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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1270815
審判番号 不服2010-16357  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-21 
確定日 2013-03-22 
事件の表示 特願2007-183939号「電線接続構造」拒絶査定不服審判事件〔平成21年1月29日出願公開、特開2009-21148号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年7月13日の出願であって、平成22年6月18日付けで拒絶査定がなされ(同年6月29日発送)、これに対し、平成22年7月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされた。

第2 平成22年7月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
平成22年7月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。

「リン青銅の薄板状金属部材を塑性変形させた接続圧着端子(1)を備え、かつ、一対の第1かしめ片(2a)(2a)を有すると共に内面側に突出する帯状の凸部を有する導体かしめ部(2A)を軸心方向(L)の一方端に形成し、一対の第2かしめ片(2b)(2b)を有すると共に内面側へ突出する帯状の凸部を有する導通線かしめ部(2B)を上記軸心方向(L)の中間部に形成し、一対の第3かしめ片(2c)(2c)を有する被覆かしめ部(2C)を上記軸心方向(L)の他方端に形成した上記接続圧着端子(1)に、小型電子部品から突設される針金状の単線である導体(A)の導体端面(a)と、電線(D)の電線端面(b)と、を対面状に接近乃至当接させて配設し、上記第1かしめ片(2a)(2a)にて上記導体(A)を抱き込み状にかしめ固着し、上記第2かしめ片(2b)(2b)にて上記電線(D)の導通線(B)を抱き込み状にかしめ固着し、上記第3かしめ片(2c)にて上記電線(D)の絶縁被覆部(C)を抱き込み状にかしめ固着し、
さらに、上記導体かしめ部(2A)の上記小型電子部品側の端縁部を、上記かしめ固着状態で拡径状にして導体切断防止縁部(10)を形成し、上記導通線かしめ部(2B)の上記絶縁被覆部(C)側の端縁部を、上記かしめ固着状態で拡径状にして導通線切断防止縁部(11)を形成して、上記小型電子部品の導体(A)と上記電線(D)とを連結したことを特徴とする電線接続構造。」(下線は補正箇所を示す。)

2.補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である電線接続構造について「リン青銅の薄板状金属部材を塑性変形させた接続圧着端子(1)を備え」る点を限定し、導体かしめ部(2A)及び導通線かしめ部(2B)について「内面側へ突出する帯状の凸部を有する」点を限定し、導体(A)について「小型電子部品から突設される針金状の単線である」点を限定し、導体かしめ部(2A)の端縁部について「一方端側」を「上記小型電子部品側」に限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか。)について以下に検討する。

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された実願昭63-27684号(実開平1-132064号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「先端から順に接触子用素材かしめ部、接触子抜け止めかしめ部、電線芯線かしめ部及び電線被覆かしめ部とを有す圧着部に、接触子用素材を前方に突出させて圧着すると共に該素材とは独立して電線芯線をかしめ付けるようになしたことを特徴とするコネクタ用接触子。」(実用新案登録請求の範囲)

(イ)「本考案は、コネクタ用接触子に関し、更に詳しくは、電話器等におけるモジュラーコネクタに用いて最適な接触子に関する。」(1ページ13?15行)

(ウ)「第1図は本考案の一実施例を示すコネクタ用接触子の斜視図で、接触子用素材1と電線2とを後述するかしめ部を有する圧着部3によって電気的並びに機構的に一体連結してある。
第2図は圧着部3における各かしめ片の起立状態を示す側面図及び第3図は該圧着部3に電線2及び接触子用素材1を沿わせた状態を示す一部縦断側面図で、かしめ片4aからなる接触子用素材1のかしめ部と、かしめ片4bからなる接触子用素材1のつぶし部5に対する抜け止めかしめ部と、かしめ片4cからなる電線芯線6に対するかしめ部及びかしめ片4dからなる前記電線2の被覆7に対するかしめ部とからなり、これ等各かしめ部の内のかしめ片4aをOクリンプのかしめ状態に構成する他は、かしめ片4b及び4cをFクリンプ又はかしめ片4dをDクリンプ構成になしてある。
そして、かかる構成によるとき、第3図及び第4図の各かしめ部断面図から理解出来るように、接触子用素材かしめ部と電線芯線かしめ部とが独立しており、圧着部3において該芯線6と該素材1とが重なりかしめ付けされることはない。」(5ページ4行?6ページ4行)

(エ)「このように、本考案接触子は、・・・電話器用コネクタに限ることなくその他一般のコネクタ用接触子として用いることが可能である等、本考案接触子は構成簡単にしてその効果が極めて顕著なるものであり、即実用に供し得るものである。」(6ページ8行?7ページ2行)

(オ)第1図、第3図及び第4図には、一対のかしめ片4aが接触子用素材1を抱き込み状にかしめ付け、一対のかしめ片4bが接触子用素材1のつぶし部5を抱き込み状にかしめ付け、一対のかしめ片4cが電線2の電線芯線6を抱き込み状にかしめ付け、一対のかしめ片4dが電線2の被覆7を抱き込み状にかしめ付けることが示されている。

(カ)第1図ないし第3図には、圧着部3の軸心方向の先端から順にかしめ片4a、かしめ片4b、かしめ片4c及びかしめ片4dが設けられていることが示されている。

(キ)第3図には、接触子用素材1の端面と電線芯線6の端面が、かしめ片4bとかしめ片4cの間に設けられていることが示されている。

したがって、上記記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「軸心方向の先端から順に、一対のかしめ片4aからなり接触子用素材1を抱き込み状にかしめ付ける接触子用素材かしめ部、一対のかしめ片4bからなり接触子用素材1のつぶし部5を抱き込み状にかしめ付ける接触子抜け止めかしめ部、一対のかしめ片4cからなり電線2の電線芯線6を抱き込み状にかしめ付ける電線芯線かしめ部及び一対のかしめ片4dからなり電線2の被覆7を抱き込み状にかしめ付ける電線被覆かしめ部とを有する圧着部3に、接触子用素材1の端面と電線芯線6の端面をかしめ片4bとかしめ片4cの間に設け、接触子用素材1を前方に突出させて圧着すると共に接触子用素材1とは独立して電線芯線6をかしめ付け、圧着部3において電線芯線6と接触子用素材1とを重ねてかしめ付けないモジュラーコネクタ用接触子。」

4.対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「圧着部3」は本願補正発明の「接続圧着端子」に相当し、以下同様に、「一対のかしめ片4a」は「一対の第1かしめ片」に、「接触子用素材かしめ部」は「導体かしめ部」に、「一対のかしめ片4c」は「一対の第2かしめ片」に、「電線芯線かしめ部」は「導通線かしめ部」に、「一対のかしめ片4d」は「一対の第3かしめ片」に、「電線被覆かしめ部」は「被覆かしめ部」に、「接触子用素材1」はモジュラーコネクタの接触子用素材であるので「針金状の単線である導体」に、「接触子用素材1の端面」は「導体端面」に、「電線2」は「電線」に、「電線芯線6の端面」は電線2の端面でもあるので「電線端面」に、「電線芯線6」は「導通線」に、「被覆7」は「絶縁被覆部」に、「モジュラーコネクタ用接触子」は圧着部3によって接触子用素材1と電線2とを接続した接続構造であるので「導体と上記電線とを連結した電線接続構造」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「軸心方向の先端から順に、」「接触子用素材かしめ部、」「電線芯線かしめ部及び」「電線被覆かしめ部とを有する」ことと、本願補正発明の「導体かしめ部を軸心方向の一方端に形成し、」「導通線かしめ部を上記軸心方向の中間部に形成し、」「被覆かしめ部を上記軸心方向の他方端に形成した」こととは、「導体かしめ部を軸心方向の一方端に形成し、」「導通線かしめ部を上記軸心方向の中間部に形成し、」「被覆かしめ部を上記軸心方向の他方端側に形成した」点で共通する。
また、引用発明の「接触子用素材1の端面と電線芯線6の端面をかしめ片4bとかしめ片4cの間に設け、」「接触子用素材1とは独立して電線芯線6をかしめ付け、圧着部3において電線芯線6と接触子用素材1とを重ねてかしめ付けない」ことは、かしめ片4bとかしめ片4cの間の短い距離で、芯線6と素材1とを重ねずに独立してかしめ付けているため、接触子用素材1の端面と電線芯線6の端面は接近乃至当接させて対面しているといえるので、本願補正発明の「導体の導体端面と、電線の電線端面と、を対面状に接近乃至当接させて配設」することに相当する。
また、引用発明の「接触子用素材かしめ部」が「一対のかしめ片4aからなり接触子用素材1を抱き込み状にかしめ付け」、「電線芯線かしめ部」が「一対のかしめ片4cからなり電線2の電線芯線6を抱き込み状にかしめ付け」、「電線被覆かしめ部」が「一対のかしめ片4dからなり電線2の被覆7を抱き込み状にかしめ付ける」ことは、本願補正発明の「上記第1かしめ片にて上記導体を抱き込み状にかしめ固着し、上記第2かしめ片にて上記電線の導通線を抱き込み状にかしめ固着し、上記第3かしめ片にて上記電線の絶縁被覆部を抱き込み状にかしめ固着」することに相当する。

そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。

(一致点)
「接続圧着端子を備え、かつ、一対の第1かしめ片を有する導体かしめ部を軸心方向の一方端に形成し、一対の第2かしめ片を有する導通線かしめ部を上記軸心方向の中間部に形成し、一対の第3かしめ片を有する被覆かしめ部を上記軸心方向の他方端側に形成した上記接続圧着端子に、針金状の単線である導体の導体端面と、電線の電線端面と、を対面状に接近乃至当接させて配設し、上記第1かしめ片にて上記導体を抱き込み状にかしめ固着し、上記第2かしめ片にて上記電線の導通線を抱き込み状にかしめ固着し、上記第3かしめ片にて上記電線の絶縁被覆部を抱き込み状にかしめ固着し、
導体と上記電線とを連結した電線接続構造。」

そして、両者は次の点で相違する。

(相違点1)
接続圧着端子について、本願補正発明では、リン青銅の薄板状金属部材を塑性変形させたものであるのに対して、引用発明では、どのような材料でどのように形成したものであるのか不明である点。

(相違点2)
導体かしめ部及び導通線かしめ部について、本願補正発明では、内面側に突出する帯状の凸部を有するのに対して、引用発明では、そのような凸部を有していない点。

(相違点3)
被覆かしめ部について、本願補正発明では、接続圧着端子の軸心方向の他方端に形成されているのに対して、引用発明では、引用例の第2図及び第3図に示されているように、かしめ片4dはかしめ片4a?4cよりも左側(すなわち、軸心方向の他方端側)に形成されているものの、圧着部3の左端部(すなわち、軸心方向の他方端)には形成されていない点。

(相違点4)
導体について、本願補正発明では、小型電子部品から突設されるのに対して、引用発明では、モジュラーコネクタの接触子用素材であり小型電子部品から突設されたものではない点。

(相違点5)
本願補正発明では、上記導体かしめ部の上記小型電子部品側の端縁部を、上記かしめ固着状態で拡径状にして導体切断防止縁部を形成し、上記導通線かしめ部の上記絶縁被覆部側の端縁部を、上記かしめ固着状態で拡径状にして導通線切断防止縁部を形成しているのに対して、引用発明では、そのような導体切断防止縁部及び導通線切断防止縁部を形成していない点。

5.相違点の判断
(相違点1について)
接続圧着端子の材料をリン青銅とすることは、例えば特開平5-326109号公報(段落【0015】参照。)に記載されているように本件出願前周知であり、リン青銅の薄板状金属部材を塑性変形させて端子を形成することは、例えば特開2003-272725号公報(段落【0024】参照。)、特開2006-49089号公報(段落【0022】参照。)に記載されているように本件出願前周知である。
一方、引用例における圧着部3(接続圧着端子)は、接触子用素材1と電線2とを電気的並びに機構的に一体連結できるものであれば、どのような材料でどのように形成するかは当業者が適宜選択し得る設計的な事項である。
したがって、引用発明の接続圧着端子を、リン青銅の薄板状金属部材を塑性変形させたものとすることは、上記周知の事項に倣って、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点2について)
かしめ部において接続強度を高めることは当業者にとって本件出願前周知の課題であり、その課題を解決するために、かしめ部の内面側に突出する帯状の凸部を有するようにすることは、例えば上記特開平5-326109号公報(段落【0015】参照。)、特開2002-313313号公報(段落【0016】及び図12参照。)に記載されているように本件出願前周知である。
したがって、引用発明の導体かしめ部及び導通線かしめ部に、内面側に突出する帯状の凸部を有するようにすることは、上記周知の事項に倣って、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点3について)
被覆かしめ部を接続圧着端子の軸心方向の端部に形成しているものは、例えば上記特開平5-326109号公報(図2参照。)、特開平3-88283号公報(1ページ右下欄7?8行及び第4図参照。)に記載されているように本件出願前周知である。
一方、引用例の第2図及び第3図における、圧着部3のうちかしめ片4d(被覆かしめ部)より左側の部位について検討すると、引用例には該部位の機能に関する記載がないので、引用発明において該部位を設けるか否か(すなわち、該部位を除いてかしめ片4dを圧着部3の他方端に形成するか否か)は、当業者が適宜選択し得る設計的な事項である。
したがって、引用発明の被覆かしめ部を接続圧着端子の軸心方向の他方端に形成するようにすることは、上記周知の事項に倣って、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点4について)
上記「3.(エ)」より、引用例は、接触子が電話器用コネクタ以外の分野に用いることが可能であることを示唆している。
また、接続圧着端子が小型電子部品であるヒューズから突設される導体をかしめ固着するものは、例えば上記特開平3-88283号公報(1ページ右下欄8?12行及び第4図参照。)、発明協会公開技報公技番号91-3288号(1ページ左欄及び第1図参照。)に記載されているように本件出願前周知である。
したがって、引用発明の接続圧着端子にかしめ固着される導体を小型電子部品から突設されたものとすることは、上記周知の事項に倣って、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点5について)
かしめ部において接続の安定性を高めることは当業者にとって本件出願前周知の課題であり、その課題を解決するために、圧着時に導体が切断されるのを防止するべく圧着部分の端部の径を拡径に形成した、いわゆるベルマウスを設けることは、例えば上記特開2002-313313号公報(段落【0016】、【0024】及び図12参照。)、特開2003-100413号公報(段落【0013】参照。)、実願昭57-196314号(実開昭59-101358号)のマイクロフィルム(2ページ2?9行及び第1図参照。)、特開昭53-104883号公報(2ページ左下欄13行?右下欄8行及び第4図参照。)に記載されているように本件出願前周知である。
そして、引用発明の接触子用素材かしめ部及び電線芯線かしめ部(導体かしめ部及び導通線かしめ部)にかしめ固着状態で拡径状にして導体切断防止縁部及び導通線切断防止縁部を形成する際に、接触子用素材1及び電線芯線6(導体及び導通線)の先端側に導体切断防止縁部及び導通線切断防止縁部を形成しても切断の影響が小さい点を考慮すると、導体切断防止縁部及び導通線切断防止縁部を導体かしめ部及び導通線かしめ部のうち導体及び導通線の根本側のみに設けることは格別なことではない。
また、上記(相違点4について)で述べたのと同様に、導体を小型電子部品から突設されたものとすると、導体かしめ部のうち導体の根本側は小型電子部品側の端縁部となり、導通線かしめ部のうち導通線の根本側は絶縁被覆部側の端縁部となる。
したがって、引用発明の導体かしめ部の小型電子部品側の端縁部に、かしめ固着状態で拡径状にして導体切断防止縁部を形成し、導通線かしめ部の絶縁被覆部側の端縁部に、かしめ固着状態で拡径状にして導通線切断防止縁部を形成するようにすることは、上記周知の事項に倣って、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び上記周知の事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

6.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年2月15日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「一対の第1かしめ片(2a)(2a)を有する導体かしめ部(2A)を軸心方向(L)の一方端に形成し、一対の第2かしめ片(2b)(2b)を有する導通線かしめ部(2B)を上記軸心方向(L)の中間部に形成し、一対の第3かしめ片(2c)(2c)を有する被覆かしめ部(2C)を上記軸心方向(L)の他方端に形成した接続圧着端子(1)に、導体(A)の導体端面(a)と、電線(D)の電線端面(b)と、を対面状に接近乃至当接させて配設し、上記第1かしめ片(2a)(2a)にて上記導体(A)を抱き込み状にかしめ固着し、上記第2かしめ片(2b)(2b)にて上記電線(D)の導通線(B)を抱き込み状にかしめ固着し、上記第3かしめ片(2c)にて上記電線(D)の絶縁被覆部(C)を抱き込み状にかしめ固着し、
さらに、上記導体かしめ部(2A)の一方端側の端縁部を、上記かしめ固着状態で拡径状にして導体切断防止縁部(10)を形成し、上記導通線かしめ部(2B)の上記絶縁被覆部(C)側の端縁部を、上記かしめ固着状態で拡径状にして導通線切断防止縁部(11)を形成して、上記導体(A)と上記電線(D)とを連結したことを特徴とする電線接続構造。」

第4 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2 3.」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、上記「第2 1.」の本願補正発明から、電線接続構造、導体かしめ部(2A)、導通線かしめ部(2B)、導体(A)及び導体かしめ部(2A)の端縁部についての限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 4.及び5.」に記載したとおり、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-12 
結審通知日 2011-08-23 
審決日 2011-09-05 
出願番号 特願2007-183939(P2007-183939)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
P 1 8・ 575- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 康孝  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 稲垣 浩司
長浜 義憲
発明の名称 電線接続構造  
代理人 堀家 和博  
代理人 千葉 茂雄  

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