPS)」に相当する。

刊行物Bには、シリコーンオイルとして「ジメチルポリシロキサン」などを好適に用いることが記載(摘示B4参照。)されているとともに、刊行物Bの実施例には、「OL3:ジメチルポリシロキサン」が用いられていることもからも、刊行物B発明の「シリコーンオイル」は、本件補正発明の「ポリジメチルシロキサン」に相当する。

上記のとおり、刊行物B発明における(A)プロピレン-α-オレフィン共重合体、(B)ゴム状重合体、(C)ジメチルポリシロキサンと本件補正発明におけるX、Y、Z成分との間に差異はないことからすると、刊行物B発明は、本件補正発明における「前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し」及び「添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている」の規定を満たしているといえる。

(4)-2まとめ
よって、本件補正発明は、刊行物Bに記載された発明である。

(5)請求人の主張についての検討
平成24年10月22日提出の意見書において、
A.本件補正発明における「SEPS」と刊行物Bに記載の「SEPS」とは異なる旨、
B.刊行物Bに記載のシリコーンオイルは可塑剤として記載されていることから、シリコーンオイルはゴム状重合体の高分子鎖間に入り込むため、これら両者は相分離しない旨、
の主張をし、本件補正発明と刊行物B発明とは相違すると主張をしている。

(A.について)上記(4)-1.対比 に記載のとおり、両者は文言上の差異があるのみで、物として差異はないことからすると、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。
(B.について)上記(4)-1.対比 に記載のとおり、本件補正発明におけるX、Y、Z各成分と刊行物B発明における(A)(B)(C)各成分との間に差異はないことからすると、両者が同じ物であれば同様の状態を示すと認められる。そうすると、本件補正発明におけるジメチルシリコーンとブロックコポリマーとは相分離し、刊行物B発明におけるジメチルシリコーンとブロックコポリマーとは相分離しないとする、請求人の主張は採用できない。

(6)まとめ
よって、本件補正発明は、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物Bに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。


第3.本願発明について


1.本願発明

平成24年10月22日提出の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成24年4月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「熱可塑性であるマトリックスポリマーXと、該マトリックスポリマーX中に分散するブロックコポリマーYと、該マトリックスポリマーXの融点において液体である有機化合物または該有機化合物の溶液を含む添加物Zとを含有し、
前記マトリックスポリマーX、前記ブロックコポリマーY、及び前記有機化合物のうちの任意の2つは相分離し、
前記マトリックスポリマーXはポリオレフィンであり、
前記ブロックコポリマーYは、ポリスチレン/ポリエチレン・ポリプロピレン/ポリスチレン-ブロックコポリマー(SEPS)であり、
前記有機化合物はポリシロキサンであり、
前記添加物Zは前記マトリックスポリマーX中に均一に分散されている、ポリマー組成物。」

2.平成24年8月17日付け拒絶理由の概要

平成24年8月17日付け拒絶の理由とされた理由1の概要は、

「本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物Bに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」

というものである。

3.当審の判断

(1)刊行物Bについて
刊行物Bには、前記第2.3(2)に記載した事項が記載されている。
(2)刊行物B発明について
刊行物Bには、前記第2.3(3)に記載した刊行物B発明が記載されている。

(3)対比・判断
本願発明は、本件補正発明における「ポリジメチルシロキサン」を「ポリシロキサン」へと拡張するものである。

そうすると、本願発明をさらに限定した本件補正発明が前記第2.3に記載したとおり、刊行物Bに記載された発明であるから、本願発明もまた刊行物Bに記載された発明である。


第4.むすび

以上のとおり、本願発明についての原査定の理由は妥当なものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願はこの理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-08 
結審通知日 2012-11-13 
審決日 2012-11-27 
出願番号 特願2008-535208(P2008-535208)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (C08L)
P 1 8・ 536- WZ (C08L)
P 1 8・ 121- WZ (C08L)
P 1 8・ 537- WZ (C08L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 陽子  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 加賀 直人
小野寺 務
発明の名称 ポリマー組成物  
代理人 竹内 宏  
代理人 竹内 宏  
代理人 竹内 祐二  
代理人 杉浦 靖也  
代理人 前田 弘  
代理人 今江 克実  
代理人 原田 智雄  
代理人 嶋田 高久  
代理人 竹内 祐二  
代理人 関 啓  
代理人 二宮 克也  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
代理人 原田 智雄  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
代理人 関 啓  
代理人 今江 克実  
代理人 杉浦 靖也  
代理人 嶋田 高久  
代理人 二宮 克也  
代理人 前田 弘  

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