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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1268650 |
審判番号 | 不服2011-5796 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-03-15 |
確定日 | 2013-01-10 |
事件の表示 | 特願2005- 49581「給食管理装置および給食管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 7日出願公開、特開2006-235997〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成17年2月24日の出願であって,平成22年6月24日付け拒絶理由通知に対して,平成22年8月9日に意見書の提出とともに手続補正がなされ,平成22年12月15日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年3月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,特許請求の範囲についての補正がなされ,平成24年5月15日付けで,平成23年5月19日付けの前置報告を引用した当審の審尋がなされたものである。(なお,当審の審尋に対する回答はなかった。) 2.平成23年3月15日付の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願の発明 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,以下のとおり補正された。 「各献立の品の献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータを含む献立データを記憶する献立データ記憶手段と, 各食の献立の構成を各献立の品の献立コードにより入力する献立入力表示手段であり,1日分の各食の献立構成のすべてを並べて表示する献立入力表示手段と, 前記献立入力表示手段により入力された各食の献立を構成する各献立の品の献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータを前記献立データ記憶手段から取得して仮想トレー上に配列したイメージデータを作成する仮想トレーイメージ作成手段と, 同仮想トレーイメージ作成手段により作成されたイメージデータを表示するトレーイメージ表示手段と を有する給食管理装置。」 上記補正は,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「献立に関連付けられた」について「献立の品の献立コードに関連付けられた」と限定するとともに,同じく「入力および表示する献立入力表示手段」について「各献立の品の献立コードにより入力する献立入力表示手段」と限定するものであって,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,単に「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用文献 (2-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-157338号公報(以下「引用文献1」という。)には,「献立データ作成装置」に関し,図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,献立作成に関し,詳しくは,作成した献立に含まれる食品の盛り付けた状態をビジュアル化して,所望の献立を容易に作成することができるとともに,該食品に関するデータを処理して出力できるようにして,献立の作成から運用までの一連の作業性を向上させることができるものに関する。」 (イ)「【0003】……,病院食などのように病状に応じて栄養価を考慮した献立を……」 (ウ)「【0006】そこで,本発明は,作成した献立に含まれる食品の盛り付けた状態をビジュアル化することにより,所望の献立を作成することを容易化して,献立作成の作業性の向上を図ることを目的とする。」 (エ)「【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的達成のため,請求項1に記載の発明は,予め食品に関するデータを蓄積しておき,該食品を選択して献立データを作成する献立データ作成装置であって,映像データ,栄養素データ,および,食品識別データを含む食品データを食品毎に蓄積する蓄積手段と,献立に加える食品を蓄積手段に蓄積された食品データから任意に選択する選択手段と,選択された任意の食品の組み合わせからなる献立全体の栄養データを各食品の栄養素データに基づき演算する演算手段と,選択された食品の映像データを表示する表示手段とを備え,選択された任意の食品の組み合わせからなる献立の献立データを各食品の食品識別データに基づき作成することを特徴とするものである。 【0008】請求項1に記載の発明では,選択された任意の食品の組み合わせからなる献立が,食品の盛り付け状態をビジュアルで確認しつつ作成できると共に,その献立全体の栄養データを演算させることができる。したがって,盛り付けた状態の見栄えを良くしつつ,献立の作成者が栄養価等の目標を容易に達成することができる。」 (オ)「【0015】HD23は,献立を作成する際に食品(容器を含む)を選択することによりその食品についての映像データや数値データなどの食品・容器データを読出可能に蓄積しており,システム制御部21は,キーボード13やマウス14による入力操作に従って,図6に示すような映像データをHD23から読み出してCRT12の表示画面12aに表示するとともに,HD23から読み出して作成した数値データなどのテーブル(一覧表)をRAM22内に作成してCRT12の表示画面12aに表示することにより,選択可能な容器や食品についての詳細なデータを参照できるようにする一方,作成した献立データは,再度利用できるようにHD23内に格納して登録する。例えば,システム制御部21は,図4に示すように,選択可能に準備された食品についての食品テーブルや,図5に示すように,仕出し弁当などに使用する容器のコード番号およびその原価などの数値データについての容器テーブルなどをCRT12の表示画面12aに表示して容易に選択できるようにする。」 (カ)「【0016】また,HD23に準備されている数値データとしては,CRT12に表示した食品テーブルからマウス14によりクリックなどして選択することによって,または,容器名などの名称やそのコード番号等の識別データをキーボード13から入力することによって読み出すことができるように,例えば,食品を調理するために揃える必要のある食材の名称,食材の使用量,食材を注文する注文先,食材の単位量に含まれる栄養素(カロリーなど),食材の単位量に対する原価などの詳細なデータが蓄積されている。このHD23に蓄積されているデータは,容器や食品や食材の名称毎にコード番号が,例えば,図5に示す容器テーブルのように対応付けされて蓄積管理されており,数値データや映像データは容器や食品や食材などが選択されることにより,そのコード番号に基づいてそのHD23内から読み出すようになっている。なお,これら容器や食品のデータは,デジタルカメラ16で撮影して映像データとするとともにキーボード13などから数値データを入力することにより予め登録しておいたり削除することもでき,献立の作成時に登録することもできる。」 (キ)「【0018】ここで,システム制御部21は,献立の作成時(修正時などを含む)には,図3に示すような操作画面をCRT12の表示画面12aに表示するようになっており,表示画面12a中には,映像データや数値データを処理した結果を表示する表示領域31と,作成中の献立に含まれる食品および容器やその詳細なデータにより作成した一覧表を表示する表示領域32と,採用するか否か検討中の食品などのデータを表示する表示領域33と,作成中の献立に関するデータを入力したり表示する表示入力欄34と,各種処理命令を選択入力する命令ボタン35とを表示する。 【0019】なお、表示入力欄34や命令ボタン35は、これに限る必要はないが、本実施形態では、表示入力欄34として、中弁当など作成する献立の種別を表示する欄34aと、弁当などの食数(数量)を入力して表示する欄34bと、その1食に掛かる原価を表示する欄34cとが準備されており、命令ボタン35としては、弁当やオードブルなどの新規の献立作成を選択したり既に作成済みの献立名を読み出し表示させる献立選択ボタン35aと、表示画面12aに表示するデータの切換を行なう表示切換ボタン35bと、献立に含ませる食品を選択する食品選択ボタン35cと、表示画面12aの一部や全部あるいは後述する帳票などの書類を印刷する印刷ボタン35dと、食品毎の詳細データを演算処理した栄養バランス等のチャートやグラフなどを表示する図形表示ボタン35eと、作成した献立の登録を行なう登録ボタン35fと、が準備されている。」 (ク)「【0025】次いで,食品選択ボタン35cが選択されると,図4に示す食品テーブルを表示領域32に重ねて表示し,その中から献立に採用する候補の食品が選択されると(ステップP4),その食品のコード番号と名称を表示領域33に表示するとともに映像データをそのコード番号に基づいてHD23から読み出して仮表示領域31aに表示し(ステップP5),その食品を簡易テーブルに格納するとともに献立表内に表示する(ステップP6,P7)。したがって,必要に応じて食品などに関する詳細なデータを読み出すことのできるコード番号が格納されるので,食品などの詳細なデータをその都度,献立データとして記憶する必要がなく,必要に応じてそのコード番号により読み出して参照することができる。 【0026】(途中略) 【0027】次いで,仮表示領域31aに表示された映像自体がクリックされ映像の移動が指示されると(ステップP11),再度クリックされた位置に仮表示領域31aに表示する映像データを移動させて表示することができ,このときには食品の周囲は他の食品や容器の映像を表示する透過処理を行ない(ステップP12),その表示位置を簡易テーブル内に格納する(ステップP13)。したがって,容器中の任意の位置に食品を表示することができ,このときに食品を撮影したときの背景など余分な映像により容器や他の食品を隠してしまうことがなく,選択した食品を実際の盛り付けに近い状態でビジュアル化して確認することができる。なお,映像の表示位置を再度移動させるために映像自体が再度クリックされたときには同様な処理を行なうことができ(ステップP11?P13),簡易テーブル内に既に格納した表示位置を更新する。また,ステップP11において,映像自体がクリックされずに他の選択が行なわれたとき,例えば,登録ボタン35fがクリックされたときには表示位置の移動は行なわないとしてステップP14に進む。」 上記摘記事項(ア)?(ク)及び図示内容を総合すると,引用文献1には,次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「エビフライ,ステーキ等の各食品の食品コードに対応する食品の映像データを含む食品データを蓄積手段であるHD23に蓄積し, 中弁当等の選択された献立の構成を表示される各食品名により選択入力し,中弁当等の選択された献立のすべてを並べて表示するCRT12の表示手段12aと, 表示手段12aにより選択入力された中弁当等の食品を構成する各食品コードに対応する食品の映像データを蓄積手段であるHDから取得して仮表示領域31の小型弁当箱等の容器上に配列した,食品の盛り付け状態をビジュアルで確認できるデータを作成し, 作成されたデータを仮表示領域に表示する, 献立データ作成装置。」 (2-2)同じく原査定の査定時に周知例として引用された特開2001-357138号公報(以下「引用文献2」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。 (ケ)「【0003】例えば,糖尿病を治療するための食事療法においては,食事に含まれる総カロリーが一定値以下に抑制されるとともに,食事に組込まれる食品がその抑制された総カロリー内において特定の食品群に偏らずに分布される必要がある。この食品群として,周知のように,「糖尿病食事療法のための食品交換表」において表1から表6の6つの表と一つの付録とが定義されている。表1は穀類やいも類を示し,表2は果物を示し,表3は魚介,肉,卵,大豆製品を示し,表4は牛乳を示し,表5は油脂を示し,表6は野菜を示す。また,付録は調味料を示す。そして,各表毎のカロリーの必要量を患者毎に一覧表に表したものを食品交換表と称し,この食品交換表に基づいて糖尿病を治療するための食事療法が行われることになる。なお,糖尿病食品交換表によると糖尿病の患者の体内で80キロカロリーのエネルギーを食品の量の単位としており,例えば,医師から一日のエネルギー量が1600キロカロリーと指示された場合には, 1600÷80=20 のように,1日の合計単位数が20単位数になる。 【0004】そして,病院の栄養士等は,この単位数に基づき,食品毎に該当食品が表1から表6までのどの表に所属するかと,前述した1単位に対応する重量を示す単位重量とが記載された一覧表を参照し,食事に使用する食品及びその量(重量)を選択して献立を決定することになる。」 (コ)「【0024】献立ファイルF2には,献立メニューデータD1(図3参照)が記憶されている。この献立メニューデータD1は,図3に示すように,献立番号a毎に,栄養士により作成された三食分(朝食,昼食,夕食)の献立メニューである献立名b,材料ファイル番号c,レシピファイル番号d,イメージファイル番号e,その献立のカロリーf等の属性が付加されたデータ構成になっている。そして,材料ファイルF3には,三食分の献立に使用する材料や分量で構成される材料データが記憶されており,……」 (サ)「【0044】このようにして献立メニューが決定されると,制御プログラムは,制御部8に対して献立確認処理を実行させる。ここで,図12は利用者側のクライアント4aにおける献立確認処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図12に示すように,制御部8は,前述した献立作成処理において決定された献立メニューを利用者に確認させるための献立確認画面D(図13参照)をクライアント4aの表示部5に表示する(ステップS21)。ここに,献立メニュー送信手段の機能が実行される。 【0045】図13に示すように,献立確認画面Dには,選択された献立番号aに基づいて献立ファイルF2を検索して得た献立メニューデータD1より取得された三食分(朝食,昼食,夕食)の献立名b,カロリーf等が表示される。また,献立メニューデータD1より取得されたイメージファイル番号eに基づいてイメージファイルF5を検索することにより得られる三食分の献立メニューのイメージデータpも表示される。なお,献立メニューデータD1より取得された材料ファイル番号cとレシピファイル番号dとに基づいて材料ファイルF3とレシピファイルF4とを検索することにより,材料データq(図14参照)とレシピデータr(図14参照)とが得られるが,これら材料データqとレシピデータrとは,献立確認画面Dに設けられるボタン15をマウス7の操作によってクリックすることで図14に示すような別画面Eにそれぞれ表示される。」 (3)対比 以下,本願補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の,「エビフライ,ステーキ等の各食品」,「食品コード」,「食品コードに対応する食品の映像データ」は,それぞれ本願補正発明の,「献立」,「献立の品の献立コード」,「献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータ」に相当する。 してみると,引用発明の,「エビフライ,ステーキ等の各食品の食品コードに対応する食品の映像データを含む食品データ」を蓄積する「蓄積手段であるHD23」は,本願補正発明の,「各献立の品の献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータを含む献立データを記憶する献立データ記憶手段」に相当する。 (イ)引用発明の,「中弁当等の選択された献立の構成を,表示される各食品名により選択入力し,中弁当等の選択された献立のすべてを並べて表示するCRT12の表示手段12a」は,後記する点で相違するものの,本願補正発明とは,「各食の献立の構成を各献立の品により入力する献立入力表示手段であり,献立構成を並べて表示する献立入力表示手段」である点で共通する。 (ウ)引用発明の,「表示手段12aにより選択入力された中弁当等の食品を構成する各食品コードに対応する食品の映像データを蓄積手段であるHDから取得して仮表示領域31の小型弁当箱等の容器上に配列した,食品の盛り付け状態をビジュアルで確認できるデータ」は,本願補正発明の,「献立入力表示手段により入力された各食の献立を構成する各献立の品の献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータを献立データ記憶手段から取得して仮想トレー上に配列したイメージデータ」に相当し,引用発明が,このデータを作成することは,本願補正発明の,「イメージデータを作成する仮想トレーイメージ作成手段」に相当する。 (エ)引用発明の,この「作成されたデータ」を表示する「仮表示領域」は,本願補正発明の,「同仮想トレーイメージ作成手段により作成されたイメージデータを表示するトレーイメージ表示手段」に相当する。 (オ)したがって,引用発明の「作成されたデータ」を表示する「仮表示領域」は,本願補正発明の,「同仮想トレーイメージ作成手段により作成されたイメージデータを表示するトレーイメージ表示手段」に相当する。 (カ)そして,引用発明の「献立データ作成装置」と,本願補正発明の「給食管理装置」とは,「栄養を管理しつつ献立を管理する装置」との概念に包摂される。 したがって両者は, [一致点] 「各献立の品の献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータを含む献立データを記憶する献立データ記憶手段と, 各食の献立の構成を各献立の品により入力する献立入力表示手段であり,献立構成を並べて表示する献立入力表示手段と, 献立入力表示手段により入力された各食の献立を構成する各献立の品の献立コードに関連付けられた調理後のイメージデータを献立データ記憶手段から取得して仮想トレー上に配列したイメージデータを作成する仮想トレーイメージ作成手段と, 同仮想トレーイメージ作成手段により作成されたイメージデータを表示するトレーイメージ表示手段と, を有する栄養を管理しつつ献立を管理する装置。」 である点で一致し,以下の点で相違している。 [相違点1] 献立の品を入力する際,本願補正発明は,「献立コードにより入力」するのに対して,引用発明は,「表示される各食品名により選択入力」する点。 [相違点2] 本願補正発明は,「1日分の各食の献立構成のすべてを並べて表示」するのに対して,引用発明は,「選択された献立のすべてを並べて表示」するにとどまる点。 [相違点3] 本願補正発明は,「給食管理装置」であるのに対して,引用発明は,栄養を管理しつつ献立を管理する装置ではあるものの,弁当等の「献立データ作成装置」である点。 (4)判断 [相違点1]について 献立を献立コードにより入力することは周知の技術的事項である(例えば,当審の審尋で引用した,「FACOM OS IV HOPE III 給食管理システム解説書,日本,富士通株式会社,1983年12月,第1版 13ページ」には,「献立に使用する料理を6桁のコードで入力」と記載されている。)。 してみると,引用発明に上記の周知の技術的事項を適用することにより,献立の品を入力する際,「献立コードにより入力」するよう構成し,もって相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものと認められる。 [相違点2]について 引用文献1は,献立の作成者が栄養のバランスを勘案し,栄養価等の目標を達成するもの(【0043】,【0044】)であって,従来技術に関する摘記事項(ウ)には「病院食などのように病状に応じて栄養価を考慮した献立」に関する記載があることから,病院食の献立作成の課題をも解決しようとするものである。 病院食では,例えば糖尿病食では1日のカロリーを制限する等,1食単位にとどまらない献立の構成が考慮されるべきことが知られており,引用発明においても,1食単位にとどまらない1日分の料理の全体を総合して検討すべきであることが自然と理解される。 ここで,例えば引用文献2には,このような観点から,「図13に示すように,献立確認画面Dには,選択された献立番号aに基づいて献立ファイルF2を検索して得た献立メニューデータD1より取得された三食分(朝食,昼食,夕食)の献立名b,カロリーf等が表示される。また,献立メニューデータD1より取得されたイメージファイル番号eに基づいてイメージファイルF5を検索することにより得られる三食分の献立メニューのイメージデータpも表示される。」との事項,つまり「1日の三食分の献立を表示する」との事項が記載されており(以下「引用文献2記載事項」という。),1日分の各食の献立構成を並べて表示することは当業者が適宜なしうる設計的事項であったものと認められる。 してみると,引用発明においても,「1日分の各食の献立構成のすべてを並べて表示」するよう構成し,もって相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものと認められる。 [相違点3]について 上記相違点2で指摘したとおり,引用文献1は病院食の献立作成の課題をも解決しようとするものであることから,「栄養を管理しつつ献立を管理する装置」として,本願補正発明のごとく「給食管理装置」の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。 以上のとおりであることから,相違点1?3に係る本願補正発明の構成は,引用発明,引用文献2記載事項,及び周知の技術的事項から当業者が容易に想到することができたものである。 また,本願補正発明の全体構成により奏される作用効果は,引用発明,引用文献2記載事項及び周知の技術的技術から予測し得る範囲のものである。 したがって,本願補正発明は,引用発明,引用文献2記載事項及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび したがって,本願補正発明に係る補正事項を含む本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成22年8月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。 「各献立に関連付けられた調理後のイメージデータを含む献立データを記憶する献立データ記憶手段と, 各食の献立の構成を入力および表示する献立入力表示手段であり,1日分の各食の献立構成のすべてを並べて表示する献立入力表示手段と, 前記献立入力表示手段により入力された各食の献立を構成する各献立に関連付けられた調理後のイメージデータを前記献立データ記憶手段から取得して仮想トレー上に配列したイメージデータを作成する仮想トレーイメージ作成手段と, 同仮想トレーイメージ作成手段により作成されたイメージデータを表示するトレーイメージ表示手段と を有する給食管理装置。」 (1)引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は,前記「2.(2)」の「(2-1),(2-2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は,前記「2.」で検討した本願補正発明から「献立の品の献立コード」との事項に係る点を省いたものである。 そうすると,本願発明と引用発明とを対比した際の相違点は,前記「2.(3)」で挙げた相違点のうち,[相違点2]及び[相違点3]のみとなる。 したがって,前記「2.(4)」での検討内容を踏まえれば,本願発明は,引用発明,および引用文献2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明,および引用文献2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-11-07 |
結審通知日 | 2012-11-13 |
審決日 | 2012-11-28 |
出願番号 | 特願2005-49581(P2005-49581) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 相澤 聡、松野 広一 |
特許庁審判長 |
清田 健一 |
特許庁審判官 |
金子 幸一 須田 勝巳 |
発明の名称 | 給食管理装置および給食管理プログラム |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 久保山 隆 |