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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1269791
審判番号 不服2011-20638  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-26 
確定日 2013-02-07 
事件の表示 特願2006-289782「データ処理方法および携帯端末」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月 8日出願公開、特開2008-109352〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年10月25日の出願であって、平成23年8月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年3月25日付け手続補正書により補正された請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「アプリケーション機能の違いにより種類の異なる複数のデータが記憶部に格納された携帯端末のデータ処理方法であって、
アプリケーション機能の異なる前記複数のデータのデータ名を登録したリストを前記記憶部に格納し、
データ削除の指示が入力されると、前記リストに登録された前記データ名の一覧を出力部に表示させ、
前記一覧からデータ名が選択されると、選択されたデータ名で特定されるデータを前記記憶部から削除する、データ処理方法。」

3.引用例発明
原査定の拒絶理由に引用された特開2006-268728号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信機器のファイル削除技術に関する。」

ロ.「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかる携帯通信機器の一実施の形態である携帯電話機について図面を用いて説明する。
<実施の形態>
本発明に係る携帯電話機は、ファイル削除時にユーザの選択による並べ替え方法でファイルを並べ替えて、表示し、ユーザのファイル削除を支援する。以下、その携帯電話機の構成、扱うデータ、そして動作について説明していく。
【0016】
<構成>
まず、本発明に係る携帯電話機の構成について図1の機能ブロック図を用いて説明する。
本発明に係る携帯電話機100は、通信部110、アンテナ111、音声処理部120、マイク121、スピーカ122、表示部130、操作部140、記憶部150、制御部160を含んで構成される。
【0017】(略)
【0018】・・・(中略)・・・
表示部130は、LCD(Liquid Crystal Display)などによって実現されるモニタで、制御部160の指示による画像を表示する機能を有し、待受け画面やメールの文書などを表示したりする。
【0019】
操作部140は、テンキー、オンフックキー、オフフックキー、方向キー、決定キーなどの諸キー群を含み、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を制御部160に伝達する機能を有する。
記憶部150は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含んで構成され、小型ハードディスクや不揮発性メモリなどによって実現される。記憶部150は、携帯電話機の各部を制御する各種プログラムや、待ちうけ画像や着信メロディなどを含む各種データを記憶する機能を有する。これらの待ちうけ画像などのファイルは、RAMのユーザメモリ領域(図示せず)に格納される。ユーザが削除できるファイルは基本的に、ユーザメモリ領域内に含まれるファイルだけになる。ユーザメモリ領域以外のメモリ領域としては、システム領域があり、こちらはROMあるいはRAMに格納される携帯電話機100が動作する上で必須となるプログラムやデータが収められる。
本発明に係るファイル削除プログラム151は、システム領域に記憶されている。
【0020】
制御部160は、携帯電話機100の各部を制御するものであり、記憶部150にある各種制御プログラムを読み出して制御を行うCPU(Central Processing Unit)である。操作部140でユーザからのファイル削除にあたって、どのファイルを削除するかを指示するためにファイルの一覧表示を行うキー入力を受けたら、ファイル削除プログラム151を記憶部150から読み出し、当該プログラムに従って、ファイル削除の際にユーザが削除したいと思うファイルを発見しやすくするためのファイルの並べ替えと、ユーザによって選択されたファイルの削除とを行う機能を有する。」

ハ.「【0021】
<データ>
次に、携帯電話機100が扱うファイルのデータについて説明する。ここでいうファイルには、画像データや、着メロ、ムービー、テキストデータ、ゲームアプリケーションなどがある。
図2には携帯電話機100の記憶部150に記憶されているファイルのデータ一覧の一例を示している。同図にあるようにファイルデータ一覧表200には、ファイル削除のときの順序化に際して並べ替えがしやすいように、ファイル名201に対応して、各ファイルのサイズ202、ファイル種別203、アクセス日時204、アクセス回数205と、著作権206が記述されている。なお、図示していないが各ファイル名は、それぞれのファイルのデータに対応している。」

ニ.【0025】
これらのデータを元に携帯電話機100は、ファイルの並べ替えを行うことが可能となる。ファイルの並べ替え方については、携帯電話機の動作として後述する。
<動作>
次に、携帯電話機100のファイル削除における動作を図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まずユーザから操作部140を介してファイル削除指示を受け付けてファイル削除プログラム151を制御部160が読み出し起動する(ステップS501)。当該ファイル削除プログラム151に基づいて、携帯電話機100は動作する。
すると制御部160は、まずファイルを識別する情報としてファイル名を、名前順あるいは格納順に並べて表示部130に表示させる。これでユーザは削除できるファイルを認識できる。ユーザは、このファイル名を選択して、ファイルの削除を行う。携帯電話機100は、オプションメニューの表示要求があるかどうかを検知している(ステップS503)。オプションメニューの表示要求がない場合は(ステップS503のNO)、表示されているファイル名の中から選択入力があるかどうかを検知する(ステップS505)。ここでいうオプションメニューは、ユーザが選択するファイルを並べ替えるための基準、ファイルサイズ、ファイル種別、アクセス日時、アクセス回数、著作権という選択項目の一覧を示したGUI(Graphical User Interface)である。オプションメニューの表示要求は、操作部140のオプションメニューの表示要求に対応している所定のキーの押下を受けて行われる。

ホ.「【0031】
以上がファイル削除時における携帯電話機100の動作であるが、以上の動作を具体例を挙げて図3と図4を用いて、説明する。
まず携帯電話機100は、図2に示すようなファイル一覧を記憶しており、このファイルの中からユーザはどれかを削除しようとしている。ユーザはファイルの削除指示を入力する。すると携帯電話機100の表示部130は、図3(a)にあるように、ファイルの削除を行おうとしてファイル名の一覧を表示する。このファイル名の一覧を見て、ユーザは削除すべきファイルが分かりにくいと判断した場合は、オプションメニューの表示指示を入力する。実際には対応するオプションメニュー表示キーの押下で行われる。
【0032】
オプションメニューの表示指示を受けて制御部160は、表示部130にオプションメニューの表示指示を出す。
そうすると表示部130は、図3(b)に示すようなオプションメニューを表示する。同図にあるようにオプションメニューには、ファイル削除に役立つと思われる並べ替え基準の一覧が示されている。
【0033】
この一覧の中からユーザは方向キーを使って選択カーソルを動かし、並べ替えの基準を選択して決定キーを押下する。ここではファイルサイズによる並べ替えを選択したものとする。ファイルサイズによる並べ替えが選択されたことによって図4(a)のように並んでいたファイルが、図4(b)のように並べ替えられ、携帯電話機100の表示部130には図3(c)のように、並べ替えられた順にファイル名が表示される。ここに表示しきれていない分は、方向キーを押下して下側にスクロールさせると、表示されていないファイル名も表示される。
【0034】
そしてユーザは、上位に表示されているのがファイル削除に適しているファイルと認識し、図3(c)のように表示されたファイルの中から削除するファイルを選択して、ファイルの削除を行って終了する。」

引用例には、携帯電話機のファイル削除方法が示されている。
段落【0021】には、「ここでいうファイルには、画像データや、着メロ、ムービー、テキストデータ、ゲームアプリケーションなどがある。」と記載されており、ファイルとして種類の異なる複数のものを想定していることは明かである。
段落【0031】によれば、携帯通信機器の記憶部には、ファイル名を記述したファイル一覧が記憶されており、ファイル削除の指示が入力されると、ファイル名の一覧を表示部に表示するものである。
段落【0026】、【0034】によれば、ファイル一覧からファイル名が選択されると、選択されたファイルを前記記憶部から削除するものである。

したがって、技術常識を考慮すると、引用例には、
「種類の異なる複数のファイルが記憶部に記憶された携帯電話機のファイル削除方法であって、
前記複数のファイルのファイル名を記述したファイル一覧を前記記憶部に記憶し、
ファイル削除の指示が入力されると、前記ファイル一覧に記述された前記ファイル名の一覧を表示部に表示させ、
前記ファイル名の一覧からファイル名が選択されると、選択されたファイル名のファイルを削除する、ファイル削除方法。」
の発明(以下、「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

4.対比
本願発明と引用例発明とを対比する。
引用例発明の「ファイル」は、「データ」の一種である。
よって、引用例発明の「ファイルの削除方法」は、本願発明の「データ処理方法」に相当する。
引用例発明の「記憶された」は、本願発明の「格納された」に相当する。
引用例発明の「携帯電話機」は、本願発明の「携帯端末」に相当する。
引用例発明の「ファイル名を記述したファイル一覧」は、本願発明の「データ名を登録したリスト」に相当する。
引用例発明の「ファイル名の一覧を表示部に表示させ」は、本願発明の「データ名の一覧を出力部に表示させ」に相当する。
引用例発明の「選択されたファイル名のファイルを削除する」ことは、ファイルは記憶部に記憶されたものであるから、本願発明の「選択されたデータ名で特定されているデータを記憶部から削除する」ことに相当する。

したがって、本願発明と引用例発明とは、
「種類の異なる複数のデータが記憶部に格納された携帯端末のデータ処理方法であって、
前記複数のデータのデータ名を登録したリストを前記記憶部に格納し、
データ削除の指示が入力されると、前記リストに登録された前記データ名の一覧を出力部に表示させ、
前記一覧からデータ名が選択されると、選択されたデータ名で特定されるデータを前記記憶部から削除する、データ処理方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
「データ」の種類について、本願発明では、「アプリケーション機能の違い」による種類であるのに対して、引用例発明は、そのように特定されていない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例発明において、「データ」はファイルとして構成されているが、ファイルの種類はアプリケーションの機能に応じたファイルの識別子として記述されることは技術常識である。
したがって、引用例発明のファイルがアプリケーション機能の違いにより識別されるものであることは技術的に自明のことであり、ファイルの種類、すなわちデータの種類を「アプリケーション機能の違い」による種類と特定することは格別のことではない。

そして、本願発明の作用効果も、引用例発明から当業者が予測できる範囲のものである。
6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-03 
結審通知日 2012-12-04 
審決日 2012-12-18 
出願番号 特願2006-289782(P2006-289782)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 矢島 伸一
新川 圭二
発明の名称 データ処理方法および携帯端末  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 石橋 政幸  

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