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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B09B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B09B
管理番号 1269773
審判番号 不服2009-11452  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-22 
確定日 2013-02-07 
事件の表示 特願2006- 93063「土壌処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月20日出願公開、特開2006-187773〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年11月28日(優先権主張 平成13年11月30日)に出願した特願2002-345326号の一部を平成18年3月30日に新たな特許出願としたものであって、平成20年4月7日付けで拒絶理由が通知され、この通知に対して、同年6月4日付けで手続補正書が提出されたところ、同年8月6日付けで最後の拒絶理由が通知され、この通知に対して、同年10月7日付けで手続補正書が提出されたが、平成21年4月9日付けで、「平成20年10月7日付け手続補正書でした明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は、補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない」旨を理由として補正却下の決定がなされるとともに、上記平成20年8月6日付けで通知された拒絶の理由により拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年6月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで特許請求の範囲及び明細書の記載について手続補正がなされたものである。その後、平成23年8月30日付けで特許法第164条第3項に基づく報告書を引用した審尋がなされ、同年10月19日に回答書が提出されたものである。

2.平成21年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年6月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
本件補正前の平成20年6月4日付け手続補正書の「MgO100質量部、あるいはMgOおよび/または軽焼ドロマイトおよび/またはドロマイトプラスターをMgOに換算して100質量部に対して、
酸性アルミニウム塩、酸性鉄塩、酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤および/または
カルシウム塩、マグネシウム塩、高炉スラグ、二酸化ケイ素、パーライトからなる組から選ばれた一種または二種以上の第2固化不溶化助剤および/または
活性炭、ゼオライト、ケイ藻土からなる組から選ばれた一種または二種以上の第3固化不溶化助剤
を10?300質量部添加した土壌用固化不溶化剤をシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に汚染された土壌1m^(3)当たりMgOとして10?200kg添加して機械的脱水固化をおこなうか、
あるいは上記汚染土壌1m^(3)当たりMgOとして30?300kg添加することによって上記汚染土壌を植物成長に差支えないpH範囲で固化不溶化し、上記有害物質を再溶出することなく固化土内に封鎖することを特徴とする土壌処理方法。」から
「MgO100質量部に対して、
硫酸アルミニウムおよび/またはポリ塩化アルミニウムを含む酸性アルミニウム塩、硫酸第一鉄および/または塩化第二鉄を含む酸性鉄塩、重過リン酸カルシウムおよび/または過リン酸カルシウムを含む酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤、ならびに、
硫酸カルシウムと二酸化ケイ素とからなる第2固化不溶化助剤の少なくとも一方、
を10?300質量部添加した土壌用固化不溶化剤をシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に汚染された土壌1m^(3)当たりMgOとして10?200kg添加して機械的脱水固化をおこなうか、
あるいは上記汚染土壌1m^(3)当たりMgOとして30?300kg添加することによって上記汚染土壌を7.4?10.1のpH範囲で固化不溶化し、上記有害物質を再溶出することなく固化土内に封鎖することを特徴とする土壌処理方法。」と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「MgO100質量部、あるいはMgOおよび/または軽焼ドロマイトおよび/またはドロマイトプラスターをMgOに換算して100質量部に対して」を、「MgO100質量部に対して」と限定し、「酸性アルミニウム塩、酸性鉄塩、酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤および/またはカルシウム塩、マグネシウム塩、高炉スラグ、二酸化ケイ素、パーライトからなる組から選ばれた一種または二種以上の第2固化不溶化助剤および/または活性炭、ゼオライト、ケイ藻土からなる組から選ばれた一種または二種以上の第3固化不溶化助剤」を、「硫酸アルミニウムおよび/またはポリ塩化アルミニウムを含む酸性アルミニウム塩、硫酸第一鉄および/または塩化第二鉄を含む酸性鉄塩、重過リン酸カルシウムおよび/または過リン酸カルシウムを含む酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤、ならびに、硫酸カルシウムと二酸化ケイ素とからなる第2固化不溶化助剤の少なくとも一方」と限定するとともに、「上記汚染土壌を植物成長に差支えないpH範囲で固化不溶化し」を、「上記汚染土壌を7.4?10.1のpH範囲で固化不溶化し」と限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に刊行物1として引用された特開2000-239660号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、同じく刊行物2として引用された特開2001-225053号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。

(A)引用刊行物1(特開2000-239660号公報)
(A-ア)「【請求項1】酸化マグネシウムと、硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、明ばん、仮焼明ばん石、および硫酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の固化剤とを含むことを特徴とする土壌固化剤
【請求項2】該固化剤は該酸化マグネシウム100重量部に付して10?100重量部添加される請求項1に記載の土壌固化剤」(特許請求の範囲)
(A-イ)「【発明の属する技術分野】本発明は、例えばシールド工法、地中連続壁工法、浚渫工法、表層および深層地盤改良工法等の建設現場からの発生土のような土壌を固化させるために使用される土壌固化剤に関するものである。
【発明の背景】上記建設現場からの発生土のような土壌は水分を多量に含み流動性があり、そのまゝでは運搬、輸送が困難である。そこで該土壌には土壌固化剤を添加して固化させた上で運搬、輸送行なう方法が採られている。」(段落【0001】、【0002】)
(A-ウ)「【発明の実施の形態】本発明に使用される酸化マグネシウムには、低温焼成品と高温焼成品とがあるが、反応性の点からみて低温焼成品(軽焼マグネシア)の使用が望ましい。また本発明ではドロマイトのような酸化マグネシウムを含むものも使用出来る。
上記酸化マグネシウムの固化剤としては、酸化マグネシウムと、硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、明ばん、仮焼明ばん石、および硫酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の化合物が使用される。上記固化剤のうち、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウムは処理土のpHを低くする作用もある。」(段落【0006】、【0007】)
(A-エ)「上記成分においては、酸化マグネシウムと固化剤と土壌との固化反応によって土壌が固化せしめられるが、酸性剤によって土壌のpHを酸性側、望ましくはpH5?9、更に望ましくはpH5.8?8.6に調節して該酸化マグネシウムと該固化剤と土壌との固化反応を促進する。また水分を多量に含有する土壌の場合には、上記成分に加えて上記有機高分子凝集剤および/または吸水剤を添加すると、土壌が凝縮して水が排除され、あるいは土壌中の水が吸収され、望ましい固さの土壌固化物が得られる。上記成分以外に、所望なれば炭酸カルシウム、無水石膏、半水石膏、タルク、未焼ドロマイト、ケイ石粉等の充填材が添加されてもよい。」(段落【0011】)
(A-オ)「本発明の土壌固化剤の土壌に対する添加量は、土質、含水量等によって調節される。一般に粘性の大きな土質(粘土質)の場合には添加量は少なくして良く、また粘性の小さな土質(砂質)の場合には添加量は多くする。更に含水量の大きい土壌の場合は添加量は多くし、含水量の小さい土壌の場合には添加量は少なくする。一般的に言えば含水量80?100重量%の土壌の場合には、本発明の土壌固化剤は土壌1m^(3)当たり30?100kg程度添加され、含水量100?200重量%の土壌の場合には、本発明の土壌固化剤は土壌1m^(3)当たり50?200kg程度添加される。」(段落【0014】)
(A-カ)「【発明の効果】本発明の土壌固化剤は、土壌と混合して短時間に運搬輸送の可能な程度に固化せしめることが出来、また固化物は水との接触によっても崩壊せず、更に重機類で容易に突崩すことが出来、建設現場での発生土等の土壌の大量迅速処理が可能になる。また固化した土壌のpH値を水質基準の上限8.6を下回るようにすることが出来るので、該土壌からの地下水や雨水等の滲出水が周囲の環境へ悪影響を与えることもなく、植生に対しても問題がない。したがって該土壌は再利用が可能である。」(段落【0028】)

(B)引用刊行物2(特開2001-225053号公報)
(B-ア)「【請求項8】砒素及び又は砒素化合物を含有する汚染土壌に、粘性土、陽イオン交換体の一種であるゼオライト類、カルシウム化合物、マグネシウム化合物及び二価又は三価の鉄塩を混合して土壌を改質することを特徴とする汚染土壌の改質方法。
【請求項9】建設汚泥等の無機汚泥の脱水ケーキ含有成分を調査、確認し、汚染されていることが確認された汚泥に粘性土、陽イオン交換体の一種であるゼオライト類、カルシウム化合物及びマグネシウム化合物、必要により二価又は三価の鉄塩及び又はアルミニウム塩を混合して汚泥を改質することを特徴とする汚泥の改質方法。」(【請求項8】及び【請求項9】)
(B-イ)「【発明の属する技術分野】本発明は汚染土壌の改質方法及び汚泥の改質方法に関し、詳しくは、鉱物類を使用してイオン交換を行い、併せて新結晶相の発生による土壌中の有害成分(土壌中に汚染物質として含まれる有害重金属類や砒素等)の吸着・固定化反応を進行させて水に対する不溶化を図り、汚染土壌の無害化を図る汚染土壌の改質方法、建設汚泥等の無機汚泥を改質したりあるいはその後固化する汚泥の改質方法に関する。」(段落【0001】)
(B-ウ)「はじめに本発明の汚染土壌の改質方法について説明する。本発明において、汚染土壌とは、環境上有害な物質を含む土壌で、例えばCd、Pb、Cr、Cu、Zn、Ni等の重金属類が金属陽イオンとして存在している場合、これらの重金属が酸化物(複合酸化物を含む)あるいは亜酸化物として存在している場合、砒素(As)等の有害元素が酸化物あるいは亜酸化物として存在している場合などが挙げられる。
本発明の汚染土壌の改質方法は、汚染土壌に、粘性土、陽イオン交換体及びカルシウム化合物を混合して土壌を改質することを特徴とするもので、好ましい態様としては、汚染土壌に、粘性土、陽イオン交換体、カルシウム化合物及びマグネシウム化合物を混合して土壌を改質する態様、汚染土壌に、粘性土、陽イオン交換体、カルシウム化合物及び二価又は三価の鉄塩及び又はアルミニウム塩を混合して土壌を改質する態様、汚染土壌に、粘性土、陽イオン交換体、カルシウム化合物、マグネシウム化合物及び二価又は三価の鉄塩及び又はアルミニウム塩を混合して土壌を改質する態様が挙げられる。」(段落【0020】、【0021】)
(B-エ)「本発明に用いられるマグネシウム化合物、カルシウム化合物はゼオライト及び粘性土に吸着保持されにくい汚染土壌中に存在する陰イオンを形成する汚染物質の吸着を補助する機能を果たす。従って、マグネシウム塩を含有させることにより、汚染土壌中の汚染物質の不溶化防止及び無害化をより一層図り得るものとなる。
このマグネシウム化合物としては、(Ca,Mg)CO_(3)(ドロマイト)、…MgO(酸化マグネシウム)、…等が挙げられる。これらはいずれか単独で用いても良いし、2種以上を適宜混合して用いても良い。なお、ドロマイトはカルシウム化合物とマグネシウム化合物を併用する場合に好適に使用できる。」(段落【0035】、【0036】)
(B-オ)「本発明の他の汚泥の改質方法は、建設汚泥等無機汚泥の脱水ケーキ含有成分を調査確認し、汚染されていることが確認された汚泥に粘性土、ゼオライト類、カルシウム化合物及び又はマグネシウム化合物二価又は三価の鉄塩及び又はアルミニウム塩を混合して汚泥を改質した後、生石灰及び又はセメント系固化剤を混合固化した後にクラッシャー等で粒度調整したものを、二酸化炭素等を用いて炭酸化処理を行い、生成物を路床材等の材料として使用できることを特徴とするものである。」(段落【0054】)
(B-カ)「【発明の効果】本発明によれば、安価に汚染土壌の無害化を図り、しかもそれらの無害化効果が長期的に安定している汚染土壌の改質方法を提供することができ、また本発明の他の課題は建設汚泥等の無機汚泥を改質したりあるいはその後固化する汚泥の改質方法を提供することができる。」(段落【0075】)

(3)引用発明の認定
引用刊行物1には、記載事項(A-ア)によれば、「酸化マグネシウム100重量部と、硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、明ばん、仮焼明ばん石、および硫酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の固化剤10?100重量部とを含む土壌固化剤」が記載されているといえる。
そして、記載事項(A-イ)によれば、上記記載中の「土壌固化剤」は、建設現場からの発生土のような水分を多量に含み流動性がある土壌に添加されて土壌を固化するものといえる。
さらに、記載事項(A-オ)によれば、土壌固化剤の土壌に対する添加量は、土質、含水量等によって調節され、一般的に言えば含水量80?100重量%の土壌の場合には、土壌固化剤は土壌1m^(3)当たり30?100kg程度添加され、含水量100?200重量%の土壌の場合には、土壌固化剤は土壌1m^(3)当たり50?200kg程度添加されるものといえる。
さらに、記載事項(A-エ)及び(A-カ)によれば、土壌固化剤による土壌の固化処理は、固化される土壌のpH値をpH5.8?8.6に調節して、植生に対して問題がないように固化する土壌の固化方法といえる。
以上のことから、これらの記載事項を本願補正発明の記載ぶりに則して整理すると、引用刊行物1には、「酸化マグネシウム100重量部と、硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、明ばん、仮焼明ばん石、および硫酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の固化剤10?100重量部とを含む土壌固化剤を、含水量80?100重量%の土壌の場合には、土壌1m^(3)当たり30?100kg程度添加し、含水量100?200重量%の土壌の場合には、土壌1m^(3)当たり50?200kg程度添加することによって、固化される土壌のpH値をpH5.8?8.6に調節して、植生に対して問題がないように固化する、建設現場からの発生土のような水分を多量に含み流動性がある土壌の固化方法」の発明(以下「引用刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。

(4)対比
そこで、本願補正発明と引用刊行物1発明とを対比すると、引用刊行物1発明の「酸化マグネシウム」は、「MgO」と表記でき、同じく「重量部」は、「質量部」と同義であるから、引用刊行物1発明の「酸化マグネシウム100重量部」は、本願補正発明の「MgO100質量部」に相当する。
そして、引用刊行物1発明の「硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、明ばん、仮焼明ばん石、および硫酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の固化剤10?100重量部」と、本願補正発明の「硫酸アルミニウムおよび/またはポリ塩化アルミニウムを含む酸性アルミニウム塩、硫酸第一鉄および/または塩化第二鉄を含む酸性鉄塩、重過リン酸カルシウムおよび/または過リン酸カルシウムを含む酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤、ならびに、硫酸カルシウムと二酸化ケイ素とからなる第2固化不溶化助剤の少なくとも一方、を10?300質量部」とは、「硫酸アルミニウムおよび/またはポリ塩化アルミニウムを含む酸性アルミニウム塩」及び「硫酸第一鉄」を含む酸性鉄塩から選ばれた一種または二種以上の成分からなる点で共通し、引用刊行物1発明の「固化剤10?100重量部」と本願補正発明の「第1固化不溶化助剤、ならびに、・・・第2固化不溶化助剤の少なくとも一方、を10?300質量部」は、MgO100質量部に対して、10?100質量部添加して固化する固化助剤である点で共通するといえる。
さらに、引用刊行物1発明の「土壌固化剤」と本願補正発明の「土壌用固化不溶化剤」は、土壌に添加して該土壌を固化せしめる土壌用固化剤である点で共通するといえる。
さらに、引用刊行物1発明における土壌固化剤の添加量は、「含水量80?100重量%の土壌の場合には、土壌1m^(3)当たり30?100kg程度添加し、含水量100?200重量%の土壌の場合には、土壌1m^(3)当たり50?200kg程度添加する」ものであり、土壌1m^(3)に対する土壌固化剤の添加量は、土壌固化剤全量を基準とするのに対して、本願補正発明における土壌用固化不溶化剤の添加量は、「汚染された土壌1m^(3)当たりMgOとして10?200kg添加して機械的脱水固化をおこなうか、あるいは上記汚染土壌1m^(3)当たりMgOとして30?300kg添加する」ものであり、土壌1m^(3)に対する土壌用固化不溶化剤の添加量は、MgO重量を基準とするものである。
そこで、引用刊行物1発明の土壌1m^(3)に対する土壌固化剤の添加量を酸化マグネシウム重量基準に換算すると、酸化マグネシウム100重量部と固化剤10?100重量部の合計重量は、110?200重量部となり、酸化マグネシウムの土壌固化剤に占める割合は、100/200?100/110=0.5?0.909と計算されることから、土壌1m^(3)当たり土壌固化剤を30?100kg程度添加することは、土壌1m^(3)当たり酸化マグネシウムとして15(30×0.5)?90.9(100×0.909)kg程度添加することに相当し、土壌1m^(3)当たり土壌固化剤を50?200kg程度添加することは、土壌1m^(3)当たり酸化マグネシウムとして25(50×0.5)?181.8(200×0.909)kg程度添加することに相当する。
これらのことから、引用刊行物1発明の「土壌固化剤を、含水量80?100重量%の土壌の場合には、土壌1m^(3)当たり30?100kg程度添加し、含水量100?200重量%の土壌の場合には、土壌1m^(3)当たり50?200kg程度添加する」は、本願補正発明の「上記汚染土壌1m^(3)当たりMgOとして30?300kg添加する」と、土壌1m^(3)当たりMgOとして30?181.8kg添加する点で共通するといえる。
さらに、本願補正発明の「7.4?10.1のpH範囲」については、本願明細書の段落【0008】に「本発明においては、シアン、リン、窒素、ヒ素である有害物質によって汚染された土壌を植物成長に差支えないpH範囲でMgOによって固化不溶化し、有害物質を再溶出することなく固化土内に封鎖することが出来る」と記載され、上記「7.4?10.1のpH範囲」は、植物成長に差支えないpH範囲を意味することから、引用刊行物1発明の「固化される土壌のpH値をpH5.8?8.6に調節して、植生に対して問題がないように」することは、本願補正発明の「7.4?10.1のpH範囲」と、植物成長に差支えないpH範囲としてpH7.4?8.6の範囲を選択する点で共通するといえる。
以上のことから、本願補正発明と引用刊行物1発明は、
「MgO100質量部に対して、硫酸アルミニウムおよび/またはポリ塩化アルミニウムを含む酸性アルミニウム塩、硫酸第一鉄を含む酸性鉄塩からなる組から選ばれた一種または二種以上の固化助剤を10?100質量部添加した土壌用固化剤を土壌1m^(3)当たりMgOとして30?181.8kg添加することによって上記土壌を7.4?8.6のpH範囲で固化する土壌処理方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明は、「土壌用固化不溶化剤」を「シアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に汚染された土壌」に添加することによって汚染された土壌を「固化不溶化し、上記有害物質を再溶出することなく固化土内に封鎖する」のに対し、引用刊行物1発明は、「土壌固化剤」を「建設現場からの発生土のような水分を多量に含み流動性がある土壌」に添加することによって土壌を「植生に対して問題がないように固化する」点。
[相違点2]
本願補正発明の固化助剤は、「シアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤」であるのに対し、引用刊行物1発明の固化助剤は、かかる事項が特定されていない「固化剤」である点。

(5)相違点の判断
(A)[相違点1]について
引用刊行物2には、記載事項(B-ア)に「砒素及び又は砒素化合物を含有する汚染土壌に、粘性土、陽イオン交換体の一種であるゼオライト類、カルシウム化合物、マグネシウム化合物及び二価又は三価の鉄塩を混合して土壌を改質することを特徴とする汚染土壌の改質方法」及び「建設汚泥等の無機汚泥の脱水ケーキ含有成分を調査、確認し、汚染されていることが確認された汚泥に粘性土、陽イオン交換体の一種であるゼオライト類、カルシウム化合物及びマグネシウム化合物、必要により二価又は三価の鉄塩及び又はアルミニウム塩を混合して汚泥を改質することを特徴とする汚泥の改質方法」が記載され、記載事項(B-イ)に「本発明は汚染土壌の改質方法及び汚泥の改質方法に関し、詳しくは、鉱物類を使用してイオン交換を行い、併せて新結晶相の発生による土壌中の有害成分(土壌中に汚染物質として含まれる有害重金属類や砒素等)の吸着・固定化反応を進行させて水に対する不溶化を図り、汚染土壌の無害化を図る汚染土壌の改質方法、建設汚泥等の無機汚泥を改質したりあるいはその後固化する汚泥の改質方法に関する。」と記載されている。
そして、上記記載中の「建設汚泥」については、当該技術分野において、以下のように取り扱われている。
「2.1 建設汚泥の定義
建設廃棄物処理指針^(1))では,建設汚泥について以下のように示している。
・掘削工事に伴って排出されるもののうち泥状のものは,無機性汚泥(建設汚泥)として取り扱う。
・泥状の状態とは,標準仕様のダンプトラックに山積みができず,また,その上を人が歩けない状態をいい,この状態を土の強度を示す指標でいえば,コーン指数がおおむね200kN/m^(2)以下または一軸圧縮強度がおおむね50kN/m^(2)以下である。
・・・
2.3 建設汚泥の性状
建設汚泥とは掘削土に水が混ざって泥状になったもので,その性状は主に水分量の影響を大きく受ける。」(阪本廣行,山本博之,大原直「建設汚泥のリサイクルについて」廃棄物学会誌,Vol.12,No.3,2001年5月,150?151ページ)
これらの記載事項から、引用刊行物2には、砒素等を含有する汚染土壌や汚染された建設汚泥(掘削工事に伴って排出される掘削土に水が混ざって泥状になったもの)に、粘性土、陽イオン交換体の一種であるゼオライト類、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、二価又は三価の鉄塩及び又はアルミニウム塩を混合して、土壌や建設汚泥中に含まれる汚染物質の吸着・固定化反応を進行させて水に対する不溶化を図り、汚染土壌や建設汚泥の無害化を図る、汚染土壌や建設汚泥の改質方法(以下「引用刊行物2改質方法」という。)が記載されているといえる。
そして、記載事項(B-ウ)によれば、上記土壌や建設汚泥中に含まれる汚染物質としては、Cd、Pb、Cr、Cu、Zn、Ni等の重金属陽イオン、これらの重金属が酸化物あるいは亜酸化物として存在している場合、砒素(As)等の有害元素が酸化物あるいは亜酸化物として存在している場合などが挙げられ、記載事項(B-エ)によれば、用いられるマグネシウム化合物、カルシウム化合物はゼオライト及び粘性土に吸着保持されにくい汚染土壌中に存在する陰イオンを形成する汚染物質の吸着を補助する機能を果たし、マグネシウム塩を含有させることにより、汚染土壌中の汚染物質の不溶化及び無害化をより一層図り得るものとなることや、このマグネシウム化合物としては、(Ca,Mg)CO_(3)(ドロマイト)、MgO(酸化マグネシウム)等が挙げられることが記載されていることから、引用刊行物2改質方法に用いる「マグネシウム化合物」である(Ca,Mg)CO_(3)(ドロマイト)やMgO(酸化マグネシウム)は、ゼオライト及び粘性土に吸着保持されにくい汚染土壌や建設汚泥中に存在する陰イオンを形成する汚染物質である砒素等の吸着を補助する機能を果たし、汚染土壌や建設汚泥中の汚染物質の不溶化及び無害化をより一層図り得るものといえる。
そこで、引用刊行物2改質方法に用いる「マグネシウム化合物」である(Ca,Mg)CO_(3)(ドロマイト)やMgO(酸化マグネシウム)についてみると、引用刊行物1の記載事項(A-ウ)に「本発明に使用される酸化マグネシウムには、低温焼成品と高温焼成品とがあるが、反応性の点からみて低温焼成品(軽焼マグネシア)の使用が望ましい。また本発明ではドロマイトのような酸化マグネシウムを含むものも使用出来る。」と記載され、軽焼マグネシアは、性質として活性が大きく、吸着剤としての用途が知られている(化学大辞典8,共立出版株式会社,1997年9月20日,840ページ)。
さらに、平成21年4月9日付けの補正却下の決定で引用された刊行物である特開昭53-114791号公報には、マグネシア系吸着剤は、水中に溶解する無機物質であるリン酸イオン、ヒ素イオン、シアノ錯イオンなどの陰イオンを吸着させて除去すること(特に、第2ページ右下欄7?15行を参照。)が記載されている。
また、土壌固化剤を用いて有害物質で汚染された土壌を固化するとともに、土壌に含有されている有害物質を不溶化することは、本願出願前周知の技術課題(例えば、特開昭50-67280号公報、特公昭57-119号公報など参照。)であり、土壌固化剤が有害物質を不溶化する性質を有していることが望ましいことは、当業者に自明の事項といえる。
そして、引用刊行物1発明は、建設現場からの発生土のような水分を多量に含み流動性がある土壌(引用刊行物2の「建設汚泥」に相当)に酸化マグネシウムと、二価の鉄塩、アルミニウム塩を添加して処理する点において、引用刊行物2改質方法と共通することから、引用刊行物1発明の土壌固化剤についても、建設現場からの発生土のような水分を多量に含み流動性がある土壌中に存在する砒素等の有害物質を不溶化することが予測されるといえる。
してみると、建設汚泥に含有されている有害物質である砒素等の不溶化を企図し、引用刊行物1発明の土壌固化剤を、砒素等で汚染された土壌や建設汚泥に添加することを試みることに格別の工夫を要するとはいえないから、引用刊行物1発明において、土壌固化剤を添加する土壌を「砒素等の有害物質に汚染された土壌」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、引用刊行物1発明の土壌固化剤を砒素等の汚染物質に汚染された土壌に添加した際に、実際に砒素等の有害物質が不溶化されることを確認し、引用刊行物1発明の土壌固化剤を、有害物質に汚染された土壌に添加することによって上記汚染土壌を「固化不溶化し、上記有害物質を再溶出することなく固化土内に封鎖する」と特定することは、当業者が容易になし得ることである。
そして、本願補正明細書に記載された、相違点1における本願補正発明の発明特定事項を採用することにより得られる効果は、引用刊行物1及び引用刊行物2に記載された事項から当業者が予測し得る範囲内のものといえる。
したがって、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用刊行物1発明及び引用刊行物2の記載事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(B)[相違点2]について
本願補正発明の作用について、本願補正明細書をみると、段落【0007】に、〔作用〕として、「MgOは低アルカリ性でありかつシアン、リン、窒素、ヒ素、ホウ素等の土壌に含まれている汚染物質の溶出に対する不溶化力に優れている。MgOに助剤を添加すると、固化土は更に低アルカリ性になったり固化速度が早くなったり、あるいは固化物の強度が向上したりする。」と記載されており、シアン、リン、窒素、ヒ素、ホウ素等の土壌に含まれている汚染物質の溶出に対する不溶化力はMgOによるものであり、助剤は、土壌の固化を促進するとともに固化物の強度を向上させるものといえる。
そして、本願補正発明の「シアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤」について具体的な働きをみると、段落【0010】及び【0011】に、〔固化不溶化助剤〕について、「MgOおよび/またはMgO含有材を土壌と混合して水中に投入した場合、固化発現に長時間を要したり、強度が空気中より低下することがある。そこで水中でも空気中と同様の固化を可能するために固化不溶化助剤を添加することが好ましい。また150%以上の高含水比で泥水状態の汚染土壌の場合にはフィルタープレス等を使用して機械脱水を行なうことが望ましいが、この場合機械脱水を容易ならしめるために固化不溶化助剤を添加することが好ましい。
上記固化不溶化助剤(以下第1助剤とする)としては、例えば硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の酸性アルミニウム塩、硫酸第一鉄、塩化第二鉄等の酸性鉄塩、リン酸あるいは第一リン酸ソーダ、重過リン酸カルシウム、過リン酸カルシウム等の酸性リン酸塩類等があり、上記第1助剤は二種以上混合使用されてもよい。」と記載されており、上記「第1固化不溶化助剤」は、水中でも空気中と同様の固化を可能するため、あるいは150%以上の高含水比で泥水状態の汚染土壌の場合に機械脱水を容易ならしめるために添加するものといえる。
これに対して、引用刊行物1発明の「硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ塩化アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、明ばん、仮焼明ばん石、および硫酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の固化剤」は、酸化マグネシウムに添加されて土壌固化剤として、建設現場からの発生土のような水分を多量に含み流動性がある土壌を固化するのに使用するものであり、上記「(A)[相違点1]について」で検討したように、土壌固化剤を用いて有害物質で汚染された土壌を固化するとともに、土壌に含有されている有害物質を不溶化することは、本願出願前周知の技術課題であり、土壌固化剤が有害物質を不溶化する性質を有していることが望ましいことは、当業者に自明の事項といえる。
そして、引用刊行物1発明において、酸化マグネシウムと固化剤とを含む土壌固化剤を「砒素等の有害物質に汚染された土壌」に添加することを試みることに格別の工夫を要するとはいえないから、上記「固化剤」を「シアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する」と特定することは、当業者が容易になし得ることである。
したがって、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用刊行物1発明及び引用刊行物2の記載事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(6)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用刊行物1発明及び引用刊行物2に記載された事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成21年6月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成20年6月4日付け手続補正書の、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、以下のとおりのものである。
「MgO100質量部、あるいはMgOおよび/または軽焼ドロマイトおよび/またはドロマイトプラスターをMgOに換算して100質量部に対して、
酸性アルミニウム塩、酸性鉄塩、酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤および/または
カルシウム塩、マグネシウム塩、高炉スラグ、二酸化ケイ素、パーライトからなる組から選ばれた一種または二種以上の第2固化不溶化助剤および/または
活性炭、ゼオライト、ケイ藻土からなる組から選ばれた一種または二種以上の第3固化不溶化助剤
を10?300質量部添加した土壌用固化不溶化剤をシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に汚染された土壌1m^(3)当たりMgOとして10?200kg添加して機械的脱水固化をおこなうか、
あるいは上記汚染土壌1m^(3)当たりMgOとして30?300kg添加することによって上記汚染土壌を植物成長に差支えないpH範囲で固化不溶化し、上記有害物質を再溶出することなく固化土内に封鎖することを特徴とする土壌処理方法。」

4.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1及び引用刊行物2並びに、その記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明1は、上記2.(1)で検討した本願補正発明の発明特定事項である「MgO100質量部」及び「硫酸アルミニウムおよび/またはポリ塩化アルミニウムを含む酸性アルミニウム塩、硫酸第一鉄および/または塩化第二鉄を含む酸性鉄塩、重過リン酸カルシウムおよび/または過リン酸カルシウムを含む酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤、ならびに、硫酸カルシウムと二酸化ケイ素とからなる第2固化不溶化助剤の少なくとも一方」を、それぞれ「MgO100質量部、あるいはMgOおよび/または軽焼ドロマイトおよび/またはドロマイトプラスターをMgOに換算して100質量部」及び「酸性アルミニウム塩、酸性鉄塩、酸性リン酸塩類からなる組から選ばれた一種または二種以上のシアン、リンおよび/または窒素および/またはヒ素および/またはホウ素である有害物質に対する第1固化不溶化助剤および/またはカルシウム塩、マグネシウム塩、高炉スラグ、二酸化ケイ素、パーライトからなる組から選ばれた一種または二種以上の第2固化不溶化助剤および/または活性炭、ゼオライト、ケイ藻土からなる組から選ばれた一種または二種以上の第3固化不溶化助剤」に拡張するものである。
そうすると、本願発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2.に記載したとおり、引用刊行物1発明及び引用刊行物2の記載事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、本願発明1も、同様に、引用刊行物1発明及び引用刊行物2の記載事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用刊行物1発明及び引用刊行物2の記載事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-03 
結審通知日 2012-12-04 
審決日 2012-12-17 
出願番号 特願2006-93063(P2006-93063)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B09B)
P 1 8・ 121- Z (B09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金 公彦  
特許庁審判長 木村 孔一
特許庁審判官 斉藤 信人
目代 博茂
発明の名称 土壌処理方法  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 石坂 泰紀  

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