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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05H |
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管理番号 | 1270001 |
審判番号 | 不服2010-5408 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-11 |
確定日 | 2013-02-26 |
事件の表示 | 特願2004-507297「負荷不整合信頼性および安定性のあるVHFプラズマ処理のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 4日国際公開、WO03/101160、平成17年 9月 8日国内公表、特表2005-527078〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成15年4月14日(パリ条約による優先権主張2002年5月20日、米国)に出願された国際出願であって、平成20年11月13日付けで拒絶理由が通知され、平成21年2月23日付けで特許請求の範囲について手続補正がなされるとともに意見書が提出されたものの、同年11月9日付けで拒絶査定がなされた。 本件は、前記拒絶査定を不服として、平成22年3月11日に請求された拒絶査定不服審判事件である。 2 本願発明 本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成21年2月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「非線形負荷不整合状態に抵抗力のあるプラズマ処理システム用の無線周波数(RF)発生器装置であって、 RF信号を発生するように構成されたRF発振器と、 前記RF信号に応答し、プラズマチャンバ負荷を駆動するのに十分な電力を有するVHF・RF信号を生成するRF増幅器と、 前記増幅器に結合され、かつ広帯域範囲において前記プラズマチャンバ負荷の非線形性を前記RF増幅器から分離するように構成された広帯域VHF帯サーキュレータと、 を含む装置。」 3 刊行物 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2000-31073号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載ないし図示されている。 (1a)「【請求項1】 真空容器内に高周波電力を投入して、プラズマを生起させ、該プラズマにより処理を行うプラズマ処理装置において、 高周波電力の基本発振周波数がVHF周波数であり、高周波電源の入射電力及び/又は反射電力検出回路に、基本発振周波数を透過し、その高調波成分をカットするローパスフィルターを挿入したことを特徴とするプラズマ処理装置。」 (1b)「【0017】すなわち、図2に示すようなプラズマCVD法による堆積膜形成装置においては、高周波の投入電力は一般に高周波電源102に設けた電力検出回路111によって入射電力、反射電力を読みとるが、常時電力を監視する方向性結合器116を用いた透過型の電力検出回路111では基本発振周波数に対してのみ正しい値を示すように較正されている。そのため、整合回路112から先で高周波の波形が歪み、高調波を生じると、高調波を多く含んだ反射波が高周波電源102の電力検出回路111に戻ってくるため、入射、反射電力が正確に読めなくなり、マッチングも正確に合わせることができない。 【0018】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、導入される高周波電力が歪んで高調波を生じ易く、入射、反射電力が正確に読めない、マッチングが正確に合わせられないという問題を解決し、再現性良く、大面積にわたって均一にプラズマ処理(例えば堆積膜の形成エッチング)を行うことのできるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することである。」 (1c)「【0024】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。 【0025】図1に本発明のプラズマ処理装置の一例としてプラズマCVD法による堆積膜形成装置の例の模式的構成図を示す。 【0026】図1に示した装置において、図2と同じ番号で示したものは同じものを示しており、堆積膜形成装置は大きくプラズマ処理部101と高周波電源部102を有する。 【0027】プラズマ処理部101は真空容器103内部に放電室104が設けられ、放電室104には排気装置(不図示)に接続された排気管105と、堆積膜の原料ガス(エッチングの場合はエッチングガス,希釈ガスの導入も可)を導入するガス導入管106と、堆積膜を堆積する基板107と、基板107を加熱するヒーター108と、高周波電力を放射するアンテナ109が設けられ、加熱された基板107上にプラズマCVD法により堆積膜を形成できる。 【0028】一方、高周波電源部102は、高周波を発振し、反射波を吸収する高周波電源回路110と、入射、反射電力を検出する電力検出回路111と、プラズマCVD装置101の負荷との間のインピーダンスマッチングを行う整合回路112と、高周波ケーブル121とを有する。 【0029】高周波電源回路110は高周波発振回路113と、サーキュレーター114、反射波吸収負荷115からなり、電力検出回路111は、方向性結合器116と、検波器117と、アンプ118と、メーター119と、ローパスフィルター120からなり、ローパスフィルター120は方向性結合器116と検波器117との間に挿入されている。ローパスフィルター120の有無が図2の装置との大きな違いである。」 (1d)「【0055】<高周波電力> 本発明において用いられる高周波電力は、基本発振周波数がVHF周波数の高周波電力である。 【0056】本発明においてVHF周波数としては、従来、一般的に用いられている13.56MHz等のRF周波数よりも高く、2.45GHz等のマイクロ波周波数よりも低い周波数範囲を指し、凡そ20MHz乃至500MHzの周波数範囲である。 【0057】その範囲の中でも、プラズマ密度を高め、堆積速度の向上を望む場合には比較的高い周波数領域を選択し、大面積の均一性を望む場合には、より波長が長く大面積での均一性が高い、比較的低い周波数領域を選択する。」 (1e)「【図1】 」 これら(1a)?(1e)の記載及び図示内容からして、引用例1には、 「真空容器内に、凡そ20MHz乃至500MHzの周波数範囲のVHF周波数から選択される周波数の高周波電力を投入してプラズマを生起させ、該プラズマにより処理を行うプラズマ処理装置であって、 当該プラズマ処理装置は、プラズマ処理部101と高周波電源部102を有し、 前記高周波電源部102は、 高周波を発振する高周波発振回路113と、当該高周波発振回路113に接続された、反射波を吸収する、反射波吸収負荷115を具備するサーキュレーター114からなる高周波電源回路110と、 入射、反射電力を検出する電力検出回路111と、 高周波ケーブル121と、 プラズマCVD装置101の負荷との間のインピーダンスマッチングを行う整合回路112とを有する装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 (2)引用例2 同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-110566号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (2a)「【0002】 【従来の技術】従来、高周波プラズマ生成装置を用いたプラズマCVD成膜装置としては、例えば図5(当審注:「図3」の誤記と認める。以下同様。)に示すものが知られている。 図中の符番1は反応容器である。この反応容器1内には、ヒータ2とラダ-型の放電用電極3が対向して配置されている。…(中略)… 【0003】前記放電用電極3の所定の箇所には、分配器5a,整合器6aを介して第1の高周波電源7aが電気的に接続されている。また、前記放電用電極3の他の箇所には、分配器5b,整合器6bを介して第2の高周波電源7aが電気的に接続されている。 【0004】前記第1の高周波電源7aは、電力を測る方向性結合器8aと、合成器9aと、アンプ10aと、発振器11aとから構成されている。前記第2の高周波電源7bは、電力を測る方向性結合器8bと、合成器9bと、アンプ10bと、発振器11bとから構成されている。 …(中略)… 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5に示すように1つの放電用電極3に複数の高周波電源7a,7bが接続する構成のプラズマCVD製膜装置においては、1台の高周波電源7a(又は7b)からの電力が放電用電極3を介して他の高周波電源7b(又は7a)に逆流・干渉する。その結果、一方の高周波電源7bに負荷が加わり、最悪の場合機器を損傷する恐れがあった。また、高周波電源7a,7bが相互に干渉するため、1台の高周波電源(整合器)を調整した際に、他の電源の整合条件を変化させてしまい、適正な入力が行なえなかった。」 (2b)「【0010】 【課題を解決するための手段】本発明に係るプラズマ生成装置は、反応容器内に配置された放電用電極へ給電を行う複数の高周波電源と、前記放電用電極と前記高周波電源間に配置された、反射電力を分離処理する逆流防止回路とを具備したことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく説明する。 【0012】本発明において、前記逆流防止回路としては、例えば高周波電源からの電力を分岐するサーキュレータと、このサーキュレータに電気的に接続されて電力を測定する方向性結合器と、前記サーキュレータに電気的に接続されて電力を消費する負荷(ダミーロード)とを具備する構成のものが挙げられる。」 (2c)「【0014】 【実施例】以下、本発明の一実施例について図1を参照して説明する。ここで、図1は本実施例に係るプラズマ生成装置を用いたプラズマCVD装置の全体図を示す。 …(中略)… 【0016】前記放電用電極23の所定の箇所(例えば上部)には、分配器25a、整合器26a及び逆流防止回路27aを介して第1の高周波電源28aが電気的に接続されている。また、前記放電用電極23の他の箇所(例えば下部)には、分配器25b、整合器26b及び逆流防止回路27bを介して第2の高周波電源28bが電気的に接続されている。 【0017】前記逆流防止回路27aは、第1の高周波電源28aからの電力を分岐するサーキュレータ29aと、このサーキュレータ29aに電気的に接続されて電力を測定する方向性結合器30aと、前記サーキュレータ29a及び後述するコントローラに電気的に接続されて電力を消費する負荷(ダミーロード)31aとから構成されている。 【0018】前記逆流防止回路27bは、第1の(当審注:「第2の」の誤記と認める。)高周波電源28bからの電力を分岐するサーキュレータ29bと、このサーキュレータ29bに電気的に接続されて電力を測定する方向性結合器30bと、前記サーキュレータ29b及び後述するコントローラに電気的に接続されて電力を消費する負荷(ダミーロード)31bとから構成されている。 【0019】前記第1の高周波電源28aは、電力を測る方向性結合器32aと、合成器33aと、アンプ34aと、発振器35aとから構成されている。前記第2の高周波電源28bは、電力を測る方向性結合器32bと、合成器33bと、アンプ34bと、発振器35bとから構成されている。」 (2d)「【0025】上記実施例によれば、放電用電極23に接続する整合器26aと第1の高周波電源28a間にサーキュレータ29aと方向性結合器30aと負荷31aとから構成される逆流防止回路27aを配置するとともに、放電用電極23に接続する整合器26bと第2の高周波電源28b間にサーキュレータ29bと方向性結合器30bと負荷31bとから構成される逆流防止回路27bを配置した構成となっているため、一方の第1の高周波電源28a(又は他方の高周波電源28b)からの電力が放電用電極23を介して他の高周波電源28b(又は高周波電源28a)に逆流・干渉することを防止できる。」 (2e)「【0029】 【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、反応容器内に配置された放電用電極へ給電を行う複数の高周波電源と、前記放電用電極と前記高周波電源間に配置されて反射電力を分離処理する逆流防止回路とを具備した構成にすることにより、高周波電源の逆流・干渉による機器の破損を回避でき、また高周波電源の相互干渉を回避して整合条件が変化するのを防止しえ、もって均一な製膜分布が得られるプラズマ生成装置を提供できる。」 (2f)「【図1】 」 4 対比 本願発明と引用発明を対比する。 (1)引用発明の「プラズマ処理装置」が、本願発明の「プラズマ処理システム」に相当することは明らかであり、引用発明の「高周波電源部102」は、プラズマ処理装置の真空容器内に高周波電力を供給するための部材であることは明らかであるから、引用発明の「高周波電源部102」が、本願発明の「プラズマ処理システム用の無線周波数(RF)発生器装置」に相当する。 (2)引用発明の「高周波を発振する高周波発振回路113」は、プラズマ処理装置の真空容器内に、凡そ20MHz乃至500MHzの周波数範囲のVHF周波数から選択される周波数の高周波電力を供給するための部材である前記「高周波電源部102」の一部であって、引用発明の前記「高周波電源部102」には、他に高周波電力供給をするための部材が存在しないことからして、引用発明の前記「高周波を発振する高周波発振回路113」と、本願発明の「RF信号を発生するように構成されたRF発振器と、前記RF信号に応答し、プラズマチャンバ負荷を駆動するのに十分な電力を有するVHF・RF信号を生成するRF増幅器」という構成は、「RF信号を発生するように構成されたRF発振器と、前記RF信号に応答し、プラズマチャンバ負荷を駆動するのに十分な電力を有するVHF・RF信号を生成する高周波電力供給手段」である点で共通しているといえる。 (3)そして、引用発明の「反射波を吸収する、反射波吸収負荷115を具備するサーキュレーター114」は、前記「高周波発振回路113」に接続されていて、プラズマ処理装置の真空容器内に投入されたVHF周波数の高周波電力の反射波を吸収することを意味することは明らかであるから、実質的に、本願発明の「VHF帯サーキュレータ」に相当し、上記(2)で共通するとした「高周波電力供給手段」に結合されているといえる。 したがって、本願発明と引用発明は、 「プラズマ処理システム用の無線周波数(RF)発生器装置であって、 RF信号を発生するように構成されたVHF・RF発振器と、 前記RF信号を発生するように構成されたRF発振器と、前記RF信号に応答し、プラズマチャンバ負荷を駆動するのに十分な電力を有するVHF・RF信号を生成する高周波電力供給手段と、 前記高周波電力供給手段に結合されたVHF帯サーキュレータと、 を含む装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。 〈相違点〉 本願発明は、RF信号に応答し、プラズマチャンバ負荷を駆動するのに十分な電力を有するVHF・RF信号を生成する「RF増幅器」を具備するとともに、VHF帯サーキュレータが、「広帯域」であって、「前記増幅器に結合され、かつ広帯域範囲において前記プラズマチャンバ負荷の非線形性を前記RF増幅器から分離するように構成され」ていることにより、「非線形負荷不整合状態に抵抗力のある」装置であるのに対し、 引用発明は、前記「RF増幅器」についての明示、及び、VHF帯サーキュレータが「広帯域」であるか否か明らかでないとともに、その機能についての明示がなく、「非線形負荷不整合状態に抵抗力のある」装置であるか否か明らかでない点。 5 検討・判断 上記相違点について検討する。 (1)RF増幅器について 引用例2に記載ないし図示されている(上記(2a)、(2c)、(2f)参照)ように、プラズマ生成装置の放電用電極に電気的に接続される高周波電源を、アンプと発振器によって構成することは当業者に周知の事項であるから、引用発明のプラズマ処理装置における高周波電力の供給を、RF増幅器を用いて達成すること、すなわち、高周波を発振するRF発振器と、当該RF発振器で発振した高周波を増幅するRF増幅器で構成することは、何らの創意も要しない事項、もしくは、引用発明が実質的に具備している事項ということができる。 したがって、本願発明が、RF信号に応答し、プラズマチャンバ負荷を駆動するのに十分な電力を有するVHF・RF信号を生成する「RF増幅器」を具備する点、及び、VHF帯サーキュレータが「前記増幅器に結合されている」点は格別なものとはいえない。 (2)VHF帯サーキュレータについて 本願発明の広帯域VHF帯サーキュレータに関する「広帯域範囲において前記プラズマチャンバ負荷の非線形性を前記RF増幅器から分離する」という発明特定事項について検討すると、当該事項は、本願の発明の詳細な説明の「一構成において、分離部14には、VHF帯サーキュレータ32が含まれ、このサーキュレータ32が、増幅器30に結合されて、プラズマチャンバ負荷16の非線形性をRF増幅器30から分離するように構成されている。一構成において、サーキュレータ32は、一ポート34から隣接ポート36をRFエネルギを伝える一方で、逆方向においては、他のポートからエネルギを切り離す受動非可逆(一方向)フェライト素子である。サーキュレータ32の第3のポート38は、終端抵抗器40を介して、接地に結合されている。」(段落【0033】参照)、「サーキュレータ32によって、相互作用するプラズマインピーダンスが引き起こす反射電力の分離および抑制がもたらされるが、反射電力は、さもなければ、全体的な発生器/プラズマ負荷システムの安定性および信頼性を劣化させるであろう。さらに、プラズマ負荷の状態、RF発生器装置10と負荷16との間のケーブル長、または任意の負荷不整合にもかかわらず、サーキュレータ32によって、RF発生器装置10は、性能パラメータに何の変化もなく、定格通りに動作が可能となる。」(段落【0068】参照)という記載からして、具体的には、「プラズマインピーダンス等の任意の負荷不整合によって引き起こされる反射電力を、終端抵抗器を介して接地することによって分離および抑制し、全体的な発生器/プラズマ負荷システムの安定性および信頼性を保つ」ことを意味するものと解される。 ここで、プラズマチャンバに配された電極と高周波電源部の間にサーキュレータを設けることにより、プラズマチャンバからの反射高周波電力をダミーロードに導いて、高周波電力の逆流を防止して機器の破損を防止することができることは引用例2に記載されている(上記(2a)?(2f)参照)ように、本願の優先日前に公知の事項である。 加えて、引用例1には、プラズマ処理装置における高周波電力波形に歪みによって生じる高調波等による反射波の発生やインピーダンス不整合の問題が指摘されている(上記(1b)参照)ことからして、引用発明の、反射波吸収負荷115を具備するサーキュレーター114からなる構成は、プラズマチャンバからの反射高周波電力を反射波吸収負荷115に導くことにより、その反射高周波電力が高周波発振回路113へ逆流することを防止する機能を果たし得ることは当然であるといえる。 そして、引用例1で指摘されている、高周波電力波形に歪みによって生じる高調波等による反射波やインピーダンス不整合の発生が線形に発生するものでなく、また広帯域周波数において発生することは、当業者に明らかな事項である。 そうすると、引用発明の反射波吸収負荷115を具備するサーキュレーター114なる構成を、「広帯域」において「プラズマインピーダンス等の任意の負荷不整合によって引き起こされる反射電力を、終端抵抗器を介して接地することによって分離および抑制し、全体的な発生器/プラズマ負荷システムの安定性および信頼性を保つ」ために用いること、すなわち、引用発明のVHFサーキュレーターを、「広帯域」とし、「プラズマチャンバ負荷の非線形性を前記RF増幅器から分離する」ために用いて、「非線形負荷不整合状態に抵抗力のある」装置とすることは、当業者が格別の困難なくなし得る事項である。 (3)小括 以上のとおりであるので、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された技術的事項、及び、当業者に周知または明らかな事項に基いて当業者が容易に発明できたものである。 6 むすび 上記のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術的事項、及び、当業者に周知または明らかな事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-07-13 |
結審通知日 | 2011-07-14 |
審決日 | 2011-08-02 |
出願番号 | 特願2004-507297(P2004-507297) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 林 靖 |
特許庁審判長 |
村田 尚英 |
特許庁審判官 |
樋口 信宏 橋本 直明 |
発明の名称 | 負荷不整合信頼性および安定性のあるVHFプラズマ処理のための方法および装置 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 田中 克郎 |