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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1269990
審判番号 不服2011-24356  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-11 
確定日 2013-02-08 
事件の表示 特願2005-136906「コンテンツ配信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月24日出願公開、特開2006-317997〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成17年5月10日の出願であって、平成23年2月7日付けの拒絶理由通知に対して、同年6月24日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月21日付けで拒絶査定がなされた。
それに対して、同年11月11日に拒絶査定不服審判が請求されるともに手続補正書が提出され、平成24年3月8日付けで審尋がなされ、同年4月18日に回答書が提出された。

第2.補正の却下の決定
【補正の却下の決定の結論】
平成23年11月11日に提出された手続補正書による補正を却下する。

【理由】
1.補正の内容
平成23年11月11日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?7を、補正後の特許請求の範囲の請求項1?3と補正するものであって、補正前及び補正後の請求項の記載は、各々次のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
サーバと、前記サーバにアクセス可能なクライアントと、前記サーバにアクセス可能な携帯情報端末とを備えたコンテンツ配信システムであって、
前記サーバは、
コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末からの要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子を所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントからの要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段とを含み、
前記クライアントは、
前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信する手段と、
前記受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求するコンテンツ要求手段と、
前記サーバから送信されたコンテンツデータを再生する再生手段とを含み、
前記携帯情報端末は、
ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求する手段を含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムであって、
前記サーバはさらに、
前記コンテンツデータの送信後、当該セッション識別子を前記セッション管理データベースから抹消する手段を含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ配信システムであって、
前記サーバはさらに、
前記発行されたセッション識別子を前記クライアントに割り当てられた公開鍵で暗号化する手段を含み、
前記クライアントはさらに、
前記受信されたセッション識別子を前記公開鍵と対をなす秘密鍵で復号化する手段を含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項4】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムであって、
前記サーバはさらに、
前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段と、
前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段とを含み、
前記クライアントはさらに、
前記サーバから送信された前記暗号化された共通鍵を前記公開鍵と対をなす秘密鍵で復号化する手段と、
前記サーバから送信された前記暗号化されたコンテンツデータを前記復号化された共通鍵で復号化する手段とを含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項5】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムであって、
前記サーバはさらに、
ユーザ識別子に対応付けてコンテンツ識別子を記憶するためのライセンス管理データベースと、
前記ライセンス管理データベースを参照し、1つのユーザ識別子に対応する1又は2以上のコンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツの一覧表を前記携帯情報端末に送信する手段とを含み、
前記携帯情報端末はさらに、
前記サーバから送信されたコンテンツの一覧表を表示する手段と、
前記表示されたコンテンツの一覧表の中からユーザの操作に応じて所望のコンテンツを選択する手段とを含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項6】
クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバであって、
コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子を所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段とを備えるサーバ。
【請求項7】
サーバと、前記サーバにアクセス可能なクライアントと、前記サーバにアクセス可能な携帯情報端末とを用いたコンテンツ配信方法であって、
ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記携帯情報端末から前記サーバに要求するステップと、
前記携帯情報端末からの要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するステップと、
前記発行されたセッション識別子を所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録するステップと、
前記発行されたセッション識別子を前記クライアントに送信するステップと、
前記送信されたセッション識別子を前記クライアントから前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記クライアントから前記サーバに要求するステップと、
前記クライアントからの要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータをコンテンツデータデータベースから読み出して前記サーバから前記クライアントに送信するステップと、
前記サーバから送信されたコンテンツデータを前記クライアントで再生するステップとを含むことを特徴とするコンテンツ配信方法。」

(補正後)
「【請求項1】
サーバと、前記サーバにアクセス可能なクライアントと、前記サーバにアクセス可能な携帯情報端末とを備えたコンテンツ配信システムであって、
前記サーバは、
コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末からの要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段と、
前記クライアントからの要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段と、
前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段とを含み、
前記クライアントは、
前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信する手段と、
前記受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求するコンテンツ要求手段と、
前記サーバから送信された前記暗号化された共通鍵を前記公開鍵と対をなす秘密鍵で復号化する手段と、
前記サーバから送信された前記暗号化されたコンテンツデータを前記復号化された共通鍵で復号化する手段と、
前記サーバから送信されたコンテンツデータを再生する再生手段とを含み、
前記携帯情報端末は、
ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求する手段を含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムであって、 前記サーバはさらに、 ユーザ識別子に対応付けてコンテンツ識別子を記憶するためのライセンス管理データベースと、
前記ライセンス管理データベースを参照し、1つのユーザ識別子に対応する1又は2以上のコンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツの一覧表を前記携帯情報端末に送信する手段とを含み、 前記携帯情報端末はさらに、 前記サーバから送信されたコンテンツの一覧表を表示する手段と、 前記表示されたコンテンツの一覧表の中からユーザの操作に応じて所望のコンテンツを選択する手段とを含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項3】
クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバであって、
コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段と、
前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段と、
前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段とを備えるサーバ。」

2.補正事項の整理
本件補正における補正事項のうち、「サーバ」に係る請求項(補正前の請求項6及び補正後の請求項3)の補正事項を整理すると次のとおりである。

(1)補正事項1
補正前の請求項6の「前記発行されたセッション識別子を所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段」を、補正後の請求項3の「前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段」と補正すること。

(2)補正事項2
補正前の請求項6に「前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段」を新たに追加して、補正後の請求項3とすること。

(3)補正事項3
補正前の請求項6の「前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子を特定し、」を、補正後の請求項3の「前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、」と補正すること。

(4)補正事項4
補正前の請求項6に「前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段」を新たに追加して、補正後の請求項3とすること。

3.新規事項の追加の有無、及び補正の目的の適否についての検討
(1)補正事項1について
補正事項1は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「前記発行されたセッション識別子を所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段」を「前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段」と補正して補正後の請求項3とするものであり、この補正によって、補正後の請求項3の「セッション管理データベース」は、「前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けて」記憶する旨の構成が限定されている。
しかしながら、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」は、暗号化や復号化に関する構成を備えていないから、補正事項1は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に対して、暗号化や復号化で必要な「公開鍵」を「所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する」という新たな技術的事項を導入する補正であり、補正前の請求項6の発明特定事項を技術的に限定する補正であるとは認められない。
以上から、補正事項1の補正は、特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項をいう。以下同じ。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、当該補正が特許法第17条の2第4項のその余のいずれの号に掲げる事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
よって、補正事項1の補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たさない。
なお、前記補正により補正された部分は、本願の願書に最初に添付した明細書の0026及び0056段落等に記載されているものと認められるから、前記補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、本願の願書の最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項1は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(2)補正事項2について
補正事項2は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に対して「前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段」を新たに追加して補正後の請求項3とするものである。
しかしながら、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」は、暗号化や復号化に関する構成を備えていないから、補正事項2は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に対して、「前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段」を新たに導入する補正であり、補正前の請求項6の発明特定事項を技術的に限定する補正であるとは認められない。
以上から、補正事項2の補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、当該補正が特許法第17条の2第4項のその余のいずれの号に掲げる事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
よって、補正事項2の補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たさない。
なお、前記補正により補正された部分は、当初明細書等に記載されているものと認められるから、前記補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項2は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(3)補正事項3について
補正事項3は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子を特定し、」を「前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、」と補正して補正後の請求項3とするものであり、この補正によって、補正後の請求項3には「その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定」する旨の構成が限定されている。
しかしながら、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」は、暗号化や復号化に関する構成を備えていないから、補正事項3は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に対して、「前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定」するという新たな技術的事項を導入する補正であり、補正前の請求項6の発明特定事項を技術的に限定する補正であるとは認められない。
以上から、補正事項3の補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、当該補正が特許法第17条の2第4項のその余のいずれの号に掲げる事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
よって、補正事項3の補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たさない。
なお、前記補正により補正された部分は、当初明細書等に記載されているものと認められるから、前記補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項3は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(4)補正事項4について
補正事項4は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に対して「前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段」を新たに追加して補正後の請求項3とするものである。
しかしながら、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」は、暗号化や復号化に関する構成を備えていないから、補正事項4は、補正前の請求項6に係る発明の発明特定事項である「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に対して、「前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段」を新たに導入する補正であり、補正前の請求項6の発明特定事項を技術的に限定する補正であるとは認められない。
以上から、補正事項4の補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、当該補正が特許法第17条の2第4項のその余のいずれの号に掲げる事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
よって、補正事項4の補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たさない。
なお、前記補正により補正された部分は、当初明細書等に記載されているものと認められるから、前記補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項4は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(5)新規事項の追加の有無及び補正の目的の適否についてのまとめ
以上検討したとおり、補正事項1ないし4の補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものの、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

4.独立特許要件の検討
(1)はじめに
上記3.において検討したとおり、本件補正は特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていないが、仮に、本件補正が当該要件を満たすものであった場合において、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、本件補正が、いわゆる独立特許要件を満たすものであるか否かについても検討する。

(2)補正発明
本件補正による補正後の請求項1?3に係る発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項3に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、再掲すると次のとおりである。
「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバであって、
コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段と、
前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段と、
前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段とを備えるサーバ。」

(3)引用刊行物に記載された発明
(3-1)引用例1:特開2004-171069号公報
(3-1-1)本願の出願日前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開2004-171069号公報(以下「引用例1」という。)には、図1、図2及び図4?9と共に、次の記載がある(なお、下線は当審が付加したものである。以下同じ。)。

a.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は情報利用者が携帯電話などの端末ID確認手段を持つ第1のネットワーク端末を用いて認証を受けた後に、情報サービスセンタ等の情報提供者がその認証データを流用して、端末の確認が確実に行えない第2のネットワーク端末へ情報提供を行なうことが出来る認証済み情報提供システムおよび情報配信方法に関する。具体的には情報利用者の携帯電話(第1のネットワーク端末)を用いて認証処理を行なうことで情報利用者本人であることを確認した後、情報サービスセンタから、携帯電話よりも通信速度、記憶容量の大きな別の端末(第2のネットワーク端末)へ効率よく情報をダウンロードする認証済み情報提供システムに関する。本認証済み情報提供システムを利用することにより、情報利用者は簡便に認証を受け、かつ通信効率のよい他の端末で速やかに情報提供を受けることができ、一方、情報提供者は利用者が誰であるかを携帯電話で確実に確認した後に、その本人確認が難しい端末に対しても安心して情報提供をすることが出来るために、確実に課金処理を行なうことが出来る利点を有する。」

b.「【0023】
図1に本発明の認証済み情報提供システムの概念図を示す。本システムにおいては情報提供者である情報サービスセンタ10は第1のネットワーク20と第2のネットワーク30を使用してサービス利用システム40から構成されており、情報提供者である情報サービスセンタ10は情報利用者の情報利用システム40に対して情報提供サービスを行なう。第1のネットワーク20は端末IDを確実に認証する手段をもつネットワークであり、第1の通信手段を用いて利用者の確実な認証を行う。例えば情報利用者の有する携帯電話の通信回線網である。第2のネットワーク30は端末IDを確実に認証すること以外の点で、第1のネットワーク20よりも優れている通信方式である。例えばレストランの駐車場に設置されたホットスポットに設けられたレストラン提供のLANシステム経由のインターネット網である。一般に携帯電話は通話毎に課金が行なわれるので、そのID等を用いて確実に課金処理を行うために、他の情報端末に比べて認証力が強い。
【0024】
さらにサービス利用システム40は、第1の情報端末50と第2の情報端末60で構成されている。例えば第1の情報端末50とは携帯電話であり、第2の情報端末60とはパソコンや、車内に設置されたインターネット接続が可能なパソコン機能端末である。第1の情報端末50は、第1のネットワーク20と接続する第1の通信手段51と第1のネットワークにおいて端末IDを認証する端末ID保有手段52、端末操作手段53の一部から構成されている。第2の情報端末60は、第2のネットワーク30と接続する第2の通信手段61、第2のネットワーク30から受信したサービス情報を記憶する記憶手段62、サービス情報を処理するする情報処理手段63、利用者がサービスを受けるための操作を行う端末操作手段53の一部から構成される。従ってサービス利用システム40は、概念的に情報利用者の携帯電話とパソコン等のインターネット利用端末から構成されている。」

c.「【0026】
図2にサービス利用システム40の実施例の構成を示す。サービス利用システム40は、第1の情報端末50である携帯電話、第2の情報端末60である例えばパソコンあるいはパソコン機能端末で構成されており、携帯電話はこの実施例では市販されている携帯電話アダプタ70を介して第2の情報端末であるパソコンに接続されている。第2の情報端末60は、一般的なラップトップパソコンまたは車内設置のパソコン機能端末の構成であり詳述は省略するが、図1の概念図で示した61に相当する第2のネットワークである無線LANとのインタフェース手段である無線LANインタフェース161、図1の概念図で示した記憶手段62に相当するハードディスク1162Aとハードディスクインターフェース162A、その他CPU163、ROM164、RAM165、操作手段166、電源管理部167、シリアルインタフェース168、携帯電話と直接接続を行なうコネクタ163から構成されている。」

d.「【0029】
図4に例えばコンテンツサービスを提供する情報サービスセンタ10の構成を示す。この実施例では情報サービスセンタ10は、第1の通信方式である携帯電話ネットワーク20とは携帯電話ネットワーク接続装置11を介して接続される。情報サービスセンタ10はさらに、第2の通信方式である無線LANのホットスポットに設けられた無線LAN接続装置30A経由のインターネット30Bに接続するために、インターネットネットワーク接続装置12を介して接続される。
【0030】
無線LANホットスポットはインターネット30Bに接続されているため、情報サービスセンタ10はインターネット経由で無線LANホットスポットと接続できる。サービス利用システム40が無線LANホットスポットのサービス提供範囲にあると、情報サービスセンタ10はサービス利用システム40と接続し通信を行うことができる。
【0031】
この実施例ではサービス利用システム40は第1の通信端末である携帯電話50と接続されているため、情報サービスセンタ10は携帯電話ネットワーク20を介してサービス利用システム40と接続し通信を行うことができる。」

e.「【0035】
図5は、ホットスポットに駐車した自動車内で情報サービスセンタ10から情報提供を提供する場合の実施例を示す。サービス利用システム10が車両内に設置された場合には、以下に示すようなサービスを提供することができ、本発明に係る認証済み情報提供システムの効果が発揮される。」

f.「【0039】
次に図6に端末認証サーバとサービスデータ提供サーバの連携について示す。端末認証サーバ16は携帯電話ネットワーク30を介してサービス利用システム40と通信を行い、ホットスポットのLANを介してサービスデータ提供サーバ14とコンテンツ配信のための通信を行う。
【0040】
サービスデータ提供サーバ14は無線LANホットスポットのサービスエリア内にあるサービス利用システム40とインターネットを介して通信を行う。
【0041】
ここで各装置、システム間のデータの流れを図の中央部に示す。
(1)サービス利用システム40は端末IDを含むサービス要求情報を携帯電話ネットワーク11を介して端末認証サーバ16に送る。
(2)端末認証サーバ16は、サービス利用システム40から送られてきた端末IDを使って端末IDデータベース16Aを検索し、当該端末IDに対するサービスの内容を知る。
(3)端末認証サーバ16は、サービスデータ提供サーバ14に端末IDを送る。
(4)サービスデータ提供サーバ14はサービスIDを発行し端末認証サーバ16に送る。
(5)端末認証サーバ16は携帯電話ネットワーク11でサービス利用システム40にサービスIDを送る。
(6)サービス利用システム40はサービスIDを記録する。
(7)例えば車両がレストランの駐車場内に設けられた無線LANのサービスエリアにおいて、サービス利用システム40がサービスIDを含むサービス要求をサービスデータ提供サーバ14に送る。
(8)サービスデータ提供サーバ14はサービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータをサービス利用システムに送信する。
(9)サービス利用システム40は後のサービスに必要となるデータを分類して記憶装置に記憶する。
【0042】
以上のように端末認証サーバ16とサービスデータ提供サーバ14が連携して、サービス利用システム40に対してサービスを実施することによって、利用者の認証からサービスデータの配信までの一連の処理の流れを実現することができる。
【0043】
なおサービスIDはサービスデータ提供サーバ14からの情報に基づいて端末認証サーバ16で発行するような構成としてもよい。また端末IDデータベース16Aと、サービスデータデータベース14Aは端末認証サーバ16やサービスデータ提供サーバ14と分離した装置に置くような構成としてもよいし、いずれかのサーバに置く構成としても良いし、全てを1台のサーバ装置に置くような構成としてもよい。」

g.「【0044】
図7(A)-図7(C)はサービス利用システム40内の処理についての処理フローチャートである。図7(A)は端末認証時のフローチャートで、図7(B)はサービスデータ受信時、図7(C)は提供時のフローチャートである。
【0045】
まず図7(A)で端末認証処理について説明する。
ST7A-1:利用者がサービス利用システム40の操作手段を用いて、認証が必要な操作を行うと、サービス利用システム40は携帯電話ネットワーク20を介して情報サービスセンタ10に接続し認証の要求を行う。
ST7A-2:このとき、携帯電話ネットワーク20を介して情報サービスセンタ10へ端末IDが送信される。
ST7A-3:上記の端末の動きに対応して情報サービスセンタ10からサービスIDがサービス利用システム40へ送られてくるのでそれを受信する。
ST7A-4:情報サービスセンタ10からサービスIDが送られてこない場合には端末はサービスを中断する。
ST7A-5:サービスIDが送られて来た場合には、サービス利用システム40でサービスIDを記録する。
【0046】
つぎに図7(B)でサービスデータ受信処理について説明する。
ST7B-1:例えばレストランの無線LANからインターネット経由で情報サービスセンタ10のサービスデータ提供サーバ14に端末IDとサービスIDを含むサービスデータ要求情報を送り、サービスデータ(音楽、画像データ)の送信を求める。
ST7B-2:サービスデータが無い場合にはサービスを中断する。
ST7B-3:サービスデータがある場合には情報サービスセンタ10からサービスデータを受信する。
ST7B-4:受信したサービスデータから後に利用するデータを分類する。
ST7B-5:分類したサービスデータを記録する。」

(3-1-2)ここにおいて、0023段落の「本システムにおいては情報提供者である情報サービスセンタ10は第1のネットワーク20と第2のネットワーク30を使用してサービス利用システム40から構成されており、情報提供者である情報サービスセンタ10は情報利用者の情報利用システム40に対して情報提供サービスを行なう。」という記載、及び、0024段落の「さらにサービス利用システム40は、第1の情報端末50と第2の情報端末60で構成されている。例えば第1の情報端末50とは携帯電話であり、第2の情報端末60とはパソコンや、車内に設置されたインターネット接続が可能なパソコン機能端末である。」という記載から、引用例1には、「携帯電話機で構成される第1の情報端末50とパソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60からなるサービス利用システム40に対して情報提供サービスを行なう情報サービスセンタ10」が記載されているといえる。

(3-1-3)また、0041段落の「(8)サービスデータ提供サーバ14はサービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータをサービス利用システムに送信する。」という記載、0043段落の「また端末IDデータベース16Aと、サービスデータデータベース14Aは端末認証サーバ16やサービスデータ提供サーバ14と分離した装置に置くような構成としてもよいし、」という記載及び図6の記載、そして、0046段落の「サービスデータ(音楽、画像データ)の送信を求める。」の記載から、引用例1の「サービスデータデータベース14A」には、「サービスデータ(音楽、画像データ)」が格納されているものと認める。

(3-1-4)また、0024段落の「さらにサービス利用システム40は、第1の情報端末50と第2の情報端末60で構成されている。例えば第1の情報端末50とは携帯電話であり、第2の情報端末60とはパソコンや、車内に設置されたインターネット接続が可能なパソコン機能端末である。」という記載及び0041段落の「(1)サービス利用システム40は端末IDを含むサービス要求情報を携帯電話ネットワーク11を介して端末認証サーバ16に送る。
(2)端末認証サーバ16は、サービス利用システム40から送られてきた端末IDを使って端末IDデータベース16Aを検索し、当該端末IDに対するサービスの内容を知る。
(3)端末認証サーバ16は、サービスデータ提供サーバ14に端末IDを送る。
(4)サービスデータ提供サーバ14はサービスIDを発行し端末認証サーバ16に送る。
(5)端末認証サーバ16は携帯電話ネットワーク11でサービス利用システム40にサービスIDを送る。」という記載から、引用例1の「端末認証サーバ16」は、「携帯電話」機で構成される「第1の情報端末50」から、「端末IDを含むサービス要求情報が携帯電話ネットワーク11を介して」、前記「情報サービスセンタ10」内の「端末認証サーバ16」に向け送信されると、前記「端末認証サーバ16」は、送られてきた「端末ID」を使って「端末IDデータベース16Aを検索し、当該端末IDに対するサービスの内容を知」り、「サービスデータ提供サーバ14に端末IDを送」り、この「端末ID」を受けて「サービスデータ提供サーバ14はサービスIDを発行」し、この「サービスID」を、前記「携帯電話ネットワーク11」を介して、前記「携帯電話」機で構成される「第1の情報端末50」に送信していることは明らかである。

(3-1-5)また、0024段落の「さらにサービス利用システム40は、第1の情報端末50と第2の情報端末60で構成されている。例えば第1の情報端末50とは携帯電話であり、第2の情報端末60とはパソコンや、車内に設置されたインターネット接続が可能なパソコン機能端末である。」という記載及び0041段落の「(5)端末認証サーバ16は携帯電話ネットワーク11でサービス利用システム40にサービスIDを送る。
(6)サービス利用システム40はサービスIDを記録する。
(7)例えば車両がレストランの駐車場内に設けられた無線LANのサービスエリアにおいて、サービス利用システム40がサービスIDを含むサービス要求をサービスデータ提供サーバ14に送る。
(8)サービスデータ提供サーバ14はサービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータをサービス利用システムに送信する。」という記載から、引用例1には、「端末認証サーバ16」から「携帯電話ネットワーク11」を介して送信された前記「サービスID」を前記「携帯電話」機で構成される「第1の情報端末50」が受信すると、この「サービスID」を、「無線LANのサービスエリア」において、前記「パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60」を介して、前記「サービスIDを含むサービス要求」を前記「サービスデータ提供サーバ14」に送信することが記載されている。

(3-1-6)また、0024段落の「さらにサービス利用システム40は、第1の情報端末50と第2の情報端末60で構成されている。例えば第1の情報端末50とは携帯電話であり、第2の情報端末60とはパソコンや、車内に設置されたインターネット接続が可能なパソコン機能端末である。」という記載及び00041段落の「(8)サービスデータ提供サーバ14はサービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータをサービス利用システムに送信する。
(9)サービス利用システム40は後のサービスに必要となるデータを分類して記憶装置に記憶する。」という記載から、引用例1には、「サービスデータ提供サーバ14」は、この送られてきた前記「サービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータ」(音楽、画像データ)を前記「サービスデータデータベース14A」から読み出して前記「パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60」に向け送信することが記載されている。

(3-1-7)以上総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。
「携帯電話機で構成される第1の情報端末50とパソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60からなるサービス利用システム40に対して情報提供サービスを行なう情報サービスセンタ10であって、
サービスデータ(音楽、画像データ)を格納するサービスデータデータベース14Aと、
前記携帯電話機で構成される第1の情報端末50から、端末IDを含むサービス要求情報が携帯電話ネットワーク11を介して、前記情報サービスセンタ10内の端末認証サーバ16に向け送信されると、前記端末認証サーバ16は、送られてきた端末IDを使って端末IDデータベース16Aを検索し、当該端末IDに対するサービスの内容を知り、サービスデータ提供サーバ14に端末IDを送り、この端末IDを受けてサービスデータ提供サーバ14はサービスIDを発行し、このサービスIDを、前記携帯電話ネットワーク11を介して、前記携帯電話機で構成される第1の情報端末50に送信する前記端末認証サーバ16と、
前記端末認証サーバ16から携帯電話ネットワーク11を介して送信された前記サービスIDを前記携帯電話機で構成される第1の情報端末50が受信すると、このサービスIDを、無線LANのサービスエリアにおいて、前記パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60を介して、前記サービスIDを含むサービス要求を前記サービスデータ提供サーバ14に送信し、前記サービスデータ提供サーバ14は、この送られてきた前記サービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータ(音楽、画像データ)を前記サービスデータデータベース14Aから読み出して前記パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60に向け送信する前記情報サービスセンタ10。」

(3-2)引用例2:特開2004-297550号公報
(3-2-1)本願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2004-297550号公報(以下「引用例2」という。)には、図1?4と共に、次の記載がある。

a.「(57)【要約】
【課題】コンテンツの不正使用を確実に防止できると共に、コンテンツ事業者の負担を軽減し且つ使用者の利便性を向上することができるコンテンツ管理システム及びこれを用いたコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】コンテンツを共通鍵で暗号化した暗号化コンテンツを提供すると共に暗号化コンテンツの復号化を制限することによりコンテンツの利用を管理するコンテンツ管理システムであって、所定のコンテンツを識別するためのコンテンツIDと、利用者を識別するためのユーザIDと、コンテンツの暗号化に使用した共通鍵を利用者の公開鍵により暗号化し暗号化コンテンツを復号化する鍵情報と、所定のコンテンツの利用を許可する有効期間とを少なくとも含む利用チケットを発行し、利用チケットを介して暗号化コンテンツの復号化を許可するコンテンツ管理部を具備する。」

b.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンテンツを共通鍵で暗号化して提供すると共に、暗号化したコンテンツの復号化を制限することによりコンテンツの利用を管理するコンテンツ管理システム及びこれを用いたコンテンツ配信システムに関する。」

c.「【0032】
図1には、本発明の一実施形態に係るコンテンツ管理システム及びこれを用いた暗号配信システムの一例を概念的に示す。本発明のコンテンツ配信システムは、例えば、ネットワークを介して配信されるレンタルのソフトウェア、音楽ソフト、ビデオソフト等に用いて好適なシステムであり、図1に示すように、コンテンツ情報等の各種情報を管理すると共にコンテンツの配信を行う管理サーバ10と、時刻情報を出力する時刻情報サーバ20とを具備し、これらのサーバは、利用者の端末であるパソコン30とネットワーク100を介して接続されている。
【0033】
管理サーバ10は、コンテンツ管理手段11を有すると共に、コンテンツを記憶しておくための大容量の記憶装置12及び各種情報が蓄積されるデータベース13とを有する。コンテンツ管理手段11は、各コンテンツに割り当てられ識別のためのコンテンツID、及び共通鍵(以下、コンテンツ共通鍵)等のコンテンツ情報をデータベース13に登録し管理する。また、利用者の登録を受け付け、例えば、氏名、住所等の個人情報と共に、各利用者に割り当てたユーザID及び所定の暗号鍵をデータベース13に登録して管理する。なお、本実施形態では、この利用者の暗号鍵として、公開暗号方式の暗号鍵を用いており、コンテンツ管理手段11は、各利用者から取得した公開鍵(以下、ユーザ公開鍵)を管理している。
【0034】
また、コンテンツ管理手段11は、利用者の登録を受け付ける際に、コンテンツを視聴するためのビューア35を各利用者のパソコン30にネットワークを介して配信する。なお、本実施形態では、コンテンツ管理手段11が、ネットワーク100を介して各パソコン30にビューア30を配信するようにしたが、勿論、ビューア30は、記録媒体に格納されたものを各利用者に配布するようにしてもよい。
【0035】
また、コンテンツ管理手段11は、利用者からの要求に応じて、上記コンテンツ情報及び登録情報に基づいて、コンテンツを利用するための利用チケットを発行する。この利用チケットは、例えば、本実施形態では、コンテンツID、ユーザID、コンテンツ共通鍵をユーザ公開鍵によって暗号化した暗号化鍵と、コンテンツの利用を許可する有効期間とを含む。また、本実施形態では、この利用チケットには、後述する時刻情報サーバ20によって出力されるチケット発行時刻を暗号化した暗号化発行時刻が含まれ、コンテンツの有効期間は、例えば、発行時刻が含まれる日から5日間等のように、この発行時刻に基づいて設定されている。そして、詳しくは後述するが、利用者はこの利用チケットを購入することにより、コンテンツの利用が許可されることになる。」

d.「【0037】
なお、各利用者の端末であるパソコン30は、上述したようにコンテンツ管理手段11によって配信されたビューア35を有する。このビューア35は、時刻情報サーバ20の暗号化時刻手段22が出力する暗号化時刻に基づいて、コンテンツの利用期間を管理する時刻管理手段36と、暗号化コンテンツを復号化する復号化手段37とを具備する。また、ビューア35には、暗号化コンテンツを復号化するための復号鍵、例えば、本実施形態では、上記ユーザ公開鍵に対応するユーザ秘密鍵と共に、上記時刻秘密鍵に対応する時刻公開鍵が内蔵されている。なお、ユーザ秘密鍵は、予めパソコン30が保持しているものであり、ビューア35をインストールすることによってビューア35に登録される。そして、時刻管理手段36がこれらの暗号鍵を用いてコンテンツの利用期間を管理、すなわち、復号化手段37が暗号化コンテンツの復号化するのを制限するため、不正使用が防止され、特定の利用者が所定期間だけコンテンツを利用することができる。
【0038】
以下、このようなコンテンツ配信システムによりコンテンツを利用する手順の一例を説明する。
【0039】
かかるコンテンツ配信システムでは、利用者は、まず、ステップS1で管理サーバ10にユーザ登録を行う。ここで、本コンテンツ管理システムは、利用者に対し、氏名、住所、決済のためのクレジットカードの番号等の所定の個人データの入力を要求する。そして、ステップS2でコンテンツ管理手段11が登録を受け付け、利用者にユーザID及びパスワードを発行し、これらのユーザ情報をデータベース13に登録する。なお、利用者登録の際、コンテンツ管理手段11は、個人認証のために第三者機関の公開鍵証明書を取得することが好ましい。これにより、利用者を確実に特定することができる。また、ここで取得した公開鍵を当該利用者専用のユーザ公開鍵として使用することにより、利用チケットの複製使用を防止することができる。
【0040】
ユーザ登録が完了すると、コンテンツ管理手段11は、コンテンツ公開鍵及び時刻公開鍵が登録されたビューア35を利用者のパソコン30に送信する。そして、利用者は、ビューア35をパソコン30にインストールすることにより、コンテンツの利用が可能となる。
【0041】
コンテンツの利用手順としては、ステップS4で管理サーバに暗号化コンテンツの配信を要求する。具体的には、所定のURLに接続すると、ユーザID及びパスワードの入力が要求され、これらを入力することにより個人認証されて管理サーバ10へのアクセスが許可される。そして、管理サーバ10にアクセスし、例えば、画面に表示された一覧からコンテンツ名を選択する等、所定の方法で、レンタルしたいコンテンツを選択する。これにより、ステップS5でコンテンツ管理手段11が、図3に示すように、記憶装置12に記憶されている所定のコンテンツ50をデータベース13に登録されている所定のコンテンツ共通鍵51によって暗号化して暗号化コンテンツ50Aとし、ステップS6でネットワークを介して利用者のパソコン30に暗号化コンテンツ50Aを配信する。そして、配信された暗号化コンテンツ50Aが所定のディレクトリに保存される。」

e.「【0043】
次いで、ステップS9でコンテンツ管理手段11は、データベース13に登録されている利用者のユーザ公開鍵52によって、暗号化コンテンツ50Aの暗号化に用いたコンテンツ共通鍵51に対応するコンテンツ公開鍵53を暗号化して暗号化鍵54を作成する(図4参照)。さらに、ステップS10でコンテンツ管理手段11は、時刻情報サーバ20に暗号化発行時刻を要求する。これにより、ステップS11で時刻情報サーバ20の時計21が利用チケットの発行時刻となる現在時刻を発生し、暗号化時刻手段22がこの現在時刻を時刻秘密鍵で暗号化して暗号化発行時刻25として管理サーバ10に出力する(ステップS12)。そして、ステップS13でコンテンツ管理手段11が、これら暗号化鍵54及び暗号化発行時刻25と共に、コンテンツID、ユーザID及び有効期間を含む利用チケット60を作成し、ステップS14でこの利用チケット60を利用者のパソコン30に送信する。」

f.「【0045】
このような利用チケット60が発行されると、利用者は、パソコン30にインストールされているビューア35によって暗号化コンテンツを起動させることにより、復号化手段37が暗号化コンテンツを復号してコンテンツの視聴が可能となる(ステップS15)。なお、復号化手段37が暗号化コンテンツを復号しようとすると、まずビューア35の時刻管理手段36が動作し、コンテンツの有効期間の確認を行う。このような有効期間の確認手順を図5のフローチャートを参照しながらさらに詳細に説明する。」

g.「【0046】
時刻管理手段36は、ステップS21で暗号化コンテンツの復号が要求されると、ステップS22で所定のURLへ接続して時刻要求を時刻情報サーバ20へ出し、ステップS23で暗号化時刻を取得する。ステップS24で取得した暗号化時刻を時刻公開鍵で復号化することにより正規の暗号化時刻であるか否かを判断し、正規の暗号化時刻でない場合には、ステップS25で復号化を禁止してコンテンツの利用を拒否する。一方、ステップS24で、正規の暗号化時刻であると判断した場合には、ステップS26で、利用チケット60に含まれる有効期間と正規の暗号化時刻とを比較して、正規の暗号化時刻が有効期間外であるときは、ステップS25に飛んで復号化を禁止してコンテンツの利用を拒否する。また、ステップS26で正規の暗号化時刻が有効期間内であれば、ステップS27で復号化手段37による暗号化コンテンツ50Aの復号化を許可する。【0047】
このように、時刻管理手段36が、時刻情報サーバ20が出力する暗号化時刻25のみにより有効期間を管理しているため、利用チケット60に含まれる有効期間等の改ざんを行うと、暗号化コンテンツの復号化は拒否され、コンテンツの不正使用が確実に防止される。
【0048】
なお、暗号化コンテンツの復号化が許可されると、復号化手段37が、ビューア35に登録されているユーザ秘密鍵によって利用チケット60に含まれる暗号化鍵54をコンテンツ公開鍵53に復号化し、この復号化されたコンテンツ公開鍵53によって暗号化コンテンツ50Aを復号化しコンテンツを表示する。
【0049】
このように暗号化コンテンツは、各利用者のユーザ秘密鍵によって実質的に復号化される。すなわち、暗号化コンテンツが正規に配信されたものでない場合には、ユーザ公開鍵とユーザ秘密鍵とが対応せず暗号化鍵54を復号化することはできない。したがって、この点においてもコンテンツの不正利用を確実に防止することができる。」

(3-2-2)ここにおいて、0032?0033段落の記載から、引用例2の「コンテンツ配信システム」は、「コンテンツ管理手段11」、「コンテンツを記憶する記憶装置12」及び「コンテンツの識別のためのコンテンツID」、「コンテンツを暗号化するためのコンテンツ共通鍵51」及び「利用者のユーザ公開鍵52」等の情報を記憶する「データベース13」とから構成され「コンテンツの配信を行う管理サーバ10」と、「時刻情報を出力する時刻情報サーバ20」と、「ネットワーク100」介して接続されている「利用者の端末であるパソコン30」とから構成されているものと認める。

(3-2-3)また、0037段落の「また、ビューア35には、暗号化コンテンツを復号化するための復号鍵、例えば、本実施形態では、上記ユーザ公開鍵に対応するユーザ秘密鍵と共に、上記時刻秘密鍵に対応する時刻公開鍵が内蔵されている。なお、ユーザ秘密鍵は、予めパソコン30が保持しているものであり、ビューア35をインストールすることによってビューア35に登録される。」という記載から、引用例2の「利用者の端末であるパソコン30」の「ビューア35」内には、前記「ユーザ公開鍵52に対応するユーザ秘密鍵」が予め登録されていることは明らかである。

(3-2-4)また、図2及び0041段落の記載から、引用例2の前記「利用者の端末であるパソコン30」から、前記「管理サーバ10」に対して、「暗号化コンテンツ」の配信要求(ステップS4)があると、前記「コンテンツ管理手段11」は、前記「記憶装置12」に記憶されている特定の「コンテンツ」を前記「データベース13」に記憶されている前記「コンテンツ共通鍵51」で「暗号化」して「暗号化コンテンツ50A」として、「ネットワーク」を介して前記「利用者の端末であるパソコン30」に「配信」(ステップS6)していることは明らかである。

(3-2-5)また、図2及び0043段落の記載から、引用例2の前記「コンテンツ管理手段11」は、前記「利用者の端末であるパソコン30」からの「利用チケット購入」の要求(ステップS7)を受けると、前記「データベース13」に登録されている「利用者のユーザ公開鍵52」を使って前記「暗号化コンテンツ50A」の作成に使用した前記「コンテンツ共通鍵51」を「暗号化」し(ステップS9)、「暗号化鍵54」として、前記「利用者の端末であるパソコン30」に向け送信していることは明らかである。

(3-2-6)また、0045段落の「パソコン30にインストールされているビューア35によって暗号化コンテンツを起動させることにより、復号化手段37が暗号化コンテンツを復号してコンテンツの視聴が可能となる(ステップS15)。なお、復号化手段37が暗号化コンテンツを復号しようとすると、まずビューア35の時刻管理手段36が動作し、コンテンツの有効期間の確認を行う。」という記載、及び、0046段落の「ステップS24で、正規の暗号化時刻であると判断した場合には、ステップS26で、利用チケット60に含まれる有効期間と正規の暗号化時刻とを比較して、・・・正規の暗号化時刻が有効期間内であれば、ステップS27で復号化手段37による暗号化コンテンツ50Aの復号化を許可する。」という記載から、引用例2には、「前記利用者の端末であるパソコン30は、前記特定のコンテンツの有効期間が適正であると、前記暗号化コンテンツ50Aの復号化が許可され」ることが記載されているといえる。

(3-2-7)また、0048段落の「なお、暗号化コンテンツの復号化が許可されると、復号化手段37が、ビューア35に登録されているユーザ秘密鍵によって利用チケット60に含まれる暗号化鍵54をコンテンツ公開鍵53に復号化し、この復号化されたコンテンツ公開鍵53によって暗号化コンテンツ50Aを復号化しコンテンツを表示する。」という記載は、公開暗号化方式における技術常識を考慮すると、前記「ビューア35に登録されているユーザ秘密鍵」を用いて、前記「暗号化鍵54」を復号して前記「コンテンツ共通鍵51」を生成し、この生成した「コンテンツ共通鍵51」を用いて、前記「暗号化コンテンツ50A」を「復号して前記特定のコンテンツを表示する」(ステップS15)と解釈できる。

(3-2-8)以上総合すると、上記引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。
「コンテンツ管理手段11、コンテンツを記憶する記憶装置12及びコンテンツの識別のためのコンテンツID、コンテンツを暗号化するためのコンテンツ共通鍵51及び利用者のユーザ公開鍵52等の情報を記憶するデータベース13とから構成されコンテンツの配信を行う管理サーバ10と、時刻情報を出力する時刻情報サーバ20と、ネットワーク100を介して接続されている利用者の端末であるパソコン30とからなるコンテンツ配信システムにおいて、
前記利用者の端末であるパソコン30のビューア35内には、前記ユーザ公開鍵52に対応するユーザ秘密鍵が予め登録されており、前記利用者の端末であるパソコン30から、前記管理サーバ10に対して、暗号化コンテンツの配信要求(ステップS4)があると、前記コンテンツ管理手段11は、前記記憶装置12に記憶されている特定のコンテンツを前記データベース13に記憶されている前記コンテンツ共通鍵51で暗号化して暗号化コンテンツ50Aとして、ネットワークを介して前記利用者の端末であるパソコン30に配信し(ステップS6)、次いで、前記コンテンツ管理手段11は、前記利用者の端末であるパソコン30からの利用チケット購入の要求(ステップS7)を受けると、前記データベース13に登録されている利用者のユーザ公開鍵52を使って前記暗号化コンテンツ50Aの作成に使用した前記コンテンツ共通鍵51を暗号化し(ステップS9)、暗号化鍵54として、前記利用者の端末であるパソコン30に向け送信し、前記利用者の端末であるパソコン30は、前記特定のコンテンツの有効期間が適正であると、前記前記暗号化コンテンツ50Aの復号化が許可されて、まず、前記ビューア35に登録されている前記ユーザ秘密鍵を用いて、前記暗号化鍵54を復号して前記コンテンツ共通鍵51を生成し、この生成したコンテンツ共通鍵51を用いて、前記暗号化コンテンツ50Aを復号して前記特定のコンテンツを表示する(ステップS15)コンテンツ配信システム。」

(4)補正発明と引用発明1との対比
(4-1)引用発明1の「パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60」、「携帯電話機で構成される第1の情報端末50」及び「情報提供サービスを行なう情報サービスセンタ10」は、それぞれの機能からみて「クライアント」、「携帯情報端末」及び「サーバ」であるといえるから、引用発明1の「携帯電話機で構成される第1の情報端末50とパソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60からなるサービス利用システム40に対して情報提供サービスを行なう情報サービスセンタ10」は、補正発明の「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバ」に相当している。

(4-2)引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)」は、コンテンツデータであるといえるから、引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)を格納するサービスデータデータベース14A」と、補正発明の「コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベース」とは、「コンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベース」である点で共通している。

(4-3)引用発明1の「前記サービスデータ提供サーバ14は、この送られてきた前記サービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータ(音楽、画像データ)を前記サービスデータ提供サーバ14内のサービスデータ格納手段から読み出して」という構成から、引用発明1は、「サービスID」が「正規のものであれば」、「サービスデータ(音楽、画像データ)」を提供するというセッションを開始するものであるから、引用発明1の「サービスID」は、補正発明の「セッション識別子」に相当していることは明らかである。 そして、引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)」は、「コンテンツ」であるといえるから、引用発明1の「前記携帯電話機で構成される第1の情報端末50から、端末IDを含むサービス要求情報が携帯電話ネットワーク11を介して、前記情報サービスセンタ10内の端末認証サーバ16に向け送信されると、前記端末認証サーバ16は、送られてきた端末IDを使って端末IDデータベース16Aを検索し、当該端末IDに対するサービスの内容を知り、サービスデータ提供サーバ14に端末IDを送り、この端末IDを受けてサービスデータ提供サーバ14は、サービスIDを発行」する手段と、補正発明の「前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段」とは、「前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じてコンテンツの提供に必要なセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じてコンテンツの提供に必要なセッション識別子を発行する手段」である点で共通している。

(4-4)引用発明1の「前記サービスデータ提供サーバ14は、この送られてきた前記サービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータ(音楽、画像データ)を前記サービスデータデータベース14Aから読み出して」という構成から、引用発明1において、「サービスID」に対応した所望の「サービスデータ(音楽、画像データ)」を読み出すために、引用発明1には、「サービスID」と「サービスデータ(音楽、画像データ)」を識別する識別子とを対応付けてデータベースに登録する手段が存在していることは当業者にとって明らかであるから、引用発明1の「サービスID」と「サービスデータ(音楽、画像データ)」を識別する識別子とを対応付けてデータベースに登録する手段と、補正発明の「前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段」とは、「前記発行されたセッション識別子をコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段」である点で共通している。

(4-5)引用発明1の「前記端末認証サーバ16から携帯電話ネットワーク11を介して送信されてきた前記サービスIDを前記携帯電話機で構成される第1の情報端末50が受信すると、このサービスIDを、無線LANのサービスエリアにおいて、前記パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60を介して、前記サービスIDを含むサービス要求を前記サービスデータ提供サーバ14に送信し、」は、補正発明の「前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、」に相当している。

(4-6)引用発明1において、「前記サービスデータ提供サーバ14は、この送られてきた前記サービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータ(音楽、画像データ)を前記サービスデータデータベース14Aから読み出して前記パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60に向け送信する」にあたり、前記サービスデータデータベース14Aを参照し、送られてきた前記サービスIDに対応するサービスデータ(音楽、画像データ)を読み出す動作が行われると解されるから、引用発明1の「前記サービスデータ提供サーバ14は、この送られてきた前記サービスIDをチェックして正規のものであれば、相当するサービスデータ(音楽、画像データ)を前記サービスデータデータベース14Aから読み出して前記パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60に向け送信する」手段と、補正発明の「その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段」とは、「その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段」である点で共通している。

(4-7)以上を総合すると、補正発明と引用発明1とは、
「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバであって、
コンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じてコンテンツの提供に必要なセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じてコンテンツの提供に必要なセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子をコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段とを備えるサーバ。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
補正発明は、「コンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベース」において、「コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶」するとともに、コンテンツデータをコンテンツデータデータベースから読み出すにあたり、「コンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータをコンテンツデータデータベースから読み出」すようにしているのに対して、引用発明1では、この点が明らかでない点。

(相違点2)
補正発明は、「所望のコンテンツ」に対応する「セッション識別子」を発行しているのに対して、引用発明1は、「端末ID」を受けて「サービスID」を発行している点。

(相違点3)
「セッション管理データベースに登録する手段」に、補正発明は、「前記発行されたセッション識別子と前記携帯情報端末からの前記クライアントの公開鍵とを所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けて」「登録」しているのに対して、引用発明1は、そのようにはしていない点。

(相違点4)
補正発明は、「前記クライアントに割り当てられた公開鍵で共通鍵を暗号化する手段」を備えているのに対して、引用発明1は、このような手段を備えていない点。

(相違点5)
「コンテンツ送信手段」によって、補正発明は、「その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子とクライアントの公開鍵とを特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信」しているのに対して、引用発明1は、そのようにはしていない点。

(相違点6)
補正発明は、「前記クライアントに送信すべきコンテンツデータを共通鍵で暗号化する手段」を備えているのに対して、引用発明1は、このような手段を備えていない点。

(5)相違点についての判断
(5-1)相違点1について
コンテンツデータデータベースから、コンテンツデータを読み出すためには、コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを格納する必要があることは当業者にとって自明の事項であるから、引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)」をコンテンツ識別子に対応づけて「サービスデータデータベース14A」内に格納し、コンテンツデータをコンテンツデータデータベースから読み出すにあたり、「コンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータをコンテンツデータデータベースから読み出」すようにして補正発明のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、相違点1は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(5-2)相違点2について
一般に、コンテンツをネットワークを介して配信するコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツに対応するセッション識別子を発行することは、例えば、本願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である下記周知例1及び2にも記載されているように、当業者における周知技術である。

a.周知例1:特開平11-145948号公報
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネットのような安全性が十分でないネットワークを介してコンテンツの提供を行う場合に、コンテンツを暗号化することにより、安全なコンテンツの提供を実現可能とするコンテンツ提供方法に関するものである。」
「【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明においては、コンテンツを暗号化し、暗号化されたコンテンツを復号する鍵の配送方法と、コンテンツの取得方法を工夫したことを特徴としている。すなわち、本発明に係る第1のコンテンツ提供方法は、
(1)利用者の認証を行う認証装置では、コンテンツを取得しようとする利用者からの要求が正当な要求であることが証明された後、利用者からの要求に対応するセッション識別子を生成する。そして、このセッション識別子を利用装置と認証装置とが予め共有している利用者パスワードを鍵として暗号化し、コンテンツを提供するコンテンツ提供装置へ送信する。また、コンテンツ提供装置と認証装置とが予め共有している提供者パスワードを用いて上記セッション識別子を暗号化し、この提供者パスワードで暗号化されたセッション識別子をコンテンツ提供装置へ送信する。」

ここにおいて、0009段落の「(1)利用者の認証を行う認証装置では、コンテンツを取得しようとする利用者からの要求が正当な要求であることが証明された後、利用者からの要求に対応するセッション識別子を生成する。」という記載から、「利用者からの要求に対応するセッション識別子」は、「コンテンツを取得しようとする利用者からの要求」すなわち、「コンテンツ」に対応するものが生成されることは明らかである。
したがって、周知例1には、
コンテンツをネットワークを介して配信するコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツに対応するセッション識別子を発行すること、が記載されている。

b.周知例2:特開2003-125109号公報
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機などの端末に表示したコンテンツに対して、音声によって必要情報を入力するサービスを提供する音声入力サービス提供方法およびシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のインターネットに接続可能な携帯電話機の普及に伴い、携帯電話機利用者を対象とした電子商取引のコンテンツが提供されるようになった。このようなコンテンツではしばしば、商品検索やユーザ登録など利用者が文字を入力する必要がある。従来、携帯電話機でコンテンツに文字を入力するには、携帯電話機に付随する主に0?9のキーを使用していた。」
「【請求項9】前記第1の手段が、コンテンツ提供装置情報と、端末とコンテンツ提供装置とのセッション識別情報をリンク先情報中に付加して送信する手段を含み、前記第2の手段が、前記セッション識別情報をコンテンツ提供装置に送信し、当該セッション識別情報に対応するコンテンツ識別情報を取得する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の音声入力サービス提供システム。」

請求項9の「前記セッション識別情報をコンテンツ提供装置に送信し、当該セッション識別情報に対応するコンテンツ識別情報を取得する手段」という記載から、周知例2において、「コンテンツ識別情報」に対応する、すなわち「コンテンツ」に対応する「セッション識別情報」を生成しているものと認める。

したがって、周知例2には、
コンテンツをネットワークを介して配信するコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツに対応するセッション識別子を発行すること、が記載されている。

したがって、引用発明1に接した当業者が、引用発明1に上記周知技術を適用して、引用発明1の「サービスID」を「サービスデータ(音楽、画像データ)」における個々の音楽や画像データ毎に生成して、補正発明のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、相違点2は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(5-3)相違点3?6について
(5-3-1)相違点3?6は互いに関連した相違点であるが、先ず、相違点3について検討すると、引用例2には、上記(3-2)で検討したとおり、「コンテンツ管理手段11、コンテンツを記憶する記憶装置12及びコンテンツの識別のためのコンテンツID、コンテンツを暗号化するためのコンテンツ共通鍵51及び利用者のユーザ公開鍵52等の情報を記憶するデータベース13とから構成されコンテンツの配信を行う管理サーバ10と、時刻情報を出力する時刻情報サーバ20と、ネットワーク100を介して接続されている利用者の端末であるパソコン30とからなるコンテンツ配信システムにおいて、
前記利用者の端末であるパソコン30のビューア35内には、前記ユーザ公開鍵52に対応するユーザ秘密鍵が予め登録されており、前記利用者の端末であるパソコン30から、前記管理サーバ10に対して、暗号化コンテンツの配信要求(ステップS4)があると、前記コンテンツ管理手段11は、前記記憶装置12に記憶されている特定のコンテンツを前記データベース13に記憶されている前記コンテンツ共通鍵51で暗号化して暗号化コンテンツ50Aとして、ネットワークを介して前記利用者の端末であるパソコン30に配信し(ステップS6)、次いで、前記コンテンツ管理手段11は、前記利用者の端末であるパソコン30からの利用チケット購入の要求(ステップS7)を受けると、前記データベース13に登録されている利用者のユーザ公開鍵52を使って前記暗号化コンテンツ50Aの作成に使用した前記コンテンツ共通鍵51を暗号化し(ステップS9)、暗号化鍵54として、前記利用者の端末であるパソコン30に向け送信し、前記利用者の端末であるパソコン30は、前記特定のコンテンツの有効期間が適正であると、前記前記暗号化コンテンツ50Aの復号化が許可されて、まず、前記ビューア35に登録されている前記ユーザ秘密鍵を用いて、前記暗号化鍵54を復号して前記コンテンツ共通鍵51を生成し、この生成したコンテンツ共通鍵51を用いて、前記暗号化コンテンツ50Aを復号して前記特定のコンテンツを表示する(ステップS15)コンテンツ配信システム。」(引用発明2)が記載されているものと認める。

そして、引用発明1においても「サービスデータ(音楽、画像データ)」を「無線LAN」を介して配信しているので、この「サービスデータ(音楽、画像データ)」を暗号化して配信することは、コンテンツの不正使用を防止するために用いられる常套手段であると解されることから、引用発明1及び2に接した当業者が、引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)」を暗号化するに際して、引用発明1に引用発明2の「データベース13」に「コンテンツの識別のためのコンテンツID、コンテンツを暗号化するためのコンテンツ共通鍵51及び利用者のユーザ公開鍵52等の情報を記憶する」という技術思想を適用して、引用発明1の「サービスID」と「サービスデータ(音楽、画像データ)」とに公開鍵を対応付けて格納し、補正発明のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、相違点3は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(5-3-2)次に、相違点4及び6について検討すると、引用発明2は、「前記コンテンツ管理手段11は、前記記憶装置12に記憶されている特定のコンテンツを前記データベース13に記憶されている前記コンテンツ共通鍵51で暗号化して暗号化コンテンツ50Aとして、ネットワークを介して前記利用者の端末であるパソコン30に配信し(ステップS6)、次いで、前記コンテンツ管理手段11は、前記利用者の端末であるパソコン30からの利用チケット購入の要求(ステップS7)を受けると、前記データベース13に登録されている利用者のユーザ公開鍵52を使って前記暗号化コンテンツ50Aの作成に使用した前記コンテンツ共通鍵51を暗号化し(ステップS9)、暗号化鍵54として、前記利用者の端末であるパソコン30に向け送信」しているので、引用発明1及び2に接した当業者が、引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)」を暗号化する際に、引用発明1の「サービスデータ(音楽、画像データ)」の暗号化に使用する共通鍵を利用者のユーザ公開鍵52で暗号化し、引用発明1の「パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60」に送信すべき「コンテンツ」を共通鍵で暗号化して、補正発明のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、相違点4及び6は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(5-3-3)次に、相違点5について検討すると、引用発明2は、「前記利用者の端末であるパソコン30から、前記管理サーバ10に対して、暗号化コンテンツの配信要求(ステップS4)があると、前記コンテンツ管理手段11は、前記記憶装置12に記憶されている特定のコンテンツを前記データベース13に記憶されている前記コンテンツ共通鍵51で暗号化」するものであるから、引用発明1及び2に接した当業者が、引用発明1の「前記パソコンやパソコン機能端末で構成される第2の情報端末60」から送られてきた「サービスID」から該「サービスID」に対応付けられた公開鍵を特定して、補正発明のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、相違点5は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(5-4)判断のまとめ
以上検討したとおりであるから、補正発明と引用発明1との相違点は、周知技術を勘案して、引用発明1及び2から当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

したがって、補正発明は、周知技術を勘案することにより、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)独立特許要件についてのまとめ
以上のとおり、補正後の特許請求の範囲の請求項3に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項をいう。以下同じ。)の規定に適合しない。

5.補正の却下の決定のむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしておらず、また、仮に当該要件を満たすものであったとしても、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものである。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成23年11月11日に提出された手続補正書による補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成23年6月24日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項6に記載されている事項により特定される、上記第2.1.の(補正前)の請求項6に記載したとおりの次のものである。
「クライアント及び携帯情報端末からのアクセスを受け付けるサーバであって、
コンテンツ識別子に対応づけてコンテンツデータを記憶するためのコンテンツデータデータベースと、
前記携帯情報端末が、ユーザの操作に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて所望のコンテンツに対応するセッション識別子を発行する手段と、
前記発行されたセッション識別子を所望のコンテンツのコンテンツ識別子に対応付けてセッション管理データベースに登録する手段と、
前記クライアントが、前記サーバにより発行されたセッション識別子を受信し、その受信されたセッション識別子を前記サーバに送信することにより所望のコンテンツのコンテンツデータを送信するよう前記サーバに要求した場合、その要求に応じて前記セッション管理データベースを参照し、前記クライアントから送信されたセッション識別子に対応するコンテンツ識別子を特定し、そのコンテンツ識別子に対応するコンテンツデータを前記コンテンツデータデータベースから読み出して前記クライアントに送信するコンテンツ送信手段とを備えるサーバ。」

そして、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開2004-171069号公報(引用例1)には、上記第2.4.(3)(3-1)に記載したとおりの事項及び発明(引用発明1)が記載されているものと認められる。
そして、本願発明に対して技術的事項を付加した発明である補正発明は、上記第2.4.において検討したとおり、周知技術を勘案して、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、補正発明から暗号化に関する引用例2に係る技術事項を除外した発明であるから、本願発明は当然に、引用発明2を参酌するまでもなく、周知技術を勘案して、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-07 
結審通知日 2012-12-10 
審決日 2012-12-21 
出願番号 特願2005-136906(P2005-136906)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼田 耕一間野 裕一  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 田中 秀人
酒井 伸芳
発明の名称 コンテンツ配信システム  

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