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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01B
管理番号 1270144
審判番号 不服2010-8608  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-22 
確定日 2013-02-14 
事件の表示 特願2003-573382「動的な加工品比較法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月12日国際公開、WO03/74968、平成17年 6月30日国内公表、特表2005-519277〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯等
(1)経緯
本願は、平成15年3月6日の出願(優先権主張日:2002年3月6日、英国)であって、平成18年3月3日付けで明細書についての補正がなされ(以下、「補正1」という。)、明細書及び特許請求の範囲について、平成21年3月11日付けで補正がなされ(以下、「補正2」という。)、同じく、平成21年11月24日付けで補正がなされ(以下、「補正3」という。)、平成21年12月17日付け(送達:同年12月22日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年4月22日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
その後、平成23年11月25日付けで当審より拒絶理由を通知したところ(以下、「当審拒絶理由」という。)、平成24年6月20日付けで、明細書及び特許請求の範囲についての補正(以下、「補正4」という。)がなされた。

(2)当審拒絶理由
当審拒絶理由の概要は、本願の各請求項に係る発明は、いずれも、その優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である特表平1-503733号公報(以下、「引用例」という。)に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

(3)本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明は、補正1ないし補正4によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面からみて、その請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は次のとおりである。
「ワークピース検出プローブが各ワークピースと位置検出関係をもって読み取り位置に移動される座標測定装置を用い、同等の一連のワークピースを検査する方法であって、
(a)前記ワークピースに近似した特徴、寸法および部位を有し、前記座標測定装置を用いずに較正された加工品を準備する工程と、
(b)前記座標測定装置を用い、前記ワークピース検出プローブを、動的誤差を生じさせる速度で前記加工品に対して移動させることで前記加工品を測定する工程であって、当該移動の速度が、当該加工品の測定に続いて次のワークピースを測定するときにも適用され、かつ前記加工品および前記次のワークピースの測定に同様の動的誤差を生じさせる速度である当該工程と、
(c)前記加工品の較正値および前記加工品の測定値の差に対応する誤差マップまたは誤差関数を生成する工程と、
(d)前記座標測定装置により前記速度で前記次のワークピースを測定する工程と、
(e)当該次のワークピースの測定値を前記誤差マップまたは誤差関数を用いて補正することで、動的誤差を除去もしくは低減する工程と、
を具えるワークピース検査方法。」(以下、「本願発明」という。)。

2.引用例記載の事項・引用発明
(1)記載事項
これに対し、当審拒絶理由で引用した引用例である特表平1-503733号公報には、特に加工物検査方法(発明の名称)に関し、次の事項(ア)?(ケ)が図面とともに記載されている。
(ア)「1)プローブを移動させて加工物と位置検知関係を取り、位置を読取る加工物検査方法において、次の(a)ないし(e)のステップを適正な順序で備えたことを特徴とする加工物検査方法。
(a)プローブを比較的遅い速度で移動させて第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップ
(b)プローブを比較的速い速度で移動させて第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップ
(c)ステップ(a),(b)で読取った2つの読みの差を表わす値を記録するステップ
(d)プローブを速い速度で移動させて第2の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップ
(e)ステップ(c)で記録した値を用いてステップ(d)で読取った読みを補正するステップ」(請求の範囲1))
(イ)「背景技術
加工物が加工された後、座標測定装置(CMM)により加工物を検査することは、通常、行なわれていることである。」(2頁左上欄10行?14行)
(ウ)「この不確かさの別の原因は、CMM自体にある。可動アームは3方向に加速されたり、減速されたりするので、装置の構造は動荷重では歪みやすい、この歪は、プローブの移動速度および瞬間的な移動方向に応じて、また、測定範囲の瞬間X、Y、Z位置に応じて増減する。
このような問題点の解決方法として今日取られているものとしては、プローブを加工物に接触させる場合、プローブを非常に遅く移動させるようにする方法がある。この方法によると、動的な歪とプローブのプリトラベルに起因する不確かさが減少する。」(2頁右上欄14行?24行)
(エ)「発明を実施するための最良の形態
第1図に示すCMMは次のように構成されている。
テーブル10の上に加工物が載置してある。本質的に同一の一連の加工物を、加工工程から、テーブル10上の同一位置および方向に、図示しない自動的な手段により載置するのが望ましい。」(3頁右上欄14行?20行)
(オ)「第2図を参照して、検査方法を実行する手続きを説明する。
測定に先立ち、プローブ14を通常の方法により、より遅い速度で較正用標準ボールのような較正用標準物体に接触させ、プローブの所定移動方向に対して、較正、すなわち、「基準決め」を行なう。よく知られていることであるが、この「基準決め」により、1組の補正偏差が得られ、補正偏差は将来の使用に備えてコンピュータ18に格納される。
加工工程が開始されると、ステップ30にて、CMM上で測定される最初の加工物12がテーブル10に載置され、加工物の載置は、上述したように、自動的な載置機構により行なうのが望ましい。
そして、ステップ32にて、第1の加工物の所定点が、第1図Bに示すダブルタッチングメソッドを用いて、従来の方法で測定される。このようにして読取った読みは、予め格納されていた適正な補正偏差を用いて、コンピュータ18により従来の方法で補正される。補正された読みは格納される。ついで、ステップ34にて、第1の加工物の読取りが速い速度で、すなわち、第1図Aに示す方法により繰り返される。
ここで、ステップ32,34は同時に行うことができる。ステップ32,34では、第1の加工物のそれぞれの点を、第1図Bにライン24で示す期間、すなわちプローブを速く移動させる期間に読取る「速読み」を行なうことができ、その後、ライン28で示す期間、すなわちプローブを遅く移動させる期間に読取る「遅読み」を行なうことができるからである。」(3頁左下欄23行?右下欄25行)
(カ)「「速読み」による読みは当然格納されている偏差を用いて補正されない。「速読み」および「遅読み」により、第1の加工物上のそれぞれの点が読取られた場合は、ステップ36にて、読取られたそれぞれの読みの差が算出され、算出された差が格納される。その結果、それぞれの測定点の誤差が格納され、これらの誤差は、通常の「基準決め」により得られる、スタイラスの径と、より遅い速度でのプローブのプリトラベルとが考慮に入れられ、また、より速い速度での異なるプリトラベルと、より速い速度での装置構造の動的な歪みが考慮に入れられている。」(4頁左上欄1行?11行)
(キ)「ステップ38では、加工工程の第1の加工物が取り除かれ、第2の加工物が、望ましくは、自動ハンドリング機構を用いて、所定位置に載置される。ステップ40にて、第1図Aに示す方法を用いて、第2の加工物の「速読み」が行なわれる。速度はステップ34で用いた速度と同一の速い速度である。」(4頁左上欄15行?20行)
(ク)「ステップ42にて、ステップ40での「速読み」による読みを、対応する差にステップ36にて格納した誤差を加算して補正する。これにより、「速読み」に起因する誤差が補正される。」(4頁右上欄3行?6行)
(ケ)「上述した方法は、スキャンに用いられる測定プローブに適用可能であり、また、トリガプローブに適用可能である。スキャンの場合には、また、動的歪に起因して誤差が生じる。本方法をスキャンに適用するには、加工物を、まず、遅い速度でスキャンしてこのような誤差を生じないようにし、ついで、スキャンを速い速度で繰り返す、誤差の算出は、既に行なったように、加工物のそれぞれの測定点で、2つの対応する読みを減算して行なわれる。速い速度でのスキャンに起因する動的な誤差からマップが形成される。得られた誤差は、別の本質的に同一の加工物を速い速度でスキャンして得られる測定値を補正するのに用いられる。」(4頁左下欄17行?右下欄4行)

・前記記載(ア)、(イ)、(エ)から、
ア 「プローブが加工物と位置検知関係を取りながら移動される座標測定装置(CMM)により、本質的に同一の一連の加工物の位置を読取る加工物検査方法」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(ア)、(イ)、(エ)、及びFig.2から、
イ 「(a´)プローブを比較的遅い速度で移動させて、本質的に同一の一連の加工物中の第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読み取るステップ」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、及びFig.2から、
ウ 「(b´)座標測定装置を用い、プローブを動的歪を生じさせる比較的速い速度で移動させて第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップ」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(オ)、(キ)、及びFig.2から、
エ 「第1の加工物の読み取り速度は、第1の加工物の読取りに続いて第2の加工物の読取りにおける読み取り速度と同一である速い読み取り速度である」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(ア)、(カ)、(ケ)、及びFig.2から、
オ 「(c´)ステップ(a´)で読み取った値、及びステップ(b´)で読取った値の差を表わすマップを形成するステップ」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(ア)、(イ)、(エ)、(キ)、及びFig.2から、
カ 「(d´)座標測定装置によりプローブを速い速度で移動させて第2の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップ」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(ア)、(ウ)、(ク)、及びFig.2から、
キ 「(e´)ステップ(d´)で読取った読みをステップ(c´)で形成したマップを用いて補正することで、動的歪を低減させるステップ」との技術事項が読み取れる。

(2)引用発明
以上の技術事項アないしキを総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「プローブが加工物と位置検知関係を取りながら移動される座標測定装置(CMM)を用い、本質的に同一の一連の加工物の位置を読取る加工物検査方法であって、
(a´)前記座標測定装置(CMM)を用い、プローブを比較的遅い速度で移動させて、本質的に同一の一連の加工物中の第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読み取るステップと、
(b´)前記座標測定装置を用い、前記プローブを、動的歪を生じさせる比較的速い速度で移動させて前記第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップであって、第1の加工物の読み取り速度が第1の加工物の読取りに続いて第2の加工物の読取りにおける読み取り速度と同一である速い読み取り速度である当該ステップと、
(c´)前記ステップ(a´)で読み取った値及び前記ステップ(b´)で読取った値の差を表わすマップを形成するステップと、
(d´)前記座標測定装置によりプローブを前記速い速度で移動させて第2の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップと、
(e´)前記ステップ(d´)で読取った読みを前記ステップ(c´)で形成したマップを用いて補正することで、動的歪を低減させるステップと、
を備える加工物検査方法。」(以下、「引用発明」という。)。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
まず、引用発明における「プローブ」、「加工物」、「位置検知関係」、「座標測定装置(CMM)」、「加工物検査方法」、「第1の加工物」、「動的歪」、「第2の加工物」、「ステップ(b´)で読み取った値」、「ステップ(d´)で読取った読み」、及び「ステップ(c´)で形成したマップ」は、
本願発明における「ワークピース検出プローブ」、「ワークピース」、「位置検出関係」、「座標測定装置」、「ワークピースを検査する方法」、「加工品」、「動的誤差」、「次のワークピース」、「加工品の測定値」、「当該次のワークピースの測定値」、及び「誤差マップ」に、それぞれ相当する。
また、上記相当関係を踏まえると、引用発明における「(a´)プローブを比較的遅い速度で移動させて本質的に同一の一連の加工物中の第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読み取るステップ」も、本願発明における「(a)ワークピースに近似した特徴、寸法および部位を有し、前記座標測定装置を用いずに較正された加工品を準備する工程」も、共に、「ワークピースに近似した特徴、寸法および部位を有し、較正された加工品を準備する工程」である点で共通する。
してみると、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「ワークピース検出プローブが各ワークピースと位置検出関係をもって読み取り位置に移動される座標測定装置を用い、同等の一連のワークピースを検査する方法であって、
(a)前記ワークピースに近似した特徴、寸法及び部位を有し、較正された加工品を準備する工程と、
(b)前記座標測定装置を用い、前記ワークピース検出プローブを、動的誤差を生じさせる速度で前記加工品に対して移動させることで前記加工品を測定する工程であって、当該移動の速度が、当該加工品の測定に続いて次のワークピースを測定するときにも適用され、かつ前記加工品および前記次のワークピースの測定に同様の動的誤差を生じさせる速度である当該工程と、
(c)前記加工品の較正値及び前記加工品の測定値の差に対応する誤差マップを生成する工程と、
(d)前記座標測定装置により前記速度で前記次のワークピースを測定する工程と、
(e)当該次のワークピースの測定値を前記誤差マップを用いて補正することで、動的誤差を低減する工程と、
を備えるワークピース検査方法。」
(相違点)
工程(a)に関して、
本願発明では、「座標測定装置を用いずに較正された加工品を準備する」のに対し、引用発明では、「(a´)プローブを比較的遅い速度で移動させて本質的に同一の一連の加工物中の第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読み取る」とあるように、座標測定装置を用いて検出プローブを比較的遅い速度で移動させて、同等の一連のワークピースのうちの1つのワークピースの位置を読み取ったものを較正された加工品として準備している点。

4.当審の判断
(1)検討
上記相違点について、検討する。
一般に、この種のワークピース検査方法において、較正された加工品、すなわち、いわゆるマスターワークピースとして、一連のワークピースを測定する座標測定装置を用いることなく、予め、別途の何らかの方法で較正されたワークピースを採用することは周知技術である。
この点については、例えば、当審拒絶理由で引用した、特開2001-201339号公報の、「【0006】【課題を解決するための手段】そのため、本発明の測定機の真直精度補正方法は、上記目的を達成するため、次の構成を採用する。請求項1に記載の真直精度補正方法は、直動機構を有する測定機の真直精度補正方法であって、前記測定機の直動機構を使って検出器を移動させながら、予め形状データが値付けされたマスターワークを測定し、そのマスターワーク測定データから前記値付けされた形状データを差し引いて直動機構の真直精度データを求める真直精度データ算出工程と、前記測定機の直動機構を使って検出器を移動させながら、ワークを測定し、そのワーク測定データを求めるワーク測定データ算出工程と、前記ワーク測定データから前記真直精度データを差し引いてワークの真値データを求めるワーク形状演算工程とを備えることを特徴とする。【0007】この構成によれば、真直精度データ算出工程において、測定機の直動機構を使って検出器を移動させながら、予め形状データが値付けされたマスターワークを測定し、そのマスターワーク測定データから値付けされた形状データを差し引いて直動機構の真直精度データを求める。・・・」との記載を参照のこと。
加えて、同じく、特開2000-81329号公報の、「【請求項1】被測定物表面を走査して、被測定物表面の位置情報を2次元もしくは3次元の座標値として取り込み、被測定物表面の形状を測定する形状測定装置を用いた形状測定方法において、被測定物に近似な形状を有し、設計上の形状データが明らかな原器の形状を測定して第1の測定値を求める第1のステップと、第1の測定値と前記原器の形状データとから形状測定装置に起因する装置誤差量を求める第2のステップと、被測定物の形状を測定し、第2の測定値を求める第3のステップと、装置誤差量を用いて第2の測定値を補正し、被測定物の測定値を求める第4のステップとから構成されることを特徴とする形状測定方法。」(「第2の誤差量」は「第2の測定値」の誤記であるから、そのように訂正した。)、との記載や、「【0005】【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術には、以下のような問題点があった。【0006】第1に、真直度測定機や真円度測定機で各誤差を評価した場合、その評価結果には、これら誤差評価を行なった測定機の誤差が必ず入り込んでしまい、各誤差の評価を高精度に行うことが極めて困難である。第2に、形状測定装置の誤差は、様々な誤差要因が複雑に影響し合って生じるものであるため、原器等を用いた測定結果からこれら要因毎の誤差を完全に分離し、補正することは極めて困難である。」との記載、及び「【0024】・・・また、極めて高精度に製造された球面を用いる代わりに、球面レンズの製造誤差を別の測定機、例えばフィゾー型の干渉計で計測しておき、その結果をあらかじめ該球面レンズ測定結果から差し引いておくことでも同様の効果が得られる。」との記載を参照のこと。

よって、引用発明における「(a´)プローブを比較的遅い速度で移動させて本質的に同一の一連の加工物中の第1の加工物と位置検知関係を取り、位置を読取るステップ」、すなわち、座標測定装置を用いて、第1の加工物を比較的遅い速度で移動させて、較正された加工物をマスターワークピースとして準備することに代えて、上記周知技術である「マスターワークピースとして、一連のワークピースを測定する座標測定装置を用いることなく、予め、別途の何らかの方法で較正されたワークピースを準備する」ようにすることは、当業者が容易に想到し得るところといえる。

(2)効果の予測性について、
次に、引用発明に上記周知技術を適用した結果、「動的誤差および静的誤差の双方を補償する」(本願明細書の段落【0027】)との本願発明の効果を、当業者が容易に予測し得るかについて検討する。
まず、動的誤差の補償については、引用発明も、本願発明と同様に、前記「2.(1)(ク)」で説示したとおり、「速読み」に起因する誤差が補正されるとあるように、動的誤差が補償される効果を奏するものである。
他方、上記周知技術は、前記(1)で説示したように静的誤差を補償する効果を奏するものである。
そして、動的誤差と静的誤差とは、互いにその誤差を生ずる要因を異にするものであり、両者に因果関係はないから、引用発明において、座標測定装置を用いて、第1の加工物を比較的遅い速度で移動させて、較正された加工物をワスターワークピースとして準備することに代えて、上記周知技術を採用することにより、動的誤差と静的誤差の双方が除去されることとなることは、引用発明及び上記周知技術から当業者が容易に予測し得るところといえる。

5.むすび
したがって本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおり、本願発明が特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-02 
結審通知日 2012-08-28 
審決日 2012-09-11 
出願番号 特願2003-573382(P2003-573382)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴野 幹夫小林 紀史  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 ▲高▼木 真顕
山川 雅也
発明の名称 動的な加工品比較法  
代理人 谷 義一  
復代理人 佐藤 久容  
復代理人 伊藤 勝久  
復代理人 小林 武彦  
代理人 阿部 和夫  

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