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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04N |
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管理番号 | 1271322 |
審判番号 | 訂正2012-390128 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-10-09 |
確定日 | 2013-02-14 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4865754号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4865754号に係る明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1.請求の趣旨および訂正事項 1.請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は、特許第4865754号の明細書、特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおりに訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2.訂正事項 特許請求の範囲の請求項1に「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクターから双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法であって、前記同一位置のブロックによって参照される前記レファレンスピクチャが格納されるレファレンスバッファの種類に基づいて現在のブロックの動きベクターを決定し」とあるのを、「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクターから双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法であって、前記同一位置のブロックによって参照されるレファレンスピクチャが格納されるレファレンスバッファの種類に基づいて現在のブロックの動きベクターを決定し」に訂正する。 第2.訂正の適否 1.訂正の目的 請求人は、訂正の理由を「誤記の訂正」としていることから、本件訂正が誤記の訂正を目的としたものであるか否かを検討する。 訂正前の請求項1の記載は次のとおりである。 「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクターから双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法であって、 前記同一位置のブロックによって参照される前記レファレンスピクチャが格納されるレファレンスバッファの種類に基づいて現在のブロックの動きベクターを決定し、 決定された動きベクターに基づいて前記現在のブロックをデコードする、ステップを有し、 前記決定ステップにおいて、前記レファレンスバッファがロングタームレファレンスピクチャを格納する種類のバッファである場合は、前記現在のブロックの第1動きベクターを前記同一位置のブロックの動きベクターに等しく設定し且つ前記現在のブロックの第2動きベクターをゼロに設定し、 前記決定ステップにおいて、前記レファレンスバッファがショートタームレファレンスピクチャを格納する種類のバッファである場合は、前記現在のブロックの第1及び第2動きベクターを前記同一位置のブロックの動きベクターをスケーリングすることによって算出する、ことを特徴とする動きベクターを求める方法。」 上記訂正内容は、要するに、訂正前の請求項1の「前記同一位置のブロックによって参照される前記レファレンスピクチャ」における「前記レファレンスピクチャ」の「前記」を削除するものであるので、この「前記レファレンスピクチャ」の「前記」の意味について考察する。 この「前記レファレンスピクチャ」の「前記」は、その前に記載された唯一の「レファレンスピクチャ」が、「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクターから双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法」における「レファレンスピクチャ」のみであることから、これを指していると考えられる。 そうすると、「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロック」、および、「前記同一位置のブロックによって参照される前記レファレンスピクチャ」との記載から、「前記レファレンスピクチャ」における「前記」は、レファレンスピクチャ内のブロックによって参照されるピクチャが、そのレファレンスピクチャ自身であることを意味し、このことから、「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクター」は、レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックがそのレファレンスピクチャ自身を参照するベクターであることとなるといえる。 しかしながら、本件特許に係る発明は、動画コーディング方法に関するものであって、動画コーディング方法にける「動きベクター」とは、時間の経過にしたがって生じる動きを表すベクター、すなわち、始点と終点の時刻が異なるベクターである。 一方、レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックがそのレファレンスピクチャ自身を参照するベクターは、ある一つのピクチャ内の始点と終点の時刻が同じベクターである。 したがって、上述した、請求項1の「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクター」が、レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックがそのレファレンスピクチャ自身を参照するベクターであるというのは矛盾したことであり、この矛盾は、請求項1の「前記レファレンスピクチャ」の「前記」は、その前に記載された「レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクターから双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法」における「レファレンスピクチャ」を指していることから生じているから、この点に誤りが存在するといえ、その他に「前記」の指し示す「レファレンスピクチャ」は記載されていないから、結局、「前記」の記載は誤っており、この「前記」を削除すると、「前記同一位置のブロックによって参照されるレファレンスピクチャ」は、発明の詳細な記載の「特定のピクチャ」(下記の【0057】-【0059】を参照)と対応したものとして理解できることは明らかであって、「前記」の記載は誤記であるといえる。 「【0057】先ず、Bピクチャのうちの1つのブロックを読み取る(S141)。勿論、他のブロックも順次に読み取る。 【0058】次いで、特定のピクチャを格納しているレファレンスバッファの種類が調査される(S142)。特定のピクチャのブロックを意味する。 【0059】その特定のピクチャは、ディスプレイ順序とは関係なく、コーディング順序上、Bピクチャより早いピクチャの中で決定される。即ち、特定のピクチャは、Bピクチャのコーディングのために使用されるレファレンスピクチャの1つである。このような特定のピクチャには、ショートタームレファレンスピクチャおよびロングタームレファレンスピクチャが含まれる。ショートタームレファレンスピクチャは、ディスプレイ順序上、Bピクチャの真前または直後に位置することができ、ショートタームレファレンスバッファに格納される。ロングタームレファレンスピクチャは、ロングタームレファレンスバッファに格納されたピクチャである。前記した特定のピクチャがロングタームレファレンスピクチャである場合、Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは、その特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターであり、Bピクチャのダイレクトモードのための逆方向動きベクターはゼロと決定されてコーディングされる(S150)。しかし、その特定のピクチャがショートタームレファレンスピクチャである場合、特定のピクチャの同一位置のブロックで算出されたレファレンスピクチャインデックスおよび動きベクターを読み取る(S144)。このようなレファレンスピクチャインデックスおよび動きベクターは、予め算出されてシステムバッファに格納されている。」 したがって、訂正前の請求項1の「前記レファレンスピクチャ」は「レファレンスピクチャ」の誤記であり、本件訂正は、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 2.新規事項 本件訂正により訂正された事項は、上述したように、当初明細書等に記載した事項に対応したものとして理解できるから、本件訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 3.特許請求の範囲の拡張、変更 上述したように、本件訂正は、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲は変わらないものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 4.独立特許要件 訂正後の請求項1に係る発明について、拒絶すべき理由を発見しないから、請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 第3.むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものあり、また、同法同条第5項、第6項、第7項に規定する要件に適合するものであるから、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 動きベクターを求める方法 【技術分野】 【0001】 本発明は、動画コーディングシステムに関し、特に、ロングタームレファレンスピクチャ(long-term reference picture)を用いてコーディングの効率を向上させた動画コーディング方法に関する。 【背景技術】 【0002】 動画ピクチャシーケンスを最適に圧縮してコーディングするためには、シーケンスで場面の変化があったか否かを検出することができる必要がある。なぜならば、ニュース、スポーツ放送、インタービューのようなクローズアップ対話(close-up conversation)のようなビデオ映像は、反復的な場面変換を含んでいるためである。このような場面変換は、ピクチャの全体で発生するか、または、ピクチャ内の一部の領域で発生する。 【0003】 場面変化が検出される度に、デジタル映像のコーディング方法はそれに応じて変化される。例えば、場面変換の発生したピクチャと、場面変換以前のピクチャとの間には相互類似性が非常に低いため、場面変化を有するピクチャは、ピクチャが以前にデコードされたレファレンスピクチャから動き補償によってコーディングされるイントラモードよりは、ピクチャが同一ピクチャ内にデコードされたサンプルのみから予測を用いてコーディングされるイントラモードでコーディングが行われる。 【0004】 具体的には、場面変換がピクチャの全体で発生したピクチャは、全てのブロックでイントラモードでコーディングされるイントラピクチャとなり、ピクチャの一部の領域で場面変換が発生したピクチャは、場面変換が発生した領域の全てのブロックがイントラモードでコーディングされる。上記のようなイントラモードは、インターモードに比べて高いビット量を生成するため、場面変換が頻繁に発生するシーケンスは、低ビットレートアプリケーション(low bit rate application)において致命的な問題点を有する。 【0005】 一般に、動画コーディングシステムにおいてBピクチャを使用する場合、コーディング順序は、ディスプレイ順序とは異なる。 【0006】 図1は、Bピクチャを2枚使用する場合に、各ピクチャがディスプレイされる順序を示す。同図に示したように、ディスプレイされるピクチャのうち、最初にイントラピクチャIがディスプレイされて、2枚のBピクチャB1、B2が前記イントラピクチャIに続いてディスプレイされる。上記のBピクチャB1、B2がディスプレイされた後、PピクチャP3がディスプレイされる。このような方法で次の段階も行われる。即ち、PピクチャP3がディスプレイされると、4番目および5番目のBピクチャB4、B5がディスプレイされ、次いで、PピクチャP6がディスプレイされる。 【0007】 しかし、デジタル映像をコーディングする順序は、ディスプレイ順序と同ではない。即ち、PピクチャがBピクチャに優先してコーディングされる。 【0008】 図2は、2つのBピクチャを使用する時、各ピクチャがディスプレイされるときのコーディング順序を示す。同図2に示したように、イントラピクチャIがコーディングされると、先にディスプレイされる2枚のBピクチャB1、B2よりPピクチャP3が先にコーディングされる。その後は、順次にP6、B4、B5、P9、B7、B8、P12、B10、B11がそれぞれコーディングされる。 【0009】 ここで、Bピクチャは、イントラモード(intra mode)、順方向モード(forward mode)、逆方向モード(backward mode)、双予測モード(bi-predictive mode)およびダイレクトモード(direct mode)の5つの予測モードを有している。この中で、双予測モードは2つのレファレンスピクチャを有する。レファレンスピクチャは、時間的にBピクチャの前に位置するか、後に位置するが、Bピクチャを中心に前後に存在することもできる。 【0010】 特に、ダイレクトモードは、隣接した2つのピクチャの間に動きの連続性が一定に維持されるという時間的冗長性(temporal redundancy)特性を利用する。即ち、ダイレクトモードにおいてBピクチャは、ディスプレイ上、そのBピクチャの直後に位置する後続ピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターからダイレクトモードの順方向動きベクターと逆方向動きベクターが誘導される。このようなダイレクトモードは、動き情報のようなオーバヘッドビットを必要としないため、ビットレートを減少させることができるというメリットがある。 【0011】 このとき、従来のダイレクトモードの順方向動きベクターMV_(f)と逆方向動きベクターMV_(b)は、後続ピクチャにある同一位置のブロック(co-located block)が動きベクターMVを有している時、この動きベクターMVをピクチャ間の時間距離を用いたスケーリングによって求められる。即ち、ダイレクトモードの順方向動きベクターMV_(f)と逆方向動きベクターMV_(b)は、下記の数式(1)および(2)によって決定される。 【0012】 MV_(f)=(TRb*MV)/TRd (1) MV_(b)=(TRb-TRd)*MV/TRd (2) 【0013】 ここで、MVは、後続ピクチャにある同一位置のブロックの動きベクターであり、MV_(f)は、Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターであり、MV_(b)は、Bピクチャに対するダイレクトモードの逆方向動きベクターをそれぞれ示す。また、TRdは、後続ピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターによって示されたレファレンスピクチャと後続ピクチャとの間における時間上の距離であり、TRbは、後続ピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターによって示されたレファレンスピクチャからBピクチャまでの時間上の距離をそれぞれ示す。 【0014】 つまり、ダイレクトモードは、動きベクターMV_(f)およびMV_(b)の両方を使用して2つの動き補償されたブロック(motion-compensated block)を得るためのコーディングモードであり、2つの動き補償されたブロックを平均または補間演算(interpolative calculation)を通じて予測ブロックを得る。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0015】 本発明は、本発明の目的は、ダイレクトモードのBピクチャに対してロングタームレファレンスピクチャを用いてコーディング効率を向上させることのできる動画コーディング方法を提供することである。 【0016】 本発明の他の目的は、場面変換が存在するピクチャに対してインターモードを通じてビット量を減らすことのできる動画コーディング方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0017】 上記の目的を達成する本発明の好適な実施態様による双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法は、同一位置のブロックによって参照されるレファレンスピクチャが格納されるレファレンスバッファの種類に基づいて現在のブロックの動きベクターを決定し、決定された動きベクターに基づいて現在のブロックをデコードするステップを有し、決定ステップにおいてレファレンスバッファがロングタームレファレンスピクチャを格納する種類のバッファである場合は、現在のブロックの第1動きベクターを同一位置のブロックの動きベクターに等しく設定し且つ現在のブロックの第2動きベクターをゼロに設定し、決定ステップにおいてレファレンスバッファがショートタームレファレンスピクチャを格納する種類のバッファである場合は、現在のブロックの第1及び第2動きベクターを同一位置のブロックの動きベクターをスケーリングすることによって算出することを特徴とする。 【0018】 上記の目的を達成する本発明の好適な実施態様によるBピクチャのダイレクトモードの動きベクターの決定方法は、Bピクチャの各ブロックでダイレクトモードを用いてコーディングが行われる時、そのBピクチャの各ブロックに対する特定のピクチャの同一位置のブロックが参照するレファレンスピクチャが格納されたレファレンスバッファの種類に応じてBピクチャに対するダイレクトモードの動きベクターが異なるように決定される。 【0019】 前記特定のピクチャは、前記Bピクチャのコーディングに使用されるショートタームピクチャのうちの1つであることが好ましい。 【0020】 ここで、前記レファレンスバッファの種類は、前記特定のピクチャの同一位置のブロックで予め算出されたレファレンスピクチャインデックスを用いて判断される。前記レファレンスピクチャインデックスは、システムバッファに格納されている。 【0021】 前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターがロングタームレファレンスバッファを指す場合、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは、前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターであり、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの逆方向動きベクターはゼロと決定される。 【0022】 前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターがショートタームレファレンスバッファを指す場合、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの動きベクターは、ピクチャ間の時間距離で前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターをスケーリングして決定される。 【0023】 前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターはシステムバッファに格納されている。 【0024】 本発明の他の実施態様によれば、Bピクチャの各ブロックでダイレクトモードを用いてコーディングが行われる時、前記Bピクチャの各ブロックに対する特定のピクチャの同一位置のブロックが格納されたレファレンスバッファの種類に応じてBピクチャに対するダイレクトモードの動きベクターが異なるように決定される。 【0025】 前記レファレンスバッファは、ロングタームレファレンスバッファとショートタームレファレンスバッファとからなる。 【0026】 前記特定のピクチャは、ショートタームレファレンスピクチャまたはロングタームレファレンスピクチャのいずれか1つであることが好ましい。 【0027】 前記特定のピクチャはがロングタームレファレンスピクチャである場合、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは、前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターであり、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの逆方向動きベクターは、ゼロと決定される。 【0028】 前記特定のピクチャがショートタームレファレンスピクチャである場合、前記特定のピクチャの同一位置のブロックが参照するレファレンスピクチャが格納されたレファレンスバッファの種類に応じてBピクチャに対するダイレクトモードの動きベクターが異なるように決定される。 【0029】 本発明のさらに他の実施態様による動画のインターモードコーディング方法は、Pピクチャに場面変換が発生したか否かを判断するステップ、および、前記Pピクチャに場面変換が発生した場合、前記Pピクチャをロングタームレファレンスピクチャを参照してコーディングするステップを含む。 【0030】 前記場面変換されたPピクチャは、場面カットピクチャまたは部分場面変換ピクチャのいずれか1つであることが好ましい。 【0031】 前記場面変換されたPピクチャが部分場面変換ピクチャである場合、場面変換が発生した領域に含まれるブロックは、ロングタームレファレンスピクチャを用いてコーディングされる。ここで、前記ロングタームレファレンスピクチャを格納するロングタームレファレンスバッファは、一定の時間の以前にコーディングされたピクチャを格納するバッファである。 【0032】 前記場面変換されたPピクチャが部分的な場面変換ピクチャである場合、場面変換が発生していない領域に含まれるブロックは、ショートタームレファレンスピクチャを用いてコーディングされる。ここで、前記ショートタームレファレンスピクチャを格納するショートタームレファレンスバッファは、一定の時間の以後にコーディングされたピクチャを格納するバッファである。 【0033】 本発明のさらに他の実施態様による動画コーディング方法は、(a)Pピクチャを対象にして場面が変換されたか否かを判断するステップと、場面変換されたPピクチャが存在する場合、ロングタームレファレンスピクチャを参照して前記Pピクチャをインターモードでコーディングするステップと、(b)コーディング順序に従ってBピクチャの各ブロックでダイレクトモードを用いてコーディングが行われる時、前記Bピクチャの特定のピクチャの同一位置のブロックが格納されたレファレンスバッファの種類を判断するステップと、(c)前記レファレンスバッファの種類に従って前記Bピクチャに対するダイレクトモードの動きベクターを算出してダイレクトモードでコーディングするステップとを含む。 【0034】 前記ステップ(c)において、前記特定のピクチャがロングタームレファレンスピクチャである場合、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは、前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターであり、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの逆方向動きベクターはゼロと決定される。 【0035】 前記ステップ(c)において、前記特定のピクチャがショートタームレファレンスピクチャである場合、特定のピクチャの同一位置のブロックが有するレファレンスピクチャインデックスを用いてレファレンスバッファの種類を判断するステップと、前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターがロングタームレファレンスバッファを指す場合、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターであり、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの逆方向動きベクターはゼロと決定するステップと、前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターがショートタームレファレンスバッファを指す場合、前記Bピクチャに対するダイレクトモードの動きベクターは、ピクチャ間の時間距離で前記特定のピクチャの同一位置のブロックで算出された動きベクターをスケーリングして算出するステップとを含む。 【0036】 ここで、前記ショートタームレファレンスバッファはFIFOで構成される。 【発明の効果】 【0037】 以上のように、本発明による動画コーディング方法によれば、特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターが指すレファレンスピクチャに応じてBピクチャのためダイレクトモードの順方向動きベクターおよび逆方向動きベクターを異なるように決定し、Bピクチャをコーディングする時、ダイレクトモードがコーディングモードとして多数使用されることによって、全体的なコーディング効率を向上させることができるという効果が得られる。 【0038】 また、本発明による動画コーディング方法によれば、場面変換が発生したPピクチャをロングタームレファレンスピクチャから動き補償を用いてインターモードでコーディングしてビット量を低減させることによって、コーディング効率を向上させるという効果が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0039】 以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。先ず、本発明の実施形態の説明に先立って、場面変換を有する動画でピクチャの全体において場面変換が発生するピクチャを場面カットピクチャと、ピクチャの一部において場面変換が発生するピクチャを部分場面変換ピクチャとそれぞれ定義する。 【0040】 図3は、本発明の好適な実施形態による動画システムにおいて動画シーケンスをコーディングする方法を説明するためのフローチャートである。同図に示したように、動画シーケンスから順次にピクチャが入力される(S111)。 【0041】 入力されたピクチャを対象にしてピクチャの種類を判断する(S114)。即ち、入力されたピクチャがPピクチャかBピクチャかを判断する。なお、本発明では、予めイントラピクチャに対してはコーディングが行われていると仮定している。 【0042】 1つのピクチャがPピクチャである場合、そのPピクチャに場面変換が発生したかを判断する(S117)。ここで、場面変換は、PピクチャとそのPピクチャの真前にディスプレイされるピクチャ(PピクチャまたはBピクチャ)との比較を通じて判断する。 【0043】 S117の判断において、Pピクチャの全体で場面が変換されていると、そのPピクチャは場面カットピクチャとなる。S117において、Pピクチャが場面カットピクチャと判断されると、ロングタームレファレンスピクチャを参照してコーディングが行われる(S120)。 【0044】 Pピクチャが場面カットピクチャでない場合、Pピクチャが部分場面変換ピクチャであるかを判断する(S123)。 【0045】 Pピクチャが部分場面変換ピクチャである場合、場面変換された領域に含まれるブロックは、S120へ移動してロングタームレファレンスピクチャを参照してコーディングされる(S126、S120)。 【0046】 そして、場面変換されていない領域に含まれるブロックは、ショートタームレファレンスピクチャを参照してコーディングされる(S129、S132)。 【0047】 ここで、ロングタームレファレンスピクチャとは、ロングタームレファレンスバッファに格納されたピクチャを意味し、ショートタームレファレンスピクチャとは、ショートタームレファレンスバッファに格納されたピクチャを意味する。 【0048】 ショートタームレファレンスバッファは、先に入力したピクチャを先に出力するFIFOで構成され、比較的短い時間前にコーティングされたピクチャが格納される場所である。 【0049】 ロングタームレファレンスピクチャは、比較的長い時間前にコーディングされたピクチャが格納された場所である。このようなロングタームレファレンスピクチャには、各場面セットの1番目のピクチャ、即ち、イントラピクチャ、場面カットピクチャおよび部分場面変換ピクチャなどが格納される。 【0050】 このようなロングタームレファレンスバッファに場面カットピクチャまたは部分場面変換ピクチャが存在しないと、場面変換が発生したピクチャが新しく追加して格納することができる。従って、図4に示したように、場面セット(Scene set)A1の1番目の場面カット(Scene cut)ピクチャであるイントラピクチャI0、場面セットB1の1番目の場面カットピクチャP50および1番目の部分場面変換(Partial Scene Change)ピクチャP120などが前記ロングタームレファレンスバッファに格納され得る。なお、場面セットとは、類似したピクチャを1つの集合として区分したものである。例えば、討論放送において、アナウンサーが出てからパネリストAが出、再度アナウンサーが出てからパネリストAが出るような場合、アナウンサーが最初に出ているいくつかの場面を場面セットAと分類し、その後に出るパネリストAが出ている場面は場面セットBとなり、再度出るアナウンサーは場面セットAとなり、次いで場面セットBとなる。それらの分類は任意に選択することができる。 【0051】 このとき、Pピクチャに場面変換が発生した場合、そのPピクチャは、イントラモードの代わりに、ショートタームレファレンスピクチャまたはロングタームレファレンスピクチャを参照してコーディングするインターモードで行われる。これによって、ビット量を減らすことができるため、コーディング効率が向上する。 【0052】 S117?S132を図4を参照して説明する。同図に示したように、現在コーディングする対象であるPピクチャが場面セットB2に含まれる場面カットピクチャP200であるとすれば、ショートタームレファレンスバッファに格納されたショートタームレファレンスピクチャは使用されない。なぜならば、その場面カットピクチャP200は、場面セットB2の1番目のピクチャであり、場面カットピクチャP200場面セットは、場面セットA2に含まれるP199、P198、P197などのようなショートタームレファレンスピクチャとは異なっている。従って、場面カットピクチャP200と場面セットA2に含まれるショートタームレファレンスピクチャとの類似度は大きく低下し、正確なコーディングが、そのようなレファレンスピクチャから行われることができない。 【0053】 このような場合、そのPピクチャは、場面セットB2と同様な場面セットである場面セットB1に含まれる他のレファレンスピクチャP50、P120を参照してインターモードでコーディングされる。 【0054】 なお、PピクチャP250に部分場面変換が発生した場合は、2つの場合において異なるコーディングが行われる。即ち、部分場面変換が発生する領域に含まれるブロックは、ロングタームレファレンスバッファに格納されたロングタームレファレンスピクチャP50、P120を参照してインターモードでコーディングされる。そして、部分場面変換が発生しない領域に含まれるブロックは、ショートタームレファレンスバッファに格納されたショートタームレファレンスピクチャP249、P248、P247などを参照してインターモードでコーディングされる。 【0055】 上記のように1つのPピクチャに対してコーディングが行われると、次のピクチャが入力される(S159)。 【0056】 当該ピクチャがBピクチャである場合、Bピクチャの5つ予測モード(イントラモード、順方向モード、逆方向モード、双予測モード、ダイレクトモード)を用いて予測可能性が求められる(S135、S138)。このようなモードのうちの1つが、最適コーディングモードとして選択される。本明細書では、この中でダイレクトモードを中心に説明する。 【0057】 先ず、Bピクチャのうちの1つのブロックを読み取る(S141)。勿論、他のブロックも順次に読み取る。 【0058】 次いで、特定のピクチャを格納しているレファレンスバッファの種類が調査される(S142)。特定のピクチャのブロックを意味する。 【0059】 その特定のピクチャは、ディスプレイ順序とは関係なく、コーディング順序上、Bピクチャより早いピクチャの中で決定される。即ち、特定のピクチャは、Bピクチャのコーディングのために使用されるレファレンスピクチャの1つである。このような特定のピクチャには、ショートタームレファレンスピクチャおよびロングタームレファレンスピクチャが含まれる。ショートタームレファレンスピクチャは、ディスプレイ順序上、Bピクチャの真前または直後に位置することができ、ショートタームレファレンスバッファに格納される。ロングタームレファレンスピクチャは、ロングタームレファレンスバッファに格納されたピクチャである。前記した特定のピクチャがロングタームレファレンスピクチャである場合、Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは、その特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターであり、Bピクチャのダイレクトモードのための逆方向動きベクターはゼロと決定されてコーディングされる(S150)。しかし、その特定のピクチャがショートタームレファレンスピクチャである場合、特定のピクチャの同一位置のブロックで算出されたレファレンスピクチャインデックスおよび動きベクターを読み取る(S144)。このようなレファレンスピクチャインデックスおよび動きベクターは、予め算出されてシステムバッファに格納されている。 【0060】 レファレンスピクチャインデックスを見て、特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターがロングタームピクチャを指すか否かを判断する(S147)。前述のように、レファレンスバッファには、ショートタームレファレンスバッファとロングタームレファレンスバッファとを含むレファレンスピクチャが格納されている。 【0061】 特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターがロングタームレファレンスバッファを指す場合、Bピクチャは下記の数式(3)および(4)によってコーディングされる(S150)。 【0062】 MV_(f)=MV (3) MV_(b)=0 (4) 【0063】 ここで、MVは特定のピクチャにおける同一位置のブロックの動きベクターであり、MV_(f)はBピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターを、MV_(b)はBピクチャに対するダイレクトモードの逆方向動きベクターをそれぞれ示す。 【0064】 即ち、特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターが、ロングタームレファレンスピクチャを指す場合、Bピクチャに対するダイレクトモードの順方向動きベクターは、特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターとなり、逆方向動きベクターはゼロ(0)となる。 【0065】 図5に示したように、S150で特定のピクチャP200において同一位置のブロックの動きベクターがロングタームレファレンスピクチャP50を指す場合、既存の数式(1)および(2)におけるTRdとTRbは意味がなくなる。即ち、TRdとTRbは、場面セットB2に含まれる特定のピクチャP200と同一の場面セットB1に含まれるロングタームレファレンスピクチャP50との間に他の場面セットA2を含む時間上の距離を示すため、このようなTRdおよびTRbを用いてダイレクトモードの順方向動きベクターと逆方向動きベクターを算出することができなくなる。 【0066】 図5を参照してより詳細に説明する。動画シーケンスに2つのBピクチャを挿入してコーディングする時、B1およびB2ピクチャよりコーディング順序の早いPピクチャP200が先にコーディングが行われる。ここで、P200は、場面変換が発生した場面カットピクチャであるため、ロングタームレファレンスバッファに格納されているロングタームレファレンスピクチャP50からインターモードのコーディングが行われる。 【0067】 コーディング順序による次のコーディングされるピクチャは、B1ピクチャとなり、このB1ピクチャは、場面セットA2に相当するため、多くのブロックは、同一の場面セットA2に含まれるショートタームレファレンスピクチャから順方向または2つのレファレンスピクチャが全て場面セットA2にある双予測モードによってコーディングされる。しかし、イントラモード、他の場面セットB2に含まれる前記PピクチャP200から逆方向モードまたは双予測モード、そして、PピクチャP200内にある同一位置のブロックからダイレクトモードの動きベクターを求めるためのダイレクトモードなどがB1ピクチャにおいてブロックのためのコーディングモードとして使用される可能性は非常に低い。 【0068】 これとは異なり、B2ピクチャと、B2ピクチャのためのダイレクトモードの動きベクターのために使用される特定のピクチャであるP200は、全て同一の場面セットB2に相当するため、ダイレクトモードは、B2ピクチャにおいてほとんどのブロックのためのコーディングモードとして選択される。 【0069】 即ち、同一の場面セットB2に含まれるロングタームレファレンスピクチャP50からインターモードを通じて特定のピクチャP200において各ブロックの動きベクターを得た後、B2ピクチャにおいてダイレクトモードの動きベクターは、特定のピクチャP200において同一位置のブロックの動きベクターから算出される。B2ピクチャと特定のピクチャP200とは、同一の場面セットB2に含まれ、ロングタームレファレンスピクチャP50も、場面セットB1に含まれ、場面セットB1と場面セットB2の類似度が非常に高くなるため、ダイレクトモードがB2ピクチャにおいてほとんどのブロックのためのコーディングモードとして選択される。よって、B2ピクチャのためのコーディング効率が向上する。 【0070】 一方、特定のピクチャにおいて同一位置のブロックの動きベクターがショートタームレファレンスピクチャを指す場合、前記Bピクチャは、上記の数式(1)および(2)を用いてコーディングされる。 【0071】 このときには、ショートタームレファレンスバッファに格納されたショートタームレファレンスピクチャがBピクチャを含む同一の場面セットに含まれ、特定のピクチャとショートタームピクチャとの間に他の場面セットが存在しないため、時間上の距離を示すTRdとTRbを反映した既存の数式(1)および(2)を用いてダイレクトモードの順方向動きベクターと逆方向動きベクターが決定される。 【0072】 Bピクチャに関する1つのブロックに対してコーディングが行われると、そのBピクチャにおいて次のブロックが読み取られて持続的にコーディングが行われる(S156)。 このような過程は、Bピクチャに含まれる全てのブロックに対して行われる。 【0073】 Bピクチャに関するコーディングが終ると、再度次のピクチャが入力されてコーディングされ、動画コーディングが行われる(S159)。 【図面の簡単な説明】 【0074】 【図1】Bピクチャを2枚使用する場合、各ピクチャがディスプレイされる順序を示す図である。 【図2】2つのBピクチャを使用する時、各ピクチャがディスプレイされるコーディング順序を示す図である。 【図3】本発明の好適な実施形態による動画システムにおいて動画シーケンスをコーディングする方法を説明するためのフローチャートである。 【図4】本発明の好適な実施形態による場面変換を有する動画シーケンスをコーディングする方法を示す例示図である。 【図5】本発明の好適な実施形態によるダイレクトモードでBピクチャをコーディングする方法を示す例示図である。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 レファレンスピクチャ内の同一位置のブロックの動きベクターから双予測ピクチャ内の現在のブロックの動きベクターを求める方法であって、 前記同一位置のブロックによって参照されるレファレンスピクチャが格納されるレファレンスバッファの種類に基づいて現在のブロックの動きベクターを決定し、 決定された動きベクターに基づいて前記現在のブロックをデコードする、ステップを有し、 前記決定ステップにおいて、前記レファレンスバッファがロングタームレファレンスピクチャを格納する種類のバッファである場合は、前記現在のブロックの第1動きベクターを前記同一位置のブロックの動きベクターに等しく設定し且つ前記現在のブロックの第2動きベクターをゼロに設定し、 前記決定ステップにおいて、前記レファレンスバッファがショートタームレファレンスピクチャを格納する種類のバッファである場合は、前記現在のブロックの第1及び第2動きベクターを前記同一位置のブロックの動きベクターをスケーリングすることによって算出する、ことを特徴とする動きベクターを求める方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2013-01-30 |
出願番号 | 特願2008-96479(P2008-96479) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(H04N)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 長谷川 素直、坂東 大五郎 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
涌井 智則 千葉 輝久 |
登録日 | 2011-11-18 |
登録番号 | 特許第4865754号(P4865754) |
発明の名称 | 動きベクターを求める方法 |
代理人 | 河合 章 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 中村 健一 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 中村 健一 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 河合 章 |