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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1269001
審判番号 不服2012-4462  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-08 
確定日 2013-01-17 
事件の表示 特願2006-168779「有機EL表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月27日出願公開、特開2007-335365〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年6月19日の出願であって、平成23年10月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月8日に拒絶査定に対する不服審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、前置報告書の内容について、審判請求人の意見を求めるために平成24年8月20日付けで審尋がなされ、同年9月21日に当該審尋に対する回答書が提出された。

第2 平成24年3月8日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年3月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、以下のものに補正された。(下線は当審において付与。以下同じ。)

「基板に有機EL層がマトリクス状に配置され、前記有機EL素子に電圧を印加して発光させることによって前記基板に形成された画面に画像を形成する有機EL表示装置であって、前記基板の前記有機EL層が形成された側は、背面ガラス板によって枠材および封着材を介して封止され、前記背面ガラス板の内側には細長いガラス板材が接着材を介して接着されており、前記ガラス板材は前記表示装置を平面的に見た場合、前記画面を横切って形成され、前記背面ガラス板の内側で前記ガラス板材が形成されていない部分に乾燥剤が設置されていることを特徴とする有機EL表示装置。」(以下「補正後発明」という。)

2.判断
審判請求書の「審判請求人は本書と同日付けで提出した手続補正書によって請求項17を補正するとともに、請求項18を請求項17に加入して、新たな請求項1としました。」という主張、及び上記補正後発明の有する「細長いガラス板材」という特定事項は、本件補正前には請求項17にしか記載されていなかったことに照らして、上記補正後発明は、本件補正前の請求項17に記載の発明を補正したものと認めることができる。
本件補正前の請求項17に記載の発明は、本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項17に記載された、以下のとおりのものである。

「基板に有機EL層がマトリクス状に配置され、前記有機EL素子に電圧を印加して発光させることによって前記基板に形成された画面に画像を形成する有機EL表示装置であって、前記透明基板の前記有機EL層が形成された側は、背面ガラス板によって枠材および封着材を介して気密に封止され、前記背面ガラス板の内側には細長い板材が接着されおり、前記板材はは前記表示装置を平面的に見た場合、前記画面を横切って形成され、前記背面ガラス板の内側で前記板材が形成されていない部分に乾燥剤が設置されていることを特徴とする有機EL表示装置。」(以下「本願発明」という。)

そうすると、本件補正により、補正前の本願発明においては「有機EL層がマトリクス状に配置され」た基板が「透明基板」であったのに対して、補正後発明では、透明でないものをも含む「基板」に補正された。
したがって、上記補正後発明に係る補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、当該補正が請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでないことは明らかである。
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項に掲げる目的の何れの事項にも該当しないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成24年3月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項17に係る発明(本願発明)は、上記のとおりのもの(上記「第2」の「2.」参照)である。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-353592号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
(1)「【0001】
本発明は、小型電子素子または小型電子光素子を保持する基板に用いられるガラス封入蓋に関し、この基板を利用して、前記素子を収容する気密パッケージが形成される。
【0002】
特に本発明は、パネルの背面を構成する基板上に、少なくとも1の有機エレクトロルミネッセント層と、該層に電流を流すための電極と、基板に密封シール状態で設置される封入蓋とを有する画像表示および/または照射パネルに利用され、前記有機エレクトロルミネッセント層を覆うシールパッケージが構成される。そのような蓋は、パネルの前面を構成する底部と、全周にわたる周囲部とで構成される。周囲部は、パネルの側部を構成し、前面と背面を接合する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)層は、水分に極めて敏感である。従ってそれらは、製作直後にできるだけ速やかに封入する必要があり、これらの層は、水分と酸素を遮断した制御雰囲気に置かれる。基板に成膜された有機層の損傷を防ぐため、封入は、低温で行う必要がある。通常OLED層は、UV硬化接着剤を用いて、蓋と基板を接合することによって封入される。別の方法では、あまり一般的ではないが、通常は真空化で、保護層を直接有機層に設置して保護を行う。さらに2つの方法を組み合わせる方法も考えられる。
【0004】
封入に用いられる蓋は、金属またはガラスで構成される。上部放射OLEDの場合、蓋は透明にする必要がある。エレクトロルミネッセント層で放射された光は、基板のパネル側から基板の反対側に逸散するからである。そのような構造は、高い光抽出が得られるため、特に有意である。従ってそのような構造の場合、通常はガラス蓋が用いられる。
【0005】
米国特許第6 081 071号には、ガラス基板を供えるOLEDパネルが示されており、このパネルは、周囲部のない平坦ガラス蓋で封入される。一般に封入には、基板と蓋の間に高さ約0.4mmから1mmの範囲の封入空間が必要である。この空間の高さは、封入空間に吸収剤および/または乾燥剤を設置するために必要となる。この吸収剤は、空間内で微量残留物、特に水分および酸素を吸収する。そのような吸収剤は、しばしばゲッター剤または乾燥剤と呼ばれる。
【0006】
平坦蓋を用いる場合、接着シールは、基板と蓋の間の距離を確保する。この距離は、米国特許第6 081 071号に示されているように、この空間を確保するために必要なものである。さらに、米国特許出願2003/227253号、特に図5B、6Bおよび7が参照できる。これらの図には、それぞれ参照符号512および609で示される蓋と基板の間のシール部を利用することが示されている。
【0007】
このように基板、蓋および基板上で蓋をシールする手段によって、気密封入パッケージが構成される。」
(2)「【0015】
本発明の課題は、電子または電子光素子を保持する基板に用いられるガラス封入蓋であって、前記基板を利用して、前記素子を収容する気密パッケージが構成され、
当該蓋は、組成の異なる少なくとも2種類のガラス層を有し、前記第1の層は底部層と呼ばれる連続層であり、少なくとも第2の層は不連続であって、当該蓋および前記パッケージの内部に孔部または段差部を定形し、前記第1の層は、前記第2の層で構成される前記孔部または段差部の底部を構成することを特徴とする、ガラス封入蓋を提供することで解決される。」
(3)「【0019】
蓋の第1の底部層は、平坦で均一な厚さであることが好ましい。そのような蓋は、フラットスクリーンの封入に特に適している。
【0020】
また、本発明では、電子または電子光素子を収容する気密パッケージであって、前記素子および上述の蓋を保持する基板を有し、前記蓋は、前記基板に密封シール状態で接合され、前記素子と前記蓋の前記孔部または段差部とを収容することを特徴とする気密パッケージが提供される。
【0021】
基板は、前記素子を保持するガラス層を有することが好ましく、このガラスの組成は、蓋の第1の底部層の組成と等しい。実際は、基板のこのガラス層は、一般に平坦保持プレートである。ガラスの組成が等しいため、パッケージを定形する2の主面間で膨張率が異なるという問題は、回避される。
【0022】
気密パッケージは、前記蓋および前記基板の少なくとも周囲に設置されたシール部を有し、これにより前記密封シール状態の接合が提供され、パッケージに収容された前記素子が外部雰囲気から隔離されることが好ましい。」
(4)「【0028】
説明を単純にするため、同じ機能を有する素子には同じ参照符号が用いられている。
【0029】
本発明を図1参照して説明する。図1は、本発明の蓋を備えるエレクトロルミネッセントパネル製品であり、蓋には、4セルのみが概略的に示されている。
【0030】
アクティブマトリクスは、有機ルミネッセントセルの2次元配列を保持する。基板を構成するこのアクティブマトリクスは、平坦ガラスプレートを有し、このガラスプレートの一方には、シリコン層が成膜され、シリコン層内には、エレクトロルミネッセントセルを制御する回路がエッチング加工成形され、ガラスプレートの他方には、これらの回路およびこれらのセルを制御して、給電を行う電極が設置される。エレクトロルミネッセントセルは、各回路に成膜される。これらの電子および電子光素子を保持するそのような基板は、従来の方法で製作される。
【0031】
基板に成膜されたこれらの素子を封入するための、本発明のガラス蓋を製作するプロセスを以下に説明する。」
(5)「【0034】
図1には、上述の基板に適した蓋1の第1の実施例の概略図を示す。
【0035】
平坦ガラスプレートは、底部層2を構成し、この層は、孔のない連続層であって、ここでは均一な厚さを有する。したがって極めて低コストな部品とすることができる。
【0036】
露光用ペーストは、従来の方法で調製され、前記ペーストは、有機溶媒に溶解または懸濁された光硬化型有機バインダと、低融点の鉱物ガラスフリットとを有する。
【0037】
このフリットの軟化点は、実質的に底部層のガラスの軟化点より、少なくとも150℃低いことが好ましい。このフリットの軟化点は、550℃を越えないことが好ましく、450℃を超えないことがより好ましい。ここでは従来組成のフリットであって、軟化点が約420℃のものを選定した。使用する従来のフリットは、ホウ酸塩および/または鉛塩を含んでも良い。さらに、アルミナまたはチタニアのような高融点の非ガラス性充填材を含むフリットを用いることも可能である。
【0038】
底部層2には、このペーストからなる均一厚さの第2の層が設置され、溶媒が蒸発される。適当なマスクを挿入後、UV線で露光することにより、この層のバインダが、エレクトロルミネッセントセル位置に対応した位置でのみ硬化する。次にこの層の硬化されなかった部分が除去され、エレクトロルミネッセントセルの間に設置された、2の直交溝が形成される。これらの溝の底部は、第1の底部層2を形成するガラスプレートによって構成される。
【0039】
第2の層には、このペーストからなる均一厚さの第3の層が設置され、溶媒が蒸発される。別の適当なマスクを挿入後、UV線で露光することにより、この層のバインダが周囲部周辺でのみ硬化し、この層の硬化されなかった部分が除去されて、4のエレクトロルミネッセントセルを囲むように、パネルの周囲部に凸部が形成される。この周囲凸部は、単一の孔を定形し、孔の底部には、主として第2の層が予め成膜されている。
【0040】
次に全組立体は、通常は約420℃で加熱されて有機バインダが除去され、2のペースト層のガラスフリットが、凝固、緻密化する。
【0041】
本発明によるガラス蓋は、第1のガラス層または底部層2と、第2のガラス層3と、第3のガラス層6とを有し、第1のガラス層は連続層であって、第2の層は不連続層であって、セル間に溝4、5を定形し、第3のガラス層は、4セルの周囲に連続した凸部を形成し、パネルの全活性表面に広がる穴を定形する。第1の層2は、溝4、5の底部を形成し、第2の層3は、主としてパネルの全セルに対応した単一の中心孔の底部を形成する。第2および第3の層のガラス軟化点は、第1の底部層のガラス軟化点よりも実質的に低い。
【0042】
このガラス蓋は、機械加工をせずに得ることができる。したがって特に低コストである。
【0043】
従来技術の吸収剤および乾燥剤は、溝4、5内に設置され、エレクトロルミネッセントセルは、酸素または水蒸気による劣化の危険から保護される。
【0044】
接着シールは、第3の層6を構成する周囲凸部の上部に、従来方法によって設置され、ガラス蓋が基板上に接合されて、基板に保持された電子および電子光素子を収容する気密式の封入パッケージが構成される。シールは、蓋および基板の周囲に設置されるため、溝4、5で形成される孔と、第3の層6の周囲凸部によって定形される中央孔とが、外気雰囲気から分離される。
【0045】
このように、有機エレクトロルミネッセントセルが外気雰囲気と十分に隔離されたOLEDパネルを得ることができ、さらに周囲凸部によって、極めて薄い平均厚さの接着シールを利用することが可能となる。接着シールの厚さは、20μmあるいはそれ以下であることが好ましい。これにより、このパネルを長寿命化させることができる。
【0046】
図2および3には、上述の方法と同じ露光転写プロセスによって得られる本発明によるガラス封入蓋の別の実施例を示す。」
(6)「【0048】
図3には、第1のガラス層または底部層2と、別の組成の第2のガラス層3と、隆起ブロック621、622、631および632とを有するガラス蓋1’’を示す。第1のガラス層は連続層であり、第2の層は不連続層であり、周囲ガラス凸部61を形成する。周囲凸部61は、孔部を定形し、孔の底部は第1の層2によって定形され、ブロック621、622、631および632は、それらの間に段差部または凹部を提供し、その底部は、第1の層2によって形成される。」
(7)「【図1】


(8)「【図3】


(9)図3からは、隆起ブロック621、622、631および632が細長い板状であって、平面的に見て第1のガラス層2を横切って形成されていることが見て取れる。

これらの記載事項及び図面を含む引用例1全体の記載並びに当業者の技術常識を総合すれば、引用例1には、以下の発明が記載されている。
「平坦ガラスプレートを有し、このガラスプレートの一方には、シリコン層が成膜され、シリコン層内には、エレクトロルミネッセントセルを制御する回路がエッチング加工成形され、ガラスプレートの他方には、これらの回路およびこれらのセルを制御して、給電を行う電極が設置され、エレクトロルミネッセントセルが各回路に成膜された電子光素子と、からなる基板を構成する、有機ルミネッセントセルの2次元配列を保持するアクティブマトリクスと、
第1のガラス層(2)と、別の組成の第2のガラス層(3)と、平面的に見て第1のガラス層を横切って形成されている細長い板状の隆起ブロック(621、622、631および632)とを有するガラス蓋(1’’)であって、第1のガラス層は連続層であり、第2の層は不連続層であり、周囲ガラス凸部(61)は孔部を定形し、孔の底部は第1のガラス層によって定形され、隆起ブロックは、それらの間に段差部または凹部を提供し、その底部は第1のガラス層によって形成されるガラス蓋と、を有し
上記基板、ガラス蓋および基板上でガラス蓋をシールする手段によって構成される気密封入パッケージ。」(以下「引用発明」という。)

3.対比
本願発明と引用発明を比較する。
(1)引用発明の「平坦ガラスプレート」及び「有機ルミネッセントセルの2次元配列を保持するアクティブマトリクス」は、それぞれ本願発明の「透明基板」及び「有機EL層がマトリクス状に配置され」た構成に相当する。
また、引用発明の上記「アクティブマトリクス」は、「有機ルミネッセントセルの2次元配列を保持」し「シリコン層が成膜され、シリコン層内には、エレクトロルミネッセントセルを制御する回路がエッチング加工成形され、ガラスプレートの他方には、これらの回路およびこれらのセルを制御して、給電を行う電極が設置され、エレクトロルミネッセントセルが各回路に成膜された電子光素子と、からなる」から、引用発明が本願発明の「有機EL素子に電圧を印加して発光させることによって前記基板に形成された画面に画像を形成する」構成に相当する構成を有することは、当業者にとって自明である。
してみると、引用発明の「気密封入パッケージ」は本願発明の「有機EL表示装置」に相当する。
(2)引用発明の「連続層であ」る「第1のガラス層」は本願発明の「背面ガラス板」に相当する。
同様に、引用発明の「細長い板状の隆起ブロック」は本願発明の「細長い板材」に相当する。ここで、引用例1における第1のガラス層と別の組成の第2のガラス層の形成に係る記載(上記摘記事項(5)参照)に照らせば、引用発明の「細長い板状の隆起ブロック」が「連続層であ」る「第1のガラス層」に接着されていることは明らかである。
(3)引用発明の「平坦ガラスプレート」の「ガラス蓋」側は本願発明の「透明基板の前記有機EL層が形成された側」に相当するから、引用発明の「ガラス蓋および基板上でガラス蓋をシールする手段によって構成される気密封入パッケージ」と本願発明の「透明基板の前記有機EL層が形成された側は、背面ガラス板によって枠材および封着材を介して気密に封止され」る構成は、ともに「透明基板の前記有機EL層が形成された側は、背面ガラス板によってシールする手段を介して気密に封止され」る点で共通する。
(4)引用発明の「第1のガラス層によって形成され」る「底部」に対応する位置に「アクティブマトリクス」が配置されることは自明であるから、引用発明の「平面的に見て第1のガラス層を横切って形成されている細長い板状の隆起ブロック」が本願発明の「前記板材はは前記表示装置を平面的に見た場合、前記画面を横切って形成され」る構成に相当する構成を有することは明らかである。

以上のことから、両者は、
「基板に有機EL層がマトリクス状に配置され、前記有機EL素子に電圧を印加して発光させることによって前記基板に形成された画面に画像を形成する有機EL表示装置であって、前記透明基板の前記有機EL層が形成された側は、背面ガラス板によってシールする手段を介して気密に封止され、前記背面ガラス板の内側には細長い板材が接着されおり、前記板材は前記表示装置を平面的に見た場合、前記画面を横切って形成されている有機EL表示装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点1)
シールする手段が、本願発明では枠材および封着材であるのに対して、引用発明では具体的な構成が不明な点。
(相違点2)
本願発明は、背面ガラス板の内側で板材が形成されていない部分に乾燥剤が設置されているのに対して、引用発明に乾燥剤が設置されているかどうかを含め、そのような構成を有するかどうかが不明な点。

4.判断
(相違点1)について
有機EL表示装置の封止を枠材と封着材を用いて行うことは、ごく普通に用いられる周知技術(特開2003-257624号公報に記載の、封止缶外周包囲リブ3及び封止材22参照。また、引用発明の「周囲ガラス凸部」は当該枠材を示唆する。)であり、引用発明のシールする手段に当該周知技術を用いることにより上記相違点1に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
(相違点2)について
引用例1には、ガラス蓋に形成された空間に乾燥剤を設置することが記載されており(上記摘記事項(5)段落【0043】参照)、引用発明の「隆起ブロック」によって「提供」すなわち形成される「段差部または凹部」に乾燥剤を設置することは、当業者が容易になし得る事項である。

また、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであるから、格別のものではない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、回答書(上記「第1 手続の経緯」参照)に記載されている補正案を参酌しても、上記判断に変わりはない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-15 
結審通知日 2012-11-20 
審決日 2012-12-04 
出願番号 特願2006-168779(P2006-168779)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
P 1 8・ 57- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 博一  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 土屋 知久
川俣 洋史
発明の名称 有機EL表示装置  
代理人 ポレール特許業務法人  
代理人 ポレール特許業務法人  

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