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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1269363 |
審判番号 | 不服2011-5755 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-03-15 |
確定日 | 2013-01-31 |
事件の表示 | 特願2007-555391「可撓性材料で形成された取外し可能な上側部分を含む容器」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 8日国際公開、WO2006/093904、平成20年 8月 7日国内公表、特表2008-529908〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年2月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年2月28日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成22年10月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年3月15日に拒絶査定を不服として審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成23年3月15日付け手続補正についての却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年3月15日付け手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 平成23年3月15日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成22年7月12日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1を、 「容器であって、 平面状の側壁部分及び底壁部分を含む構造体と、前記構造体が、複数の対向する前記平面状の側壁部分により画定される支持構造体であり; 前記構造体に一体的に取り付けられたシート材料を含む上側部分と、前記上側部分が、平面状の対向するサイドパネルを有し、前記上側部分が、前記容器用の閉止可能な開口部を画定し; 前記シート材料の少なくとも一部を前記構造体から分離するために予め画定された部分を形成する、前記上側部分と前記構造体との間に画定された壊れやすい部分と; を備える容器。」 とする補正を含むものである。 2 本件補正の目的 本件補正前の請求項1に関する本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「構造体」が「平面状」の側壁部分を含む「複数の対向する前記平面状の側壁部分により画定される支持構造体」であると限定し、「上側部分」が「平面状の対向するサイドパネルを有」するものであると限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 3 補正の適否 3.1 引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第6594953号明細書(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「Shown in FIGS. 1-5 is a pot designated by the general reference numeral 10. ・・・. The pot 10 has an outer peripheral surface 12, an inner peripheral surface 14 having a side portion 15 and a bottom surface 20, an upper end 16, a bottom end 18, and an inner cavity 21 . The pot 10 constitutes a portion of a pot assembly 22 ( FIG. 2 ). Pot assembly 22 further comprises a tubular sleeve 23. Tubular sleeve 23 (also referred to herein as a sleeve) has an upper end 24, a lower end 26 , an outer peripheral surface 28 , an inner peripheral surface 30, a lower portion 32, an upper portion 34, a bottom 36, an inner retaining space 38, and a detaching element 40 which in FIGS. 2 - 5 is shown as a line of perforations. The tubular sleeve 23 is connected to a portion of the inner peripheral surface 14 of the pot 10 by a connecting bonding material 41.」(明細書1欄下から11行?2欄10行) (日本語訳:図1?5に示されているのは、ポット10である。・・・ポット10は、外周面12、側部15と底表面20を有する内周面14、上端16、下端18を有する内周面14と、内部空洞21を有する。 ポット10は、ポット組立体22(図2)の一部を構成する。ポット組立体22は、さらに筒状スリーブ23を有する。筒状スリーブ23(スリーブともいう)は、上端24、下端26、外周面28、内周面30、下部32、上部34、底36、内部保持空間38、及び図2?5に破線で示される切り離し要素40を有する。筒状スリーブ23は、ポット10の内周面14の一部分に接続接着材41により接続されている。(日本語訳は当審による。以下同様。)) (2)「The upper portion 34 of the tubular sleeve 23 preferably extends a distance beyond the upper end 16 of the pot 10. 」(明細書2欄56?57行) (日本語訳:筒状スリーブ23の上部34は、好ましくはポット10の上縁16よりある距離延びる。) (3)「The detaching element 40 is generally positioned above the upper end 16 of the pot 10,」(明細書2欄66?67行) (日本語訳:切り離し要素40は、通常、ポット10の上縁16より上に配され、) (4)「FIG. 9 shows another embodiment of the present invention, a pot assembly 22c having a tubular sleeve 23c similar to tubular sleeve 23 herein before described. The tubular sleeve 23c has an upper end 23c , an outer peripheral surface 28c , an upper portion 34c , a detaching element 40c , and a closure bonding material 58 disposed near the upper end 24c for closing the upper end 24c after the botanical item 44 has been disposed within the pot assembly 22c.」(明細書3欄43?50行) (日本語訳:図9には、本発明の他の実施例である、前述した筒状スリーブ23と同様の筒状スリーブ23cを有するポット組立体22cが示されている。筒状スリーブ23cは、上縁23c(当審注:24cの誤記と認める。)、外周面28c、上部34c、切り離し要素40c、及びポットアセンブリ22cに植物44を配置した後に上縁24cを閉じるために上縁24c近くに配置された閉止接着材58を有する。) (5)「The tubular sleeves 23-23f may be constructed from untreated or treated paper, metal foil, polymeric film such as polypropylene, ・・・. 」(明細書4欄38?42行) (日本語訳:筒状スリーブ23?23fは、未処理または処理された紙、金属フィルム、ポリプロピレンのような高分子フィルム、・・・から構成される。) 以上の記載事項によると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ポット組立体であって、 ポットと、 前記ポットに接続されるとともに上部がポットの上縁を超えて延び、ポリプロピレンのような高分子フィルムから構成され、上縁近くに閉止接着剤を有する筒状スリーブと、 前記ポットの上縁より上の前記筒状スリーブに配された切り離し要素からなる、 ポット組立体。」 3.2 対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「ポット」、「筒状スリーブ」及び「ポット組立体」は、それぞれ本件補正発明における「構造体」、「上側部分」及び「容器」に対応し、 本件補正発明における「構造体」と引用発明における「ポット」とは、「側壁部分及び底壁部分」を含む「支持構造体」である限りにおいて一致し、 引用発明における「ポリプロピレンのような高分子フィルム」は、本件補正発明における「シート材料」に相当し、引用発明における「上縁近くに閉止接着剤を有する」ことは、本件補正発明における「上側部分が、容器用の閉止可能な開口部を画定」することに相当するから、本件補正発明における「上側部分」と引用発明における「筒状スリーブ」とは、「構造体に一体的に取り付けられたシート材料を含」み、「容器用の閉止可能な開口部を画定」した「上側部分」である限りにおいて一致し、 引用発明における「ポットの上縁より上の筒状スリーブに配された切り離し要素」は、本件補正発明における「シート材料の少なくとも一部を構造体から分離するために予め画定された部分を形成する、上側部分と構造体との間に画定された壊れやすい部分」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明とは、 「容器であって、 側壁部分及び底壁部分を含む構造体と、前記構造体が、支持構造体であり; 前記構造体に一体的に取り付けられたシート材料を含む上側部分と、前記上側部分が、前記容器用の閉止可能な開口部を画定し; 前記シート材料の少なくとも一部を前記構造体から分離するために予め画定された部分を形成する、前記上側部分と前記構造体との間に画定された壊れやすい部分と; を備える容器。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点1] 本件補正発明における構造体は、複数の対向する平面状の側壁部分により画定されるのに対し、引用発明におけるポットは、そのように特定されていない点。 [相違点2] 本件補正発明における上側部分は、平面状の対向するサイドパネルを有するのに対し、引用発明における筒状スリーブは、そのように特定されていない点。 3.3 判断 上記各相違点について検討する。 [相違点1] ポットの形状は、当業者が適宜選択し得る設計的事項であって、複数の対向する平面状の側壁部分により画定されるポットもよく知られたものであるから、引用発明における「ポット」を複数の対向する平面状の側壁部分により画定される形状とすることは、当業者が容易になし得たことであって、その効果も当業者が予測し得た範囲のものであって、格別なものではない。 [相違点2] 上側部分を形成するために用いるシート材料の形態や数は、当業者が適宜決定し得る設計的事項であって、平面状の対向する2枚のシート材料から筒状体を形成することも、周知であるから、引用発明における「筒状スリーブ」を、平面状の対向する2枚のシート材料を用いて形成することにより、平面の対向するサイドパネルを有するようになすことは、当業者が容易になし得たことであって、その効果も当業者が予測し得た範囲のものであって、格別なものではない。 3.4 本件補正発明の独立特許要件 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 4 むすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成22年7月12日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「容器であって、 側壁部分及び底壁部分を含む構造体と、 前記構造体に一体的に取り付けられたシート材料を含む上側部分と、前記上側部分が、前記容器用の閉止可能な開口部を画定し、 前記シート材料の少なくとも一部を前記構造体から分離するために予め画定された部分を形成する、前記上側部分と前記構造体との間に画定された壊れやすい部分と、 を備える容器。」 第4 引用発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用発明は、上記「第2[理由]3.1」に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]1.」の本件補正発明から、「構造体」が「平面状」の側壁部分を含む「複数の対向する前記平面状の側壁部分により画定される支持構造体」であるとの限定事項を省き、「上側部分」が「平面状の対向するサイドパネルを有」するものであるとの限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含む本件補正発明が、上記「第2[理由]3.4」に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-25 |
結審通知日 | 2012-08-14 |
審決日 | 2012-08-28 |
出願番号 | 特願2007-555391(P2007-555391) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 裕一 |
特許庁審判長 |
栗林 敏彦 |
特許庁審判官 |
紀本 孝 一ノ瀬 薫 |
発明の名称 | 可撓性材料で形成された取外し可能な上側部分を含む容器 |
代理人 | 大川 晃 |