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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1269879
審判番号 不服2011-475  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-01-07 
確定日 2013-02-06 
事件の表示 特願2006-535634「群衆が集中する中心地に関する人の流れの無線制御による管理」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月28日国際公開、WO2005/038595、平成19年 4月12日国内公表、特表2007-509396〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願の手続の概要は,以下のとおりである。

平成16年10月12日 国際出願
(パリ条約による優先権主張2003年10月15日,米国)
平成22年 1月29日付け 拒絶理由通知
平成22年 5月 6日 意見書・手続補正
平成22年 9月 3日付け 拒絶査定
平成23年 1月 7日 審判請求・手続補正
平成24年 5月 8日付け 審尋
平成24年 8月15日 回答

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成23年1月7日付けの手続補正書によって補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1の欄に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。

<本願発明>
「 エンターテインメント環境を管理する管理システムが提供するアトラクションにおける入場枠を管理する方法であって、該管理システムは、1人以上の顧客に対して該入場枠の権利を確認する確認器を制御するコントローラを備えており、
前記コントローラの処理手順は、
1人以上の顧客が先着順で前記アトラクションに入場可能となる物理的な長さで、第1の待ち行列をデータベースに設定して保持するステップと、
前記第1の待ち行列を回避して、1人以上の顧客が先着順で前記アトラクションに入場可能となる物理的な長さで、所定の顧客で満たされる第2の待ち行列を前記データベースに設定して保持するステップと、
或る顧客によって用いられるセルラー電話機から、前記アトラクションへの入場の戻り時間の割り当てを要求する優先権要求を受信して、他の顧客でも前記第2の待ち行列に対する当該戻り時間の優先権要求を可能とするような、ショーの中止、天気予報の提供、現在のリゾートの混雑度、現在または計画されたパークの入場者数、乗り物の収容力を含む複数の要素からなる予め定めたモデルから、前記顧客の第2の待ち行列に対する当該戻り時間を動的に予測して決定し、該戻り時間を前記データベースに登録するステップと、
前記データベースに対してアクセス可能な前記セルラー電話機に対して、前記顧客に対する優先権を提供するために前記アトラクションへの入場に対する少なくとも1つの戻り時間の情報を含む応答を送信するステップと、
前記セルラー電話機と前記データベースとの間の通信によって前記顧客が当該戻り時間の際又は当該戻り時間の後に前記第2の待ち行列に存在する確認がとれている場合に、前記第1の待ち行列内の他の顧客よりも優先して、当該戻り時間によって示される時間に前記第2の待ち行列を経由して前記顧客のアトラクションへの入場を許可するよう、前記確認器と通信するステップと、
を含む方法。」

3 引用例

(1)引用例1
ア 原査定の拒絶理由に引用された,本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開2001-101461号公報(平成13年4月13日出願公開。以下「引用例1」という。)には,図とともに,以下の記載がある。なお,下線は当審において付加したものである。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテーマパークの乗物のような、アトラクションへの入場ないし参加を管理するための方法及び装置に関する。」

・「【0015】
【発明が解決しようとする課題】アトラクションへの入場方法を選択可能とし、アトラクションの動的な実時間収容能力を常時調節可能とし、同じアトラクションへの重複予約を防止する。」

・「【0016】
【課題を解決するための手段】本発明はあるアトラクションのために立って並ぶか、あるいは立って並ばずに後でアトラクションに入場するためにそのアトラクションを予約するかを客に選択させる、アトラクションへの入場を管理するためのシステム及び方法である。本発明はまた、アトラクションの動的な実時間収容能力を考慮して常時調節することができる、アトラクション入場を管理するための方法及び装置も提供する。本発明はさらに、客が同じアトラクションに重複予約をとることを防止し得る、アトラクションへの入場を管理するための方法及び装置を提供する。」

・「【0017】1つ以上の実施形態において、本発明のシステムはあるアトラクションについて2つのアクセスポイントすなわちキューを提供する。第1のキューは、客がアトラクションを利用するために次のチャンスを期待して並ぶ、旧来の“並んで待つ”キューである。第2のキューは、旧来の第1キューを回避する、アトラクションの利用を客に提供する。」

・「【0029】1つ以上の実施形態において、本システムには、従来技術においてなされていたこととほとんど同じに、並んで待つことにより客がアトラクション22を利用できる第1キュー24がある。いい換えれば、第1キュー24にいる客は、客がそのキューに入る時刻に基づいた行列内の順番を有し、スペースが利用できるようになるかまたは収容能力に余裕ができるとその順番でアトラクションを利用できる。1つ以上の実施形態において、キュー24には、アトラクション22の入口に配置されたターンスタイル28(または利用をコントロールするための同様の装置)がある。キュー24にはまた、客が並ぶスペースを定めるためのロープや柵30などもあってよい。」

・「【0031】本発明のシステムにはまた、客が並んで待たずにアトラクション22を利用でき、よって第1キューを避けることができる、第2キュー26もある。本システムの1つ以上の実施形態において、システムには第2キューによりアトラクションを利用するための割当時刻を受け取る権利を客が有していることを確証するための少なくとも1つのバリデーターがある。」

・「【0033】運用時には、第2キューによりアトラクションを利用するための未来の割当時刻を得るために、客は第1バリデーター32を利用する。以下で説明されるように、一実施形態においては、権利を与えられたすなわち“確証された”客に、その客が戻ってきてアトラクションを利用する権利が与えられている時刻または時間帯を含むパスを発行することができる。パスが発行される時刻と客がアトラクションを利用できる時刻との間の時間の長さは、既にパスを得ている人々の数、アトラクションの収容能力、アトラクションの進行速度、作業可能なスタッフの数、第2キューによりアトラクションを利用している客に配分されたアトラクションの収容能力、及びアトラクションの進行に関するどのような遅延をも含む、多くの要因に依存する。」

・「【0034】(パスに表示されているような)割当時刻または時間帯になると、並んで待つことなくアトラクションを利用する権利が客に与えられる。客は第2キュ-26を利用し、第2キュー26によりアトラクションを利用する権利をもつことを立証する。一実施形態において、客は発行されたパスを第2バリデーター34に提示し、パスが有効(すなわち、時刻または時間帯が適切である、パスが偽造ではない、等)であれば、客はアトラクションへの入場を許される。」

・「【0043】1つ以上の実施形態において、第1バリデータ32は、発行されたトークンを認めるために、カード上の情報を読むか、ラジオ周波識別(RFID)、網膜、声、体温、指または手の形態的特徴のような客の1つ以上の生物測定識別子、あるいは客の視覚識別情報等を照合するように構成することができる。」

・「【0045】一実施形態において、メディアディストリビューター38により客のそれぞれに配布されるパスは、未来のある時刻に客がアトラクション22を利用できるようにように構成される。以下に説明されるように、特定の時刻は多様な状況にしたがって変動し得る。1つ以上の実施形態において、この時刻は、権利を与えられた客に発行されるパス上に印刷される、割り当てられた利用時刻または時間帯を含む(以下の例においては、パスはパスに関連づけられた“時刻”を有するものとされる。この“時刻”が特定の時刻及び/または時間帯、期間、または時間ウインドウのいずれをも考慮に入れていることは当然である)。」

・「【0051】本発明の1つ以上の実施形態にしたがえば、メディアディストリビューター38により発行されるメディアのそれぞれに関連づけられる利用時刻を決定するために1つ以上の方策が提供される。本発明の1つ以上の実施形態において、客が第2キューによるアトラクションの利用を許可される時刻は以下の:アトラクションの収容能力、第2キュー26による利用客に配分されるアトラクションの収容能力、アトラクション22を利用したいとおそらく願っている客の総数、アトラクション22の現在及び未来の要員数、客の集団動態、一日の時刻及び週の曜日を含むが、これらには限定されない、様々な要因の1つ以上に依存する。」

・「【0054】データを送受するためにローカルサーバ48が配される。1つ以上の実施形態において、ローカルサーバ48はアトラクション22の収容能力及びその他の特性に関するデータを受け取るように配される。例えば、データを供給するために様々なセンサーをアトラクション22に関連づけることができる。1つ以上の実施形態において、(図示されていない)センサーが乗物のスピード、第1キュー24を通過するかあるいは第1キューに並んでいる客の数、乗物の収容能力等をモニターできる。ローカルサーバ48は断続的にあるいは連続的にこれらのセンサーからデータを受け取ることができるか、あるいは特定のデータ要求を送信することができる(他の実施形態において、ローカルサーバ48はアトラクション及びセンサーと交信するリモートサーバとすることができる)。」

・「【0057】サーバ48に与えられた情報はアルゴリズムプロセッサ50に送信される。アルゴリズムプロセッサ50はメディアディストリビューター38が発行する時刻を決定するために前記データを利用する。一般に、アルゴリズムプロセッサ50は、客が既定の時刻にアトラクション22の第2メディアバリデーター34に戻り、(第2バリデータ34によって)立って並ぶことなくアトラクション22を利用できる、それぞれのメディアに関連づけられる時刻を発行することが望ましい。需要と供給のバランスを正確にとるため、アルゴリズムプロセッサ50は需要と供給に影響する様々な要因に関する情報を入手する(図2では別々の実態として示されるが、コントローラ44及びアルゴリズムプロセッサ50は一体の装置または1つのプロセスとして実行することができる)。」

・「【0059】1つ以上の実施形態において、アルゴリズムプロセッサ50は利用時刻データを生成するために1つ以上のアルゴリズムを利用する。割当時刻、すなわち“待ち”時間を算出する方法の構成を説明するフローチャートが図4に示される(図4で用いられているように、“GC”は客のカウント数である)。図5?12は図4に示される待ち時間算出に用い得るデータ要素のためのテーブル及びデータ辞書を示す。」

・「【0095】1つ以上の実施形態において、メインサーバ104は、あるアトラクションを利用するための各ローカルシステムの第2キュー26の利用の権利が与えられている客に関する情報を有するデータベースを格納するか、あるいはそのデータベースにリンクされる。例えば、メインサーバ104はあるアミューズメントパークで日々に客に発行されたチケットのチケットコードを格納できる。」

・「【0100】図23は、パーク入園チケットの確証及び客への第2キュー26の利用権付与の確立が集中化されている本発明の実施形態にしたがうシステムを簡略に示す。本実施形態において、客は前売りで、あるいはゲートで購入して、チケットを入手する。中央パーク入園コントローラ及びデータベース200が有効チケットに関する情報を格納する。客は、その客のチケットの有効性が確認されると、ターンスタイル202またはその他のモニターされている入園口を通ってパークに入園することを許される。例えば、客のチケットがチケットリーダー204に読まれ、チケット上のデータがパーク入園コントローラ200により前記格納されたチケット情報と照合される。」

・「【0101】その客があるアトラクションの第2キューを利用して割当時刻を得ようと望む場合には、その客は権利が与えられていることを第1バリデーター232により立証する。第1バリデーター232はマスターコントローラ244を介して中央パーク入園コントローラ200と交信する。この仕組により、その客のチケットが特定された日に有効であり、取り消されてはいないことなどを確認することができる。チケットが有効であることが確認されると、メディアディストリビューター238により、上述したようなパスをその客に与えることができる。マスターコントローラ244はまた、その客に上記のアトラクションへのパスが発行されたというデータを中央パーク入園コントローラ200に送るように構成することができる。次いで、第1のパスが未使用の間に、その客が同じまたは別のアトラクションへのパスを得ようと試みれば、パーク入園コントローラ200に関連づけられたデータベースに未使用パスの記録があり、その客は余分のパスの入手を拒否される。」

・「【0102】再び、アルゴリズムプロセッサ250が、割り当てられ、メディアディストリビューター238により印刷されるべき時刻を与えるために、マスターコントローラ244と交信するように配される。」

・「【0106】図24を参照すると、客が第2キュー26によるアトラクション22の利用を望むならば、その客は割当時刻を受け取るために第2キュー26を利用する権利が与えられていることをまず立証する。一実施形態において、その客は第1バリデーター32のカードリーダー部にチケットを通す。1つ以上の実施形態において、有効確認は上述したように指紋等を走査することにより行うことができる。」

・「【0108】図2に示されたシステムのような一実施形態において、チケットが検認されれば、検認されたことを示す信号を第1バリデーター32がメディアディストリビューター38に送る。次いでメディアディストリビューター38がその客にパスを発行する。このパスには、その客が将来アトラクション22に戻り、第2キュー26によりアトラクション22を利用する権利が与えられている割当利用時刻が含まれる。」

・「【0110】約束の時刻に客はアトラクション22に戻り、第2キュー26によるそのアトラクションの利用を求める。客はそのアトラクションを利用する権利が与えられていることを第2バリデーター34により立証する。利用権を与えるパスが客に与えられる実施形態においては、客は発行されたパスを、現在時刻とパスに印刷された時刻とを照合し、パスが利用権を与えているパスの日付及びアトラクションを照合する係員に提示する。有効であることが確認されれば、客はアトラクション22の利用を許可される。上で説明したように、客は、指紋を再び走査することによるような、その他の方法によってそのアトラクションを利用する権利が与えられていることを立証することもできる。」

・「【0113】1つ以上の実施形態において、1人以上の客が第2キュー26により、あるいはパス無しの第3キューによってさえ、あるアトラクションを利用することができる。例えば、特別なVIP、身体障害者またはその他の客に、第2キュー26による、またはその客がいつでもそのアトラクションを利用できる第3キューによる、アトラクションの利用を許可することができる。」

・「【0116】1つ以上の実施形態において、本方法及びシステムは第1及び第2キューによるアトラクション22への客の流れの“リアルタイム”調節ができるという利点を有する。このことは、客の需要によりアトラクションの収容能力を最適化できるので、有益である。第1キュー24の客の列が極めて長くなった場合に、第2キュー26によるアトラクション22の利用が許可される客の数を調節し、よって第1キューにともなう待ち時間を短縮するように、本システムを整えることができる。さらに、アトラクション22の収容能力が突然低下した場合に、第1及び/または第2キューによりアトラクション22を利用する客の滞溜を防ぐために第2キュー26による客及び/または利用時刻の数を調節できるように、本システムを整えることができる。アトラクション22の収容能力が増大した場合に、第2キューによりアトラクション22を利用する客の数を追加し及び/またはより多くの客がアトラクションを利用できるようにするために利用時刻を調節するように、本システムを整えることができる。」

・テーブルは,テーブル名「vq_cle_forecast_info」を含み,その定義は「客カウント数を予測するための、予測される収容能力制限イベント(CLE)情報」であること(【図5】)。

・カラムテーブル名「vq_cle_forecast」,カラム名「vq_loc_cle_type_id」のカラムのコメントは「CLEのタイプテーブル:開催,閉鎖,ユニット交換,ショー,等」であること(【図6】)。

・カラムテーブル名「vq_cle_forecast」,カラム名「vq_loc_utilization」のカラムのコメントは「ロケーション利用率(例:利用率80%は実入場客数が客総収容能力の80%であることを意味する)」であること(【図6】)。

・カラムテーブル名「vq_contr_feed_info」,カラム名「guest_window_end」のカラムのコメントは「仮想キュー(VQ)チケットに印刷された客ウインドウ終了日時」であること(【図6】)。

・カラムテーブル名「vq_contr_feed_info」,カラム名「guest_window_start」のカラムのコメントは「仮想キュー(VQ)チケットに印刷された客ウインドウ開始日時」であること(【図6】)。

・カラムテーブル名「vq_contr_feed_info」,カラム名「vq_guest_count」のカラムのコメントは「VQ客カウント数」であること(【図7】)。

・カラムテーブル名「vq_disp_rate_log」,カラム名「forecast_gc」のカラムのコメントは「計算に用いられる、入場客予測数」であること(【図7】)。

・システムはマスターコントローラ244を有すること(【図23】)。

イ 上記記載によれば,引用例1には次のことが記載されている。
(ア)引用例1に記載された方法は,あるアトラクションのために立って並ぶか,あるいは立って並ばずに後でアトラクションに入場するためにそのアトラクションを予約するかを客に選択させる,アトラクションへの入場を管理するための方法であって(段落【0016】),パーク入園チケットの確証及び客への第2キュー26の利用権付与の確立が集中化されているシステムによって実施され(段落【0100】),客は,第2キュー26によるそのアトラクションの利用する権利が与えられていることを,第2バリデーター34により立証するものである(段落【0110】)。
(イ)引用例1に記載された方法は,マスターコントローラ244を有するシステムにより実行され(【図23】),第1キューを客に提供するものであり(段落【0017】),ここで,第1キューとは,客がそのキューに入る時刻に基づいた行列内の順番を有し,スペースが利用できるようになるかまたは収容能力に余裕ができるとその順番でアトラクションを利用できるものであり(段落【0029】),第1キューに並んでいる客の数を,センサーがモニターし,この情報をローカルサーバ48が受け取り(段落【0054】),アルゴリズムプロセッサ50に送信し,アルゴリズムプロセッサ50はメディアディストリビューター38が発行する時刻を決定するために前記データを利用するステップを有する(段落【0057】)。
(ウ)引用例1に記載された方法は,第2キューを客に提供するものであり(段落【0017】),ここで,第2キューとは,客が並んで待たずにアトラクション22を利用でき,よって第1キューを避けることができるものであり(段落【0031】),メインサーバ104が格納するデータベースは,あるアトラクションを利用するための各ローカルシステムの第2キュー26の利用の権利が与えられている客に関する情報を有する(段落【0095】)。
(エ)引用例1に記載された方法は,客があるアトラクションの第2キューを利用して割当時刻を得ようと望む場合には,その客は権利が与えられていることを第1バリデーター232により立証するステップを含み(段落【0101】),第1バリデータによる有効確認は,カード上の情報を読むか,指紋等により客の視覚識別情報等を照合することであり(段落【0043】,【0106】),第1バリデーター232はマスターコントローラ244を介して中央パーク入園コントローラ200と交信することにより,有効確認を行う(段落【0101】)。また,特別なVIP,身体障害者またはその他の客に,第2キューによるアトラクションの利用を許可すること及び(段落【0113】),利用時刻の調節によって,第1及び第2キューによるアトラクション22への客の流れの実時間調節ができ(段落【0116】),また,アトラクションの動的な実時間収容能力を常時調節が可能である(段落【0015】)。利用時刻又は時間帯は,マスターコントローラ244とアルゴリズムプロセッサ250とが交信することにより与えられる(段落【0102】)。ここで,客が第2キューによるアトラクションの利用を許可される時刻は,アトラクションの収容能力,第2キュー26による利用客に配分されるアトラクションの収容能力,アトラクション22を利用したいとおそらく願っている客の総数,アトラクション22の現在及び未来の要員数,客の集団動態,一日の時刻及び週の曜日に依存し(段落【0051】),アルゴリズムプロセッサ50は利用時刻データを生成するために1つ以上のアルゴリズムを利用し,待ち時間算出に用い得るデータ要素のためのテーブル及びデータ辞書を有する(段落【0059】)。アルゴリズムプロセッサ50は,コントローラ44と一体の装置として実行でき,需要と供給に影響する様々な要因に関する情報を入手する(段落【0057】)。テーブルは,客カウント数を予測するための,予測される収容能力制限イベント(CLE)情報に関する「vq_cle_forecast_info」テーブルを含み(【図5】),「vq_cle_forecast」テーブルの「vq_loc_cle_type_id」カラムには,CLEのタイプテーブル:開催,閉鎖,ユニット交換,ショー,等が格納され(【図6】),「vq_loc_utilization」カラムには,客総収容能力に対する実入場者数で表現されるロケーション利用率が格納される(【図6】)。アトラクションは乗物であって(段落【0001】),アトラクションの収容能力の低下や増大に応じて利用時刻が調節される(段落【0116】)。仮想キュー(VQ)チケットに印刷された開始日時と終了日時は「vq_contr_feed_info」テーブルのそれぞれ「guest_window_start」,「guest_window_end」カラムに格納され(【図6】),また,「vq_coutr_feed_info」テーブルの「vq_guest_count」カラムには,VQ客カウント数が格納される(【図7】)。
(オ)引用例1に記載された方法は,割り当てられた利用時刻または時間帯が,権利を与えられた客に発行されるパス上に印刷され,パスは客に配布されるステップを含み(段落【0045】),その時刻は,マスターコントローラ244とアルゴリズムプロセッサ250とが交信することにより与えられ(段落【0102】),メディアディストリビューターは,客にパスを発行する(段落【0108】)。
(カ)引用例1に記載された方法は,割当時刻または時間帯になると,並んで待つことなくアトラクションを利用する権利が客に与えられるステップを有し(段落【0034】),客は第2キュー26を利用することによりアトラクションを利用する権利をもつことを立証するものであり,一実施形態において,客が発行されたパスを第2バリデータ34に提示すると,時刻または時間帯が適切で,パスが偽造でなければ,客はアトラクションへの入場を許可される(段落【0034】)。さらに,立証は,客が指紋を再び走査する等のその他の方法によってもできる(段落【0110】)。

ウ 以上のことから,引用例1には,次の発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されているということができる。

<引用例1発明>
「あるアトラクションのために立って並ぶか,あるいは立って並ばずに後でアトラクションに入場するためにそのアトラクションを予約するかを客に選択させる,アトラクションへの入場を管理するための方法であり,それはパーク入園チケットの確証及び客への第2キューの利用権付与の確立が集中化されているシステムによって実施され,客は,第2キューによるそのアトラクションの利用する権利が与えられていることを,第2バリデーターにより立証するものであり,
コントローラを有するシステムが,
第1キューを客に提供し,第1キューとは,客がそのキューに入る時刻に基づいた行列内の順番を有し,スペースが利用できるようになるかまたは収容能力に余裕ができるとその順番でアトラクションを利用できるものであり,第1キューに並んでいる客の数を,センサーがモニターし,サーバが受け取り,アルゴリズムプロセッサに送信し,時刻の決定に用いるステップと,
第2キューを客に提供し,第2キューとは,客が並んで待たずにアトラクション22を利用でき,よって第1キューを避けることができるものであり,サーバは,第2キュー26の利用の権利が与えられている客に関する情報を有するデータベースを格納するステップと,
客があるアトラクションの第2キューを利用して割当時刻を得ようと望む場合には,その客は権利が与えられていることを,第1バリデーターによりカード上の情報を読むか,指紋等の客の視覚識別情報等の照合することによって有効確認して立証し,第1バリデーターはコントローラを介して有効確認を行い,特別なVIP,身体障害者またはその他の客に,第2キューによるアトラクションの利用を許可することができ,利用時刻の調節により,第1及び第2キューによるアトラクションへの客の流れの実時間調節ができ,アトラクションの動的な実時間収納能力の常時調節が可能であり,利用時刻は,アルゴリズムプロセッサが1つ以上のアルゴリズムを利用し需要と供給に影響する様々な要因に関する情報を入手して算出し,コントローラと一体の装置として実行でき,アルゴリズムプロセッサは待ち時間算出に用い得るデータ要素のためのテーブル及びデータ辞書を有し,テーブルは,客カウント数を予測するための、予測される収容能力制限イベント(CLE)情報に関する「vq_cle_forecast_info」テーブルを含み,「vq_cle_forecast」テーブルの「vq_loc_cle_type_id」カラムには,CLEのタイプテーブル:開催,閉鎖,ユニット交換,ショー,等が格納され,「vq_loc_utilization」カラムには,客総収容能力に対する実入場者数で表現されるロケーション利用率が格納され,アトラクションは乗物であり,アトラクションの収容能力の低下や増大に応じて利用時刻が調節され,仮想キュー(VQ)チケットに印刷された開始日時と終了日時は「vq_contr_feed_info」テーブルのそれぞれ「guest_window_start」,「guest_window_end」カラムに格納され,また,「vq_coutr_feed_info」テーブルの「vq_guest_count」カラムには,VQ客カウント数が格納されるステップと,
利用時刻または時間帯がコントローラとアルゴリズムプロセッサとが交信することにより与えられ,利用時刻または時間帯が権利を与えられた客に発行されるパス上に印刷され,メディアディストリビューターによってパスが客に配布されるステップと,
割当時刻または時間帯になると,並んで待つことなくアトラクションを利用する権利が客に与えられ,客は第2キューを利用することによりアトラクションを利用する権利をもつことを立証し,客が発行されたパスを第2バリデーター34に提示すると,時刻または時間帯が適切で,パスが偽造でなければ,客はアトラクションへの入場を許可され,立証は,客が指紋を再び走査する等のその他の方法によってもできる,ステップと,
を含む方法。」

(2)引用例2
ア 原査定の拒絶理由に引用された,本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開2003-242394号公報(平成15年8月29日出願公開。以下「引用例2」という。)には,図とともに,以下の記載がある。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊園地などの構内への入場門に設置された、入場門無線装置、携帯電話機、公衆通信網に接続された、遊戯施設の入場予約処理装置を備えた、予約システムに係り、特に、遊戯施設入場時刻の算出、入場時刻前における携帯電話機所持者の、遊戯施設への誘導に関する。」

・「【0002】
【従来の技術】遊園地などの娯楽施設では、人気のある施設を使用するためには、長時間待たされるという問題がある。」

・「【0004】この技術は、例えば、(株)オリエンタルランドが経営する東京ディズニーランドにおいて、“ファストパス”という名称で行われている(東京ディズニーランドのホームページWWW.tokyodisneyresort.co.jp/tdlを参照。平成13年8月27日。)。」

(当審注:「東京ディズニーランド」及び「ファストパス」は登録商標,以下,省略)

・「【0005】ファストパスは、通常の入場者(“ファストパス”では、スタンバイと呼ぶ)と、ファストパス入場者を分けて入場させるシステムであり、客は、各娯楽施設に表示された、スタンバイの待ち時間を見て、ファストパスにするか、スタンバイで待つかを判断する。」

・「【0006】娯楽施設に設置されたファストパスの発券機に対し、発券申し込むと、入場時刻が記入された券を受け取る。この時刻までは、食事をするなり、他の事をして過ごす事が可能である。」

・「【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記ファストパスシステムにおいては、予約の乱発による不公平の発生、及び無効な予約の発生を防ぐために、1回ファストパスによって、予約行為を行うと、次の2時間は、他のアトラクションを予約できないと言う制限がある。」

・「【0008】本発明の目的は、携帯端末を用いて、複数の遊戯施設の入場予約を、現状の入場待ち時間を考慮しながら、時間間隔を空けて、順序立てて予約できる予約システム及びそれに用いる携帯端末機並びに予約処理装置を提供することにある。」

・「【0009】本発明の他の目的は、さらに、入場時刻前には、予約者が携帯端末を見ながら、遊園地内の遊戯施設まで誘導される予約システム及びそれに用いる携帯端末機並びに予約処理装置を提供することにある。」

・「【0043】入場門無線装置20から受信したIPアドレス(72)(XX.YY.ZZ.01)を、顧客一覧表31から検索し、一致しなかったら、顧客ではないと判断して、処理を中止する。一致していたら、受信した遊園地ID(74)(AAA02)が、その顧客のサービス対応の遊園地であるかを確認する。一致したら、場内/場外フラグ76をOUTから、INに変更し、後述する、予約一覧表のIPアドレス欄に、XX.YY.ZZ.01を記入する。以後、IPアドレス(XX.YY.ZZ.01)を受信したら、現在サービス提供中として処理する。」

・「【0044】次に、遊園地来訪者は、入場門をくぐった際に受信した遊戯施設IDを元に、携帯電話機10の画面を見ながら、入場予約を行ないたい遊戯施設50を選択する(この例では、遊戯施設ID=005と、遊戯施設ID=008の2ヶ所を予約申し込みしたとする。)。選択が終了すると、携帯電話機10は、遊戯施設ID(73)、入場人数(77)、各人が大人か小人かを示す大人/小人(78)、IPアドレス(72)を、ホストコンピュータ30に送信する。この時、携帯電話機10は、既に入場門無線装置20から受信している、公衆通信網において送信先を識別する番号である、ホストURL(71)を用いて、ホストコンピュータ30へ送信する。」

・「【0045】ホストコンピュータ30は、現在、遊戯施設予約サービスを提供中の、顧客と、遊戯施設50への入場時刻の一覧表を記憶している。図5に、予約一覧表を示す。この予約一覧表32は、図4の遊園地ID(74)が、AAA02である遊園地に関する表であり、上述のIPアドレス(XX.YY.ZZ.01)が、サービス提供中のIPアドレスとして、登録されている。」

・「【0046】ホストコンピュータ30は、遊戯施設ID(73)を受信すると、別途、記憶している、待ち時間一覧表より、待ち時間を得て、
現在時刻+待ち時間=入場時刻
を計算して、入場時刻(80)を、予約一覧表32に、記入する。この例では、遊戯施設ID=005と、遊戯施設ID=008に入場時刻(80)が記入されている。そして、携帯電話機10に、遊戯施設50別の入場時刻(80)と、予約をするかの確認を求める、予約確認要求(85)を送信する。」

・「【0047】これにより、遊園地来訪者は、入場予約した場合に遊戯施設50に行くべき時刻を知り、了承したならば、予約確認(86)を送信する。」

・「【0048】ホストコンピュータ30は、予約確認(86)を受信した事により、予約を確定し、携帯電話機10に対し、予約を完了した事を示す、予約完了通知(79)を送信する。」

・「【0049】ここで、上述した、ホストコンピュータ30が記憶している、待ち時間一覧表について説明する。図6に、待ち時間一覧表33を示す。上述の来訪者は、遊戯施設ID=005の施設予約をしたので、待ち時間82は、70分であり、現在時刻が12:00である時、
12:00+70分=13:10
と、入場時刻を計算できる。」

・「【0050】また、ホストコンピュータ30は、待ち時間一覧表33を更新する。5人の予約をしたため、待ち人数69は、158+5=163である。この163を、1回あたり遊戯人数84で割ると、163÷20=8余り3である。したがって、待ち時間82は、一回あたり遊戯時間83を用い、10×8=80分に、更新される。」

・「【0051】その後、入場時刻(13:10)になると、図3のように、ホストコンピュータ30は、携帯電話機10に対し、入場時刻が到来した事を示す予約時刻通知(81)を送信する。携帯電話機10は、予約時刻通知(81)を受信すると、ビープ音を鳴らすなどして、携帯電話機所持者に注意を促す。この様にして、予約した遊戯施設50に、入場する事が可能となる。」

・「【0072】次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図11に、第4の実施の形態の予約システムを示す。図11において、10は遊園地への来訪者が所持する携帯電話機、20は遊園地の入り口に設置された入場門無線装置、51は遊園地内の遊戯施設に設置され、公衆通信網経由で、ホストコンピュータと通信可能な遊戯施設装置、30は予約サービスの運営者(複数の遊園地の予約サービスを提供する事業者、または各遊園地の運営者)の設置したホストコンピュータ、40は公衆通信網、41は携帯電話基地局、52は表示装置であり、遊戯施設装置51からのデータを園内の来訪者に掲示する。遊戯施設への入場は、後述の様に、通常に待って入場する者と、予約により入場する者とを分けて入場させている。」

・「【0073】図12に、第4の実施の形態の予約システム内で送受信される信号のシーケンス図を示す。以下に、図11及び図12を用いて、第4の実施の形態の動作を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。」

・「【0074】遊戯施設装置51は、自遊戯施設の入場待ちをしている待ち行列の人数(87)を、定期的に検出し、公衆通信網40経由で、ホストコンピュータ30に送信する。」

・「【0075】ホストコンピュータ30は、待ち時間一覧表を記憶しており、遊戯施設装置51から、通常待ち人数(87)を受信したら、待ち時間一覧表34を更新し、通常待ち時間(88)と、予約待ち時間(82)とを、遊戯施設装置51へ返信する。」

・「【0076】遊戯施設装置51は、受信した両待ち時間を、表示装置52に表示し、遊戯施設装置51付近にいる来訪者に見えるように、掲示する。」

・「【0077】図13に、第4の実施の形態の待ち時間一覧表34を示す。待ち時間、待ち人数、及び1回当り遊戯時間は、通常待ち者と、予約者の各々に記憶されている。」

・「【0078】図12において、遊園地の来訪者は、入場門をくぐり、携帯電話機10を用いて、入場予約を行なうか、又は入場希望の遊戯施設装置51前において、表示装置52に表示されている、両待ち時間を見て、普通に並んで入場するか、それとも入場予約をするかを判断する(この例では、遊戯施設ID=005と、遊戯施設ID=008の2ヶ所を予約申し込みしたとする。)。」

・「【0079】選択が終了すると、携帯電話機10は、遊戯施設ID(73)、入場人数(77)、各人が大人か小人かを示す大人/小人(78)、IPアドレス(72)を、ホストコンピュータ30に送信する。」

・「【0080】ホストコンピュータ30は、待ち時間一覧表34より、遊戯施設ID=005、及び遊戯施設ID=008の通常待ち時間(88)、及び予約待ち時間(82)を得て、予約をするかの確認を求める、予約確認要求(85)と共に、携帯電話機10へ送信する。」

・「【0081】予約者は、通常待ちと、予約の待ち時間を見比べて、短時間であるため予約せずに待つか、それとも、他に立ち寄るところがあるなどの理由から、予約するかを、判断する。その結果、予約を了承した場合は、携帯電話機10は、通常待ちか予約かを示す、通常待ち/予約フラグ(89)を含んだ、予約確認(86)を送信する。」

・「【0082】ホストコンピュータ30は、記憶している予約一覧表32を更新し、携帯電話機10に対し、予約を完了した事を示す、予約完了通知(79)を送信する。」

・「【0083】この様に、動作するため、各遊戯施設装置51の最新の待ち人数を、随時反映させながら、予約者の意思による、予約を実行できる。」

・「【0084】また、上記遊戯施設装置51は、ホストコンピュータ30に、通常待ち人数(87)を送信したが、通常待ち時間に換算した後、通常待ち時間を送信しても良い。同様に、ホストコンピュータ30は、通常待ち時間88、及び予約待ち時間82を携帯電話機10に送信したが、通常入場時刻、及び予約入場時刻に換算した後、各入場時刻を送信しても良い。また、図13において、通常待ち者と、予約者の1回当りの遊戯人数は、遊戯施設ID=005の場合、2:1としている。この比率を調整する事により、予約者にとって、より最適なサービスを提供できる。」

・「【0099】次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図16に、第6の実施の形態の予約システムを示す。図16において、第4の実施の形態との相違点は、遊戯施設装置51に、携帯電話機10に接続された無線インタフェース11と構内無線通信が可能な無線インタフェース53が接続されている点、及び遊戯施設装置51の入り口にある施設入場門54が、遊戯施設装置51と繋がっており、施設入場門54は、遊戯施設装置51からの開閉制御信号に連動して、門が開くものである。」

・「【0107】上記説明では、遊戯施設装置51は、IPアドレス(72)を、ホストコンピュータ30より、事前に受信していたが、予約者の接近後に、ホストコンピュータ30より受信する例を次に説明する。図18に、予約者の接近後にホストコンピュータ30より受信する場合の信号のシーケンスを示す。遊戯施設装置51は、無線インタフェース53より、常時、IPアドレス要求(70)を送出しており、予約者の無線インタフェース11が、近づくと、IPアドレスを送信するところまでは、同じである。」

・「【0108】遊戯施設装置53は、受信したIPアドレス(72)を、IPアドレスの照合を要求する、照合要求(98)と、自らの遊戯施設ID(73)と共に、ホストコンピュータ30へ、送信する。」

・「【0109】ホストコンピュータ30は、照合要求(98)を受信すると、予約一覧表32を、IPアドレス(72)と、遊戯施設ID(73)とで検索し、一致したら、正当な予約者であると判断する。そして、正当な予約者であるか、予約していないものであるかを示す、予約者/NOT(99)を遊戯施設装置51へ送信する。」

・「【0110】遊戯施設装置51は、予約者であることを示す信号を受信したら、無線インタフェース53で検出した電波の強度、及び到来方向から、携帯電話機10の接近を検出し、遊戯施設装置51に充分近づいた時に、施設入場門54に、開閉制御信号を出力し、施設入場門54を開いて、予約者を入場させる。」

・「【0111】このように動作することで、各遊戯施設装置51において、入場者の正当性の判断と、入場の許可(具体的には門の開放)を自動化できる。」

イ 上記記載によれば,引用例2には次のことが記載されている。
(ア)引用例2に記載された方法は,通常の入場者とファストパス入場者を分けて入場させるシステムであるファストパスシステムを踏まえ(段落【0004】?【0007】),携帯端末を用いて複数の遊戯施設の入場予約できる予約システムが提供する方法であり(段落【0008】),遊園地などの構内への入場門に関して(段落【0001】),予約者の無線インタフェースが遊戯施設装置51へ接近後(段落【0107】),遊戯施設装置は,受信したIPアドレス(72)を,照合要求(98)と共に,自ホストコンピュータ30へ送信し(段落【0108】),ホストコンピュータから正当な予約者であるかを示す信号を遊戯施設装置51へ送信し(段落【0109】),遊戯施設装置51が開閉制御信号を出力し,予約者を入場させる(段落【0101】)方法であり,以下のステップを含む。
(イ)遊戯施設へ,通常に待って入場する者と,予約により入場する者とを分けて入場させるために(段落【0072】),遊戯施設装置51が,自遊戯施設の入場待ちをしている待ち行列の人数(87)を定期的に検出し(段落【0074】),ホストコンピュータ30が,遊戯施設装置51から受信した通常待ち人数(87)を受信したら,待ち時間一覧表を更新し(段落【0075】),待ち時間一覧表34に,通常待ち者の待ち人数を記憶する(段落【0077】)ステップ。
(ウ)予約者は,入場時刻が到来すると予約した遊戯施設50に入場することが可能であり(段落【0051】),待ち行列一覧表34に,予約者の待ち人数を記憶する(段落【0077】)ステップ。
(エ)遊園地来訪者が,携帯電話機10から,入場予約を行いたい遊戯施設50を選択し,遊戯施設ID(73),入場人数(77),各人が大人か小人かを示す大人/小人(78),IPアドレス(72)を,ホストコンピュータ30に送信すると(段落【0044】),ホストコンピュータ30は,待ち時間一覧表より待ち時間を得て,入場時刻を計算し,入場時刻(80)を,予約一覧表32に記入し(段落【0046】,【0049】),待ち時間を,待ち人数と,予約者の人数と,1回あたり遊戯人数と現在時刻に基づいて更新するステップ(段落【0050】)。
(オ)ホストコンピュータが,携帯電話機10に,入場時刻(80)と予約確認要求(85)とを送信し(段落【0046】),遊園地来訪者が了承したならば(段落【0047】),予約を完了したことを示す予約完了通知(79)を送信するステップ(段落【0048】)。
(カ)予約者の無線インタフェースが遊戯施設装置51へ接近後(段落【0107】),遊戯施設装置は,受信したIPアドレス(72)と,照合要求(98)とを,ホストコンピュータ30へ送信し(段落【0108】),ホストコンピュータは正当な予約者であるかを示す信号を遊戯施設装置51へ送信し(段落【0109】),遊戯施設装置51が開閉制御信号を出力し,予約者を入場させるステップ(段落【0110】)。

ウ 以上のことから,引用例2には,次の発明(以下,「引用例2発明」という。)が記載されているということができる。

<引用例2発明>
「通常の入場者とファストパス入場者を分けて入場させるシステムであるファストパスシステムを踏まえ,携帯端末を用いて複数の遊戯施設の入場予約できる予約システムが提供する方法であり,遊園地などの構内への入場門に関して,予約者の無線インタフェースが遊戯施設装置へ接近後,遊戯施設装置は,受信したIPアドレスを,照合要求と,自ホストコンピュータへ送信し,ホストコンピュータから正当な予約者であるかを示す信号を遊戯施設装置へ送信し,遊戯施設装置が開閉制御信号を出力し,予約者を入場させる方法であり,
遊戯施設へ,通常に待って入場する者と,予約により入場する者とを分けて入場させるために,遊戯施設装置が,自遊戯施設の入場待ちをしている待ち行列の人数を定期的に検出し,ホストコンピュータが,遊戯施設装置から受信した通常待ち人数を受信したら,待ち時間一覧表を更新し,待ち時間一覧表に,通常待ち者の待ち人数を記憶するステップと,
予約者は,入場時刻が到来すると予約した遊戯施設に入場することが可能であり,待ち行列一覧表に,予約者の待ち人数を記憶するステップと,
遊園地来訪者が,携帯電話機から,入場予約を行いたい遊戯施設を選択し,遊戯施設ID,入場人数,各人が大人か小人かを示す大人/小人,IPアドレスを,ホストコンピュータに送信すると,ホストコンピュータは,待ち時間一覧表より待ち時間を得て入場時刻を計算し,入場時刻を,予約一覧表に記入し,待ち時間を,待ち人数と,予約者の人数と,1回あたり遊戯人数と現在時刻に基づいて更新するステップと,
ホストコンピュータが,携帯電話機に,入場時刻と予約確認要求とを送信し,遊園地来訪者が了承したならば,予約を完了したことを示す予約完了通知を送信するステップと,
予約者の無線インタフェースが遊戯施設装置へ接近後,遊戯施設装置は,受信したIPアドレスと照合要求とを,ホストコンピュータへ送信し,ホストコンピュータは,正当な予約者であるかを示す信号を遊戯施設装置へ送信し,遊戯施設装置が開閉制御信号を出力し,予約者を入場させるステップと,
を含む方法。」

4 対比
(1)本願発明と引用例1発明とを対比する。
ア 引用例1発明の「パーク」は,本願発明の「エンターテイメント環境」に相当する。
引用例1発明の「システム」は,パーク入園を確証するから,本願補正発明の「管理システム」に相当する。
引用例1発明の「アトラクション」は,本願発明の「アトラクション」に相当する。
引用例1発明の「第1バリデーター」は,権利が与えられていることを立証するものであるから,本願発明の「確認器」に相当する。
引用例1発明の「コントローラー」は,「確認器を制御する」との特定がない点を除き,本願発明の「コントローラ」に相当する,
そうすると,本願発明と,引用例1発明とは,『エンターテインメント環境を管理する管理システムが提供するアトラクションにおける入場枠を管理する方法であって,該管理システムは,1人以上の顧客に対して該入場枠の権利を確認する確認器と,コントローラを備え』る点において共通する。

イ 引用例1発明の「第1キュー」は,本願発明の「第1の待ち行列」に相当する。
引用例1発明において,「並んでいる客の数」で「第1キュー」をモニターすることは,本願発明の「物理的な長さ」で「第1の待ち行列」を扱うことに相当する。
引用例1発明において,「第1キューに並んでいる客の数」は「サーバが受け取り,アルゴリズムプロセッサに送信され,時刻の決定に用いられる」ことから,アルゴリズムプロセッサが時刻を決定するために,並んでいる客の数が参照可能な状態で記憶されることは当然であるから,本願発明の「物理的な長さで、第1の待ち行列をデータベースに設定して保持する」ことに相当する。
そうすると,本願発明と,引用例1発明とは,『1人以上の顧客が先着順で前記アトラクションに入場可能となる物理的な長さで、第1の待ち行列をデータベースに設定して保持するステップ』を有する点において共通する。

ウ 引用例1発明の「第2キュー」は,第1キューを避けてアトラクションを利用できるものであり,本願発明の「第2の待ち行列」に相当し,本願補正発明と,引用例1発明とは,『前記第1の待ち行列を回避して,1人以上の顧客が先着順で前記アトラクションに入場可能となる物理的な長さで,所定の顧客で満たされる第2の待ち行列を前記データベースに設定して保持するステップ』を有する点において共通する。

エ 引用例1発明の「客があるアトラクションの第2キューを利用して割当時刻を得ようと望む場合には・・・第1バリデーターはコントローラを介して有効確認を行い」は,本願発明が,「或る顧客によって用いられるセルラー電話機から」優先権要求を「受信」するものであるのに対し,引用例1発明はセルラー電話機を有していない点において相違するものの,本願補正発明の「前記アトラクションへの入場の戻り時間の割り当てを要求する優先権要求」に相当する。
引用例1発明の「その他の客」は,本願発明の「他の顧客」に相当するから,引用例1発明の「特別なVIP,身体障害者またはその他の客に,第2キューによるアトラクションの利用を許可することができ」は,本願補正発明の「他の顧客でも前記第2の待ち行列に対する当該戻り時間の優先権要求を可能とする」に相当する。
引用例1発明の「利用時刻は,アルゴリズムプロセッサが1つ以上のアルゴリズムを利用し需要と供給に影響する様々な要因に関する情報を入手して算出」は,「アトラクションの動的な実時間収納能力の常時調節を可能」とするものであり,「仮想キュー(VQ)に印刷された開始日時と終了日時」はテーブルに含まれるから,本願発明の「前記顧客の第2の待ち行列に対する当該戻り時間を動的に予測して決定し、該戻り時間を前記データベースに登録するステップ」に相当する。
そうすると,本願発明と,引用例1発明とは,『或る顧客から,前記アトラクションへの入場の戻り時間の割り当てを要求する優先権要求を受け,他の顧客でも前記第2の待ち行列に対する当該戻り時間の優先権要求を可能とするような,前記顧客の第2の待ち行列に対する当該戻り時間を動的に予測して決定し,該戻り時間を前記データベースに登録するステップ』を有する点において共通する。

オ 引用例1発明の「利用時刻または時間帯」は,アトラクションの入場のために,客に与えられるものであり,本願発明の「戻り時間の情報」に相当するから,本願発明と,引用例1発明とは,『前記顧客に対する優先権を提供するために前記アトラクションへの入場に対する少なくとも1つの戻り時間の情報を含む応答を送るステップ』を有する点において共通する。

カ 引用例1発明の「時刻または時間帯が適切であることを確認し,指紋等の走査により,第2キューによりアトラクションを利用する権利をもつことを立証し」は,本願発明の「前記顧客が当該戻り時間の際又は当該戻り時間の後に前記第2の待ち行列に存在する確認がとれている場合」に相当し,引用例1発明の「バリデータ」は,本願発明の「確認器」に相当し,引用例1発明の「第2キューを利用し並んで待つことなくアトラクションを利用する権利が客に与えられる」は,本願発明の「前記第2の待ち行列を経由して前記顧客のアトラクションへの入場を許可する」に相当する。
そうすると,本願発明と,引用例1発明とは,『前記顧客が当該戻り時間の際又は当該戻り時間の後に前記第2の待ち行列に存在する場合に,前記第1の待ち行列内の他の顧客よりも優先して,当該戻り時間によって示される時間に前記第2の待ち行列を経由して前記顧客のアトラクションへの入場を許可するステップ』を有する点において共通する。

(2)以上のことから,本願発明と引用例1発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

【一致点】
「エンターテインメント環境を管理する管理システムが提供するアトラクションにおける入場枠を管理する方法であって,該管理システムは,1人以上の顧客に対して該入場枠の権利を確認する確認器と,コントローラを備え,
1人以上の顧客が先着順で前記アトラクションに入場可能となる物理的な長さで、第1の待ち行列をデータベースに設定して保持するステップと,
前記第1の待ち行列を回避して,1人以上の顧客が先着順で前記アトラクションに入場可能となる物理的な長さで,所定の顧客で満たされる第2の待ち行列を前記データベースに設定して保持するステップと,
或る顧客によって,前記アトラクションへの入場の戻り時間の割り当てを要求する優先権要求を受け,他の顧客でも前記第2の待ち行列に対する当該戻り時間の優先権要求を可能とするような,前記顧客の第2の待ち行列に対する当該戻り時間を動的に予測して決定し、該戻り時間を前記データベースに登録するステップと,
前記顧客に対する優先権を提供するために前記アトラクションへの入場に対する少なくとも1つの戻り時間の情報を含む応答を送るステップと,
前記顧客が当該戻り時間の際又は当該戻り時間の後に前記第2の待ち行列に存在する場合に,前記第1の待ち行列内の他の顧客よりも優先して,当該戻り時間によって示される時間に前記第2の待ち行列を経由して前記顧客のアトラクションへの入場を許可するステップと,
を含む方法。」

【相違点1】
本願発明は,「顧客によって用いられるセルラー電話機から」優先権要求を「受信」し,「前記セルラー電話機に対して」戻り時間を含む応答を「送信」するものであるのに対し,引用例1発明は,割当時刻を得ようと望む場合は「カード上の情報を読むか,指紋等の客の視覚識別情報等の照合によって有効確認して立証」することにより優先権要求を行い,利用時刻または時間帯が「パス上に印刷され」「パスが客に配布される」ものであり,「セルラー電話機」を用いるものではない点。

【相違点2】
本願発明は,「ショーの中止、天気予報の提供、現在のリゾートの混雑度、現在または計画されたパークの入場者数、乗り物の収容力を含む複数の要素からなる予め定めたモデルから」戻り時間を予測して決定するものであるのに対し,引用例1発明は「アルゴリズムプロセッサが1つ以上のアルゴリズムを利用し需要と供給に影響する様々な要因に関する情報を入手して算出する」ものである点。

【相違点3】
本願発明は,第1の待ち行列を設定して確立するステップ,第2の待ち行列を設定して確立するステップ,戻り時間を動的に決定するステップ,応答を送信するステップ,確認器と通信するステップが「コントローラ」の処理手順であり,コントローラが「1人以上の顧客に対して該入場枠の権利を確認する確認器を制御」し,顧客のアトラクションへの入場の許可にあたり「確認器と通信する」ものであるのに対し,引用例1発明は,コントローラがバリデータ(確認器)を制御し,コントローラがこれらの処理を行うことは特定されていない点。

5 判断
(1)相違点1について
引用例2発明のとおり,引用例2には,携帯電話機に,入場時刻と予約確認要求とを送信し,了承したならば,予約を完了したことを示す予約完了通知を送信するステップと,予約者の無線インタフェースが遊戯施設装置へ接近後,遊戯施設装置は,受信したIPアドレスと照合要求とを,ホストコンピュータへ送信し,ホストコンピュータから正当な予約者であるかを示す信号を遊戯施設装置へ送信し,遊戯施設装置が開閉制御信号を出力するステップを含む方法が開示されている。
引用例2発明の「携帯電話機」,「ホストコンピュータへ送信」される「遊戯施設ID,入場人数,各人が大人か小人かを示す大人/小人,IPアドレス」,携帯電話に送信される「入場時刻」を含む情報は,それぞれ,本願発明の「顧客によって用いられるセルラー電話機」,「優先権要求」,「戻り時間の情報を含む応答」に相当する。
また,本願発明は,「前記第1の待ち行列内の他の顧客よりも優先して、当該戻り時間によって示される時間に前記第2の待ち行列を経由して前記顧客のアトラクションへの入場を許可する」ものであるから,ファストパスシステムにより行列管理をする方法であると認められる。本願の発明の詳細な説明を参酌しても,段落【0024】において,「本発明はさらに、行列管理を達成する『ファストパス(Fastpassディスニー・エンタープライズ社の登録商標)』(入場予約証の一種)システムに関連して説明する。」と記載されているから,やはり,ファストパスシステムにより行列管理をする方法に他ならない。一方で,引用例2発明も,ファストパスシステムを踏まえ,通常待ち者と予約者とを管理をするための方法であると認められる。したがって,本願発明と,引用例2発明とは,ファストパスシステムにより行列管理をするという課題において共通している。
そうすると,引用例1発明において,物理的なパスに換えて,引用例2発明を採用し,優先権要求を顧客によって用いられるセルラー電話機から受信し,戻り時間を含む応答を前記セルラー電話機に対してに送信するように構成することは,当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
引用例1発明は「アルゴリズムプロセッサが1つ以上のアルゴリズムを利用し需要と供給に影響する様々な要因に関する情報を入手して算出」し,客カウント数を予測するものであり,そのための情報として「開催,閉鎖,ユニット交換,ショー,等」を用いること,また「アトラクションの収容能力の低下や増大」に応じて利用時刻を調節することが特定されている。アトラクションを有するパークにおいて,ショーの中止,天気,周囲の混雑度,入場客数,乗り物の収容力等によって,アトラクションの待ち時間が変わることは,経験的に知られていることであり,予測等の計算に所定のモデルを用いることは一般に用いられていることからすれば,引用例1発明において,客カウント数を予測するためのデータ要素として,前記情報の他,天気予報の提供,現在のリゾートの混雑度,現在または計画されたパークの入場者数を用いて,所定の「モデル」を構成して予想することは,当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
引用例1発明のシステムは,コントローラを有しているとともに,パーク入園チケットの確証及び客への第2キューの利用権付与の確立を「集中化」するものである。また,第1バリデーターの有効確認が「コントローラを介して」行われること,利用時間を算出するアルゴリズムプロセッサが「コントローラと一体の装置として実行」できることを考慮すれば,第2キューにする処理を集中してコントローラが行うようにし,コントローラが顧客のアトラクションの権利確認ためのバリデータ(本願発明でいう「確認器」)を制御するようにし,顧客のアトラクションへの入場を許可するためのバリデータと通信するように構成することは,当業者が容易になし得たことである。

(4)そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用例1発明,引用例2発明に基づいて,当業者が予測できる範囲のものである。
したがって,本願発明は,引用例1,2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1,2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論の通り審決する。
 
審理終結日 2012-09-07 
結審通知日 2012-09-11 
審決日 2012-09-24 
出願番号 特願2006-535634(P2006-535634)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川口 美樹  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 松尾 俊介
手島 聖治
発明の名称 群衆が集中する中心地に関する人の流れの無線制御による管理  
代理人 杉村 憲司  
代理人 大倉 昭人  
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