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審決分類 審判 全部無効 特29条の2  A61M
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61M
審判 全部無効 2項進歩性  A61M
管理番号 1271497
審判番号 無効2011-800185  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-09-28 
確定日 2013-03-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第2846204号発明「血液浄化装置およびこれを使用する中央監視システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1 手続の経緯
(1)本件特許第2846204号の請求項1ないし4に係る発明についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成5年1月11日に特許出願され、平成10年10月30日にそれらの発明について特許権の設定登録がされたものである。
(2)これに対し請求人は、平成23年9月28日に本件無効審判を請求し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出し、本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」という。)についての特許を無効とするとの審決を求めた。
(3)被請求人は、平成23年12月22日付けで答弁書及び証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(4)その後、請求人より、平成24年3月30日付けで口頭審理陳述要領書及び証拠方法として甲第4号証ないし甲第6号証が提出され、被請求人より、平成24年3月30日付けで口頭審理陳述要領書及び証拠方法として乙第5号証が提出された。
(5)当審は、平成24年4月13日に口頭審理を実施した。

2 本件特許発明
本件特許発明1ないし4は次のとおりのものである。
【請求項1】
血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置(20)において、
血液浄化装置(20)には、操作により中央監視装置(30)との間において、血液浄化装置(20)が監視していない患者の治療に必要な情報(d)を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部(24,24')を設け、この操作者用インタフェース部(24,24')と外部信号入出力部(22)とをマイクロコンピュータ(26)を介して相互に制御可能に構成すると共に、中央監視装置(30)が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または中央監視装置(30)から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報(c)を表示可能に構成することを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
血液浄化装置(20)に、操作者用インタフェース接続部(28)を設け、この操作者用インタフェース接続部(28)に、操作により中央監視装置(30)との間において、血液浄化装置(20)が監視していない体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者の治療に必要な情報(d)群から選択された1種以上の情報に関するデータを入力してこれを送信し得る外付け操作者用インタフェース部(24')を接続可能に構成し、この外付け操作者用インタフェース部(24')と外部信号入出力部(22)とをマイクロコンピュータ(26)を介して相互に制御可能に構成してなる請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
血液浄化装置(20)に、操作により中央監視装置(30)との間において、血液浄化装置(20)が監視していない体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者の治療に必要な情報(d)群から選択された1種以上の情報に関するデータを入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部(24)および外付け操作者用インタフェース部(24')を設け、前記操作者用インタフェース部(24)は直接に、前記外付け操作者用インタフェース部(24')は操作者用インタフェース接続部(28)を介し、外部信号入出力部(22)との間においてそれぞれマイクロコンピュータ(26)を介して相互に制御可能に構成してなる請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の血液浄化装置(20)を、この血液浄化装置(20)に設けた外部信号入出力部(22)を介し通信網を使用して中央監視装置(30)と接続し、血液浄化装置(20)が監視している情報(a)および中央監視装置(30)から血液浄化装置(20)へ送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報(c)は、血液浄化装置(20)と中央監視装置(30)との間における通信経路で構成される通信網によって送受信され、血液浄化装置(20)より中央監視装置(30)へ送られる患者の治療に必要な情報や血液浄化装置(20)のメンテナンス情報等の血液浄化装置(20)が監視していない情報(d)は、血液浄化装置(20)に設けられる操作者用インタフェース部(24,24')を使用して、前記通信網によって送受信され、血液浄化装置(20)において、中央監視装置(30)への前記情報の入力と、中央監視装置(30)からの前記情報の出力と、中央監視装置(30)内の情報の表示とを、それぞれ可能なように構成したことを特徴とする血液浄化装置の中央監視システム。

3 請求人の主張
請求人は、本件特許発明1ないし4の特許を無効とする、との審決を求め、その理由として、
(理由1)本件特許発明1ないし4は、甲第1号証に係る先願の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである点、
(理由2)本件特許発明1ないし4は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである点、
(理由3)本件特許発明1ないし4は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された技術常識を斟酌することにより当業者が容易に発明できたものであり、反対に、同甲第3号証に記載された発明に基づいて、同甲第2号証に記載された技術常識を斟酌することによっても当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである点、
を主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
[証拠方法]
甲第1号証:特願平4-57426号(特開平5-220220号)
甲第2号証:実願昭62-103253号(実開昭64-9651号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開平2-77264号公報
甲第4号証:谷口昌弘、他1名、透析装置のコンピュータ化による問題点、日本透析療法学会雑誌、日本、1988年 6月28日、Vol.21、No.6、p.531-533の写し
甲第5号証:除水制御機構付患者監視装置 NCU-2 取扱説明書-B、株式会社ニプロ、日本、1990年 5月の写し
甲第6号証:谷口昌弘、他4名、患者監視装置NCU-2の透析情報コンピュータモニタシステムの開発、人工臓器、日本、1990年 4月、Vol.19、No.2、p.693-698の写し

4 被請求人の主張
被請求人は、本件特許発明1ないし4は、甲第1号証に係る先願の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された発明と同一ではなく、本件出願前に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明と同一でなく、本件出願前に頒布された刊行物である甲第2及び3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではないから、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定のいずれにも該当しないので、請求人の主張は失当である旨主張している。

5 当審の判断
(1)理由1について
(a)特願平4-57426号の願書に最初に添付された明細書または図面(以下、「先願明細書」という。)の記載内容(甲第1号証の記載を援用する。)
(ア)「【発明が解決しようとする課題】その回診に際して、医師は該当する患者のカルテを探し出したり、複数の受け持ち患者のカルテを持ち運ばなければならず、煩雑な業務を強いられるという問題がある。また、口述だけの説明では患者の理解が十分に得られないことがあり、効果的な手法が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、上記の回診時の煩雑な業務を簡略化し、患者への説明を効果的に行うことができる透析用表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、次のような構成をとる。すなわち、透析装置と、テレビジョン受信機と、患者医療用データを記憶保持する外部記憶装置とを備え、前記透析装置に、前記外部記憶装置に記憶されている患者医療用データを入力する入力手段と、入力した患者医療用データを前記テレビジョン受信機で表示可能な映像用信号に変換して出力する手段とを設けたことを特徴とする。また、特には、前記入力手段を、外部記憶装置内の患者医療用データが書き込まれる携帯用記憶媒体の読み取り手段として構成するものである。上記の患者医療用データとは、例えば、透析治療結果の推移や、透析治療時の血圧の推移,患者への健康指導に関する情報など、医師が患者に対して連絡したいと思う医療情報のことを指している。」(段落【0003】?【0004】)

(イ)「【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。
<第1実施例>図1は本発明の第1実施例に係る透析用表示装置全体のブロック図を示している。ハードディスク2および通信制御機構4を装備したパーソナルコンピュータ1(以下、パソコンと略す)と、各患者毎に備えられる透析装置6とがデータ伝送路5を介して接続されている。各患者が仰臥するベッドの近くにはテレビ放送を受信するテレビジョン受信機7(以下、テレビと略す)が据え付けられており、これらのテレビ7と各透析装置6とがそれぞれに接続されている。符号3は生化学検査会社から送られてきた、血液分析データを収納したフロッピーディスクである。血液分析データは、パソコン1に内蔵されたディスク駆動装置で読み取られ、ハードディスク2に各患者毎に記憶されていく。
次に、透析装置6の要部を図2のブロック図に示して説明する。入力装置8は、マイクロプロセッサ9に対して外部から命令を与えるための各種の操作ボタンや簡単なキーを備えている。例えば、血液分析データの表示における処理命令を与える「臨床データ読み出しボタン」や、各患者を識別する患者ID番号を入力するためのキー等である。マイクロプロセッサ9は、入力装置8からの命令に応じてROM10内のプログラムを読み出し、そのプログラムに従ってRAM11内のデータ処理等を行うように構成されている。
通信制御機構12は、マイクロプロセッサ9からの命令をパソコン1に出力したり、パソコン1から送られてくるデータをマイクロプロセッサ9に入力するもので、パソコン1に接続されている通信制御機構4も同様の機能を有している・・・」(段落【0006】?【0008】)

(ウ)「次に、上記の透析用表示装置の動作を簡単に説明する。透析治療の開始直後あるいはこれに先立って、治療を受ける患者ID番号を入力装置8のキーを操作してマイクロプロセッサ9に入力しておく。マイクロプロセッサ9は、患者ID番号とともにデータ読み出し命令を通信制御機構12を介してパソコン1に伝送する。パソコン1はハードディスク2内にストアされている多数の患者の血液分析データの中から、前記患者ID番号で検索した血液分析データを返送する。返送されてきた血液分析データはマイクロプロセッサ9によってRAM11に一時的に記憶される。
回診で患者のベッドの側に到来した医師が血液分析データを読み出したい時は、テレビ7の表示をテレビ放送から臨床データ表示に切り換える。すなわち、上記の映像信号変換回路13の構成に応じて、テレビ7の入力をRGB入力やビデオ入力、あるいはRF信号の入力を設定したチャンネル等に切り換える。そして、入力装置8の「臨床データ読み出しボタン」を押す。
マイクロプロセッサ9は、上記押しボタンの操作に応じて、ROM10内のプログラムを読み込み、そのプログラムに従って作動する。その作動手順は、(1) RAM11内に一時的に記憶されている血液分析データを読み出し、(2) 血液分析データのグラフを作成し、(3) 作成したグラフデータを映像信号変換回路13に出力する、という手順である。」(段落【0011】?【0013】)

上記記載事項からみて、先願明細書には次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。

「透析装置において、
透析装置は、操作により患者医療用データを記憶保持するハードディスクを装備したパソコンとの間において、患者ID番号を入力してこれを伝送し得る入力装置を有し、マイクロプロセッサは、入力装置から入力された患者ID番号とともにデータ読み出し命令を通信制御機構を介してパソコンに伝送すると共に、パソコンに装備されたハードディスクが記憶保持する患者医療用データをテレビジョン受信機に表示可能に構成する透析装置。」

(b)対比(本件特許発明1と先願発明について)
本件特許発明1と先願発明とを対比すると、その配置、構造又は機能からみて、先願発明の「透析装置」は本件特許発明1の「血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置」に相当し、以下同様に「伝送」は「送信」に、「入力装置」は「操作者用インタフェース部」に、「有し」は「設け」に、「通信制御機構」は「外部信号入出力部」に、「マイクロプロセッサ」は「マイクロコンピュータ」に、それぞれ相当する。
先願発明の「患者医療用データ」は、透析治療結果の推移、透析治療時の血圧の推移、患者への健康指導に関する情報などを指すものであるから(上記記載事項(ア)を参照)、本件特許発明1の「患者の過去の治療データに関する情報」に相当する。
また、先願発明は、「マイクロプロセッサは、入力装置から入力された患者ID番号とともにデータ読み出し命令を通信制御機構を介してパソコンに伝送する」ものであるところ、入力装置と通信制御機構とをマイクロプロセッサを介して相互に制御可能に構成しているといえるから、本件特許発明1の「操作者用インタフェース部と外部信号入出力部とをマイクロコンピュータを介して相互に制御可能に構成する」との事項を有するといえる。
そして、本件特許発明1の「血液浄化装置には、操作により中央監視装置との間において、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け」と、先願発明の「透析装置は、操作により患者医療用データを記憶保持するハードディスクを装備したパソコンとの間において、患者ID番号を入力してこれを伝送し得る入力装置を有し」とは、「血液浄化装置には、操作により外部装置との間において、情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け」る点で共通する。また、本件特許発明1の「中央監視装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する」と、先願発明の「パソコンに装備されたハードディスクが記憶保持する患者医療用データをテレビジョン受信機に表示可能に構成する」とは、「外部装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報を表示可能に構成する」点において共通する。
そうすると、本件特許発明1と先願発明とは、本件特許発明1の用語を用いて表現すると、次の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置において、
血液浄化装置には、操作により外部装置との間において、情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け、操作者用インタフェース部と外部信号入出力部とをマイクロコンピュータを介して相互に制御可能に構成すると共に、外部装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報を表示可能に構成する血液浄化装置。」

(相違点1-1)
血液浄化装置から情報を送信され得るとともに患者の過去の治療データに関する情報を保持する外部装置が、本件特許発明1では「中央監視装置」であるのに対して、先願発明では「患者医療用データを記憶保持するハードディスクを装備したパソコン」である点。
(相違点1-2)
操作者用インタフェース部から送信され得る情報が、本件特許発明1では「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」であるのに対して、先願発明では「患者ID番号」である点。

(c)判断
(相違点1-1について)
本件特許発明1の「中央監視装置」に関して、本件特許第2846204号の明細書には、以下の記載がある。
・「近年、血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離に代表される血液浄化治療においては、治療機器である血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置を複数台まとめて中央監視装置で監視する中央監視システムが導入されつつある。」(段落【0002】)
・「本発明に係る血液浄化装置およびこれを使用する中央監視システムによれば、血液浄化装置が監視している情報を、血液浄化装置の操作者がベッドサイドの操作により、任意の時間に任意の監視項目について中央監視装置へ送信することができる。また、体温、血圧、投薬、患者の状態等の血液浄化装置が監視していない情報についても、血液浄化装置の操作者がベッドサイドの操作により、中央監視装置へ送信することが可能である。」(段落【0019】)
・「そして、本発明の中央監視システムによれば、中央監視装置から血液浄化装置に送信された初期設定(除水設定、警報点設定等)値で治療可能かどうか、中央監視装置側の医師の指示に従って判断し、必要であれば初期設定値を血液浄化装置側で変更し、治療を開始しても良いと指示された結果(変更内容も含む)を、看護婦等がベッドサイドの操作で中央監視装置へ送信することが可能となり、中央監視装置側で医師が治療開始時の状態を十分に把握することができ、治療の安全性を高めることができる。」(段落【0020】)
上記の記載からみて、本件特許発明1の「中央監視装置」は、血液浄化装置から送信される各種情報に基づき、中央監視装置が血液浄化装置を監視する、及び中央監視装置側で医師が治療開始時の状態を把握する機能を奏するものと解される。
一方、先願発明の「患者医療用データを記憶保持するハードディスクを装備したパソコン」は、透析装置から伝送される患者ID番号に基づき、ハードディスク内に記憶保持されている多数の患者の患者医療用データの中から、該患者ID番号で検索した患者医療用データを透析装置に返送する機能を奏するにとどまり(上記記載事項(ウ)を参照)、中央監視装置が血液浄化装置を監視する、及び中央監視装置側で医師が治療開始時の状態を把握する機能を奏するものでない。そしてこの相違点は、単なる課題解決のための具体化手段における微差とはいえないので、両者は実質的に同一とはいえない。

なお、この点につき、請求人は、平成24年3月30日付け口頭審理陳述要領書において、以下の主張を行っている。
・「甲6には、「ホストコンピュータはPC-286V (CPU i80286 10MHz)を用い、補助記憶装置として20MBハードディスクおよび4MB増設RAMを使用していた。」(693頁左欄11?13行目)と記載され、Fig 1に構成図が示されている。この構成図と甲1の図1とを対比すれば、その相似性は明らかであり、当業者であれば、甲1の発明が甲6に記載されたような患者監視モニタシステムを前提とするものであることは容易に理解できるのである。すなわち、当業者は、甲1の図1に図示されたパソコンは甲6のFig 1に図示されたコンピュータと同様に透析装置を「モニタ」(監視)するように構成されているものと理解するのである。」(4頁8?16行)
・「本件について言えば、甲1の出願日は1992年2月10日であるのに対して、甲4は1988年の文献であり甲6は1990年の文献である。したがって、甲1の出願時において、甲1の図1を見た当業者は、当然に、甲6のFig 1のようなシステムを思い浮かべたはずであるから、これは、甲1に「記載されているに等しい事項」に該当する。そして、このことは、本件特許の明細書自体が、「中央監視装置」という用語を定義せずに用いていることからも明らかである。本件特許の出願日と甲1の出願日との間には約11ヶ月の違いがあるが、この間に、突如として「中央監視装置」という用語が当業者に了解可能な用語になったわけではない。甲1の出願時においても、甲1の図1のように構成されたシステムにおけるパソコンは「中央監視装置」として当業者に認識されたのである。」(5頁11?20行)
しかしながら、一般に、パソコンは、様々な技術分野において様々な機能を奏するために用いられるものであるが、それぞれのパソコンは、特定の技術分野において特定の機能を奏するために用いられるのであって、甲1の図1と甲6のFig 1に相似性があるとしても、先願発明の「パソコン」が、甲6のFig 1に図示されたコンピュータと同様に透析装置を「モニタ」(監視)する「中央監視装置」として当業者に認識されたとはいえず、「中央監視装置」が、先願明細書に記載されているに等しい事項であるとは認められない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

以上のことから、相違点1-2について検討するまでもなく、本件特許発明1は先願発明とは同一ではないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
また、本件特許発明2ないし4は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、本件特許発明1が先願発明と同一でない以上、本件特許発明2ないし4も先願発明と同一ではなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
したがって、本件特許発明1ないし4は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、請求人の主張する理由1によって無効とすることはできない。

(2)理由2について
(a)甲第2号証の記載内容
請求人が提出した甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
(エ)「この考案は、血液透析を必要とする複数の患者の透析加療をする際に、患者の状態変化および患者ごとに設置された透析装置の動作状況をホストコンピュータで監視するとともに透析中の各種データを自動的に収集・記憶し、また、各透析装置をホストコンピュータからの指令で一括もしくは個別に制御する血液透析集中監視、制御装置に関するものである。」(2頁4?11行)

(オ)「(d)血液透析集中管理装置の動作
透析装置9は、入出力回路56に接続された準備スイッチ、透析スイッチおよび洗浄スイッチにより操作され、それぞれ、準備モード、透析モード、あるいは洗浄モードの動作を行う。準備モードおよび透析モードにおいては、温度制御回路60により透析液温度が制御され、温度計回路58により透析液温度が検出されて、A/D変換器51によりデジタル値に変換されて一定時間毎にCPU50に入力される。CPU50は、プログラムメモリ・データメモリ54のデータメモリ領域に温度測定値を記憶し、表示回路55に温度表示する。CPU50はまた、透析液温度があらかじめプログラムメモリ・データメモリ54のデータメモリ領域に記憶された制御温度範囲以外になった場合は、温度警報を発し、表示回路55に温度警報表示を行い、ドライバー57に接続されたブザーBZを鳴らし、バイパス弁V_(3)を制御して透析液をバイパスさせる。静脈圧Pについても同様に測定・記憶・表示を行う。透析モードの場合には静脈圧警報が発生した時は、血液回路に接続された血液ポンプP_(b)を停止させる。準備モード及び透析モードにおいては、CPU50はこのような動作を繰り返す。」(11頁14行?12頁17行)

(カ)「キャラクタがデータ送信命令であった場合には、CPU50は、プログラムメモリ・データメモリ54のデータメモリ領域に記憶したデータを、一定のフォーマットに整列して、ひとまとまりのデータとしてシリアル入出力回路52に出力する。フォーマットは、準備・透析・洗浄等の動作モード、温度、静脈圧等の透析データ、温度警報・静脈圧警報等の警報状態等の必要なすべての情報を含むようにあらかじめ定めておく。」(13頁7?16行)

(キ)「ホストコンピュータ8は入力した透析データをプログラムメモリ・データメモリ31のデータメモリ領域に記憶し、必要に応じて補助記憶装置35に記憶し、また表示出力装置34に出力する。ホストコンピュータ8の動作は、キーボード33により操作され、表示画面の選択,補助記憶装置35からのデータの読み出し、透析データ収集の中断等を行う。また、ホストコンピュータ8からの制御により各透析装置9の制御を行う事ができる。」(15頁最終行?16頁9行)

(ク)「以上に説明した動作例以外にも、ホストコンピュータ8のキーボード33に静脈圧Pあるいは温度の警報設定値等を入力して、データサーバ39を通して各透析装置9に送信する事、または、キーボード33に患者名を入力し、補助記憶装置35に記憶されたその患者の設定データを各透析装置9に送信する事も考えられる。これらの場合には、データサーバ39はバッファとしての役目を持ち、各透析装置9からのデータの入力と、各透析装置9への設定データの出力のスケジュールの管理を行う。」(18頁6?16行)

(ケ)上記記載事項(オ)及び(カ)に関連して、第2図には、「準備スイッチ、透析スイッチおよび洗浄スイッチとシリアル入出力回路及び光伝送モジュールとをCPUを介して相互に制御可能に構成する」点が示されている。

上記記載事項からみて、甲第2号証には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。

「透析装置において、
透析装置は、操作により患者の状態変化および患者ごとに設置された透析装置の動作状況を監視するホストコンピュータとの間において、準備モード、透析モード、あるいは洗浄モードを入力してこれを送信し得る準備スイッチ、透析スイッチおよび洗浄スイッチを有し、この準備スイッチ、透析スイッチおよび洗浄スイッチとシリアル入出力回路及び光伝送モジュールとをCPUを介して相互に制御可能に構成すると共に、ホストコンピュータから送信される温度の警報設定値を、透析装置のプログラムメモリ・データメモリのデータメモリ領域に記憶し、準備モード及び透析モードにおいて、測定される透析液温度が該データメモリ領域に記憶された制御温度範囲以外になった場合は、温度警報を発し、表示回路に温度警報表示を行い、
各透析装置をホストコンピュータからの指令で一括もしくは個別に制御する透析装置。」

(b)対比(本件特許発明1と甲2発明について)
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、その配置、構造又は機能からみて、甲2発明の「透析装置」は本件特許発明1の「血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置」に相当し、以下同様に「患者の状態変化および患者ごとに設置された透析装置の動作状況を監視するホストコンピュータ」は「中央監視装置」に、「準備スイッチ、透析スイッチおよび洗浄スイッチ」は「操作者用インタフェース部」に、「有し」は「設け」に、「シリアル入出力回路及び光伝送モジュール」は「外部信号入出力部」に、「CPU」は「マイクロコンピュータ」に、それぞれ相当する。
そして、本件特許発明1の「血液浄化装置には、操作により中央監視装置との間において、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け」と、甲2発明の「透析装置は、操作により患者の状態変化および患者ごとに設置された透析装置の動作状況を監視するホストコンピュータとの間において、準備モード、透析モード、あるいは洗浄モードを入力してこれを送信し得る準備スイッチ、透析スイッチおよび洗浄スイッチを有し」とは、「血液浄化装置には、操作により中央監視装置との間において、情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け」る点で共通する。また、本件特許発明1の「中央監視装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する」と、甲2発明の「ホストコンピュータから送信される温度の警報設定値を、透析装置のプログラムメモリ・データメモリのデータメモリ領域に記憶し、準備モード及び透析モードにおいて、測定される透析液温度が該データメモリ領域に記憶された制御温度範囲以外になった場合は、温度警報を発し、表示回路に温度警報表示を行う」とは、「情報を表示可能に構成する」点において共通する。
そうすると、本件特許発明1と甲2発明とは、本件特許発明1の用語を用いて記載すると次の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置において、
血液浄化装置には、操作により中央監視装置との間において、情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け、この操作者用インタフェース部と外部信号入出力部とをマイクロコンピュータを介して相互に制御可能に構成すると共に、情報を表示可能に構成する血液浄化装置。」

(相違点2-1)
操作者用インタフェース部より入力されて中央監視装置に送信され得る情報が、本件特許発明1では「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」であるのに対して、甲2発明では「準備モード、透析モード、あるいは洗浄モード」にとどまる点。
(相違点2-2)
情報を表示可能に構成する点について、本件特許発明1では、「中央監視装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成」しているのに対して、甲2発明では、「ホストコンピュータから送信される温度の警報設定値を、透析装置のプログラムメモリ・データメモリのデータメモリ領域に記憶し、準備モード及び透析モードにおいて、測定される透析液温度が該データメモリ領域に記憶された制御温度範囲以外になった場合は、温度警報を発し、表示回路に温度警報表示を行う」にとどまる点。

(c)判断
(相違点2-1について)
本件特許発明1の「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」に関して、本件特許第2846204号の明細書には、以下の記載がある。
・「図4に示す本発明に係る血液浄化装置の中央監視システムの構成によれば、血液浄化装置20が監視している情報(a)および中央監視装置30から血液浄化装置20へ送られる情報(c)は、血液浄化装置20、中継器32、中央監視装置30の通信経路で構成される中央監視システムの通信網により送受信される。また、体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者の治療に必要な情報や血液浄化装置20のメンテナンス情報等の血液浄化装置20が監視していない情報(d)については、前述した血液浄化装置20に設けられる操作者用インタフェース部24、24′を使用して、血液浄化装置20の操作者により前記と同様にして中央監視システムの通信網により送受信される。従って、血液浄化装置20は、中央監視装置30の端末として機能し、血液浄化装置20の操作者が、中央監視装置30への情報の入力、中央監視装置30からの情報の出力、中央監視装置30内の情報の確認を行うことが可能となる。」(段落【0031】)
上記の記載からみて、本件特許発明1の「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」とは、あくまで体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者に関連した情報を指すものと解される。
一方、甲2発明の「準備モード、透析モード、あるいは洗浄モード」は、血液浄化装置の動作に関する情報であって、血液浄化装置が監視している情報でもあるところ、体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者の関連した情報であるとはいえず、血液浄化装置が監視していない情報であるともいえないから、本件特許発明1の「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」に相当するとは認められない。

なお、この点につき、請求人は、平成24年3月30日付け口頭審理陳述要領書において、以下の主張も行っている。
・「本件特許の請求項4において、血液浄化装置のメンテナンス情報は「血液浄化装置(20)が監視していない情報(d)」に含まれている。請求項1の「血液浄化装置(20)が監視していない患者の治療に必要な情報(d)」は、請求項4の「血液浄化装置(20)が監視していない情報(d)」と同じ符号で特定されている以上、同義であることは明らかである。したがって、請求項1の「血液浄化装置(20)が監視していない患者の治療に必要な情報(d)」には血液浄化装置のメンテナンス情報が含まれる。甲2発明における準備、透析及び洗浄等の動作モードのうち、少なくとも、洗浄モードが透析装置のメンテナンス情報に含まれることは明らかである。したがって、甲2発明の準備、透析及び洗浄等の動作モードは「血液浄化装置(20)が監視していない患者の治療に必要な情報(d)」に該当する。」(17頁3?12行)
しかしながら、上述のとおり、本件特許第2846204号の明細書の段落【0031】に「体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者の治療に必要な情報や血液浄化装置20のメンテナンス情報等の血液浄化装置20が監視していない情報(d)」と記載され、本件特許発明4でも同様に「患者の治療に必要な情報や血液浄化装置(20)のメンテナンス情報等の血液浄化装置(20)が監視していない情報(d)」とされているところ、「血液浄化装置が監視していない情報」に含まれる情報のうち、「体温、血圧、投薬、患者の状態等の患者の治療に必要な情報」と「メンテナンス情報」は明確に区別されているものであり、請求項1の「血液浄化装置(20)が監視していない患者の治療に必要な情報(d)」に「メンテナンス情報」が含まれることを前提とした請求人の上記主張は採用できない。

(相違点2-2について)
本件特許発明1の「中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報」に関して、本件特許第2846204号の明細書には、以下の記載がある。
・「そして、本発明の中央監視システムによれば、中央監視装置から血液浄化装置に送信された初期設定(除水設定、警報点設定等)値で治療可能かどうか、中央監視装置側の医師の指示に従って判断し、必要であれば初期設定値を血液浄化装置側で変更し、治療を開始しても良いと指示された結果(変更内容も含む)を、看護婦等がベッドサイドの操作で中央監視装置へ送信することが可能となり、中央監視装置側で医師が治療開始時の状態を十分に把握することができ、治療の安全性を高めることができる。」(段落【0020】)
上記の記載からみて、本件特許発明1の「中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する」とは、看護婦等がベッドサイドにおいて、中央監視装置から血液浄化装置に送信された初期設定(除水設定、警報点設定等)値で治療可能かどうか、中央監視装置側の医師の指示に従って判断するために、中央監視装置から血液浄化装置に送信された初期設定(除水設定、警報点設定等)値を表示可能に構成することを意味するものと解される。
一方、甲2発明は、ホストコンピュータから送信される温度の警報設定値を、透析装置のプログラムメモリ・データメモリのデータメモリ領域に記憶し、準備モード及び透析モードにおいて、測定される透析液温度が該データメモリ領域に記憶された制御温度範囲以外になった場合は、温度警報を発し、表示回路に温度警報表示を行うにとどまり、警報設定値を表示可能に構成するものではないから、甲第2号証に「中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する」との事項が記載されているとは認められない。

なお、この点につき、請求人は、平成24年3月30日付け口頭審理陳述要領書において、以下の主張を行っている。
・「しかし、警報表示が「警報点設定値等の初期設定値に関する情報」に当たることは、次の例を考えれば容易に理解できる。甲2発明においては透析液の現在の温度が表示回路55に表示されるが、例えば、この透析液温度の表示が36.5度よりも高くなった瞬間に温度警報表示が出た場合、透析液温度警報設定値は36.5度だったということである。このように、温度警報表示は透析液温度警報設定値と表裏一体の情報である。したがって、甲2発明の温度警報表示は「警報点設定値等の初期設定値に関する情報」に当たる。」(22頁6?12行)
しかしながら、「温度警報表示は透析液温度警報設定値と表裏一体の情報である」といえたとしても、上述のとおり本件特許第2846204号の明細書の記載に照らして考えれば、「甲2発明の温度警報表示は「警報点設定値等の初期設定値に関する情報」に当たる」とは認められない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

以上のことから、本件特許発明1と甲2発明とは同一ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものとすることはできない。
また、本件特許発明2ないし4は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、本件特許発明1が甲2発明と同一でない以上、本件特許発明2ないし4も甲2発明と同一ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
したがって、本件特許発明1ないし4は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、請求人の主張する理由2によって無効とすることはできない。

(3)理由3について
(a)甲第3号証の記載内容
請求人が提出した甲第3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
(コ)「本発明の第1形態においては、人工臓器の動作制御に用いる患者に個有の制御情報を読み出し手段により携帯用記憶媒体から読み出して人工臓器本体に入力するようにしたので、人工臓器を使用する際の入力操作が容易となり、かつ迅速化される。
本発明の第2形態においては、第1形態に加えて、読み出し情報を表示手段により知ることができるので、誤入力をチェック可能である。」(3頁右上欄11?19行)

(サ)「第2図において、201はICカード300を受け付け、ICカード300に対して情報の読み書きを行うICカード読み書き装置(カードリーダライタとも呼ばれる)である。ICカード読み書き装置201は指示手段としての機能を果たし、ICカード300の受け付けを不図示のフォントセンサにより検知したとき、この検知信号に応じてICカード300からの情報の読み出しを開始する。
202はICカード読み書き装置201に対して後述の制御情報および身体情報(制御関連情報)を入力するキーボードである。
これらの制御情報および制御関連情報がICカード読み書き装置201によりICカード300に書き込まれる。203はICカード300の入出力情報を表示する表示器である。」(3頁右下欄13行?4頁左上欄7行)

(シ)「第3図は2図に示すICカード300のメモリ構成を示す。
第3図において、301は予め透析回数を記憶する領域である。領域301には予め1、2、3、という順次アドレス毎に書き込んでもよいし、その都度、ICカード300に情報を書き込むときに、回数情報を書き込んでもよい。
302は透析に用いられたダイアライザー20の種類、例えばメーカの型番を格納する領域である。
303は透析を受けた日付を格納する領域である。
304は透析所要時間を格納する領域である。
305は人工腎臓に初期設定値として入力すべきデータを格納する領域である。
306は人工腎臓からの各種計測値を格納する領域である。
307はオペレータが入力するメッセージ、例えば患者の医療に関する注意事項である。
308は、患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報を記憶する領域である。領域307、308はキーボード202からの入力のみが可能であり、その他の領域はキーボード202および制御回路101からの入力が可能である。
なお、本例は人工腎臓に関する情報を格納する例であり、他の人工臓器についてはそれぞれ好適な情報を格納すればよいことは言うまでもない。」(4頁左下欄4行?右下欄12行)

(ス)「第4図は第2図に示すICカード読み書き装置201の本発明に関わる動作制御手順を示す。
この制御手順は、読み書き装置201内の例えば中央演算処理ユニット(CPU)などの制御回路(不図示)により実行される。
第4図において、ICカード300がICカード読み書き装置201に挿入されたことをCPUが検出すると、CPUは病院の識別番号を自動的にICカード300から読み出し、ICカード読み書き装置201に予め登録されている登録識別番号と照合する(ステップS10→S20)。
識別番号の照合の結果、ICカードの識別番号と登録識別番号が一致したときは、CPUは以後ICカード300からの情報の読み取りおよび書き込みを許可する(ステップS30→S40)。
次にオペレータからキーボード202の指示もしくはシステム作動スイッチのオンに応じてCPUは、ICカード300の第3図に示す設定データ領域305から初期値データを読み出し、表示すると共に制御回路101に出力する(ステップS50→S60)。なお、識別番号の照合の後、外部指示無しに初期値データを読み出してもよい。
その他過去の情報として通常の制御設定値等や透析時間、前回使用したダイアライザや人工腎臓の機械、体重の変化、輸血の有無等をもICカード300から読み出して表示する。
この表示を見て、医者が人工臓器の作動を指示すると、CPUは以後、従来例と同様に人工腎臓から送られてくる計測情報を表示器203にも表示する。またこれらの計測値情報をICカード読み書き装置201がICカード300に書き込む。」(4頁右下欄13行?5頁右上欄3行)

(セ)「次に本実施例の利用形態について説明する。
1)本発明を適用した人工腎臓を複数の病院に設置する。病院側ではICカード読み書き装置201より患者が所持するICカード300からその記憶内容を読み出すことにより、過去の透析に関する情報を知ることができる。したがって各病院側では同質の治療を行うことが可能となる。特に患者が意識不明になった場合には患者自身から透析に関する情報を聞き出せないが、本発明では患者の保有する携帯用記憶媒体から情報を知ることができるので、非常に有益である。従来では透析記録を保存する1ケ所の病院のみで患者が透析を受けることが多かったのに対し、本発明を用いれば複数の病院で透析を受けることが可能となり、患者の行動範囲が広がる。」(5頁右上欄9行?左下欄3行)

(ソ)「さらに、ICカード読み書き装置201と大型のホストコンピュータをオンライン接続し、ICカード300のバックアップ情報としてホストコンピュータに上記情報をファイル化することも可能である。」(5頁右下欄3?7行)

上記記載事項からみて、甲第3号証には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。

「人工腎臓において、
人工腎臓には、入力操作によりICカードとの間において、患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報を入力してこれを書き込み得るキーボードを設け、キーボードの指示に応じてICカード読み書き装置内のCPUは、ICカードの設定データ領域から制御回路に出力すべき初期値データを読み出すとともに、ICカードに書き込まれた透析時間、前回使用したダイアライザや人工腎臓の機械、体重の変化、輸血の有無等の過去の情報及びICカードから読み出された上記初期値データを表示可能に構成し、ICカード読み書き装置と大型のホストコンピュータをオンライン接続し、ICカードのバックアップ情報としてホストコンピュータに上記情報をファイル化する人工腎臓。」

(b)甲第3号証を主引用例とする場合
(i)対比(本件特許発明1と甲3発明について)
本件特許発明1と甲3発明とを対比すると、その配置、構造又は機能からみて、甲3発明の「人工腎臓」は本件特許発明1の「血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置」に相当し、以下同様に「入力操作」は「操作」に、「患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報」は「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」に、「書き込み得る」は「送信し得る」に、「キーボード」は「操作者用インタフェース部」に、「ICカード読み書き装置内のCPU」は「マイクロコンピュータ」に、「に書き込まれた」は「が保持する」に、「透析時間、前回使用したダイアライザや人工腎臓の機械、体重の変化、輸血の有無等の過去の情報」は「患者の過去の治療データ」に、「読み出された」は「送られる」に、「制御回路に出力すべき初期値データ」は「患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報」に、それぞれ相当する。
また、甲3発明は、「キーボードの指示に応じてICカード読み書き装置内のCPUは、ICカードの設定データ領域から制御回路に出力すべき初期値データを読み出」しているところ、ICカード読み書き装置が、ICカードにデータを読み書きするための外部信号入出力部を有することは明らかであるとともに、キーボードと外部信号入出力部とをICカード読み書き装置内のCPUを介して相互に制御可能に構成しているといえるから、本件特許発明1の「操作者用インタフェース部と外部信号入出力部とをマイクロコンピュータを介して相互に制御可能に構成する」との事項を有するといえる。
そして、本件特許発明1の「操作により中央監視装置との間において、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部」と、甲3発明の「入力操作によりICカードとの間において、患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報を入力してこれを書き込み得るキーボード」とは、「操作により外部装置との間において、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部」である点で共通する。また、本件特許発明1の「中央監視装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する」と、甲3発明の「ICカードに書き込まれた透析時間、前回使用したダイアライザや人工腎臓の機械、体重の変化、輸血の有無等の過去の情報及びICカードから読み出された上記初期値データを表示可能に構成する」とは、「外部装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または外部装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する」点において共通する。
そうすると、本件特許発明1と甲3発明とは、本件特許発明1の用語を用いて記載すると次の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「血液透析、血液濾過、血液透析濾過または血漿分離等を行う血液浄化治療に使用する血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置および血漿分離装置等の血液浄化装置において、
血液浄化装置には、操作により外部装置との間において、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力してこれを送信し得る操作者用インタフェース部を設け、この操作者用インタフェース部と外部信号入出力部とをマイクロコンピュータを介して相互に制御可能に構成すると共に、外部装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または外部装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成する血液浄化装置。」

(相違点3)
操作者用インタフェース部より血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力して送信され得るとともに、患者の過去の治療データに関する情報および/または患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を保持し血液浄化装置に送る外部装置が、本件特許発明1では「中央監視装置」であるのに対して、甲3発明では「ICカード」であり、また、ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータは「ICカード」のバックアップ情報をファイル化するにとどまる点。

(ii)判断
(相違点3について)
甲3発明における「ICカード」は、人工臓器を使用する際の入力操作を容易とするととともに、かつ迅速化するために、人工臓器本体に入力すべき人工臓器の動作制御に用いる患者に個有の制御情報を記憶した「携帯用記憶媒体」であり(上記記載事項(コ)を参照)、また、甲3発明における「ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータ」は、「ICカード」のバックアップ情報をファイル化するためのものである。
一方、5(1)(c)に記載したとおり、本件特許発明1の「中央監視装置」は、血液浄化装置から送信される各種情報に基づき、中央監視装置が血液浄化装置を監視する、及び中央監視装置側で医師が治療開始時の状態を把握する機能を奏するものと解されるところ、甲3発明における「ICカード」及び「ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータ」は、いずれも当該機能を奏するものとはいえず、甲第3号証には、当該機能を奏する「中央監視装置」について何ら記載も示唆も認められない。
5(2)(a)ないし(c)に記載したとおり、甲第2号証には「中央監視装置」に関する記載はあるが、甲3発明における「ICカード」及び「ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータ」と、甲第2号証に記載の「中央監視装置」とは、異なる機能を奏するものであって、甲3発明における「ICカード」または「ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータ」に代えて、甲第2号証に記載の「中央監視装置」を採用する動機があったとはいえず、甲3発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項に想到することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

なお、甲第3号証を主引例とする容易推考に関し、請求人は、審判請求書において、以下の主張を行っている。
・「しかしながら、前述の引用発明1においては、ホストコンピュータ8から初期設定値を透析の開始時に透析装置9へ送信して透析装置のプログラムメモリ・データメモリ54のデータメモリ領域にデータを自動設定することが明記されている(甲第2号証19ページ)。また、引用発明2における解決課題は、「人工臓器の各種設定データや制御データを患者に好適なデータに可変設定するための入力スイッチなどの入力装置」(甲第3号証、2ページ右下欄)に関して、「人間が入力操作を行うので、操作に時間がかかり、誤入力なども生じてしまうという解決すべき問題点があった。そこで本発明の目的は入力操作を容易かつ迅速に行うことが可能な入力装置を提供することにある。」(甲第3号証、3ページ左上欄)と説明されているとおりであるから、大型のホストコンピュータからデータをICカードに送信することは引用発明2の目的に適っている。そして、バックアップを行うには、大型のホストコンピュータからデータを送信してICカードのデータを修復することも必要であることは当業者が容易に理解できるところである。したがって、引用発明2において、ICカードの設定データ305をオンライン接続されている大型のホストコンピュータから送信するように構成することは当業者が容易に着想できたことであり、阻害事由もない(甲第3号証を主引例とする容易推考)。」(22頁7?23行)
しかしながら、甲3発明において、ICカードのデータを修復するため、ICカードの設定データをオンライン接続されたホストコンピュータから送信するように構成することが当業者が容易に着想できたことであるとしても、オンライン接続されたホストコンピュータを上記機能を奏する「中央監視装置」とすることが、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

以上のことから、本件特許発明1は、甲3発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。

(c)甲第2号証を主引例とする場合
(i)対比(本件特許発明1と甲2発明について)
本件特許発明1と甲2発明の一致点及び相違点については、5(2)(b)に記載したとおりである。

(ii)判断
(相違点2-1について)
血液浄化装置の操作者用インタフェース部より入力される情報に関して、甲第3号証には、人工腎臓に設けられたキーボードにより、患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報を入力して、人工腎臓に設けられたICカード読み書き装置により、これらの情報をICカードに書き込むとともに、ICカードのバックアップ情報としてICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータにこれらの情報をファイル化する点が記載されており(上記記載事項(サ)ないし(ソ)を参照)、甲第3号証の「患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報」及びその「バックアップ情報」は、「血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報」に相当する。
一方、5(3)(b)(ii)に記載したとおり、甲第3号証における「ICカード」は、人工臓器を使用する際の入力操作を容易とするととともに、かつ迅速化するために、人工臓器本体に入力すべき人工臓器の動作制御に用いる患者に個有の制御情報を記憶した「携帯用記憶媒体」であり(上記記載事項(コ)を参照)、また、甲第3号証における「ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータ」は、「ICカード」のバックアップ情報をファイル化するためのものであるところ、甲2発明の「中央監視装置」と、甲第3号証における「ICカード」及び「ICカード読み書き装置にオンライン接続されたホストコンピュータ」とは、異なる機能を奏するものである。
してみると、甲2発明に、甲第3号証に記載された上記技術事項を適用する動機があったとはいえず、甲2発明において、血液浄化装置の操作者用インタフェース部により、準備モード、透析モード、あるいは洗浄モードに加えて、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力して、中央監視装置に送信するよう構成することが、当業者が容易になし得たことであったとはいえない。

(相違点2-2について)
情報を表示可能に構成する点に関して、甲第3号証には、人工腎臓に設けられたICカード読み書き装置により、人工腎臓の制御回路に出力すべき初期値データや、透析時間、前回使用したダイアライザや人工腎臓の機械、体重の変化、輸血の有無等の過去の情報をICカードから読み出して、人工腎臓に設けられた表示器に表示し、この表示を見て、医者が人工腎臓の作動を指示する点が記載されている(上記記載事項(シ)及び(ス)を参照)。
一方、甲2発明は、各透析装置をホストコンピュータからの指令で一括もしくは個別に制御するものであるところ、甲2発明において、甲第3号証に記載された上記技術事項にならって、中央監視装置側ではなく血液浄化装置側において、医者が血液浄化装置の作動を指示すべく、初期値データや過去の情報を血液浄化装置に設けた表示器に表示するよう構成する動機はなく、甲2発明及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて、相違点2-2に係る本件特許発明1の発明特定事項に想到することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

なお、甲第2号証を主引例とする容易推考に関し、請求人は、審判請求書及び平成24年3月30日付け口頭審理陳述要領書において、以下の主張を行っている。
・「また、前述の引用発明1においては、準備SW、透析SW及び洗浄SWにより動作モードが入力されるが、引用発明2においてはキーボードからオペレータがメッセージ(患者の医療に関する注意事項)や患者の氏名、年齢、血液型、理想体重、血圧、血中濃度、輸血を行ったかの有無等の個人の身体情報を入力できる。したがって、引用発明1においてもI/O(入出力回路)56にキーボードを接続して動作モード以外の多様な情報を入力可能に構成することは当業者が容易に思いつくことである。また、ICカードは独立して記憶内容を保持できる点で引用発明1のプログラムメモリ・データメモリ54のデータメモリ領域とは異なるとしても、記憶媒体として機能や記憶の原理はほとんど同一である。したがって、引用発明1にキーボードを付加することには何ら阻害事由も認められない(甲第2号証を主引例とする容易推考)。」(審判請求書22頁24行?23頁5行)
・「しかし、甲2の13頁の4行目から16行目には、透析装置に多様な情報を入力・送信可能に構成することを示唆する記載がある。すなわち、甲2発明ではホストコンピュータのデータ送信命令を受けた透析装置のCPU50は、プログラムメモリ・データメモリ54のデータメモリ領域に記憶したデータを、一定のフォーマットに整列してひとまとまりのデータとしてシリアル入出力回路52に出力してホストコンピュータに送信するが、当該フォーマットについて甲2の13頁12行目から16行目は、「フォーマットは、準備・透析・洗浄等の動作モード、温度、静脈圧等の透析データ、温度警報・静脈圧警報等の警報状態等の必要なすべての情報を含むようにあらかじめ定めておく。」(傍点は請求人が付した。)と記載している。すなわち、甲2発明においては、透析治療に必要なすべての情報を透析装置において入力・送信できるように構成することが示唆されているのである。そして、情報の入力手段としてキーボードは周知技術であるから、甲2に接した当業者は透析装置にキーボードを接続するよう導かれる。」(口頭審理陳述要領書39頁12?24行)
しかしながら、甲2発明において、情報の入力手段として周知のキーボードを血液浄化装置に接続することが当業者が容易に思いつくことであったとしても、上述のとおり、血液浄化装置が監視していない患者の治療に必要な情報を入力してこれを中央監視装置に送信するとともに、中央監視装置が保持する患者の過去の治療データに関する情報および/または中央監視装置から送られる患者の治療を行うための除水設定値や警報点設定値等の初期設定値に関する情報を表示可能に構成することまでが、当業者が容易になし得たことであったとはいえない。

以上のことから、本件特許発明1は、甲2発明及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。

(d)本件特許発明2ないし4について
本件特許発明2ないし4は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、本件特許発明1が、甲第2及び3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件特許発明2?4に記載された発明も、甲第2及び3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。

(e)小括
したがって、本件特許発明1ないし4は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、請求人の主張する理由3によって無効とすることはできない。

6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許発明の特許を無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2012-06-01 
出願番号 特願平5-2627
審決分類 P 1 113・ 113- Y (A61M)
P 1 113・ 16- Y (A61M)
P 1 113・ 121- Y (A61M)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 関谷 一夫
高田 元樹
登録日 1998-10-30 
登録番号 特許第2846204号(P2846204)
発明の名称 血液浄化装置およびこれを使用する中央監視システム  
代理人 近藤 惠嗣  
代理人 松田 世理奈  
代理人 井窪 保彦  
代理人 本多 広和  
代理人 黒川 恵  
代理人 小林 浩  
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