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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1270169
審判番号 不服2011-19932  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-14 
確定日 2013-02-14 
事件の表示 特願2010-130490「情報処理システム、携帯電話機及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月21日出願公開、特開2010-238252〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年8月16日(優先権主張 平成11年9月22日)に出願した特願2000-246802号の一部を平成22年6月7日に新たな特許出願としたものであって、平成22年11月25日付け拒絶理由通知に対する応答時、平成23年2月7日付けで手続補正がなされたが、同年6月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月14日付けで拒絶査定不服審判請求及び手続補正がなされた。
その後、平成23年12月28日付けで審尋がなされ、平成24年3月12日付けで回答書が提出され、当審により同年7月3日付けで補正却下の決定がなされるとともに、当審がした同日付けの最後の拒絶理由通知に対する応答時、同年9月6日付けで手続補正がなされ、さらに、当審がした同年9月13日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時、同年11月16日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成24年11月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年11月16日付けの手続補正を却下する。
[理 由]
(1)補正後の本願発明
平成24年11月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
任意の有体物に取り付けられた情報提供媒体から情報を取得して処理する携帯端末であって、
前記有体物には前記情報提供媒体の取り付け位置を周知するための表示が付されており、
該表示に基づき前記情報提供媒体と所定距離内に近接されると前記情報提供媒体から前記有体物に関連した情報を電磁気的に取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された情報を表示可能な形態の情報に処理する処理手段と、
前記処理手段により処理されて得られた情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記情報取得手段により取得された情報から他の情報処理装置に情報を送信するために用いられるアドレス情報を含む情報が抽出される、
携帯端末。」
と補正された。
上記補正は、
請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、情報提供媒体が取り付けられる「有体物」について、「前記有体物には前記情報提供媒体の取り付け位置を周知するための表示が付されており」との限定を付加するとともに、同じく請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「情報取得手段」について、前記情報提供媒体と所定距離内への近接が「該表示に基づき」行われるとの限定を付加するものである。
なおこれらの補正のうち、「有体物」についての限定の付加は、「携帯端末」自体を構成する特定事項を限定するものではないが、「携帯端末」を使用しての有体物に取り付けられた情報提供媒体からの情報の取得・処理を、有体物として「前記情報提供媒体の取り付け位置を周知するための表示が付され」たもののみを対象とする、すなわち、「携帯端末」の使用範囲(用途)を限定するものであるとみることができる。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。

(2)引用例
当審が通知した平成24年9月13日付けの拒絶の理由に引用された特開平10-254802号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項41】 携帯情報端末または携帯電話またはハンドヘルド型無線端末のいづれかひとつに、デジタル・コードの読み取りが可能な入力デバイスが一体的に組み込まれ、インターネット接続された通信機器。」

イ.「【0010】そこで、本発明は、インターネットを介して行う通信や、従来からの電話やファックスとによる通信などを含む多数種類の通信を、例えば、パソコンや携帯情報端末の画面上において希望する通信の種類を選択することにより、一元的に行なえるようにするシステム及び方法を提供することを目的とする。」

ウ.「【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施例である通信システムでは、通信の相手先を識別する情報を一元的に記録した二次元バーコードを利用する。この二次元バーコードの例として、二次元バーコードPDF417があるが、別の規格によるものでもよい。従来から広く普及している一次元バーコードは、十分な記憶容量は有していないが、二次元バーコードであれば、電話番号、ファックス番号、URL、電子メール・アドレス、及び若干の個人情報等を記憶するのに十分なバイト数を有する識別子であり得る。また、別の実施例では、前述のPDF417も含まれるスタック方式の他の二次元バーコードや、マトリクス方式の二次元コードを用いる。」

エ.「【0017】図3には、本発明の実施例による通信システムの概略図が示されている。この通信システムは、例えば、モデムやターミナル・アダプタを有し通信機能を備えているパーソナル・コンピュータ(以下では、単にパソコンと称する)1から構
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成される。このパソコン1には、二次元バーコード・リーダ2、キーボード3、マウス4、プリンタ5、スキャナ6、マイクロフォン7、及びスピーカ8が、接続されている。なお、プリンタ5の代わりに、より本格的な印刷用製版システム(図示せず)を用いてもよい。更に、このパソコン1は、電話回線9を介して、インターネット10に接続されている。二次元バーコード・リーダ2は、識別タグ12上に印刷された通信相手先を識別するための情報が記録された二次元バーコード11を走査して、記録された識別情報を読み取る。
【0018】二次元バーコード11は、デザイン等を配慮して、蛍光インク等を用いて印刷されたステルス・コードであってもよく、その際には、赤外光から紫外光までの任意の波長の光を照射することができる二次元バーコード・リーダを用いる。そうすることにより、印刷場所が限られた地図の上などに、地図の記載を邪魔しない態様で、二次元バーコードを印刷することもできる。
【0019】図3では、二次元バーコード・リーダ2は、パソコン1の本体とは独立に構成されている。しかし、デスクトップ型のパソコン1を用いることなく、二次元バーコード・リーダを、通信機能を備えた携帯型の情報端末の一部として、更には、携帯電話やハンドヘルド型の無線端末の一部に一体化することもできる。これらの通信端末にディスプレイが付属していない場合には、又は、付属のディスプレイが例えばWWW閲覧に十分ではない場合には、この通信端末を、テレビのセットトップ端末として用いてもよい。」

オ.「【0021】二次元バーコード11は、通常は、シール状のタグ12に印刷される。あるいは、例えば、コンピュータの画面上で、画像ファイルとして作成した二次元バーコードを特定の印刷すべき原稿に貼りつけることにより、その印刷原稿と一体として印刷してもよい。そうすることにより、二次元バーコードを広範囲な媒体上で供給することができる。およそ、印刷可能な媒体であれば、どのような媒体でもかまわない。新聞折り込み広告、雑誌の特定のページ、地方自治体発行の広報誌、駅前などで手渡しされるビラなど、可能性は広い。タグ12は、シール状になっているので、利用者は、後で、自分のパソコンを用いて後でアクセスしたいと考える情報を選択して分離し、例えば、ノートや手帳に貼っておくこともできる。図5には、本発明で使用可能な二次元バーコードが、名刺に印刷されている例が示されている。
【0022】本発明の通信システムによると、ある特定のWWWホームページにアクセスしているときには、その相手先の有する識別情報が記録されている二次元バーコードを、上述した付加的な記号も含めて、プリンタ5を用いてプリントアウトすることもできる。あるいは、具体的に相手先を指定して、その相手先に対応する二次元バーコードをプリントアウトすることもできる。この場合には、電話番号、ファックス番号、電子メール・アドレスなどのURL以外の識別情報は、パソコン1に内蔵されたハードディスク上に記憶されているデータベースに含まれるか
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もしくは、任意に、発信者、住所、特記事項等の入力が可能である。本発明の通信システムに含まれるプリンタ5が二次元バーコードを印刷する能力を有していることにより、例えば、自分自身にアクセスしてほしいと考えている個人や企業が、二次元バーコードを配布して、そのようなアクセスを促進することができる。広告主などが、この場合の個人や企業に相当する。」

カ.「【0023】図6には、図3のパソコン1のディスプレイ上に表示される画面の例が示されている。画面の上部に複数のアイコンを含むツールバーがあり、その右側の4つが、本発明による通信機能を実行するためのアイコンであり、マウスでクリックすることにより機能が実行される。(a)は、WWWのホームページへのアクセスのためのものであり、(b)は、電子メール送信のためであり、(c)は、このパソコン上から直接に電話をかけるためのものであり、(d)は、ファックス送信のためのものである。
【0024】各アイコンの下には、図示されているように、具体的にURL等が表示される欄がある。パソコン1を起動して、最初にこの画面が表示されるときは、これらの欄は、空欄になっている。二次元バーコード・リーダ2を用いて、二次元バーコード11を走査することにより、符号化されている個人識別情報等が読み取られ、欄の中に、具体的なURL等が記載される。既に述べたように、二次元バーコード11に含まれる情報の数は、一定ではなく選択が可能である。例えば、電子メール・アドレスと電話番号とが得られた場合には、アイコン(b)をクリックすれば、目的のアドレスに電子メールが送信できるし、アイコン(c)をクリックすれば、指定の番号に電話をかけることができる。
・・・・(中 略)・・・・
【0027】電子メールを送信する場合には、この通信方法を選択してもそれだけでは終わりではなく、もちろん、文章を作成しなければならない。文章作成は、通常のワープロ・ソフトウェアやエディタを用いてもよいし、専用のソフトウェアを用いて音声入力してもよい。ファックス通信を選択する場合には、原稿をスキャナ6を用いてイメージ入力するか、又は、パソコン1で作成したファイルが、相手先のファックス装置に出力されるように、設定してから送信を行う。また、パソコン1上で作成した原稿だけでなく、通常のファックスを用いてもよい。
【0028】以上で説明したグラフィカル・ユーザ・インターフェースは、デスクトップ・パソコン以外の、例えば、二次元バーコード・リーダが一体的に組み込まれた携帯情報端末においても同様である。ただし、その場合には、マウスではなく、専用のペンなどの入力デバイスを用いる。また、小型の携帯情報端末などでは、使用の際の容易さのために、各機能を起動するアイコンを、物理的に押下できるボタン等として構成することも可能であることは、当業者には明らかである。」

キ.「【0033】 これ以外にも、本発明の用途は広い。例えば、通信販売業者が、ダイレクトメールに、自分自身の通信情報を記録した二次元バーコード付きのタグを付属すれば、電話もファックスも、あるいは、WWWホームページへのアクセスも可能になる。電話やファックスで、更なる商品情報を提供してもよいし、WWW上で提供すれば、時間と場所に関係なく、低費用でのアクセスが可能である。電話に関しても、通常の電話を用いることのほかに、インターネット電話を用いれば、遠距離通話でも、通信地点から、プロバイダまでの市内料金で会話ができる。」

ク.「【0036】なお、以上の説明では、インターネットに関しては、WWW上のホームページ閲覧と、電子メールの送信だけを挙げたが、本発明は、ファイル転送など、インターネットの別の機能を用いる場合にも適用できる。」

ケ.「【0040】
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図11?図13は実際の使用例を示している。図11は、雑誌広告7のホームページの紹介記事8に、URL9とURLをバーコード化したバーコード1が並記されているもので、読者は気に入った記事の詳細を知りたい場合は、スキャナーでバーコード1を走査するだけで、パソコンの画面にホームページを呼び出すことができる。図12は、新聞折込広告10の不動産紹介において、物件毎の写真、価格、見取図とともにURL9とバーコード1を並記したもので、上記例と同様に、家庭でスキャナー走査により簡単にホームページを呼び出し、折込チラシだけでは表現できない情報、説明不足部分を追加的に知ることができるようにしたものである。図13は、新聞折込広告における、いわゆる連合広告11において、コマ割りされた各々の広告にURL9とバーコード1を並記し、それぞれの広告主のホームページへの案内窓口となるようにした折込チラシである。」

特に、上記「ア.」、「エ.」中の段落【0019】及び「カ.」中の段落【0028】に記載のように、二次元バーコード・リーダが一体的に組み込まれた携帯情報端末を用いる場合に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「二次元バーコード・リーダが一体的に組み込まれ、インターネットに接続される通信機能を備えた携帯情報端末であって、
広告などの媒体に印刷された、あるいは広告などの媒体に貼りつけられたシール状のタグに印刷された二次元バーコードを走査することにより、二次元バーコードに含まれる電話番号、ファックス番号、URL、電子メール・アドレスといった通信相手先を識別するための情報、及び発信者、住所、特記事項等の情報を読み取る前記二次元バーコード・リーダと、
前記二次元バーコード・リーダにより読み取られた情報を表示するディスプレイと、
表示された前記URLに対応するWWWホームページへアクセスして広告などの詳細情報や追加情報等を閲覧したり、表示された前記電子メール・アドレスに対して作成した文章を電子メール送信したりするためのユーザ・インターフェースと、を備える携帯情報端末。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「広告などの媒体」、媒体にあるいはシール状のタグに印刷された「二次元バーコード」、「二次元バーコード・リーダ」、「携帯情報端末」は、それぞれ本願補正発明における「任意の有体物」、「情報提供媒体」、「情報取得手段」、「携帯端末」に相当し、
引用発明における、二次元バーコードに含まれる「電話番号、ファックス番号、URL、電子メール・アドレスといった通信相手先を識別するための情報、及び発信者、住所、特記事項等の情報」は、例えばURLであれば、「前記URLに対応するWWWホームページへアクセスして広告などの詳細情報や追加情報等を閲覧」できるものであることからして、本願補正発明における「有体物に関連した情報」に相当するということができる。
したがって、引用発明における「二次元バーコード・リーダが一体的に組み込まれ、インターネットに接続される通信機能を備えた携帯情報端末であって、広告などの媒体に印刷された、あるいは広告などの媒体に貼りつけられたシール状のタグに印刷された二次元バーコードを走査することにより、二次元バーコードに含まれる電話番号、ファックス番号、URL、電子メール・アドレスといった通信相手先を識別するための情報、及び発信者、住所、特記事項等の情報を読み取る前記二次元バーコード・リーダと」によれば、二次元バーコード・リーダによる情報の読み取りは光学的に行われるものであり、つまり、情報を「非接触に」取得するものである点で本願補正発明とは共通することを考慮すると、本願補正発明と引用発明とは、「任意の有体物に取り付けられた情報提供媒体から情報を取得して処理する携帯端末であって、前記情報提供媒体から前記有体物に関連した情報を[非接触に]取得する情報取得手段と」を備える点で共通するといえる。

イ.引用発明における「ディスプレイ」は、本願補正発明における「表示手段」に相当し、
引用発明における「前記二次元バーコード・リーダにより読み取られた情報を表示するディスプレイと」によれば、二次元バーコード・リーダにより読み取られた情報をディスプレイに表示するに際しては、当然、表示可能な形態の情報とする処理が行われることは自明であることから、本願補正発明と引用発明とは、「前記情報取得手段により取得された情報を表示可能な形態の情報に処理する処理手段と、前記処理手段により処理されて得られた情報を表示する表示手段と」を備える点で一致する。

ウ.引用発明における「電子メール・アドレス」、「作成した文章」は、それぞれ本願補正発明における「アドレス情報」、他の情報処理装置に送信する「情報」に相当し、
引用発明における「・・二次元バーコードに含まれる電話番号、ファックス番号、URL、電子メール・アドレスといった通信の相手先を識別するための情報、及び発信者、住所、特記事項等の情報を読み取る前記二次元バーコード・リーダと、前記二次元バーコード・リーダにより読み取られた情報を表示するディスプレイと、表示された前記URLに対応するWWWホームページへアクセスして広告などの詳細情報や追加情報等を閲覧したり、表示された前記電子メール・アドレスに対して作成した文章を電子メール送信したりするためのユーザ・インターフェースと」によれば、本願補正発明と引用発明とは、「前記情報取得手段により取得された情報から他の情報処理装置に情報を送信するために用いられるアドレス情報を含む情報が抽出される」点で一致する。

よって、本願補正発明と引用発明とは、
「任意の有体物に取り付けられた情報提供媒体から情報を取得して処理する携帯端末であって、
前記情報提供媒体から前記有体物に関連した情報を[非接触に]取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された情報を表示可能な形態の情報に処理する処理手段と、
前記処理手段により処理されて得られた情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記情報取得手段により取得された情報から他の情報処理装置に情報を送信するために用いられるアドレス情報を含む情報が抽出される、
携帯端末。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願補正発明では「前記有体物には前記情報提供媒体の取り付け位置を周知するための表示が付されており」、情報提供媒体からの非接触な情報の取得が、「該表示に基づき前記情報提供媒体と所定距離に近接されると」「電磁気的」になされるものであると特定するのに対し、引用発明ではそのような表示を付すことの特定はなく(情報提供媒体である二次元バーコード自体がその位置を周知する表示を兼ねるものであるといえる)、情報提供媒体からの非接触な情報の取得が、二次元バーコード・リーダによりなされる、つまり光学的になされるものである点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
光学的に情報が取得されるバーコードも、電磁気的に情報が取得されるいわゆるRFタグ(ICタグ、IDタグ)といったものも、非接触で情報の提供が可能な情報提供媒体として周知のもの(例えば当審が通知した拒絶の理由に引用された特開平10-40329号公報や、綾塚 祐二,UbiquitousLinks:実世界環境に埋め込まれたハイパーメディアリンク,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,1996年7月11日,Vol.96 No.62,p.23-30、さらには特開平11-130213号公報を参照)であり、引用発明において、情報提供媒体として二次元バーコードに代えてRFタグを採用し、携帯情報端末が備える情報取得手段を二次元バーコード・リーダに代えてRFタグ・リーダとすることは当業者にとって何ら困難性はなく、容易に想到し得ることである。
またその際、情報提供媒体がバーコードの場合と同様、有体物に情報提供媒体であるRFタグが取り付けられていることを携帯情報端末のユーザが何らかの方法により認識できなければならないことは当然であるところ(そうでなければ、ユーザはRFタグから情報を取得する行動を起こせない)、特に、RFタグが取り付けられる有体物のサイズが情報を電磁気的に取得可能な所定の近接距離に比べて大きく、その取り付け位置(存在)が一見して分からないような場合にあっては、取り付け位置(存在)を周知(アピール)するための表示を付すようにすることは例えば特開平11-248035号公報の段落【0018】?【0019】にも記載のようにごく普通に採用される常套手段ともいえる事項にすぎない。
したがって、引用発明において、「前記有体物には前記情報提供媒体の取り付け位置を周知するための表示が付されており」、情報提供媒体からの非接触な情報の取得が、「該表示に基づき前記情報提供媒体と所定距離に近接されると」「電磁気的」になされるものとすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知の技術事項から、当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成24年11月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年9月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
任意の有体物に取り付けられた情報提供媒体から情報を取得して処理する
携帯端末であって、
前記情報提供媒体と所定距離内に近接されると前記情報提供媒体から前記有体物に関連した情報を電磁気的に取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された情報を表示可能な形態の情報に処理する処理手段と、
前記処理手段により処理されて得られた情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記情報取得手段により取得された情報から他の情報処理装置に情報を送信するために用いられるアドレス情報を含む情報が抽出される、
携帯端末。」

(1)引用例
当審が通知した平成24年9月13日付けの拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である情報提供媒体が取り付けられる「有体物」について、「前記有体物には前記情報提供媒体の取り付け位置を周知するための表示が付されており」との限定を省くとともに、同じく発明特定事項である「情報取得手段」について、前記情報提供媒体と所定距離内への近接が「該表示に基づき」行われるとの限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-06 
結審通知日 2012-12-11 
審決日 2012-12-25 
出願番号 特願2010-130490(P2010-130490)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
P 1 8・ 575- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 誠也  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 井上 信一
須田 勝巳
発明の名称 情報処理システム、携帯電話機及び情報処理方法  
代理人 亀谷 美明  
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