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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1270550 |
審判番号 | 不服2012-16773 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-08-29 |
確定日 | 2013-02-21 |
事件の表示 | 特願2007-293574号「メモリカード用ソケット」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月 4日出願公開、特開2009-123394号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成19年11月12日の出願であって、平成24年5月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年8月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年12月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「厚さ方向から見て長方形状であって長手方向の一端部においてそれぞれ厚さ方向の一方側と長手方向の一方側とに開放された少なくとも1個の接続凹部が設けられ各接続凹部の内底面にそれぞれ少なくとも1個ずつの入出力端子が露出したメモリカードが着脱自在に接続されるメモリカード用ソケットであって、 メモリカードが接続凹部側を後側として長手方向に挿入されるカード挿入口が前面に開口したソケット本体と、 カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向と前後方向とに交差する方向に並びそれぞれ後端部がソケット本体に保持されカード挿入口に挿入されたメモリカードの入出力端子に接触導通する複数個のコンタクトとを備え、 各コンタクトの前端部には、それぞれ、カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向の面であってカード挿入口の内側向きの面が凸曲面であってカード挿入口の内側へ弾性的に突出して前記凸曲面においてメモリカードの入出力端子に弾接する接触部が設けられていて、 カード挿入口の内面であってメモリカードの厚さ方向の一面に対向する面のうち各コンタクトの接触部がそれぞれ突出する面において、少なくとも2個のコンタクトの接触部の近傍には、それぞれ、近傍のコンタクトの前端よりもカード挿入口の内側への突出寸法が大きい部位を前記近傍のコンタクトの前端よりも前側に有し、カード挿入口の内側への突出寸法は近傍のコンタクトの接触部よりも小さく、正規のメモリカードが正規の向きでカード挿入口に挿入された場合にはメモリカードの接続凹部内に導入される保護凸部が設けられていて、 各保護凸部の前面は、それぞれ、カード挿入口の内側への突出寸法が前記近傍のコンタクトの前端よりも小さい部位から、カード挿入口の内側への突出寸法が前記近傍のコンタクトの前端よりも大きい部位に至るまで、保護凸部の突出方向へ向かって後方へ傾斜していることを特徴とするメモリカード用ソケット。」 3.引用例の記載事項 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2004-241355号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下、同様。)。 ア 「【請求項1】 カードが重なり合うカード支持面を備えたボディとこのボディに装着された板金製のカバーとを有し、ボディとカバーとの相互間の空間がカード挿入空間として形成された筐体に、上記カード挿入空間のカードセット位置に挿入されたカードの板面に具備されている電極に弾接するコンタクトが備わり、上記カード挿入空間に裏返し姿勢で誤挿入されたカードの挿入方向側の先行端面を係止してカードのセット位置への挿入を阻止する係止手段を備えたカードコネクタにおいて、 カード挿入空間に挿入されたカードに弾接してそのカードを上記ボディのカード支持面に押し付けるカード弾圧手段を備えていると共に、上記係止手段が、上記カバーの複数箇所に内向きに切起し形成されて裏返し姿勢で誤挿入されたカードの上記先行端面をその複数箇所に面接触して係止する係止片列でなることを特徴とするカードコネクタ。」 イ 「【0017】 図1に示したボディ1は合成樹脂成形体でなり、その前端のヘッド部12に横に並ぶ多数のコンタクト2が取り付けられていて、ボディ1の内側に突き出ているコンタクト2の先端部が図3のカード100に具備された電極110に対応する接点21として形成されているのに対し、ボディ1の外側へ突き出ているコンタクト2の他端部が配線基板(不図示)のランドに半田付けされる半田付け端子22として形成されている。ボディ1はその左右の端縁部に側壁部13,14を有し、それらの側壁部13,14の相互間空間が、カード100を挿入するためのカード挿入空間と、そのカード挿入空間の片側のスライダ収容スペースとに区画されていて、上記した多数のコンタクト2はカード挿入空間の前端部に突出している。」 ウ 「【0021】 次に、図3に示した使用対象としてのカード100は、平坦な片側板面101(図6など参照)とその反対側の他側板面102とを有していて、他側板面102に上記凹所120が備わっていると共に、その他側板面102の前端部には横に並んだ複数条の溝形凹所103が備わり、それらの溝形凹所103のそれぞれに各別に上記電極110が配備されている。しかも、それぞれの溝形凹所103に配備されている電極110とカード100の他側板面102との間には一定の段差Aが形成されている。さらに、カード100の片側板面102の幅方向一端側の前端部には溝部104が形成されている。」 エ 「【0023】 上記したボディ1とカバー3との相互杆の空間によって形成されているカード挿入空間のカードセット位置に図3のカード100を正規姿勢で挿入したときには、図7のように板ばね片34がカード100の他側板面102に弾接してそのカード100の片側板面101がボディ1のカード支持面16に押し付けられて接触状態で重なり合った状態になる。また、図6のように、それぞれの第1係止片36がカード100の他側板面102の複数の溝形凹所103内に各別に突き出し、かつ、その溝形凹所103に配備されている電極110に間隔を隔てて対峙する。・・・」 オ 「【0024】 また、上記のようにカード挿入空間のカードセット位置に図3のカード100を正規姿勢で挿入したときには、図3に示したカード100の溝部104に図2に示したカバー3の第2係止片37と囲構部38とが収容される。さらに、図6のように、コンタクト2の接点21がカード100の溝形凹所103に進入して電極110に乗り上がり、コンタクト2の接点21が電極110に電気的接続される。」 カ 「【0025】 ここで、図7に示したように、コンタクト2の接点21は、コンタクト2を形成している板ばね材の先端部を湾曲形状に折り曲げて谷形に形成されていて、カードセット位置に挿入されたカード100の電極110にその接点21を弾接させて接続信頼性を高めるようになっている。そのため、カード100がカードセット位置に挿入されていないときには、コンタクト2の接点21が、カードセット位置に挿入されたカード100の電極110に対する接触位置よりも下位に位置している必要があり、そのようにしておくと、カードセット位置に挿入されたカード100の電極110にコンタクト2の接点21が乗り上がると、その接点21が電極110に弾接するようになる。ところが、コンタクト2の接点21の先端23が下位に位置しすぎていると、カード100がカードセット位置に挿入されてきたときに、その先端23がカード100に突き当たって座屈を生じたりするおそれがある。」 キ 「【0028】 次に、カード100が裏返し姿勢でカード挿入空間に誤挿入された場合には、図4又は図5のように、カード100の挿入方向の端面、すなわち先行端面105を、複数の第1係止片36や第2係止片37が係止するので、カード100を押し込めなくなる。これによってカード100が裏返し姿勢のままカードセット位置まで押し込まれてしまうことが防止される。」 ク 「【0033】 さらにこの実施形態では、図8に示したように、カード挿入空間のカード挿入口130をボディ1及びカバー3の各端縁部で形作り、カード挿入口130の口縁を形成しているカバーの端縁部を外向きに切り起こして誘い片39として形成してある。こうしておけば、カード挿入口130の縦幅が数mmに過ぎない超薄型のカードコネクタであっても、カード挿入口130からカード挿入空間にカード100を容易にかつ確実に挿入することができるようになる。」 ケ 図1には、複数個のコンタクト(2)の後端部が、横に並んでヘッド部(12)に取り付けられて筐体に保持されたものが図示されている(以下カード挿入口側を「前」、コンタクトが固定されている側を「後」とする。)。図2には、上板部(33)において、第1係止片(36)及び第2係止片(37)が略90°内側に切り起こし形成されたものが図示されている。 コ 図3には、カード(100)の厚さ方向でみてカード(100)が長方形状をなし、カード(100)の他側板面(102)の端部の溝形凹所はカード(100)の他側板面(102)側と先行端面(105)側に開口し、各溝形凹所(103)に、1個ずつの電極が露出して設けられたものが図示されている。 サ 図6には、カード挿入空間を有する筐体に、カード(100)が溝形凹所(103)側から挿入されたもの、及び、コンタクト(2)の先端の近傍前側に、第1係止片(36)が設けられ、カード(100)が正規姿勢で挿入されて、第1係止片(36)が溝形凹所(103)内に突き出しているカードコネクタが図示されている。図8には、カード挿入口(130)を前面に開口しているものが図示されている。 上記事項、認定事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「カードの厚さ方向から見てカード(100)が長方形状をなし、カード(100)の他側板面(102)の端部には、横に並んだ複数条の溝形凹所(103)を有し、溝形凹所(103)はカード(100)の他側板面(102)側と先行端面(105)側に開口を有し、溝形凹所(103)それぞれに各別に電極(110)が露出して配備されたカード(100)が着脱自在に接続されるカードコネクタであって、 カードの溝形凹所側を後側として長手方向に挿入される、カード挿入口が前面に開口した筐体と、 複数個のコンタクト(2)の後端部が、横に並んでヘッド部(12)に取り付けられて筐体に保持され、カード挿入空間のカードセット位置にカードを正規姿勢で挿入したときには、電極(110)に電気的接続される複数個のコンタクト(2)を備え、 各コンタクト(2)の先端部には、それぞれ、電極(110)に向かって湾曲状に折り曲げて形成された谷形部において、カード(100)の電極(110)に弾接する接点(21)が設けられ、 カードの挿入空間の内面の上板部(33)において、複数個のコンタクト(2)の先端(23)の近傍前側に、内向きに略90°切り起こし形成された第1係止片(36)及び第2係止片(37)が設けられ、カード(100)がカード挿入空間のカードセット位置に正規姿勢で挿入された場合に溝形凹所(103)内に突き出すカードコネクタ。」 (2)引用例2 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2003-317862号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 シ 「【0062】操作者が第1のカード10を更に挿入すると、図12(A)乃至(D)に示すように、先端部15は、ガイドリブ46、47の傾斜面46b、47bを乗り上がり、上面46a、47aに支持され、次いで、傾斜面41-1aを乗り上がって第1の底板部41-1に支持される状態となる。第1のカード10の先端部15は、このようにガイドリブ46,47に案内されて動きつつ第2のカード用コンタクト部材52のコンタクト部52aを乗り越える。 【0063】ここで、ガイドリブ46,47が形成されていない場合には、コンタクト部52aは第1のカード10の先端部15によって殆ど平らになるまで押しつぶされてしまい、永久変形を起こしてしまう虞れがある。しかし、ガイドリブ46,47を設けたことによって、第1のカード10の先端部15はガイドリブ46,475に案内されてZ1方向に持ち上げられて移動するため、コンタクト部52aの撓み量は永久変形を起こさない程度に小さく制限され、且つ、コンタクト部52aに無用な外力が作用することが制限され、よって、第1のカード10の先端部15がコンタクト部52aを乗り越えた後は、コンタクト部52aは、図12(D)に示すように、永久変形が残らず、元の形状に復元される。また、コンタクト部52aはガイドリブ46、47でもって挟まれているためX1-X2方向への倒れも起こさず、コンタクト部52aは所定のピッチを維持する。」 ス 図12には、第2の底板部(41-2)の上方領域(第1のカードが挿入される領域)において、第2のカード用コンタクト部材(52)のうち第2の底板部(41-2)から後方に傾斜して突出する部分より前側に、傾斜面(46b)が第2の底板部(41-2)から後方に傾斜して、コンタクト部(52a)より低い高さに突出したガイドリブ(46)が配置され、第2の底板部(41-2)に沿って挿入される第1のカード(10)の先端部(15)が、ガイドリブ(46)の傾斜面(46b)を乗り上がって案内され、上面(46a)に支持され、次いで第1の底板部(41-1)に支持されることが図示されている。 そして、「第1のカード」は、「本来、第2のカード用コンタクト部材(52)に挿入されるべきではないカード」といえるので、上記記載事項シ、スから上記引用例2には、次の技術的事項が記載されている。 「本来、第2のカード用コンタクト部材(52)に挿入されるべきではないカードが挿入された場合の不具合を防ぐために、ガイドリブ(46)を設けていること、そして、該ガイドリブ(46)は、第2の底板部(41-2)の上方領域(カードが挿入される領域)において、第2のカード用コンタクト部材(52)のうち第2の底板部(41-2)から後方に傾斜して突出する部分より前側に、傾斜面(46b)が第2の底板部(41-2)から後方に傾斜して、コンタクト部(52a)より低い高さに突出していること。」(以下「引用例2記載の技術的事項」という。) 4.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「端部」は本願発明の「一端部」に相当し、以下同様に、 「溝形凹所」は「接続凹部」に、 「電極」は「入出力端子」に、 「カード」は「メモリカード」に、 「カードコネクタ」は「メモリカード用ソケット」に、 「筐体」は「ソケット本体」に、 「コンタクトの先端部」は「コンタクトの前端部」に、 「湾曲状に折り曲げて形成された谷形部」は「凸曲面」に、 「接点」は「接触部」に、 「コンタクトの先端」は「コンタクトの前端」に、 「第1係止片及び第2係止片」は「保護凸部」に、 にそれぞれ相当する。 そして、引用発明の「カードの厚さ方向から見てカード(100)が長方形状をなし」ていることは、本願発明の「厚さ方向から見て長方形状であ」るといえ、引用発明の「カード(100)の他側板面(102)の端部」は、本願発明の「長手方向の一端部」と、引用発明の「横に並んだ複数条の溝形凹所(103)」は、本願発明の「少なくとも1個の接続凹部」と、引用発明の「カード(100)の他側板面(102)側と先行端面(105)側に開口を有し」ていることは、本願発明の「厚さ方向の一方側と長手方向の一方側とに開放され」ていることといえる。 引用発明の「溝形凹所(103)それぞれに各別」は、本願発明の「各接続凹部の内底面にそれぞれ少なくとも1個ずつ」と、引用発明の「電極(110)が露出して配備されたカード(100)」は、本願発明の「入出力端子が露出したメモリカード」と、引用発明の「着脱自在に接続されるカードコネクタ」は、本願発明の「着脱自在に接続されるメモリカード用ソケット」といえる。 引用発明の「カードの溝形凹所側を後側として長手方向に挿入されるカード挿入口が前面に開口した」ことは、本願発明の「メモリカードが接続凹部側を後側として長手方向に挿入されるカード挿入口が前面に開口した」ことといえる。 引用発明の「横に並ん」だ状態は、引用例1の図1におけるコンタクトの配置状況をみると本願発明の「カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向と前後方向とに交差する方向に並」んでいる状態であるから、引用発明の「複数個のコンタクト(2)の後端部が、横に並んでヘッド部(12)に取り付けられて筐体に保持され」ることは、本願発明の「カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向と前後方向とに交差する方向に並びそれぞれ後端部がソケット本体に保持され」ることといえる。 引用発明の「カード挿入空間のカードセット位置にカードを正規姿勢で挿入」することは、本願発明の「カード挿入口に挿入」することに、引用発明の「電極(110)に電気的接続される複数個のコンタクト(2)を備え」ることは、本願発明の「メモリカードの入出力端子に接触導通する複数個のコンタクトとを備え」ることといえる。 引用発明の「電極(110)に向」う方向は、本願発明の「メモリカードの厚さ方向」であって、「カード挿入口」の内側に向かう方向であるから、引用発明の「各コンタクト(2)の先端部には、それぞれ、電極(110)に向かって湾曲状に折り曲げて形成された谷形部」は、本願発明の「各コンタクトの前端部には、それぞれ、カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向の面であってカード挿入口の内側向きの面が凸曲面」といえる。 引用発明の「カード(100)の電極(110)に弾接する接点(21)が設けられ」ることは、本願発明の「カード挿入口の内側へ弾性的に突出して前記凸曲面においてメモリカードの入出力端子に弾接する接触部が設けら」れることといえる。 引用発明の「カードの挿入空間の内面の上板部(33)」は、本願発明の「カード挿入口の内面であってメモリカードの厚さ方向の一面に対向する面のうち各コンタクトの接触部がそれぞれ突出する面」と、引用発明の「複数個のコンタクト(2)の先端(23)の近傍前側」は、本願発明の「少なくとも2個のコンタクトの接触部の近傍」と、引用発明の「カードがカード挿入空間のカードセット位置に正規姿勢で挿入された場合に溝形凹所(103)内に突き出す」ことは、本願発明の「正規のメモリカードが正規の向きでカード挿入口に挿入された場合にはメモリカードの接続凹部内に導入される」ことといえる。 そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。 (一致点) 「厚さ方向から見て長方形状であって長手方向の一端部においてそれぞれ厚さ方向の一方側と長手方向の一方側とに開放された少なくとも1個の接続凹部が設けられ各接続凹部の内底面にそれぞれ少なくとも1個ずつの入出力端子が露出したメモリカードが着脱自在に接続されるメモリカード用ソケットであって、 メモリカードが接続凹部側を後側として長手方向に挿入されるカード挿入口が前面に開口したソケット本体と、 カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向と前後方向とに交差する方向に並びそれぞれ後端部がソケット本体に保持されカード挿入口に挿入されたメモリカードの入出力端子に接触導通する複数個のコンタクトとを備え、 各コンタクトの前端部には、それぞれ、カード挿入口に挿入されるメモリカードの厚さ方向の面であってカード挿入口の内側向きの面が凸曲面であってカード挿入口の内側へ弾性的に突出して前記凸曲面においてメモリカードの入出力端子に弾接する接触部が設けられていて、 カード挿入口の内面であってメモリカードの厚さ方向の一面に対向する面のうち各コンタクトの接触部がそれぞれ突出する面において、少なくとも2個のコンタクトの接触部の近傍には、正規のメモリカードが正規の向きでカード挿入口に挿入された場合にはメモリカードの接続凹部内に導入される保護凸部が設けられているメモリカード用ソケット。」 そして、両者は次の点で相違する。 本願発明では、保護凸部が近傍のコンタクトの前端よりもカード挿入口の内側への突出寸法が大きい部位を近傍のコンタクトの前端よりも前側に有し、カード挿入口の内側への突出寸法を近傍のコンタクトの接触部よりも小さくし、保護凸部の前面を、カード挿入口の内側への突出寸法が近傍のコンタクトの前端よりも小さい部位から、カード挿入口の内側への突出寸法が近傍のコンタクトの前端よりも大きい部位に至るまで、保護凸部の突出方向へ向かって後方へ傾斜させているのに対して、引用発明では、保護凸部がコンタクトの前端よりも前側で略90°切り起こし形成され、コンタクトの前端の突出寸法と保護凸部の突出寸法との関係については不明である点。 そこで、上記相違点について検討する。 本願発明と引用例2記載の技術的事項とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用例2に記載の技術的事項の「ガイドリブ」、「傾斜面」、「第2のカード用コンタクト部材」、「傾斜面(46b)が第2の底板部(41-2)から後方に傾斜して」、「コンタクト部(52a)より低い高さに突出している」ことは、本願発明の「保護凸部」、「前面」、「コンタクト」、「各保護凸部の前面は」「それぞれ、保護凸部の突出方向へ向かって後方へ傾斜し」、「突出寸法は近傍のコンタクトの接触部よりも小さ」いことに、それぞれ相当する。 また、引用例2記載の技術的事項の「第2の底板部(41-2)の上方領域(カードが挿入される領域)において、第2のカード用コンタクト部材(52)のうち第2の底板部(41-2)から後方に傾斜して突出する部分」は、本来、コンタクト部材に挿入されるべきではないカードとの接触から保護されるべき部材という点で、本願発明の「コンタクトの前端」と共通する。 引用例2の保護凸部(ガイドリブ)は、第1のカードのみならず、本来挿入されるべきではない第1、第2のカード以外の種々のカードの使用及び誤挿入等に対しても、第2の底板部(41-2)の上方に位置する第2のカード用コンタクト部材(52)を保護する作用を有することは当業者にとって明らかである。 一方、引用発明の保護凸部(第1係止片及び第2係止片)も、本来コンタクトに接触する予定のない、裏返し姿勢で誤挿入された等のメモリカードの使用に対してコンタクトを保護するものであるため、引用発明の保護凸部に換え、引用例2に記載の保護凸部(ガイドリブ)を採用することは当業者が容易に想到することである。 そして、引用発明において、引用例2に記載の保護凸部をコンタクトの近傍に配置した場合に、コンタクトの前端の保護ということを考慮すれば、コンタクトの前端よりもカード挿入口の内側への突出寸法が大きい部位を近傍のコンタクトの前端よりも前側に有し、保護凸部の前面が、カード挿入口の内側への突出寸法が近傍のコンタクトの前端よりも小さい部位から、カード挿入口の内側への突出寸法が近傍のコンタクトの前端よりも大きい部位に至るまで、保護凸部の突出方向へ向かって後方へ傾斜したものとなることは当然のことである。 また、本願発明による効果も、引用発明及び引用例2記載の技術的事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものではない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-12-21 |
結審通知日 | 2012-12-25 |
審決日 | 2013-01-08 |
出願番号 | 特願2007-293574(P2007-293574) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01R)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 秀行 |
特許庁審判長 |
竹之内 秀明 |
特許庁審判官 |
長浜 義憲 山崎 勝司 |
発明の名称 | メモリカード用ソケット |
代理人 | 仲石 晴樹 |
代理人 | 北出 英敏 |
代理人 | 坂口 武 |
代理人 | 西川 惠清 |