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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1268708
審判番号 不服2011-7146  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-05 
確定日 2013-01-07 
事件の表示 特願2000-263065「カラー映像表示方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年3月12日出願公開、特開2002-72980〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1-手続経緯の概要】
本件出願手続及び本件審判請求の概要は、次のとおりである。
平成12年 8月31日:本件出願
平成19年 7月10日:審査請求
平成22年 9月21日:拒絶理由の通知 (起案日:同年同月16日)
平成23年 2月 2日:拒絶査定の謄本送達(起案日:同年1月28日)
平成23年 4月 5日:本件審判請求・補正書提出
平成23年 5月31日:出願人名義変更届
平成23年10月21日:審尋 (起案日:同年同月19日)
平成24年 1月18日:回答書提出

【第2-本願発明】
本件審判請求時の補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲について補正するもので、本件出願当初の請求項8?16に関し、原査定の拒絶理由の一つである記載不備を解消するために本件出願当初の明細書等の記載の範囲内で補正をするものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるから、適法である。
そして、本願の請求項1?17に係る発明は、本件補正により、補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものであると認める。
【請求項1】
「表示素子に色画像を順次切り換えて表示し、その色画像に応じて照明光の色を切り換えてカラー映像を表示するフィールドシーケンシャル方式のカラー映像表示方法であって、
赤色照明光、緑色照明光、青色照明光、および無彩色照明光からなる照明光により、マトリックス状に画素が配列された表示素子を、隣接する4画素を1単位としたときに、各画素への照明光の色は互いに異なり、さらにフィールド期間ごとに色を相互に切り換えて照明し、
カラー映像信号から、赤用映像信号、緑用映像信号、青用映像信号、および無彩色用映像信号を生成し、さらに前記表示素子の各画素への照明光の色に対応した映像信号を生成し、その映像信号により前記表示素子を駆動する
カラー映像表示方法。」

【第3-原査定の拒絶の理由の概要-容易想到性】
原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明が、平成22年9月21日に通知された拒絶理由通知書に記載されているように、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平10-260375号公報(以下、引用文献1という)に記載された発明に基づいて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

【第4-引用文献1に記載された事項-引用発明1】
(4-1-引用文献1に記載された事項)
引用文献1には、次のことが記載されている。
「・・・
【特許請求の範囲】
・・・
【請求項5】
白色光を発する光源と、前記白色光を複数の色の光束に分解する分離機構と、前記光束を収束するレンズ機構と、前記レンズ機構によって収束された光束に光学的な変調を与える液晶パネルと、前記液晶パネルから出射した前記光束を拡大投影する機構と、を具備する液晶プロジェクタの駆動方法であって、前記レンズ機構を前記液晶パネルの光入射面と平行な方向に移動して、前記液晶パネルの画素に時間的に均等に前記複数の色が出現するようにする、液晶プロジェクタの駆動方法。
【請求項6】
白色光を発する光源と、前記白色光を複数の色の光束に分解し、前記光束を異なった角度で反射する分離機構と、前記光束を収束するレンズ機構と、前記レンズ機構によって収束された光束に光学的な変調を与える液晶パネルと、前記液晶パネルから出射した前記光束を拡大投影する機構と、を具備する液晶プロジェクタの駆動方法であって、前記レンズ機構を前記液晶パネルの光入射面と平行な方向に移動して、前記液晶パネルの画素に時間的に均等に前記複数の色が出現するようにする、液晶プロジェクタの駆動方法。
【請求項7】
前記光束の前記液晶パネル上への入射位置を前記液晶パネルに係わる画素のピッチの整数倍の距離分、一回の駆動で移動する、請求項5または6の液晶プロジェクタの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は液晶セルを光学的変調手段として用いたプロジェクタ(液晶プロジェクタ)に関するものである。本願発明は特に、液晶パネルを一枚のみ用いカラー表示を行う液晶ライトバルブ(単ライトバルブ式液晶プロジェクタ)と呼ばれるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
・・・
【0004】
これに加えて、液晶素子自体のコストも問題となっている。液晶プロジェクタ方式でカラー表示を行う際に、例えば、液晶ライトバルブと呼ばれるような液晶パネルを3枚使用する方式がある(三板式)。この方式は3枚の液晶パネルのそれぞれに赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を入射し、これらの液晶パネルによって変調された光を光学的に重ね合わせて一つのフルカラー画像を得るという方式である。しかし、この方式によれば液晶パネルを3枚使用することから深刻なコストの問題を生じるし、また、液晶プロジェクタ方式の本来的な利点である小型・軽量性を犠牲にすることになりかねない。
【0005】
そこで、近年では一枚の液晶パネルのみを用いてカラー表示を行う方式(単板式)が主流になりつつある。単板式の液晶表示装置、あるいは、液晶プロジェクタの代表的なものは特開昭59-230383号公報に開示されているように、いわゆるモザイク状、ストライプ状等の3原色カラーフィルタパターンを備えた液晶表示パネルに、光学系により白色光を照射する構造をとる。しかし、この方式によれば、光が全てカラーフィルタを通過するので、白色光源から出射される光のうちのおよそ三分の一しか利用しないことになる。そこで、単板式で三板式なみの輝度を得るためには、3倍以上明るい光源を使用する必要があるが、装置の大型化、重量化、高コスト化を引き起こすという問題があった。液晶プロジェクタ方式にとってこのような光利用効率の低下は輝度の面のみならず、コスト等の面でも致命的である。
【0006】
上述した輝度(光利用効率)の問題を解決した単板式の液晶プロジェクタ方式が特開平4-60538号公報に開示されている。この方式ではカラーフィルタを除去することに成功し、カラーフィルターによる光の吸収を皆無にしている。この方式によれば、光の進行方向に対して微妙に異なった角度で配置された複数のダイクロイックミラーに白色光を照射して、R、G、Bの光束に分割し、これらR、G、Bの光束をマイクロレンズアレイを介して光束ごとに異なる位置で液晶パネルの光入射面に入射するものである(新単板方式)。本願発明は新単板方式に係わる液晶プロジェクタを基礎として、これを改良した発明である。
【0007】
新単板方式の液晶プロジェクタについて図3を用いて詳しく説明する。白色光は光源1から発せられ、コンデンサレンズ3によって略平行な光線とされる。白色光はその後角度が微妙に異なる3つのダイクロイックミラー5によって方向を変えて液晶パネル9の位置する方向に反射される。ダイクロイックミラー5は白色光をR、G、Bの各色に分離するとともに、分離した各色光を微妙に異なった方向を有する3つの方向に反射する機能を有する。例えば、Rに係わるダイクロイックミラー5_(R )は図中θ=44.5°に配置され、Gに係わるダイクロイックミラー5_(G )はθ=45°に配置され、Bに係わるダイクロイックミラー5_(B )はθ=45.5°に配置されている。これらのダイクロイックミラー5で分解された光はレンズアレイ7を介して、液晶パネル9の光入射面の法線に対して微妙に異なった角度(例えば、-1°、0°、1°)で入射する。
【0008】
この詳細を示すために図3の点線部20の拡大図を図4に示す。液晶パネル9に対して入射する複数の色ごとの光束に分離された白色光は液晶パネルのセルピッチの略3倍のピッチの凹凸を有するレンズアレイ7を通過する。レンズアレイ7の焦点は液晶パネル9の光入射面にあわせてあり、液晶パネル9の光入射面上で複数の光束は焦点を結び、それぞれB、G、Rの順に縞を作る。この縞の位置に対応して液晶パネルの一つの画素を形成すると、画素ごとに透過率を制御することにより、一枚の液晶パネルでカラー表示を行うことが可能となる。
【0009】
図3に戻ると、このように液晶パネル9で画素ごとに変調を受けた光は液晶パネルを制御された透過率で透過し、フィールドレンズ11によって収束を受けた後に、投射レンズ13によって拡大されてスクリーン15に投影される。
【0010】
かかる新単板方式はカラー表示を行うに際してカラーフィルタを除去することにより高輝度を実現できるという点で画期的なものである。しかし、単板式と同様に液晶パネルの3つの画素によって一つのカラー画素を構成するために、三板式に比べて液晶パネル自体の解像度を3倍に高めなければならないという問題があった。例えば、新単板方式ではVGAの横640ドット、縦480ドットのカラー表示には92万セルを有する液晶パネルが必要であるが、このような液晶パネルは極めて高価となる上に、薄膜トランジスタ(TFT)や配線の占める割合が高くなるために開口率が低くなり、投射画面が暗くなる。この問題を解決しようとすると、パネルの大型化を図ることになるが、レンズ、ミラーの周辺部品の大型化により、軽量・小型という液晶プロジェクタ本来の利点を殺してしまうことになる。
【0011】
新単板方式のこのような欠点を解消するために、解像度を上げることなく、一枚の液晶パネルでカラー表示を実現する方法としては、近年開発された強誘電性液晶などの高速応答性液晶材料を用いた液晶パネルを用いた図5のような構造のものが考えられる。この方式はダイクロイックミラーを複数用いることによって色を分離するのではなく、回転カラーフィルタ17に白色光を通過させることによって色を分離し、液晶パネル9の一画素を順次R、G、B各色に使用する方式(色順次方式)である。この方式では液晶パネル一画素で一つのカラー画素を目の残像による錯覚を利用して作り出すので、新単板方式のような解像度の問題は生じない。なお、図3において説明した他の構成部品については基本的には同様の機能を有するので、同一の付番を付した。
【0012】
確かに色順次方式によれば、新単板方式に比べて解像度が向上し、また、装置の大型化、高コスト化の問題は少ない。しかし、色の分離のためにカラーフィルタを用いているので、旧単板方式の欠点である輝度が低いという問題を抱えることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、現在知られている液晶プロジェクタの各方式は解像度、輝度のいずれかの点で問題があり、これらを全て満たす方式は知られていない。本願発明では新単板方式を基本としつつ、色順次方式の利点を取り入れ、これら両方式を融合して、解像度、輝度が良好な液晶プロジェクタ方式を考案することを課題とする。より具体的に言うと、本願発明の第一の目的は新単板方式の液晶プロジェクタにおいて一つの画素で複数の色を順次表現できるようにして、高解像度を有する液晶プロジェクタを提供することである。また、本願発明の第二の目的は色順次方式の液晶プロジェクタにおいてカラーフィルタを除去し、輝度の高い液晶プロジェクタを提供することである。本願発明の第三の目的は高輝度、高解像度を実現しつつ、液晶プロジェクタ方式の利点である小型・軽量性を損なわない液晶プロジェクタを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明の上述した課題は、白色光を発する光源と、白色光を複数の色の光束に分解する分離機構と、光束に光学的な変調を与える液晶パネルと、光束を液晶パネルのそれぞれの画素に収束して入射するレンズ機構と、液晶パネルから出射した光束を拡大投影する機構と、光束の液晶パネルの入射位置を画素のピッチの整数倍分移動する移動機構と、を有する液晶プロジェクタによって解決することができる。
【0015】
このときに、移動機構として好適な例はレンズ機構と接続され、レンズ機構を液晶パネルの光入射面と平行な方向に移動する作用を有するものである。また、移動機構はそれぞれの画素に出現する色が時間的に均等になるように制御して光束の液晶パネル上への入射位置を移動することが望ましい。この移動機構の位置は移動機構に接続された制御回路から発せられる位置制御信号によって規定され、液晶パネルの画素ごとの透過率は制御回路から発せられる透過率制御信号によって規定される。制御回路は位置制御信号と透過率制御信号とを同期することによってまとまりのある画像を作り出す。
【0016】
【発明の実施の形態】
本願発明の一つの実施の形態を図1に示す。従来技術で説明した構成要素のうち、本願発明の実施の形態においても同一の機能を有するものについては同一の付番を付している。本願発明の基本的な構造は新単板方式と同一である。
【0017】
つまり、光源1から発せられた白色光がコンデンサレンズ3によって略平行な光線とされ、その後、角度が微妙に異なる3つのダイクロイックミラー5によって白色光は複数の色の光束に分離され、それぞれの光束は異なった方向で液晶パネル9の位置する方向に反射される。ダイクロイックミラー5で分離された光はレンズアレイ7を介して、液晶パネル9に対して微妙に異なった角度(例えば、-1°、0°、1°)で入射する。液晶パネル9に対して入射する分離された白色光は液晶パネルのセルピッチの略3倍のピッチの凹凸を有するレンズアレイ7を通過することによって液晶パネル9上で焦点を結び、それぞれB、G、Rの順に縞を作る。この縞の位置に対応して液晶パネルの一つの画素を形成し、画素ごとに透過率を制御することにより、一枚の液晶パネルでカラー表示を行うことが可能となる。そして、液晶パネル9で画素ごとに変調を受けた光は液晶パネルを制御された透過率で透過し、フィールドレンズ11によって収束を受けた後に、投射レンズ13によって拡大されてスクリーン15に投影される。以上の点については、新単板方式をそのまま踏襲したものである。
【0018】
しかし、本願発明ではレンズアレイ7を通過した光の液晶パネル9の光入射面上の位置を画素のピッチの整数倍分移動させる点が異なる。本願発明の実施の形態においてはこのためにレンズアレイ7に対して移動機構27を接続し、移動機構27と液晶パネル9を制御するために制御回路29を設けた。移動機構27は制御回路29から発せられる位置制御信号に従って、レンズアレイ7を液晶パネル9の光入射面と平行に液晶パネル9の画素のピッチの整数倍移動する機能を有する。移動機構27の具体的な実施の態様としては例えば、リニアステッピングモータによる駆動、ボイスコイルモータと位置センサーとの組み合わせによる駆動などが考えられる。レンズアレイ7は移動機構27によって液晶パネル9の画素のピッチの整数倍移動するので、ある画素が時刻によってRの画素になったり、Gの画素になったり、Bの画素になったりする。従って、一つの画素で色順次方式と同様に、3原色を表現することが可能となるので新単板方式の欠点である解像度の問題が解消されるとともに、カラーフィルタを全く用いることなくこれを実現するので色順次方式のように輝度を犠牲にしない。当該画素の隣の画素は同様に、Gの画素として作用する時刻から始まり、Bの画素、Rの画素というように順次色調を変える。そして、このような画素単位の色調の変化と同期して制御回路29からは画素ごとの透過率を変化させるべく透過率制御信号が液晶パネル9に対して供給される。従って、液晶プロジェクタ全体として一つのまとまりのあるカラー画像を表示することが可能となる。
【0019】
本願発明の実施の態様の作用について図2を用いて説明する。まず、図2(b)に示すように、ある時刻t_(1 )でレンズアレイ7のある領域30を通過する光が縞を構成する3つの画素31、32、33がそれぞれB、G、Rの状態にあると仮定する。その後、時刻t_(2 )においてレンズアレイ7が左方向に1画素分移動した場合を図2(a)に示す。このとき、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちGに係わるものは画素31を照射し、Rに係わるものは画素32を照射する。また、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちBに係わるものは図2(b)では表示されていなかった画素31に隣接する画素35を照射することになる。また、画素33はレンズアレイ7の領域30の右隣の領域40を通過する光束のうちBに係わるものによって照射される。従って、画素31、32、33に着目すれば、これらの画素は図2(b)の左からB、G、Rの状態の配列から図2(a)の左からG、R、Bの状態の配列へと変化したことになる。
【0020】
同様に時刻t_(3 )においてレンズアレイ7を右方向に1画素分移動した場合を図2(c)に示す。このとき、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちBに係わるものは画素32を照射し、Gに係わるものは画素33を照射する。また、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちRに係わるものは図2(b)では表示されていなかった画素33に隣接する画素36を照射することになる。また、画素31はレンズアレイ7の領域30の左隣の領域50を通過する光束のうちRに係わるものによって照射される。従って、画素31、32、33に着目すれば、これらの画素は図2(b)の左からB、G、Rの状態の配列から図2(c)の左からR、B、Gの状態の配列へと変化したことになる。
【0021】
図2(b)に示したレンズアレイ7の位置を0と仮定して、図2(a)に示したレンズアレイ7の位置を左方向を負として-1とし、また、図2(c)に示したレンズアレイ7の位置を右方向を正として1とする。そうすると、例えば0→-1→1→0→-1→1・・・と繰返しレンズアレイ7を移動することによって、画素31はB→G→R→B→G→Rと変化する。同様に、画素32はG→R→B→G→R→Bと変化し、画素33はR→B→G→R→B→Gと変化することになる。そして、このような各時刻t_(1 )?t_(3 )における各画素の色の変化に対応して各画素に所望の電位を付与し、透過率を制御することで1画素がカラーの1画素であるようなカラー画像を再現することができる。一つの画素に出現する色を順次変えてカラー表示を行うという点は色順次方式と同様の特徴を有する。
【0022】
レンズアレイ7の動かし方としては時間的な平均をとった場合に各画素に均等にR、G、Bが表れるようにすることが好ましい。R、G、Bを均等に出現させる他の移動のパターンとしては例えば、レンズアレイ7の位置を上述したように定義して、0→1→2→3→4→5→5→4→3→2→1→0・・・というパターンも考えうる。
【0023】
もっとも、動画表示特性を重視するような場合は必ずしもR、G、Bが均等に出現することにこだわる必要もない。例えば0→-1→0→1→0→-1→0→1・・・と繰返しレンズアレイ7を移動することも可能である。この場合は、例えば画素31はB→G→B→R→B→G→B→Rと変化し、Bを表示する時間がR、Gを表示する時間に比べて2倍となる。従って、画質の点では劣るが、一つの駆動ごとのレンズアレイ7の移動距離が短くなるので、より応答性のよい動画表示が可能となる。
【0024】
また、以上の説明ではレンズアレイを移動することによって光束の液晶パネルに対する入射位置を変えたが、他の方法もとることも可能である。例えば、レンズアレイを静止しておき液晶パネルを動かす方法、レンズアレイと液晶パネルを両方同時に動かす方法、ダイクロイックミラーを全体的に傾け反射方向をずらす方法、ダイクロイックミラーとレンズアレイとの間にガルバノミラー、可変形状プリズム等を挿入し光束を偏向させる方法等が考えられる。つまり、結果として光束の液晶パネル上への入射位置を画素ピッチの整数倍分移動する手段であれば本願発明の趣旨は達成可能である。
【0025】
なお、上記の実施例は、ランプより発せられた白色光を複数の色の光束に分解するために、ダイクロックミラーによる反射を用いた例について説明した。しかしながら、透過型位相体積ホログラム(Transmissive Phase Volume Hologram)または透過型位相体積グレーティング(Transmissive Phase Volume Grating)と呼ばれるものを用いれば、それに白色光を透過ささせる(当審注:「させる」の誤記と認める)ことで、複数の色の光束に分解することもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば新単板方式を基本としつつ、色順次方式の利点を取り入れているので、解像度、輝度において優れた液晶プロジェクタを提供することが可能である。
【0027】
より具体的に言うと、本願発明は色順次方式の液晶プロジェクタを基調としつつ、カラーフィルタを除去し、その代わりにダイクロイックミラーによる色分離を行っているので、色順次方式の液晶プロジェクタの欠点である輝度の低さを解消した液晶プロジェクタを提供することができる。
【0028】
また、本願発明は新単板方式の液晶プロジェクタを基調としつつ、一つの画素で3つの色を順次表現できるようにするために、回転形のカラーフィルタを用いる代わりに、レンズアレイを液晶パネルの表面と平行な方向に移動する。従って、新単板方式の液晶プロジェクタの欠点である解像度の低さを解消した液晶プロジェクタを提供することができる。
【0029】
さらに、本願発明では単一の液晶パネルを用いて高輝度、高解像度のカラー表示を実現しているので、CRT方式に比べた場合の液晶プロジェクタ方式の本来の利点である小型・軽量性を損なわないカラー表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一つの実施の態様を示す模式図である。
【図2】本願発明の実施の態様に係わるレンズアレイと液晶パネルの画素との位置関係を示す図である。
【図3】従来の新単板方式に係わる液晶プロジェクタの模式図である。
【図4】新単板方式に係わる液晶プロジェクタのレンズアレイと液晶パネルの画素との位置関係を示す図である。
【図5】従来の色順次方式に係わる液晶プロジェクタの模式図である。
【符号の説明】
1 光源
3 コンデンサレンズ
5 ダイクロイックミラー
7 レンズアレイ
9 液晶パネル
11 フィールドレンズ
13 投射レンズ
15 スクリーン
27 レンズアレイ移動機構
29 制御回路
31、32、33 液晶パネル上の画素
・・・」

(4-2-引用文献1に記載された技術的事項の認定)
(4-2-1-技術的事項1の認定)
引用文献1の記載「【0017】つまり、光源1から発せられた白色光がコンデンサレンズ3によって略平行な光線とされ、その後、角度が微妙に異なる3つのダイクロイックミラー5によって白色光は複数の色の光束に分離され、それぞれの光束は異なった方向で液晶パネル9の位置する方向に反射される。ダイクロイックミラー5で分離された光はレンズアレイ7を介して、液晶パネル9に対して微妙に異なった角度(例えば、-1°、0°、1°)で入射する。液晶パネル9に対して入射する分離された白色光は液晶パネルのセルピッチの略3倍のピッチの凹凸を有するレンズアレイ7を通過することによって液晶パネル9上で焦点を結び、それぞれB、G、Rの順に縞を作る。この縞の位置に対応して液晶パネルの一つの画素を形成し、画素ごとに透過率を制御することにより、一枚の液晶パネルでカラー表示を行うことが可能となる。そして、液晶パネル9で画素ごとに変調を受けた光は液晶パネルを制御された透過率で透過し、フィールドレンズ11によって収束を受けた後に、投射レンズ13によって拡大されてスクリーン15に投影される。以上の点については、新単板方式をそのまま踏襲したものである。【0018】しかし、本願発明ではレンズアレイ7を通過した光の液晶パネル9の光入射面上の位置を画素のピッチの整数倍分移動させる点が異なる。本願発明の実施の形態においてはこのためにレンズアレイ7に対して移動機構27を接続し、移動機構27と液晶パネル9を制御するために制御回路29を設けた。移動機構27は制御回路29から発せられる位置制御信号に従って、レンズアレイ7を液晶パネル9の光入射面と平行に液晶パネル9の画素のピッチの整数倍移動する機能を有する。移動機構27の具体的な実施の態様としては例えば、リニアステッピングモータによる駆動、ボイスコイルモータと位置センサーとの組み合わせによる駆動などが考えられる。レンズアレイ7は移動機構27によって液晶パネル9の画素のピッチの整数倍移動するので、ある画素が時刻によってRの画素になったり、Gの画素になったり、Bの画素になったりする。従って、一つの画素で色順次方式と同様に、3原色を表現することが可能となるので新単板方式の欠点である解像度の問題が解消されるとともに、カラーフィルタを全く用いることなくこれを実現するので色順次方式のように輝度を犠牲にしない。当該画素の隣の画素は同様に、Gの画素として作用する時刻から始まり、Bの画素、Rの画素というように順次色調を変える。そして、このような画素単位の色調の変化と同期して制御回路29からは画素ごとの透過率を変化させるべく透過率制御信号が液晶パネル9に対して供給される。従って、液晶プロジェクタ全体として一つのまとまりのあるカラー画像を表示することが可能となる。」等を総合すると、次の技術的事項(以下、「技術的事項1」という)が認定できる。
(技術的事項1)
《光源1から発せられた白色光がコンデンサレンズ3によって略平行な光線とされ、その後、角度が微妙に異なる3つのダイクロイックミラー5によって白色光が複数の色、即ち赤緑青色の光束に分離され、それぞれの光束が異なった方向で液晶パネル9の位置する方向に反射され、
制御回路29から出力される位置制御信号に従って移動機構27によりレンズアレイ7を液晶パネル9の光入射面と平行に液晶パネル9の画素のピッチの整数倍移動させ、液晶パネル9の画素単位で順次入射する光束の色調を変化させ、
液晶パネル9の画素単位で順次入射する光束の色調の変化と同期して制御回路29から画素単位の透過率を変化させるべく透過率制御信号を液晶パネル9に対して入力し、
液晶パネル9の画素単位で色調が変化させられた光束が液晶パネル9の画素単位で制御された透過率で透過し、フィールドレンズ11によって収束を受けた後に、投射レンズ13によって拡大されてスクリーン15に投影されてカラー画像が表示されること。》

(4-2-2-技術的事項2の認定)
引用文献1の記載「【0019】本願発明の実施の態様の作用について図2を用いて説明する。まず、図2(b)に示すように、ある時刻t_(1 )でレンズアレイ7のある領域30を通過する光が縞を構成する3つの画素31、32、33がそれぞれB、G、Rの状態にあると仮定する。その後、時刻t_(2 )においてレンズアレイ7が左方向に1画素分移動した場合を図2(a)に示す。このとき、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちGに係わるものは画素31を照射し、Rに係わるものは画素32を照射する。また、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちBに係わるものは図2(b)では表示されていなかった画素31に隣接する画素35を照射することになる。また、画素33はレンズアレイ7の領域30の右隣の領域40を通過する光束のうちBに係わるものによって照射される。従って、画素31、32、33に着目すれば、これらの画素は図2(b)の左からB、G、Rの状態の配列から図2(a)の左からG、R、Bの状態の配列へと変化したことになる。【0020】同様に時刻t_(3 )においてレンズアレイ7を右方向に1画素分移動した場合を図2(c)に示す。このとき、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちBに係わるものは画素32を照射し、Gに係わるものは画素33を照射する。また、レンズアレイ7の領域30を通過した光束のうちRに係わるものは図2(b)では表示されていなかった画素33に隣接する画素36を照射することになる。また、画素31はレンズアレイ7の領域30の左隣の領域50を通過する光束のうちRに係わるものによって照射される。従って、画素31、32、33に着目すれば、これらの画素は図2(b)の左からB、G、Rの状態の配列から図2(c)の左からR、B、Gの状態の配列へと変化したことになる。【0021】図2(b)に示したレンズアレイ7の位置を0と仮定して、図2(a)に示したレンズアレイ7の位置を左方向を負として-1とし、また、図2(c)に示したレンズアレイ7の位置を右方向を正として1とする。そうすると、例えば0→-1→1→0→-1→1・・・と繰返しレンズアレイ7を移動することによって、画素31はB→G→R→B→G→Rと変化する。同様に、画素32はG→R→B→G→R→Bと変化し、画素33はR→B→G→R→B→Gと変化することになる。そして、このような各時刻t_(1 )?t_(3 )における各画素の色の変化に対応して各画素に所望の電位を付与し、透過率を制御することで1画素がカラーの1画素であるようなカラー画像を再現することができる。一つの画素に出現する色を順次変えてカラー表示を行うという点は色順次方式と同様の特徴を有する。【0022】レンズアレイ7の動かし方としては時間的な平均をとった場合に各画素に均等にR、G、Bが表れるようにすることが好ましい。R、G、Bを均等に出現させる他の移動のパターンとしては例えば、レンズアレイ7の位置を上述したように定義して、0→1→2→3→4→5→5→4→3→2→1→0・・・というパターンも考えうる。」等を総合すると、次の技術的事項(以下、「技術的事項2」という)が認定できる。
(技術的事項2)
《レンズアレイ7を通過して液晶パネル9に入射する赤緑青色のそれぞれの光束を、液晶パネル9の例えば3つの画素31、32、33について時間的な平均をとった場合に均等に赤色、緑色、青色が表れるように、レンズアレイ7を位置制御することにより液晶パネル9に入射させ、
液晶パネル9の一つの画素に出現する色を順次変えてカラー表示を行う色順次方式を実現すること。》

(4-3-引用発明1の認定)
上記の(4-2-引用文献1に記載された技術的事項の認定)で記載した(技術的事項1)及び(技術的事項2)を総合すると、引用文献1には、次の方法の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されていると認められる。
(引用発明1)
「液晶パネル9の一つの画素に出現する色を順次変えてカラー表示を行う色順次方式を実現する方法であって、
光源1から発せられた白色光がコンデンサレンズ3によって略平行な光線とされ、その後、角度が微妙に異なる3つのダイクロイックミラー5によって白色光が複数の色、即ち赤緑青色の光束に分離され、それぞれの光束が異なった方向で液晶パネル9の位置する方向に反射され、
制御回路29から出力される位置制御信号に従って移動機構27によりレンズアレイ7を液晶パネル9の光入射面と平行に液晶パネル9の画素のピッチの整数倍移動させ、レンズアレイ7を通過して液晶パネル9に入射する赤緑青色のそれぞれの光束を、液晶パネル9の例えば3つの画素31、32、33について時間的な平均をとった場合に均等に赤色、緑色、青色が表れるようにレンズアレイ7を位置制御することにより、液晶パネル9の画素単位で順次入射する光束の色調を変化させて液晶パネル9に入射させ、
液晶パネル9の画素単位で順次入射する光束の色調の変化と同期して制御回路29から画素単位の透過率を変化させるべく透過率制御信号を液晶パネル9に対して入力し、
液晶パネル9の画素単位で色調が変化させられた光束が液晶パネル9の画素単位で制御された透過率で透過し、フィールドレンズ11によって収束を受けた後に、投射レンズ13によって拡大されてスクリーン15に投影されてカラー画像が表示される方法。」

【第5-両発明の対比】
本願発明と引用発明1とを対比する。
(5-1-主たる構成要素についての対比)
本願発明と引用発明1の主たる構成要素についての対比をすると、次のとおりである。

(対比1)
引用発明1においては「液晶パネル9」にカラー画像が表示されている前提で、その後そのカラー画像が「フィールドレンズ11によって収束を受けた後に、投射レンズ13によって拡大されてスクリーン15に投影されて・・・表示される」から、引用発明1の「液晶パネル9」は、本願発明の「表示素子」に相当する。

(対比2)
引用発明1の「色順次方式」は、本願発明の「フィールドシーケンシャル方式」に相当する。これらの構成要素の相当関係は、本願明細書の段落【0004】の記載「以上の2つの方式に対し、眼の時間的分解能の限界を超えてRGBの色を切り換えると混色されて見える加法混色(継時加法混色)に基づく方式がある。フィールド順次(シーケンシャル)や面順次、色順次方式と呼ばれ、RGB画像を時間的に高速に切り換えて表示する方式である。」からも明らかである。

(対比3)
引用発明1の「3つのダイクロイックミラー5によって」「分離され」た「赤緑青色の光束」及び「レンズアレイ7を通過して液晶パネル9に入射する赤緑青色のそれぞれの光束」は、本願発明の「赤色照明光、緑色照明光、青色照明光」に相当する。そして、引用発明1には、本願発明の「無彩色照明光」に相当するものは無い。
さらに、上記の照明光の色数に関係して、引用発明1は赤緑青の3原色に対応する「例えば3つの画素31、32、33」を1単位とするのに対し、本願発明は3原色の他に「無彩色」を利用するもので「隣接する4画素」を1単位としている。

(対比4)
引用発明1の「液晶パネル9の画素単位で順次入射する光束の色調の変化と同期して制御回路29から」「入力」される「画素単位の透過率を変化させる」「透過率制御信号」は、本願発明の「表示素子の各画素への照明光の色に対応した映像信号」に相当する。
しかし、上記(対比3)とも関連するが、引用発明1は赤緑青の3原色を利用するもので、本願発明のように3原色の他に「無彩色」までも利用するものでないため、本願発明の「赤用映像信号、緑用映像信号、青用映像信号」は、引用発明1の構成に明示の記載が無くとも引用発明1の「制御回路29」が当然処理すべき信号であることは明らかであるにしても、本願発明の「無彩色用映像信号」については当然処理されていない。

(5-2-総合対比)
上記(5-1-主たる構成要素についての対比)に記載した(対比1)?(対比4)を基礎にして、本願発明と引用発明1との表面的な差異に拘泥せず、技術思想上の構成要素間の相当性及び共通性を重視して、両発明の実質的な一致点及び相違点を、本願発明の発明特定事項についての表現を優先して記述すると、次のとおりである。

(一致点)
「表示素子に色画像を順次切り換えて表示し、その色画像に応じて照明光の色を切り換えてカラー映像を表示するフィールドシーケンシャル方式のカラー映像表示方法であって、
赤色照明光、緑色照明光、青色照明光を含む照明光により、マトリックス状に画素が配列された表示素子を、隣接する複数の画素を1単位としたときに、各画素への照明光の色は互いに異なり、さらにフィールド期間ごとに色を相互に切り換えて照明し、
カラー映像信号から、赤用映像信号、緑用映像信号、青用映像信号を生成し、さらに前記表示素子の各画素への照明光の色に対応した映像信号を生成し、
その映像信号により前記表示素子を駆動するカラー映像表示方法。」

(相違点)
本願発明は、赤緑青色照明光に加えて「無彩色照明光」を利用しており、このことに付随して、照明光の4色に対応する「隣接する4画素を1単位」とし、赤緑青用映像信号に加えて「無彩色用映像信号」をカラー映像信号から生成するものであるのに対し、引用発明1は、赤緑青色照明光の利用にとどまっており、赤緑青色照明光の3色に対応する「隣接する3画素を1単位」とし、赤緑青用映像信号をカラー映像信号から生成するものである点。

【第6-当審の判断-容易想到性】
(6-1-上記相違点について)
引用発明1において、赤緑青の照明光に加えて「無彩色照明光」も利用してみようとする契機が存在するか否かを、以下重点的に検討する。

まず、引用発明1を開示する引用文献1の記載内容には、なるほど、赤緑青色照明光に加えて「無彩色照明光」を利用することについての直接的な記載は見当たらない。たしかに、引用発明1の光源1から発せられた白色光は、赤緑青色照明光として利用するための分離前の光であって、液晶パネル9の無彩色照明光に対応する画素に無彩色照明光として入射されるものではない。

ところで、引用発明1が属する技術分野である液晶パネルの一つの画素に出現する色を順次変えてカラー表示を行う色順次方式によるカラー画像表示技術においては、色割れを低減するために、1フレームを赤、緑、青の3原色のフィールドに加えて白色のフィールドによって形成することが、本件出願前に周知であったと認められる。
この点に関しては、原査定の拒絶理由に引用された引用文献3である特開平9-90916号公報の記載【0018】【発明が解決しようとする課題】?【課題を解決するための手段】?【0021】?【0040】【発明の効果】を参照されたい。なお、引用文献3では面順次方式に関する技術であると記載されているが、面順次方式はフィールドシーケンシャル方式や色順次方式と同義であることは、既述のとおりである(本願明細書の段落【0004】の記載を参照)。
また、カラー画像表示用の液晶表示装置の色フィルタとして赤、緑、青の3原色のものに加えて白色のものを使用することも、本件出願前に周知であったと認められる。
この点に関しては、原査定の拒絶理由に引用された引用文献2である特開平6-324649号公報の記載【0030】を参照されたい。

そして、本件出願前の上記両周知技術は、液晶パネルをカラー画像表示装置とした場合に、液晶パネルの多数の画素の色分布によって赤、緑、青の3原色画像を表示させるだけではなく、さらに液晶パネルの多数の画素の色分布によって白黒階調画像、即ち無彩色画像を加えて表示させることを教示するものであるから、カラー画像表示のために必要な赤、緑、青の3原色成分に加えて、カラー画像表示のためには直接不必要な無彩色成分を敢えて利用することを示唆するものである。

以上の検討を総合すると、上記引用文献3及び上記引用文献2に記載された本件出願前の上記両周知技術からみて、当業者が、引用発明1において、赤緑青の照明光に加えて、カラー画像表示のためには直接不必要な無彩色成分である「無彩色照明光」も敢えて利用してみようとする契機は存在したと言うべきである。
そうすると、引用発明1において、赤緑青色照明光に加えて「無彩色照明光」を利用することと、このことに付随して、照明光の4色に対応する「隣接する4画素を1単位」とし、赤緑青用映像信号に加えて「無彩色用映像信号」をカラー映像信号から生成するようにして、相違点に係る構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

(6-2-本願発明の容易想到性についての総合的見解)
そして、本願発明の作用効果も、引用発明1及び本件出願前の周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明1及び本件出願前の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

【第7-審判請求人の主張について】
審判請求人は、審判請求書において、概略既述の相違点を根拠に、当業者が本願発明を容易に想到できたものではない旨主張している。しかし、既述の相違点については、上記【第6-当審の判断-容易想到性】の(6-1-上記相違点について)で説示したとおりである。したがって、審判請求人の主張は採用できない。
なお、審尋に対する回答書には補正案が提示され、例えば請求項1については、現請求項3の構成要件を組み込む予定である旨回答されている。しかし、この構成要件についても、原査定の拒絶理由に引用された引用文献2である特開平6-324649号公報の【図5】【図6】からみて、当業者が適宜成し得る設計事項と言うべきものである。

【第8-むすび】
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び本件出願前の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項2?17に係る発明については審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-13 
結審通知日 2012-08-14 
審決日 2012-08-28 
出願番号 特願2000-263065(P2000-263065)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安藤 達哉  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 中塚 直樹
森 雅之
発明の名称 カラー映像表示方法および装置  
代理人 徳本 浩一  
代理人 有原 幸一  
代理人 河村 英文  
代理人 深川 英里  
代理人 松島 鉄男  
代理人 奥山 尚一  
代理人 広瀬 幹規  
代理人 吉田 尚美  
代理人 森本 聡二  
代理人 田中 祐  
代理人 角田 恭子  
代理人 中村 綾子  
代理人 渡辺 篤司  
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