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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G |
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管理番号 | 1270503 |
審判番号 | 不服2011-10656 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-05-20 |
確定日 | 2013-02-21 |
事件の表示 | 特願2000-292275「携帯画像端末」拒絶査定不服審判事件〔平成14年4月5日出願公開、特開2002-99271〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 この審判事件に関する出願(以下、「本願」という。)は、平成12年9月26日にされた特許出願である。そして、平成22年10月18日付け手続補正書により明細書についての補正がされた。さらに、平成23年1月24日付け手続補正書により明細書についての補正がされたが、この補正は同年2月7日付けの決定をもって却下され、同日付けで拒絶査定がされた。査定の謄本は、同年同月22日に送達され、これに対して、同年5月20日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に明細書についての補正がされた。 その後、平成24年9月18日付けで当審により拒絶の理由が通知され、これに対して、同年11月26日付け手続補正書により明細書についての補正がされるとともに、同日付け意見書が提出された。 2.本願に係る発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の画像データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の画像データを同時に表示することができる携帯画像端末において、 前記複数の画像データを同時に表示している際に選択されている画像データが、前記記憶された全画像中の何番目かを明示する領域が端末画面上に設けられ、 表示されている複数の画像データの中から所望の画像データが拡大表示され、前記複数の画像データの表示から拡大表示に切り替えられても、前記領域において当該拡大表示された画像データが前記記憶された全画像中の何番目かを明示するようにしたことを特徴とする携帯画像端末。」 3.当審が通知した拒絶の理由 当審が通知した拒絶の理由は、概略以下のとおりである。 「(理由1) 本願発明は、その出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (理由2) 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 刊行物1:「EPSON CP-900Z ユーザーズガイド」、エプ ソン販売株式会社、セイコーエプソン株式会社 4.刊行物1の頒布日について 刊行物1は、セイコーエプソン株式会社製デジタルカメラ「CP-900Z」の取扱説明書である。 刊行物1の最終ページ(裏表紙)には、「99.12.10」という記載及び 「Printed in Japan 00.02-5A」という記載がある。ここで、「00.02」は、2000年(平成12年)2月の意味であると推認される。また、デジタルカメラ「CP-900Z」の発売日は、2000年(平成12年)3月11日であることが、セイコーエプソン株式会社のインターネットホームページ<URL:http://www.epson.jp/news/release/000214cp900z.htm>に2000年(平成12年)2月14日付けで公表されている(閲覧日:平成24年9月14日及び12月5日)。 したがって、遅くとも、デジタルカメラ「CP-900Z」の発売日である平成12年3月11日には、その取扱説明書である刊行物1が日本国内において頒布されたと認められる。これは、本願の出願日(平成12年9月26日)より前であるから、刊行物1は、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である。 5.刊行物1に記載された事項 (1)刊行物1には、分割表示(4コマ/9コマ)(第29ページ)においても、1コマ再生(第28ページ)においても、表示画面上の同じ位置に「20/20」という表示がされる再生モードを備えたデジタルカメラが記載されている。 (2)1コマ再生についての説明には、「20/20」という表示が「20コマ撮影した画像中の20コマ目であることを表します(数字は例です)」という記載がある。 また、分割表示についての説明には、表示されている4コマ又は9コマの画像のうち、右下の1コマのみ濃い色で表現した図とともに、「[2]ボタンでカーソルを1コマ後の画像に移動します。」という記載及び「[3]ボタンでカーソルを1コマ前の画像に移動します。」という記載があるから、この濃い色の1コマがカーソルによって選択されていると認められる。そうすると、分割表示における「20/20」という表示も、1コマ再生と同様に、前記選択された1コマが「20コマ撮影した画像中の20コマ目」であることを表していることは明らかである。 (3)分割表示についての説明には、「[B]ボタンを押して表示を切り替えます。」という記載及び「4コマ(1/9)、9コマ(1/1)、全画面(分割表示)」という記載があり、また、1コマ再生及び分割表示の図からは、[B]ボタンに対応する画面上の位置にそれぞれ「分割表示」、「1/9」、及び「1/1」と表示されることが見て取れる。 そうすると、刊行物1に記載されたデジタルカメラは、1コマ再生時(全画面表示時)に[B]ボタンを押すと分割表示(4コマ表示)に切り替わり、4コマ表示時に[B]ボタンを押すと9コマ表示に切り替わり、9コマ表示時に[B]ボタンを押すと1コマ再生(全画面表示)に切り替わると認められる。 (4)刊行物1に記載されたデジタルカメラが、撮影された複数の画像データを記憶する記憶手段を備えていることは、明らかである。 (5)以上のことをまとめると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「撮影された複数コマの画像データを記憶する記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された複数コマの画像データのうち、4コマ又は9コマの画像データを同時に表示することができるデジタルカメラにおいて、 4コマ又は9コマの画像データを同時に表示している際に選択されている画像データが、何コマ撮影した画像中の何コマ目かであるかが、表示画面上の同じ位置に表示され、 表示されている4コマ又は9コマの画像データの中から選択された画像データが1コマ再生されても、その画像データが、何コマ撮影した画像中の何コマ目であるかが表示されるデジタルカメラ。」 6.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 引用発明の「撮影された複数コマの画像データ」、「記憶手段」、「複数コマの画像データのうち、4コマ又は9コマの画像データを同時に表示する」及び「選択された画像データが1コマ再生され」は、それぞれ、本願発明の「複数の画像データ」、「記憶手段」、「複数の画像データを同時に表示する」及び「所望の画像データが拡大表示され、前記複数の画像データの表示から拡大表示に切り替えられ」に相当する。 引用発明の「デジタルカメラ」は、携帯されることが明らかであり、画像を表示する端末として機能するから、本願発明の「携帯画像端末」に相当する。 デジタルカメラは、撮影したすべての画像データを記憶していることが明らかであるから、引用発明の「何コマ撮影した画像中の何コマ目かであるか」は、本願発明の「前記記憶された全画像中の何番目か」に相当する。 引用発明の「表示画面上の同じ位置に表示され」は、表示のための領域が設けられていることを意味するから、本願発明の「明示する領域が端末画面上に設けられ」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「複数の画像データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の画像データを同時に表示することができる携帯画像端末において、 前記複数の画像データを同時に表示している際に選択されている画像データが、前記記憶された全画像中の何番目かを明示する領域が端末画面上に設けられ、 表示されている複数の画像データの中から所望の画像データが拡大表示され、前記複数の画像データの表示から拡大表示に切り替えられても、前記領域において当該拡大表示された画像データが前記記憶された全画像中の何番目かを明示するようにしたことを特徴とする携帯画像端末。」 である点で一致し、実質的な相違点はない。 仮に相違点があるとしても、当業者が容易に思い付く程度のものである。 7.請求人の主張について 請求人は、意見書の3.(b)で、次のように主張している。 「本願発明は、「複数の画像データを同時に表示している際に選択されている画像データが、記憶された全画像中の何番目かを明示する領域が端末画面上に設けられ」ていることに特徴があります。 これに対し、審判官殿も御認識の通り、引用発明1は、撮影した全画像中の何番目かを明示するものであって、記憶された全画像中の何番目かを明示するものではなく、上述した本願発明の構成に対応する直接的な記載やこれを示唆する記載ではありません。」 しかし、上記6.で述べたとおり、デジタルカメラは、撮影したすべての画像データを記憶していることが明らかであるから、引用発明の「何コマ撮影した画像中の何コマ目かであるか」は、本願発明の「前記記憶された全画像中の何番目か」に相当する。 請求人の主張は、採用することができない。 8.むすび 以上に検討したとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 仮にそうでないとしても、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-12-12 |
結審通知日 | 2012-12-18 |
審決日 | 2013-01-07 |
出願番号 | 特願2000-292275(P2000-292275) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G09G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長井 真一 |
特許庁審判長 |
飯野 茂 |
特許庁審判官 |
森 雅之 小林 紀史 |
発明の名称 | 携帯画像端末 |