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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1270510
審判番号 不服2011-16114  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-26 
確定日 2013-02-21 
事件の表示 特願2009-231208「画像印刷制御装置および記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月 7日出願公開、特開2010- 3319〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成10年9月4日を出願日とする特願平10-251024号の一部を、平成21年10月5日に新たな特許出願としたものであって、平成10年3月16日を出願日とする特願平10-64874号に基づく優先権主張をしたものであり、平成22年5月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成22年7月16日付けで手続補正がなされたが、平成22年10月13日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し、平成22年12月17日付けで手続補正がなされたが、平成23年4月21日付けで平成22年12月17日付け手続補正に対する補正の却下の決定がなされ、同日付で拒絶査定がなされたが、これに対し、平成23年7月26日に拒絶査定不服の審判が請求され、当審において平成24年7月19日付けで拒絶理由が通知され、平成24年9月24日付けで意見書が提出されたものである。

第2 本願発明について
1.本願発明
本願の請求項1乃至4に係る発明は、平成22年7月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
記憶媒体から画像を取得する手段と、
取得した前記画像を表示部に表示させて、印刷対象画像の選択を受け付ける受付部と、
選択された前記印刷対象画像を印刷部に印刷させる印刷指示部と、
を備え、
前記受付部は、印刷対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する手段と、
各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付ける個別受付手段とを有することを特徴とする画像印刷制御装置。」

2.引用例
(引用例1)
当審において、平成24年7月19日付けで通知した拒絶理由に引用した、特開平6-197304号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の技術事項が記載されている。

(イ)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルムに形成された画像を表わす画像データが記録されたフォトCDから、画像データを選択して印刷する画像印刷システムおよび画像印刷方法に関する」(第【0001】段落。)

(ロ)「【0007】本発明はこのような従来技術の課題を解決し、フォトCDに記録された画像を簡便に特定して、この画像が形成されたプリントを迅速に得ることができる画像印刷システムおよび画像印刷方法を提供することを目的とする。」(第【0007】段落。)

(ハ)「【0016】
【実施例】次に、添付図面を参照して本発明による画像印刷システムを詳細に説明する。図1を参照すると同図には、本発明が適用される画像印刷システム10が示されている。この画像印刷システム10は、フォトCDなどのディスク12に記録された画像データを選択して、その選択された画像データが表わす画像をプリント(印刷)するシステムである。詳しくは、画像印刷システム10は、ディスク12に記録された画像データを読み出して、読み出した画像データをバス16に送出する再生装置14と、選択される画像データが表わす画像を表示させるディスプレイ20と、ディスプレイ20に表示された画像を選択してプリントさせるための入力を行なうタッチパネル22およびキーボード24と、バス16に現われる印刷データが表わす画像をプリントするプリンタ28と、プリント料金を収納する硬貨収納器30と、ディスク12に記録されている画像データを選択させ、選択された画像データをプリントするための印刷データに変換して出力する処理を行なう処理装置32とから構成される。以下の説明において、本発明に直接関係のない部分は、図示およびその説明を省略し、また、信号の参照符号はその現われる接続線の参照番号で表わす。」(第【0016】段落。)

(ニ)「【0030】この処理装置32をさらに詳しく説明すると図3には、処理装置32の機能構成図が示されている。この実施例における処理装置32は、動作許可部300 と、読出部310 と、表示部320 と、入力処理部330 と、選定処理部340 と、指示部350 と、印刷処理部360 とを有している。」(第【0030】段落。)

(ホ)「【0040】次に、再生装置14にディスク12が装着されたステップ400 において、ディスク12に記録されたインデックス画像データが処理装置32の読出部310 にて読み出される。一方、表示部320 にて、画面34に表示させる選択画像35を表わす表示データが表示部320 にて生成される。生成された表示データは、読出部310 にて読み出されたインデックス画像データと合成される。合成された表示データは、表示部320 の出力52に接続されたディスプレイ20に送出される。ディスプレイ20の画面34には図2に示す選択画像35が表示される。この選択画像35の表示領域200a 200oには、画像データ 1 15に対応するインデクス画像データが表わす画像が表示される。一方、選択画像35を表わす表示データに形成されたそれぞれの領域の位置を表わす座標データと、表示領域200a 200oに表示されたインデックス画像に対応する画像データ番号とが選択処理部340 に通知される。
【0041】次に、ステップ402 に進み、画面34に表示された選択画像35上のタッチパネル22に操作者の指が触れられると、その触れられた位置座標を表わす信号が処理回路32の入力検出部330 にて検出される。この検出された信号は、画面34における座標データに変換されて選定処理部340 に通知される。選定処理部340 に通知されたこの座標データは、表示部320 から通知されたそれぞれの領域の位置を表わす座標データと比較される。比較結果が表示領域200aに対応すると判定された場合、この判定された領域を表わす選択情報が表示部320 および指示部350 に通知される。表示部320 にこの選択情報が通知されると、表示データに形成された枠202aの色情報が赤色に変更される。これによって画面34に表示されている枠202aの色が黒から赤に変わって、表示領域200aに表示されたインデックス画像に対応する画像データ番号が選択されたことが操作者に通知される。
【0042】次にステップ404 に進み、表示領域200aに表示されたインデックス画像が選択されると、数値表示領域204aへの数値入力が可能になる。ここでサイズ選択領域216 の"16"が表示された位置のタッチパネル22が触れられると、その操作状態が入力処理部330 にて検出され、その位置を表わす座標データが選定処理部340 に通知される。選定処理部340 に座標データが通知されると、その座標データが表わす位置に対応する"16"を表わす選択情報が表示部320 に通知される。その選択情報が表示部320 に通知されて、画面34の数値表示領域204aには画像サイズ"16"を表わす画像が表示される。また、この選択情報は、指示部350 に通知される。
【0043】次に、ステップ406 に進んで、数値入力領域216 の数字ボタン"2" が表示された位置のタッチパネル22が触れられると、ステップ404 と同様にして、その位置に対応する"2" を表わす選択情報が表示部320 に通知される。この選択情報が表示部320 に通知されると画面34の数値入力領域204aには印刷枚数"2" を表わす画像が表示される。また、この選択情報は指示部350 に通知される。このようにして、印刷させる画像、画像サイズおよび印刷枚数が選択されて、図2に示すように選択された内容を示す画像がそれぞれの領域に表示される。このとき、所望の画像がその画面34に表示された選択画像35に現われていない場合、たとえば、画面切替領域208 の次画面を表わす画像の位置のタッチパネル22が触れられると、入力処理部330 にて検出されてその座標データが選定処理部340 に通知される。選定処理部340 に通知された座標データは、表示部320 からの座標データと比較されて、次画面を表わす選択情報が指示部350 に通知される。この選択情報が指示部350 に通知されると、読出部310 に読出指示が通知されて、次の画像データ16 30に対応するインデックス画像を表わすインデックス画像データがディスク12から読み出され、画面34の表示領域200a 200oには、それぞれ画像データ16 30に対応するインデックス画像が表示されて、画像、画像サイズおよび印刷枚数が上述のように操作者によって選択される。
【0044】次に、ステップ408 に進み、画面34の印刷領域212 に対応する位置のタッチパネル22が触れられると、その操作状態が入力検出部330 にて検出され、選定処理部340 を介して、その選択状態を表わす選択情報が指示部350 に通知される。指示部350 にこの選択情報が通知されると、ステップ402 ステップ406 にて選択された画像の画像データ番号、画像サイズおよび印刷枚数を表わす選択情報に基づいて、指示部350 から読出部310 に読出指示が通知されて、また、印刷処理部360 に印刷指示が通知されてステップ410 に進む。また、この印刷領域212 以外の位置のタッチパネル22が操作された場合には、ステップ414 に進む。」(第【0040】?【0044】段落。)

上記引用例1記載事項を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「フォトCDなどのディスク12に記録された画像データを選択して、その選択された画像データが表わす画像を印刷するシステムであって、
ディスク12に記録された画像データを読み出して、読み出した画像データをバス16に送出する再生装置14と、選択される画像データが表わす画像を表示させるディスプレイ20と、ディスプレイ20に表示された画像を選択してプリントさせるための入力を行なうタッチパネル22およびキーボード24と、バス16に現われる印刷データが表わす画像をプリントするプリンタ28と、ディスク12に記録されている画像データを選択させ、選択された画像データをプリントするための印刷データに変換して出力する処理を行なう処理装置32とから構成され、
処理装置32は、動作許可部300 と、読出部310 と、表示部320 と、入力処理部330 と、選定処理部340 と、指示部350 と、印刷処理部360 とを有しており、
ステップ400 において、ディスク12に記録されたインデックス画像データが処理装置32の読出部310 にて読み出されるとともに、画面34に表示させる選択画像35を表わす表示データが表示部320 にて生成され、生成された表示データは読出部310 にて読み出されたインデックス画像データと合成され、合成された表示データは表示部320 の出力52に接続されたディスプレイ20に送出され、ディスプレイ20の画面34には選択画像35が表示され、この選択画像35の表示領域200a 200oには、画像データ 1?15に対応するインデクス画像データが表わす画像が表示され、選択画像35を表わす表示データに形成されたそれぞれの領域の位置を表わす座標データと、表示領域200a 200oに表示されたインデックス画像に対応する画像データ番号とが選択処理部340 に通知され、
ステップ402 において、画面34に表示された選択画像35上のタッチパネル22に操作者の指が触れられると、その触れられた位置座標を表わす信号が処理回路32の入力検出部330 にて検出され、この検出された信号は画面34における座標データに変換されて選定処理部340 に通知され、選定処理部340 に通知されたこの座標データは表示部320 から通知されたそれぞれの領域の位置を表わす座標データと比較され、比較結果が表示領域200aに対応すると判定された場合、この判定された領域を表わす選択情報が表示部320 および指示部350 に通知され、これによって画面34に表示されている枠202aの色が黒から赤に変わって、表示領域200aに表示されたインデックス画像に対応する画像データ番号が選択されたことが操作者に通知され、
ステップ404 において、表示領域200aに表示されたインデックス画像が選択されると、数値表示領域204aへの数値入力が可能になり、
ステップ406 において、数値入力領域216 の数字ボタン"2" が表示された位置のタッチパネル22が触れられると、その位置に対応する"2" を表わす選択情報が表示部320 に通知され、この選択情報が表示部320 に通知されると画面34の数値入力領域204aには印刷枚数"2" を表わす画像が表示され、この選択情報は指示部350 に通知され、このようにして、印刷させる画像、画像サイズおよび印刷枚数が選択され、
ステップ408 において、画面34の印刷領域212 に対応する位置のタッチパネル22が触れられると、その操作状態が入力検出部330 にて検出され、選定処理部340 を介して、その選択状態を表わす選択情報が指示部350 に通知され、指示部350 にこの選択情報が通知されると、ステップ402 ステップ406 にて選択された画像の画像データ番号、画像サイズおよび印刷枚数を表わす選択情報に基づいて、指示部350 から読出部310 に読出指示が通知され、印刷処理部360 に印刷指示が通知される
画像印刷システム」

(引用例2)
当審において、平成24年7月19日付けで通知した拒絶理由に引用した、特開平1-198188号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の技術事項が記載されている。

(ヘ)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、プリント枚数の指定及び表示を行うことができるようにしたビデオ式カラーフィルムアナライザーに関するものである。」(第2頁左上欄第15?18行。)

(ト)「同時プリントでは、カラープリンタにおいて各コマが1枚ずつプリントされるため、特別にプリント枚数を指定しなくてもよい。しかし、2枚以上をプリントする場合には、プリント枚数を指定することが必要である。また、焼増しプリントでは、顧客から注文があった焼増しコマとその枚数とを指定することが必要である。このプリント枚数の指定では、コマ指定キー40を操作してコマ指定を行ってから、キーボード34の英数字キー38でプリント枚数を入力する。このプリント枚数が入力されると、CPU52は指定したコマに対応したメモリエリア例えばA8から画像データを読み出し、ワークRAM90に保存する。このワークRAM90での画像データの保存は、コマ指定カーソル47の場合と同様に、クリアキーを操作してプリント枚数の表示を消去した場合に、もとのカラー画像をカラーモニタ33に表示するためである。ワークRAM90に画像データを保存してから、CPU52はプリント枚数のデータを作成し、これをメモリエリアA8に書き込む。このプリント枚数のデータは、画像データと一緒に読み出されるため、カラー画像の一部に個別プリント枚数48を嵌め込んだ状態でカラーモニタ33に表示される。この実施例では、プリント枚数は、発光しない正方形のブランク内に、発光表示する数字を嵌め込んだ状態で表示される。
また、1本のカラーフィルムの全コマに対して同じ枚数をプリントする場合には、コマ指定キー40で1本のカラーフィルムの先頭にあるスプライスコマ46を指定する。次に、プリント枚数を入力すれば、スプライスコマ46の画像データを記憶したメモリエリアA11にプリント枚数のデータが書き込まれる。このプリント枚数の書込みにより、第5図に示すように、スプライスコマ46のほぼ中央部に共通プリント枚数46aが表示される。
また、1本のカラーフィルムのコマの殆どは同じプリント枚数であるが、そのうちの幾つかを異なった枚数でプリントしたいことがある。このような場合には、スプライスコマ46を指定してカラーフィルム1本に対する共通プリント枚数を入力する他に、変更したいコマを指定して個別プリント枚数を入力すればよい。この共通プリント枚数と個別プリント枚数とは、共にRAM67に記憶され、そしてフィルム検定の終了時にパンチテープ30に出力される。」(第10頁左上欄第1行?左下欄第6行。)

(チ)「第8図はビデオプリンタ側においてプリント枚数の優先を行うようにした実施例を示すものである。この実施例では、プリント枚数は個別データとして与えられ、各コマに対応させてRAM67に記憶されるようになっている。すなわち、コマ毎に指定されたプリント枚数は、個別データとしてRAM67に記憶され、またスプライスコマ46に対してプリント枚数が指定された場合には、この共通なプリント枚数が、各コマに与えられて個別データとしてRAM67にそれぞれ記憶される。そして、プリント枚数が重複指定された場合には、CPU52はコマ毎のプリント枚数を優先し、これを個別データとしてRAM67に書き込む。したがって、パンチテープ30に検定結果を記録した場合に、このパンチテープ30にはプリント枚数が重複して記録されることはない。」(第11頁左下欄第15行?右下欄第10行。)

3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明と引用発明1とを比較する。
引用発明1は「ディスク12に記録されたインデックス画像データが処理装置32の読出部310 にて読み出される」ものであるから、引用発明1の「読出部310」は本願の請求項1に係る発明の「記憶媒体から画像を取得する手段」に相当する。
次に、引用発明1の「画面34に表示させる選択画像35を表わす表示データが表示部320 にて生成され、生成された表示データは読出部310 にて読み出されたインデックス画像データと合成され、合成された表示データは表示部320 の出力52に接続されたディスプレイ20に送出され、ディスプレイ20の画面34には選択画像35が表示され」る点は、本願の請求項1に係る発明の「取得した前記画像を表示部に表示させ」ている点に相当する。
次に、引用発明1の「画面34に表示された選択画像35上のタッチパネル22に操作者の指が触れられると、その触れられた位置座標を表わす信号が処理回路32の入力検出部330 にて検出され、この検出された信号は画面34における座標データに変換されて選定処理部340 に通知され、選定処理部340 に通知されたこの座標データは表示部320 から通知されたそれぞれの領域の位置を表わす座標データと比較され、比較結果が表示領域200aに対応すると判定された場合、この判定された領域を表わす選択情報が表示部320 および指示部350 に通知され」る点は、本願の請求項1に係る発明の「印刷対象画像の選択を受け付ける受付部」を有する点に相当する。
次に、引用発明1の「表示領域200aに表示されたインデックス画像が選択されると、数値表示領域204aへの数値入力が可能になり」、「数値入力領域216 の数字ボタン"2" が表示された位置のタッチパネル22が触れられると、その位置に対応する"2" を表わす選択情報が表示部320 に通知され、この選択情報が表示部320 に通知されると画面34の数値入力領域204aには印刷枚数"2" を表わす画像が表示され、この選択情報は指示部350 に通知され、このようにして、印刷させる画像、画像サイズおよび印刷枚数が選択され」る点は、本願の請求項1に係る発明の「受付部は各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付ける個別受付手段を有する」点に相当する。
次に、引用発明1の「ステップ402 ステップ406 にて選択された画像の画像データ番号、画像サイズおよび印刷枚数を表わす選択情報に基づいて、指示部350 から読出部310 に読出指示が通知され、印刷処理部360 に印刷指示が通知される」点は、本願の請求項1に係る発明の「選択された前記印刷対象画像を印刷部に印刷させる印刷指示部」を有する点に相当する。

すると、本願の請求項1に係る発明と引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
記憶媒体から画像を取得する手段と、
取得した前記画像を表示部に表示させて、印刷対象画像の選択を受け付ける受付部と、
選択された前記印刷対象画像を印刷部に印刷させる印刷指示部と、
を備え、
前記受付部は、
各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付ける個別受付手段を有することを特徴とする画像印刷制御装置。

また、両者は次の点で相違する。
<相違点>
本願の請求項1に係る発明は、受付部が「印刷対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する手段」を有しているのに対し、引用発明1では、印刷対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する手段を有しているかどうか明らかでない点。

<相違点>について:
そこで上記相違点について検討すると、引用例2には、ビデオ式カラーフィルムアナライザーにおいて、「このプリント枚数の指定では、コマ指定キー40を操作してコマ指定を行ってから、キーボード34の英数字キー38でプリント枚数を入力する。」「1本のカラーフィルムの全コマに対して同じ枚数をプリントする場合には、コマ指定キー40で1本のカラーフィルムの先頭にあるスプライスコマ46を指定する。次に、プリント枚数を入力すれば、スプライスコマ46の画像データを記憶したメモリエリアA11にプリント枚数のデータが書き込まれる。」「1本のカラーフィルムのコマの殆どは同じプリント枚数であるが、そのうちの幾つかを異なった枚数でプリントしたいことがある。このような場合には、スプライスコマ46を指定してカラーフィルム1本に対する共通プリント枚数を入力する他に、変更したいコマを指定して個別プリント枚数を入力すればよい。」との記載があり、プリント枚数を指定する方法として、「各画像のプリント枚数を個別に設定する指示」に加えて、「プリント対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像のプリント枚数を同じ枚数に指定する手段」を用いる方法が記載されている。
また、

(a)画像をプリントする共通の枚数は必要に応じて適宜決定すべき設計的事項である。

(b)請求人が、平成22年7月16日付け手続補正書による請求項1の補正の根拠(平成22年7月16日付け意見書の「(3)補正の根拠」欄の記載参照。)とする、本願明細書第【0031】段落には、「一括指定ボタン」の機能について「プリント枚数を1ずつ増減させることができる。」と記載されているのみで、「選択可能な全ての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する」ことは、何ら記載されていない(なお、「始めに全ての写真を1枚ずつプリントするように設定してお」くことは、明細書第【0027】段落に記載されているとおり「図5(i)」の画面においてである。)
しかしながら、請求人は、「プリント枚数を1ずつ増減させることが出来る」「一括指定ボタン」によって、「選択可能な全ての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する」ことが自明であるとして補正を行っている。

以上の(a)、(b)点より、引用発明1において上記引用文献2に記載の構成を採用し、「各画像の印刷枚数を個別に設定する指示」に加えて、「印刷対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を同じ枚数に指定する手段」を設けること、及び該「同じ枚数」を1枚として、上記<相違点>に記載した本願の請求項1に係る発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

また、本願の請求項1に係る発明の作用効果も、引用発明1及び引用文献2に記載の発明から当業者が予想し得たものである。

なお、平成24年9月24日付け意見書において請求人は『しかしながら、引用文献2の3ページ上段の(作用)、図5および図8によれば、「スプライスコマ」に共通のプリント枚数を指定し、「あるコマ」には個別のプリント枚数が指定されている場合は、「あるコマ」に対しては個別のプリント枚数が適用され、その他のコマには共通のプリント枚数が指定されてしまいます。
してみれば、「あるコマ」に個別のプリント枚数を指定した後に、すべてのコマのプリント枚数を共通のプリント枚数に指定し直す場合、「あるコマ」の個別のプリント枚数の全てを、共通のプリント枚数と同じ枚数に修正することをユーザに強いることとなり、非常にユーザの負荷が高くなります。
本願請求項1の構成によれば、仮に「あるコマ」に対して個別のプリント枚数を指定した後に、共通のプリント枚数を指定した場合であっても、上記のような負荷をユーザに強いることがないという、各引用文献の組合せにはない格別な効果があります。』と本願請求項1に係る発明の効果について主張している。しかし、本願の請求項1には、「前記受付部は、印刷対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する手段と、各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付ける個別受付手段とを有する」と記載されているのみで、両方の手段による印刷枚数の指定が重複した場合の処理については、請求項1に何ら特定されていない。
そして、「「あるコマ」に対して個別のプリント枚数を指定した後に共通のプリント枚数に指定し直す」ようにするか否かは、本願の請求項1に係る発明を実施する際に、当業者が別途考慮すべき問題であって、本願の請求項1に係る発明の埒外の問題である。よって、請求人の上記主張は、本願請求項1に係る発明の効果とは認められない。

4.まとめ
以上の通り、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

第3 平成22年7月16日付け手続補正について

1.請求項1、2について
平成22年7月16日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2の記載を以下のとおりに補正することを含むものである。

「【請求項1】
記憶媒体から画像を取得する手段と、
取得した前記画像を表示部に表示させて、印刷対象画像の選択を受け付ける受付部と、
選択された前記印刷対象画像を印刷部に印刷させる印刷指示部と、
を備え、
前記受付部は、印刷対象画像として選択可能なすべての画像を選択し、かつ、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する手段と、
各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付ける個別受付手段とを有することを特徴とする画像印刷制御装置。

【請求項2】
前記受付部は、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する指示を受け付けた後に、前記個別受付手段にて各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の画像印刷制御装置。」

そして、上記補正により、少なくとも請求項1に係る発明を特定する事項である

(e)「前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する手段」

及び、請求項2に係る発明を特定する事項である

(f)「前記受付部は、前記選択可能なすべての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する指示を受け付けた後に、前記個別受付手段にて各画像の印刷枚数を個別に設定する指示を受け付ける」

の記載が付加された。

2.本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面の記載事項
本願の願書に最初に添付した明細書(以下、単に「本願明細書」という。)の第【0027】乃至【0031】段落には、以下の記載がある。

(リ)「【0027】
図5の(i)に示す画面において、始めに全ての写真を1枚ずつプリントするように設定しておいて、サムネイルを押して選択した画像に×印などのプリントしないということを示す記号を表示することもできる。
【0028】
メモリカードに20枚以上の画像が記憶されていて、モニタ20に全ての写真のサムネイルを表示できない場合は、写真は20枚ずつ複数のシートに分配されて表示され、モニタ20に次のシートを表示するための「次シート」ボタンと、前のシートを表示するための「前シート」ボタンが表示される。この「次シート」ボタンまたは「前シート」ボタンを押すことにより、表示するシートを切り替えることができる。1枚以上の写真をプリントするように指定して、「選択完了」と表示されたボタンを押すことにより、ステップS112へ行く。
【0029】
ステップS111では、図6の(j)に示すような画面が表示される。ステップS110における図5の(i)に示す画面と同様に、前シート、次シートを表示させることが可能である。使用者が写真画像のサムイネイルを押すことにより、図6の(k)に示すような画面に切り替わる。「増やす」と表示されたボタンを押すことにより、その写真画像のプリント枚数を1ずつ増加させることができ、「減らす」と表示されたボタンを押すことにより、その写真画像のプリント枚数を1ずつ減少させることができる。サムネイルをもう一度押すことにより、図6の(j)に示す画面に戻ることができる。
【0030】
また、「ズーム」と表示されたボタンを押すことにより、図6の(l)に示すような画面に切り替わり、写真画像を拡大表示して内容を確認することができる。「左回転」または「右回転」と表示されたボタンを押すことにより、写真画像を左右に90度ずつ回転させて表示させることもできる。「閉じる」と表示されたボタンを押すと、図6の(k)に示す画面に戻る。「増やす」、「減らす」と表示されたボタンに代えて、「+」、「-」と表示されたボタンや、上向きの矢印、下向きの矢印の形をしたボタンの画像を表示してもよい。「ズーム」と表示されたボタンに代えて、虫眼鏡の形をしたボタンの画像を表示してもよい。
【0031】
また、図6の(j)に示す画面で、「一括指定」と表示されたボタンを押すと、図6の(m)に示すような画面が表示され、プリント枚数を1ずつ増減させることができる。「設定」と表示されたボタンを押すことにより全ての写真画像のプリント枚数を同じ枚数に設定することができる。「中止」と表示されたボタンを押すと、プリント枚数は「一括指定」のボタンを押す前の状態にもどり、図6の(j)の画面に戻る。図6の(m)に示す画面で全ての写真画像のプリント枚数を所定の数に設定した後に、図6の(k)に示す画面で個々の写真画像のプリント枚数を設定してもよい。」

3.記載事項の認定及び判断
上記(e)について:
請求人が、平成22年7月16日付け手続補正書による請求項1および2の補正の根拠(平成22年7月16日付け意見書の「(3)補正の根拠」欄の記載参照)とする、本願明細書第【0031】段落には、図6の(j)の画面の「一括指定ボタン」の機能について「プリント枚数を1ずつ増減させることができる。」と記載されているのみで、「選択可能な全ての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する」ことは、何ら記載されていない(なお、「初めに全ての写真を1枚ずつプリントするように設定してお」くことは、明細書第【0027】段落に記載されているとおり「図5(i)」の画面においてである。)

上記(f)について:
請求人が、平成22年7月16日付け手続補正書による請求項1および2の補正の根拠(平成22年7月16日付け意見書の「(3)補正の根拠」欄の記載参照)とする、本願明細書第【0031】段落には、「図6の(m)に示す画面で全ての写真画像のプリント枚数を所定の数に設定した後に、図6の(k)に示す画面で個々の写真画像のプリント枚数を設定しても良い。」と記載されているのみで、「選択可能な全ての画像の印刷枚数を各々1枚に指定する指示を受け付けた後」に、「受付手段にて各画像の印刷枚数を個別に設定する指示」を受け付けることは記載されていない(なお、平成22年12月17日付け意見書の「(3)補正の根拠」欄にて挙げられた本願明細書第【0029】乃至【0031】段落にも記載されていない。)。

4.請求項3、4について
本件補正の、特許請求の範囲の請求項3、4は、請求項1、2の装置発明を、カテゴリーの異なる「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として記述したものである。
よって、本件補正によって付加された、特許請求の範囲の請求項3、4に係る発明を特定する事項は、前記「1.請求項1、2について」、「2.本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面の記載事項」、及び、「3.記載事項の認定及び判断」にて述べたとおり、本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面に記載されたものではない。

5.まとめ
以上のとおり、請求人の平成22年7月16日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、これらに記載した事項の範囲内においてしたものではない。

第3 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができないものである。また、平成22年7月16日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に違反する。それ故、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-11 
結審通知日 2012-12-18 
審決日 2013-01-07 
出願番号 特願2009-231208(P2009-231208)
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼田 耕一  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 衣川 裕史
山田 正文
発明の名称 画像印刷制御装置および記憶媒体  
代理人 須澤 修  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 宮坂 一彦  

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