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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1270935
審判番号 不服2012-4333  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-06 
確定日 2013-01-24 
事件の表示 特願2010-204264「有機エレクトロルミネッセンス表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月 9日出願公開、特開2010-278028〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、2001年1月26日を国際出願日とする特願2001-557343号(優先権主張、2000年1月31日、日本国)の一部を平成22年9月13日に新たな特許出願としたものであって、平成23年11月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、前置報告書の内容について、審判請求人の意見を求めるために平成24年8月20日付けで審尋がなされ、同年10月29日に当該審尋に対する回答書が提出された。

第2 本願発明
1.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年3月6日付けの手続補正書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「支持基板上に、下部電極と、層間絶縁膜と、湿式成膜した有機発光媒体と、対向電極とを含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記層間絶縁膜および湿式成膜した有機発光媒体の含水率を0.05重量%以下の値とすることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。」

2.刊行物に記載された発明
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平11-339957号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】ポリパラフェニレンビニレン系発光材料と該発光材料を挟む電極材料よりなる発光ディスプレイの製造方法において、少なくともポリパラフェニレンビニレンの前駆体を溶かした溶液と親水性の高沸点溶媒よりなる溶液を、一方の透明電極を有する基板上に、吐出装置を用い吐出した後、室温で溶媒を除去した後、該基板を120度C以下で乾燥し、しかる後昇温、焼成し、発光層とした後、対向電極を形成する事を特徴とする発光ディスプレイの製造方法。
・・・
【請求項3】請求項1記載の製造方法において、室温、真空下で溶媒を除去した後、真空下で、加熱乾燥し、しかる後、昇温、焼成する事を特徴とする発光ディスプレイの製造方法。
・・・
【請求項5】請求項3、4記載の製造方法において、溶媒の除去後、70度C以下の温度、1mmHg以下の真空下で加熱乾燥をする事を特徴とする発光ディスプレイの製造方法。」
(1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発光ディスプレイの製造方法に係わり、更に詳しくは、吐出装置を用い、発光材料を吐出することにより発光層を形成する発光ディスプレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年液晶表示体がワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ等の表示部として盛んに用いられている。この液晶表示体は非発光素子であり明るさの点、特に反射型ディスプレイで用いるとき問題となっている。ここへきて薄型、軽量の特徴を有する有機の発光材料(以後有機ELという)を用いた発光ディスプレイが注目されている。この発光ディスプレイの断面図を図1に示す。図において1はアルミニウム電極を、2は有機EL材料を、3はITO透明電極を、4はガラス基板を、5は電源をそれぞれ示す。この発光ディスプレイの作成方法は以下の通りである。まず、透明基板上にスパッター法、又は蒸着法等によりITO透明電極を付ける。この後、ホトリソグラフィー法により所望の形状の電極とする。しかる後、スピンコート法、蒸着法、吐出法等により有機EL材をコートし、発光層とする。
【0003】コートの仕方は上記方法が主であるが、最近はパターニングできる吐出法が注目されている。
【0004】このようにして得た発光層の上に仕事関数の低い金属、例えばマグネシウム、アルミニウム、リチウム、カルシュウム、銀、あるいはこれらの合金を蒸着法、スパッター法等によりとばすことにより対向電極を得る。以上が基本の工程であるが、発光効率を上げるために、ITO透明電極を付けた後更に、ホール輸送材料、例えばN,N’-ジフェニル-N,N’-(2,4-ジメチルフェニル)-1、1’-ビフェニル-4,4’-ジアミンを蒸着法により付けても良い。また有機EL材料を付けた後、電子輸送材料を、例えば2-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキシジアゾールを付けても良い。」
(1c)「【0008】この発光ディスプレイに用いられる有機EL材料としては低分子系有機EL材料、高分子系有機EL材料がある。高分子系材料としてはポリパラフェニレンビニレン系(以後PPVと略記する)の材料がその材料の安定性、発光効率、輝度等の点で優れており、注目されている。この材料は前駆体を用いることを特徴としており、溶液状態で原料を扱えることができ、スピンコート法、ディッピング法等により薄膜化出来る特徴がある。そして得られた膜を焼成することにより一重結合が二重結合となり溶媒に不溶となり、安定な膜となる。このときの二重結合のでき具合により、発光効率、輝度に差がでる。」
(1d)「【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吐出装置によるPPV材料を用いた有機EL発光ディスプレイの製造において、発光波長が低波長側にシフトし、ほとんど光らなくなるという問題を解決するためになされたもので、その目的は従来の製造方法をあまり変えることなく、PPV系の有機EL材料を吐出装置を用い吐出し、パターニングすることによりフルカラー発光ディスプレイを作成する製造方法を提供するためになされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の本発明の発光ディスプレイの製造方法は、吐出装置によりポリフェニレンビニレンの前駆体材料と高沸点溶媒を含む溶液を基板上に吐出した後、該基板を焼成する前に、室温での溶媒除去の工程、および乾燥する工程を入れることを特徴とする。乾燥温度は120度C以下が好適であり、この温度以下でポリパラフェニレンビニレン前駆体を処理すると二重結合を形成させることなく溶媒を除去できることがわかった。この温度以上で行うと反応が進み発光波長が低波長側にシフトし発光効率が極端に落ちることがわかった。」
(1e)「【0017】
【発明の実施の形態】(実施例1)ポリパラフェニレンビニレンの前駆体である高分子電解質を0.5重量パーセント含む下記溶液を吐出装置にとり、ITO透明電極の付いた基板上に吐出した。
【0018】溶液
水・・・・・・・・・・90重量パーセント
グリセリン・・・・・・10重量パーセント
吐出後該基板を1mmHgの真空下で100度Cで1時間乾燥した。乾燥後、1mmHgの真空下、170度Cに昇温し、170度Cで4時間焼成した。しかる後、蒸着機によりアルミニウム金属を2000オングストローム蒸着した。えられたパネルの蛍光スペクトルを調べたところ、蛍光スペクトルの最大発光波長は535nmであった。またこの発光ディスプレイを駆動したところ6ボルトで駆動できた、発光スペクトルはほぼ蛍光スペクトルと一致した。」

上記各記載を含む引用例1全体の記載、及び当業者の技術常識を総合すると、引用例1には、以下の発明が記載されているものと認められる。

「透明基板上にITO透明電極を付け、所望の形状の電極とし、
スピンコート法、吐出法等によりPPV系の有機EL材をコートし、発光層とし、
基板を焼成する前に、室温での溶媒除去の工程、および乾燥する工程を入れ、
このようにして得た発光層の上に仕事関数の低い金属により対向電極を得る、
構造の発光ディスプレイ。」(以下「引用発明」という。)

(2)引用例2
同じく、特開2000-30871号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の記載がある。
(2a)「【0008】ところで、上記のように構成される有機EL素子の最大の課題は耐久性の改善であり、その中でもダークスポットと呼ばれる非発光部の発生と成長が最も大きな問題となっている。ダークスポットが発生する原因としては、水分及び酸素の影響が最も大きいとされ、特に水分は極めて微量でも大きな影響を及ぼすものとされている。
【0009】そこで、使用する有機材料の精製、成膜時の真空の質、素子の封止など、水分を極力取り除く工夫を実施し、ドライプロセスで製作している。しかしながら、それでも十分な特性が得られていないのが現状である。実際に市販されているELディスプレイにおいても、初期段階で20μm前後のダークスポットが多数発生しており、対策の困難さが伺える。
【0010】このように、有機EL素子の最大の課題はダークスポットを根絶して長寿命化を図ることであり、素子を封止することで大幅に改善できる。加えて、封止基板に別途捕水材を固定することでにより改善が進んでいる。
【0011】ところが、有機EL素子を表示デバイスとして実用化するためには、図2に示すように、陽極2と陰極7の絶縁性を高めるためにポリイミド膜等による絶縁層5を陽極2上に形成する必要がある。
【0012】そこで、上述した図2に示す有機EL素子では、封止基板8で露点-70℃程度のドライ窒素を紫外線硬化樹脂等の接着剤を用いて内部に封じ込み、ダークスポットの成長を抑えるための封止構造を採用している。この構造により、ドライ状態を保ち、ダークスポットの発生、成長を抑えている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図2に示す構成の有機EL素子を連続点灯させると、発光エリア3(有機層6)と絶縁層5との境界から非発光部分が現れ、発光エリア3の中央へ向かい広がるといった問題が生じる。この原因は、パッケージ9内の絶縁層5をなすポリイミド膜中に存在する微量の水分と考えられ、密着した有機層6に水分が触れて非発光部を誘発させたと推測される。」

(3)引用例3
同じく、国際公開第97/31508号(以下「引用例3」という。)には、以下の記載がある。
(3a)頁番号1、4行?7行
「本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、さらに詳しくは、ディスプレイ等に用いた場合に高精細で均一発光であり、外部からの圧力にも強い有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する場合がある)に関するものである。」
(3b)頁番号2、1行?5行
「特開平5-101884号公報には、層間絶縁膜を備えた素子であって、外表面を防湿性フィルムで覆った素子が開示されている。しかし、この素子は、防湿性フィルムの封止力が不十分なため、数千時間の放置後、水分や酸素によって陰極が侵され、ダークスポット(発光の欠陥)が生じて問題となっていた。」
(3c)頁番号9、8行?下から3行
「本発明で用いられる層間絶縁膜の材質は、高精細パターンニングが可能な材質である必要がある。具体的には、例えば種々の絶縁性ポリマー,絶縁性酸化物,絶縁性窒化物,絶縁性硫化物等が好ましく用いられる。特に好ましいポリマーとしては、フッ素化ポリイミド,ポリオレフィン,フッ素系ポリマー,ポリキノリン等であり・・・
さらに、層間絶縁膜は絶縁性の他、低吸湿性のものがより好ましく用いられる。特に好ましい層間絶縁膜6は、吸湿性(吸水率)が0.1%以下のものである。吸湿性が高いものは、素子を保存した際、素子作製中に混入した水分がしみ出すことにより、素子の電極を酸化させることになり、素子の劣化が生じる。また、発光欠陥(ダークスポット)の原因となる。低吸湿性のポリマーを用いることは、特に加工面で優れているので好ましい。特に好ましいものは、フッ素系又はポリオレフィン系の層間絶縁膜である。・・・」
(3d)頁番号10、9行?11行
「(i)層間絶縁膜の製膜
絶縁性ポリマーの場合には、ポリマー溶液又はポリマー前駆体溶液を塗布,スピンコート,ディピングなどにより製膜する(図7)。」

(4)引用例4
同じく、特開平11-26156号公報(以下「引用例4」という。)には、以下の記載がある。
(4a)「【0008】前述のように、有機EL素子は、発光層を含む有機化合物(層)を二つの電極間に挟持された構造からなっているが、二つの電極から注入された正孔と電子が主に発光層で再結合し、その際発光層中の有機化合物が励起され、それが基底状態に失活する時に放出される蛍光が発光として観測される。 しかし、その構造上、有機EL素子は、素子周辺から侵入する水分、酸素に対して非常に敏感で、その影響を受け易いものである。
特に、電子注入性の電極(陰極)は仕事関数が小さいので、容易に水分や酸素によって酸化されやすく、非電子注入領域を形成するので、発光面の中に非発光領域(黒点,ダークスポット)を生じさせ、表示性能を著しく低下させる。
また、発光層を含む有機物層の中には、水分や酸素で劣化されやすい有機化合物が存在し、発光時の発熱によっても一層劣化が促進され、表示性能の低下する場合もある。従って、有機EL素子を取扱う場合には、素子周辺の水分や酸素を遮断する手段が必要であり、通常は素子周辺を封止することによって水分や酸素の遮断を図っている。このような、有機EL素子のみを封止する方法は、これまでに多くの例が開示されている。」
(4b)「【0014】次に、図3に示す構成(構成C)を挙げることができる。すなわち、この構は、平坦化層8が、封止部材の接着する部分(接着部7)の外側(表示領域4の反対側)にまで透光性基板1上に積層されている構成である。ここで有機EL多色発光表示装置は、外部からの水分または酸素のみならず、有機EL素子の下層にある色変換層2や平坦化層8に含まれる水分や酸素によっても非発光領域の発生とともに表示性能を低下させる。従って、少なくとも平坦化層8中の水分含有量を小さくしておくことが好ましい。
【0015】従って、平坦化層8を用いた構成B、構成Cおよび後述する構成Dの場合は、前記平坦化層8の水分含有量が、1.0重量%以下、および/または水蒸気または酸素のガス透過係数が、それぞれ10^(-12 )cc・cm/cm^(2 )・s・cmHg以下であることが好ましい。特に、平坦化層8が封止部材6の外側にまで透光性基板1上に積層された構成(図3,構成C)では、平坦化層8が外気と接触して、外気中の水分または酸素が平坦化層8を透過して、表示領域4に侵入する危険性がある。そのために、平坦化層8の水蒸気または酸素のガス透過係数も重要な条件となる。
【0016】なお、平坦化層8の水分含有量は、ASTM D570-63による方法や、熱分析(示差熱分析DTA,示差走査熱量測定DSC)またはカールフィッシャー法等によって測定することができる。・・・」
(4c)「【0038】平坦化層をポリマー層とする場合、そのポリマーとして、具体的には、光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂のように、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有するものの硬化物を挙げることができる。また、環状オレフィン系樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂,シリコーン樹脂,ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン,ポリスチレン,ポリプロピレン,アニリンホルムアルデヒト樹脂等の透明樹脂、および各種フッ素ポリマーを挙げることができる。」
(4d)「【0041】これらの平坦化層は、固体状の材料(主に樹脂)を適当な溶媒で液状とし、スピンコート、キャスト法、スクリーン印刷法等の方法で成膜し、固体状の材料(主に無機酸化物)をそのまま使用する場合は、スパッタリング、蒸着、CVD、イオンプレーティング等の方法で成膜される。・・・」

3.対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「透明基板」、「ITO透明電極」、「スピンコート法、吐出法等によりコートし」た「PPV系の有機EL材」、「対向電極」及び「発光ディスプレイ」は、それぞれ本願発明の「支持基板」、「下部電極」、「湿式成膜した有機発光媒体」、「対向電極」及び「有機エレクトロルミネッセンス表示装置」に相当する。
(2)また、引用発明は「基板を焼成する前に、室温での溶媒除去の工程、および乾燥する工程を入れ」ていることから、両者は、ともに「湿式成膜した有機発光媒体の含水率を低くしている」点で共通する。

したがって両者は、
「支持基板上に、下部電極と、湿式成膜した有機発光媒体と、対向電極とを含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記湿式成膜した有機発光媒体の含水率を低くしている有機エレクトロルミネッセンス表示装置。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

(相違点1)
本願発明が層間絶縁膜を含んでいるのに対して、引用発明が該絶縁膜を含んでいるかどうか不明な点。
(相違点2)
含水率を、本願発明が0.05重量%以下の値まで低くしているのに対して、引用発明がどの程度まで低くしているのか不明な点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
湿式、乾式を問わず、有機発光媒体を含む素子において層間絶縁膜を設けることは、ごく普通に行われている周知技術(上記引用例2参照)である。
引用発明に当該層間絶縁膜を設けることは、その必要に応じて当業者が適宜なし得る事項である。
(相違点2について)
湿式、乾式を問わず、有機発光媒体を含む素子において水分が有機発光媒体に悪影響を及ぼすことは、当該技術分野においてよく知られた事実(上記引用例2?4参照)である。
この悪影響が水分によるダークスポットの発生等に起因することも、よく知られている(同文献参照)。
さらに、それらの水分が有機発光媒体のみならず、素子内の平坦化層や層間絶縁膜からもたらされることもよく知られている(同文献参照)。
上記の悪影響の発生のメカニズムに照らして、素子内に含有されるこれらの水分が低ければ低いほど好ましいことは当業者の技術常識である。
そして、例えば本願明細書の段落【0242】の「含水率の測定」に記載されているように、さらなる加熱処理を行えば含水率をさらに低下させることが可能であることは当業者の技術常識であるから、本願の原出願当時、湿式、乾式を問わず、含水率を0.05重量%以下の値とすることに格別の技術的困難性も阻害要因も見あたらない。
また、本願の原出願当時に有機発光媒体や層間絶縁膜として用いられていた本願明細書に記載されたような周知の物質の含水率として、0.05重量%以下の値が格別のものであるという根拠もない。
そうすると、引用発明に上記相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
なお、請求人は、本願の願書に添付の図1等をその根拠として「含水率が0.05重量%以下」であることの臨界的意義を主張するが、同図の含水率の目盛が対数であること、含水率を対数で表すことに格別の技術的意味が認められないこと、及び同図を通常の目盛に置き換えた場合には「含水率が0.05重量%」が特段の臨界値とまではいえないこと等から、請求人の上記主張には理由がない。

また、本願発明の作用・効果も引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基き当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-26 
結審通知日 2012-11-27 
審決日 2012-12-12 
出願番号 特願2010-204264(P2010-204264)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 洋平  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 伊藤 昌哉
北川 清伸
発明の名称 有機エレクトロルミネッセンス表示装置  
代理人 渡辺 喜平  
代理人 佐藤 猛  
代理人 田中 有子  
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