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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1269249 |
審判番号 | 不服2010-18353 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-08-13 |
確定日 | 2013-02-01 |
事件の表示 | 特願2001-576733「電磁干渉遮蔽装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月25日国際公開、WO01/80617、平成15年10月21日国内公表、特表2003-531483〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2000年6月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年4月18日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年4月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成22年8月13日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その請求と同時に特許請求の範囲について手続補正がされたものである。 第2 平成22年8月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年8月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。 「長さと、頂面と、底面とを有し、電磁放射を遮蔽するガスケット装置において、 第1エラストマー材料と、 この第1エラストマー材料を頂面から底面まで二分する導電性の第2エラストマー材料で形成した薄いバーであって、前記第2エラストマー材料に導電性粒子を混練して導電性を有する、該薄いバーと を具え、 前記薄いバーの幅が0.5?20ミルの範囲内にあるものとし、 前記頂面と底面との間に、前記ガスケット装置を通じて、前記第2エラストマー材料の薄いバーによる導電路が存在していることを特徴とするガスケット装置。」(なお、下線部は補正箇所を示す。) 上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「薄いバー」について、「前記第2エラストマー材料に導電性粒子を混練して導電性を有する、該薄いバー」との限定を付加するとともに、「前記薄いバーの幅が0.5?20ミルの範囲内にあるものとし」との限定を付加したものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特表平8-504059号公報(以下、「引用例」という。)には、「EMI遮蔽ガスケット」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「本発明は、一般に電磁干渉(EMI)遮蔽用ガスケットの分野に関する。特に、本発明は、弾性泡沫断面に埋め込まれたEMIシールドを含むEMI遮蔽用ガスケットに関する。」(7ページ4行?6行) イ 「本発明の目的は、電気器具のハウジング内の継ぎ目を通る電磁干渉の改良遮蔽をもたらすことができるガスケットを提供することである。本発明の別の目的は、構築コストの低いガスケットを提供することである。本発明のさらに他の目的は遮蔽用に広範囲の材料を利用できるようなガスケットを提供することである。本発明のまた別の目的は、、小さな断面を有し、それによってハウジングの扉およびアクセスパネルに対する閉鎮抵抗(審決注:「閉鎖抵抗」の誤記と認められる。)を最小にしたガスケットを提供することである。」(8ページ19行?25行) ウ 「このような目的およびその他の目的は、2つの導電体間の継ぎ目を通る電磁干渉を遮蔽するガスケットを開示する本発明によって達成される。1つの実施例では、このガスケットは、弾性泡沫断面(foam profile)に埋め込まれた電磁シールドを含む。このガスケットを2物体間の継ぎ目に配置するとき、このシールドは、電磁エネルギーを反射および/または吸収することによって継ぎ目を通る電磁干渉を抑制する。 いくつかの実施例では、ガスケットはさらに、泡沫断面の外側表面の少なくとも一部分を覆う、継ぎ目がなく導電性の外被を含む。この外被は、EMIシールドだけでなく継ぎ目を囲む複数の導電体の少なくとも一方とも電気的に接触するように泡沫断面上に配置されている。この態様では、通過する電磁干渉の結果として、EMIシールドによって吸収されたエネルギーは地面に放散され、したがってガスケットの適切な作動を促進する。 本発明の別の実施例では、EMIシールドは泡沫断面の外側表面に向かって配置される。本発明のこの実施例もまた、泡沫断面の外側表面の少なくとも一部分を覆う継ぎ目のない導電性外被を含む。繰り返せば、この外被は、継ぎ目を囲む複数の導電体の少なくとも一つとEMIシールドの両方と電気的に接触するように配置され、それによってシールドが吸収したエネルギーは地面に放散される。 本発明の種々の実施例では、EMIシールドは金属性材料のヒモ、金属被覆糸、金属被覆布、金属被覆繊維およびそれらの組み合わせを含むことができる。該シールドが金属材料の紐を含む場合は、この紐は互いに交差するように配置させても、またさせなくてもよい。」(8ページ27行?9ページ20行) エ 「本発明の1つの実施例を図1に示すが、この図は、弾性泡沫断面12を含むEMI遮蔽ガスケット10の透視図である。泡沫断面12、したがってそのガスケット10は、長方形の横断面を有し軸Lに沿って伸長する。代表的なガスケットのサイズは、各末端について約0.1インチから0.5インチの範囲である。しかしながら、EMI遮蔽が必要とされる応用例にしたがって、本発明の特徴を包含するガスケットは、、種々の断面とサイズで形成できる。そのうちの幾つかを下記で詳細に述べるが、そのような変形は当業者には極めて明白であろう。 典型的には、電磁干渉を反射および/または吸収する遮蔽メカニズム、並びに該シールドがら吸収エネルギーを放散させるために地面に向かう電導路の2つの構成部分が適切なEMI遮蔽のために必要である。」(13ページ3行?12行) オ 「EMIシールド14は、種々の材料および構造を含むことができる。例えば、1つの実施例では、シールド14はポリエステルの不織布の膜から形成されるが、これは、1000分の1.5インチの厚さのポリプロピレンフィルムの薄層の両側を銅で金属被覆したものである。他の一般に知られている材料、例えば金属被覆糸および金属箔も同様に使用できる。」(14ページ5行?9行) カ 「図4に本発明の別の実施例を示したが、この図は、弾性泡沫断面42と埋め込まれたEMIシールド44を含むEMIシールドガスケット40の横断面図である。特に、ガスケット40は、断面46Aおよび46Bとして示した導電性外被を含むが、これは、泡沫断面42に完全には取り囲んではいない。むしろ、外被断面46Aおよび46Bは、EMIシールド44の先端がその外側表面を突き破る場所でのみ泡沫断面42の外側表面に配置され、外被断面46Aおよび46B並びにシールド44との間の電気的接触を効果的にする。このようなガスケットは閉鎖力が小さいことが要求される部位で使用するのに望ましい。」(15ページ26行?16ページ6行) キ 「一般には、発泡剤(例えば水またはクロロフルオロカーボン)とともに熱可塑性エラストマー樹脂を高温で適切な押し出しダイにポンブで送り込む。樹脂と発泡剤を加圧下で完全に混合し、押し出しダイに通す前にアダプターの中を通過させる。ダイから排出される際に、混合物の圧を急速に下げ、それによってダイの断面に適合した断面を有する実質的に閉鎖されたセル構造、例えば図8Aの泡沫断面82が生じる。」(17ページ26行?18ページ3行) ク 図4には、頂面と、底面とを有するEMI遮蔽ガスケット40の横断面図が図示されている。このEMI遮蔽ガスケットが所定の長さを有していることは、図1の実施例からみて明らかである。また、図4には、弾性泡沫断面42を頂面から底面まで二分する導電性のシールド44が図示されている。なお、シールド44が導電性を有することは、上記カの「外被断面46Aおよび46B並びにシールド44との間の電気的接触を効果的にする。」との記載から明らかである。 ケ 上記カの「外被断面46Aおよび46Bは、EMIシールド44の先端がその外側表面を突き破る場所でのみ泡沫断面42の外側表面に配置され、外被断面46Aおよび46B並びにシールド44との間の電気的接触を効果的にする。」との記載、及び、上記エの「電磁干渉を反射および/または吸収する遮蔽メカニズム、並びに該シールドがら吸収エネルギーを放散させるために地面に向かう電導路の2つの構成部分が適切なEMI遮蔽のために必要である。」との記載からみて、図4に図示されたEMI遮蔽ガスケット40においては、頂面と底面との間に、EMI遮蔽ガスケットを通じて、シールド44による「電導路」が存在しているということができる。 これら記載事項を総合し、本願補正発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「長さと、頂面と、底面とを有するEMI遮蔽ガスケットにおいて、 弾性泡沫断面42と、 この弾性泡沫断面42を頂面から底面まで二分する導電性のシールド44であって、1000分の1.5インチの厚さのポリプロピレンフィルムの薄層の両側を銅で金属被覆して導電性を有する、該シールド44と を具え、 前記頂面と底面との間に、前記EMI遮蔽ガスケットを通じて、前記シールド44による電導路が存在しているEMI遮蔽ガスケット。」 3 対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「EMI遮蔽ガスケット」は、その意味又は機能などからみて、前者の「電磁放射を遮蔽するガスケット装置」又は「ガスケット装置」に相当し、同様に「電導路」は「導電路」に相当する。後者の「弾性泡沫断面42」は、上記キの摘記事項からみて、前者の「第1エラストマー材料」に相当する。 後者の「1000分の1.5インチの厚さのポリプロピレンフィルムの薄層の両側を銅で金属被覆して導電性を有する、該シールド44」と前者の「前記第2エラストマー材料に導電性粒子を混練して導電性を有する、該薄いバー」とは、少なくとも「導電性を有する、該薄いバー」である点で共通する。 してみると、両者は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。 [一致点] 「長さと、頂面と、底面とを有し、電磁放射を遮蔽するガスケット装置において、 第1エラストマー材料と、 この第1エラストマー材料を頂面から底面まで二分する導電性の薄いバーであって、導電性を有する、該薄いバーと を具え、 前記頂面と底面との間に、前記ガスケット装置を通じて、前記薄いバーによる導電路が存在しているガスケット装置。」 そして、両者は、次の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、薄いバーが「第2エラストマー材料で形成した」ものであって、「前記第2エラストマー材料に導電性粒子を混練して導電性を有する」ようにしたものであり、導電路が「第2エラストマー材料の薄いバー」によって存在しているのに対して、引用発明は、薄いバーに相当するシールド44が「1000分の1.5インチの厚さのポリプロピレンフィルムの薄層の両側を銅で金属被覆して導電性を有する」ようにしたものであり、導電路に相当する電導路が「シールド44」によって存在している点。 [相違点2] 本願補正発明は、薄いバーの幅が「0.5?20ミルの範囲内にある」のに対して、引用発明は、薄いバーに相当するシールド44の幅がどの程度の大きさか明らかでない点。 4 判断 上記各相違点について検討する。 (1)相違点1について 引用発明のシールド44は、「1000分の1.5インチの厚さのポリプロピレンフィルムの薄層の両側を銅で金属被覆して導電性を有する」ものであるが、引用例1には、「EMIシールド14は、種々の材料および構造を含むことができる。」(上記摘記事項オ参照)と記載され、シールド44を他の材料や構造のものに変更してもよいことが記載又は示唆されている。 一方、電磁放射を遮蔽するガスケット装置において、シールド部材をエラストマー材料に銀などの導電性粒子を混合して形成することは、従来周知の技術である(例えば、実願昭60-31547号(実開昭61-149399号)のマイクロフィルムには、その1ページ18行?2ページ1行に、従来の技術に関して「電磁波シールド用パッキンとしては、シリコーンゴムに金属粉などを配合した銀系シリコーンゴム或はニッケル系、銀系などのシリコーンゴムを材料とし金型により成形している。」と記載され、3ページ2行?6行に「第1図に示す第一の実施例は、金属粉、銀系あるいはニッケル系、銅系等のシリコーンゴムから成る電磁波シールド層2を内部に配し、その表面を低硬度の弾性のシリコーンゴム1で被覆した複合構造の円柱状のパッキンである。」と記載されている。また、特開平1-235398号公報には、その1ページ右下欄6行?10行に、従来の技術に関して「この導電性パッキン1は、ゴムにカーボンブラックや金属粉、金属短繊維等の導電性フィラーを混入して導電性が付与され、図示しない装置本体と扉2との間をシールし電磁波シールドを図っている。」と記載されている。) そうすると、引用発明において、引用例に記載された示唆に倣ってシールド44に上記周知技術を適用し、シールド44を、エラストマー材料に導電性粒子を混練して導電性を有するシールドとすることは、当業者であれば容易に想到できたことである。 そして、そのようにしたものは、導電路がエラストマー材料のシールド44によって存在していることになる。 したがって、相違点1に係る本願補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到できたものである。 (2)相違点2について 本願明細書には、薄いバーの幅に関して、「例えば50ミルから25.4mm(1インチ)までの代表的な全体の厚さを有するガスケットの場合、この薄いバー90は通常、0.5?20ミルの厚さの範囲内にあり、2?10ミルの厚さの範囲が好適である。」(段落【0030】)と記載されている。この記載から明らかなように、薄いバーの幅に関する「0.5?20ミル」という数値範囲は、ガスケットの全体の厚さが「50ミルから25.4mm(1インチ)」の場合における好適な範囲であって、ガスケットの全体の厚さが異なれば、好適な範囲も異なるものと解される。 また、本願明細書には、薄いバーの幅に関して「導電バーの幅を最小にすれば圧縮性を向上し、コストを減らすことができる。2?6ミルが好適である0.5?20ミルの範囲にある幅は可撓性と、導電性との良好なバランスが得られる。」(段落【0020】)と記載されているように、薄いバーの幅の数値範囲は、圧縮性やコストの観点からみると、小さければ小さいほど好ましいものであるが、「可撓性と、導電性との良好なバランスが得られる」という意味で、この数値範囲が好ましいとしたものと理解することができる。しかし、裏を返せば、上限及び下限の数値を境にして、特性に急激な変化があるわけではなく、その数値範囲が臨界的意義を有するとは言い難いものである。しかも、ガスケットの材料や配合比が異なれば圧縮性やコストも異なることから、上記数値範囲は、正確な材料名や配合比が確定して初めて技術的意味をなすものということができる。 してみると、本願補正発明の数値限定に臨界的な意義があると認めることはできず、この数値限定は、当業者が適宜行うことができる範囲内の事項であるというべきである。 一方、引用例には、薄いバーに相当するシールド14に関して「1000分の1.5インチの厚さのポリプロピレンフィルムの薄層の両側を銅で金属被覆したもの」(14ページ7行?8行)と記載されている。ここで、「1000分の1.5インチ」は「1.5ミル」である。このように、引用例には、シールド44の厚さに関して、本願補正発明の数値範囲とほぼ同等の数値が記載又は示唆されている。 したがって、薄いバーの幅について、相違点2に係る本願補正発明のような数値範囲とすることは、当業者であれば容易に想到できたものである。 そして、本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 なお、審判請求人は、審尋に対する平成23年9月26日付け回答書において、「引用文献1?3(審決注:「引用文献1」は「特開昭62-8597号公報」、「引用文献2」は本審決に記載した「引用例」、「引用文献3」は周知技術を示す文献である上記「実願昭60-31547号(実開昭61-149399号)のマイクロフィルム」をさす。)との相違を明確にするため、請求項2の事項を請求項1の事項に組み込み、第2エラストマー材料の薄いバー90は、図11A?12Cに記載のように、頂面及び底面から突出した区域92が、埋設されている薄いバー90よりも幅広い(段落[0030]に記載)という特徴に限定する用意がありますので、なにとぞ、再度拒絶理由通知書を発送して補正する機会を賜りますよう願います。」(「【回答の内容】(4)」の項参照)と主張している。 しかしながら、引用例の図4に記載されたEMIシールドガスケット40も、弾性泡沫断面42の頂面及び底面から突出した部分に、埋設されている薄いバーに相当するEMIシールド44よりも幅広い導電性外被46A及び46Bが設けられており、EMIシールド44シールド44と導線性外被46A及び46Bとで導電路を形成したものが記載されているから、引用例に記載された発明に基づいて、請求項2に係る発明も当業者であれば容易に想到できたものということができる。 よって、審判請求人の主張は採用できない。 5 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし27に係る発明は、平成21年11月12日付けの誤訳訂正書及び同日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「長さと、頂面と、底面とを有し、電磁放射を遮蔽するガスケット装置において、 第1エラストマー材料と、 この第1エラストマー材料を頂面から底面まで二分する導電性の第2エラストマー材料で形成した薄いバーと を具え、 前記頂面と底面との間に、前記ガスケット装置を通じて、前記第2エラストマー材料の薄いバーによる導電路が存在していることを特徴とするガスケット装置。」 2 引用例の記載事項 引用例の記載事項及び引用発明は、前記第2の2に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、前記第2の1の本願補正発明から、「薄いバー」についての限定事項である「前記第2エラストマー材料に導電性粒子を混練して導電性を有する、該薄いバー」との事項、及び「前記薄いバーの幅が0.5?20ミルの範囲内にあるものとし」との事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記第2の3及び4に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 そうすると、本願発明が特許を受けることができないものである以上、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-10-25 |
結審通知日 | 2011-11-08 |
審決日 | 2011-11-22 |
出願番号 | 特願2001-576733(P2001-576733) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 博之 |
特許庁審判長 |
川本 真裕 |
特許庁審判官 |
所村 陽一 冨岡 和人 |
発明の名称 | 電磁干渉遮蔽装置 |
代理人 | 澤田 達也 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 高梨 玲子 |