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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02H |
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管理番号 | 1270453 |
審判番号 | 不服2011-23493 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-11-01 |
確定日 | 2013-02-28 |
事件の表示 | 特願2008- 81101「雷保護装置、収納ボックス」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月15日出願公開、特開2009-240029〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成20年3月26日の出願であって、平成22年10月12日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成22年10月19日)、これに対し、平成22年12月14日付で意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年8月4日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成23年8月9日)、これに対し、平成23年11月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年12月14日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「中性極以外の相極ごとに独立な過電圧防護器と、 すべての相極に共通なギャップ式避雷素子と、 中性極以外の相極から接地側への商用電源電流を切断する分離器と、 を備え、 分電盤よりも電源側に配置する ことを特徴とする雷保護装置。」 3.引用例 これに対して、原査定の理由に引用された特開平9-233622号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 1-a「漏電遮断器と、この漏電遮断器の入力電源線間と、この入力電源線とアース線との間に接続した避雷器とを備え、この避雷器は、電圧依存性抵抗素子と切離し機構とを直列に接続したものである避雷器内蔵分電盤。」(【請求項1】) 1-b「今、雷等により入力電源線3よりサージ電圧が侵入してきた場合を考える。侵入してきたサージ電圧は、電子、電気機器19に接続された線間用サージアブソーバー20、線?アース間用サージアブソーバー21により吸収される。このように線?アース間に接続されたサージアブソーバー21が動作するとサージ電流をアースに放電する。このアースに放電したサージ電流を漏電遮断器1は漏電電流として感知してしまい漏電遮断器1が不要動作してしまうという問題点を有していた。 そこで本発明は、サージ電圧侵入時に漏電遮断器の不要動作を防止する避雷器内蔵分電盤を提供することを目的としたものである。」(【0006】-【0007】) 1-c「まず、本実施の形態を単相3線式配電系統に使用する避雷器内蔵分電盤を用いて説明する。避雷器の電圧依存性抵抗素子として酸化亜鉛を主体としたセラミックバリスタを用い、切離し機構として電源線間には電流ヒューズ、電源線?アース間には温度ヒューズを用いたものである。図1に本実施の形態の避雷器内蔵分電盤の外観構成図を、図2に本実施の形態の避雷器内蔵分電盤の単相3線式電路における回路構成を示した模式図を、図3に単相3線式電路における避雷器回路図を示す。図1において、1は漏電遮断器、2は漏電遮断器1の電源線入力側の電源線間および線?アース間に接続された避雷器、3は入力電源線、4は分岐遮断器、5は分岐電源線、6は漏電遮断器1、避雷器2および分岐遮断器4を収納するキャビネット、7はアース線を示し、図3において、8は電源線間に接続されたセラミックバリスタ、9は電源線?アース間に接続されたセラミックバリスタ、10はセラミックバリスタ8に直列に接続された電流ヒューズ、11はセラミックバリスタ9に直列に接続された温度ヒューズ、12はセラミックバリスタ8に並列に接続されたLED、ネオンランプ等のランプ、13はランプ12に直列に接続された抵抗、14はランプ12に並列に接続されたダイオード、15は電源線接続端子、16はアース線接続端子を示す。ランプ12、抵抗13、ダイオード14はセラミックバリスタ8、9の動作状況を示す表示回路を形成しており、セラミックバリスタ8、9に並列に接続されており、またセラミックバリスタ9と温度ヒューズ11は良好な熱結合が施されている。また、電源線接続端子15は入力電源線3に接続され、アース線接続端子16はアース線7に接続されている。」(【0012】) 上記記載事項からみて、引用例1には、 「電源線?アース間に接続されたセラミックバリスタと、 を備え、 漏電遮断器の入力電源線間と、この入力電源線とアース線との間に接続した避雷器。」 との発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。 同じく、原査定の理由に引用された特開2002-223523号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 2-a「図5乃至図8に実施の形態2を示すと、これは一線接地式の単相3線交流電路に適用したもので、ライン相L_(1),L_(2)と接地相N間に電圧依存性非線形耐雷素子1,2を設置し、接地相NとアースE間に放電ギャップGを設置して耐雷保護装置を構成している。」(【0026】) 2-b「また、上記のように2つの耐雷素子1,2を一体化することで、図7に示すように2つの電極46,47とライン相L_(1),L_(2)(注:「N1,N_(2)」は誤記)間に電流ヒューズ141,142を接続して、・・・略・・・なお、電流ヒューズは耐雷素子に保証耐量以上の過大な雷サージ電流や続流があった場合に、耐雷素子の破壊、発煙、発火が生じないように遮断し、」(【0028】) 4.対比 そこで、本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「セラミックバリスタ」、「避雷器」は、それぞれ本願発明の「過電圧防護器」、「雷保護装置」に相当する。 引用例1発明の「電源線?アース間に接続されたセラミックバリスタ」と、本願発明の「中性極以外の相極ごとに独立な過電圧防護器」は、「相極ごとに独立な過電圧防護器」との概念で共通する。 本願明細書【0016】には「また、図4では、雷保護装置150は、トランスの二次側コイル950と過電流保護機能を有する漏電遮断器900の間(分電盤よりも電源側)に配置されている。」と、【0017】には「また、雷サージ電流は、漏電遮断器(過電流保護機能付)900には流れないので、漏電遮断器(過電流保護機能付)900が動作し、電源側と負荷側とが切断されることはない。」と記載があることから、本願発明の分電盤は、「漏電遮断器」を有しているので、引用例1発明の「漏電遮断器の入力電源線間と、この入力電源線とアース線との間に接続した避雷器」と、本願発明の「分電盤よりも電源側に配置する雷保護装置」は、「少なくとも漏電遮断器よりも電源側に配置する雷保護装置」との概念で共通する。 したがって、両者は、 「相極ごとに独立な過電圧防護器と、 を備え、 少なくとも漏電遮断器よりも電源側に配置する雷保護装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点1〕 雷保護装置に関し、本願発明は、中性極以外の相極ごとに独立な過電圧防護器と、すべての相極に共通なギャップ式避雷素子と、中性極以外の相極から接地側への商用電源電流を切断する分離器と、を備えるのに対し、引用例1発明は、電源線?アース間に接続されたセラミックバリスタと、を備える点。 〔相違点2〕 少なくとも漏電遮断器よりも電源側に配置する雷保護装置に関し、本願発明は、分電盤よりも電源側に配置するのに対し、引用例1発明は、漏電遮断器の入力電源線間と、この入力電源線とアース線との間に接続する点。 5.判断 相違点1について 雷保護機能を有する漏電遮断器において、雷サージの侵入に続いて続流が発生することは周知の事項であり、その続流を遮断する必要が有ることも周知の課題である。 また、上記2-a、2-bにあるように、中性極(「接地相N」が相当)以外の相極(「ライン相L_(1),L_(2)」が相当)ごとに独立な過電圧防護器(「電圧依存性非線形耐雷素子」が相当)と、すべての相極に共通なギャップ式避雷素子(「放電ギャップ」が相当)と、中性極以外の相極から接地側への商用電源電流(「続流」が相当)を切断する分離器(「電流ヒューズ」が相当)を備える雷保護装置は周知の技術(さらに必要が有れば特開2003-51364号公報【図5】等参照)である。 そうであれば、上記周知の事項、周知の課題、周知の技術に基づいて、引用例1発明の雷保護装置を、中性極以外の相極ごとに独立な過電圧防護器と、すべての相極に共通なギャップ式避雷素子と、中性極以外の相極から接地側への商用電源電流を切断する分離器と、を備えて、続流を遮断するようにすることは、当業者であれば容易に考えられることと認められる。 相違点2について 本願発明も引用例1発明も、雷サージの侵入により漏電遮断器が動作しないように、雷保護装置を少なくとも漏電遮断器よりも電源側に配置しており、また、雷保護装置を分電盤より電源側に配置することは、原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-117767号公報にもみられるように周知の技術であるから、引用例1発明において、当該漏電遮断器のみを分電盤に配置することは当業者であれば適宜なし得ることと認められる。 そして、本願発明の作用効果も、引用例1発明及び上記周知の事項、周知の課題、周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用例1発明及び上記周知の事項、周知の課題、周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび したがって、本願発明は、引用例1発明及び上記周知の事項、周知の課題、周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-04-09 |
結審通知日 | 2012-04-10 |
審決日 | 2012-04-27 |
出願番号 | 特願2008-81101(P2008-81101) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H02H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高野 誠治 |
特許庁審判長 |
堀川 一郎 |
特許庁審判官 |
田村 嘉章 藤井 昇 |
発明の名称 | 雷保護装置、収納ボックス |
代理人 | 中村 幸雄 |
代理人 | 中村 幸雄 |
代理人 | 草野 卓 |
代理人 | 中尾 直樹 |
代理人 | 中尾 直樹 |
代理人 | 草野 卓 |