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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1270088
審判番号 不服2011-16376  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-29 
確定日 2013-02-13 
事件の表示 特願2005-294186「時間関連イメージの自動スタッキング」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月11日出願公開、特開2006-120142〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 経緯
本件出願は、平成17年10月6日(パリ条約による優先権主張2004年10月6日、米国)の出願であって、平成23年2月28日付けで手続補正がなされたが、平成23年3月15日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成23年7月29日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正(明細書、特許請求の範囲又は図面について請求と同時にする補正)がなされたものである。

2 補正却下の決定
平成23年7月29日付けの手続補正について次のとおり決定する。

〈補正却下の決定の結論〉
平成23年7月29日付けの手続補正を却下する。

〈補正却下の決定の理由〉
(1)補正の内容
平成23年7月29日付けの手続補正(以下、本件補正という)は、平成23年2月28日付けで補正された特許請求の範囲を次のように補正するものである。

[補正前]
【請求項1】
コンピュータ・デバイスによって実行される方法であって、この方法は、
しきい時間値を格納するステップと、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記自動的に整理するステップは、
デジタル・イメージのセット中の第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップとを備え、
前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、
前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さく、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さい
ことを特徴とする方法。

【請求項2】
入力に応じ、前記しきい時間値を受け取るステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップは、
前記第1のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと、
前記第2のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項4】
新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第2の差分が前記新たなしきい時間値より小さいときには、同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項5】
新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第1の差分が前記新たなしきい時間値より大きいときには、別々のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項6】
第1および第2スタックのうち一方を他方にドラッグする入力を受け取るステップと、
この入力の受け取りに応じ、前記第1および第2スタックの組み合わせを代表するスタックのグラフィカル表現を表示させるステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項7】
前記第1のスタック中のあるデジタル・イメージが前記第1のスタックのピック・イメージとなるよう割り当てるステップをさらに備え、
前記第1のスタックのグラフィカル表現を表示させるステップは、前記第1のスタックを代表するピック・イメージを表示させるステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項8】
前記第1のスタックに含ませるものとして前記デジタル・イメージのセットから1つ以上の追加用デジタル・イメージを選択するステップと、
前記第2のスタックに含ませるものとして前記デジタル・イメージのセットから1つ以上の追加用デジタル・イメージを選択するステップと、
前記第1および第2スタックに含ませるものとして前記デジタル・イメージのセットから追加用デジタル・イメージが選択されたときに、更新されるべき前記第1および第2のスタックのグラフィカル表現を表示させるステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項9】
前記しきい時間値は3?5秒を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項10】
入力に応じ、前記第1のスタック中の全てのデジタル・イメージを表示させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項11】
プログラムが格納されたコンピュータにより読み込み可能な記憶メディアであって、
前記プログラムは、コンピュータ・デバイスにより実行されるとこのコンピュータ・デバイスに方法を実行させ、この方法は
しきい時間値を格納するステップと、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記自動的に整理するステップは、
デジタル・イメージのセット中の第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップとを備え、
前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、
前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さく、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さい
ことを特徴とする記憶メディア。

【請求項12】
前記方法は、入力に応じ、しきい時間値を受け取るステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項11に記載の記憶メディア。

【請求項13】
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップは、
前記第1のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと、
前記第2のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと
を含むことを特徴とする請求項11に記載の記憶メディア。

【請求項14】
前記方法は、新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第2の差分が前記新たなしきい時間値より小さいときには、同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の記憶メディア。

【請求項15】
前記方法は、新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第1の差分が前記新たなしきい時間値より大きいときには、別々のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の記憶メディア。

[補正後]
【請求項1】
コンピュータ・デバイスによって実行される方法であって、この方法は、
第1のしきい時間値を格納するステップと、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、
前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップは、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記第1のしきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記第1のしきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む
ことを特徴とする方法。

【請求項2】
入力に応じ、前記第1のしきい時間値を受け取るステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップは、
前記第1のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと、
前記第2のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項4】
前記第2のしきい時間値を選択する入力の前に、前記第1のスタック中のあるデジタル・イメージが前記第1のスタックのピック・イメージとなるよう割り当てるステップをさらに備え、
前記第1のスタックのグラフィカル表現を表示させるステップは、前記第1のスタックを代表するピック・イメージを表示させるステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項5】
前記第2のしきい時間値を選択する入力の前に、
前記第1のスタックに含ませるものとして前記デジタル・イメージのセットから1つ以上の追加用デジタル・イメージを選択するステップと、
前記第2のスタックに含ませるものとして前記デジタル・イメージのセットから1つ以上の追加用デジタル・イメージを選択するステップと、
前記第1および第2スタックに含ませるものとして前記デジタル・イメージのセットから追加用デジタル・イメージが選択されたときに、更新されるべき前記第1および第2のスタックのグラフィカル表現を表示させるステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項6】
前記第1のしきい時間値は3?5秒を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項7】
入力に応じ、前記第1のスタック中の全てのデジタル・イメージを表示させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項8】
プログラムが格納されたコンピュータにより読み込み可能な記憶メディアであって、
前記プログラムは、コンピュータ・デバイスにより実行されるとこのコンピュータ・デバイスに方法を実行させ、この方法は
第1のしきい時間値を格納するステップと、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、
前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップは、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記第1のしきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記第1のしきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む
ことを特徴とする記憶メディア。

【請求項9】
前記方法は、入力に応じ、第1のしきい時間値を受け取るステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項8に記載の記憶メディア。

【請求項10】
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップは、
前記第1のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと、
前記第2のスタック中のデジタル・イメージがスタックに合体するのを示すアニメーションを表示させるステップと
を含むことを特徴とする請求項8に記載の記憶メディア。

上記補正は、特許請求の範囲を減縮するものと認められるので、独立特許要件について補正の適否を検討する。

(2)補正の適否(独立特許要件)
ア 請求項1
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」ともいう)は次のとおりである。

[補正後発明](補正後の請求項1)
コンピュータ・デバイスによって実行される方法であって、この方法は、
第1のしきい時間値を格納するステップと、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、
前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップは、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記第1のしきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記第1のしきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む
ことを特徴とする方法。

イ 刊行物1
査定の理由として示した特開2003-303211号公報(以下、「刊行物1」ともいう)には、図面とともに次の記載がある。

(刊行物1の記載)
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】この発明は,画像表示制御装置に関する。
【0002】
【発明の背景】多数の駒の画像の中から所望の画像を探し出すものとしてサムネイル画像を表示画面に多数表示し,表示された多数のサムネイル画像の中から所望の画像をユーザに選択させるものがある。選択されたサムネイル画像に似た画像が画像データベースの中から見つけだされ,表示画面に表示される。再びユーザによって所望の画像が選択され,選択された画像に似た画像が探し出される。このような処理が所望の画像が見つけられるまで繰り返される。
【0003】しかしながら,このようにして所望の画像を探し出すのでは画像を探し出すまでに時間がかかり,ユーザも多くの手間がかかる。
【0004】
【発明の開示】この発明は,比較的簡単に所望の画像を見つけることを目的とする。
【0005】この発明による画像表示制御装置は,画像データベースから多数駒の画像を表す画像データを読み取る読み取り手段,上記読み取り手段により読み取られた画像データによって表される多数駒の画像を撮影時刻ごとに分類する分類手段,ならびに撮影時刻を時刻順に示し,かつ分類された撮影時刻に含まれる画像に対応するグラフ(画像の駒数を表すグラフ)を含むタイム・テーブルおよび上記読み取り手段によって読み取られた画像データによって表される多数駒の画像の代表画像を上記タイム・テーブルに対応して表示画面上に表示するように表示装置を制御する第1の表示制御手段を備えていることを特徴とする。
【0006】上記画像表示制御装置に適した方法を提供するようにしてもよい。すなわち,その方法は,画像データベースから多数駒の画像を表す画像データを読み取り,読み取られた画像データによって表される多数駒の画像を撮影時刻ごとに分類し,撮影時刻を時刻順に示し,かつ分類された撮影時刻に含まれる画像に対応するグラフを含むタイム・テーブルおよび読み取られた画像データによって表される多数駒の画像の代表画像を上記タイム・テーブルに対応して表示画面上に表示するものである。
【0007】この発明によると,上記タイム・テーブルが表示される。分類された上記撮影時刻を時刻順に示し,かつ分類された撮影時刻に含まれる画像に対応するグラフが含まれている。したがって,上記タイム・テーブルを見ることにより,画像の撮影履歴をほぼ把握することができる。撮影履歴が分かるので,所望の画像を見つけやすくなる。また,読み取られた画像データによって表される多数駒の画像の代表画像も表示されるので,どのような画像が画像データベースに格納されているかも把握できる。
【0008】上記第1の表示制御手段は,たとえば,上記タイム・テーブルおよび撮影時刻ごとに分類された画像の中の代表画像を上記タイム・テーブルに対応した表示画面上に表示するように表示装置を制御するものである。
【0009】上記代表画像が,撮影時刻ごとに分類された画像ごとに表示されるので,それぞれの撮影時刻によって分類された画像の中にどのような画像が含まれているかを確認することができる。
【0010】上記代表画像を選択する選択手段および上記選択手段によって代表画像が選択されたことにより,撮影時刻ごとに分類された画像を表示画面上に表示するように上記表示装置を制御する第2の表示制御手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0011】探し出したい画像に近い代表画像が見つけられ,選択されることにより,選択された代表画像に対応して撮影時刻ごとに分類された画像が表示される。探したい画像を見つけやすくなる。
【0012】
【実施例の説明】図1は,この発明の実施例を示すもので,画像表示制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0013】画像表示制御装置の全体の動作は,CPU2によって統括される。
【0014】画像表示制御装置には,多数の画像を表す画像ファイルが格納されている画像データベース4が含まれている。画像ファイルには,撮影された日時を表す撮影日時データがファイルのヘッダ記録領域に記録されている。
【0015】キーボード,マウスなどの入力装置3からの出力信号は,CPU2に入力する。入力装置3から,各種指令を表す信号が出力される。
【0016】CPU2には,表示装置6の表示画面上に表示される画像を表す画像データ,その他のデータを一時的に記憶するメモリ1も接続されている。表示装置6における画像の表示等は,表示制御装置5によって制御される。
【0017】この実施例による画像表示装置は,ヴァーチャル・アルバムを作成し,作成されたヴァーチャル・アルバムの中から所望の画像を見つけることができるものである。
【0018】図2は,ヴァーチャル・アルバムを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【0019】画像データベース4に格納されている画像ファイルの中から画像の撮影日時データが読み取られる(ステップ11)。読み取られた撮影日時データによって表される撮影日時の順番に画像が並べられる。撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えたときに画像が区切られ,それぞれの区切りごとの画像が格納されるアルバム・フォルダが作成される(ステップ12)。
【0020】アルバム・フォルダが作成されると,それぞれのアルバム・フォルダごとに格納されている画像の中から代表画像が決定される(ステップ13)。通常は,アルバム・フォルダに格納されている画像の中で最初に撮影された画像が代表画像となろう。もっとも最初に撮影された画像でなくそのほかの画像を代表画像としてもよいのはいうまでもない。たとえば,アルバム・フォルダに格納されているすべての画像をユーザが閲覧し,ユーザによって代表画像が決定されてもよい。
【0021】アルバム・フォルダに格納されているすべての画像が再び撮影順に並べられる。撮影間隔が1時間以内の画像が同じシーンのものと判断され,シーン・フォルダの中に格納される。撮影間隔が1時間を超えるとシーンが異なるものとして別のシーン・フォルダの中に画像が格納される。撮影間隔が1時間を超えたときにシーンが区切られ,それぞれのシーンごとの画像が格納されるシーン・フォルダが作成される(ステップ14)。
【0022】シーン・フォルダが作成されると,アルバム・フォルダと同様にそれぞれのシーン・フォルダの中に格納されている画像の中で最初に撮影された画像が代表画像として決定される(ステップ15)。シーン・フォルダの場合もアルバムフォルダの場合と同様に,最初に撮影された画像を代表画像とするのではなく,その他の画像を代表画像とするようにしてもよい。
【0023】このようにして作成された画像を格納するシーン・フォルダは,対応するアルバム・フォルダ内に格納される。
【0024】その後,アルバムごとに,かつシーンごとの撮影履歴を示すタイム・テーブルを表すデータが作成される(ステップ16)。タイム・テーブルは,シーンごとの画像がいつ頃撮影されたかをグラフによって表わすものである(後述する図6参照)。
【0025】図3は,ヴァーチャル・アルバムのディレクトリ構成を示している。
【0026】上述のようにしてヴァーチャル・アルバムが作成されると,ディレクトリ(画像とシーン・フォルダとアルバム・フォルダとの関連づけ)が構成される。
【0027】大元のヴァーチャル・アルバム・フォルダが作成されている。そのヴァーチャル・アルバム・フォルダに上述したアルバム・フォルダ(アルバム・フォルダ名:アルバム1からアルバム9)が格納されている。それぞれのアルバム・フォルダ内にシーン・フォルダ(シーン・フォルダ名1,2,3など)が格納されている。シーン・フォルダに画像(画像1,2,3など)が格納されている。それぞれのシーン・フォルダ内に格納されている画像のうち最初に撮影された画像が代表画像とされている。
【0028】このようなディレクトリ構成とされることにより,上位のディレクトリ(フォルダ)から最下層の画像を見つけだすことができる。
【0029】図4は,ヴァーチャル・アルバムを閲覧(画像検索)するときの処理手順を示すフローチャートである。図5から図7は,表示装置6の表示画面に表示される画像の一例である。
【0030】入力装置3からヴァーチャル・アルバム閲覧指令が入力されると,表示装置6の表示画面には図5に示すアルバム・リストが表示される(ステップ21)。アルバム・リストは,上述のように作成されたヴァーチャル・アルバム・フォルダに格納されているアルバム・フォルダを示すアイコンを一覧で表示するものである。アルバム1からアルバム9までのフォルダを示すアイコンが表示されている。アルバム・フォルダに格納されている画像の駒数に対応して,厚さが異なるようにアルバム・フォルダ・アイコンの形が決定されている。アルバム・フォルダ・アイコンは,画像の駒数が多ければ,アルバムの厚さが厚く見える形状となっており,画像の駒数が少なければ,アルバムの厚さが薄く見える形状となっている。アルバム・フォルダの中に格納されている画像の駒数が多いか少ないかを一見して把握できる。
【0031】アルバム・フォルダ・アイコンの表面には,それぞれのアルバム・フォルダに格納されている画像の代表画像と,格納されている画像の撮影期間が表示されている。代表画像および撮影期間を見ることにより,アルバム・フォルダに格納されている画像の見当を付けることができる。
【0032】また,表示装置6の表示画面には,マウスによって操作されるカーソルCも表示されている。
【0033】所望の画像を見つけるときには,所望の画像が格納されているであろうアルバム・フォルダ・アイコンがクリックされる。すると,対応するアルバムが選択されたこととなり(ステップ22でYES),クリックされたアルバム・アイコンによって特定されるアルバムの目次が表示画面に表示される(ステップ23)。この実施例においては,アルバム7のアルバム・フォルダ・アイコンがクリックされたものとする。
【0034】図6を参照して,アルバムの目次にはタイム・テーブル・ページP1とシーン代表画像ページP2とが含まれている。
【0035】タイム・テーブル・ページP1には,選択されたアルバム・フォルダ内に格納されている画像の撮影日ごとにタイム・テーブル30,40および50が表示されている。いずれのタイム・テーブル30,40および50も1日(実際の活動時間は,午前6時ごろから午後12時ごろまでであるから左端は午前6時,右端は午後12時を示すものとなろう)を表しており,左側から右側に行くにつれて時間が経過していることを示している。タイム・テーブル30,40および50内のハッチングで示すシーン(グラフ)31,32および33,41,42および43ならびに51および52がそれぞれのシーンにおける撮影時間を示している。またシーンの幅が対応するシーン・フォルダに格納されている画像の駒数を示している。幅が広いほど画像の駒数が多く,幅が狭いほど画像の駒数が少ない。
【0036】タイム・テーブル30は,2002年1月22日に撮影された画像の撮影時間を示すものである。タイム・テーブル30には,シーン31,32および33が含まれている。シーン30は,午前7時30分ごろから午前9時過ぎごろまでの間の撮影シーンであることを示している。シーン31は,午前12時ごろから午後2時ごろまでの間の撮影シーンであることを示している。シーン32は,午後6時ごろから午後9時30分ごろまでの撮影シーンであることを示している。同様にタイム・テーブル40は,シーン41,42および43の3つのシーンが2002年1月23日にあることを示し,タイム・テーブル50は,シーン51および52の2つのシーンが2002年1月24日にあることを示している。
【0037】タイム・テーブル30,40または50を見ることによっていつ頃の撮影シーンの画像が選択されたアルバム・フォルダ内に格納されているかが分かる。
【0038】シーン代表画像ページP2には,シーン代表画像表示領域60,70および80がタイム・テーブル30,40および50に対応して形成されている。これらのシーン代表画像表示領域60,70および80のそれぞれにシーン代表画像がシーンに対応して表示されている。タイム・テーブル30のシーン31,32および33に対応して,シーン画像表示領域60にシーン代表画像61,62および63が表示されている。同様に,タイム・テーブル40のシーン41,42および43に対応して,シーン画像表示領域70にシーン代表画像71,72および73が表示され,タイム・テーブル50のシーン51および52に対応して,シーン画像表示領域80にシーン代表画像81および82が表示されている。
【0039】シーン代表画像を見ることにより各シーンの内容を把握することができる。
【0040】タイム・テーブル・ページPC1に表示されているタイム・テーブルに表されているシーンまたはシーン代表画像表示ページPC2に表示されているシーン代表画像をクリックすることにより,対応するシーン・フォルダに格納されている画像が表示されているアルバムのページが表示画面上に表示されるようになる。あたかも現実のアルバムのページをめくるようにしてアルバムに表示されている画像を鑑賞できる。
【0041】シーン代表画像ページPC2の上部にはしおり91,92および93,しおり101,102および103ならびにしおり111および112が見えている。これらのしおりもシーンを特定するものである。しおり91,92および93は,シーン31,32および33をそれぞれ特定するものであり,しおり101,102および103はシーン41,42および43をそれぞれ特定するものであり,しおり111および112はシーン51および52をそれぞれ特定するものである。これらのしおりがクリックされた場合にも対応するシーン・フォルダに格納されている画像が表示されているアルバムのページが表示画面上に表示されるようになる。上述したディレクトリ構成において(図2参照),シーン・フォルダに対応してしおりを特定するデータが格納されていることとなろう。
【0042】図4に戻って,ユーザによって所望のシーンが選択されると(ステップ24でYES),対応するシーン・フォルダに格納されている画像が表示されているアルバム・ページが表示画面上に表示される(ステップ25)。
【0043】図7は,アルバム・ページの一例である。
【0044】アルバム・ページPA1およびPA2には,選択されたシーン・フォルダ内に格納されている画像(画像1から画像4)画像が表示される。アルバム・ページPA1の右上には対応するしおり91も表示されている。さらに,アルバム・ページPA1の左下には前のアルバム・ページに戻るときにユーザによってクリックされる矢印121が表示されている。矢印121がクリックされることにより,あたかも1枚のアルバム台紙をめくって前のページに戻るようにして前のアルバム・ページに含まれる画像が表示されるようになる。アルバム・ページPA2の右下には次のアルバム・ページに進むときにユーザによってクリックされる矢印122が表示されている。矢印122がクリックされることにより,あたかも1枚のアルバム台紙をめくって次のページが現れる(図7は,アルバム・ページPA2がめくられ次のアルバム・ページPA4の一時が見えている)。現実のアルバムの台紙をめくるようにしてアルバムを鑑賞でき,所望の画像を探すことができるようになる。
【0045】ヴァーチャル・アルバムの形態を借りて所望の画像を見つけだすことができるようになる。
【0046】上述した処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体(CD-ROMなど)からプログラムを画像表示制御装置にインストールし,画像表示制御装置を制御するようにしてもよい。その場合には,記録媒体からプログラムを読み取るためのドライバ(CD-ROMドライバなど)が画像表示制御装置に設けられることとなろう。」
(刊行物1の記載、以上)


以上の記載によると刊行物1には「画像表示制御装置」に係る技術が記載されており、図1を用いて説明される「画像表示制御装置」は、
「【0013】画像表示制御装置の全体の動作は,CPU2によって統括される。
【0014】画像表示制御装置には,多数の画像を表す画像ファイルが格納されている画像データベース4が含まれている。画像ファイルには,撮影された日時を表す撮影日時データがファイルのヘッダ記録領域に記録されている。
【0015】キーボード,マウスなどの入力装置3からの出力信号は,CPU2に入力する。入力装置3から,各種指令を表す信号が出力される。
【0016】CPU2には,表示装置6の表示画面上に表示される画像を表す画像データ,その他のデータを一時的に記憶するメモリ1も接続されている。表示装置6における画像の表示等は,表示制御装置5によって制御される。
【0017】この実施例による画像表示装置は,ヴァーチャル・アルバムを作成し,作成されたヴァーチャル・アルバムの中から所望の画像を見つけることができるものである。」
というものである。

刊行物1には、この図1を用いて説明される「画像表示制御装置」においてなされる手順であって、図2を用いて説明される「ヴァーチャル・アルバムを作成する処理手順」が記載されており、その手順には「アルバム・フォルダを作成する」手順が含まれ、この「アルバム・フォルダを作成する」手順について、次のように記載されている。

「【0019】画像データベース4に格納されている画像ファイルの中から画像の撮影日時データが読み取られる(ステップ11)。読み取られた撮影日時データによって表される撮影日時の順番に画像が並べられる。撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えたときに画像が区切られ,それぞれの区切りごとの画像が格納されるアルバム・フォルダが作成される(ステップ12)。
【0020】アルバム・フォルダが作成されると,それぞれのアルバム・フォルダごとに格納されている画像の中から代表画像が決定される(ステップ13)。通常は,アルバム・フォルダに格納されている画像の中で最初に撮影された画像が代表画像となろう。もっとも最初に撮影された画像でなくそのほかの画像を代表画像としてもよいのはいうまでもない。たとえば,アルバム・フォルダに格納されているすべての画像をユーザが閲覧し,ユーザによって代表画像が決定されてもよい。
【0021】アルバム・フォルダに格納されているすべての画像が再び撮影順に並べられる。撮影間隔が1時間以内の画像が同じシーンのものと判断され,シーン・フォルダの中に格納される。撮影間隔が1時間を超えるとシーンが異なるものとして別のシーン・フォルダの中に画像が格納される。撮影間隔が1時間を超えたときにシーンが区切られ,それぞれのシーンごとの画像が格納されるシーン・フォルダが作成される(ステップ14)。
【0022】シーン・フォルダが作成されると,アルバム・フォルダと同様にそれぞれのシーン・フォルダの中に格納されている画像の中で最初に撮影された画像が代表画像として決定される(ステップ15)。シーン・フォルダの場合もアルバムフォルダの場合と同様に,最初に撮影された画像を代表画像とするのではなく,その他の画像を代表画像とするようにしてもよい。
【0023】このようにして作成された画像を格納するシーン・フォルダは,対応するアルバム・フォルダ内に格納される。
【0024】その後,アルバムごとに,かつシーンごとの撮影履歴を示すタイム・テーブルを表すデータが作成される(ステップ16)。タイム・テーブルは,シーンごとの画像がいつ頃撮影されたかをグラフによって表わすものである(後述する図6参照)。
【0025】図3は,ヴァーチャル・アルバムのディレクトリ構成を示している。
【0026】上述のようにしてヴァーチャル・アルバムが作成されると,ディレクトリ(画像とシーン・フォルダとアルバム・フォルダとの関連づけ)が構成される。
【0027】大元のヴァーチャル・アルバム・フォルダが作成されている。そのヴァーチャル・アルバム・フォルダに上述したアルバム・フォルダ(アルバム・フォルダ名:アルバム1からアルバム9)が格納されている。それぞれのアルバム・フォルダ内にシーン・フォルダ(シーン・フォルダ名1,2,3など)が格納されている。シーン・フォルダに画像(画像1,2,3など)が格納されている。それぞれのシーン・フォルダ内に格納されている画像のうち最初に撮影された画像が代表画像とされている。
【0028】このようなディレクトリ構成とされることにより,上位のディレクトリ(フォルダ)から最下層の画像を見つけだすことができる。
【0029】図4は,ヴァーチャル・アルバムを閲覧(画像検索)するときの処理手順を示すフローチャートである。図5から図7は,表示装置6の表示画面に表示される画像の一例である。
【0030】入力装置3からヴァーチャル・アルバム閲覧指令が入力されると,表示装置6の表示画面には図5に示すアルバム・リストが表示される(ステップ21)。アルバム・リストは,上述のように作成されたヴァーチャル・アルバム・フォルダに格納されているアルバム・フォルダを示すアイコンを一覧で表示するものである。アルバム1からアルバム9までのフォルダを示すアイコンが表示されている。アルバム・フォルダに格納されている画像の駒数に対応して,厚さが異なるようにアルバム・フォルダ・アイコンの形が決定されている。アルバム・フォルダ・アイコンは,画像の駒数が多ければ,アルバムの厚さが厚く見える形状となっており,画像の駒数が少なければ,アルバムの厚さが薄く見える形状となっている。アルバム・フォルダの中に格納されている画像の駒数が多いか少ないかを一見して把握できる。
【0031】アルバム・フォルダ・アイコンの表面には,それぞれのアルバム・フォルダに格納されている画像の代表画像と,格納されている画像の撮影期間が表示されている。代表画像および撮影期間を見ることにより,アルバム・フォルダに格納されている画像の見当を付けることができる。
【0032】また,表示装置6の表示画面には,マウスによって操作されるカーソルCも表示されている。
【0033】所望の画像を見つけるときには,所望の画像が格納されているであろうアルバム・フォルダ・アイコンがクリックされる。すると,対応するアルバムが選択されたこととなり(ステップ22でYES),クリックされたアルバム・アイコンによって特定されるアルバムの目次が表示画面に表示される(ステップ23)。この実施例においては,アルバム7のアルバム・フォルダ・アイコンがクリックされたものとする。」

この図1を用いて説明される「画像表示制御装置」においてなされる手順であって、図2を用いて説明される「ヴァーチャル・アルバムを作成する処理手順」に含まれる上記「アルバム・フォルダを作成する」手順は、「アルバム・フォルダを作成する方法」ということができ、この「アルバム・フォルダを作成する方法」を補正後発明と対比する刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物1発明」ともいう)として認定する。

ウ 対比
補正後発明と刊行物1発明とを対比する。

(ア)「コンピュータ・デバイスによって実行される方法」
刊行物1発明は、図1を用いて説明される「画像表示制御装置」においてなされる方法であり、この「画像表示制御装置」は
「【0013】画像表示制御装置の全体の動作は,CPU2によって統括される。
【0014】画像表示制御装置には,多数の画像を表す画像ファイルが格納されている画像データベース4が含まれている。画像ファイルには,撮影された日時を表す撮影日時データがファイルのヘッダ記録領域に記録されている。
【0015】キーボード,マウスなどの入力装置3からの出力信号は,CPU2に入力する。入力装置3から,各種指令を表す信号が出力される。
【0016】CPU2には,表示装置6の表示画面上に表示される画像を表す画像データ,その他のデータを一時的に記憶するメモリ1も接続されている。表示装置6における画像の表示等は,表示制御装置5によって制御される。
【0017】この実施例による画像表示装置は,ヴァーチャル・アルバムを作成し,作成されたヴァーチャル・アルバムの中から所望の画像を見つけることができるものである。」
というものであり、CPU2を中心としたメモリ1、入力装置3、データベース4、表示制御装置5、表示装置6、全体の構成として「コンピュータ」装置と見ることができるから、刊行物1発明は「コンピュータ・デバイスによって実行される方法」ということができる。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは「コンピュータ・デバイスによって実行される方法」という点で一致する。

(イ)「第1のしきい時間値を格納するステップと、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、」

a 「第1のしきい時間値を格納するステップ」

補正後発明は「しきい時間値」によって「デジタル・イメージ」が「自動的に整理」されるものであるところ、刊行物1発明は、「撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えたときに画像が区切られ,それぞれの区切りごとの画像が格納されるアルバム・フォルダが作成される(ステップ12)。」【0019】から、「24時間」を閾値として「画像」が「自動的に整理」されるといえ、刊行物1発明のこの「24時間」が補正後発明の「しきい時間値」に対応するものといえ、「しきい時間値」によって「デジタル・イメージ」が「自動的に整理」されるという点において、補正後発明の「しきい時間値」と刊行物1発明の「24時間」は一致するといえる。すなわち、補正後発明と刊行物1発明とは「しきい時間値」を有する点で一致する。
もっとも、刊行物1発明は、この「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができない。
また、刊行物1発明は「24時間」という「時間値」を用いているだけであり、補正後発明が「第2のしきい時間値」との関係で「第1のしきい時間値」というような意味で、刊行物1発明は「24時間」を「しきい時間値」として「第1の」ということができない。
したがって、補正後発明は「第1のしきい時間値を格納するステップ」を備えることに対して、刊行物1発明は「しきい時間値」を「第2のしきい時間値」との関係で「第1の」ということができず、また、「しきい時間値を格納するステップ」を備えない点で相違する。

b 「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップ」

刊行物1発明は、「24時間」という「時間値」を用いて「画像」が「自動的に整理」されるといえるところ、具体的には、
「【0019】画像データベース4に格納されている画像ファイルの中から画像の撮影日時データが読み取られる(ステップ11)。読み取られた撮影日時データによって表される撮影日時の順番に画像が並べられる。撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えたときに画像が区切られ,それぞれの区切りごとの画像が格納されるアルバム・フォルダが作成される(ステップ12)。」
のであって、「撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。」こととなる各アルバム・フォルダの中にそれぞれ「撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され」た複数の画像が格納される。ここで各アルバム・フォルダの中に格納されるそれぞれの複数の画像はそれぞれ「デジタル・イメージのセット」といい得、各アルバム・フォルダのそれぞれは「スタック」といいうるから、
刊行物1発明は、「前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップ」を備えるといえ、この点で補正後発明と刊行物1発明は一致する。
もっとも、刊行物1発明は、この「しきい時間値」について「第1の」いえないことは上記したとおりである。

c 「前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップ」

刊行物1発明は、アルバム・フォルダについて、図5で示すように「アルバムリスト」として表示され、その表示は、
「【0030】・・・アルバム・リストは,上述のように作成されたヴァーチャル・アルバム・フォルダに格納されているアルバム・フォルダを示すアイコンを一覧で表示するものである。アルバム1からアルバム9までのフォルダを示すアイコンが表示されている。アルバム・フォルダに格納されている画像の駒数に対応して,厚さが異なるようにアルバム・フォルダ・アイコンの形が決定されている。アルバム・フォルダ・アイコンは,画像の駒数が多ければ,アルバムの厚さが厚く見える形状となっており,画像の駒数が少なければ,アルバムの厚さが薄く見える形状となっている。アルバム・フォルダの中に格納されている画像の駒数が多いか少ないかを一見して把握できる。
【0031】アルバム・フォルダ・アイコンの表面には,それぞれのアルバム・フォルダに格納されている画像の代表画像と,格納されている画像の撮影期間が表示されている。代表画像および撮影期間を見ることにより,アルバム・フォルダに格納されている画像の見当を付けることができる。」
ものである。
このように、複数のアルバム・フォルダが「アルバム・フォルダを示すアイコンを一覧で表示」され、それぞれのアイコンは、「画像の駒数が多ければ,アルバムの厚さが厚く見える形状となっており,画像の駒数が少なければ,アルバムの厚さが薄く見える形状となっている。」ものであって、図5で示されるように、厚みのある実際のアルバムが並んでいるかのように表示されており、このような表示は「グラフィカル表現」といいうる。
したがって、刊行物1発明は「前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップ」を備えるといい得、この点で補正後発明と刊行物1発明とは一致する。

d まとめ
以上のとおりであるから、補正後発明と刊行物1発明とは、

「しきい時間値」を有し、
「前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップ」と、
「前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップ」を備える点で一致し、

補正後発明は「第1のしきい時間値を格納するステップ」を備えることに対して、刊行物1発明は「しきい時間値」を「第2のしきい時間値」との関係で「第1の」ということができず、また、「しきい時間値を格納するステップ」を備えない点で相違する。

(ウ)「前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、
前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず」

刊行物1発明では、
「読み取られた撮影日時データによって表される撮影日時の順番に画像が並べられる。撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。撮影間隔が24時間を超えたときに画像が区切られ,それぞれの区切りごとの画像が格納されるアルバム・フォルダが作成される(ステップ12)。」
のであって、「読み取られた撮影日時データによって表される撮影日時の順番に画像が並べられる。」ことから、各画像は「撮影日時データ」と関連付けられているといえ、刊行物1発明は「前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、」といいうる。

刊行物1発明において、各アルバム・フォルダには、「撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され」て格納され、アルバム・フォルダに格納される画像として、上記「撮影日時データ」と関連付けられている複数の画像が想定され、また、その複数の画像は、2枚だけというよりむしろ3枚以上の多数のものが想定されているといえ、さらに、その3枚以上の画像について、「撮影日時の順番に画像が並べられ」ている3枚の画像が想定される。
したがって、刊行物1発明は、「前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、」といいうる。

また、そのような「撮影日時の順番に画像が並べられ」ている「撮影日時の順番に」連続した3枚の画像についてみると、「撮影日時の順番に」連続するから、撮影日時は順に大きくなり、また、間に他の画像を含まないのであって、
1枚目の画像の撮影日時は、2枚目の画像の撮影日時より小さく、
2枚目の画像の撮影日時は、3枚目の画像の撮影日時より小さく、
1枚目の画像の撮影日時と2枚目の画像の撮影日時との間の撮影日時の画像を含まず、
2枚目の画像の撮影日時と3枚目の画像の撮影日時との間の撮影日時の画像を含まない
といえる。

このようであるから、刊行物1発明は補正後発明と同じく、
「前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、
前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず」
といいうるものであり、この点で補正後発明と刊行物1発明とは一致する。

(エ)「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップは、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記第1のしきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記第1のしきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず」

刊行物1発明は、
上記[2 (2) ウ (イ) b]で述べたように、刊行物1発明は、「24時間」という「時間値」を用いて「画像」が「自動的に整理」されるといえるところ、具体的には、【0019】記載のように、
・画像データベース4に格納されている画像ファイルの中から画像の撮影日時データが読み取られる(ステップ11)。
・読み取られた撮影日時データによって表される撮影日時の順番に画像が並べられる。
・撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。
・撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。
・撮影間隔が24時間を超えたときに画像が区切られ,それぞれの区切りごとの画像が格納されるアルバム・フォルダが作成される(ステップ12)。
のである。

ここで「撮影日時の順番に画像が並べられる。」ときに、上記[2 (2) ウ (ウ)]で述べたような連続した3枚の画像が想定され、「撮影日時の順番に画像が並べられ」た多数の画像のそれぞれについて相対的に、第1、第2、第3の画像ということができる。

・「撮影間隔が24時間以内の画像が関連するものと判断され,特定のアルバム・フォルダの中に格納される。」とき、当然に2枚の画像の間隔が調べられ、この間隔が「24時間以内」であれば、この2枚の画像は「特定のアルバム・フォルダの中に格納される」こととなる。また、これは、2枚目の画像と3枚目の画像との間隔についても同様になされるといえ、1枚目と2枚目との間隔が「24時間以内」であり、2枚目と3枚目の間隔も「24時間以内」であれば、1、2、3枚目の画像は同じ「特定のアルバム・フォルダの中に格納され」ることとなる。
ところが、
・「撮影間隔が24時間を超えると,画像同士が関連しないものとして別のアルバム・フォルダの中に格納される。」から、2枚目と3枚目の間隔が「24時間を超えると」、「別のアルバム・フォルダの中に格納される。」こととなり、1、2枚目の画像は「特定のアルバム・フォルダの中に格納され」、3枚目の画像は「別のアルバム・フォルダの中に格納される」ことになる。

このように、刊行物1発明において、「(当然に)2枚の画像の間隔が調べられ」ることは、「(ひとつの)デジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、(次の)デジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較する」ということができ、また、調べられた「間隔」は「(ひとつの)デジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、(次の)デジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する差分」といいうるから、
1枚目と2枚目とについて、
「前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップ」を備えるということができ、
1枚目と2枚目との間隔が「24時間以内」の場合、この2枚の画像が「特定のアルバム・フォルダの中に格納される」ことが、自動的になされるといえるから、
「前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ」を備えるということができ、
2枚目と3枚目とについて、
「前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップ」を備えるということができ、
2枚目と3枚目との間隔が「24時間を超える」の場合、3枚目の画像が「別のアルバム・フォルダの中に格納される」ことが自動的になされるといえるから、
「前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ」を備えるといえる。

そして、刊行物1発明で、1枚目と2枚目との間隔が「24時間以内」であり、2枚目と3枚目の間隔が「24時間を超えると」、1、2枚目の画像は「特定のアルバム・フォルダの中に格納され」、3枚目の画像は「別のアルバム・フォルダの中に格納される」ことになるから、
「前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず」といえることとなる。

このようであるから、
刊行物1発明は、
「前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップは、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず」といい得、この点で補正後発明と一致する。
もっとも、刊行物1発明は、この「しきい時間値」について「第1の」いえないことは上記したとおりである。

(オ)「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」

上記[2 (2) ウ (イ) a]に述べたように、
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができず、補正後発明が「第2のしきい時間値」との関係で「第1のしきい時間値」というような意味で、刊行物1発明は「24時間」を「しきい時間値」として「第1の」ということができないものである。
そのことにより、上記[2 (2) ウ (エ)]に述べたように、刊行物1発明は「前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、」上記のような整理がなされるものではあるが、そのステップの後に、「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力」を入力する構成を認めることができず、

「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」
ということができない。

したがって、補正後発明は、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」
ことに対して、刊行物1発明はそうでない点で相違する。

(カ)相違点のまとめ
以上のように補正後発明の構成毎に対比されるところ、各構成における上記相違点は、
刊行物1発明が
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができないことに対して、
補正後発明が
「しきい時間値を格納するステップ」を有し、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力」を入力する構成を有することの相違、
すなわち、
刊行物1発明は、24時間という1つのしきい時間値に基づく自動整理の技術であるところ、
補正後発明は、しきい時間値を入力し、自動整理をやり直すことができるという相違に基づく相違と認めることができ、
この相違により、
補正後発明が
「しきい時間値を格納するステップ」を有し、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力」を入力する構成を有することにより、
「しきい時間値」について「第1の」「第2の」といい、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」
ことに対して、
刊行物1発明が
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができないことにより、
「しきい時間値」について「第1の」ということができず、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」構成を有しない点で相違するものといえる。

エ 一致点相違点
以上の対比によると、補正後発明と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
コンピュータ・デバイスによって実行される方法であって、この方法は、
しきい時間値を有し、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記デジタル・イメージのセット中の各デジタル・イメージは作成日時と関連づけられ、
前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップは、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まない
ことを特徴とする方法。

[相違点]
刊行物1発明が
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができないことに対して、
補正後発明が
「しきい時間値を格納するステップ」を有し、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力」を入力する構成を有することの相違、
すなわち、
刊行物1発明は、24時間という1つのしきい時間値に基づく自動整理の技術であるところ、
補正後発明は、しきい時間値を入力し、自動整理をやり直すことができるという相違に基づく相違と認めることができ、
この相違により、
補正後発明が
「しきい時間値を格納するステップ」を有し、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力」を入力する構成を有することにより、
「しきい時間値」について「第1の」「第2の」といい、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」
ことに対して、
刊行物1発明が
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができないことにより、
「しきい時間値」について「第1の」ということができず、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」構成を有しない点。

オ 判断
写真アルバムの作成が、写真の内容、アルバム作成者の意図によって、様々に設定、もしくは、組み替えられるものであることは、一般的に認められるところ、
刊行物1では
「【0004】
【発明の開示】この発明は,比較的簡単に所望の画像を見つけることを目的とする。」
とし、
「【0017】この実施例による画像表示装置は,ヴァーチャル・アルバムを作成し,作成されたヴァーチャル・アルバムの中から所望の画像を見つけることができるものである。」
であって、
「【0044】・・・現実のアルバムの台紙をめくるようにしてアルバムを鑑賞でき,所望の画像を探すことができるようになる。
【0045】ヴァーチャル・アルバムの形態を借りて所望の画像を見つけだすことができるようになる。」
と説明され、
刊行物1発明で作成され「しきい時間値」が「24時間」で作成される図5のように表示されるアルバムも、「現実のアルバム」すなわち一般的な写真アルバムと同様に、写真の内容、アルバム作成者の意図によって、様々に設定、もしくは、組み替えられるようにするために、「しきい時間値」を「24時間」で固定せず、アルバム作成者の意図によって設定するようにしようと思うことは、容易に想到できることといえる。
そのために、「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明である刊行物1発明において、「しきい時間値」を「24時間」で固定せず、アルバム作成者の意図によって設定できるように、「しきい時間値」を入力できるようにして、入力したしきい時間値を処理のために格納するように「しきい時間値を格納するステップ」を備えるようにすることは、当業者が容易に想到できることである。
同時に、そのように「しきい時間値」を入力できるようにして、一度特定のしきい時間値で自動的に整理したアルバムについて、アルバム作成者の意図に沿うように組み替えるために試行錯誤して「しきい時間値」の入力をやり直して、所望のアルバムにしようとすることは自然である。入力する「しきい時間値」が長ければ1つのアルバムに多くの写真が集まり、短ければアルバムが細分化されるのは自明であって、1つのアルバムに多くの写真を集めようと思えば、入力する「しきい時間値」を長くし、アルバムを細分化しようと思えば、入力する「しきい時間値」を短くするのは当然といえ、
「前記デジタル・イメージのセットは、第1のデジタル・イメージ、第2のデジタル・イメージ、第3のデジタル・イメージを備え、
前記第1のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第2のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記第2のデジタル・イメージと関連づけられ作成日時は、第3のデジタル・イメージの作成日時より小さく、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第1のデジタル・イメージの作成日時と前記第2のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、
前記デジタル・イメージのセットは、前記第2のデジタル・イメージの作成日時と前記第3のデジタル・イメージの作成日時との間の作成日時に関連づけられたデジタル・イメージを含まず、」
という関係の下で
「前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと
を備え、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後には、(a1)前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、(b1)前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まない」
状況において、
アルバムを細分化しようと思って、入力する「しきい時間値」を短くするとき、上記状況が、しきい時間値に対して第1の差分が小さく、第2の差分が大きいのが自明であるから、第1の差分がしきい時間値より小さいことによって1つのスタック(アルバム)に1番目と2番目の写真が入ることになったのを、入力するしきい時間値を第1の差分より小さくしてアルバムを細分化しようとするのは自然であり、
また、
1つのアルバムに多くの写真を集めようと思ったときは、その逆に、入力するしきい時間値を第2の差分より大きくして1つのアルバムに多くの写真を集めようとするのも自然である。
このようにするとき、先に整理したときの「しきい時間値」を「第1の」、次に整理するときの「しきい時間値」を「第2の」ということができる。
このようにすると、
入力する「しきい時間値」によって、
「前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択する」ものとなり、
第2のしきい時間値による整理は、第1のしきい時間値による整理に対して、「さらに」なされるものとなる。

そうであるから、刊行物1発明において、
「しきい時間値を格納するステップ」を備えるようにし、
「しきい時間値」について「第1の」といい、次に入力する「しきい時間値」について「第2の」といい、
「前記第1のしきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップの後に」
「第2のしきい時間値に、(a2)前記第1の差分より小さいか、もしくは(b2)前記第2の差分より大きい、値を選択する入力に応じ、
前記第2のしきい時間値が前記第1の差分より小さいときには、デジタル・イメージの別々のスタックに含ませるものとして前記第1、第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択し、
前記第2のしきい時間値が前記第2の差分より大きいときには、デジタル・イメージの同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップをさらに含む」構成として、補正後発明の相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できることといえる。
そして、そのような構成において、補正後発明の効果は当業者が予測できるものである。
よって、補正後発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

カ 補正の適法性 まとめ
以上のとおり、補正後の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものということができない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり、決定する。

3 本願発明
上記のとおり、平成23年7月29日付けの手続補正は却下した。
したがって、本件出願の請求項1ないし15に係る発明は、平成23年2月28日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載されたとおりのものであり、そのうち、請求項4に係る発明(以下、「本願発明」ともいう)は、次のとおりである。なお、請求項4は請求項1を引用するので、引用される請求項1とともに示す。

[本願発明]
(請求項1)
コンピュータ・デバイスによって実行される方法であって、この方法は、
しきい時間値を格納するステップと、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記自動的に整理するステップは、
デジタル・イメージのセット中の第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップとを備え、
前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、
前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さく、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さい
ことを特徴とする方法。
(請求項4)
新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第2の差分が前記新たなしきい時間値より小さいときには、同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

4 刊行物1
査定の理由として示した特開2003-303211号公報(以下、「刊行物1」ともいう)には、上記[2 (2) イ]に述べた記載及び発明(刊行物1発明)が認められる。

5 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
本願発明は、上記本件補正前の(請求項1を引用する)請求項4のとおりのものであって、上記[2 (2) ウ]で述べた対比を援用する。
本願発明は補正後発明の「第1のしきい時間値」「第2のしきい時間値」を「しきい時間値」「新たなしきい時間値」と表現して、「しきい時間値を入力し、自動整理をやり直すことができる」点を表現していると認められるものであり、本願発明と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
コンピュータ・デバイスによって実行される方法であって、この方法は、
しきい時間値を有し、
前記しきい時間値に基づいて、デジタル・イメージのセットを複数のスタックに自動的に整理するステップと、
前記複数のスタックの各々のグラフィカル表現を表示させるステップと
を備え、
前記自動的に整理するステップは、
デジタル・イメージのセット中の第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第1の差分を設定する、比較するステップと、
デジタル・イメージのセット中の第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、デジタル・イメージのセット中の第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時とを比較するステップであって、前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時と、前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時との差を反映する第2の差分を設定する、比較するステップと、
前記第1の差分が前記しきい時間値より小さいときには、前記複数のスタック中の第1のスタックに含ませるものとして前記第1および第2のデジタル・イメージを自動的に選択するステップと、
前記第2の差分が前記しきい時間値より大きいときには、前記複数のスタック中の第2のスタックに含ませるものとして前記第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップとを備え、
前記第1のスタックは前記第3のデジタル・イメージを含まず、
前記第2のスタックは前記第1のデジタル・イメージも前記第2のデジタル・イメージも含まず、
前記第1のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さく、
前記第2のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時は前記第3のデジタル・イメージに関連づけられた作成日時よりも小さい
ことを特徴とする方法。

[相違点]
刊行物1発明が
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができないことに対して、
本願発明が
「しきい時間値を格納するステップ」を有し、
「新たなしきい時間値を選択する入力」を入力する構成を有することの相違、
すなわち、
刊行物1発明は、24時間という1つのしきい時間値に基づく自動整理の技術であるところ、
本願発明は、しきい時間値を入力し、自動整理をやり直すことができるという相違に基づく相違と認めることができ、
この相違により、
本願発明が
「しきい時間値を格納するステップ」を有し、
「新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第2の差分が前記新たなしきい時間値より小さいときには、同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備える」
ことに対して、
刊行物1発明が
「24時間」という「時間値」を用いているが、方法としていかに設定、保持する、もしくは、設定され保持されるか不明であり、「しきい時間値を格納するステップ」を認めることができないことにより、
「新たなしきい時間値を選択する入力に応じ、前記第2の差分が前記新たなしきい時間値より小さいときには、同一のスタックに含ませるものとして前記第2および第3のデジタル・イメージを自動的に選択するステップ
をさらに備える」構成を有しない点。

6 判断
上記相違点は、補正後発明と刊行物1発明との相違点と同様の技術的相違といえ、上記[2 (2) エ]で述べた判断と同様に判断される。
よって、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
以上のとおり、本件出願の請求項4に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件出願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-30 
結審通知日 2012-09-11 
審決日 2012-09-24 
出願番号 特願2005-294186(P2005-294186)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06T)
P 1 8・ 575- Z (G06T)
P 1 8・ 121- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡本 俊威  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 小池 正彦
猪瀬 隆広
発明の名称 時間関連イメージの自動スタッキング  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  
代理人 黒川 弘朗  

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