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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1269005
審判番号 不服2012-13640  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-17 
確定日 2013-01-17 
事件の表示 特願2000-296938「配線基板」拒絶査定不服審判事件〔平成14年4月12日出願公開、特開2002-111210〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年9月28日の出願であって、平成24年4月13日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年4月17日)、これに対し、同年7月17日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
そして、その請求項1ないし7に係る発明は、平成23年8月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
ガラスおよび/またはそれが結晶化したマトリックス中にアスペクト比が4以上のセラミックフィラーを分散したガラスセラミックスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面および/または内部に設けられている配線層と、を備え、前記絶縁基板は、その表面のX線回折チャートにおいて、前記セラミックフィラーのc面(0,0,l)の配向度(%)が、I(0,0,l)/(I(0,0,l)+I(h,k,0))×100(ただし、I(0,0,l)、I(h,k,0)は2θ=20?60°の範囲において最もピーク強度の高いピークの強度)の式で表わしたときに、50%以上であることを特徴とする配線基板。」

第2 刊行物
(1)これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特開平9-71472号公報(以下「刊行物」という。)には、「ガラスセラミック基板の製造方法」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、上記従来のように外部から圧力等を加えなくでも基板の面方向の焼成収縮率を可及的に低減することができ、高寸法精度のガラスセラミック基板を容易に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明によるガラスセラミック基板の製造方法は以下の構成としたものである。即ち、ガラス粉末とフィラーからなるグリーンシートを焼成してガラスセラミック基板を製造するに当たり、上記フィラーの一部または全部に偏平粒子を用い、その偏平粒子を上記グリーンシートの面方向に平行に配向させた状態で焼成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【作用】上記のように偏平粒子をグリーンシートの面方向に平行に配向させた状態で焼成することによって、その配向させた偏平粒子が焼成時にグリーンシートの面方向の収縮を抑制して収縮率を可及的に低減することが可能となる。」

イ 「【0012】フィラーの形状は、一部または全部を偏平粒子とするが、その偏平粒子の直径(長径)を厚さで割ったアスペクト比は大きい方が好ましい。例えば直径は5?40μm程度、厚さは1?2μm程度でアスペクト比は5?40程度がよい。アスペクト比が5未満であると焼成時の収縮抑制効果が少なく、40より大きいと基板に孔あけ加工等を施す場合に支障をきたすおそれがある。」

ウ 「【0015】上記のスラリーは、ドクターブレード法、押し出し成形等により30?200μm程度の厚さのグリーンシートとするもので、そのときフィラーの偏平粒子がグリーンシートの面方向に平行に配向する。」

エ 「【0018】上記のようにフィラーの偏平粒子がグリーンシートの面方向に平行に配向した状態で焼成すると、グリーンシートの面方向への焼成収縮が可及的に低減され、収縮は厚さ方向にのみ生じる。これは、配向した偏平粒子がガラス粉末を拘束して面方向の収縮を防止するからである。以上の方法によって、外部からの圧力を加えなくても焼成による面方向の収縮が可及的に低減され、寸法精度の高いガラスセラミック多層基板を得ることができるものである。」

オ 「【0019】
【実施例】以下、本発明によるガラスセラミック基板の製造方法を具体的な実施例に基づいて説明する。
【0020】〔実施例1〕SiO_(2)が29重量%、Al_(2)O_(3)が18重量%、ZnOが27重量%、B_(2)O_(3)が13重量%、CaOが13重量%の組成で、軟化点が730℃、平均粒径が1.8μmのガラス粉末55重量部と、フィラーとして平均粒径が4.8μm、アスペクト比が5の偏平状アルミナ粉末(昭和電工株式会社製、製品名AL-43PC)45重量部とを混合し、これにボリビニルブチラール9重量部(審決注:「ポリビニルブチラール9重量部」の誤記、段落【0014】参照)、フタル酸ジイソブチル7重量部、オレイン酸1重量部、イソプロピルアウコール40重量部、トリクロロエタン20重量部を加えてボールミルで24時間混合してスラリーを作製した。このスラリーを脱泡後、ドクターブレード法により厚さ130μmに引き延ばしてグリーンシートを作製した。
【0021】そのグリーンシートにスルーホールを形成し、外形12cm□に切断した。そして、銀ペーストをスルーホールに詰め、さらに回路配線用ペーストを印刷して乾燥した。(省略)
【0022】上記のようにして配線を形成したグリーンシートを5枚積層し、80℃、200kg/cm_(2)の条件でホットプレス機を用いて加熱圧着した。次いで、上記積層体をアルミナセッターの上に置き、ボックス炉で空気中550℃で2時間樹脂を熱分解させた後、850℃まで毎分5℃の速度で昇温し、850℃で20分保持して焼成を行った。その結果、焼成による面方向の収縮率は、2.72%であり、厚さ方向の収縮率は34.5%であった。
【0023】〔実施例2〕実施例1の偏平状アルミナ粉末の5重量部を偏平状アルミニウム粉末(平均粒径23μm、アスペクト比18)に置き換えた以外は実施例1と同じ条件でガラスセラミック基板を製作した。その結果、焼成による面方向の収縮率は0.56%であり、厚さ方向の収縮率は36.1%であった。」

カ 「【0025】〔比較例〕実施例1の偏平状アルミナ粉末の全部を、平均粒径1.7μmの粒状アルミナ(商品名Al-45-1、昭和電工株式会社製)に置き換えた以外は実施例1と同じ条件でガラスセラミック基板を製作した。その結果、焼成による面方向の収縮率は15.23%であり、厚さ方向の収縮率は16.72%であった。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「ガラス粉末55重量部と、フィラーとしてアスペクト比が5の偏平状アルミナ粉末45重量部とを混合し、これにポリビニルブチラール9重量部等を加えてスラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法により引き延ばしてグリーンシートを作製し、
このグリーンシートに回路配線用ペーストを印刷して乾燥し、積層し、加熱圧着後、焼成を行って製造したガラスセラミック基板。」

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者のスラリーに混合された「ガラス粉末」は前者の「ガラスおよび/またはそれが結晶化したマトリックス」に相当し、以下同様に、「アスペクト比が5の偏平状アルミナ粉末」は「アスペクト比が4以上のセラミックフィラー」に、「スラリー」はガラス粉末と偏平状アルミナ粉末とを混合したものであるから「ガラスセラミックス」に、「グリーンシート」は「絶縁基板」に、グリーンシートに印刷された「回路配線用ペースト」は「絶縁基板の表面および/または内部に設けられている配線層」に、「ガラスセラミック基板」は「配線基板」にそれぞれ相当する。

したがって、両者は、
「ガラスおよび/またはそれが結晶化したマトリックス中にアスペクト比が4以上のセラミックフィラーを分散したガラスセラミックスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面および/または内部に設けられている配線層と、を備えた配線基板。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
本願発明は、「前記絶縁基板は、その表面のX線回折チャートにおいて、前記セラミックフィラーのc面(0,0,l)の配向度(%)が、I(0,0,l)/(I(0,0,l)+I(h,k,0))×100(ただし、I(0,0,l)、I(h,k,0)は2θ=20?60°の範囲において最もピーク強度の高いピークの強度)の式で表わしたときに、50%以上である」のに対し、引用発明は、かかる構成を備えるか否か不明である点。

第4 当審の判断
そこで、相違点について検討する。
本願出願前に、X線回折で配向性を有する試料を分析した場合、特定の結晶面の回折線だけが強く観測されること、すなわち、特定の結晶面のX線強度が大きく観測されることは、周知の技術事項(例えば、加藤誠軌(かとう・まさのり)著、「セラミックス基礎講座3 X線回折分析」、第2版、株式会社内田老(ろう)鶴(かく)圃(ほ)、1991年7月15日、p.202の「4.3.8特定の回折線だけが現れる場合」及び図4.3.4、並びに同p.209の表4.3.1の番号6及び8の欄参照)である。
そうすると、「スラリーをドクターブレード法により引き延ばしてグリーンシートを作製し」た引用発明は、「偏平粒子をグリーンシートの面方向に平行に配向させた」(段落【0009】)ものであるから、引用発明のガラスセラミック基板をX線回折によって分析することは、当業者が容易に着想し得たことである。そして、その際に、ガラスセラミック基板の面方向に平行な面がc面(0,0,l)となり、厚さ方向の面がc面(0,0,l)に垂直な面(h,k,0)となることは自明である(結晶の格子面群(h,k,l)を表すミラー指数hklの意味については、前記「セラミックス基礎講座3 X線回折分析」p.26、51-52参照)。

また、本願出願前に、c面(0,0,l)の配向度(%)を、I(0,0,l)/(I(0,0,l)+I(h,k,0))×100(ただし、I(0,0,l)、I(h,k,0)はX線強度)の式で表わすことは、周知の技術事項(例えば、特開平9-124322号公報の段落【0018】の「焼結体のX線回折を行い、配向度を算出した。配向度の算出は、以下の式で求めた。配向度P=[I(0,0,15)/{I(1,1,0)+(0,0,15)}]×100(%)による。ここで、I(0,0,15),I(1,1,0)というのは、それぞれ(0,0,15),(1,1,0)面のX線強度を示す。」との記載参照。また、(0,0,15)面がc面(0,0,l)であることについては、前記「セラミックス基礎講座3 X線回折分析」p.26、51-52参照)であるから、引用発明のガラスセラミック基板をX線回折によって分析するにあたって、c面(0,0,l)の配向度(%)を前記式を用いて評価することも、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、刊行物には、「フィラーの偏平粒子がグリーンシートの面方向に平行に配向した状態で焼成すると、グリーンシートの面方向への焼成収縮が可及的に低減され、収縮は厚さ方向にのみ生じる。これは、配向した偏平粒子がガラス粉末を拘束して面方向の収縮を防止するからである」(段落【0018】)と記載されており、この記載からみて、刊行物には、偏平粒子をグリーンシートの面方向と平行に、より配向させることで、面方向の収縮率をより低減でき、厚さ方向にのみ収縮を生じさせることが示唆されているといえる。

そうすると、引用発明において、前記示唆に基づいて、偏平粒子をガラスセラミック基板の面方向に平行な面への配向の程度を増すようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

ところで、配向度に関する前記式は、c面(0,0,l)の配向度を、c面(0,0,l)のX線強度とc面(0,0,l)に垂直な面(h,k,0)のX線強度を用いて特定するもので、c面(0,0,l)のX線強度の、c面(0,0,l)のX線強度とc面(0,0,l)に垂直な面(h,k,0)のX線強度との和に対する比で評価するものである。

そして、引用発明において、ガラスセラミック基板の面方向に平行な面がc面(0,0,l)であり、厚さ方向の面がc面(0,0,l)に垂直な面(h,k,0)であるから、このような各面の位置関係を前提として、偏平粒子のガラスセラミック基板の面方向に平行な面への配向の程度が増せば、前述したX線回折における配向性試料の特性からみて、c面(0,0,l)のX線強度がより大きくなり、c面(0,0,l)に垂直な面(h,k,0)のX線強度がより小さくなることは、当業者が容易に理解することができる事項である。

そうすると、引用発明のガラスセラミック基板のc面(0,0,l)の配向度(%)を前記式を用いて評価するにあたって、c面(0,0,l)のX線強度をc面(0,0,l)に垂直な面(h,k,0)のX線強度以上に設定すること、すなわち、c面(0,0,l)の配向度(%)を50%以上に設定することは、当業者において格別の困難性をともなうことではない。

以上のことからみて、引用発明において、刊行物に記載ないし示唆された事項及び前記周知の技術事項に基づいて、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

次に、本願発明の効果を検討する。
本願明細書には、表1(段落【0049】)に関して、「表1の試料No.3、5、12のグリーンシートの所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール内に銅粉末と有機ビヒクルとを混練した導体ペーストを充填した後、グリーンシート表面に銅粉末と有機ビヒクルとを混練した導体ペーストを用いてスクリーン印刷法により配線層を塗布して3枚積層し、上記と同様に熱圧着、焼成して配線基板を作製した。その結果、焼成による面方向の収縮率はそれぞれ2%、16%、3.5%であり、厚み方向の収縮率は35%、18%、30%であった。また、絶縁基板の厚みは200μm、250μm、310μmであったが、試料No.5および試料No.12の配線基板では、半導体素子の実装時に破損した。」(段落【0052】)との記載があり、この記載によれば、本願発明の実施例となる試料No.3の面方向の収縮率が2%、厚み方向の収縮率が35%となることが示され、本願発明は、面方向の収縮率を低減させ、厚み方向の収縮率を増大させるという効果を生じるものであることが分かる。
これに対して、刊行物の実施例1のグリーンシートは、アスペクト比が5の偏平状アルミナ粉末を混合したものであって、その「面方向の収縮率は、2.72%であり、厚さ方向の収縮率は34.5%」(段落【0022】)となるものであるから、前記試料No.3と比べると、その面方向及び厚み方向の収縮率がやや劣るものといえる。
しかしながら、刊行物には、「アスペクト比は大きい方が好ましい。・・・アスペクト比は5?40程度がよい。アスペクト比が5未満であると焼成時の収縮抑制効果が少なく、40より大きいと基板に孔あけ加工等を施す場合に支障をきたすおそれがある」(段落【0012】)と記載されており、また、実施例1の偏平状アルミナ粉末の5重量部を偏平状アルミニウム粉末(平均粒径23μm、アスペクト比18)に置き換えた実施例2では、「焼成による面方向の収縮率は0.56%であり、厚さ方向の収縮率は36.1%」(段落【0023】)となることが記載されているから、これらの記載に照らせば、刊行物の実施例1のグリーンシートついて、アスペクト比のより大きな偏平状アルミナ粉末を用いれば、面方向の収縮率がより低減し、厚み方向の収縮率がより増大することを予測することができる。
そうすると、本願発明の面方向及び厚み方向の収縮率に関する効果は、引用発明及び刊行物に記載された事項から予測し得たものであって、格別なものではない。

また、本願明細書には、「本発明に従い、扁平なセラミックフィラーを用い、ロール成形によってグリーンシートを作製した試料No.2?4、7?11では、いずれも磁器強度250MPa、熱伝導率4W/m・K以上の優れた特性を有するものであった」(段落【0051】)と記載され、この記載からみて、本願発明は、磁器強度及び熱伝導率を向上させるという効果を生じるものであることが分かる。
これに対して、刊行物には、ガラスセラミック基板の強度や熱伝導率に関する記載は無いが、本願出願前に、フィラーを分散したガラスセラミックスにおいて強度や熱伝導率を向上させることは周知の技術的課題(例えば、特開平11-292616号公報の段落【0039】、表1、及び表2、特開昭63-79739号公報の第3頁右下欄9-19行、第1表、及び第2表(その1)、特開平10-167822号公報の段落【0037】及び表1ないし表3参照)であり、具体的な値として「強度250MPa、熱伝導率4W/m・K以上」とすることも格別ではない(例えば、特開平11-292616号公報の表2の実施例5では曲げ強度25kgf/mm^(2)(単位換算すると約245MPa),熱伝導率5.2W/mk、特開昭63-79739号公報の第2表(その1)の実施例10では熱伝導率0.015cal/cm・S・℃(単位換算すると約6.3W/m・K、特開平10-167822号公報の表2のNo.11では強度290MPaである点参照)。

本願明細書には、「セラミックフィラーの配向度が50%より低いと、特に絶縁基板の厚みが薄くなったときに重要となる配線基板2の面方向での熱伝導率および強度が低下する」(段落【0019】)と記載されているが、前述のとおり、「強度250MPa、熱伝導率4W/m・K以上」が本願出願前に既に実現されていたものであることに照らせば、本願発明の「配向度が50%以上」が熱伝導率および強度について臨界的意義を有するとはいえない。このことは、本願明細書の表1の試料No.12が配向度45%であるときに強度170MPa、熱伝導率3.5W/m・Kであり、本願発明の実施例となる試料No.2?4、7?11に比べてやや低い程度の値となることからも窺える。

また、試料No.12に関して、本願明細書には「ドクターブレード法にて成形した試料No.12では、ガラスセラミックス中のセラミックフィラーの配向度が低く、強度および熱伝導率が低下した」(段落【0050】)と記載され、さらに、審判請求書では「刊行物1(注:本審決の「刊行物」)中に記載された製法により作製した試料を当初明細書の段落番号0045および表1に試料No.12として例示していますが、刊行物1に記載された発明のガラスセラミック基板に相当する試料(表1の試料No.12)は、配向度が45%と、本願発明の試料に比較して配向度が低いものとなっており、このことからも刊行物1に記載された発明のガラスセラミック基板が本願の請求項1に係る発明におけるガラスセラミックスの構成を満たすものでないことは明らかです。また、刊行物1には配向度をさらに高める必要があることについての記載や示唆も一切ありません。さらに、本願の当初明細書の表1に見られますように、刊行物1に記載された発明に相当するドクターブレード法にて作製された試料No.12では、磁器の強度が170MPa、熱伝導率が3.5W/m・Kとかなり低い特性となっています」(「(3)本願発明が特許されるべき理由 」の欄)と主張しているが、試料No.12のアスペクト比は5であって、刊行物における「アスペクト比は大きい方が好ましい。・・・アスペクト比は5?40程度がよい。アスペクト比が5未満であると焼成時の収縮抑制効果が少なく、40より大きいと基板に孔あけ加工等を施す場合に支障をきたすおそれがある」(段落【0012】)との記載に従って、アスペクト比が5よりも大きなフィラーを用いた場合、前述したとおり、厚み方向への収縮がより大きくなることが予測でき、それに伴って、フィラー間の距離が短縮し、フィラー同士の接触の程度が増加することが技術的に自明であるから、それによって、ガラスセラミック基板の強度や熱伝導率が向上することも当業者が予測し得たことである(フィラーがガラスラミック焼結体の機械的強度を上昇させ、熱伝導率を向上させる点については、例えば、特開昭63-79739号公報の第3頁右下欄9-19行参照)。
そうすると、本願発明の磁器強度及び熱伝導率に関する効果は、引用発明、刊行物に記載された事項、及び前記周知の技術事項から予測し得たものであって、格別なものでない。

また、全体としてみても、本願発明が奏する効果は、引用発明、刊行物に記載ないし示唆された事項、及び前記周知の技術事項から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。

したがって、本願発明は、引用発明、刊行物に記載ないし示唆された事項及び前記周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
本願発明は、引用発明、刊行物に記載ないし示唆された事項及び前記周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-13 
結審通知日 2012-11-20 
審決日 2012-12-03 
出願番号 特願2000-296938(P2000-296938)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平田 信勝森藤 淳志原 泰造  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 冨岡 和人
窪田 治彦
発明の名称 配線基板  

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