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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1270893
審判番号 不服2010-29620  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-28 
確定日 2013-03-04 
事件の表示 特願2001-100208「生体情報収集装置及び生体情報の出力制御方法、生体情報処理装置及びその制御方法、並びに生体情報処理システム及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月11日出願公開、特開2002-297764〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成13年3月30日の出願であって、平成22年9月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、手続補正がなされ、当審において、平成24年8月7日付けで拒絶理由通知がなされ、同年10月9日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年10月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された次のとおりのものである。

<本願発明>
「被検者から生体情報を収集する生体情報収集手段と、
前記生体情報収集手段により同一被検者から収集した生体情報を解析し、予め定められた出力イベント情報が発生したか否かを判別する判別手段と、
前記出力イベント情報が発生した場合、前記被検者に対して予め定められた条件に従って、前記出力イベント情報に対して出力優先順位を付加する優先順位付加手段と、
前記出力優先順位の付加された出力イベント情報を送信する送信手段とを備える生体情報収集装置と、
複数の前記生体情報収集装置より送られてくる出力イベント情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した出力イベント情報を一次保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている出力イベント情報中の出力優先順位の高い情報より順次出力する出力手段とを備えることを特徴とする生体情報処理システム。」

第3 引用文献

平成24年8月7日付けの拒絶理由通知において引用された特開平7-163527号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与したものである。)。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、集中患者監視システムにおいて、患者の危険事態を、患者のその他の情報と共に表示させるための技術に関し、」

イ.「【0003】・・・(中略)・・・一般に、警報は幾つかのカテゴリに分類される。例えば、「赤」警報は、患者の生命に係わる状態を表示し、「黄」警報は、重大であるが患者の生命に係わらない状態を表示し、」

ウ.「【0019】
【実施例】本発明の実施に適した集中患者監視システムを図1に示す。ベッド脇のモニタ10,12?18は中央局20に接続される。各ベッド脇のモニタは、患者のベッドの脇に配置され、患者に取り付け可能なトランスデューサ24,26?28を備える。各ベッド脇のモニタは、患者の状態を監視して患者情報を中央局20に送信する。その患者情報には、患者の氏名、ベッド番号、患者または医師のID番号等の身上調査的情報と、心拍数、心電図、血圧等の生理学的パラメータと、その生理学的パラメータのうちの一つが所定の基準値に達した際に発生する患者の危篤事態、即ち警報とが含まれる。」

エ.「【0020】中央局20は、一般に、集中治療病棟またはそれと同様の重要な治療を行う病棟内のナース・ステーションに配置される。中央局20は、ベッド脇のモニタ10,12?18からの選択された情報を受信して、その選択された患者情報のビデオ表示を行う。中央局20は、一般に最大8台のベッド脇のモニタからの情報を表示することができる。」

オ.「【0028】・・・(中略)・・・「赤」警報と、「黄」警報と、機器不作動状態との間の区別は、ベッド脇のモニタによって、またはそれらの警報を生成する他の装置によって定義される。」

カ.「【0029】「赤」または「黄」警報、または機器不作動状態が、ベッド脇のモニタの1つで発生した場合、中央局20により下記動作が行われる。
・・・(中略)・・・
【0034】a)中央局では、1度に1つだけ警報音を生成することができる。
【0035】b)ベッド脇のモニタの「赤」警報状態が止められていない場合に「赤」警報音を生成する。
【0036】c)ベッド脇のモニタの「黄」警報状態が止められておらず、及びその他のベッド脇のモニタが止められていない「赤」警報状態でない場合に「黄」警報音を生成する。
【0037】d)ベッド脇のモニタの機器不作動状態が止められておらず、及びその他のベッド脇のモニタが止められていない「赤」または「黄」警報状態にない場合に機器不作動警報音を生成する。」

キ.「【0040】止められた警報音/機器不作動警報音が、中央局において現在告知されている音のうち優先順位の最も高い音である場合には、上記規則に従い、次に優先順位の高い音を(もし存在するならば)告知する。」

ク.「【0043】警報情報は、SDNを介してベッド脇のモニタから入手される。その警報情報は、図5において警報ステータス及び警報テキストと示す2つの情報パケットといった形態を取る。前記警報ステータスパケットには、ベッド識別子と、警報テキスト重大度と、警報音重大度と、警報オン/オフ表示子と、変更カウンタとが含まれる。一方、前記警報テキストパケットには、ベッド識別子と、18文字の警報テキストフィールドと、警報を発するパラメータソース識別子とが含まれる。これらの警報ステータスパケット及び警報テキストパケットは、SDNインターフェース40を介して中央局20に入り、メッセージ通過バス42を介して放送される。
【0044】警報モジュール84は、中央局によって監視されている全てのベッドに関する全ての警報ステータスパケット及び警報テキストパケットを取り扱うものである。この警報モジュール84は、各ベッド毎に最高優先順位の警報情報を判定し、そのメッセージ(即ち最高優先順位の警報)をメッセージ通過バス42を介して静止(resting)表示モジュール86に放送する。
【0045】その静止表示モジュール86は、全ての監視中のベッドに関する最高優先順位の警報メッセージを受信して、全てのベッドのうち最高優先順位の警報状態にあるベッドの警報音を決定する。それにより決定された1つの最高優先順位の警報音は、ヒューマンインターフェースモジュール88に送られる。このモジュール88は、次いで当該メッセージをディスプレイコントローラ50に送る。このディスプレイコントローラ50は、CRTディスプレイ及び音声生成器の双方を駆動する。警報音はスピーカ46から告知される。静止表示モジュール86はまた、各ベッドに対応するセクタの適切な位置に、各ベッド毎の警報テキストフィールドの表示を行う。」

ケ.「【0048】上述のように、青色バックグラウンドによる強調は、警報音の重大度が「赤」警報音または「黄」警報音を示している期間中にだけ行われる。」

前記ア.?ケ.によれば、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

<引用発明>
「患者の危険事態を、患者のその他の情報と共に表示させる集中患者監視システムにおいて、
複数のベッド脇のモニタ10,12?18が、中央局20に接続され、
各ベッド脇のモニタは、
患者に取り付け可能なトランスデューサ24,26?28を備え、
患者の状態を監視して患者情報を中央局20に送信し、
前記患者情報には、心拍数、心電図、血圧等の生理学的パラメータと、その生理学的パラメータのうちの一つが所定の基準値に達した際に発生する患者の危篤事態、即ち警報情報とが含まれ、
前記警報情報は、警報ステータス及び警報テキストを示す2つの情報パケットの形態を取り、前記警報ステータスパケットには、警報テキスト重大度と、「赤」警報音あるいは「黄」警報音を示す警報音重大度とが含まれ、
「赤」警報は患者の生命に係わる状態を表示し、「黄」警報は重大であるが患者の生命に係わらない状態を表示し、「赤」警報と「黄」警報との間の区別は、ベッド脇のモニタによって定義され、
中央局は、
ベッド脇のモニタ10,12?18から患者情報を受信してビデオ表示を行い、
全てのベッドのうち最高優先順位の警報状態にあるベッドの警報音を決定し、当該警報音をスピーカ46から告知するものであり、
「赤」または「黄」警報がベッド脇のモニタの1つで発生した場合、
警報のテキストフィールドをビデオ表示画面上に警報色で表示し、
1度に1つだけ警報音を生成し、
ベッド脇のモニタの「赤」警報状態が止められていない場合に「赤」警報音を生成し、
ベッド脇のモニタの「黄」警報状態が止められておらず、及びその他のベッド脇のモニタが止められていない「赤」警報状態でない場合に「黄」警報音を生成し、
止められた警報音が、中央局において現在告知されている音のうち優先順位の最も高い音である場合には、次に優先順位の高い音を、もし存在するならば告知する、集中患者監視システム。」

第4 対比

次に、本願発明と引用発明とを対比する。
・引用発明の「集中患者監視システム」は、本願発明の「生体情報処理システム」に相当する。

・引用発明の「ベッド脇のモニタ」は、本願発明の「生体情報収集装置」に相当する。

・引用発明の「患者に取り付け可能なトランスデューサ24,26?28」は、本願発明の「被検者から生体情報を収集する生体情報収集手段」に相当する。

・引用発明の各ベッド脇のモニタは、同一の患者から「心拍数、心電図、血圧等の生理学的パラメータ」を取得して、「生理学的パラメータのうちの一つが所定の基準値に達した際」に「警報情報」を発生する手段を備えるといえる。
この「警報情報」は、患者が危篤状態になるという「イベント」の情報であり、中央局において、ビデオ表示画面上に表示されたり、警報音により告知されるから、本願発明の「出力イベント情報」に相当する。
したがって、この手段は、本願発明の「前記生体情報収集手段により同一被検者から収集した生体情報を解析し、予め定められた出力イベント情報が発生したか否かを判別する判別手段」に相当する。

・引用発明において、「赤」警報音は「黄」警報音より、中央局における告知の優先順位が高いから、これらの警報音を示す「警報音重大度」は、告知の優先順位を表すものであり、本願発明の「出力優先順位」に相当する。
また、「赤」警報と「黄」警報の区別は、ベッド脇のモニタによって定義され、患者が生命に係わる状態であれば「赤」警報となり、重大であるが患者の生命に係わらない状態であれば「黄」警報となる。したがって、ベッド脇のモニタは、「警報情報」が発生した場合に、患者の状態に応じて「赤」警報と「黄」警報とを区別する定義にしたがって、「警報情報」に対して出力優先順位を表す「警報音重大度」を含める手段を有するといえる。
この手段は、本願発明の「前記出力イベント情報が発生した場合、前記被検者に対して予め定められた条件に従って、前記出力イベント情報に対して出力優先順位を付加する優先順位付加手段」に相当する。

・引用発明の「ベッド脇のモニタ」において、「患者情報を中央局20に送信」するための手段は、本願発明の「前記出力優先順位の付加された出力イベント情報を送信する送信手段」に相当する。

・引用発明の「中央局」において、「ベッド脇のモニタ10,12?18から患者情報を受信」するための手段は、本願発明の「複数の前記生体情報収集装置より送られてくる出力イベント情報を受信する受信手段」に相当する。

・引用発明の「中央局」は、「ベッド脇のモニタ」から「警報情報」を受信すると、「赤」警報音あるいは「黄」警報音を告知するが、これらの警報音は、患者が生命に係わる状態になるという「イベント」、あるいは、患者が重大であるが生命に係わらない状態になるという「イベント」の発生を看護師等に知らせるものである。
したがって、「赤」警報音あるいは「黄」警報音を告知することは、受信した「警報情報」すなわち「出力イベント情報」を、音の形態で出力することといえる。
また、引用発明は、
「1度に1つだけ警報音を生成し、
ベッド脇のモニタの「赤」警報状態が止められていない場合に「赤」警報音を生成し、
ベッド脇のモニタの「黄」警報状態が止められておらず、及びその他のベッド脇のモニタが止められていない「赤」警報状態でない場合に「黄」警報音を生成し、
止められた警報音が、中央局において現在告知されている音のうち優先順位の最も高い音である場合には、次に優先順位の高い音を、もし存在するならば告知する」から、出力イベント情報中の出力優先順位の高い情報を優先して出力する出力手段を有するといえる。
したがって、この出力手段と、本願発明の「出力イベント情報中の出力優先順位の高い情報より順次出力する出力手段」は、「出力イベント情報中の出力優先順位の高い情報を優先して出力する出力手段」の点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明は、次の点で一致する。

<一致点>
「被検者から生体情報を収集する生体情報収集手段と、
前記生体情報収集手段により同一被検者から収集した生体情報を解析し、予め定められた出力イベント情報が発生したか否かを判別する判別手段と、
前記出力イベント情報が発生した場合、前記被検者に対して予め定められた条件に従って、前記出力イベント情報に対して出力優先順位を付加する優先順位付加手段と、
前記出力優先順位の付加された出力イベント情報を送信する送信手段とを備える生体情報収集装置と、
複数の前記生体情報収集装置より送られてくる出力イベント情報を受信する受信手段と、
出力イベント情報中の出力優先順位の高い情報を優先して出力する出力手段とを備えることを特徴とする生体情報処理システム。」

そして、本願発明と引用発明は、次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、「前記受信手段で受信した出力イベント情報を一次保持する保持手段」を備え、出力手段は、この保持手段に保持されている出力イベント情報を出力するのに対し、引用発明は、上記保持手段を備えておらず、また、出力される警報情報は、保持手段に保持されているものでもない点。

<相違点2>
出力手段が、本願発明では、出力イベント情報を「出力優先順位の高い情報より順次出力する」のに対し、引用発明では、優先順位にしたがって「赤」警報音を優先して告知し、「赤」警報状態を止めるという操作を行った後、「黄」警報音を告知するものであり、これらの警報音を「順次」出力するものではない点。

第5 判断

<相違点1>について
情報を受信して出力する場合に、受信した情報をバッファ等に保持して出力することは周知であり、中央局が、受信した警報情報を周知の保持手段に保持して、この手段に保持されている警報情報をスピーカから告知したり、ビデオ表示したりすることは格別困難ではない。
してみると、引用発明に周知の保持手段を設けて、上記相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。

<相違点2>について
情報を出力する際に、その情報がユーザに認識されたか否かにかかわらず、「順次」出力することは普通の出力形態であり、優先順位の高い情報から「順次」出力する形態は出力の目的に応じて適宜決定できることである。
引用発明は、「赤」警報状態が止められると「黄」警報音を告知して、看護師等が「赤」警報を認識したことを確認するものの、このような確認を待たずに、「赤」警報音と「黄」警報音とを順次告知して、「黄」警報状態の存在についても早急に告知する構成とすることは当業者が適宜なし得る設計変更というべき事項である。
してみると、引用発明において、「赤」警報と「黄」警報を順次告知して、上記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-21 
結審通知日 2012-12-25 
審決日 2013-01-17 
出願番号 特願2001-100208(P2001-100208)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 誠也  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 西山 昇
須田 勝巳
発明の名称 生体情報収集装置及び生体情報の出力制御方法、生体情報処理装置及びその制御方法、並びに生体情報処理システム及びその制御方法  
代理人 木村 秀二  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
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