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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1268702
審判番号 不服2010-13114  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-16 
確定日 2013-01-07 
事件の表示 特願2004-565078「薬物治療管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日国際公開、WO2004/061745、平成18年 4月13日国内公表、特表2006-512673〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成15年11月21日(優先権主張外国庁受理 2002年12月27日 米国)を国際出願日とする特許出願であって,平成21年7月22日付けの拒絶理由通知に対して,平成21年12月3日に意見書の提出とともに手続補正がなされ,平成22年2月9日付けで拒絶査定され,これに対し,平成22年6月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成23年11月29日付けで平成22年10月7日付けの前置報告書を援用した審尋がなされ,平成24年6月4日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成22年6月16日の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成22年6月16日の手続補正を却下する。

[理由]

2-1.補正の内容について
平成22年6月16日の手続補正(以下「本件補正」という。)により,請求項1?23に係る発明は以下のとおり補正された。
(下線は,補正の個所を示すものとして当審が付したものである。)

《本件補正後》

「 【請求項1】
医薬投与エラーの可能性を減少させるために注入ポンプとともに使用するシステムであって,前記注入ポンプはポンピング・パラメータによりプログラムされることができ,前記システムは,
ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力を受付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,前記注入ポンプから離れた第1コンピュータと,
注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは該注入ポンプに設けられたマイクロプロセッサ上で第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている:
前記第1プログラムにより発生されたデータベースを受信して;
オペレータにより注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータを前記データベースと比較し;
前記比較結果を監視して,もし前記比較結果が前記データベース内に設立された前記リミットを超えるならば,前記プログラムされたポンピング・パラメータが前記データベース内のリミットの外側にあることのポンプのオペレータへの指示を,供給する;
前記システム。
【請求項2】
前記第1プログラムが薬剤の名前を含み,前記薬剤の少なくとも一つに,複数のポンピング・パラメータを関連付ける請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ポンプが配置された前記施設により選択された前記リミットの外側に前記プログラムされたポンピング・パラメータがあることの前記オペレータへの視覚的な指示を,前記第2プログラムが前記注入ポンプにさせる請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記オペレータへ提示される前記指示は,さらに前記オペレータが前記指示を取り消したいかどうかを,前記オペレータへさらに問い合わせる請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記データベース内に確立された前記リミットを超える全ての比較のログを,前記第2プログラムが生成する請求項1記載のシステム。
【請求項6】
複数の薬剤に関連するポンピング・パラメータのデータベースを発生することを,第1コンピュータのオペレータに許可するエディタ・サブ・プログラムを前記第1プログラムが含み,
命令されたときに,選択された注入ポンプ内に前記データベースをインストールする第2サブプログラムを有するように,前記第1プログラムがまた構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記プログラムされたポンピング・パラメータを,前記ポンプ内にインストール済みのデータベースへ自動的に比較するプロセッサを前記注入ポンプが含み,前記データベースの外側にある前記プログラム・パラメータについて,検出次第直ちに指示を提示する請求項6記載のシステム。
【請求項8】
プログラムがポンプへ入力されるときに,前記プログラムされたポンピング・パラメータを,前記ポンプ内にインストール済みのデータベースへ,一つずつ自動的に比較するプロセッサを前記注入ポンプが含み,データベースの外側にあるプログラム・パラメータが検出されればその指示を提示する,請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記第2プログラムがさらに,
パラメータがデータベースの外側にあることの表示があったら,ポンプのポンピング動作を開始することをオペレータに禁止して,
前記外側のパラメータをデータベースの前記リミットの範囲内に来るように前記オペレータが変更するか,または前記リミット外のパラメータにも関わらず前記オペレータが進行を希望することを指示されたならば,前記ポンプのポンピング動作を開始することをオペレータに許可する請求項1記載のシステム。
【請求項10】
医療データベース・キャリアと,
患者固有アセットと,
を有し,薬物治療エラーの可能性を減少させるシステムであって,
前記医療データベース・キャリアは,
医療データベース情報を記憶するメモリと,
前記医療データベース・キャリアへ通知されたかまたはメモリに記憶された情報を操作するようにプログラム可能なプロセッサと,
前記医療データベース・キャリアの外部のソースからの情報を受信し,また外部受信機へ前記医療データベース・キャリアから情報を送信する通信手段と,を有し,
前記患者固有アセットは,該患者特定アセットから前記医療データベース・キャリアへ医薬投与情報を通知する通信手段を有し,
前記医療データベース・キャリアの前記プロセッサは,前記医薬投与情報を前記医療データベース・キャリアのメモリ内に記憶された前記医療データベース情報と比較して,この比較の結果を供給する前記システム。
【請求項11】
前記医薬データベース・キャリアがポータブルのデータ処理装置を含む請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記医薬データベース・キャリアがディスプレイとデータ入力装置を有するポータブル・コンピュータを含む請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記患者固有アセットの前記通信手段が,さらに前記医薬データベース・キャリアからのデータを受信し,
前記患者固有アセットは,それが前記医療データベース・キャリアから比較信号を受信していなければ,患者へ医薬をデリバリーできないように構成されている請求項10記載のシステム。
【請求項14】
患者医療装置と共に使用するシステムであって,前記装置はそれに関連する特定オペレーティング・データを有し,前記システムは,
前記医療装置に関連するオペレーティング・データ・リミットに関するユーザー入力を受け付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生するように第1のプログラムによって構成された第1プロセッサと,
第2のプログラムによって構成された第2プロセッサと,
を有し該第2プロセッサが,前記第1プロセッサにより発生された前記データベースを受信して,
前記医療装置の実際のオペレーティング・データを前記データベース・リミットと比較して,
前記比較結果を監視して,前記医療装置の実際のオペレーティング・データが前記データベース内のリミットを超えるならば,看護士に指示を供給するように構成された前記システム。
【請求項15】
前記第1プロセッサが前記医療装置から離れている請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記第1プロセッサが薬剤名を含み,また複数の医療装置オペレーティング・パラメータを,前記薬剤の少なくとも一つに関連させる請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記医療装置が配置された前記施設により選択された前記リミットの外側に前記オペレーティング・データがあることの視覚的指示を,前記第2プロセッサが前記医療装置に表示させる請求項14記載のシステム。
【請求項18】
前記表示された視覚的指示は,さらに前記オペレータが指示を取り消すことを希望するかどうかについて,オペレータに問い合わせる請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記データベース内に設定された前記リミットを超える全ての比較のログを前記第2プロセッサが生成する請求項14記載のシステム。
【請求項20】
複数の薬剤に関連するオペレーティング・パラメータのデータベースを発生することを,オペレータに許可するエディタ・サブプログラムを前記第1プロセッサが含み,
命令されたときに,選択された医療装置内にデータベースをインストールする第2サブプログラムを有するように前記第1プロセッサがまた構成された請求項14記載のシステム。
【請求項21】
前記オペレーティング・データが前記医療装置へ入力されるときに,前記オペレーティング・データを一つずつ前記医療装置内にインストール済みの前記データベースと比較して,前記データベースの外側に前記プログラムされたデータが検出されれば,ただちにその指示を提示する請求項14記載のシステム。
【請求項22】
前記第2プロセッサがさらに,
データが前記データベースの外側にあることの表示が提示されれば,前記医療装置の開始オペレーションをオペレータに禁止し,
前記データベースの前記リミット内にあるように前記外側データをオペレータが変更済みにするか,または前記リミット外のデータに関わらず進行することを前記オペレータが希望することを指示すれば,前記医療装置を運転することをオペレータに許可するように構成された請求項14記載のシステム。
【請求項23】
前記第1および第2のプロセッサは単一プロセッサであって,
前記医療装置に関連するオペレーティング・データ・リミットに関連するユーザ入力を受け付けて,それらユーザ入力からデータベースを形成し,
前記医療装置の前記実際のオペレーティング・データを前記データベース・リミットと比較して,
この比較を監視して,前記医療装置の実際のオペレーティング・データが前記データベース内に設定された前記リミットを超えることを,前記比較が示すならば,前記医療装置の前記オペレーティング・データがデータベース内の前記リミットの外側にあることの指示を供給するように構成された請求項14記載のシステム。」

《本件補正前》

「 【請求項1】
医薬投与エラーの可能性を減少させるために注入ポンプとともに使用するシステムであって,前記注入ポンプはポンピング・パラメータによりプログラムされることができ,前記システムは,
ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力を受付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,前記注入ポンプから離れた第1コンピュータと,
注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている:
前記第1プログラムにより発生されたポンプ・パラメータ・データベースを受信して; オペレータにより注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータを前記データベースと比較し;
前記比較を監視して,もし前記比較が前記データベース内に設立された前記リミットを超えるならば,前記プログラムされたポンピング・パラメータが前記データベース内のリミットの外側にあることのポンプのオペレータへの指示を,供給する;
前記システム。
【請求項2】
前記第1プログラムが薬剤の名前を含み,前記薬剤の少なくとも一つに,複数のポンピング・パラメータを関連付ける請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ポンプが配置された前記施設により選択された前記リミットの外側に前記プログラムされたポンピング・パラメータがあることの前記オペレータへの視覚的な指示を,前記第2プログラムが前記注入ポンプにさせる請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記オペレータへ提示される前記指示は,さらに前記オペレータが前記指示を取り消したいかどうかを,前記オペレータへさらに問い合わせる請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記データベース内に確立された前記リミットを超える全ての比較のログを,前記第2プログラムが生成する請求項1記載のシステム。
【請求項6】
複数の薬剤に関連するポンピング・パラメータのデータベースを発生することを,第1コンピュータのオペレータに許可するエディタ・サブ・プログラムを前記第1プログラムが含み,
命令されたときに,選択された注入ポンプ内に前記データベースをインストールする第2サブプログラムを有するように,前記第1プログラムがまた構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記プログラムされたポンピング・パラメータを,前記ポンプ内にインストール済みのデータベースへ自動的に比較するプロセッサを前記注入ポンプが含み,前記データベースの外側にある前記プログラム・パラメータについて,検出次第直ちに指示を提示する請求項6記載のシステム。
【請求項8】
プログラムがポンプへ入力されるときに,前記プログラムされたポンピング・パラメータを,前記ポンプ内にインストール済みのデータベースへ,一つずつ自動的に比較するプロセッサを前記注入ポンプが含み,データベースの外側にあるプログラム・パラメータが検出されればその指示を提示する,請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記第2プログラムがさらに,
パラメータがデータベースの外側にあることの表示があったら,ポンプのポンピング動作を開始することをオペレータに禁止して,
前記外側のパラメータをデータベースの前記リミットの範囲内に来るように前記オペレータが変更するか,または前記リミット外のパラメータにも関わらず前記オペレータが進行を希望することを指示されたならば,前記ポンプのポンピング動作を開始することをオペレータに許可する請求項1記載のシステム。
【請求項10】
医療データベース・キャリアと,
患者固有アセットと,
を有し,薬物治療エラーの可能性を減少させるシステムであって,
前記医療データベース・キャリアは,
医療データベース情報を記憶するメモリと,
前記医療データベース・キャリアへ通知されたかまたはメモリに記憶された情報を操作するようにプログラム可能なプロセッサと,
前記医療データベース・キャリアの外部のソースからの情報を受信し,また外部受信機へ前記医療データベース・キャリアから情報を送信する通信手段と,を有し,
前記患者固有アセットは,該患者特定アセットから前記医療データベース・キャリアへ医薬投与情報を通知する通信手段を有し,
前記医療データベース・キャリアの前記プロセッサは,前記患者固有アセットから受信した医薬投与情報を操作するように構成されて,そうした情報を前記医療データベース・キャリアのメモリ内に記憶された前記医療データベース情報へ比較して,この比較の結果の指示を供給する前記システム。
【請求項11】
前記医薬データベース・キャリアがポータブルのデータ処理装置を含む請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記医薬データベース・キャリアがディスプレイとデータ入力装置を有するポータブル・コンピュータを含む請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記患者固有アセットの前記通信手段が,さらに前記医薬データベース・キャリアから
のデータを受信し,
前記患者固有アセットは,それが前記医療データベース・キャリアから比較信号を受信していなければ,患者へ医薬をデリバリーできないように構成されている請求項10記載のシステム。
【請求項14】
患者医療装置と共に使用するシステムであって,前記装置はそれに関連する特定オペレーティング・データを有し,前記システムは,
前記医療装置に関連するオペレーティング・データ・リミットに関するユーザー入力を受け付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生するように第1のプログラムによって構成された第1プロセッサと,
第2のプログラムによって構成された第2プロセッサと,
を有し該第2プロセッサが,前記第1プロセッサにより発生された前記データベースを受信して,
前記医療装置の実際のオペレーティング・データを前記データベース・リミットと比較して,
前記比較を監視して,前記医療装置の実際のオペレーティング・データが前記データベース内に設定されたリミットを超えることを,前記比較が示すならば,前記医療装置の前記オペレーティング・データが,前記データベース内の前記リミットの外側にあることの指示を供給するように構成された前記システム。
【請求項15】
前記第1プロセッサが前記医療装置から離れている請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記第1プロセッサが薬剤名を含み,また複数の医療装置オペレーティング・パラメータを,前記薬剤の少なくとも一つに関連させる請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記医療装置が配置された前記施設により選択された前記リミットの外側に前記オペレーティング・データがあることの視覚的指示を,前記第2プロセッサが前記医療装置に表示させる請求項14記載のシステム。
【請求項18】
前記表示された視覚的指示は,さらに前記オペレータが指示を取り消すことを希望するかどうかについて,オペレータに問い合わせる請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記データベース内に設定された前記リミットを超える全ての比較のログを前記第2プロセッサが生成する請求項14記載のシステム。
【請求項20】
複数の薬剤に関連するオペレーティング・パラメータのデータベースを発生することを,オペレータに許可するエディタ・サブプログラムを前記第1プロセッサが含み,
命令されたときに,選択された医療装置内にデータベースをインストールする第2サブプログラムを有するように前記第1プロセッサがまた構成された請求項14記載のシステム。
【請求項21】
前記オペレーティング・データが前記医療装置へ入力されるときに,前記オペレーティング・データを一つずつ前記医療装置内にインストール済みの前記データベースと比較して,前記データベースの外側に前記プログラムされたデータが検出されれば,ただちにその指示を提示する請求項14記載のシステム。
【請求項22】
前記第2プロセッサがさらに,
データが前記データベースの外側にあることの表示が提示されれば,前記医療装置の開始オペレーションをオペレータに禁止し,
前記データベースの前記リミット内にあるように前記外側データをオペレータが変更済みにするか,または前記リミット外のデータに関わらず進行することを前記オペレータが希望することを指示すれば,前記医療装置を運転することをオペレータに許可するように構成された請求項14記載のシステム。
【請求項23】
前記第1および第2のプロセッサは単一プロセッサであって,
前記医療装置に関連するオペレーティング・データ・リミットに関連するユーザ入力を受け付けて,それらユーザ入力からデータベースを形成し,
前記医療装置の前記実際のオペレーティング・データを前記データベース・リミットと比較して,
この比較を監視して,前記医療装置の実際のオペレーティング・データが前記データベース内に設定された前記リミットを超えることを,前記比較が示すならば,前記医療装置の前記オペレーティング・データがデータベース内の前記リミットの外側にあることの指示を供給するように構成された請求項14記載のシステム。」


2-2.本件補正の目的について
本件補正後の請求項1?23に係る発明は,本件補正前の請求項1?23に係る発明にそれぞれ対応する。
そこで,本件補正の目的について以下に検討する。

(1)本件補正を整理すると,補正事項は以下のとおりである。
(以下「補正事項の(ア)」等という。)
<請求項1>
(ア)「注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている」との記載事項を,「注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは該注入ポンプに設けられたマイクロプロセッサ上で第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている」との記載事項とする補正事項。
(イ)「前記第1プログラムにより発生されたポンプ・パラメータ・データベースを受信して」との記載事項を,「前記第1プログラムにより発生されたデータベースを受信して」との記載事項とする補正事項。
(ウ)「前記比較を監視して,もし前記比較が前記データベース内に設立された前記リミットを超えるならば,前記プログラムされたポンピング・パラメータが前記データベース内のリミットの外側にあることのポンプのオペレータへの指示を,供給する」との記載事項を,「前記比較結果を監視して,もし前記比較結果が前記データベース内に設立された前記リミットを超えるならば,前記プログラムされたポンピング・パラメータが前記データベース内のリミットの外側にあることのポンプのオペレータへの指示を,供給する」との記載事項とする補正事項。
<請求項10>
(エ)「前記医療データベース・キャリアの前記プロセッサは,前記患者固有アセットから受信した医薬投与情報を操作するように構成されて,そうした情報を前記医療データベース・キャリアのメモリ内に記憶された前記医療データベース情報へ比較して,この比較の結果の指示を供給する」との記載事項を,「前記医療データベース・キャリアの前記プロセッサは,前記医薬投与情報を前記医療データベース・キャリアのメモリ内に記憶された前記医療データベース情報と比較して,この比較の結果を供給する」との記載事項とする補正事項。
<請求項14>
(オ)「前記比較を監視して,前記医療装置の実際のオペレーティング・データが前記データベース内に設定されたリミットを超えることを,前記比較が示すならば,前記医療装置の前記オペレーティング・データが,前記データベース内の前記リミットの外側にあることの指示を供給する」との記載事項を,「前記比較結果を監視して,前記医療装置の実際のオペレーティング・データが前記データベース内のリミットを超えるならば,看護士に指示を供給する」との記載事項とする補正事項。

(2)各補正事項に関する審判請求人の主張は,以下のとおりである。
(ア)補正事項の(ア)について。
「補正前の文言は,「注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている」となっていますが,正確には,そのような動作をするのは注入ポンプに設けられたマイクロプロセッサであることが明らかです。よって,下線部の加入事項は注入ポンプの構成を更に技術的に限定したものであり,かつ,この補正によって誤記が訂正されています。」
(イ)補正事項の(イ)について。
「補正前の「ポンプ・パラメータ・データベース」なる記載の下線部の「ポンプ・パラメータ・」は,請求項1の,「ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力を受付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,前記注入ポンプから離れた第1コンピュータと」なる記載の下線部の文言との整合性を図るために削除しました。この補正は請求項1の内容を変える或いは拡張するものではなく,明らかな誤記の訂正であると思料します。」
(ウ)補正事項の(ウ)について。
「理由B(3)で指摘された情報処理をより具体的に特定するための補正です。」
(エ)補正事項の(エ)について。
「この補正は,理由Bの「また,請求項2-23についても,請求項1と同様な観点から,依然としてコンピュータで行なわれる情報処理の内容,及び,その際にコンピュータが備えるハードウェア資源をどのように用いるのかという点について,不明となっている。」とのご指摘に鑑み実施するものです。」
(オ)補正事項の(オ)について。
「この補正もまた,理由Bの「また,請求項2-23についても,請求項1と同様な観点から,依然としてコンピュータで行なわれる情報処理の内容,及び,その際にコンピュータが備えるハードウェア資源をどのように用いるのかという点について,不明となっている。」とのご指摘に鑑み実施するものです。」

(3)当審の判断。
前記(2)の(ア)?(オ)の審判請求人の主張を参酌すれば,前記(1)の(ア)?(オ)の各補正事項は,それぞれ,誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を含むものであって,本件補正前の請求項1?23に記載される発明を特定するために必要な事項を限定的に減縮するものであると認められる。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮,同項3号の誤記の訂正,及び同項4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。



2-3.独立特許要件について
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例について

ア 引用例1について。
原査定の拒絶理由で引用文献1として引用された国際公開第01/088828号(以下「引用例1」という。)には,以下の事項が記載されていると認められる。
(以下「引用例1摘記事項」という。)
(なお,当審仮訳は,引用例1の日本の再公表公報である特表2004-519020号の記載を援用したものであり,下線は当審で付与したものである。)

(ア)「The present invention relates generally to systems for managing patient care in a health care facility, and more particularly, to systems and methods for integrating and managing information with respect to medical care, medication delivery, asset identification, and verification of drug delivery.」
(第1ページ4行?7行)
(当審仮訳:本発明は一般に診療施設での患者の医療を管理するためのシステムに関するものであり,更に詳しくは治療,薬物投与,アセットID,薬品投与検証についての情報を集積し,管理するためのシステムと方法に関するものである。)

(イ)「Moreover, manually transferring other information such as parameters for configuring an infusion pump to dispense medication may result in errors that reduce the accuracy and/or effectiveness of drug administration and patient care. This may result in an increased duration of treatment with an attendant increase in cost. 」
(第2ページ21行?24行)
(当審仮訳:更に,薬物を分与する点滴ポンプを構成するためのパラメータのような他の情報を手で筆記する結果,誤りが生じ,薬品投与と患者の医療の正確さや有効性が低下するかも知れない。その結果,治療が長引き,コストが増大するかも知れない。)

(ウ)「Briefly, and in general terms, the present invention is directed to a new and improved information management system and method capable of monitoring, controlling and validating the administration of medical care delivery in a health care facility.

Generally, the system of the present invention includes a medical transaction carrier (MTC) that contains information concerning past and present medical transactions. The medical transaction carrier is used to transfer information relating to past and present medical transactions between a control system that is interfaced with various other care-giving institutional information systems, such as a pharmacy information system, or hospital information system, or physician order entry system, or a patient specific asset located at a patient's bedside. The information transferred by the medical transaction carrier is used to validate that the right medication and the parameters of the medication administration record are properly delivered to the right patient. As is well known by those skilled in the art, the medication administration record (MAR) is used by nurses to schedule medication administration. It is also used to document the actual administration of the medications. The medication order from the physician is recorded on the MAR, either by the pharmacy or the nurse staff members. As doses are administered, the nurse initials the corresponding time and records any additional required information (e.g. pulse rate, blood sugar). The MAR covers a specific period of time, typically 24 to 72 hours. The MAR is the legal record of drug administration, and it is kept as a permanent part of the patient's medical record. The system of the present invention includes methods for validating the information transferred by the medical transaction system to ensure that no information is lost.

The medical transaction carrier in accordance with one aspect of the present invention may be a personal data assistant (PDA), a laptop computer, a smart card, a BLUETOOTH transceiver, or other device capable of storing information and transporting the information from one location in a care-giving facility where medications are prepared for delivery to a patient's bedside. In another aspect, the medical transaction carrier may be primarily stationary and located at the patient's bedside. At the patient's bedside, the medical transaction carrier is interfaced to a patient specific asset (PSA), such as an infusion pump or vital signs monitor, and the information stored within the medical transaction carrier is communicated to the patient specific asset to provide the asset with specific treatment parameters to be used in delivering medication to the patient or in otherwise interacting with the patient.」
(第5ページ2行?6ページ6行)
(当審仮訳:簡単に,そして一般的な用語で,本発明は医療施設で医療の投与の監視,制御,および確認を行うことができる,新しく,改善された情報管理のシステムと方法に向けられている。
一般に,本発明のシステムは,過去および現在の医療トランザクションに関する情報を含む医療トランザクションキャリア(MTC-medical transaction carrier)を含む。医療トランザクションキャリアは,薬局情報システム,または病院情報システム,または医師指示入力システム,または患者のベッドのそばにある患者特有のアセットのような他の種々の医療組織の情報システムとインタフェースされる制御システムとの間で過去および現在の医療トランザクションに関する情報を伝達するために使用される。医療トランザクションキャリアによって伝達される情報を使用して,正しい薬物と薬物投与レコードのパラメータが正しい患者に適切に投与されることを確認する。
当業者には周知のように,看護師は薬物投与レコード(MAR-medication administration record)を使用して,薬物投与の予定をたてる。薬物投与レコードを使用して,薬物の実際の投与の文書化が行われる。医師からの薬物指示は薬局または看護師スタッフメンバによってMARに記録される。投与量が投与されるにつれて,看護師は対応する時間を開始し,任意の付加的な必要な情報(たとえば,脈拍数,血糖)を記録する。MARは特定の時間,代表的には24時間から72時間に及ぶ。MARの薬品の法的な記録であり,患者の医療レコードの永久的な一部として保持される。本発明のシステムは,医療トランザクションシステムによって伝達される情報を確認することにより,情報が失われないようにする方法を含む。
本発明の一側面による医療トランザクションキャリアは,携帯情報端末(PDA-personal data assistant),ラップトップコンピュータ,スマートカード,ブルートゥース(BLUETOOTH)トランシーバ,または患者のベッドのそばで与えるために薬物が用意される医療施設で情報を記憶し,ひとつの位置から情報を移送することができる他の機器としてもよい。もう一つの側面では,医療トランザクションキャリアは主として静止し,患者のベッドのそばにあってもよい。患者のベッドのそばで,医療トランザクションキャリアは点滴ポンプまたは生命徴候モニタのような患者特有のアセット(PSA-patent specific asset)にインタフェースされ,医療トランザクションキャリア内に記憶された情報が患者特有のアセットに伝えられることにより,患者への薬物投与または患者との他の相互作用で使用されるべき特定の治療パラメータがアセットに与えられる。)

(エ)「The present invention provides a system and method for monitoring, controlling and tracking the administration of care in a healthcare facility. Additionally, the present invention also provides for closing the loop on drug delivery and validation that the right treatment has been given to the right patient.

Referring now to drawings in which like reference numerals are used to refer to like or corresponding elements among the figures, there is generally shown in FIGURE 1 an integrated hospital-wide information and care management system in accordance with aspects of the present invention. Various subsystems of an facility's information management system are connected together by way of a communication system 5. The communication system 5 may be, for example, a local area network (LAN), a wide area network (WAN), Inter- or intranet based, or some other telecommunications network designed to carry signals allowing communications between the various information systems in the facility. For example, as shown in FIG. 1, the communication system 5 connects, through various interfaces 10, a hospital information system 20, a pharmacy information system 30, a physician order entry system 35, and a control system 40.」
(第8ページ2行?17行)
(当審仮訳:本発明は,医療施設での加療を監視,制御,追跡するためのシステムと方法を提供する。更に本発明は,薬品投与のループを閉じることと,正しい患者に正しい治療が与えられたことの検証も行う。
図面では,図の中の同じまたは対応する要素を表すために同じ参照番号が使用される。図1に,本発明の側面による統合された病院全体にわたる情報と医療管理システムが全体的に示されている。施設の情報管理システムの種々の部分システムは通信システム5を経由して一緒に接続される。通信システム5はたとえば,施設内の種々の情報システムの間の通信を許す信号を伝えるように設計されたローカルエリアネットワーク(LAN),広域エリアネットワーク(WAN),インタネット型またはイントラネット型,または何か他の電気通信ネットワークとすることができる。たとえば,図1に示されるように,通信システム5は種々のインタフェース10を介して,病院情報システム20,薬局情報システム30,医師指示入力システム35,および制御システム40を接続する。)

(オ)「One particular mode of operation of the present invention will now be described. A patient entering a hospital or other care giving facility is provided with a wristband, necklace, ankle band or other identifier that is affixed to the patient in a manner so that the patient can be identified even if the patient is unconscious or otherwise unresponsive. This wristband or other device may include a bar code representing the name of the patient and other information that the institute has determined is important. Additionally, any other information such as age, allergies, or other vital information may be encoded into the bar code. Alternatively, the patient information device may be an active embedded computer or passive device attached to a wrist band or other carrier that is attached to the patient. Such a device would be responsive to devices located throughout the care-giving facility, such as readers or wireless transmitter/receivers, to provide the identity of the patient along with other information when the device is queried. After the patient is admitted and situated in a bed within the facility, the patient is typically evaluated by a physician and a course of treatment is prescribed. The physician prescribes a course of treatment by preparing an order which may request a series of laboratory tests or administration of a particular medication to the patient. In some case, the physician prepares the order by filling in a form or writing the order on a slip of paper to be entered into the hospital system for providing care. In other cases, the physician may enter the medication order directly into a physician order entry system 35 (FIG. 1) or may instruct a nurse or other care-giving professional to do so.

If the order is for administration of a particular medication regimen, the order will be transmitted to the facility's pharmacy information system 30. The pharmacy reviews the order, and prepares the medication according to the requirements of the physician. Typically, the pharmacy packages the medication in a container, and a copy of the order, or at a minimum the patient's name, the drug name, and the appropriate treatment parameters are represented on a label that is affixed to the drug container. This information may be represented by a bar code, or it may be stored in a smart label, such as a label having an embedded computer or passive device.

Once the order has been prepared, the order is sent to the nurse station for matching with the appropriate patient. Alternatively, if the medication is for a commonly or routinely prescribed medication, the medication may be included in an inventory of medications that is stored in a secure cabinet adjacent the nurse station. In such a case, the nurse station will receive a list of orders from the pharmacy information system 30 that may be drawn from the inventory adjacent the nurse station. The nurse will enter here identifier at the cabinet to gain access, in accordance with standard practice. The nurse or other professional assigned the task of gathering medications will then match the orders received from the pharmacy information system 60 to the medications stored in the inventory and pull those medications that are to be delivered to specific patients. These procedures are carried out whether the medication to be delivered is an oral medication, or a medication that is to be delivered intramuscularly or through an infusion. When the prescribed time for delivery of the medications arrives, the medications are carried to the patient's area and administered to the patient by the nurse or other care-giver. In the case of drugs to be delivered via infusion, the care- giver hangs the infusion bag, attaches the bag to an infusion pump, and sets up the infusion pump to deliver the medication by programming the pump with values for various parameters that are used by the pump to control delivery of the medication to the patient. The infusion regimen is then started, and, because delivery of an infusion regimen generally extends over a prolonged period of time, the care-giver leaves the patient and continues on to care for other patients.

With the advent of modern infusion pumps that incorporate microprocessors and storage capability, it has become possible to maintain a record of not only the programmed infusion parameters, but also a log of the treatment as it is given to the patient. Until the present invention, however, there has been no way to ensure that the information gathered by the infusion pump was communicated to a system that could incorporate a record of the infusion into the patient's records stored in any of the facility's information systems.」
(第16ページ23行?18ページ20行)
(当審仮訳:次に,本発明の動作の一つの特定のモードについて説明する。病院または他の医療施設に入る患者には,たとえ患者が意識不明または反応がなくても患者を識別できるような仕方で患者に付けられるリストバンド,ネックレス,足首バンド,または他のアイデンティファイアが与えられる。このリストバンドまたは他の機器は,患者の名前および組織が重要であると決めた他の情報を表すバーコードを含んでもよい。更に,年齢,アレルギー,または他のきわめて重大な情報のような,他のどんな情報もバーコードに符号化してもよい。代わりに,患者情報機器は,能動的な埋め込まれたコンピュータ,またはリストバンドに取り付けられた受動的な機器,または患者に取り付けられた他のキャリアであってもよい。このような機器は,問い合わせがあったとき,リーダまたは無線送信器/受信器のような医療施設全体にわたって配置された機器に応答して,他の情報とともに患者のアイデンティティを与える。
患者が入院を許可されて,施設の中のベッドに配置された後,患者は通常医師により検討されて,治療のコースが規定される。医師は,一連の試験室検査または患者の特定の薬物の投与を要求し得る指示を用意することにより,治療のコースを規定する。場合によっては医師は,用紙に記入するか,または治療を行うために病院システムに入力すべき紙片に指示を書き込むことによって指示を用意する。他の場合には,医師は投薬指示を直接,医師指示入力システム35(図1)に入力してもよいし,看護師または他の医療専門家にそうするように命令してもよい。
指示が特定の薬物養生法の加療に対するものであれば,指示は施設の薬局情報システム30に送信される。薬局は指示を点検して,医師の要求に応じて薬物を用意する。代表的には,薬局は薬物をコンテナに入れ,指示のコピー,または最低限,患者の名前,薬品の名前,および適当な治療パラメータが薬品コンテナに付けられるラベルに表示される。この情報はバーコードによって表してもよいし,または埋め込まれたコンピュータまたは受動機器をそなえるラベルのようなスマートラベルに記憶してもよい。
指示が用意されると,指示は看護師ステーションに送られ,適合した患者と組み合わされる。代わりに,薬物が普通に,または日常的に処方される薬物である場合には,その薬物は看護師ステーションに隣接した安全なキャビネット内に貯蔵される。このような場合には,看護師ステーションは薬局情報システム30から指示のリストを受け取り,これらを看護師ステーションに隣接した在庫品から得ることができる。看護師はここで,標準の慣行にしたがって,アクセスするためにキャビネットのアイデンティファイアを入力する。薬物を集める仕事が割り当てられた看護師または他の専門家は次に,薬局情報システム30から受信された指示を在庫品に貯蔵された薬物と突き合わせ,特定の患者に与えられるべき,それらの薬物を引き出す。これらの手順は,与えられるべき薬物が経口薬物であるか,筋肉内に,または点滴により与えられるべき薬物であるかにかかわらず,実行される。
薬物投与の規定された時間が到来すると,薬物が患者の区域に運ばれ,看護師または他の医療者によって患者に投与される。点滴により与えられるべき薬品の場合には,医療者は点滴バッグをつるし,バッグを点滴ポンプに取り付け,そして患者への薬物の投与を制御するためにポンプによって使用される種々のパラメータに対する値でポンプをプログラミングすることにより,薬物を与えるために点滴ポンプを設定する。次に,点滴養生法が開始され,点滴養生法を与えることは一般に長時間にわたるので,医療者はその患者を離れて,他の患者の医療を続ける。
マイクロプロセッサと記憶機能を含む現代的な点滴ポンプの出現により,プログラミングされた点滴パラメータのレコードだけでなく,患者に与えられるとき治療のログも維持することが可能になった。しかし,本発明までは,点滴ポンプによって集められた情報をあるシステムに伝えて,そのシステムが施設の情報システムのいずれかに記憶された患者のレコードに点滴のレコードを組み込むことを確実にする方法はなかった。)

(カ)「A communication session to transfer medical transaction information for a particular patient into a MTC 110 is initiated by inserting the MTC 110 into an appropriate slot or cradle for the MTC 100 which is in operable communication with the control system 40 via the nurse station computer system 60 and communication system 5. Alternatively, the MTC 110 may communicate with the control system 40 using a wireless system. As described above, this wireless system may comprise either infrared or RF frequency signals using appropriate communication protocols such as BLUE TOOTH# or others (such as those described in IEEE 802.11x).」
(第19ページ3行?10行)
(当審仮訳:特定の患者に対する医療トランザクション情報をMTC110内に伝達するための通信セションは,看護師ステーションコンピュータシステム60および通信システム5を介して制御システム40と動作可能に通じている適合したスロットまたはMTCクレードル100にMTC110を挿入することにより開始される。代わりに,MTC110は無線システムを使用して制御システム40と通信してもよい。上記のように,この無線システムは,適当な通信プロトコル,たとえば,ブルートゥース(BLUETOOTHTM)(登録商標)または(IEEE802.11xに説明されているプロトコルのような)他のプロトコルを使用する赤外線またはRF周波数の信号を含んでもよい。)

(キ)「The control system 40 executes software programs in box 350 that analyze the information recently received from the MTC 110 and communicate new information for present medication delivery transactions to the MTC 110. Such software programs may include re-validating the past interactions recorded in the MTC 110 against data already stored in the PSA database. Where the validation fails, an error signal may be generated by the control system 40 causing a display or paper report to be printed notifying nurses or other care-giving personnel that an error exists.

Additionally, the software running on the control system 40 may analyze newly entered medical transaction information, such as the name or type of drug, dosage and delivery parameters, for example, against standard delivery protocols stored in the hospital or pharmacy information systems 20, 30 as well as determining whether there are any drug interactions or other safety information, such as may be stored in database that should be brought to the care-giver's attention and/or stored in the MTC 110. The software provides for generating error signals or alerts if errors or safety problems are detected during this step. 」
(第24ページ4行?19行)
(当審仮訳:制御システム40はボックス350でソフトウェアプログラムを実行し,ソフトウェアプログラムはMTC110から最近受信された情報を分析し,現在の薬物投与トランザクションに対する新しい情報をMTC110に伝える。このようなソフトウェアプログラムは,MTC110に記録された過去の相互作用をPSAデータベースに既に記憶されたデータと対比して再確認することを含んでもよい。確認が失敗した場合,制御システム40は誤り信号を発生することにより,ディスプレイまたは紙リポートを印刷して,看護師または他の医療専門家に誤りが存在することを知らせてもよい。
更に,制御システム40上で動作しているソフトウェアはたとえば,薬品の名前または型,投与量,および投与パラメータのような新しく入力された医療トランザクション情報を病院情報システム20または薬局情報システム30に記憶された標準投与プロトコルと対比して分析するとともに,薬品の相互作用または他の安全情報があるか判定する。薬品の相互作用または他の安全情報は医療者の注意を引くようにしたり,MTC110に記憶したりすべきデータベースに記憶してもよい。このステップの間に誤りまたは安全性の問題がある場合には,ソフトウェアは誤り信号を発生する。)

(ク)「Referring now to FIG. 3, a block diagram depicting one embodiment of a process illustrating various interactions between a MTC 110 and a PSA 120 located at a patient's bedside to communicate information between the MTC 110 and the PSA 120 is illustrated. The MTC 110 establishes a connection in box 400 with the PSA 120. If a connection cannot be established, an error signal is generated to alert the care-giver that corrective action must be taken before transfer of information between the MTC 110 and the PSA 120 may occur.」
(第25ページ15行?21行)
(当審仮訳:次に図3には,MTC110と患者のベッドのそばにあるPSA120との間で情報を伝えるためのMTC110とPSA120との間の種々の相互作用を示すプロセスの一実施例のブロック図が示されている。ボックス400でPSA120との接続を確立する。接続が確立できないと,誤り信号が作成され,是正処置が講じられないとMTC110とPSA120との間の情報の伝達を行えないということが医療者に警告される。)

(ケ)「Once the deleted transaction identifications have been stored in the MTC memory, information comprising physician orders, drug regimens and patient's specific protocols for currently planned or scheduled medical treatments are transferred to the PSA 120 from the MTC 110 in box 435, and stored in the database of the PSA 120 in step 440. After the current physician orders, drug regimens, and patient specific protocols have been stored in the PSA 120 database, a software program may be run in the PSA to validate delivery protocols, drug interactions, and safety information, such as described earlier with reference to a database to ensure safe delivery of the medication to the patent in box 445. If any errors or safety issues are detected, an error signal is generated that may be displayed by the PSA 120, or on a display associated with the MTC cradle 100.」
(第26ページ12行?22行)
(当審仮訳:抹消されたトランザクションIDがMTCメモリに記憶されると,現在計画されている,または予定されている治療に対する医師の指示,薬品養生法,および患者特有のプロトコルを含む情報がボックス435でMTC110からPSA120に伝達され,ボックス440でPSA120のデータベースに記憶される。現在の医師の指示,薬品養生法,および患者特有のプロトコルがPSA120のデータベースに記憶された後,ボックス445でPSAでソフトウェアプログラムをランすることにより,患者への薬物の安全な投与を確実にするためにデータベースについて前に説明されたような投与プロトコル,薬品相互作用,および安全情報が確認される。何らかの誤りまたは安全性の問題が検出されると,誤り信号が作成され,これはPSA120によって,またはMTCクレードル100に対応付けられたディスプレイ上にディスプレイしてもよい。)

イ 引用例1発明について。
上記摘記事項(ア)?(ケ)によれば,引用例1には以下の発明が記載されている。
(以下「引用例1発明」という。)

「診療施設での患者の医療を管理するためのシステムであって,
医療者が点滴バッグをつるし,バッグを点滴ポンプに取り付け,患者への薬物の投与を制御するためにポンプによって使用される種々のパラメータに対する値でポンプをプログラミングして薬物を与えるために点滴ポンプを設定するところ,薬物を分与する点滴ポンプを構成するためのパラメータに誤りが生じ,薬品投与と患者の医療の正確さや有効性が低下することが知られており,
システムは,医療トランザクションのキャリア(MTC)を有し,
MTCは,薬局情報システム,病院情報システム,医師指示入力システム,患者のベッドのそばにある患者特有のアセットとインタフェースされる制御システムとの間で医療トランザクションに関する情報を伝達するために使用され,
MTCは,患者のベッドのそばで,点滴ポンプであるPSAにインタフェースされ,記憶された情報がPSA伝えられることにより,患者への薬物投与のパラメータがPSAに与えられるものであり,
医療トランザクション情報をMTC110内に伝達するための通信セションは,看護師ステーションコンピュータシステム60および通信システム5を介して制御システム40と動作可能に通じている適合したスロットまたはMTCクレードル100にMTC110を挿入することによりなされ,
制御システム40は,ソフトウェアプログラムを実行し,ソフトウェアプログラムはMTC110から最近受信された情報を分析し,現在の薬物投与トランザクションに対する新しい情報をMTC110に伝えるものであり,
制御システム40上で動作しているソフトウェアは,医療トランザクション情報を病院情報システム20または薬局情報システム30に記憶された標準投与プロトコルと対比して分析するとともに,薬品の安全情報があるか判定し,安全情報は医療者の注意を引くようにしたり,MTC110に記憶したりすべきデータベースに記憶してもよく,誤りまたは安全性の問題がある場合には,ソフトウェアは誤り信号を発生するものであり,
MTC110と患者のベッドのそばにあるPSA120との間で情報を伝えるための接続を確立し,医師の指示,薬品養生法の情報がMTC110からPSA120に伝達され,PSA120のデータベースに記憶され,医師の指示,薬品養生法,がPSA120のデータベースに記憶された後,PSAでソフトウェアプログラムをランすることにより,患者への薬物の安全な投与を確実にするためにデータベースについて前に説明されたような安全情報が確認され,何らかの誤りまたは安全性の問題が検出されると,誤り信号が作成され,これはPSA120によって,またはMTCクレードル100に対応付けられたディスプレイ上にディスプレイされる,
システム。」

ウ 引用例2について。
原査定の拒絶理由で引用文献2として引用された「横井郁子,“注射・点滴エラー防止「知らなかった」ではすまない!事故防止の必須ポイントIV 輸液ポンプ,シリンジポンプの事故防止”,JJNスペシャル,株式会社医学書院,2001年12月1日,No70,p.109-120」(以下「引用例2」という。)には,以下の事項が記載されていると認められる。
(以下「引用例2摘記事項」という。)
(コ)「輸液ポンプ操作のうっかりミス
こんな経験はありませんか?
■ヒヤリ・ハット|事例(42)
ICU勤務2年目のB看護婦.患者さんに輸液ポンプを用いて点滴する際に,予定量(200ml)と投与速度(50ml/h)の数値を逆に入力して,投与速度を200(ml/h)に設定してしまった.スタートボタンを押したところ,滴下が早いので,もう一度設定を確認して間違いに気がついた.4倍の速度で滴下してしまうところだった。」
(第114ページ見出し,左欄1行?右欄末行)
(サ)「■事例からわかること
□輸液ポンプの操作にはうっかりミスをしやすいポイントがある
輸液ポンプの操作はそれほど難しいものではありませんが,事例のようなうっかりミスが絶えません.
●指示数値の入力ミス
事例(42)のように,予定量と投与速度の数値を逆に入力すると,過量投与や急速投与を招き,とても危険です.」
(第115ページ下左欄1行?10行)

エ 引用例2開示事項について。
上記摘記事項(コ),(サ)によれば,引用例2には以下の事項が開示される。
(以下「引用例2開示事項」という。)
「輸液ポンプに関する事故において,予定量と投与速度に入力ミスといった設定ミスが発生している。」


(2)対比
本願補正発明と引用例1発明とを対比する。
(ア)引用例1発明の「制御システム40」は注入(点滴)ポンプであるPSAから離れた場所にあるコンピュータであって,ソフトウェアプログラムを実行し,現在の薬物投与トランザクションに対する新しい情報をMTCに伝えるものであって,その動作しているソフトウェアは,薬品の安全情報があるか判定し,安全情報はMTCに記憶したりすべきデータベースに記憶するものである。
してみると,引用例1発明と本願補正発明とは,後記する点で相違するものの,「注入ポンプに関する安全情報のデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,注入ポンプから離れた第1コンピュータ」を有する点で共通する。
(イ)引用例1発明は,注入(点滴)ポンプであるPSAを有し,PSAはソフトウエアプログラムをランすることにより,制御システム40によりデータベースに記憶された安全情報が確認され,何らかの誤りまたは安全性の問題が検出されると,誤り信号が作成され,これはPSAまたはMTCクレードルに対応付けられたディスプレイ上にディスプレイされるものである。
この,PSAがソフトウエアプログラムをランすることにより確認する安全情報は,制御システム40によりデータベースに記憶されたものであって,MTCを介してPSAが利用可能となるものである。
本願補正発明は,さらに「注入ポンプと,」を有し,注入ポンプのマイクロプロセッサがデータベースを「受信」して動作するところ,この「受信」との事項に関し,引用例1発明は,本願補正発明のMDCに対応するMTCを介して注入ポンプがデータベースを受けとるという点で両者は共通することから,両者はデータベースを「受信」するという点で共通する。
そしてPSAがランするソフトウエアプログラムは,制御システム40が実行するソフトウエアプログラムとは異なる第2のプログラムであることは明らかである。
してみると,引用例1発明と本願補正発明とは,後記する点で相違するものの,さらに「注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは該注入ポンプ上で(第1のプログラムとは異なる)第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている」ものであって,「第1プログラムにより発生されたデータベースを受信」する点で共通する。
(ウ)引用例1発明の注入(点滴)ポンプは,MTCが,患者のベッドのそばで,点滴ポンプであるPSAにインタフェースされ,記憶された情報がPSAに伝えられることにより,患者への薬物投与のパラメータ(つまりポンピング・パラメータ)がPSAに与えられるものであり,医師の指示,薬品養生法の情報がMTCからPSAに伝達され,PSAのデータベースに記憶されて安全情報が確認されるものである。
他方,本願補正発明のポンピング・パラメータは,オペレータが注入ポンプへプログラミングするものであり,オペレータは看護士(看護師)であることが想定されている。
ここで,引用例1発明の医師と本願補正発明の看護師であるオペレータは,患者への医薬のデリバリーの責任者,つまり「投薬に責任をもつ医療従事者」(以下単に「医療従事者」という。)である点で共通する。
してみると,引用例1発明と本願補正発明とは,後記する点で相違するものの,「医療従事者により注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータをデータベースと比較し,比較結果を監視して,もし比較結果がデータベース内の安全情報から誤りや安全性の問題として検出されると,安全情報から誤りや安全性の問題があることをその場で表示する。」という点で共通する。
(エ)以上(ア)?(ウ)のことから,引用例1発明と本願補正発明とは,「医薬投与エラーの可能性を減少させるために注入ポンプとともに使用するシステムであって,注入ポンプはポンピング・パラメータによりプログラムされることができるシステム」である点で共通する。

そうすると,上記(ア)?(エ)のことから,本願補正発明と引用例1発明とは,

[一致点]
「医薬投与エラーの可能性を減少させるために注入ポンプとともに使用するシステムであって,注入ポンプはポンピング・パラメータによりプログラムされることができ,
システムは,
注入ポンプに関する安全情報のデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,注入ポンプから離れた第1コンピュータと,
注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは該注入ポンプ上で第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている:
第1プログラムにより発生されたデータベースを受信して;
医療従事者により注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータをデータベースと比較し;
比較結果を監視して,もし比較結果がデータベース内の安全情報から誤りや安全性の問題として検出されると,安全情報から誤りや安全性の問題があることをその場で表示する;
システム。」

である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明では,「注入ポンプに関する安全情報」が,「ポンプ運転パラメータ・リミット」に関するものであるのに対して,引用例1発明では,「注入ポンプに関する安全情報」が特定されていない点。
[相違点2]
本願補正発明では,「オペレータ」による,「注入ポンプ」へ「プログラム」された「ポンピングパラメータ」を「データベース」と比較するのに対して,引用例1発明では,「医師」による,「指示,薬品養生法の情報」である「注入ポンプのプログラム」が「MTCからPSAに伝達」されて,「安全情報」が「データベース」で「確認」されるものである点。
[相違点3]
本願補正発明では,プログラムされたポンピング・パラメータが,データベース内に設立された「リミットを超える」ならば,プログラムされたポンピング・パラメータが「データベース内のリミットの外側にある」ことを「オペレータへの指示として供給する」のに対して,引用例1発明では,「何らかの誤りまたは安全性の問題が検出」されると,「誤り信号が作成」され,PSAやMTCクレードルに対応付けられた「ディスプレイ上にディスプレイ」するものである点。
[相違点4]
本願補正発明では,安全情報としてのポンプ運転パラメータ・リミットが,「ユーザー」から「ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力」を受け付けて「第1コンピュータ」が「第一プログラム」を実行し,「データベース」を発生するのに対して,引用例1発明では,「制御システム40上で動作しているソフトウェア」が,(医療トランザクション情報を病院情報システム20または薬局情報システム30に記憶された標準投与プロトコルと対比して分析するとともに)「薬品の安全情報があるか判定」し,「MTC110に記憶したりすべきデータベースに記憶」することが特定されるにとどまる点。
[相違点5]
本願補正発明では,「第2プログラム」を実行するのが,「注入ポンプに設けられたマイクロプロセッサ」であるのに対して,引用例1発明では,「注入ポンプ上」で「第2プログラム」が「実行」されることが特定されるにとどまる点。

(3)判断
上記各相違点について,以下に検討する。

[相違点1]?[相違点3]について。
(ア)本願の発明の詳細な説明には,本願の発明の課題として,以下の記載がある。
「正しい医薬が投薬のために正しい患者へ到達した場合でも,自動装置が誤った医薬投与パラメータによりプログラムされていれば,注入ポンプなどの自動または半自動投薬装置を使用して医薬が投与される場合は,医薬の間違った投与が起る可能性がある。」(【0014】段落)
(イ)他方,引用例1発明の課題は,以下のとおりである。
「患者への薬物の投与を制御するためにポンプによって使用される種々のパラメータに対する値でポンプをプログラミングして薬物を与えるために点滴ポンプを設定するところ,薬物を分与する点滴ポンプを構成するためのパラメータに誤りが生じ,薬品投与と患者の医療の正確さや有効性が低下する。」
(ウ)つまり,本願補正発明も引用例1発明も,患者へ投与する直前の点滴ポンプの設定の安全を確認することにより医療事故を防止するものである。
(エ)点滴ポンプの設定(パラメータのプログラム)の誤りは,医師の処方の誤りにより生じるのみならず,看護師による点滴ポンプの設定(パラメータのプログラム)の誤りが発生することが知られている。(例えば,引用例2開示事項によれば,引用例2には,「輸液ポンプに関する事故において,予定量と投与速度に入力ミスといった設定ミスが発生している。」との事項が開示されている。)
(オ)してみると,引用例1発明において,「医師」による,「指示,薬品養生法の情報」である「注入ポンプのプログラム」に誤りがあったときのみならず,「オペレータ」による,「注入ポンプ」へ「プログラム」された「ポンピング・パラメータ」に誤りがあった際にも,点滴ポンプのポンピング・パラメータを確認するよう構成することには何ら困難性がなく,当業者が容易に想到しうるものである。
(カ)その際,「注入ポンプに関する安全情報」として,オペレータがプログラムするポンピング・パラメータの「リミット」を採用すること,さらにプログラムされたポンピング・パラメータが,データベース内に設立された「リミットを超える」ならば,プログラムされたポンピング・パラメータが「データベース内のリミットの外側にある」ことを「オペレータへの指示として供給する」よう構成することは,(そもそも引用例1発明は安全を確認してPSA・MTCクレードルにその旨をディスプレイするものであることを勘案すれば)設計上の必要性に応じて当業者が適宜なし得る設計的事項である。
以上の(ア)?(カ)のことから,「注入ポンプに関する安全情報」を「ポンプ運転パラメータ・リミットに関する」ものとして構成し,「オペレータ」による,「注入ポンプ」へ「プログラム」された「ポンピングパラメータ」を「データベース」と比較するよう構成し,プログラムされたポンピング・パラメータを,データベース内に設立された「リミットを超える」ならば,プログラムされたポンピング・パラメータを「データベース内のリミットの外側にある」ことを「オペレータへの指示として供給する」よう構成し,もって相違点1?3に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点4]について。
(ア)「ユーザー」から「入力」される「安全情報」としての「ポンプ運転パラメータ・リミット」との事項における「ユーザー」との事項に関して,本願の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。
「制度的なガイドラインを確立し,ハードおよびソフトのリミットを有する薬剤ライブラリを準備する際に,このライブラリに収容される薬剤に特定のポンプ運転パラメータ・リミットに関するユーザー入力を受け付けて,それらのユーザー入力からデータベースを発生するように構成されたコンピュータ・プログラムが供給される。」(【0084】段落)
(イ)ここで「薬剤ライブラリ」に関して,本願の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。
「内科医はインターネットを使用して,薬局システムへこの患者のための処方を提示し入力する。健康管理施設での配置によって,内科医のオーダまたは処方は薬局36のためのウエブサイトへ直接に到達するか,または健康管理施設のためのウエブサイトへ行き,それから薬局36へ経路を決定される。
薬局インターネット・システムは,一層安全な内科医医薬オーダ処理(physician medication order process)を作動できるようにする。薬局ウエブサイトは,内科医に利用可能な薬剤のリストを供給し,そこから内科医が選択できる。薬局ウエブサイトは利用可能な薬剤のリストを有する薬剤ライブラリを含む」(【0057】?【0058】段落)
(ウ)つまり,「ユーザー」とは,「薬局情報システム」に「薬剤」の情報を入力しうる者ということになる。
(エ)「薬剤」の情報を入力しうる者が「薬局情報システム」に「薬剤」の情報を入力することはよく知られている。
(オ)してみると,安全情報としてのポンプ運転パラメータ・リミットを,「ユーザー」から「ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力」を「受け付け」たうえで,「第1コンピュータ」が「第一プログラム」を実行し,「データベース」を発生するよう構成することは,当業者が適宜なしうる設計的事項であり,そのように構成することに何ら困難性がなく,当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点5]について。
プログラムを実施するために,対象機器に「マイクロプロセッサを設ける」ことはよく知られている。
してみると,「第2プログラム」を実行するために,「注入ポンプ」に「マイクロプロセッサを設ける」よう構成することには何ら困難性がなく,当業者が容易に想到することができたものである。


(4)審判請求人の主張について
審判請求人は回答書において,以下のとおり主張している。

「引用例1は,医薬投与に必要な情報をデータベースを用いて管理する点においては本願発明と一致します。
しかしながら,引用例1では,「現在の医師の指示,薬品養生法,および患者特有のプロトコルがPSA120のデータベースに記憶された後,ボックス445でPSAでソフトウェアプログラムをランする」ことを開示するのみであり,ソフトウェアプログラムがどのような動作を行うものであるかについては何ら開示していない点で本願発明と異なります。
また,引用例1では,単に「ソフトウェアプログラムをランする」と開示するのみであるのに対し,本願発明では,「注入ポンプから離れた第1コンピュータ」により実行される「データベースを発生する第1のプログラム」と,「注入ポンプに設けられマイクロプロセッサ上で」実行され,「オペレータにより注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータを前記データベースと比較」する「第2のプログラム」の2種類のプログラムを有する点で,引用例1とは異なります。
このように,引用例1は,本願発明のように「ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力を受付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,注入ポンプから離れた第1コンピュータと」,「注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは該注入ポンプに設けられたマイクロプロセッサ上で第2プログラムを実行して」,「第1プログラムにより発生されたデータベースを受信し」,「オペレータにより注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータを前記データベースと比較」することを開示するものではございません。
したがって,引用例1は,本願発明の動機付けを与えるものではございません。」

上記審判請求人の主張を検討する。
引用例1の記載は,前記「(1)ア」のとおりであり,PSAのソフトウエアプログラムに関して「(ケ)」を参照すれば,「現在の医師の指示,薬品養生法,および患者特有のプロトコルがPSA120のデータベースに記憶された後,ボックス445でPSAでソフトウェアプログラムをランすることにより,患者への薬物の安全な投与を確実にするためにデータベースについて前に説明されたような投与プロトコル,薬品相互作用,および安全情報が確認される。何らかの誤りまたは安全性の問題が検出されると,誤り信号が作成され,これはPSA120によって,またはMTCクレードル100に対応付けられたディスプレイ上にディスプレイしてもよい。」と記載されている。
引用例1発明の認定は前記「(1)イ」のとおりである。
そして,引用例1発明と本願補正発明との対比,判断は前記「(2)」,「(3)」のとおりである。
したがって,審判請求人の上記の主張を採用することはできない。


(5)結論
以上のとおりであることから,上記相違点1?5に係る本願補正発明の構成は,引用例1発明,引用例2開示事項から当業者が容易に想到することができたものである。
そして,本願補正発明の作用効果も,引用例1発明,引用例2開示事項から当業者が予測できる範囲のものである。


(6)独立特許要件についての結論
したがって,本願補正発明は,引用例1発明,引用例2開示事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。


2-4.むすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について

3-1.本願の請求項に係る発明について
平成22年6月16日の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成21年12月3日の手続補正により補正された請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「医薬投与エラーの可能性を減少させるために注入ポンプとともに使用するシステムであって,前記注入ポンプはポンピング・パラメータによりプログラムされることができ,前記システムは,
ポンプ運転パラメータ・リミットに関する入力を受付けて,それらユーザー入力からデータベースを発生する第1プログラムを実行するように構成された,前記注入ポンプから離れた第1コンピュータと,
注入ポンプと,を有し,該注入ポンプは第2プログラムを実行して以下の動作をするように構成されている:
前記第1プログラムにより発生されたポンプ・パラメータ・データベースを受信して; オペレータにより注入ポンプへプログラムされたポンピング・パラメータを前記データベースと比較し;
前記比較を監視して,もし前記比較が前記データベース内に設立された前記リミットを超えるならば,前記プログラムされたポンピング・パラメータが前記データベース内のリミットの外側にあることのポンプのオペレータへの指示を,供給する;
前記システム。」


3-2.原査定の拒絶の理由について
原査定の拒絶の理由Cの概要は以下のとおりである。
「【拒絶理由】
C.この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1-28
・引用文献1-2
・備考
(途中略)
引 用 文 献 等 一 覧
1.国際公開第01/088828号(特表2004-519020号)
2.横井郁子,“注射・点滴エラー防止「知らなかった」ではすまない!事故防止の必須ポイント IV 輸液ポンプ,シリンジポンプの事故防止”,JJNスペシャル,株式会社医学書院,2001年12月1日,No.70,P.109-120

【拒絶査定】
この出願については,平成21年7月22日付け拒絶理由通知書に記載した理由A-Cによって,拒絶をすべきものです。
なお,意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
(以下略)」


3-3.引用例について
原査定の拒絶の理由の理由Cに引用された引用文献1及び引用文献2に記載される事項,及び引用例1発明及び引用例2開示事項は,前記「2-3.(1)」に記載したとおりである。

3-4.対比,判断
本願発明は,本願補正発明から,実質的な変更とならない誤記の訂正と明りょうでない記載の釈明とに係る事項を除き,前記2-2.で示す事項,即ち限定的に減縮するための補正事項の構成を省いたものである。

そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記2-3.に記載したとおり,引用例1発明,引用例2開示事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明は,本願補正発明と同様の理由により,引用例1発明及び引用例2開示事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1発明,引用例2開示事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項及び原査定のその他引用文献について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。


よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-09 
結審通知日 2012-08-10 
審決日 2012-08-24 
出願番号 特願2004-565078(P2004-565078)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 伸次  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 井上 信一
須田 勝巳
発明の名称 薬物治療管理システム  
代理人 浅村 肇  
代理人 林 鉐三  
代理人 清水 邦明  
代理人 浅村 皓  
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