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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 G06T 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T |
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管理番号 | 1269237 |
審判番号 | 不服2012-2124 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-02-03 |
確定日 | 2013-02-18 |
事件の表示 | 特願2004-334838「コンポジット画像を表示するため、および、コンポジット画像をスペクトラル逆多重して正規化されたカラー画像を得るために、コンポジット画像を提供するための、ソース画像のスペクトラル多重のためのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月23日出願公開、特開2005-166045、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 経緯 本願は、平成16年11月18日(パリ条約による優先権主張2003年11月25日、米国)の出願であって、平成19年11月15日付けで手続補正がなされ、平成22年11月18日付けで拒絶理由が通知され、平成23年5月30日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成23年9月22日付け(発送日同年10月3日)で拒絶査定がなされたものである。 本件は、上記拒絶査定を不服とする平成24年2月3日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同時に手続補正がなされたものである。 第2 補正却下の決定 平成24年2月3日付けの手続補正について次のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成24年2月3日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成24年2月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、請求項1?4についてする補正を含むものである。 補正前の請求項1?4 「 【請求項1】 多色ソース画像を表す画像データを受け取って、コンポジット画像で当該多色ソース画像を表す第1のおよび第2の分離画像(separation image)を符号化し、 複数の色素を用いて、前記コンポジット画像を、サブストレートの上に表現(rendering)し、 前記表現されたコンポジット画像を、正規化されたカラー画像を明らかにする(reveal)ために選択された、事前に規定されたスペクトラル・パワー分布を有する光源に曝すことによって、前記表現されたコンポジット画像から符号化された分離画像を復元する、 ステップを含み、 前記ステップは、所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求する ことを特徴とする複数のソース画像を処理する方法。 【請求項2】 前記ソース画像符号化ステップが、更に、 各分離画像画素を表す値を、それぞれの色素画像平面での対応する画素値にマッピングするステップを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 多色ソース画像を表す画像データを受け取るため、および、当該画像データを処理して、コンポジット画像で、当該多色ソース画像を表す少なくとも第1のおよび第2の分離画像を符号化するため、および、コンポジット画像データ信号を提供するため、のスペクトラル多重器、 前記コンポジット画像データ信号を受け取り、サブストレート上に前記コンポジット画像を表現するための、前記スペクトラル多重器に応答する画像表現装置、および、 表現されたコンポジット画像が、光源に曝されるときに、符号化されたソース画像の1つから導かれた正規化されたカラー画像が復元されるように、前記サブストレート上の前記表現されたコンポジット画像を、事前に規定されたスペクトラル・パワー分布であって、当該スペクトラル・パワー分布に対して前記多色ソース画像が符号化された当該スペクトラル・パワー分布を有する光源による照明に曝すためのスペクトラル逆多重器、 を備え、 前記スペクトラル逆多重器は、所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求する ことを特徴とする画像生成システム。 【請求項4】 正規化されたカラー画像を観察者に提供されるために、前記表現されたコンポジット画像から前記符号化されたソース画像の正規化されたカラー・バージョンを復元するための作動のモードが提供される、 請求項3に記載の画像生成システム。」 を、次のとおりの補正後の請求項1?4に補正するものである。 「 【請求項1】 多色ソース画像を表す画像データを受け取って、コンポジット画像で当該多色ソース画像を表す第1のおよび第2の分離画像(separation image)を符号化し、 複数の色素を用いて、前記コンポジット画像を、サブストレートの上に表現(rendering)し、 前記表現されたコンポジット画像を、正規化されたカラー画像を明らかにする(reveal)ために選択された、事前に規定されたスペクトラル・パワー分布を有する光源に曝すことによって、前記表現されたコンポジット画像から符号化された分離画像を復元する、 ステップを含み、 前記ステップは、所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求することにより第2の分離画像を復元する ことを特徴とする複数のソース画像を処理する方法。 【請求項2】 前記ソース画像符号化ステップが、更に、 各分離画像画素を表す値を、それぞれの色素画像平面での対応する画素値にマッピングするステップを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 多色ソース画像を表す画像データを受け取るため、および、当該画像データを処理して、コンポジット画像で、当該多色ソース画像を表す少なくとも第1のおよび第2の分離画像を符号化するため、および、コンポジット画像データ信号を提供するため、のスペクトラル多重器、 前記コンポジット画像データ信号を受け取り、サブストレート上に前記コンポジット画像を表現するための、前記スペクトラル多重器に応答する画像表現装置、および、 表現されたコンポジット画像が、光源に曝されるときに、符号化されたソース画像の1つから導かれた正規化されたカラー画像が復元されるように、前記サブストレート上の前記表現されたコンポジット画像を、事前に規定されたスペクトラル・パワー分布であって、当該スペクトラル・パワー分布に対して前記多色ソース画像が符号化された当該スペクトラル・パワー分布を有する光源による照明に曝すためのスペクトラル逆多重器、 を備え、 前記スペクトラル逆多重器は、所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求することにより第2の分離画像を復元する ことを特徴とする画像生成システム。 【請求項4】 正規化されたカラー画像を観察者に提供されるために、前記表現されたコンポジット画像から前記符号化されたソース画像の正規化されたカラー・バージョンを復元するための作動のモードが提供される、 請求項3に記載の画像生成システム。」 2 補正の適合性 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。 詳細は以下のとおりである。 補正後の請求項1に係る発明は、 「前記ステップは、所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求することにより第2の分離画像を復元する」ことを構成要件としている。 一方、願書に最初に添付した明細書には、次の揚げる事項が記載されている。 「【0051】 基本的な方法を記号で検証するために、シアン色素及びイエロ-色素で表現されたコンポジット画像の単純化された例を考察する。以下の単純化された例では、「RGB」濃度の加算性が仮定されている。これは、原則の単純な図示を目的としたのものに過ぎず、本発明を制限することを意図するものではない。この近似が無効であるような状況では、更に精密な仮定を行うことができる。この例では、C、M、Y、K、及び、R、G、Bは、それぞれ、色素及び光源を示し、上付き文字は光源、下付き文字は色素を示すことになる。以下のように仮定する。 d^(R)=R照明の下で知覚された画像の濃度 d^(B)=Bの下で知覚された画像の濃度 d_(C)^(R)=Rの下での濃度C分離 d_(C)^(B)=Bの下での濃度C分離 d_(Y)^(R)=Rの下での濃度Y分離 d_(Y)^(B)=Bの下での濃度Y分離 【0052】 R光源又はB光源で照明されたとき、知覚された全濃度は、以下のように近似することができる。 d^(R)(x,y)=d_(C)^(R)(x,y)+d_(Y)^(R)(x,y)≒d_(C)^(R)(x,y) d^(B)(x,y)=d_(C)^(B)(x,y)+d_(Y)^(B)(x,y)≒d_(C)^(B)(x,y) 【0053】 従って、本方法は、所定のスペクトルパワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求し、異なるスペクトルパワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求する。従って、少なくとも1つの知覚可能な異なるソース画像(特定の色素の使用により表現されたコンポジット画像内に符号化される)は、第1の光源を受けるときは、観察者には知覚不能(又は、ほぼ知覚不能)となるが、第2の光源により照明されたときは、観察者には知覚可能に識別可能である。観察者によりソース画像が知覚されると、ソース画像を理解することができ、それにより、コンポジット画像に埋め込まれた情報、又はコンポジット画像自体を容易に理解することができる。」 (段落【0052】の2番目の式は 「d^(B)(x,y)=d_(C)^(B)(x,y)+d_(Y)^(B)(x,y)≒d_(Y)^(B)(x,y)」 の誤記と認められる。) 段落【0053】によると、「本方法は、所定のスペクトルパワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求し、異なるスペクトルパワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求する」ものであり、「少なくとも1つの知覚可能な異なるソース画像(特定の色素の使用により表現されたコンポジット画像内に符号化される)は、第1の光源を受けるときは、観察者には知覚不能(又は、ほぼ知覚不能)となるが、第2の光源により照明されたときは、観察者には知覚可能に識別可能である」。 したがって、「所定のスペクトルパワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求し、」「観察者には知覚不能(又は、ほぼ知覚不能)となる」こと、及び「異なるスペクトルパワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求」し、「第2の光源により照明されたときは、観察者には知覚可能に識別可能」となることは、願書に最初に添付した明細書に記載されていると認められる。 しかしながら、補正後の請求項1に係る発明における「所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求することにより第2の分離画像を復元する」ことは、願書に最初に添付した明細書に記載されているとは認められない。 そして、「所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求することにより第2の分離画像を復元する」ことが自明なこととも認められない。 補正後の請求項1に係る発明における「所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元」することは、段落【0053】における「所定のスペクトルパワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求し、」「観察者には知覚不能(又は、ほぼ知覚不能)となる」ことと矛盾しており、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面から、当業者が導き出せる事項とは認められない。 そうすると、「所定のスペクラル・パワー分布を有する第1の光源を受けるときには特徴的に低い濃度の色素を探求することにより第1の分離画像を復元し、前記所定のスペクトラル・パワー分布と異なるスペクトラル・パワー分布を有する第2の光源を受けるときには、同じ色素により示された特徴的に高い濃度の色素を探求することにより第2の分離画像を復元する」ことが、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であるとは認められない。 したがって、補正後の請求項1の記載を含む本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。 3 まとめ 以上のように、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 平成24年2月3日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成19年11月15日付け手続補正及び平成23年5月30日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載した事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-02-05 |
出願番号 | 特願2004-334838(P2004-334838) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06T)
P 1 8・ 561- WY (G06T) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大室 秀明 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 千葉 輝久 |
発明の名称 | コンポジット画像を表示するため、および、コンポジット画像をスペクトラル逆多重して正規化されたカラー画像を得るために、コンポジット画像を提供するための、ソース画像のスペクトラル多重のためのシステム |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 中村 佳正 |
代理人 | 西島 孝喜 |