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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65C 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65C |
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管理番号 | 1269139 |
審判番号 | 不服2012-1512 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-01-26 |
確定日 | 2013-01-24 |
事件の表示 | 特願2007-119230「ラベル貼付装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年11月13日出願公開、特開2008-273569〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成19年4月27日の特許出願であって、平成23年10月27日付けで拒絶査定がなされ、平成24年1月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、同時に手続補正がなされたものである。 2.平成24年1月26日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理 由] (1)補正後の本願の発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「ラベル供給手段から供給されるラベルを物品に貼付するラベル貼付装置において、 上記ラベル供給手段から供給されるラベルを吸着保持するラベル保持手段と、 該ラベル保持手段が保持したラベルの一部を裏面側から表面側に山形に折込んで突出させ頂部を境に一方側面及び他方側面を有した折曲部を形成するとともに該折曲部の一方側面の基端部及び他方側面の基端部に曲部を介して夫々連設される外端部を物品に貼付する折曲貼付手段とを備え、 上記ラベル保持手段を、ラベルを吸着する一対の分割体を備えて構成し、 上記折曲貼付手段を、上記分割体同士を相対的に近接、離間移動させるとともに、近接移動時において上記分割体の互いに対向する端面で上記ラベルの曲部を押圧して該ラベルの一部を折り曲げて上記折曲部を形成する折曲手段と、 該折曲手段の分割体の移動を制御する移動制御手段とを備えて構成し、 上記ラベル供給手段のラベル供給方向と、上記分割体の近接、離間移動方向とを直交させたことを特徴とするラベル貼付装置。」と補正された。 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ラベル貼付装置」に関し、「ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接,離間移動方向とを直交させた」と限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年改正前特許法第17条の2第6項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-76687号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 ・「【0005】 本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、RFIDタグが付設されたラベルの一部を物品に対して山形に突出させて貼付し、RFIDタグを物品から離間することで、RFIDタグが貼付された物品からの影響を低減させることができ、そのため、安定したデータの読み書きを確保できるようにしたラベル貼付装置を提供することを目的とする。」 ・「【0023】 図1乃至図4,図6には、本発明の第一の実施の形態に係るラベル貼付装置を示している。この第一の実施の形態に係るラベル貼付装置が対象とするラベルLは、図5,図19及び図20に示すように、タグ付設部位1を含むラベルLの一部2が、ラベルLの中間部に形成されるものである。 第一の実施の形態に係るラベル貼付装置100は、コンベアCにより所定の搬送方向に沿って搬送させられる物品WにラベルLを貼付するものである。 ラベル貼付装置100は、ラベル搬送手段10及び折曲貼付手段20を備えている。 【0024】 ラベル搬送手段10は、ラベルLを台紙Dより剥離する剥離板11と、ラベルLが所定位置に搬送されたことを検知するセンサ12と、RFIDタグTのICチップTaに対しデータをリライトするリーダライタ13とから構成され、図示外のロールから送出されるラベルLが仮着された台紙Dを搬送するとともに剥離板11により折り返してラベルLを引き剥がす。折り返しされた台紙Dは、図示外のリールに巻き取られる。 また、ラベルLの搬送に伴い、センサ12は、ラベルLの検知に基づき折曲貼付手段20を動作させるタイミングを計ると共に、リーダライタ13は、RFIDタグTのICチップTaに対しデータをリライトして、情報の書き込みや読込みによる検証等を行う。 【0025】 折曲貼付手段20は、吸着板21(ラベル保持手段)を備えており、この吸着板21は、剥離板11で剥離されたラベルLのRFIDタグTが付設されたタグ付設部位1を含むラベルLの一部2が裏面側から表面側に突出可能にラベルLの表面側を吸着するものである。吸着板21には、ラベルLの表面を吸着するためのエアを吸引する複数の小孔21aが設けられている。 【0026】 吸着板21は、ラベルLの搬送方向Rに直交する線で分割して形成されラベルLを吸着する一対の分割体21b,21cで構成されている。一方の分割体21bは、支持部材22を介して、ベース23に対して支持されている。 他方の分割体21cは、ラベルLの搬送方向Rに沿ってスライド可能にレール24及びレール24を摺動するスライダ25を介してベース23に支持され、他方の分割体21cのラベルLの搬送方向R後端部と一方の分割体21bのラベルLの搬送方向R前端部とが接合する接合位置S及び一方の分割体21bから離間する離間位置Vの2位置に移動可能に支持されている。離間位置Vにおいては、一方の分割体21bと他方の分割体21cとの間に裏面側から表面側に突出するラベルLの一部2が入り込むことのできる空間eが形成されるとともに、一方の分割体21bと他方の分割体21cとがラベルLの搬送方向R両端部側を夫々吸着保持する。 また、他方の分割体21cは、後退時に接合位置Sに位置させ進出時に離間位置Vに位置させるエアシリンダ装置26(折曲手段)で駆動される。エアシリンダ装置26は、他方の分割体21cのスライダ25が取り付けられるピストンとベース23に固定されるシリンダとからなる。 【0027】 また、折曲貼付手段20は、吸着板21を剥離板11で剥離されたラベルLを吸着する吸着位置X及びこの吸着したラベルLを物品Wに貼付する貼付位置Yの2位置に移動させる移動手段27を備えている。 移動手段27は、ベース23が取り付けられるピストンと機台(図示せず)側のシリンダとからなるエアシリンダ装置28を備えている。符号29はベース23の移動をガイドするためのガイドシャフト29a及びガイドシャフト29aが摺動可能に挿通されるガイド管29bからなるガイドである。 【0028】 更に、折曲貼付手段20は、一方の分割体21bと他方の分割体21cとの間に裏面側から表面側に突出するラベルLの一部2が入り込むよう補助する折曲補助手段30を備えている。 折曲補助手段30は、ラベルLの一部2に裏面側(粘着層B側)からエアを吹き出し、このエアの吹き出し力によりラベルLの一部2を表面側に山形に折り曲げるエア吹き出しノズル31を備えている。エア吹き出しノズル31及びエアシリンダ装置26(折曲手段)によりラベルLの一部2を折り曲げ、頂部6を境に形成され夫々曲部7を有した一方側面3及び他方側面4を備えた折曲部Mを形成するので、折り曲げが確実に行なわれる。 【0029】 また、折曲貼付手段20は、ラベルLを貼付した後にラベル保持手段としての吸着板21のラベル保持が解除される際、折曲貼付手段20がラベルの折曲部Mを挟持する牽引力を抑制する牽引力抑制手段を備えている。詳しくは、牽引力抑制手段は、図4(a)に示すように、他方の分割体21cを接合位置Sから離間位置V側に移動させ一方の分割体21cがラベルLの折曲部Mに対して接触しないようにエアシリンダ装置26(折曲手段)を駆動制御する。 また、牽引力抑制手段は、ラベル保持手段としての吸着板21からラベルLに対してエアを吹き出す機能を備えて構成されている。詳しくは、牽引力抑制手段は、図4(b)に示すように、吸着板21を貼付位置Yから吸着位置Xに復帰させる際、吸着板21の小孔21aからエアを噴射させるものである。」 ・「【0033】 先ず、操作部88によりEEPROM82の動作フラグ領域の動作フラグが、ON(1)に設定されている場合のラベル貼付装置100の動作を、図1乃至図4及び図7を用いて説明する。 図2(a)に示すように、ラベル搬送手段10により、ラベルLが搬送され(図7(S10))、センサ12は、ラベルLの検知に基づきラベル貼付制御部92が折曲貼付手段20を動作させるタイミングを計る。次いで、台紙Dが剥離板11により折り返しされてラベルLが引き剥がされると、吸着板21は、吸着位置XにおいてラベルLを吸着する(図7(S11))。 【0034】 そして、EEPROM82の動作フラグ領域にON(1)が設定されているので(図7(S12ON))、ラベル貼付制御部92は、ラベルLの貼付動作時にエアシリンダ装置26(折曲手段)及び折曲補助手段30を動作させる(図7(S13))。 即ち、図2(b)に示すように、ラベル貼付制御部92は、エアシリンダ装置26を作動し、他方の分割体21cが離間位置Vに位置させる。これにより、一方の分割体21bと他方の分割体21cとの間に裏面側(粘着層B側)から表面側(表示層U側)に突出するラベルLの一部2が入り込むことのできる空間eが形成される。 【0035】 次に、図1及び図2(c)に示すように、ラベル貼付制御部92はエアシリンダ装置26を作動させ、他方の分割体21cを離間位置Vから接合位置Sに移動させる。また、このとき、ラベル貼付制御部92は、エア吹き出しノズル31を作動し、ラベルLのRFIDタグTが付設されたタグ付設部位1を含むラベルLの一部2に裏面側(粘着層B側)に向けエアを吹き出す。これにより、一方の分割体21b及び他方の分割体21cがラベルLの搬送方向R両端部側を夫々吸着保持しながら、一方側面3及び他方側面4の裏面同士が互いに近接する方向に一方側面3の曲部7と他方側面4の曲部7を押圧して折曲部Mを形成する。この場合、エア吹き出しノズル31からのエアの吹き出し力によりラベルLの一部2を表面側(表示層U側)に押すので、ラベルLの一部2が確実に山形に折り曲げられていく。 【0036】 そして、図2(d)に示すように、他方の分割体21cが離間位置Vから接合位置Sに移動すると、一方の分割体21b及び他方の分割体21cの互いに対向する端面が、ラベルLの一部2である一方側面3及び他方側面4の表面(表示層U)に夫々当接してこれらを押し、一方側面3及び他方側面4の裏面同士を接合させ、これにより、折曲部Mが形成される。 【0037】 その後、図3に示すように、ラベル貼付制御部92は、移動手段27のエアシリンダ装置28を作動し、吸着板21を吸着位置Xから貼付位置Yに移動させる(図7(S14))。これにより、吸着したラベルLが物品Wに貼付される。この場合、山形に突出させられたラベルLの一部2である折曲部Mの両側にはラベルLの貼付面8が形成されているので、分割体21b及び他方の分割体21cによって、物品Wに押圧され、確実にラベルLが物品Wに貼付される。 【0038】 その後、牽引力抑制手段が動作し、即ち、図4(a)に示すように、エアシリンダ装置26(折曲手段)が駆動制御されて、他方の分割体21cを接合位置Sから離間位置V側に移動させる(図7(S15))。また、図4(b)に示すように、吸着板21の小孔21aからエアを噴射させる(図7(S15))。そして、この牽引力抑制手段の動作に同期して、図4(b)に示すように、移動手段27のエアシリンダ装置28が作動し、吸着板21を貼付位置Yから吸着位置Xに復帰させる(図7(S16))。 この場合、他方の分割体21cが離間位置V側に移動させられるので、ラベルLの折曲部Mが分割体21b,21cによって挟まれて牽引されることがないことから牽引力が抑制され、折曲部Mが引っ張られてラベルLが引き剥がされる事態が防止される。また、分割体21b,21cがラベルLを擦ってラベルを損傷する事態も防止され、確実にラベル貼付を行なうことができる。更に、吸着板21からは、ラベルLに対してエアが吹き出されるので、ラベルLを物品W側に押し付ける一方、吸着板21からラベルLを離間する力が作用するので、確実にラベル貼付を行なうことができる。」 ・図2及び図3には、ラベル搬送手段10から供給されるラベルLを物品Wに貼付する点が示されている。また、図1には、ラベル搬送手段10のラベルLの搬送方向Rと、分割体21b及び21cの近接、離間移動方向とを一致させた点が示されている。 これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「ラベル搬送手段10から供給されるラベルLを物品Wに貼付するラベル貼付装置100において、 上記ラベル搬送手段10から供給されるラベルLを吸着保持する吸着板21と、 該吸着板21が保持したラベルLの一部2に裏面側(粘着層B側)からエアを吹き出し、エア吹き出しノズル31のエアの吹き出し力によりラベルLの一部2を表面側に山形に折り曲げて突出させ頂部を境に一方側面及び他方側面を有した折曲部を形成するとともに山形に突出させられたラベルLの一部2である折曲部Mの両側にはラベルLの貼付面8が形成されているので、分割体21b及び他方の分割体21cによって、物品Wに押圧し、確実にラベルLを物品Wに貼付する折曲貼付手段20とを備え、 上記吸着板21を、ラベルLの両端部側の各々を吸着保持する一対の分割体21b及び21cを備えて構成し、 他方の分割体21cが離間位置Vから接合位置Sに移動すると、一方の分割体21b及び他方の分割体21cの互いに対向する端面が、ラベルLの一部2である一方側面3及び他方側面4の表示層Uに夫々当接してこれらを押し、一方側面3及び他方側面4の裏面同士を接合させ、折曲部Mを形成するエアシリンダ装置26からなる折曲手段と、 該一対の分割体21b及び21cよりなる吸着板21を剥離板11で剥離されたラベルLを吸着する吸着位置X及びこの吸着したラベルLを物品Wに貼付する貼付位置Yの2位置に移動させる移動手段27とを備えて構成し、 ラベル搬送手段10のラベルLの搬送方向Rと、21b及び21cの近接、離間移動方向とを一致させたラベル貼付装置100。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)後者の「ラベル搬送手段10」が前者の「ラベル供給手段」に相当し、以下同様に、 「ラベルLを物品Wに貼付する」態様が「ラベルを物品に貼付する」態様に、 「ラベル貼付装置100」が「ラベル貼付装置」に、それぞれ相当する。 (イ)後者の「ラベルLを吸着保持する吸着板21」が前者の「ラベルを吸着保持するラベル保持手段」に相当する。 (ウ)後者の「ラベルLの一部2に裏面側(粘着層B側)からエアを吹き出し、エア吹き出しノズル31のエアの吹き出し力によりラベルLの一部2を表面側に山形に折り曲げて突出させ」た態様が前者の「ラベルの一部を裏面側から表面側に山形に折込んで突出させ」た態様に相当し、以下同様に、 「山形に突出させられたラベルLの一部2である折曲部Mの両側にはラベルLの貼付面8が形成されているので、分割体21b及び他方の分割体21cによって、物品Wに押圧し、確実にラベルLを物品Wに貼付する」態様が「折曲部の一方側面の基端部及び他方側面の基端部に曲部を介して夫々連設される外端部を物品に貼付する」態様に、 「折曲貼付手段20」が「折曲貼付手段」に、それぞれ相当する。 (エ)後者の「ラベルLの両端部側の各々を吸着保持する一対の分割体21b及び21c」が前者の「ラベルを吸着する一対の分割体」に相当する。 (オ)後者の「他方の分割体21cが離間位置Vから接合位置Sに移動すると、一方の分割体21b及び他方の分割体21cの互いに対向する端面が、ラベルLの一部2である一方側面3及び他方側面4の表示層Uに夫々当接してこれらを押し、一方側面3及び他方側面4の裏面同士を接合させ、折曲部Mを形成するエアシリンダ装置26からなる折曲手段」が、 前者の「折曲貼付手段を、分割体同士を相対的に近接、離間移動させるとともに、近接移動時において上記分割体の互いに対向する端面でラベルの曲部を押圧して該ラベルの一部を折り曲げて折曲部を形成する折曲手段」に相当する。 (カ)後者の「一対の分割体21b及び21cよりなる吸着板21を剥離板11で剥離されたラベルLを吸着する吸着位置X及びこの吸着したラベルLを物品Wに貼付する貼付位置Yの2位置に移動させる移動手段27」が前者の「折曲手段の分割体の移動を制御する移動制御手段」に相当する。 (キ)後者の「ラベル搬送手段10のラベルLの搬送方向Rと、分割体21b及び21cの近接、離間移動方向とを一致させた」態様と 前者の「ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向とを直交させた」態様とは、 「ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向とをラベルの折り曲げ方向に関連付けた」との概念で共通する。 (ク)後者の「ラベル貼付装置100」が、 前者の「ラベル貼付装置」に相当する。 したがって、両者は、 「ラベル供給手段から供給されるラベルを物品に貼付するラベル貼付装置において、 上記ラベル供給手段から供給されるラベルを吸着保持するラベル保持手段と、 該ラベル保持手段が保持したラベルの一部を裏面側から表面側に山形に折込んで突出させ頂部を境に一方側面及び他方側面を有した折曲部を形成するとともに該折曲部の一方側面の基端部及び他方側面の基端部に曲部を介して夫々連設される外端部を物品に貼付する折曲貼付手段とを備え、 上記ラベル保持手段を、ラベルを吸着する一対の分割体を備えて構成し、 上記折曲貼付手段を、上記分割体同士を相対的に近接、離間移動させるとともに、近接移動時において上記分割体の互いに対向する端面で上記ラベルの曲部を押圧して該ラベルの一部を折り曲げて上記折曲部を形成する折曲手段と、 該折曲手段の分割体の移動を制御する移動制御手段とを備えて構成し、 上記ラベル供給手段のラベル供給方向と、上記分割体の近接、離間移動方向とをラベルの折り曲げ方向に関連付けたラベル貼付装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向とをラベルの折り曲げ方向に関連付ける方向に関し、本願補正発明では「直交」させたのに対し、引用発明では一致させたものであり、直交させることは特定されていない点。 (4)判断 上記[相違点]について以下検討する。 (ア)本願発明において、本願の図13に示されるような中間部が狭くなったラベルの形状は特定されていないことから、ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向とを直交させた技術的な意義が不明りょうであるといえる。 (ウ)そこで、本願補正発明において、ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向とを直交させた技術的な意義を確認するために、平成24年4月4日付けの審尋に、以下の点を記載している。 「(1)請求項1について 請求項1に係る発明と拒絶理由通知書及び拒絶査定で引用した文献1に記載された発明とは、ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向との関係においてのみ相違する。すなわち、請求項1に係る発明は、前記供給方向と前記移動方向とが直行するのに対し、引用文献1に記載された発明は、同供給方向と同移動方向とが同じである。 しかし、引用文献1に記載された発明と同様に、その一部に立体的な山折り箇所(本願「折曲部」相当)を形成して物品に貼付するラベル連続体において、台紙に対するラベルの並び方向に沿って、前記山折りするための折目を設けたラベル連続体は周知である(引用文献2の段落0018(ラベリング装置の利用)、段落0031?0032(製造工程)、段落0042?0043及び図9(貼付態様)、引用文献3の段落0013?0015及び図4、等)。 引用文献1に記載された装置において、山折り箇所を形成するという貼付形態が共通する前記周知のラベル連続体を用いることは、当業者であれば当然考慮することであり、そのようなラベル連続体を用いる場合、ラベル供給方向と、分割体の近接、離間移動方向とが直行するように配置することは当業者にとって自明である。 なお、請求項1において、装置に用いるラベルの具体的な構造が明らかでないから、供給時にラベルが折れ曲がったり、湾曲する事態が防止されるという効果は、請求項1で特定する事項に基づく効果とは認められない。」 (エ)これに対し、請求人からは応答がなかった。 (オ)一方、例えば、実用新案登録第3036286号公報の図14の(A)及び(B)に搬送方向に対し、直交する2種類の方向のラベルを貼付する装置が示されているように、ラベルの方向と、ラベルの移動方向とをどのように配置するのかは選択的事項であることから、ラベル供給手段のラベル供給方向と、ラベルの方向と関連する分割体の近接、離間移動方向とを直交することが格別困難であるとは認められない。 (カ)そうすると、引用発明において、相違点に係る本願補正発明の構成とすることにより相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって設計事項にすぎない。 そして、本願補正発明の全体構成により奏される作用効果も引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。 したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (5)むすび 以上のとおりであって、本件補正は、平成23年改正前特許法第17条の2第6項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下を免れない。 3.本願発明について 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の明細書、特許請求の範囲、及び、図面によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。 「ラベル供給手段から供給されるラベルを物品に貼付するラベル貼付装置において、上記ラベル供給手段から供給されるラベルを吸着保持するラベル保持手段と、 該ラベル保持手段が保持したラベルの一部を裏面側から表面側に山形に折込んで突出させ頂部を境に一方側面及び他方側面を有した折曲部を形成するとともに該折曲部の一方側面の基端部及び他方側面の基端部に曲部を介して夫々連設される外端部を物品に貼付する折曲貼付手段とを備え、 上記ラベル保持手段を、ラベルを吸着する一対の分割体を備えて構成し、 上記折曲貼付手段を、上記分割体同士を相対的に近接,離間移動させるとともに、近接移動時において上記分割体の互いに対向する端面で上記ラベルの曲部を押圧して該ラベルの一部を折り曲げて上記折曲部を形成する折曲手段と、 該折曲手段の分割体の移動を制御する移動制御手段とを備えて構成したことを特徴とするラベル貼付装置。」 (1)引用例 引用例、及び、その記載内容は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・検討 本願発明は、「2.」で検討した本願補正発明から「ラベル貼付装置」に関し、「ラベル供給手段のラベル供給方向と、分割体の近接,離間移動方向とを直交させた」という限定を省いたものに相当する。 したがって、両者は、すべての点で一致し、両者の間に構成上の差異は存在しないので、本願発明は、引用例に記載された発明であるといわざるを得ない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-10-26 |
結審通知日 | 2012-10-29 |
審決日 | 2012-12-10 |
出願番号 | 特願2007-119230(P2007-119230) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65C)
P 1 8・ 575- Z (B65C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 楠永 吉孝 |
特許庁審判長 |
仁木 浩 |
特許庁審判官 |
▲高▼辻 将人 紀本 孝 |
発明の名称 | ラベル貼付装置 |