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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
管理番号 1270864
審判番号 不服2012-11675  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-21 
確定日 2013-03-07 
事件の表示 特願2010- 19286「新聞製作装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月18日出願公開、特開2011-157168〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成22年1月29日の出願であって、当審において平成24年9月6日付けで拒絶理由を通知し、これに対し、平成24年11月5日付けで手続補正がなされたものである。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、当該手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1の記載により特定される次のとおりのものと認める。
「連続紙を供給する給紙ユニットと、
インクジェット印刷ユニットと、
印刷後の連続紙を切断して折り畳む折りユニットと、
を有する新聞製作装置において、
前記折りユニットは、
外周面に紙を保持可能で、かつ、適宜のタイミングで紙の保持を解除可能な保持機構と、適宜のタイミングで保持した紙を半径方向外側に突き出す折り刃機構と、を有する折り胴と、
前記折り刃機構により突き出された紙を咥えて巻き取る咥え胴と、
一部が前記咥え胴に巻きかけられ、前記咥え胴と協働して紙を搬送可能な案内ベルトと、
を備えた回転折りユニットであり、
前記回転折りユニットは、前記保持機構による紙の保持を解除する動作と、前記折り刃機構による紙を突き出す動作とを前記折り胴の任意の複数の回転に一度行わせることによって、前記保持機構で保持した紙を前記折り胴の複数回転毎に折り畳むコレクトランが可能であることを特徴とする新聞製作装置。」

2.当審拒絶理由の概要
平成24年9月6日付け当審拒絶理由の概要は以下の通りである
「1.本件出願の請求項1に係る発明は、その出願の日前の国際出願であって、その国際出願日後に国際公開された特願2010-540424号(国際出願番号PCT/JP2009/068021号)の国際出願日における国際特許出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者がその出願前の国際特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件出願時において、その出願人が上記国際特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
2.本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された引用例2?5に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特願2010-540424号(国際出願番号PCT/JP2009/068021号)の国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面、特許請求の範囲(国際公開第2010/061695号参照)
2.国際公開第2009/118915号
3.実願昭60-198073号(実開昭62-105983号)のマイクロフィルム
4.特開平1-192668号公報
5.特開平8-230148号公報」

3.引用発明
(1)当審の拒絶理由に引用された特願2010-540424号(国際出願番号PCT/JP2009/068021号)に係る出願は、本願の出願日前の平成21年10月19日に国際出願され、本願の出願日後である平成22年6月3日に国際公開されたものであり、その国際出願日における国際特許出願の明細書、請求の範囲又は図面(国際公開第2010/061695号参照)(以下、「先願明細書等」という。)には以下の記載がある。
(a)「上記の目的を達成するための本発明の折機は、印刷済のウェブを重ねると共に断裁してから折り畳む折機であって、周面にウェブを予め設定された所定枚数だけ重ねる巻取胴と、該巻取胴に巻き取られたウェブを所定の長さのシートに断裁する断裁手段と、該断裁手段で断裁されて所定枚数だけ重ねられた複数のシートを折り畳む折畳手段と、を備えることを特徴とするものである。」(【0012】参照)
(b)「実施例1の印刷機は、バリアブル印刷機を用いて新聞を印刷する新聞印刷機である。実施例1の印刷機は、図4に示すように、給紙部11と、表面印刷ユニット12と、裏面印刷ユニット13と、折機14と、排紙部15とから構成されている。給紙部11は、ウェブWがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アーム11aを有し、この保持アーム11aを回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。
また、表面印刷ユニット12は、ウェブWの表面に多色印刷を行う印刷ユニットであって、バリアブル印刷機としてのインクジェット式印刷機により構成されている。また、裏面印刷ユニット13は、ウェブWの裏面に多色印刷を行う印刷ユニットであって、バリアブル印刷機としてのインクジェット式印刷機により構成されている。なお、バリアブル印刷機として、インクジェット式印刷機を適用したが、編集システムなどで作成したデータをそのまま受け取って印刷可能なデジタル印刷機であればよく、インクジェット方式に限らず、電子写真方式など、描画方式を問うものではない。」(段落【0055】?【0056】参照)
(c)「 実施例3の印刷機は、実施例1と同様に、バリアブル印刷機を用いて新聞を印刷する新聞印刷機である。図7に示すように、実施例3の折機60は、バリアブル印刷機としてのインクジェット式印刷機により表面及び裏面に印刷が施されたウェブWを、所定の長さに断裁してシートSを形成してから重ね合わせ、このシートSが予め設定された枚数だけ重ね合わされたら、横折りすると共に縦折りして所望の折帖Fを形成するものである。
この折機60について詳細に説明する。この折機60は、ジョウフォルダ式であって、最上部には、表面印刷及び裏面印刷が施されたウェブWを下方に搬入するガイドローラ61が設けられ、このガイドローラ61の下方に一対のニッピングローラ62が設けられている。そして、このニッピングローラ62の下方には、鋸胴63と折胴64がウェブWを挟んで左右に対向して配設されており、折胴64に対向して咥胴65が設けられている…。
鋸胴63は、その周面に周方向に均等間隔で、つまり、180度対向して鋸刃71a,71bが設けられている。一方、折胴64は、その周面に周方向に均等間隔で、つまり、180度対向して鋸刃受72a,72bが設けられており、鋸刃71a,71bと鋸刃受72a,72bが互いに対向するように、その回転位相が一致している。そのため、鋸胴63と折胴64が同期回転し、鋸刃71a,71bと鋸刃受72a,72bが対向して一致するときに、この鋸刃71a,71bによりウェブWを横裁断し、所定長さのシートSを形成することができる。
また、折胴64は、その周面に周方向に均等間隔で、つまり、180度対向して針装置(保持部)73a,73bが、鋸刃受72a,72bより折胴64の回転方向における上流側に設けられている。この針装置73a,73bは、駆動モータ74a,74bにより折胴64の回転に応じて作動するものであり、所定の位置で、針を外方に突出することで、ウェブWの走行方向における先端部を保持することができ、所定の位置で、針を戻すことで、ウェブW(シートS)の先端部の保持を解除することができる。
更に、折胴64は、その周面に周方向に均等間隔で、つまり、180度対向して折ブレード75a,75bが設けられており、この折ブレード75a,75bは、針装置73a,73bとほぼ90度位相がずれて位置している。この折ブレード75a,75bは、エアシリンダ76a,76bにより折胴64の回転に応じて作動するものであり、所定の位置で、折ブレード75a,75bの先端部が外方に突出することで、鋸刃71a,71bにより裁断されたシートSを折胴64の周面から引き剥がすことができる。
また、咥胴65は、その周面に周方向に均等間隔で、つまり、180度対向して咥え装置78a,78bが設けられており、この咥え装置78a,78bは、駆動モータ79a,79bにより咥胴65の回転に応じて作動するものであり、所定の位置で、折ブレード75a,75bにより突き出されたシートSを咥えて搬送することができる。
なお、本実施例では、鋸刃71a,71b、鋸刃受72a,72b、針装置73a,73b、折ブレード75a,75b、咥え装置78a,78bを、鋸胴63、折胴64、咥胴65の外周部に2組設けたが、この数に限定されるものではなく、鋸胴63、折胴64、咥胴65の径により、1組または3組以上設けてもよい。」(段落【0099】?【0105】参照)
(d)「実施例4の印刷機は、実施例3と同様に、バリアブル印刷機を用いて新聞を印刷する新聞印刷機であり、ブロード判(ブランケット判)の新聞を作成するものである。図8に示すように、実施例4の折機100は、バリアブル印刷機としてのインクジェット式印刷機により表面及び裏面に印刷が施されたウェブWを、所定の長さに断裁してシートSを形成してから重ね合わせ、このシートSが予め設定された枚数だけ重ね合わされたら、横折りすると共に縦折りして所望の折帖Fを形成する…更に、咥胴105に隣接して搬送コンベア106が設けられており、この搬送コンベア106に隣接して図示しないチョッパ折装置が設けられている。なお、折胴104と咥胴105とが対向する下方には、咥胴105が咥えた折帖Fをガイドする紙ガイド107が設けられている。」(段落【0121】?【0122】参照)
(e)「そして、折胴104及び咥胴105により横に2つ折りされた折帖Fは、搬送コンベア106により搬送され」(段落【0144】参照)

上記(c)より、折機は、針装置、折ブレードが折胴の回転に応じて所定の位置で作動してシートを引き剥がして咥え胴に咥えさせるものであって、上記(a)(b)より、折機は予め設定された所定枚数だけ重ねられた複数のシートを折り畳むのであり、折胴が複数回転して、回転する折胴の針装置に先端を保持されるシートを重ねるものと認められ、前記針装置によるシートの保持を解除する動作と、前記折ブレードによるシートを引き剥がす動作とを前記折胴に予め設定された所定の複数のシートが重なる、当該予め設定された所定の複数の回転毎に一度行わせてシートを折り畳むものと認められる。よって、以上の記載によれば、先願明細書等には、次の発明(以下「引用発明1」という)が開示されていると認めることができる。
「ウェブを供給する給紙部と、インクジェット式印刷機と、印刷後のウェブを断裁して折り畳む折機とを有する新聞印刷機において、前記折機は、外周面にシートを保持可能で、かつ、所定の位置でシートの保持を解除可能な針装置と、所定の位置で外方に突出することで周面からシートを引き剥がす折ブレードとを有する折胴と、前記折ブレードにより引き剥がされたシートを咥えて搬送する咥胴と、シートを搬送可能な搬送コンベアとを備えた折機であり、
前記折機は、前記針装置によるシートの保持を解除する動作と、前記折ブレードによるシートを引き剥がす動作とを前記折胴の予め設定された所定の複数の回転に一度行わせることによって、前記針装置で保持したシートを前記折胴の複数回転毎に折り畳む新聞印刷機。」

(2)当審の拒絶理由に引用された引用文献2(国際公開第2009/118915号)には、以下の記載がある。
(a)「両面インクジェット印刷ユニットの上流側に連続紙の供給ユニットを、下流側に印刷後の連続紙を切断し折り畳み処理する処理ユニットを設けた新聞製作システムをコンパクトに構成し、システム全体を監視しての新聞製作操作を一人で容易に行うことが可能な新聞製作システムを提供することを目的とするものである。」(第4頁第5?9行)
(b)「連続紙用両面インクジェット印刷ユニットによる新聞紙面印刷と、処理ユニットによる切断及び折畳みとを関連づけて制御する」(第4頁第22?23行)
(c)「連続紙用両面インクジェット印刷ユニットによって、新聞1ページの縦方向を連続紙の幅方向と平行にして、新聞一部を構成する新聞紙面を一組として表裏の新聞紙面位置を整合させて、予め定めた新聞1部を構成するページ数にしたがって連続紙の少なくとも連続方向に並べて繰返し印刷する新聞紙面印刷を行い」(第4頁第25?29行)
(d)「連続紙を切断して表裏それぞれに新聞紙面2ページが横並びに印刷された、1組の平行な二辺が新聞の縦方向寸法である矩形の2ページ切断シートを形成し、当該2ページ切断シートを予め定めた新聞1部を構成するページ数にしたがって新聞1部ごとの切断シート群として重ね合わせ、重ね合わせた新聞1部ごとの切断シート群を新聞として折り畳ませる」(第4頁第38行?第5頁第2行)
(e)「この発明の新聞製作システムSは、図1に示すように、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1と、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1の上流側に設けられ連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1へ連続紙を供給する連続紙供給ユニット2と、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1の下流側に設けられ連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1によって印刷された連続紙を新聞に形成する処理ユニット3及びこれらのユニットの連係、諸動作のタイミング等を調整すべく各ユニットの駆動を制御する制御手段4とを有する。
図2に示すこの発明の第1実施形態である新聞製作システムSAは、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1Aと、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1Aの上流側に連続紙供給ユニット2Aが設けられており、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1Aに新聞1ページの縦寸法に整合する紙幅の連続紙W1を供給可能である。また、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1Aの下流側に処理ユニット3Aが設けられており印刷後の連続紙W1を切断して折り畳む。処理ユニット3Aは切断折畳みユニット3a及び折畳みユニット3bが設けられている。」(第11頁第21?36行)
(f)「切断折畳みユニット3aは、図5(b)に拡大して示すように切断機構5と先行折畳み機構6とを有している。 切断機構5は、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1Aで印刷された連続紙W1を切断して新聞幾ページかが横並びした大きさの切断シートSn、つまり、例えば、1ページ切断シートS1、2ページ切断シートS2、3ページ切断シートS3、4ページ切断シートS4を形成することが可能である。

折畳みユニット3bは、積重ね部7と折畳み機構8とを有している。
積重ね部7は、新聞2ページが横並びした大きさの積重ねスペースに、新聞1部に相当するだけの切断シートSnを揃えて積重ねて切断シート群GSを作成することが可能である。
折畳み機構8は、作成した切断シート群GSを横並びする新聞2ページの中央位置で、新聞1ページの縦方向と平行に2つ折りする折畳みにより新聞折帳SSを形成する。」(第12頁第32行?第13頁第9行)
(g)「折畳み機構8は、上板材8aと搬送部8bとストッパー8cと折畳みローラー対8dと折ブレード8eとを有している。上板材8aは、積重ね部7から送出される切断シート群GSを受け入れて支持し、搬送部8bは、積重ね部7から送出される切断シート群GSを上板材8aの上で移動させる。ストッパー8cは、上板材8aの上での切断シート群GSの移動を制限する。折畳みローラー対8dは、上板材8aの下方に設けられ、折ブレード8eは、上板材8aの上方に少なくとも切断シート群GSの厚さよりも大きく離隔した待機位置と先端が折畳みローラー対8dのローラー間に至る作用位置との間を往復移動可能に設けられている。
上板材8aは、搬送部8bによる切断シート群GSの移動方向の略中央に設けられた開口部で2分割されている。前記切断シート群GSの移動方向と直角な開口部は、折ブレード8eが作用位置に向かって動作することを可能にする。前記開口部は、その上に位置する切断シート群GSが折畳みローラー対8dのローラー間に押込まれたときに、切断シート群GSが2つ折れ状態で通過可能な幅を有し、開口部の両端縁は、切断シート群GSの通過に支障がないように滑らかな曲線状に形成されている。

なお、折畳ユニット52において、8qは、折畳み機構8が折り畳んだ新聞折帳SSを搬出する搬出部、8pは、折畳み機構8が折り畳んだ新聞折帳SSを搬出部8pに案内する案内材である。」(第20頁第31行?第22頁第7行)
(h)「制御手段4は、図1に示すように、新聞製作システムS(SA、SB)の諸ユニット、つまり連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1(1A、1B)、連続紙供給ユニット2(2A、2B)、処理ユニット3(3A、3B)に連結されるとともに、新聞製作システムSを稼動して製作しようとする新聞製作仕様等を入力する入力手段41を有する。そして、前記諸ユニットから、制御に必要な信号、例えば適宜の駆動源又は適宜の回転軸心に連係されたロータリーエンコーダー(図示せず)から出力される駆動源の作動量又は回転軸心の作動量に見合うパルス信号に基づいて、連続紙W1、W2、分割連続紙W21、W22の走行速度や回転部の回転速度を検知し、かつ連続紙W1、W2、分割連続紙W21、W22の移動距離を検知しつつ移動位置を追跡し、また、適宜の位置に設けた検出器、例えば光電式検出器(図示せず)によって連続紙W1、W2、分割連続紙W21、W22、切断シートSnの到着又は切断シートSnの通過を確認しながら、入力手段41を介して予め入力された新聞製作仕様に基づいた新聞製作を行なう。そのため制御手段4は、連続紙用両面インクジェット印刷ユニット1(1A、1B)、連続紙供給ユニット2(2A、2B)、各種処理ユニット3(3A、3B)である切断折畳みユニット3a、折畳みユニット3b、分割連続紙コース変更ユニット3c(重ね合わせユニット3d又は分離ユニット3e)、切断ユニット3fの動作のタイミング等を調整して、各ユニットの駆動を制御し、また、各ユニットの連係、動作のタイミング等を調整する。」(第28頁第16?35行)

以上の記載によれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という)が開示されていると認めることができる。
「連続紙を供給する連続紙給紙ユニットと、連続紙用両面インクジェット印刷ユニットと、印刷後の連続紙を切断する切断機構と折り畳む折畳み機構とを有する新聞製作システムにおいて、
前記折畳み機構は、切断シート群を折り畳みローラ間に押込む折りブレードと、折り畳んだ新聞折帳を搬送する搬出部を備えた新聞製作システム。」

(3)当審の拒絶理由に引用された引用文献3(実願昭60-198073号(実開昭62-105983号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。
(a)「鋸胴,折胴,咥胴の三胴を基本構成として保有する咥え折り装置において、重ね折り運転(コレクトラン)と通常折り運転(ストレートラン)との選択を行い得る折胴に関する。」(明細書第2頁第7?11行)
(b)「折胴とカムとは異なる回転数で回転するため両者の回転につれて両者の相対位置は変化する。すなわち、駆動時に、カムフォロアーを介して料紙保持部を案内し、料紙保持部を折胴内方向へ沈行することで通常折り運転となるカムの複数位置に、料紙保持部沈行案内部を設けている。そのため、そのままの状態で、駆動すると、通常折り運転(ストレートラン)となる。他方、料紙保持部沈行案内部の少なくとも1個に料紙保持部不沈行案内部を取り付けると、一度沈行した料紙保持部が再度沈行するまでの間隔は広がる。
すなわち、折胴の特定の料紙保持部とカムの料紙保持部沈行案内部が一度邂逅し、再度邂逅あるいは他の料紙保持部沈行案内部に邂逅するまでに、折胴の要する回転数に応じた枚数の切断両紙を折胴周面に重ねて、咥胴に引渡す。」(明細書第12頁第13行?第13頁第10行)
(c)「重ね折り運転(コレクトラン)時には第1図(f)に示すように針沈行用セグメント部材(82)と、針不沈行用セグメント部材(83)とをそれぞれ180°角等分位置に配して母体部材(81)と固着した形態のカム(823)として使用する。すなわち針沈行案内部を1箇所有するカム(823)として使用する。
通常折り運転(ストレートラン)時には、第1図(f)における針不沈行用セグメント部材(83)を母体部材(81)から取りはずし、取りはずした後に第1図(f)に示す針沈行用セグメント部材(82)を母体部材(81)に固着して使用するすなわち2つの針沈行用セグメント部材をそれぞれ180°角等分位置とした第1図(g)に示すように、2個の針沈行案内部を有する形態のカム(822)として使用する。」(明細書第17頁第15行?第18頁第10行)
(d)「この考案の実施例に係る折胴機構で通常折り運転(ストレートラン)を行う場合は、カム(8)はカム(822)の形態ですなわち針沈行案内部は2箇所の形態で使用し、第2図(a)乃至(c)に示す通りの作動となる。即ち、鋸胴(01),折胴(1),咥胴(02)をそれぞれ矢印方向に回転すると、鋸胴(01)の鋸刃(011)aと折胴(1)の鋸刃受材(13)aとの噛み合いにより、鋸胴(01)と折胴(1)の間に導入された料紙(03)は切断される。切断部より下流の料紙(03)のうち針(11)cにより保持された部位はセクション(03)cを構成し、同様に針(11)bにより保持された部位はセクション(03)bを構成し切断部より上流の料紙(03)の先端近傍は針(11)aにより保持される(第2図(a)参照)。引続き前記三胴が回転を続け折胴(1)の折ブレード(12)bが咥胴(02)の咥え部(021)bと対向する位置に達し、それまで針(11)bが保持していたセクション(03)bを咥え部(021)bに咥えさせる。この時点では、カムフォロアー(5)bがカム(822)の案内溝(84)に従うことにより針(11)bが折胴(1)内に沈行させられ、セクション(03)bは針(11)bから開放される。また、咥胴(02)の咥え部(021)cは咥えを解放し、それまで咥えていたセクション(03)xを放す(第2図(b)参照)。さらに前記三胴が回転を続けることにより、カムフォロアー(5)bがカム(822)の案内溝(84)に従い、針(11)bは再度折胴(1)の外側に突出し、次なる料紙(03)の保持に備える(第2図(c)参照)。折胴(1)が、第2図(a)に示した位置から120°だけ回転するとカム(822)は180°回転し、また、鋸刃(011)a,(011)b,(011)c、針駆動軸(2)a,(2)b,(2)c、カムフォロアー(5)a,(5)b,(5)c、針(11)a,(11)b,(11)c、折ブレード(12)a,(12)b,(12)c、鋸刃受材(13)a,(13)b,(13)cおよび咥え部(021)a,(021)b,(021)c,(021)dは、それぞれ各胴の回転方向に1設置単位だけずれた状態となり、鋸胴(01),折胴(1),咥胴(02)の位置関係は第2図(a)に示したと同様になり、この繰り返しにより通常折畳みが続けられる。
重ね折り運転(コレクトラン)を行う場合には、前記したように、すなわち第1図(f)に示すように、カム(8)はカム(823)の形態ですなわち針沈行案内部は1箇所の形態で使用し、第3図(a)乃至(l)に示す通りの作動をとる。すなわち、鋸胴(01)の鋸刃(011)aと折胴(1)の鋸刃受材(13)aとの噛み合いにより、鋸胴(01)と折胴(1)の間に導入された料紙(03)は切断される。針(11)cにより保持された部位は第1セクション(03)cAを構成する。切断部より上流の料紙(03)の先端近傍はすでに第1セクション(03)aAを保持している針(11)aにより保持される。また、この時針(11)bは第1セクション(03)aAより下流側の第2セクション(03)bBを保持している(第3図(a)参照)。引続き前記三胴が回転を続け折胴(1)の折ブレード(12)bが咥胴(02)の咥え部分(021)bと対向する位置に達すると、カムフォロアー(5)bがカム(823)の案内溝(84)に従うことにより針(11)bが折胴(1)内に沈行させられ、第2セクション(03)bBは針(11)bから解放される。この時、咥胴(02)の咥え部(021)bは開放していた咥えを閉鎖し、第2セクション(03)bBの中間部を保持する。また、咥胴(02)の咥え部(021)cは、咥えを開放する(第3図(b)参照)。さらに前記三胴が回転を続けることにより、カムフォロアー(5)bがカム(823)の案内溝(84)に従い、針(11)bは再度折胴(1)の外側に突出し、次なる料紙(03)の保持に備える(第3図(c)参照)。折胴(1)が第3図(a)に示した位置から120°だけ回転すると、第3図(d)に示すように鋸胴(01)も120°だけ回転する。そして鋸刃(011)bと鋸刃受材(13)bとの噛み合いにより料紙(03)は切断され、針(11)aにより保持された部位は、第1セクション(03)aAに上重ね状態となり、重なりセクション(03)aABを形成し、切断部より上流の料紙(03)の先端近傍は、針(11)bにより保持される。また、咥え部(021)bに保持された前記第2セクション(03)bBは保持部分で2つ折りされた状態で咥胴(02)に従う(第3図(d)参照)。引続き折胴(1)が第3図(b)に示した状態から120°回転すると、咥胴(02)は90°だけ回転しているので、折胴(1)の折ブレード(12)cが咥胴(02)の咥え部(021)cと対向する位置に達する(第3図(e)参照)。このときカム(823)は第3図(b)に示した位置から180°回転しており、カムフォロアー(5)cはカム(823)の案内溝(84)に従うために、針(11)cは折胴(1)の外側へ突出したままなので、第1セクション(03)cAは、針(11)cに保持されたままである。この時、咥胴(02)の咥え部(021)cは咥えを開放したまま折りブレード(12)cと対向する。また、咥え部(021)dは咥えを開放する(第3図(e)参照)。さらに折胴(1)が第3図(c)に示した位置から120°だけ回転すると、第1セクション(03)cAを保持した針(11)cは折胴(1)から突出したまま次なる料紙(03)の保持に備える(第3図(f)参照)。さらに折胴(1)が、第3図(g)に示す状態を経て、第3図(h)に示す位置まで、すなわち、第3図(b)に示した位置から240°回転すると、咥胴(02)は180°だけ回転しているので、折胴(1)の折ブレード(12)aが咥胴(02)の咥え部(021)dと対向する位置に達する(第3図(g)参照)。このとき、カム(823)は第3図(b)に示した位置から360°回転しており、カムフォロアー(5)aがカム(823)の案内溝(84)に従うために、針(11)aは折胴(1)内に沈行させられ、重なりセクション(03)aABは針(11)aから開放される。このとき、咥胴(02)の咥え部(021)dは開放していた咥えを閉鎖し、重なりセクション(03)aABの中間部を保持する。また、咥胴(02)の咥え部(021)aは、咥えを開放する(第3図(h)参照)。折胴(1)はさらに回転を続け、鋸胴(01),咥胴(02)およびカム(823)も、それぞれ、折胴が120°回転する毎に、120°,90°,180°の回転をし、第3図(i)乃至(l)に示す態様を経て重ね折り畳みが続行される。第3図(k)は折胴(l)が第3図(b)に示した状態から360°回転したときの態様で、鋸胴(01),咥胴(02),カム(823)は、それぞれ第3図(b)に示した状態から360°,270°,540°回転している。また針(11)cは重なりセクション(03)cABを保持しており、前記咥え部(021)dに保持された前記重なりセクション(03)aABは保持部分で2つ折りされた状態で咥胴(02)に従っており、他方、咥え部(021)bは咥えを開放し、保持していた第2セクション(03)bBを解放する。(明細書第19頁第10行?第25頁末行)
(e)「したがって、この考案では、通常折り運転(ストレートラン)と重ね折り運転(コレクトラン)との切換えが、カムにおけるセグメント部材の交換のみで足り」(明細書第26頁第15?18行)

4.拒絶理由の理由1について
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「ウェブ」、「給紙部」、「インクジェット印刷機」、「断裁」、「折機」、「新聞印刷装置」、「所定の位置で紙の保持を解除可能な針装置」、「所定の位置で外方に突出することで周面から紙を引き剥がす折ブレード」、「折胴」、「咥胴」、「針装置による紙の保持を解除する動作と、折ブレードによる紙を引き剥がす動作とを折胴の予め設定された所定の複数の回転に一度行わせることによって、針装置で保持した紙を折胴の複数回転毎に折り畳む」は、本願発明の「連続紙」、「給紙ユニット」、「インクジェット印刷ユニット」、「切断」、「折りユニット」、「新聞製作装置」、「適宜のタイミングで紙の保持を解除可能な保持機構」、「適宜のタイミングで保持した紙を半径方向外側に突き出す折り刃機構」、「折り胴」、「咥え胴」、「保持機構による紙の保持を解除する動作と、折り刃機構による紙を突き出す動作とを折り胴の任意の複数の回転に一度行わせることによって、保持機構で保持した紙を折り胴の複数回転毎に折り畳むコレクトランが可能である」に相当し、引用発明の「紙を搬送可能な搬送コンベア」と本願発明の「咥え胴と協働して紙を搬送可能な案内ベルト」とは「(折胴と咥胴により)2つ折りされた折り丁(折帖)を搬送する手段」である限りにおいて一致するので、両者の一致点及び一応の相違点は、次のとおりである。
[一致点]
連続紙を供給する給紙ユニットと、インクジェット印刷ユニットと、印刷後の連続紙を切断して折り畳む折りユニットと、を有する新聞製作装置において、前記折りユニットは、外周面に紙を保持可能で、かつ、適宜のタイミングで紙の保持を解除可能な保持機構と、適宜のタイミングで保持した紙を半径方向外側に突き出す折り刃機構と、を有する折り胴と、前記折り刃機構により突き出された紙を咥えて巻き取る咥え胴と、2つ折りされた折り丁を搬送する手段を備えた回転折りユニットであり、前記回転折りユニットは、前記保持機構による紙の保持を解除する動作と、前記折り刃機構による紙を突き出す動作とを前記折り胴の任意の複数の回転に一度行わせることによって、前記保持機構で保持した紙を前記折り胴の複数回転毎に折り畳むコレクトランが可能である新聞製作装置である点。
[相違点]
本願発明では、2つ折りされた折り丁を搬送する手段が、ベルトであって、一部が咥え胴に巻きかけられ、咥え胴と協働して紙を搬送可能なのに対し、引用発明1では、このように規定されていない点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討すると、折り丁を搬送する手段を、ベルトとして、一部が咥え胴に巻きかけられ、咥え胴と協働して紙を搬送する位置に配置することは当業者にとって慣用技術であり(例えば、特開2003-171063号公報、特開2002-160867号公報、実願平3-32018号(実開平4-127760号)のマイクロフィルム参照)、当業者が適宜なす程度のことにすぎない。
したがって、上記相違点は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎず、実質的な相違点とは言えず、また、本願発明と引用発明1とは構成・効果において格別な差異が認められないので、実質的に同一である。
以上より、本願発明は、その出願前の国際特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の国際特許出願に係る上記の発明をしたものと同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記国際特許出願の出願人と同一でもないので、 特許法29条の2の規定により特許を受けることができない(特許法第184条の13参照)。

5.拒絶理由の理由2について
(1)対比
本願発明と引用発明2とを比較すると、引用発明2の「連続紙給紙ユニット」、「連続紙用両面インクジェト印刷ユニット」、「新聞制作システム」は、それぞれ、本願発明の「給紙ユニット」、「インクジェット印刷ユニット」、「新聞製作装置」に相当し、引用発明2の「印刷後の連続紙を切断する切断機構」及び「折り畳む折畳み機構」と本願発明の「印刷後の連続紙を切断して折り畳む折りユニット」とは、「印刷後の連続紙を切断し、折り刃を用いて折り畳むための構成」である限りにおいて一致し、引用発明2の「折り畳んだ新聞折帳を搬送可能なベルト」と本願発明の「一部が前記咥え胴に巻きかけられ、前記咥え胴と協働して紙を搬送可能な案内ベルト」とは、「折り畳まれた紙を搬送可能な案内ベルト」である限りにおいて一致する。
そこで、本願発明と引用発明2を対比すると、両者は、
「連続紙を供給する給紙ユニットと、
インクジェット印刷ユニットと、
印刷後の連続紙を切断し、折り刃を用いて折り畳むための構成と、
折り畳まれた紙を搬送可能な案内ベルトと、
を有する新聞製作装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
本願発明では、印刷後の連続紙を切断し、折り刃を用いて折り畳むための構成が、外周面に紙を保持可能で、かつ、適宜のタイミングで紙の保持を解除可能な保持機構と、適宜のタイミングで保持した紙を半径方向外側に突き出す折り刃機構と、を有する折り胴と、前記折り刃機構により突き出された紙を咥えて巻き取る咥え胴と、一部が前記咥え胴に巻きかけられ、前記咥え胴と協働して紙を搬送可能な案内ベルト、を備えた回転折りユニットであり、前記回転折りユニットは、前記保持機構による紙の保持を解除する動作と、前記折り刃機構による紙を突き出す動作とを前記折り胴の任意の複数の回転に一度行わせることによって、前記保持機構で保持した紙を前記折り胴の複数回転毎に折り畳むコレクトランが可能であるのに対して、引用発明2では、印刷後の連続紙を切断し、折り刃を用いて折り畳むための構成が、回転折りユニットではなく、コレクトランが可能でない点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討すると、新聞製作装置において、印刷後の連続紙を切断し、折り刃を用いて折り畳むための構成が、外周面に紙を保持可能で、かつ、適宜のタイミングで紙の保持を解除可能な保持機構と、適宜のタイミングで保持した紙を半径方向外側に突き出す折り刃機構と、を有する折り胴と、前記折り刃機構により突き出された紙を咥えて巻き取る咥え胴を備えた回転折りユニットであり、前記回転折りユニットは、前記保持機構による紙の保持を解除する動作と、前記折り刃機構による紙を突き出す動作とを前記折り胴の複数の回転に一度行わせることによって、前記保持機構で保持した紙を前記折り胴の複数回転毎に折り畳むコレクトランが可能であるものを用いることは引用文献3に記載された事項であり、引用発明2の印刷後の連続紙を切断し、折り畳むための構成として、コレクトラン可能な回転折りユニットを適用して、印刷後の連続紙を切断し、複数枚重ねて折り畳ことがが可能な、新聞製作システムを構成することは当業者が容易になし得たものと認める。
また、回転折りユニットにおいて、任意の複数枚重ねるために折胴を当該複数回回転させることは当業者が適宜なす程度の事項にすぎない(例えば、特開平3-189154号公報の第5頁左上欄第16行?左下欄第4行、上記3.(3)(b)参照)。
さらに、上記「4.」で述べたように、一部が咥え胴に巻きかけられ、咥え胴と協働して折り丁を搬送するベルトを配置することは当業者にとって慣用技術であり、当業者が適宜なす程度のことにすぎない。

なお、請求人は平成24年11月5日付けの手続補正で「回転折りユニット」は、「保持機構による紙の保持を解除する動作と、折り刃機構による紙を突き出す動作とを前記折り胴の任意の複数の回転に一度行わせることによって、前記保持機構で保持した紙を前記折り胴の複数回転毎に折り畳むコレクトランが可能である」とし、同日付けの意見書で「引用文献3には、コレクトランを実行可能な折胴装置が記載されておりますが、この折胴装置は、針沈行用セグメント部材と針不沈行用セグメント部材とをそれぞれ180度角等分位置に配したカムを使用することにより、重ね枚数を2枚とするコレクトランを実行するものです。このようなカムのセグメント部材の一方を針不沈行用セグメント部材とする構造では、重ね枚数を2枚とするコレクトランしか実行することができず、第1発明のように、コレクトランによる重ね枚数を任意の複数枚数とすることはできません。」(4.(3)参照)とし、「また、引用文献3及び4には、紙を2枚重ね合わせることについてしか記載されておりません。このように、紙を2枚重ね合わせることについてしか記載されていないのは、この技術分野において、コレクトランにより紙を重ね合わせるという発想があったとしても、重ね枚数は2枚が限界であるという技術常識が存在するためです。」(同)と主張しているが、本願明細書でも具体的には段落【0057】?【0071】で、折り胴Jが2回転してシートが2枚重ね合わされるものについて説明しており、段落【0114】で「例えば、第一及び第二の実施形態ともに、新聞製作において、折り胴Jが2回転に1度、各差し刃J21が咥胴Kの咥板K11とK12の間と対向する位置に至るときに、各差し刃装置J2の差し刃J21を突き出すとともに、略同じタイミングで該差し刃J21の約90度先行側の針装置I1の針I11を引込める動作を行うことによって、回転する折り胴J周面に紙を保持し、保持した紙の上に更に紙を重ねて折り丁とする、所謂コレクトランを行うことによって、連続紙の枚数の2倍の枚数のシートからなる新聞を作成する過程を説明した。しかし、インクジェット印刷ユニットによれば、任意の複数種類の紙面を、任意の順に印刷することが可能であるため、上記各差し刃装置J2の差し刃J21を突き出す動作及び針装置I1の針I11を引込める動作を、折り胴JのX回転に1度行わせることによって、折り胴J周面に紙を巻き付けて保持し、重ね合わせることによって、連続紙の枚数のX倍の枚数のシートからなる新聞を作成することが可能である。」とは記載されているものの、この記載からは、保持機構による紙の保持を解除する動作と、折り刃機構による紙を突き出す動作とを折り胴の任意の複数の回転に一度行わせることによって、保持機構で保持した紙を折り胴の複数回転毎に折り畳むために格別な構成を要するとは認められず、回転折りユニットにおいては、保持機構による紙の保持を解除する動作や折り刃機構による紙を突き出す動作を、電気的に信号を用いて適宜制御することが周知技術にすぎないので(例えば、特開平3-189154号公報の第7頁左上欄第10行?右上欄第4行及び第11頁左上欄第19行?右下欄第2行及び第11頁右下欄第19行?第12頁右上欄第10行、特開2008-56493号公報の段落【0023】?【0032】及び【0050】?【0056】及び【0078】参照)、コレクトランをインクジェット印刷ユニットによる新聞紙面印刷と関連づけて適宜制御して、新聞を作成することは当業者が適宜なし得た程度の事項にすぎないと認める。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明2及び引用文献3に記載された事項並びに周知・慣用技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものと認められない。

したがって、本願発明は引用発明2及び引用文献3に記載された事項並びに周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおり、本願は、特許法第29条の2及び第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-26 
結審通知日 2013-01-08 
審決日 2013-01-22 
出願番号 特願2010-19286(P2010-19286)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65H)
P 1 8・ 161- WZ (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松原 陽介  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 ▲高▼辻 将人
熊倉 強
発明の名称 新聞製作装置  
代理人 右田 登志男  
代理人 千且 和也  

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