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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1269809
審判番号 不服2012-4445  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-07 
確定日 2013-02-07 
事件の表示 特願2007-183342「チップ部品型LED」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月29日出願公開、特開2009- 21426〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成19年7月12日に出願したものであって、平成23年8月3日付け拒絶理由通知に対し、同年10月6日付けで手続補正がなされ、同年12月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月7日付けで拒絶査定に対する審判請求がなさると同時に手続補正がなされ、同年4月9日付け前置審査における拒絶理由通知に対し、同年6月8日付けで手続補正がなされたものである。
その後、同年8月13日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年10月11日に回答書が提出された。

2 本願発明
本願の請求項1?6に係る発明は、平成24年6月8日付け手続補正後の特許請求の範囲、明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「LEDチップ搭載用の貫通穴である第1凹穴と金属細線接続用の貫通穴である第2凹穴とが形成された絶縁基板の外周側面を除く裏面側に、前記第1凹穴に対応した配線パターンとなる第1裏面側金属薄板と前記第2凹穴に対応した配線パターンとなる第2裏面側金属薄板とが電気的に分離された状態で形成され、
前記絶縁基板の前記外周側面を除く表面側には、前記第1凹穴を含む部分に第1配線パターンとなる第1表面側金属薄板が形成されるとともに、前記第1表面側金属薄板と電気的に分離された状態で、前記第2凹穴を含む部分に第2配線パターンとなる第2表面側金属薄板が形成され、
前記第1裏面側金属薄板と前記第1表面側金属薄板とが前記第1凹穴の裏面側の底面においてのみ直接接続され、
前記第2裏面側金属薄板と前記第2表面側金属薄板とが前記第2凹穴の裏面側の底面においてのみ直接接続される一方、
前記第1凹穴内の前記第1表面側金属薄板上にLEDチップが実装され、このLEDチップが金属細線を介して前記第2凹穴内の前記第2表面側金属薄板に電気的に接続されて透明樹脂により封止されていることを特徴とするチップ部品型LED。」

3 引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特開2007-165502号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載が図とともにある。(下線は審決で付した。以下同じ。)
ア 【0059】
図9において、素子内蔵回路基板は、熱可塑性樹脂から成る層間絶縁体層1、該層間絶縁体層1の一主面に形成された第1の配線回路2(不図示)、層間絶縁体層1の他主面に形成された第2の配線回路3を有する。上記第2の配線回路3の一の配線3aおよび他の配線3bには、それぞれ層間絶縁体層1により囲繞された凹所23aおよび凹所5aが設けられている。そして、本実施形態で特徴的事項として、少なくとも凹所5aが順テーパー状に形成されている。なお、凹所23aも順テーパー状に形成されていてもよい。
【0060】
ここで、上記凹所23a底部および凹所5a底部の配線3aと配線3bの表面、そして第2の配線回路3を被覆するメッキレジスト7の一部の開口部に、例えばNi/Agの複合層から成るメッキ層6が施されている。
【0061】
そして、上記順テーパー状の凹所5a底部の配線3bのランド部に半導体チップ8がマウントされ、ボンディングワイヤー9が半導体チップ8の電極パッド(不図示)と上記凹所23a底部の配線3aに接続されている。ここで、半導体チップ8は半導体LED(Light Emitting Diode)が好適である。その具体的なものとしては、例えば紫外光、青色光等を出射し蛍光体を励起するいわゆる波長変換型LEDの励起光源を構成する半導体LED、あるいは色光の三原色の可視光を出射し照明または表示等の直接光源となる半導体LEDがある。
【0062】
そして、封止樹脂28が、上記半導体チップ8を上記凹所5aに封止し第1の配線回路2を被覆するようにして、全面に形成されている。ここで、封止樹脂28は上記半導体LEDの出射光を透過する透明樹脂、あるいは蛍光体等の混在する透明樹脂である。
イ 【0068】
そして、例えば化学薬液である塩化第二鉄水溶液のエッチング液に浸漬し、上記エッチングレジスト31をエッチングマスクにして、両面銅張積層板17の両銅箔16,11cをエッチング加工する。このエッチング加工により、図11(b)に示すように、第2の配線回路3の一配線である配線3aと他配線である配線3bが形成される。また、第1の銅箔11cは上記所定の領域を残してエッチングされる。ここで、第1の銅箔11cが層間絶縁体層1を貫挿し第2の銅箔16に達していた順テーパー形状の凸部は全てエッチング除去される。このようにして、上記第2の銅箔16のエッチング加工により形成された配線3b上に層間絶縁体層1により囲繞された順テーパー形状の凹所5a、配線3a上に層間絶縁体層1により囲繞された順テーパー形状凹所23aが設けられる。
ウ 【0072】
続いて、図12(b)に示すように、凹所5a底部の配線3bから成るランド部のメッキ層6表面に、例えばAgペーストにより半導体LEDの半導体チップ8を接着させて装着する。そして、図12(c)に示すように、半導体チップ8の電極パッド(不図示)と配線3aの凹所23a底部のメッキ層6とにそれぞれのボンディングワイヤー9を超音波ボンディングする。
エ 【図9】から、第2の配線回路3の一配線である配線3aと他配線である配線3bは、層間絶縁体層1の他主面側のみに形成されていることが看取できる。
オ 上記イの記載及び【図11】から、凹所5a及び凹所23aは、層間絶縁体層1を貫通していることが看取できる。

カ 上記記載及び図面を含む刊行物1全体の記載から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「熱可塑性樹脂から成る層間絶縁体層1、該層間絶縁体層1の一主面に形成された第1の配線回路2、層間絶縁体層1の他主面に形成された第2の配線回路3を有する素子内蔵回路基板であって、
前記第2の配線回路3の一の配線3aおよび他の配線3bは、層間絶縁体層1の他主面側のみに形成され、前記一の配線3aおよび他の配線3bには、それぞれ層間絶縁体層1により囲繞され、層間絶縁体層1を貫通した凹所23aおよび凹所5aが設けられ、凹所5a、凹所23aが順テーパー状に形成され、
前記凹所23a底部および凹所5a底部の配線3aと配線3bの表面に、例えばNi/Agの複合層から成るメッキ層6が施され、
前記順テーパー状の凹所5a底部の配線3bのランド部のメッキ層6表面に半導体チップ8がマウントされ、ボンディングワイヤー9が半導体チップ8の電極パッドと前記凹所23a底部のメッキ層6にボンディングされ、配線3aに接続され、半導体チップ8は半導体LEDであり、
半導体LEDの出射光を透過する封止樹脂28が、前記半導体チップ8を前記凹所5aに封止するとともに全面に形成されている素子内蔵回路基板。」(以下「引用発明」という。)

(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特開平7-235696号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載が図とともにある。
ア 〔実施例2〕図4及び図5は、本発明のチップ部品型LEDの他の実施例を示す断面図及び平面図であり、請求項1及び2に対応している。
【0038】図において、貫通穴32が形成された絶縁基板30に、その表面302から、各側面303,304を経て裏面301に至る金属層27,28が形成されている。本実施例では、金属層27がカソード側、金属層28がアノード側となる。また、貫通穴32の内周面は、絶縁基板30の裏面301側から表面302側に向かって漸次拡開する湾曲面321に形成されている。
イ 【0045】第3の工程では、貫通穴32の内面(周面及び底面)に、金属層27を延設する形で金属層29を形成する〔図6(c)参照〕。貫通穴32内に金属層29を形成するのは、LEDチップ21の点灯時の光の反射効率を向上させるためであるが、絶縁基板30が白色の樹脂である場合には、貫通穴32の内周面も白色であることから、この場合には金属層29は無くてもよい(図7参照)。

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「『半導体LED』である『半導体チップ8』」、「凹所5a」、「凹所23a」、「層間絶縁体層1」、「他主面」、「一主面」、「第2の配線回路3の一の配線3a」、「第2の配線回路3の他の配線3b」、「ボンディングワイヤー9」、「出射光を透過する封止樹脂28」及び「素子内蔵回路基板」は、それぞれ本願発明の「LEDチップ」、「第1凹穴」、「第2凹穴」、「絶縁基板」、「裏面」、「表面」「配線パターンとなる第1裏面側金属薄板」、「配線パターンとなる第2裏面側金属薄板」、「金属細線」、「透明樹脂」及び「チップ部品型LED」に相当する。
(2)引用発明の「凹所5a」底部には、「半導体LED」である「半導体チップ8」がマウントされ、「凹所5a」は「層間絶縁体層1を貫通し」ているから、LEDチップ搭載用の貫通穴である第1凹穴といえ、引用発明の「凹所23a」底部には、「ボンディングワイヤー9」がボンディングされ、「凹所23a」は「層間絶縁体層1を貫通し」ているから、金属細線接続用の貫通穴である第2凹穴といえる。
引用発明の「第2の配線回路3の一の配線3aおよび他の配線3b」は「層間絶縁体層1の他主面側のみに形成され」ているから、絶縁基板の外周側面を除く裏面側に形成されているものといえる。
引用発明の「一の配線3aおよび他の配線3b」は「それぞれ層間絶縁体層1により囲繞され、層間絶縁体層1を貫通した凹所23aおよび凹所5aが設けられ」ているから、第1凹穴に対応した配線パターンとなる第1裏面側金属薄板及び第2凹穴に対応した配線パターンとなる第2裏面側金属薄板といえ、互いに電気的に分離された状態で形成されているものといえる。
よって、引用発明は、LEDチップ搭載用の貫通穴である第1凹穴と金属細線接続用の貫通穴である第2凹穴とが形成された絶縁基板の外周側面を除く裏面側に、前記第1凹穴に対応した配線パターンとなる第1裏面側金属薄板と前記第2凹穴に対応した配線パターンとなる第2裏面側金属薄板とが電気的に分離された状態で形成されているものといえる。
(3)本願発明の「第1表面側金属薄板」及び「第2表面側金属薄板」に関し、本願明細書には以下の記載がある。
「【0030】
次の工程では、各凹穴3a,3bの側面と底面の金属薄板2上とに延設するように、絶縁基板1の表面側から、厚さ20μmのCuメッキ層45をメッキにより形成する(図2(d))。ここで、Cuメッキが不要な箇所はレジストを用いて保護しておく。」
「【0032】
次の工程では、絶縁領域を形成するために、絶縁基板1表面の不要なNi/Au層及びCuメッキ層45と金属薄板4とを除去(符号46により示す)するとともに、絶縁基板1裏面の不要な金属薄板2を除去(符号22により示す)する(図2(e))。これにより、絶縁基板1の表面に、第1配線パターンとなる金属薄板4aと、第2配線パターンとなる金属薄板4bとが絶縁状態で形成され、絶縁基板1の裏面に、第1配線パターンの金属薄板4aに対向する金属薄板2aと、第2配線パターンの金属薄板4bに対向する金属薄板2bとが絶縁状態で形成される。」
「【0033】
次の工程では、LEDチップ搭載用の凹穴3aの底面の金属薄板4aに、銀ペーストを用いてLEDチップ5を実装する(図2(f))。」
「【0034】
次の工程では、実装されたLEDチップ5と金属細線接続用凹穴3bの底面の金属薄板4bとを金属細線6を用いてボンディングして電気的に接続する(図2(g))。」
上記記載から、本願発明の「第1表面側金属薄板」は、メッキ層からなり、LEDチップを実装することが可能なパターンを有しているものを含み、「第2表面側金属薄板」は、メッキ層からなり、金属細線を用いてボンディング可能なパターンを有しているものを含んでいるものと認められる。
引用発明の「凹所5a底部の配線3b」表面の「メッキ層6」は、「『半導体LED』である『半導体チップ8』」がマウントされているから、引用発明の「凹所5a底部の配線3b」表面の「メッキ層6」と本願発明の「第1表面側金属薄板」とは、第1凹穴の部分の第1配線パターンとなる第1表面側金属薄板の点で共通する。
また、引用発明の「凹所23a底部の配線3a」表面の「メッキ層6」は、「ボンディングワイヤー9」がボンディングされるから、引用発明の「凹所23a底部の配線3a」表面の「メッキ層6」と本願発明の「第2表面側金属薄板」とは、第2凹穴の部分の第2配線パターンとなる第2表面側金属薄板の点で共通する。
引用発明の「凹所5a底部の配線3b」表面の「メッキ層6」及び「凹所23a底部の配線3a」表面の「メッキ層6」は、「凹所23a底部および凹所5a底部の配線3aと配線3bの表面に」施されるものであるから、絶縁基板の外周側面を除く第1裏面側金属薄板及び第2裏面側金属薄板の表面側に形成されているものといえる。
更に、「凹所5a底部の配線3b」表面の「メッキ層6」及び「凹所23a底部の配線3a」表面の「メッキ層6」は、互いに電気的に分離された状態であることが明らかである。
よって、引用発明と本願発明は、絶縁基板の前記外周側面を除く第1裏面側金属薄板及び第2裏面側金属薄板の表面側には、第1凹穴部分に第1配線パターンとなる第1表面側金属薄板が形成されるとともに、前記第1表面側金属薄板と電気的に分離された状態で、第2凹穴部分に第2配線パターンとなる第2表面側金属薄板が形成されている点で共通する。
(4)引用発明は「凹所23a底部および凹所5a底部の配線3aと配線3bの表面に、例えばNi/Agの複合層から成るメッキ層6が施され」るから、引用発明は、第1裏面側金属薄板と第1表面側金属薄板とが第1凹穴の裏面側の底面においてのみ直接接続され、第2裏面側金属薄板と第2表面側金属薄板とが第2凹穴の裏面側の底面においてのみ直接接続されるものといえる。
(5)引用発明は「凹所5a底部の配線3bのランド部のメッキ層6表面に半導体チップ8がマウントされ、ボンディングワイヤー9が半導体チップ8の電極パッドと前記凹所23a底部のメッキ層6にボンディングされ」、「半導体LEDの出射光を透過する封止樹脂28が、前記半導体チップ8を前記凹所5aに封止するとともに全面に形成されている」から、第1凹穴内の第1表面側金属薄板上にLEDチップが実装され、このLEDチップが金属細線を介して第2凹穴内の第2表面側金属薄板に電気的に接続されて透明樹脂により封止されているものといえる。
(6)(1)ないし(5)より、本願発明と引用発明とは、
「LEDチップ搭載用の貫通穴である第1凹穴と金属細線接続用の貫通穴である第2凹穴とが形成された絶縁基板の外周側面を除く裏面側に、前記第1凹穴に対応した配線パターンとなる第1裏面側金属薄板と前記第2凹穴に対応した配線パターンとなる第2裏面側金属薄板とが電気的に分離された状態で形成され、
前記絶縁基板の前記外周側面を除く第1裏面側金属薄板及び第2裏面側金属薄板の表面側には、前記第1凹穴部分に第1配線パターンとなる第1表面側金属薄板が形成されるとともに、前記第1表面側金属薄板と電気的に分離された状態で、前記第2凹穴部分に第2配線パターンとなる第2表面側金属薄板が形成され、
前記第1裏面側金属薄板と前記第1表面側金属薄板とが前記第1凹穴の裏面側の底面においてのみ直接接続され、
前記第2裏面側金属薄板と前記第2表面側金属薄板とが前記第2凹穴の裏面側の底面においてのみ直接接続される一方、
前記第1凹穴内の前記第1表面側金属薄板上にLEDチップが実装され、このLEDチップが金属細線を介して前記第2凹穴内の前記第2表面側金属薄板に電気的に接続されて透明樹脂により封止されているチップ部品型LED。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]第1表面側金属薄板及び第2表面側金属薄板について、本願発明は「絶縁基板の」「表面側」に、(第1表面側金属薄板は)「第1凹穴を含む部分に」、(第2表面側金属薄板は)「第2凹穴を含む部分に」形成されと特定されているのに対し、引用発明は、「凹所5a底部の配線3b」表面の「メッキ層6」(第1表面側金属薄板)及び「凹所23a底部の配線3a」表面の「メッキ層6」(第2表面側金属薄板)は、それぞれ凹所5a底部の配線3bの表面、凹所23a底部の配線3aの表面に施されているものの、絶縁基板の表面側に形成されているとまではいえず、第1凹穴を含む部分と第2凹穴を含む部分に形成されているとまではいえない点。

5 判断
(1)上記相違点について検討する。
ア 本願明細書には以下の記載がある。
「【0010】
本発明はこのような問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、LEDチップを実装するための基板厚みを無くしてよりいっそうの薄型化を達成するとともに、点灯時の光の反射効率の向上を図り、かつ、製造方法の容易化を図ったチップ部品型LED及びその製造方法を提供することにある。」
「【0017】
この場合、前記透明樹脂に蛍光体を含ませた構造としてもよい。また、前記凹穴の内周面は、前記絶縁基板の裏面側から表面側に向かって漸次拡開する傾斜面に形成されていることが好ましい。これにより、本チップ部品型LEDを各種表示パネル、液晶表示装置のバックライト、照光スイッチ等の光源として利用したときの点灯時、側面に向かう光は傾斜面で反射されて上方に向かうことから、上方への反射効率を向上させることができる。」
一般に、金属面の反射率が高いことは技術常識であるから、本願発明の第1凹穴及び第2凹穴の内周面が傾斜面である場合には、該傾斜面に金属を形成することによって、上方への反射効率を向上させる点で一応の技術的意義が認められる。
イ 刊行物2には「チップ部品型LEDにおいて、LEDチップの点灯時の光の反射効率を向上させるために、内周面が表面側に向かって漸次拡開する絶縁基板の貫通穴の周面及び底面に金属層を形成すること」が記載されている。
ウ 引用発明も刊行物2に記載の事項もいずれもLEDチップを有するものであるから、LEDチップの反射効率を向上させるために、引用発明の順テーパー状に形成された凹所5a及び凹所23aの周面及び底面に金属層を形成することは、当業者が容易になし得る程度のことである。
エ 上記ウのようになした引用発明の順テーパー状に形成された凹所5a及び凹所23aの周面に形成された金属層は、絶縁基板の表面側に形成されているものといえ、上記ウのようになした引用発明の凹所5a及び凹所23aの周面及び底面に形成された金属層は、第1凹穴を含む部分と第2凹穴を含む部分に形成されているものといえる。
オ 上記アないしエから、本願発明の上記相違点に係る構成となすことは、当業者が容易になし得る程度のことである。

(2)以上のとおりであるから、本願発明の上記相違点に係る構成は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものであり、それにより得られる効果も当業者が予測できる範囲のものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-30 
結審通知日 2012-12-04 
審決日 2012-12-17 
出願番号 特願2007-183342(P2007-183342)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角地 雅信  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 黒瀬 雅一
東 治企
発明の名称 チップ部品型LED  
代理人 特許業務法人あーく特許事務所  

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