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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1268999
審判番号 不服2012-3971  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-29 
確定日 2013-01-17 
事件の表示 特願2001-268106「ナビゲーション装置、地図の表示方法および画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月12日出願公開、特開2003- 75167〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成13年9月4日の出願であって、平成22年10月15日付けで拒絶理由が通知され、平成22年12月15日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成23年4月7日付けで拒絶理由が通知され、平成23年6月6日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年11月25日付けで上記平成23年6月6日付けの手続補正書による手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、平成24年2月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に同日付けで特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において平成24年5月8日付けで書面による審尋がなされ、平成24年7月13日付けで回答書が提出されたものである。

第2.平成24年2月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成24年2月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
(1)本件補正の内容
平成24年2月29日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成22年12月15日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(a)を、下記(b)と補正するものである。

(a)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
第1の表示サイズを持つ第1の表示領域と、前記第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、前記第1の表示領域に重ねて配置される第2の表示領域と、を有する表示部と、
互いに縮尺の異なる第1及び第2の地図データを取得する地図データ取得部と、
前記地図データ取得部により取得された第1の地図データを前記第1の表示領域に表示させ、前記地図データ取得部により取得された第2の地図データを、当該第2の地図データが持つ情報量を変えずに前記第2の表示サイズに縮小して前記第2の表示領域に表示させる表示制御部と、
を備える
ことを特徴とするナビゲーション装置。」

(b)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
第1の表示サイズを持つ第1の表示領域と、前記第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、前記第1の表示領域に重ねて配置される第2の表示領域と、を有する表示部と、
互いに縮尺の異なる第1及び第2の地図データを取得する地図データ取得部と、
前記地図データ取得部により取得された第1の地図データを前記第1の表示領域に表示させ、前記地図データ取得部により取得された第2の地図データを、1画面表示による地図を表示した際の地図範囲から地図範囲を変えずに前記第2の表示サイズに縮小して前記第2の表示領域に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記第1の地図データは詳細地図を表し、前記第2の地図データは広域地図を表し、
前記表示制御部は、前記第1の表示領域に表示された第1の地図データ上の、ナビゲート対象の右側方又は左側方に前記第2の地図データを表示させる
ことを特徴とするナビゲーション装置。」(なお、下線は、請求人が補正箇所を明示するために付した。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、請求項1について、本件補正前の発明特定事項である「表示制御部」について、「第2の地図データが持つ情報量を変えずに第2の表示サイズに縮小して」を「1画面表示による地図を表示した際の地図範囲から地図範囲を変えずに第2の表示サイズに縮小して」に変更するとともに、本件補正前の発明特定事項である「ナビゲーション装置」について、「第1の地図データは詳細地図を表し、第2の地図データは広域地図を表し、表示制御部は、第1の表示領域に表示された第1の地図データ上の、ナビゲート対象の右側方又は左側方に第2の地図データを表示させる」との限定を付加する補正を含むものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.本件補正の適否についての判断
本件補正における特許請求の範囲の補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.-1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-270172号公報(以下、「引用文献1」という。)には、例えば、次のような記載がある。

(ア)「【0012】
【実施例】以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。図2は、ナビゲーション装置を構成する画面表示装置6と、ナビゲーション装置本体4と、ジョイスティックリモコン装置7とを示す斜視図である。ナビゲーション装置本体4は、図3に示すように、車両の走行距離を検出する車輪速センサ1、車両の進行方位を検出するジャイロ2及び地球の周回軌道を航行しているGPS衛星から送信される電波を受信するGPS(Global Positioning System )受信機8に接続されている。車輪速センサ1、ジャイロ2の各出力はナビゲーション装置本体4に与えられ、ナビゲーション装置本体4では、与えられた各出力に基づいて車両の現在位置が検出される。前記GPS受信機8では、受信された電波の伝搬遅延時間に基づいて、車両の現在位置が直接検出されるので、この車両の現在位置をいわゆる自立航法で得られた車両の現在位置の補正に用いることができる。
【0013】また、地図データがCD-ROMで構成された道路地図メモリ5から読出され、後述するビットマップメモリに保持される。前記車両の現在位置データおよび地図データはCRT,液晶表示素子やプラズマ表示素子等で構成された画面表示装置6に与えられ、この画面表示装置6で車両の現在位置がその周辺の地図上に重ねて表示される。
【0014】前記道路地図メモリ5には、例えば2500分の1,5000分の1,10000分の1,25000分の1,50000分の1等の10種類の縮尺の地図データが記憶されている。各縮尺の地図データは、日本地図を各縮尺に対応するように分割したメッシュ単位で構成されている。前記車輪速センサ1は、例えば車速センサに置換えてもよく、また前記ジャイロ2には、例えば振動ジャイロ,ガスレートジャイロ,光ファイバジャイロ等各種のものが適用可能である。さらに、前記道路地図メモリ5には、CD-ROMの他に、例えばICカード、ミニディスクが適用可能である。
【0015】ナビゲーション装置本体4にはさらに、このナビゲーション装置の制御の中心を司るCPU(中央処理装置)41、ワークエリア等として機能するRAM43、および画面表示データを一時的に保持するためのビットマップメモリ45が含まれている。ナビゲーション装置本体4における車両の現在位置の検出は、基本的には車輪速センサ1およびジャイロ2の出力に基づくいわゆる自立航法により行われる。すなわち、ナビゲーション装置本体4は、所定時間にわたって車輪速センサ1の出力を積算するとともに、この所定時間におけるジャイロ2の出力も積算する。これにより、車輪速センサ1の積算値から前記所定時間における車両の走行距離が得られ、ジャイロ2の積算値から進行方位が得られる。したがって、例えば車両を発進させる前に車両の正確な位置等を入力しておけば、その後の車両の位置の推移を検出できる。
【0016】なお、ナビゲーション装置本体4における車両の現在位置の検出には、いわゆる地図マッチング法(例えば特開昭63-148115号公報、特開昭64-53112号公報参照)を併用してもよい。地図マッチング法では、車両の位置が原則として道路上に制限されることを利用して、車両の現在位置がその近傍の道路上の位置に補正される。これにより、車輪速センサ1およびジャイロ2等の各出力に基づいて検出された車両の現在位置の誤差が累積されることを防止して、位置検出の精度の向上が図られる。
【0017】画面表示装置6は、例えば縦240×横320ドットの表示画面を有するもので、この表示画面の周囲には、ナビゲーション装置を起動する電源スイッチ61が設けられている。ジョイスティックリモコン装置7は、前記ナビゲーション装置本体4に接続されるもので、ユーザが運転中に操作しやすいように例えば運転席近傍に常置されている。
【0018】ジョイスティックリモコン装置7は、本発明の実施と関連するものでは、地図/メニュー画面切替えボタン、表示切替えボタン、縮尺レベル変更ボタン、地図自動スクロールON/OFFボタン及びジョイスティックを備えている。これらのボタンは、メカニカルなスイッチ類で構成されていてもよいが、ジョイスティックリモコン装置7の本体上にタッチスイッチ等を設け、タッチスイッチ等を押すと画面表示装置6の画面の表示と連動して下記の機能を実行できるようにしてもよい。また、画面表示装置6の画面にスイッチの表示が出るようにして、ジョイスティックで選択できるようにしてもよい。」(段落【0012】ないし【0018】)

(イ)「【0022】ナビゲーション装置本体4において、車両の現在位置が検出されると、この検出された車両の現在位置を含む地図データが道路地図メモリ5から読出され、ビットマップメモリ45に保持される。ユーザは、メニュー画面を呼び出して、目的地や経由地を設定すると、車両の走行に連れて、基本画面として、図4に示すような車両のマークを三角で示した地図が表示される。この地図には、車両のマークや道路11,12の他、登録地マーク13、各種施設名14,15、縮尺インジケータ17、GPS受信状態18等が表示されている。縮尺インジケータ17は、表示地図の縮尺を示すもので、縮尺レベル変更ボタンを操作すると、縮尺インジケータ17の表示が変わり、これに応じて表示地図の縮尺が変更(拡大/縮小)される。
【0023】ユーザが表示切替えボタンを操作すると、図5に示すように、ビットマップメモリ45の第1領域の中に書き込まれた車両の現在位置を含む地図の上に、第1領域に書き込まれた範囲を包含する広域地図が第2領域に重ねて書き込まれる。そして、第1領域の対角点P_(1 ),P_(2 )に対応する座標が、第2領域に重ね書きされた地図に点描され、それらの点を基にして矩形が線で描かれる。
【0024】画面上の表示も、これに応じて一画面表示から二画面表示へと切り替えられる。図1は、図4の画面から切り替えられた二画面表示の例を示す図であり、最初から表示されている地図又はその拡大図(この地図を表示した画面を「親画面」という)に加えて、親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図(この広域地図を表示した画面を「子画面」という)が新たにサブウィンドウに表示されている。
【0025】親画面では、前記のように車両のマークを始め、登録地マーク13、地名、各種施設名14,15等がそのまま表示されるが、子画面では、経由地マーク、目的地マーク、縮尺表示等の最小限の情報以外は表示されない。この理由は、子画面は、親画面がどの辺りの地図を表示しているのかを把握するためのものだから、余分な情報は必要ないためである。
【0026】その代わりに、子画面では、親画面表示範囲を示す枠20が表示される。この枠を見てユーザは、親画面が子画面のどの辺りを表示しているのか把握することができる。そして、車両の走行に連れて、親画面及び子画面は連動してスクロールされる。このスクロールは、検出された車両の現在位置データに基づいてビットマップメモリ45を書き換えることによって行われることはいうまでもない。
【0027】以上のように本実施例の地図表示装置によれば、メインウィンドウに表示されている地図を含む周辺の縮小地図を表示画面のサブウィンドウに同時表示することができ、かつ、サブウィンドウに表示された縮小地図の中にメインウィンドウに表示されている地図に相当する領域を示す枠20を示すことができるので、ユーザは、メインウィンドウに表示されている地図が、広域地図の中でどの辺りにあるのか一目で把握できる。
【0028】なお、本発明は前記実施例に限られるものではない。前記実施例では、ビットマップメモリ45の第1領域の中に書き込まれた車両の現在位置を含む地図の上に、第1領域に書き込まれた範囲を包含する広域地図を第2領域に重ねて書き込んていたが、図6に示すように、ビットマップメモリ45の第1領域と第2領域とを別々に設け、それぞれの領域に地図を書き込み、画面に表示するときに一方の上に他方を上書きするようにしてもよい。」(段落【0022】ないし【0028】)

(2)引用文献1記載の事項
上記(1)(ア)、(イ)及び図面の記載から、以下の事項が分かる。
(ウ)画面表示装置6は、親画面と、親画面よりも小さいサイズで、かつ、親画面に重ねて配置される子画面を有するから、
画面表示装置6は、第1の表示サイズを持つ親画面と、第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、親画面に重ねて配置される子画面を有することが分かる。

(エ)道路地図メモリ5には、日本地図を各縮尺に対応するように分割したメッシュ単位で構成された10種類の縮尺の地図データが記憶されており、ナビゲーション装置本体4において、車両の現在位置を含む地図データが道路地図メモリ5から読出され、ビットマップメモリ45に保持され、そのビットマップメモリ45の第1領域の中に書き込まれた車両の現在位置を含む地図の上に、第1領域に書き込まれた範囲を包含する広域地図が第2領域に重ねて書き込まれる構成であるから、
互いに縮尺の異なる車両の現在位置を含む地図及び親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図を取得する地図データ取得部と、地図データ取得部により取得された車両の現在位置を含む地図を親画面に表示させ、地図データ取得部により取得された親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図を子画面に表示させる表示制御部を有するとともに、車両の現在位置を含む地図は詳細地図を表し、親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図は広域地図を表すことが分かる。

(オ)表示制御部は、親画面に表示された車両の現在位置を含む地図上の、ナビゲート対象の右側方に親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図を表示させることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)(ア)、(イ)及び図面の記載、並びに、(2)(ウ)ないし(オ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「 第1の表示サイズを持つ親画面と、前記第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、前記親画面に重ねて配置される子画面と、を有する画面表示装置6と、
互いに縮尺の異なる車両の現在位置を含む地図及び親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図を取得する地図データ取得部と、
前記地図データ取得部により取得された車両の現在位置を含む地図を前記親画面に表示させ、前記地図データ取得部により取得された親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図を、前記子画面に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記車両の現在位置を含む地図は詳細地図を表し、前記親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図は広域地図を表し、
前記表示制御部は、前記親画面に表示された車両の現在位置を含む地図上の、車両のマークの右側方に前記親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図を表示させる
ナビゲーション装置」

2.-2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-250505号公報(以下、「引用文献2」という。)には、例えば、次のような記載がある。

(ア)「【0003】ところが、例えばワイド画面の採用など、表示装置の物理的な表示エリアが従来よりも大きくなってきたことに伴い、いわゆる2画面表示のように、1つの表示装置に複数画面を同時に表示することもなされている。ナビゲーションシステムの場合には、通常の縮尺の地図を表示している画面上に交差点拡大図などを重ねて表示したり(子画面表示)、並べて表示したり(2分割表示)することがよく行われている。
【0004】このような複数画面表示は、同じナビゲーション装置をソースとする2種類の画像だけでなく、複数の画像ソースからの画像データについても同時に表示できるようにもされてきている。例えば地図などのナビ画面とTV画面とを同時に表示したり、ナビ画面とインターネット画面を同時に表示する、といったことである。現在地周辺の地図を表示するナビ画面は、その目的から常時表示させておくことが好ましい。したがって、ナビ画面に加えてTV画面やインターネット画面を子画面表示したり2分割表示すれば、それらの画面も一時的に見ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の従来技術の場合には、複数の画像ソースから伝送される画像データは、表示装置の物理的な表示エリア全体に表示するサイズの画像データとされており、それを表示装置側で加工してから表示していた。例えば、表示装置の物理的な表示エリアが横640ドット×縦480ドットというサイズであり、ナビ画面中にインターネット画面を半分のサイズで子画面表示する場合を考える。この場合、親画面であるナビ画面及び子画面であるインターネット画面の両方とも、横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データとしてそれぞれの画像ソースから伝送される。そして、インターネット画面用の画像データについては、表示装置側で横320ドット×縦240ドットに縮小してから、ナビ画面に重ねて2画面表示とするのである。」(段落【0003】ないし【0005】)

(イ)「【0017】図1は一実施例としての画像データ伝送システムの概略構成を示すブロック図である。本システムは、車両に搭載されることを前提として構成されており、図1(a)に示すように、インターネット端末10、ナビゲーション装置20、TVチューナ30などの複数の画像データ供給装置と、多重通信可能な伝送路(多重通信路)40を介して画像データ供給装置10,20,30から供給された画像データを表示する表示装置50とを備えている。
【0018】インターネット端末10は、図示しない自動車電話あるいは携帯電話などを介して外部からインターネット情報を取り込むことができるようにされている。ナビゲーション装置20は、図示しない位置検出器、地図データ入力器などが接続され、これらからのデータを入力する。位置検出器は、いずれも周知のジャイロスコープ、距離センサ、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機を有している。これらのセンサ等は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより、各々補間しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更に、ステアリングの回転センサ、各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。地図データ入力器は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ及び目印データを含む各種データを入力するための装置である。媒体としては、そのデータ量からCD-ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、メモリカード等の他の媒体を用いても良い。
【0019】TVチューナ30は、図示しない受信アンテナを介してTV放送を選択受信する。また、表示装置50は、画面を指でタッチすると画面縦横に所定本数走っている赤外線が遮断され、押されたエリアを特定してスイッチ機能を発揮するタッチスイッチ51と、表示装置全体の制御を司るディスプレイECU52と、LCDモニタ53とを備えている。
【0020】LCDモニタ53はカラー表示が可能であり、その画面には、インターネット端末10から供給された画像データによるインターネット画面、ナビゲーション装置20から供給された画像データによるナビ画面、TVチューナ30から供給された画像データによるTV画面などを表示できる。この場合、これらインターネット画面、ナビ画面、TV画面などの複数の画像ソースからの画像データによる画面の内の、利用者が選択したいずれか1つの画面を切り替え表示することもできるし、複数画面を同時に表示(マルチウインドウ表示)することもできる。なお、本実施例では、理解を容易にするため、2画面を同時に表示できることとして説明を進める。
【0021】この2画面表示としては、親画面に子画面を重ねて表示する「子画面表示」と、2つの画面を並べて表示する「2分割表示」ができる。なお、ナビ画面の場合も地図画面と交差点拡大画面というような2画面表示ができるが、その場合は同じ画像ソース、つまりナビゲーション装置20からの画像データによって実現されるため、ナビゲーション装置20において2画面表示が可能な状態に画面合成してから供給すればよい。ここでは、別の画像ソース、つまりナビ画面とインターネット画面というように、2種類の画像ソースからの画像データを表示装置50にて合成して2画面表示ができるように構成されている。
【0022】なお、表示させる画面の選択は、例えばメニュー画面を表示させた状態で、その画面上の所望の入力項目を利用者がタッチすればタッチスイッチ51によってそれが検知され、ディスプレイECU52にて所定の対応処理が実行される。また、子画面表示や2分割表示についても同様に、画面上に表示された項目を利用者がタッチすることで指示できるようにされている。
【0023】一方、画像データ供給装置10,20,30側には、次のような工夫がされている。ここでは、インターネット端末10を例にとって説明する。図1(b)に示すように、インターネット端末10は、制御部11と、通信部12と、描画部13と、画像サイズ変更部14とを備えている。なお、上述したように図示しない自動車電話あるいは携帯電話などを介して外部からインターネット情報を取り込むため、電話機との通信ユニット等も備えているが、それは図示を省略した。
【0024】通信部12は、多重通信路40を介して表示装置50との間でのデータ通信を行うためのものであり、コマンド通信ラインを介してコマンドをやりとりしたり、画像データ通信ラインを介して表示装置50へ画像データを送出したりする。なお、表示装置50側から通知されるコマンドとしては、後述する画面サイズなどが挙げられる。
【0025】制御部11は、通信部12を介して受信した画面サイズコマンドに基づき、画像サイズ変更部14に対して画像サイズを指示する。描画部13から画像サイズ変更部14へは原画が出力されるので、画像サイズ変更部14は、制御部11からの指示に基づいて画像サイズを変更し、そのサイズ変更後の画像を通信部12へ出力する。これによって、サイズが変更されたインターネット画像が表示装置50へ供給されることとなる。
【0026】なお、図1(b)ではインターネット端末10を例にとって説明したが、ナビゲーション装置20やTVチューナ30においても同様に、このような画像サイズの変更機構を備えている。次に、上述した構成のシステムにおける画像データの伝送処理について説明する。
【0027】概略的には、次の通りである。表示装置50のLCDモニタ53上にメニュー画面を表示させた状態で、その画面上の所望の入力項目を利用者がタッチすると、ディスプレイECU52は、該当する画像データ供給装置(インターネット端末10、ナビゲーション装置20、TVチューナ30など)に画像データの供給指示を出す。この指示に応じて該当する画像データ供給装置は画像データを表示装置50側へ供給する。2画面表示が指示された場合には、該当する2つの画像データ供給装置からそれぞれ画像データが供給されてくることとなる。また、画像データ供給装置は、表示装置50から画面サイズコマンドが通知された場合には、その通知された画面サイズに対応するサイズに変更した画像データを表示装置50へ供給する。
【0028】この点を図2を参照して説明する。表示装置50のLCDモニタ53のサイズは水平方向HがX、垂直方向VがYであるため、最大限H=X,V=Yのサイズの画面を表示することができる。したがって、画像データ供給装置10,20,30においては、デフォルト状態の画像として、LCDモニタ53のサイズと同じH=X,V=Yのサイズの画面を原画として生成する。図1(b)における描画部13においてはこのサイズの画像を生成する。そして、画面サイズの通知がなければ、そのままのサイズ(H=X,V=Y)で表示装置50へ供給する。一方、画面サイズx,yが通知された場合には、その通知された画面サイズ(H=x,V=y)に対応するサイズに変更して表示装置50へ供給する。なお、必ずしも水平方向Hと垂直方向Vの両方についてサイズ変更をしなくてもよく、水平方向Hだけxにする通知を出してもよいし、垂直方向Vだけyにする通知を出してもよい。
【0029】それでは、まず、表示装置50のディスプレイECU52にて実行される、画像データ供給装置への画面サイズの通知処理について図3のフローチャートを参照して説明する。本処理は定期的に実行される処理であり、表示対象の画像データについて、実際に表示する画面サイズx,yをLCDモニタ53のサイズX,Yと比較し、画面サイズx<モニタサイズXであれば(S10:YES)該当する画像データ供給装置へその画面サイズxを通知し(S20)、画面サイズy<モニタサイズYであれば(S30:YES)該当する画像データ供給装置へその画面サイズyを通知する(S40)。
【0030】そして、表示画面が他にあるかどうかを判断し(S50)、他にあれば(S50:YES)、その表示画面についてS10?S40の処理を実行する。例えば、親画面上に子画面を重ねて表示する「子画面表示」の場合であれば、親画面については図3のフローチャートにてS10及びS30にて否定判断がされるため、何ら画面サイズの通知はされないが、子画面については画面サイズx,yが通知されることとなる。また、2つの画面を並べて表示する「2分割表示」の場合であれば、2つの表示画面の両方に関して、図3のフローチャートのS10あるいはS30のいずれかにおいて肯定判断がされる。つまり、縦に並べて2分割する場合には、縦方向(V)のサイズyのみ変更され、横に並べて2分割する場合には、横方向(H)のサイズxのみ変更されるからである。したがって、変更する方向のサイズのみが通知されることとなる。このように、2画面表示の場合には、及び子画面についてそれぞれS10?S40の処理を実行する。
【0031】続いて、画像データ供給装置10,20,30にて実行される処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。本処理は画像データの供給指示が出されている間中は定期的に実行される処理である。したがって、画像データの供給指示が出されていない画像データ供給装置10,20,30では実行されない。
【0032】まず、画像サイズをデフォルト値(H=X,V=Y)に設定し(S110)、表示装置50からの画面サイズx,yの通知をモニタする(S120)。そして、水平方向の画面サイズxの通知があれば(S130:YES)、横方向サイズHをxとし(S140)、垂直方向の画面サイズyの通知があれば(S150:YES)、縦方向サイズVをyとする(S160)。通知がなければ(S130:NO、S150:NO)、画像サイズはデフォルト値のままである。
【0033】そしてS170では、通知がなければX,Yのまま、通知があればx,yに変更されている横サイズH,縦サイズVの画像データを発生させて表示装置50へ供給する。このように、本実施例の画像データ伝送システムにおいては、画像データ供給装置(インターネット端末10、ナビゲーション装置20、TVチューナ30など)から画像データを伝送する場合、表示装置50にて表示する画面サイズに対応した画像データを画像データ供給装置10,20,30側にて生成してから伝送しているので、無駄な通信帯域の消費を防止することができる。つまり、多重通信路40は多重通信可能であるため、この表示装置50への画像データの伝送以外にも用いる場合には、無駄な通信消費がなくなれば、その分だけ多くのデータ伝送に使用することができる。
【0034】そして本実施例のシステムは、2つの画像データ供給装置から供給された画像データを同時に伝送可能であり、表示装置50が、それら複数の画像データを同時に表示可能であるため、特に有効に作用する。この点を従来技術との比較を交えて説明する。
【0035】図5に示すように、表示装置50の物理的な表示エリアが横640ドット×縦480ドットというサイズであり、ナビ画面中にインターネット画面を半分のサイズで子画面表示する場合を考える。従来は、図5(a)に示すように、親画面であるナビ画面及び子画面であるインターネット画面の両方とも、横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データとしてそれぞれの画像データ供給装置から伝送し、インターネット画面用の画像データについては、表示装置50側で横320ドット×縦240ドットに縮小してから、ナビ画面に重ねて2画面表示としていた。そのため、1画面が横640ドット×縦480ドットのサイズの画像データを2画面分同時に送信できる通信帯域が多重通信路40に必要となる。」(段落【0017】ないし【0035】)

(2)引用文献2記載の事項
上記(1)(ア)及び(イ)並びに図面の記載から、以下の事項が分かる。
(ウ)画像データ供給装置から1画面が横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データを2画面分同時に供給して、表示装置50において、横640ドット×縦480ドットのサイズで親画面に表示し、横320ドット×縦240ドットのサイズに縮小して子画面に表示させて、子画面を親画面に重ねて2画面表示としているから、
表示装置50は、画像データ供給装置から供給された横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データを親画面に表示させ、画像データ供給装置から供給された横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データを、横640ドット×縦480ドットのサイズの1画面表示による画像データを表示した際の画像データ範囲から画像データ範囲を変えずに横320ドット×縦240ドットのサイズに縮小して子画面に表示させることが分かる。

(3)引用文献2記載の発明
上記(1)(ア)及び(イ)、図面の記載、並びに、(2)(ウ)から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用文献2記載の発明」という。)が記載されているといえる。

「 横640ドット×縦480ドットのサイズを持つ親画面と、前記第1の表示サイズよりも小さい横320ドット×縦240ドットのサイズを持ち、かつ、前記親画面に重ねて表示する子画面と、を有する表示装置50と、
画像データ供給装置から供給された横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データを前記親画面に表示させ、画像データ供給装置から供給された横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データを、横640ドット×縦480ドットのサイズの1画面表示による画像データを表示した際の画像データ範囲から画像データ範囲を変えずに横320ドット×縦240ドットのサイズに縮小して前記子画面に表示させる表示装置50と、
を備えた、
ナビゲーション装置。」

2.-3 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明における「親画面」は、その機能及び構成からみて、本願補正発明における「第1の表示領域」に相当し、以下同様に、「子画面」は「第2の表示領域」に、「画面表示装置6」は「表示部」に、「車両の現在位置を含む地図」は「第1の地図データ」に、「親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図」は「第2の地図データ」に、「車両のマーク」は「ナビゲート対象」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「 第1の表示サイズを持つ第1の表示領域と、前記第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、前記第1の表示領域に重ねて配置される第2の表示領域と、を有する表示部と、
互いに縮尺の異なる第1及び第2の地図データを取得する地図データ取得部と、
前記地図データ取得部により取得された第1の地図データを前記第1の表示領域に表示させ、前記地図データ取得部により取得された第2の地図データを、前記第2の表示領域に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記第1の地図データは詳細地図を表し、前記第2の地図データは広域地図を表し、
前記表示制御部は、前記第1の表示領域に表示された第1の地図データ上の、ナビゲート対象の右側方に前記第2の地図データを表示させる
ナビゲーション装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
(1)本願補正発明においては、第2の地図データを、1画面表示による地図を表示した際の地図範囲から地図範囲を変えずに第2の表示サイズに縮小して第2の表示領域に表示させるのに対して、引用発明においては、第2の地図データを第2の表示領域に表示させるものの、第2の地図データを1画面表示による地図を表示した際の地図範囲から地図範囲を変えずに第2の表示サイズに縮小しているか否かが不明な点(以下、相違点1という。)。

(2)本願補正発明においては、第1の地図データ上の、ナビゲート対象の右側方又は左側方に第2の地図データを表示させるのに対して、引用発明においては、第1の地図データ上の、ナビゲート対象の右側方に第2の地図データを表示させる点(以下、相違点2という。)。

相違点について検討する。
(1)相違点1について

引用文献2記載の発明における「横640ドット×縦480ドットのサイズ」は、その機能及び構成からみて、本願発明における「第1の表示サイズ」に相当し、以下同様に「横320ドット×縦240ドットのサイズ」は「第2の表示サイズ」に、「親画面」は「第1の表示領域」に、「重ねて表示する」は「重ねて配置される」に、「子画面」は「第2の表示領域」に、「表示装置50」は「表示部」に、「画像データ供給装置から供給された」は「データ取得部により取得された」に、「横640ドット×縦480ドットのサイズに対応した画像データ」は「第1のデータ」及び「第2のデータ」のそれぞれに、それぞれ相当するから、引用文献2記載の発明を本願発明の用語を用いて言い換えれば、「 第1の表示サイズを持つ第1の表示領域と、前記第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、前記第1の表示領域に重ねて配置される第2の表示領域と、を有する表示部と、
データ取得部により取得された第1のデータを前記第1の表示領域に表示させ、データ取得部により取得された第2のデータを、1画面表示によるデータを表示した際のデータ範囲からデータ範囲を変えずに前記第2の表示サイズに縮小して前記第2の表示領域に表示させる表示制御部と、
を備えたナビゲーション装置。」となる。

そして、引用発明と引用文献2記載の発明は、いずれも第1の表示サイズを持つ第1の表示領域と、第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、第1の表示領域に重ねて配置される第2の表示領域とを有する表示部を有するナビゲーション装置という同一の技術分野に属しているので、引用発明に引用文献2記載の発明を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

(2)相違点2について
ナビゲーション装置において、現在位置マークの右側方または左側方に第2の地図データを表示することは、周知技術(例えば、特開平9-311997号公報、特開平8-160853号公報、特開平10-47987号公報、特開平4-305116号公報等を参照のこと。以下、「周知技術」という。)であることを参酌すれば、引用発明において、上記周知技術を適用して、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願補正発明を全体として検討しても、引用発明、引用文献2記載の発明及び上記周知技術から予想される以上の格別の効果を奏するとも認められない。
以上から、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって結論のとおり決定する。


第3.本願発明について
1.本願発明
前記のとおり、平成24年2月29日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年12月15日付けの手続補正書によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1(第2.の[理由]の1.(1)(a)【請求項1】)に記載された事項により特定されたとおりのものである。

2.引用文献の記載内容
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平7-270172号公報)記載の発明(引用発明)及び引用文献2(特開2000-250505号公報)記載の発明(引用文献2記載の発明)は、それぞれ第2.の[理由]2.-1(3)及び2.-2(3)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明における「親画面」は、その機能及び構成からみて、本願発明における「第1の表示領域」に相当し、以下同様に、「子画面」は「第2の表示領域」に、「画面表示装置6」は「表示部」に、「車両の現在位置を含む地図」は「第1の地図データ」に、「親画面の表示範囲を含むより広い範囲の地図」は「第2の地図データ」に、「ナビゲーション装置」は「ナビゲーション装置」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「 第1の表示サイズを持つ第1の表示領域と、前記第1の表示サイズよりも小さい第2の表示サイズを持ち、かつ、前記第1の表示領域に重ねて配置される第2の表示領域と、を有する表示部と、
互いに縮尺の異なる第1及び第2の地図データを取得する地図データ取得部と、
前記地図データ取得部により取得された第1の地図データを前記第1の表示領域に表示させ、前記地図データ取得部により取得された第2の地図データを、前記第2の表示領域に表示させる表示制御部と、
を備える、
ナビゲーション装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明においては、第2の地図データを、第2の地図データが持つ情報量を変えずに第2の表示サイズに縮小して第2の表示領域に表示させるのに対して、引用発明においては、第2の地図データを第2の表示領域に表示させるものの、第2の地図データを第2の地図データが持つ情報量を変えずに第2の表示サイズに縮小しているか否かが不明な点。

相違点について検討する。

平成23年4月7日付けで拒絶理由書で通知したとおり、本願発明の発明特定事項である「第2の地図データが持つ情報量を変えずに第2の表示サイズに縮小して」という記載は不明確であり、発明の詳細な説明を参酌しても、具体的な手法や手段が記載されておらず、しかも出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できない。したがって、出願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないものである。
ここで、平成23年6月6日付け意見書において、出願人が主張したとおり、「情報量を変えずに」という態様が、「表示される地図範囲を変えずに」という態様を意味しているとすれば、前記第2.の[理由]2.-3に記載したとおり、本願発明も、本願補正発明と同様に、引用発明及び引用文献2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、仮に「第2の地図データが持つ情報量を変えずに」という態様が、「解像度を変更しない、すなわち画面の精細度(表示におけるドット数)を変更しない」という態様を意味するものであるとしても、ナビゲーション装置の地図データの表示において、解像度(画面の精細度)をどのように設定するかは、表示装置の性能等を考慮して当業者が適宜選択し得るものである。

また、本願発明を全体として検討しても、引用発明、または引用発明及び引用文献2記載の発明から予想される以上の格別の効果を奏するとも認められない。
以上から、本願発明は、引用発明、または引用発明及び引用文献2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、または引用発明及び引用文献2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-24 
結審通知日 2012-10-30 
審決日 2012-11-30 
出願番号 特願2001-268106(P2001-268106)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01C)
P 1 8・ 121- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上野 力  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 川口 真一
槙原 進
発明の名称 ナビゲーション装置、地図の表示方法および画像表示装置  
代理人 亀谷 美明  
代理人 亀谷 美明  

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