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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1270632
審判番号 不服2011-23320  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-28 
確定日 2013-02-27 
事件の表示 特願2005-183733「光ピックアップ及びレンズ組立て装置ならびにその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月19日出願公開,特開2006- 19001〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は,平成17年6月23日(パリ条約による優先権主張 平成16年6月29日 韓国)に出願されたものであって,平成22年6月10日付け拒絶の理由に対し,同年9月15日に手続補正がなされ,平成23年2月25日付け拒絶の理由に対し,同年6月1日に意見書が提出されたが,同年6月21日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされたものであり,これに対し,平成23年10月28日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると共に,同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成23年10月28日付けでした手続補正の却下の決定

《補正の却下の決定の結論》

平成23年10月28日付けでした手続補正を却下する

《補正の却下の決定の理由》

1 本件補正の概要
平成23年10月28日付けでした手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲を補正するものであり,そのうち,請求項1については,本件補正前

「複数の対物レンズと,
前記複数の対物レンズを挿設するための複数の取付孔を持ち,前記複数の取付孔のうち少なくともいずれか一つの取付孔の載置面が,それに設置された対物レンズの傾斜調整が可能に曲面で形成されたレンズホルダーとを備え,
前記載置面は,球面で形成され,その内径及び外径が,その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さいか,または大きく形成されたことを特徴とする光ピックアップ。」
とあったものを,本件補正により,

「複数の対物レンズと,
前記複数の対物レンズを挿設するための複数の取付孔を持ち,前記複数の取付孔のうち少なくともいずれか一つの取付孔の載置面が,それに設置された対物レンズの傾斜調整が可能に曲面で形成されたレンズホルダーとを備え,
前記載置面は,球面で形成され,
前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成された
ことを特徴とする光ピックアップ。」(下線は請求人が付していたものである。)

としようとするものである。

2 補正の目的について
本件補正による「前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成された」は,本件補正前の「前記載置面は,」「その内径及び外径が,その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さいか,または大きく形成された」(下線は当審で付与。)のうち,「内径」について「その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さい」もののみとし,「外径」について「その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上」「大きく形成」されたもののみとするものである。
すると,本件補正は,特許請求の範囲に選択的に記載されていた事項の一部を削除するものであるから,発明を特定するために必要な事項をさらに限定しようとするものであるということができる。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項の規定によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
よって,以下,本件補正による請求項1の発明(以下,「本件補正発明」という。)が,出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

3 刊行物の記載事項
(1) 文献1
この出願の優先日前に頒布された刊行物であり,原査定の拒絶の理由で引用された特開2001-160329号公報(以下,「文献1」という。)には,図面と共に以下の事項が記載されている。なお,下線は当審で付したものである。
ア 「【0017】図2は,図1に示した光ディスク装置に組み込まれる光ピックアップの構成の一例を説明する概略図である。
【0018】図2に示されるように,レンズホルダ7は,円筒状で,円筒の一端が平面7aに形成されている。平面7aには,第1および第2の対物レンズ8,9が,平面7aの中心を軸として,所定の角度および所定の距離で設けられている。なお,第1の対物レンズ8には,CD-R(CDタイプで記録可能な)ディスク(厚さ1.2mm)向けの開口率が,第2の対物レンズ9には,DVDディスク(厚さ0.6mm)向けの開口率が,それぞれ与えられている。また,第1および第2の対物レンズ8,9(すなわちレンズホルダ7)は,フォーカス制御7fおよびトラック制御コイル7tならびに図示しないマグネットからなる回転力発生機構から提供される推進力により,レンズホルダ7の平面7aの軸を中心として以下に説明する切換動作で切り換えられる作動位置に切換可能な第1および第2の位置に,位置されている。」
イ 「【0024】次に,図2に示した光ピックアップのレンズホルダに,第1および第2の対物レンズを固定する手順を,説明する。
【0025】図1および図2に示したように,DVD向け対物レンズ9とCD向け対物レンズ8および摺動軸6を有し,摺動軸6の回りの回転と軸方向の移動(θ方向)の動作により各レンズ9,8のトラッキングおよびフォーカシングを制御するよう設計されたレンズホルダ7を有する光学的情報記録再生装置(光ディスク装置)1においては,個々の対物レンズ8,9は,図3を用いて以下に説明するレンズホルダ7の所定の位置に形成されているガイド穴(固定部)78,79に,接着による貼り付け方法により固定されている。」
ウ 「【0054】図8および図9は,図7(a)および図7(b)に示したDVD向けレンズをレンズホルダに固定するための別の実施の形態を説明する概略図である。
【0055】図8に示すように,DVD向けの対物レンズ9をレンズホルダ7に固定する際に,DVD用レンズ9のレンズホルダ7の固定部79に接触する方の面の球面に近い曲面を利用して傾き調整することができる。すなわち,対物レンズ9のレンズホルダ7側の面は,概ね球面であるから,レンズホルダ7の固定部79の軸方向の内面(内周側)を円錐面とすることで,レンズ9の重量と球面による調芯作用により,レンズ9をレンズホルダ7の固定部79に,光軸が中心を通るよう配置することができる。
【0056】なお,図9に示すように,DVD用レンズ9の外表面部分に,光学的な目的ではなく,角度調整(調芯)の目的で曲面部分99を設けて,この曲面部分99と固定部79とによる調芯効果を利用してもよい。
【0057】詳細には,図8に示すように,レンズホルダ7の固定部79に設けられている絞りの役割をする円形の開口穴(内面の直径)79-1(開口穴79-1の中心軸は,一般にモニタ光の光軸と記録再生時のレーザビームの光軸と同一になるよう設計されている)は,一般に対物レンズ9の光学的な有効径(光を絞ることのできる直径に相当)よりも小さいので,開口穴79-1の縁に,レンズ9の曲面が接触するようにして,レンズ9をレンズホルダ7に押しつけながらレンズ9を開口穴79-1の中心軸に垂直な平面のX-Y方向に動かすことにより,DVD用レンズ9の角度(レンズの中心軸と開口穴の中心軸のなす角度)を調整する。」

以上の記載及び図面の記載から,文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「第1の対物レンズ8およびDVD用レンズである第2の対物レンズ9が,レンズホルダ7の所定の位置に形成されている固定部78,79に固定される光ピックアップであって,
レンズホルダ7の固定部79の軸方向の内面を円錐面とし,DVD用レンズ9の外表面部分に角度調整の目的で,曲面部分99を設け,球面に近い曲面を利用して傾き調整することによりレンズ9をレンズホルダ7の固定部79に,光軸が中心を通るよう配置することができる
光ピックアップ。」

(2) 文献2
この出願の優先日前に頒布された刊行物であり,原査定の拒絶の理由で引用された特開2001-222836号公報(以下,「文献2」という。)には,図面と共に以下の事項が記載されている。なお,下線は当審で付したものである。
ア 「【0013】2軸サスペンション12によって支持されるレンズホルダ11の上面側略中央の所定位置には,情報を読み書きする対物レンズ20を摺動可能に収納配置するように凹形状の収納部21が形成されている(図2,図4に図示)。この収納部21の上周縁の相対向する4箇所には,収納部21に対物レンズ20を収納配置した際に両者の側面で形成される対向隙間に連通している注入孔21eが画成されている(図2に図示)。ところで,レンズホルダ11の外周面には,フォーカスコイル22aおよびトラッキングコイル22bからなる励磁コイル22が巻設されている(図1,図2に図示)。」
イ 「【0015】収納部21の内周面には,下方に向かって次第に狭窄されていく円錐面部21bが形成されていて,収納部21に対物レンズ20を収納配置した際に,円錐面部21bが対物レンズ20の下面外周側に形成された球面部20b(図3に図示)を摺接支持するようになっている。なお,対物レンズ20の上面には,平坦形状の光反射面20aが形成されている。」
ウ 「【0035】なお,本実施形態においては,対物レンズ20の下面外周側が球面形状,レンズホルダ11の収納部21に円錐面部21bが形成されるようなスキュー調整摺動部位が構成されているが,これに限定されるものではなく,対物レンズ20に球面形状とレンズホルダ11に球面形状とが形成された組合せ,または,対物レンズ20に球面形状とレンズホルダ11に少なくても3個の接合斜面とが形成された組合せ,さらにまた,対物レンズ20に所定半径面とレンズホルダ11に球面形状とが形成された組合せ,等によって構成されてもよい。」

4 引用発明と本件補正発明の対比
引用発明の「第1の対物レンズ8およびDVD用レンズである第2の対物レンズ9」は,本件補正発明の「複数の対物レンズ」に相当する。
引用発明の「レンズホルダ7」は,本件補正発明の「レンズホルダー」に相当する。
引用発明の「固定部78,79」は,本件補正発明の「前記複数の対物レンズを挿設するための複数の取付孔」に相当し,そのうち,引用発明の「固定部79」は,本件補正発明の「前記複数の取付孔のうち少なくともいずれか一つの取付孔」に相当する。
引用発明の「固定部79の軸方向の内面」は,図8及び図9を参照すると「DVD用レンズ9」が接触しているから,引用発明の「固定部79の軸方向の内面」は,本件補正発明の「載置面」に相当する。
引用発明の「傾き調整」は,本件補正発明の「傾斜調整」に相当する。
引用発明の「光ピックアップ」は,本件補正発明の「光ピックアップ」に相当する。

5 一致点及び相違点
以上より,本件補正発明と引用発明は以下の点で一致する。
「複数の対物レンズと,
前記複数の対物レンズを挿設するための複数の取付孔を持ち,前記複数の取付孔のうち少なくともいずれか一つの取付孔の載置面が,それに設置された対物レンズの傾斜調整が可能にされたレンズホルダーとを備えた
ことを特徴とする光ピックアップ。」

そして,本件補正発明は「載置面は,球面で形成され」,「前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成され」たものであるのに対し,引用発明の「固定部79の軸方向の内面」は「円錐面」である点(以下,相違点という。)で相違する。

6 相違点についての判断
文献2には,レンズホルダ11に設けられるスキュー調整摺動部位において,レンズホルダ11に球面形状を形成することが記載されている。
ここで,文献2には,本件補正発明の「前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成」することに対応する事項の記載はない。
しかしながら,前記本件補正発明の「前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成」は,載置面の中間位置が必ず載置面の内径と載置面の外径の中間位置となるという条件があることから,載置面全体の幅を0.1mm以上とすることをいうにすぎないのである。
一方で,文献2の発明は「摺動」により「スキュー調整」をなすものというのであるところ,「摺動」(物体と物体を摺接させて動かす,すなわち滑らせる。)は,本件補正発明の下限値である0.1mmを下回る,実質的に点に等しいような面では技術的にみてなし得ないことであり,ひいては,「スキュー調整」が実質上できないものとなるから,ある程度の幅を有する,すなわち,本件補正発明の下限値である0.1mmを大きく上回る面を形成するものであることは明らかである。
したがって,本件補正発明の「前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成」,すなわち載置面全体の幅を0.1mm以上とすることは,摺動面が円錐面であれ球面であれ,「摺動」により「スキュー調整」をするために必要であることは自明であるから,載置面全体の幅として0.1mm程度を確保することは,当業者が容易に想到し得ることである。そして,文献1及び文献2を通して,レンズ載置面の幅が0.1mmを下回るようなものとする必然性はないから,0.1mm以上とすることは,当業者が適宜設定し得る程度のことにすぎない。
そして,引用発明と文献2記載の発明を組合せ本件補正発明のようにすることにより,格別顕著な効果が生じるものでもない。

7 独立特許要件の判断のむすび
以上検討したように,本件補正発明は,引用発明及び文献2記載の発明に基づいて,当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,出願の際独立して特許を受けることができないものである。

8 補正の却下の決定のむすび
以上のように,本件補正発明は,引用発明及び文献2記載の発明に基づいて,当業者であれば容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから,特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下をすべきものである。
よって,結論のとおり決定する。


第3 本願発明
以上のように本件補正は却下されたから,この出願の特許請求の範囲の請求項1の発明(以下,「本願発明」という。)は,前記第2《補正の却下の決定の理由》1に,本件補正前の請求項1の発明として示したとおりのものである。

第4 刊行物の記載事項
刊行物の記載事項は,前記第2《補正の却下の決定の理由》3に示したとおりのものである。

第5 対比及び判断
本願発明は,「前記載置面は,球面で形成され,その内径及び外径が,その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さいか,または大きく形成された」という特定事項を有するものであるところ,かかる特定事項は,「内径」及び「外径の」それぞれについて,「その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さいか,または大きく形成された」というものである。
そして,「0.05mm以上小さいか,または大きく」は,「0.05mm以上小さく」又は「0.05mm以上大きく」であるから,結局,特定がなされない全ての範囲を含むものである。
したがって,本願発明の「前記載置面は,球面で形成され,その内径及び外径が,その載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さいか,または大きく形成された」によって特定されるものは,「前記載置面は,球面で形成された」という事項のみである。
すると,本願発明は,本件補正発明の「前記載置面の内径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上小さく形成されたか,または前記載置面の外径がその載置面の中間位置を基準に少なくとも0.05mm以上大きく形成された」という特定事項を省いたものに相当するから,前記特定事項により特定された本件補正発明が,前記第2《補正の却下の決定の理由》4から6に示したように,引用発明及び文献2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,前記特定事項のない本願発明も,引用発明及び文献2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって,本願発明は,引用発明及び文献2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6 むすび
以上のように,本願発明は,引用発明及び文献2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって,この出願については,他の請求項について論及するまでもなく,原査定の拒絶の理由により拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-25 
結審通知日 2012-10-02 
審決日 2012-10-16 
出願番号 特願2005-183733(P2005-183733)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安田 勇太  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 齊藤 健一
小松 正
発明の名称 光ピックアップ及びレンズ組立て装置ならびにその方法  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  

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