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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1268709
審判番号 不服2011-8226  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-18 
確定日 2013-01-07 
事件の表示 特願2006-527987「ブロードキャストメディアにリンクして購入するためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月21日国際公開、WO2005/036316、平成19年 3月22日国内公表、特表2007-507160〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本件出願は、2004年8月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年9月26日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成22年12月15日付けで拒絶査定されたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成23年本件4月18日付けで請求された拒絶査定不服審判であり、同日付けで手続補正(明細書、特許請求の範囲又は図面について請求と同時にする補正)がなされたものである。

2 補正却下の決定
平成23年4月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」ともいう。)について次の通り決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成23年4月18日付けの手続補正を却下する。

[理由]
本件補正は請求項11に関する次の補正を含む。
請求項11に関する補正は、
(補正前)
「ブロードキャストメディアとリンクして、商品およびサービスを購入するための方法であって、該方法は、
ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディアをブロードキャスト受信器において受信するステップと、
該ブロードキャストメディアに関連して購入する商品およびサービスのための、購入データを該ブロードキャスト受信器において選択的に記録するステップと、
少なくとも1つのサーバへ該購入データを該ブロードキャスト受信器から送信するステップと、
該少なくとも1つのサーバにおいて該購入データを受信するステップと、
該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップと
を包含する方法。」

(補正後)
「ブロードキャストメディアとリンクして、商品およびサービスを購入するための方法であって、該方法は、
購入リクエストをブロードキャスト受信器において受信するステップと、
明白な識別データがブロードキャストメディア中に存在するか否かを決定し、要求した商品又はサービスが購入可能でないときとは指示を形成するステップと、
ブロードキャストメディアが明白な識別を有していないとき、前記収集したデータをサーバに送信することによって、商品およびサービスに関連する情報の決定を実行するステップと、
購入リクエストに関連した商品およびサービスのための購入データをブロードキャスト受信器で選択的に記録するステップと、
前記購入データまたは収集したデータを前記ブロードキャスト受信器によって少なくとも1つのサーバに送信するステップと、
前記購入データまたは収集したデータを前記少なくとも1つのサーバにおいて受信するステップと、
購入データが受信できないときは、前記収集したデータに基づき、リクエストした商品およびサービスに関連する情報を決定するステップと、
購入を認証するステップと、
もし、購入データが存在しない場合は、受信した収集データからリクエストした商品及びサービスに関連する情報を決定し、更なる交渉無しに購入が実行されるステップと、
を包含する方法。」
とする補正である。

この補正は、まず、「ブロードキャスト受信器において受信するステップ」について、「ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディアをブロードキャスト受信器において受信するステップ」(補正前)を「購入リクエストをブロードキャスト受信器において受信するステップ」(補正後)とする補正事項1を含む。
この補正事項1において、補正前は、ブロードキャスト受信器において受信するものが「ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディア」であると特定しているところ、補正後にあっては「購入リクエスト」であると特定され、ブロードキャスト受信器において受信するものとして「購入リクエスト」が加えられると共に「ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディア」が削除されている。
次に、「ブロードキャスト受信器で選択的に記録するステップ」について、「該ブロードキャストメディアに関連して購入する商品およびサービスのための、購入データを該ブロードキャスト受信器において選択的に記録するステップ」(補正前)を「購入リクエストに関連した商品およびサービスのための購入データをブロードキャスト受信器で選択的に記録するステップ」(補正後)とする補正事項2を含む。
この補正事項2において、「商品およびサービス」に関して、補正前は「該ブロードキャストメディアに関連して購入する」と特定しているところ、補正後にあっては、「購入リクエストに関連した」と特定され、「商品およびサービス」の関連として、「購入」に関しては共通するものの「該ブロードキャストメディア」が削除され、「リクエスト」が加えられている。
さらに、補正事項1、補正事項2とともに、「商品およびサービス」が「リクエストした」と特定されるステップ(「商品およびサービスに関連する情報を決定するステップ」および「購入が実行されるステップ」)を付加する補正(補正事項3)が含まれる。
これらの補正事項1ないし3から、請求項11に関する補正は、補正前の請求項11に係る発明である、購入の対象とされる「商品およびサービス」を「ブロードキャストメディア」との関連で特定する発明から、「ブロードキャストメディア」との関連の特定を削除し、「リクエスト」との関連を特定する発明(補正後の請求項11に係る発明)に変更するものと認められる。

また、補正前の「該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップ」が削除され、「購入を認証するステップ」が付加される補正(補正事項4)が含まれる。
「ベリファイするステップ」は、本願明細書、図4で、購入者の認定(決定94)に続く「決定98」でなされ、その結果、購入が記録される(ステップ100)。この購入が記録される(ステップ100)ことで購入がなされると認められるから、購入者の認定(決定94)およびベリファイ(決定98)が、補正後でいう「購入を認証する」ことに対応すると認められる。
そうすると、補正事項4は、「購入を認証する」ことに関して、補正前は具体的に「ベリファイするステップ」を特定しているところ、補正後は具体的な「ベリファイ」を特定せず、概念的に上位と認められる「購入を認証する」に発明を拡張するものと認められ、請求項11に関する補正は、発明を拡張するものと認められる。

このようであるから、請求項11に関する補正は、発明を変更し、また、拡張する補正といえ、請求項11に関する補正を含む本件補正は、発明を変更し、また、拡張する補正というべきである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって補正却下の決定の結論のとおり決定する。

3 本願発明について
(1)本願発明
平成23年4月18日付けの手続補正は上記のとおり却下したので、本件出願に係る発明は、平成22年11月12日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項17までの各請求項に係る発明であるところ、これら発明のうち、請求項11に係る発明(以下、これを「本願発明」ともいう)は次のとおりのものである。

[本願発明](請求項11に係る発明)
ブロードキャストメディアとリンクして、商品およびサービスを購入するための方法であって、該方法は、
ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディアをブロードキャスト受信器において受信するステップと、
該ブロードキャストメディアに関連して購入する商品およびサービスのための、購入データを該ブロードキャスト受信器において選択的に記録するステップと、
少なくとも1つのサーバへ該購入データを該ブロードキャスト受信器から送信するステップと、
該少なくとも1つのサーバにおいて該購入データを受信するステップと、
該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップと
を包含する方法。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用された米国特許出願公開第2003/0097338号明細書(2003年5月22日発行、以下「引用例」という)には、図面(FIG.1,FIG.2)と共に次の記載がある。

〈引用例の記載〉
「[0002] This invention relates to the field of consumer electronics, and in particular to consumer devices that facilitate e-commerce.」
(訳文)
本発明は、民生用エレクトロニクスの分野に関し、特に電子商取引を容易にする民生用機器に関する。

「BRIEF SUMMARY OF THE INVENTION」
「[0007] It is an object of this invention to provide devices and techniques that facilitate impulse buying via electronic-commerce. It is a further object of this invention to provide a purchasing process that facilitates the purchase of copy protected content material. It is a further object of this invention to provide a system that facilitates the purchase and transfer of content material to portable devices.
[0008] These objects, and others, are achieved by providing devices that can be used to initiate a purchase of content material as the content material is being presented to a consumer. If, while listening to or viewing content material from a provider, the consumer decides the purchase the content material, or an item associated with the content material, the consumer activates a “buy”button on the device that is rendering the content material. The rendering device associates an item identifier associated with the content material to this “buy”command, and forms a purchase request containing this item identifier. If the rendering device has a receive-only capability relative to the provider of the content material, the purchase request is stored until the rendering device is brought in contact with a content access device that is able to transmit to the provider. The purchase request, including certification information such as a customer identification number, a credit card number, and the like, is communicated to the provider by the content access device or by a rendering device that is able to transmit to the provider.」
(訳文)
発明の概要
[0007] 本発明の目的は電子商取引を介して衝動買いを容易にする装置と技術を提供することである。本発明の更なる目的は、コピー保護されたコンテンツ素材の購入を容易にする購入処理を提供することである。本発明の更なる目的は、コンテンツ素材の購入と転送を携帯装置に容易にするシステムを提供することである。
[0008]これらの及び他の目的は、コンテンツ素材が消費者に提示されているときにコンテンツ素材の購入を開始するのに使用できる装置を提供することにより達成される。プロバイダーからのコンテンツ素材を聴きながら又は見ながら、消費者がコンテンツ素材又はコンテンツ素材に関連するアイテムを購入することを決定する場合には、消費者は、コンテンツ素材を再生している装置上の“購入”ボタンを活性化する。再生装置は、コンテンツ素材に関連するアイテム識別子を、この“購入”コマンドに関連付け、そして、このアイテム識別子を含む購入要求を形成する。再生装置がコンテンツ素材のプロバイダーに対して受信のみの能力を有する場合には、表現装置がプロバイダに送信できるコンテンツアクセス装置と接続されるまで、購入要求は蓄積される。顧客識別番号、クレジットカード番号及び、同様なもののような、証明情報を含む購入要求は、コンテンツアクセス装置により又はプロバイダーに送信できる再生装置によりプロバイダーに通信される。

「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION」
「[0017] FIG. 1 illustrates an example block diagram of a content receiver 100 and portable device 200 in accordance with this invention. The example content receiver 100 includes a content access device 110 , a rendering device 120 , a memory 130 , and a purchase request processor 150 . 」
(訳文)
発明の詳細な説明
図1は、本発明に従ったコンテンツ受信器100と携帯装置200の例示のブロック図を示す。例示のコンテンツ受信器100は、コンテンツアクセス装置110、再生装置120、メモリ130及び、購入要求プロセッサ150を有する。

「[0018] In accordance with one aspect of this invention, the content material 11 is provided from the content provider 10 for a once-only rendering. If a consumer decides to purchase the content material 11 while it is being rendered, or within a particular time frame during and after the rendering, the consumer initiates a purchase, via for example, the “buy”button 155 , that is processed by the purchase request processor 150 .
For the purposes of this invention, the term“purchase”is used herein to indicate an acquisition of rights, and can include, for example, a lease or rental of the content material for a limited period, an acquisition of playback rights with or without copy rights, a re-purchase of expired rights, an acquisition of alternative forms of the content material, and so on. The processed purchase request contains the appropriate information for executing a purchase, such as a customer identification number, a credit card number, a personal identification number (PIN), or other such information that certifies the purchase as being authentic. The processed purchase request also includes an identification of the content material 11 being purchased. The content access device 110 communicates the processed purchase request 12 to the content provider 10 , and optionally, receives an acknowledgement from the content provider 10 , via the same or alternative communications path that the content material 11 is received. 」
(訳文)
[0018]本発明の一態様では、コンテンツ素材11は、1回のみ再生するためにコンテンツプロバイダ10から提供される。消費者が、コンテンツ素材11をそれが再生されているときに又は再生されている間の又はその後の特定の時間フレーム内で、購入すること決定する場合には、消費者は例えば、”購入”ボタン155を介して、購入を開始し、それは、購入要求プロセッサ150により処理される。本発明の目的のために、用語”購入”はここでは、権利の取得を示すのに使用されそして、例えば、制限された期間のコンテンツ素材のリース又はレンタル、著作権のある又はない再生権の取得、失効した権利の再購入、コンテンツ素材の代わりの形式の取得等を含むこととが可能である。処理された購入要求は、顧客識別番号、クレジットカード番号、個人識別番号(PIN)又は、購入が真正であることを証明する他のそのような情報のような、購入を実行するのに適切な情報を含む。処理された購入要求は、また、購入されるコンテンツ素材11の識別子を有する。コンテンツアクセス装置110は、処理された購入要求12をコンテンツプロバイダー10に通信し、そして、随意に、コンテンツ素材11が受信されるのと同じ又は代わりの通信経路を介して、コンテンツプロバイダー10から受取通知を受信する。

「[0023] Note that the above description has been limited to the purchase of content material 11 that is communicated by the content provider 10 for rendering by the content receiver 100 . The principles and techniques presented above may also be used to purchase material that is associated with the content material 11 , rather than the content material itself For example, if a commercial advertisement is being broadcast as “content material”11 , the aforementioned identification of the content material will identify the product being advertised, and the purchase request will be for the advertised material, rather than for the advertisement.」
(訳文)
[0023] 上述の説明は、コンテンツ受信器100で再生するためにコンテンツプロバイダー10によって伝送されるコンテンツ素材11の購入に制限されていることに注目されたい。上述の原理と技術は、コンテンツ素材そのものよりも、コンテンツ素材11に関連する素材を購入するのにも使用され得る。例えば、商業広告が“コンテンツ素材”11として放送される場合には、コンテンツ素材の前述の識別子は宣伝されている製品を識別し、そして、購入要求は、宣伝に対するものではなく、宣伝されている素材に対するものである。)

「[0024] The principles presented above to facilitate impulse buying can also be extended to portable devices, thereby further increasing the opportunities for such impulse buying. FIG. 1 also illustrates an example block diagram of a portable device 200 that can be used to effect an impulse buy. The portable device 200 includes a broadcast receiver 210 , a rendering device 120 , a“buy”button 155 , and a purchase request buffer 250 . The broadcast receiver 210 receives content material. If the consumer desires to purchase the content material, or an item associated with the content material, the consumer presses the
“buy”button 155 . The purchase request buffer stores an identification of the content material corresponding to this purchase request. As noted above, this identification of the content material is broadcast with the broadcast content material, typically as a preamble or postscript to each item of content information.」
(訳文)
[0024]衝動買いを容易にする上述の原理は、携帯装置へ拡張され、それにより、更にそのような衝動買いの機会が増加する。図1は衝動買いを実行するのに使用できる携帯装置200の例示のブロック図を示す。携帯装置200は、放送受信器210、再生装置120、"購入"ボタン155及び、購入要求バッファ250を有する。放送受信器210は、コンテンツ素材を受信する。消費者が、コンテンツ素材又はコンテンツ素材に関連するアイテムを購入することを望む場合には、消費者は"購入"ボタン155を押す。購入要求バッファは、購入要求に対応するコンテンツ素材の識別子を蓄積する。上述のように、コンテンツ素材のこの識別子は、典型的には、コンテンツ情報の各アイテムに対するプリアンプル又はポストスクリプトとして、放送コンテンツ素材と共に放送される。

「[0025] When the portable device 200 is brought to the vicinity of the content receiver 100 , the stored purchase requests are communicated to the purchase request processor 150 of the content receiver 100 . As illustrated in FIG. 2 , the content receiver 100 in a preferred embodiment includes a local receiver 156 for receiving the information from the portable device 200 . The portable device 200 includes a corresponding local transmitter ( 212 in FIG. 5 ). The portable device 200 in an example embodiment includes an infrared transmitter, and the content receiver 100 includes an infrared receiver, common in the art of remote control devices. The communication of this information can be initiated by the consumer by pressing an appropriate button (not illustrated) on the portable device 200 , or a protocol can be implemented wherein the transfer of information occurs whenever the portable device 200 comes in range of the content receiver 100 .」
(訳文)
[0025] 携帯装置200がコンテンツ受信器100の近くにあるときには、蓄積された購入要求は、コンテンツ受信器100の購入要求プロセッサ150に通信される。図2に示すように、好適な実施例内のコンテンツ受信器100は、携帯装置200から情報を受信するための局部受信器156を含む。携帯装置200は対応する局部送信器(図5の212)を有する。例示の実施例中の携帯装置200は、遠隔制御装置の技術で一般的なように、赤外送信器を有し、そして、コンテンツ受信器100は赤外受信器を有する。この情報の通信は、携帯装置200上の(図示していない)適切なボタンを押すことにより消費者により開始され、或は、携帯装置200がコンテンツ受信器100の範囲内に来たときにいつでも、情報の転送が発生する、プロトコルが実行される。)

「[0026] In response to the receipt of purchase requests from the portable device 200 , the content receiver 100 communicates a corresponding processed purchase request, containing the aforementioned certification information 151 , to the content provider 10 for execution. Depending upon the particular request and the capabilities of the content receiver 100 , the content provider 10 fulfills the purchase request by shipping the requested material to the consumer, or by transmitting the content material 11 directly to the content provider 10 with an appropriate rendering authorization.
[0027] Note that, relative to the portable device 200 and this aspect of the invention, the content receiver 100 may be a conventional set-top box, without the aforementioned memory 130 or security device 132 , that merely acts as a communications link with the content provider 10 .」
(訳文)
[0026] 携帯装置200からの購入要求の受信に応答して、コンテンツ受信器100は、前述の証明情報151を含む、対応する処理された購入要求を、その実行のためにコンテンツプロバイダー10へ通信する。コンテンツ受信器100の特定の要求と能力に依存して、コンテンツプロバイダー10は、要求された素材を消費者へ発送することにより、又は、適切な再生認可を伴なってコンテンツプロバイダー10へ直接的にコンテンツ素材11を送信することにより、コンテンツプロバイダー10は購入要求を実行する。
[0027] 携帯装置200と本発明のこの態様に関して、コンテンツ受信器100は、前述のメモリ130又は安全装置132なしに、コンテンツプロバイダー10と通信リンクとして単に働く、従来のセットトップボックスでもよいことに注意されたい。

「[0032] The foregoing merely illustrates the principles of the invention. It will thus be appreciated that those skilled in the art will be able to devise various arrangements which, although not explicitly described or shown herein, embody the principles of the invention. For example, in a multiple-user environment, each portable device 200 may include a unique user identification, and the content receiver 100 may provide different certification information 151 in dependence upon the unique user identification associated with each received purchase request. Alternatively, the portable device 200 may include the certification information 151 associated with each individual user, and include the processing capabilities to provide a complete processed purchase request. In this embodiment, the content receiver need merely be a system that transfers the processed purchase request to a content provider. For example, such a system may be embodied in a public kiosk that the consumer drives through to place processed purchase requests that are stored in the consumer's vehicular or personal portable device's purchase request buffer.」
(訳文)
[0032]前述したものは、単に本発明の原理を示すものである。ここでは明確に説明されてはいないが、当業者には本発明の原理を実現する種々の配置を工夫できることが理解されるであろう。例えば、複数のユーザ環境では、各携帯装置200は、唯一のユーザ識別子を有し、そして、各受信された購入要求に関連する唯一のユーザ識別子に従って、コンテンツ受信器100は異なる証明情報151を提供してもよい。代わりに、携帯装置200は、各個々のユーザに関連する証明情報151を有してもよく、そして、完全に処理された購入要求を提供する処理能力を有してもよい。本実施例では、コンテンツ受信器は単に、コンテンツプロバイダーに処理された購入要求を転送するシステムである。例えば、そのようなシステムは、消費者が、消費者の車載の又は個人の携帯装置の購入要求バッファ内に蓄積された、処理された購入要求を提出するために車で通り抜ける公共のキオスクで、実現可能である。

「We claim:」
15 . A method for facilitating a purchase of an item associated with content material, the process comprising:
receiving the content material and an identifier of the item,
rendering the content material,
receiving a buy command at a time that is coincident with a time interval associated with the rendering of the content material,
creating a purchase request that includes the identifier of the item in response to the buy command, and
communicating the purchase request to a provider of the item.」
(訳文)
請求事項:
15.コンテンツ素材に関連するアイテムの購入を容易にする方法であって、
処理は、
コンテンツ素材とアイテムの識別子を受信し、
コンテンツ素材を再生し、
コンテンツ素材の再生に関連する時間間隔と同期する時間で購入コマンドを受信し、
購入コマンドに応答してアイテムの識別子を有する購入要求を形成し、
購入要求をアイテムのプロバイダーに通信することを含む方法。
〈引用例の記載、以上〉

上記引用例の記載によると、引用例には、電子商取引を容易にする民生用機器に関する技術が記載されている。
引用例記載の上記技術は、概要、引用例の上記発明の概要の項、特にその前掲[0008]の記載に示されるように、消費者がプロバイダーからのコンテンツ素材を聴きながら(又は見ながら)、そのコンテンツ素材又はコンテンツ素材に関連するアイテムの購入を決定する場合、上記コンテンツ素材を再生している再生装置上の“購入”ボタンを活性化(オン操作)すると、再生装置が上記コンテンツ素材に関連するアイテム識別子を含む購入要求を形成し、この購入要求がプロバイダ(購入の発注先)に送信されるようにしたものである。
具体的には、
「携帯装置200は、放送受信器210、再生装置120、"購入"ボタン155及び、購入要求バッファ250を有する。放送受信器210は、コンテンツ素材を受信する。消費者が、コンテンツ素材又はコンテンツ素材に関連するアイテムを購入することを望む場合には、消費者は"購入"ボタン155を押す。購入要求バッファは、購入要求に対応するコンテンツ素材の識別子を蓄積する。上述のように、コンテンツ素材のこの識別子は、典型的には、コンテンツ情報の各アイテムに対するプリアンプル又はポストスクリプトとして、放送コンテンツ素材と共に放送される。」[0024]
「携帯装置200がコンテンツ受信器100の近くにあるときには、蓄積された購入要求は、コンテンツ受信器100の購入要求プロセッサ150に通信される。」[0025]
「携帯装置200からの購入要求の受信に応答して、コンテンツ受信器100は、前述の証明情報151を含む、対応する処理された購入要求を、その実行のためにコンテンツプロバイダー10へ通信する。コンテンツ受信器100の特定の要求と能力に依存して、コンテンツプロバイダー10は、要求された素材を消費者へ発送することにより、又は、適切な再生認可を伴なってコンテンツプロバイダー10へ直接的にコンテンツ素材11を送信することにより、コンテンツプロバイダー10は購入要求を実行する。」[0026]
ものについて、
「前述したものは、単に本発明の原理を示すものである。ここでは明確に説明されてはいないが、当業者には本発明の原理を実現する種々の配置を工夫できることが理解されるであろう。・・・代わりに、携帯装置200は、各個々のユーザに関連する証明情報151を有してもよく、そして、完全に処理された購入要求を提供する処理能力を有してもよい。本実施例では、コンテンツ受信器は単に、コンテンツプロバイダーに処理された購入要求を転送するシステムである。例えば、そのようなシステムは、消費者が、消費者の車載の又は個人の携帯装置の購入要求バッファ内に蓄積された、処理された購入要求を提出するために車で通り抜ける公共のキオスクで、実現可能である。」[0032]
とされる技術が記載されている。

この「代わりに、携帯装置200は、各個々のユーザに関連する証明情報151を有してもよく、そして、完全に処理された購入要求を提供する処理能力を有してもよい。」[0032]とされる技術を引用例に記載された発明(以下、「引用発明」ともいう)とする。
引用発明は「代わりに」とする上記前提の具体的構成において、携帯装置200が「購入要求に対応するコンテンツ素材の識別子を蓄積する」際に、蓄積する「識別子」を、その識別子を受けてコンテンツ受信器100がコンテンツプロバイダー10へ通信していた「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」として蓄積する構成を有すると認められる。

(3)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
a 基本要件について
本願発明は、その基本要件を「ブロードキャストメディアとリンクして、商品およびサービスを購入するための方法であって、」とするものであり、これに対し、引用発明は、引用例の前記「請求事項:15」(請求項15)に示されるように、「A method for facilitating a purchase of an item associated with content material」(コンテンツ素材に関連するアイテムの購入を容易にする方法)といえるものであって、「購入するための方法」として本願発明と対応するものである。

ここで、引用発明のこの方法は、引用例の前記[0024]の記載によると、 携帯装置(portable device)200を用いても実行可能なもので、その場合、
「The portable device 200 includes a broadcast receiver 210 , a rendering device 120 , a“buy”button 155 , and a purchase request buffer 250 . The broadcast receiver 210 receives content material. If the consumer desires to purchase the content material, or an item associated with the content material, the consumer presses the“buy”button 155 .The purchase request buffer stores an identification of the content material corresponding to this purchase request.」(携帯装置200は、放送受信器210、再生装置120、"購入"ボタン155及び、購入要求バッファ250を有する。放送受信器210は、コンテンツ素材を受信する。消費者が、コンテンツ素材又はコンテンツ素材に関連するアイテムを購入することを望む場合には、消費者は"購入"ボタン155を押す。購入要求バッファは、購入要求に対応するコンテンツ素材の識別子を蓄積する。)
「[0025] When the portable device 200 is brought to the vicinity of the content receiver 100 , the stored purchase requests are communicated to the purchase request processor 150 of the content receiver 100 .」(携帯装置200がコンテンツ受信器100の近くにあるときには、蓄積された購入要求は、コンテンツ受信器100の購入要求プロセッサ150に通信される。)
「[0026] In response to the receipt of purchase requests from the portable device 200 , the content receiver 100 communicates a corresponding processed purchase request, containing the aforementioned certification information 151 , to the content provider 10 for execution. 」( 携帯装置200からの購入要求の受信に応答して、コンテンツ受信器100は、前述の証明情報151を含む、対応する処理された購入要求を、その実行のためにコンテンツプロバイダー10へ通信する。)
というものにおいて、携帯装置200が「購入要求に対応するコンテンツ素材の識別子を蓄積する」際に、蓄積する「識別子」を、その識別子を受けてコンテンツ受信器100がコンテンツプロバイダー10へ通信していた「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」として蓄積する構成を有するものである。
そこで、上記携帯装置200を用いた場合の引用発明の方法についてみると、当該方法は、概要、携帯装置200の放送受信器210で受信したコンテンツ素材について、消費者(すなわちコンテンツ素材の受信者)が当該コンテンツ素材又はこれに関連するアイテムの購入を望む場合に、“購入”ボタン155を押すことでその購入を要求し(携帯装置200が購入要求を蓄積し)、この購入要求をコンテンツ受信器100経由で当該購入要求の実行のためにコンテンツプロバイダー10へ送信する(コンテンツプロバイダ10で、要求された購入が実行される)というものであって、かかる方法は、放送及び放送に含まれるコンテンツ素材の受信、選択によりなされるから、「ブロードキャストメディアにリンクして、」購入する方法といえる。

ここで、上記方法で購入するコンテンツ素材又はこれに関連するアイテムは、購入対象としての商品ともいえるものであるが、特に上記コンテンツ素材に関連するアイテムに関し、引用例には、前記[0023]の記載中に
「For example, if a commercial advertisement is being broadcast as “content material”11 , the aforementioned identification of the content material will identify the product being advertised, and the purchase request will be for the advertised material, rather than for the advertisement.」(例えば、商業広告が“コンテンツ素材11”として放送される場合には、コンテンツ素材の前述の識別子は宣伝されている製品を識別し、そして、購入要求は、宣伝に対するものではなく、宣伝されている素材に対するものである。)
との記載があるから、上記方法で購入可能な商品は、商業広告で宣伝される一般的な商品をも含むものである。
また、上記方法での“購入”について、引用例には、前記[0018]の記載中に
「For the purposes of this invention,the term“purchase”is used herein to indicate an acquisition of rights, and can include, for example, a lease or rental of the content material for a limited period, ・・・and so on.」(本発明の目的のために、用語“購入”はここでは、権利の取得を示すのに使用され、そして、例えば、制限された期間のコンテンツ素材のリース又はレンタル・・・等を含むことが可能である。)
との記載があり、ここでいう“コンテンツ素材のリース又はレンタル・・・等”は「サービス」といいうるものでもあるから、上記方法での“購入”は、商品ばかりではなく、サービスをも購入し得るものである。

よって、引用発明は、その基本要件として、本願発明と同じく、「ブロードキャストメディアとリンクして、商品およびサービスを購入するための方法」といえるものであり、この点で両者は一致している。

b ブロードキャストメディアを受信するステップについて
本願発明のこのステップは、前記のとおり「ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディアをブロードキャスト受信器において受信する」ものである。
ここで、本願発明の上記「ブロードキャスト受信器」は、上記のようにブロードキャストメディアの受信を行うほか、その動作についての後記ステップ(「c購入データを記録するステップ」)での特定事項から明らかなように、上記商品およびサービスを購入するための購入データの記録をも行うものである。
然るに、引用発明でも、上記のように、携帯装置200(その放送受信器210)によってブロードキャストメディアが受信されるといえ、かつ、この携帯装置200は、「購入要求に対応するコンテンツ素材の識別子を蓄積する」際に、蓄積する「識別子」を、その識別子を受けてコンテンツ受信器100がコンテンツプロバイダー10へ通信していた「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」として蓄積する構成を有する。
引用発明での「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」として蓄積される上記コンテンツ素材の識別子は、引用例の前記[0024]の記載中の
「this identification of the content material is broadcast with the broadcast content material, typically as a preamble or postscript to each item of content information.」(コンテンツ素材のこの識別子は、典型的には、コンテンツ情報の各アイテムに対するプリアンプル又はポストスクリプトとして、放送コンテンツ素材と共に放送される。)
との記載によると、放送コンテンツ素材に含まれこれと共に放送されるものであり、したがって携帯装置200では、上記コンテンツ素材の識別子を含むブロードキャストメディアを受信していることになり、また、このコンテンツ素材の識別子は、上記のように、ブロードキャストメディアとリンクして商品およびサービスを購入する上で、消費者すなわちブロードキャストメディアの受信者の購入要求に対応する識別子が、「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」としてコンテンツプロバイダ10に送信され、これによって上記受信者の購入要求に応じた商品およびサービスの購入が実行されるのであるから、この「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」は「購入データ」といい得るものである。
上記のように「受信」を行い、「購入データ」といい得る「証明情報151を含む、対応する処理された購入要求」を蓄積、すなわち、記録する携帯装置200は、本願発明の「ブロードキャスト受信器」といいえ、したがって、引用発明も、本願発明と同じく「ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディアをブロードキャスト受信器において受信するステップ」を有しているといえるから、この点で両者は一致している。

c 購入データを記録するステップについて
本願発明のこのステップは、前記のとおり「該ブロードキャストメディアに関連して購入する商品およびサービスのための、購入データを該ブロードキャスト受信器において選択的に記録する」ものである。
本願明細書において、「購入データ」に関して「選択」という用語が、人が購入のために選択したことに起因する事象に用いられていることから、このステップにおいて「購入データを・・選択的に記録する」というのは、人が購入のために選択した商品などの購入データを記録することをいうものと認められる。
上記bで述べたとおり、携帯装置200は「購入データを記録する」といいうるものであり、その記録は当然に消費者の選択によってなされるから、引用発明も、本願発明と同じく「ブロードキャストメディアに関連して購入する商品およびサービスのための、購入データを該ブロードキャスト受信器において選択的に記録するステップ」を有しているといえ、この点で両者は一致している。

d 購入データの送信ステップと受信ステップについて
これらのステップは、前記のとおり、「少なくとも1つのサーバへ該購入データを該ブロードキャスト受信器から送信するステップと、該少なくとも1つのサーバにおいて該購入データを受信するステップ」であるが、引用発明でも、前記したとおり、上記処理された購入要求をその実行のためにコンテンツプロバイダー10へ通信(送信)しており、これに伴い、コンテンツプロバイダー10は、上記処理された購入要求を受信しているといえる。
ここで、上記「処理された購入要求」が「購入データ」といえるものであることは上記bで認定したとおりであり、また、上記処理された購入要求(購入データ)は、それを記録した携帯装置200(ブロードキャスト受信器)からコンテンツ受信器を介して上記コンテンツプロバイダ10へ送信されるといえるから、これらの点を踏まえると、引用発明でも、本願発明の上記各ステップと同様、少なくとも1つのコンテンツプロバイダーへ購入データをブロードキャスト受信器から送信し、少なくとも1コンテンツプロバイダーにおいて該購入データを受信しているといえる。
ただし、引用発明では、上記購入データの送信先(受信サイト)は「コンテンツプロバイダー」であって、本願発明の上記ステップでいう「サーバ」ではない。
しかしながら、上記「コンテンツプロバイダー」と「サーバ」は、「購入データ」の送り先であって、消費者から見て販売者に対応することから、いずれもインターネット等でアクセス可能な「販売サイト」として共通するものといえる。
よって、本願発明と引用発明とは、「少なくとも1つの販売サイトへ該購入データを該ブロードキャスト受信器から送信するステップと、該少なくとも1つの販売サイトにおいて該購入データを受信するステップ」を有している点で一致し、上記販売サイトが、本願発明では「サーバ」であるのに対し、引用発明では「コンテンツプロバイダー」である点で相違している。

e 購入データをベリファイするステップについて
本願発明の当該ステップは、前記のとおり、「該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップ」である。
これは、本願の図4を用いた説明によれば、「サーバ」が「購入データ」を受信して、ベリファイ可能な場合に「購入を記録」(図4ステップ100)しており、この「購入を記録」することで販売がなされる理解すべきであるから、この「ベリファイする」ことは、販売行為の手続の一部であり、「販売すること」の手続の一つの具体をいうものと認められる。
引用発明では、「コンテンツプロバイダー」が購入要求を実行しており、当然に販売手続をおこなうと認められるが、販売手続として「購入データをベリファイする」ことは特定されない。
したがって、本願発明と引用発明とは、「販売サイト」(本願発明「サーバ」、引用発明「コンテンツプロバイダー」)で販売手続をするステップを包含する点で一致するが、「販売サイト」で販売手続をするステップで、本願発明は「該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップ」を包含するところ、引用発明は、そのような特定がなされていない点で相違する。

f 対比結果のまとめ(一致点、相違点)
以上の対比結果をまとめると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。

〈一致点〉
ブロードキャストメディアとリンクして、商品およびサービスを購入するための方法であって、該方法は、
ブロードキャストメディアを受信する人によって購入可能な商品、およびサービスに関する情報を含む該ブロードキャストメディアをブロードキャスト受信器において受信するステップと、
該ブロードキャストメディアに関連して購入する商品およびサービスのための、購入データを該ブロードキャスト受信器において選択的に記録するステップと、
少なくとも1つの販売サイトへ該購入データを該ブロードキャスト受信器から送信するステップと、
該少なくとも1つの販売サイトにおいて該購入データを受信するステップと、
販売サイトで販売手続をするステップ
を包含する方法。

〈相違点〉
(相違点1)
上記販売サイトが、本願発明では「サーバ」であるのに対し、引用発明では「コンテンツプロバイダー」である点。

(相違点2)
「販売サイト」で販売手続をするステップで、本願発明は「該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップ」を包含するところ、引用発明は、そのような特定がなされていない点で相違する。

(4)判断
a 相違点1について
相違点1は、販売サイトについて、本願発明では「サーバ」と特定して「装置」の観点から特定するところ、引用発明では「コンテンツプロバイダー」として、「コンテンツをプロバイドする者」という販売・購入におけるサービスを提供する立場として特定することの違いによる相違といえる。
引用発明において、販売・購入におけるサービスを提供する立場として特定される「コンテンツプロバイダー」を実現するにあたって、ネットワーク上でサービスを提供する装置として普通に採用される「サーバ」で実現することは、当業者が普通になすことといいうる。
そして、引用発明が、装置を用いた方法であることから、販売・購入におけるサービスを提供する立場として特定される「コンテンツプロバイダー」を、「装置」の観点から、「サーバ」とする発明を容易に想到できるといえる。
したがって、引用発明において、「コンテンツプロバイダー」を「サーバ」として相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到できることといえる。

b 相違点2について
相違点2に係る本願発明の「購入データをベリファイするステップ」は、補正却下の決定においても述べたように、本願明細書、図4で説明され、「購入を認証する」販売手続の一過程であると認められる。
そして、購入者の認定(認証)がなされた後に別途に行われる行為であって、「ベリファイ」のデータ処理の分野での一般的な用語「ベリファイ」の意味が、データに誤りがないか、規格に従っているるかを検査するという意味で用いられることから、相違点2に係る本願発明の「購入データをベリファイするステップ」は、販売上の「購入データ」のやりとりにおける書式や取り決めや情報処理上の誤りを検査確認する行為であると認められる。

引用発明は、「コンテンツプロバイダー」において、販売上の手続がなされると認められるところ、販売上の「購入データ」のやりとりにおける書式や取り決めを検査確認することは、販売・購入方法を意図する当業者であれば、自然とそのような検査確認をしようと想到することができるといえ、また、装置として情報処理上の誤りを検査確認することも、特に、販売・購入の商取引に係る情報処理としては、商取引のトラブルを防ぐ意味でも当業者が普通に想到できるといえる。
したがって、引用発明における販売上の手続において、販売上の「購入データ」のやりとりにおける書式や取り決めを検査確認、および情報処理上の誤りを検査確認を行うようにすることで、本願発明の相違点2に係る構成「該少なくとも1つのサーバにおいて該ブロードキャスト受信器からの該購入データをベリファイするステップ」とすることは当業者が容易に想到できることといえる。

c 総合、まとめ
本願発明の相違点1、相違点2に係る構成は、上記のとおり当業者が容易に想到できることといえるところ、本願発明の効果も当業者が予測できるといえるから、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項11に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の請求項1から10まで、および12から17までの各請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-07 
結審通知日 2012-08-08 
審決日 2012-08-21 
出願番号 特願2006-527987(P2006-527987)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 572- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 光宏  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 藤内 光武
渡邊 聡
発明の名称 ブロードキャストメディアにリンクして購入するためのシステムおよび方法  
代理人 星 公弘  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 高橋 佳大  
代理人 二宮 浩康  
代理人 久野 琢也  

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