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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1271642
審判番号 不服2011-26464  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-06 
確定日 2013-03-18 
事件の表示 特願2008- 51286「携帯電話」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月17日出願公開、特開2009-212614〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年2月29日の出願であって、原審において平成23年8月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年12月6日に審判請求がなされたものである。


2.本願発明
本件出願の請求項に係る発明は、平成23年6月20日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)の記載は次のとおりであると認められる。

「【請求項1】
ノイズ低減機能を有する携帯電話であって、携帯電話に装着された電池の表面にシート状のノイズ低減部材が貼り付けられてなり、該ノイズ低減部材が、チタン合金よりなる厚さ0.2?0.7mmの金属薄板の一方の面に厚さ0.1?0.3mmの電解質塗料の層が形成され、該電解質塗料の層の上に厚さ30μm?80μmの金よりなる金属膜層が形成され、金属薄板の他方の面に粘着材の層が形成されており、前記電解質塗料に10?30重量%の専用特殊粉末が更に含まれ、該専用特殊粉末がトルマリン、貴宝石、チタン、及びラピスを含むことを特徴とする携帯電話。」


3.引用例に記載された発明
A.原審で通知した拒絶理由に引用した、広瀬 学,“アポロ・サンサン・ムーン登場。”、デビルポケットby広瀬、2007年 3月22日,URL、http://devipoke.blog4.fc2.com/blog-entry-565.html(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

イ.「アポロ・サンサン・ムーンという新製品が登場しました.新製品といってもアポロ・シン・ムーンと見た目変わりません。
(・・・(中略)・・・)
今後アポロ・シン・ムーンはアポロ・サンサン・ムーンという名に変更されるようです。
(・・・(中略)・・・)
アポロ・シン・ムーンと同じく、チタンがベースです。その上にアポロ特殊触媒が施されていて、最後に純金箔が蒸着されています。
厚みは約0.5mm程度です。シンムーンと違うところは、シールがあらかじめ付いていません。これは、主な用途が携帯電話の電池に挟みこむように考えられて作られているためです。」

ロ.「そうして実験した結果、皆口をそろえて「やっぱ全然音が違う」といいました。こまちゃさんが「なめらかになる」というと、Fさんは「やさしい感じがする」と言いました。私も同感で携帯電話特有のザラザラした音が「ツルルルルーーーール」とたまごの皮をむいたような超なめらかな感じの音になったと感じました。しかし、アポロ・シン・ムーンの時のような「アポロ酔い」はあまり感じませんでした。きっとエネルギーの強さの問題だと思います。」

上記引用例1の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されている。

(引用発明1)
「携帯電話であって、該携帯電話に装着された電池に厚みが約0.5mm程度のアポロ・サンサン・ムーンが挟み込むように装着されてなり、該アポロ・サンサン・ムーンが、チタンからなるベース上にアポロ特殊触媒が施され、最後に純金箔が蒸着されて形成されてなる携帯電話。」


B.同じく原審で通知した拒絶理由に引用した、特開2004-138833号公報(以下、「引用例2」という。)には、「電磁波制御機能付き滑り止めシール」として、図面とともに以下の記載がある。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器から発生する電磁波が、人体に悪影響を及ぼさないように構成されると共に、滑り止め機能を備えるようにしたシールに関する。」(2頁)

ロ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子機器から発生する電磁波が、人体に悪影響を及ぼさないようにすると共に、特に、携帯電話等の携帯品が、テーブル、ポケット、バッグなどから滑り落ちないように、摩擦機能を付加したシールとする。」(2頁)

ハ.「【0006】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を図面に基き詳細に説明する。
図1は、本発明の電磁波制御機能付き滑り止めシール1を示したものであり、(a)は、その平面図、(b)は、その側断面図である。これら、図(a)、(b)に示すように、電磁波制御機能付き滑り止めシール1は、ベース4の上に透明なエラストマー部材を塗布、もしくは、接着することにより、その表面を滑り止め層2として形成し、ベース4の背面は、接着剤を塗布することにより、接着層6としたものである。エラストマー部材には、電気的特性が発揮される状態でトルマリンを混和(図省略)し、トルマリンがマイナスイオンを発生させるようにしている。接着層6には、剥離紙7を添着し、接着層6の貼付強度が失われないように形成する。
【0007】
ベース4は、エラストマー部材を塗布、もしくは、接着した際に、歪みや変形などが発生しないようなシート体で、その表面にデザインが描けるものとなっている。形状については、円形の他、特定のキャラクターをデザインしたものなど任意の形状でよく、また、その上を透明な合成樹脂(エラストマー部材)が覆っているので、ベースの表面にデザインした図柄は、その表面(滑り止め面2)から視認できる。これにより、電磁波制御機能付き滑り止めシール1は、広告宣伝の媒体として利用することができるものである。
【0008】
以上説明したように電磁波制御機能付き滑り止めシール1が構成されているので、電子機器から発生する電磁波が、人体に悪影響を及ぼさないように、電子機器に貼付することができる。即ち、携帯電話などの電子機器は、通電状態で電磁波を発生させるとともに、周囲にプラスイオンを生成し、人体に悪影響を及ぼしている。しかし、電磁波制御機能付き滑り止めシール1のトルマリンが、マイナスイオンを発生させることにより、プラスイオンを減少させ、電磁波による人体への悪影響を減少させる。
図2は、電磁波制御機能付き滑り止めシール1が貼付された携帯電話10を示したものである。図2に示すように、電磁波制御機能付き滑り止めシール1は、携帯電話などの電子機器の裏面に貼付するのがよく、これにより、周囲に、マイナスイオンの雰囲気を作り出し、利用者のみならず、周囲の人への悪影響をも軽減することができる。また、図は省略するが、この電磁波制御機能付き滑り止めシール1に、電磁波シールドフィルムを施こすことにより、電子機器から発生する電磁波を直接的に遮蔽し、より確実な電磁波制御機能付き滑り止めシール1となる。」(3頁)

上記引用例2の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。

(引用発明2)
「携帯電話の電磁波で発生するプラスイオンを減少させる電磁波制御機能付き滑り止めシール1であって、
前記シール1には、該シールを携帯電話に貼付するための接着層6が形成されている電磁波制御機能付き滑り止めシール。」


C.同じく原審で通知した拒絶理由に引用した特開2005-294082号公報(以下、「引用例3」という。)には、「ノイズ低減電池」として、図面とともに以下の記載がある。

イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズの極力少ない交流波形を得るために棒状の電導体の外周面に溝や突起を形成した螺旋形成電導体を設けたノイズ低減電池に関する。
特に、螺旋形成電導体の表面に電解質塗料を塗布し、ノイズ低減効果を向上させたノイズ低減電池に関する。」(2頁)

ロ.「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
市販されている家電製品や電子機器等に対して上述したようなノイズ低減効果を得るには、理論的には、このような家電製品や電子機器等に螺旋形成電導体付きの装置を組み込めば良い。
しかし、組み込むことは、物理的な空間の制限上、難しい場合が多い。
【0012】
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、少なくとも、電池を駆動源とする家電製品や電子機器等について、ノイズ低減効果を簡単に得られることを目的とするものである。」(4頁)

ハ.「【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るノイズ低減電池を示し、また図2は、図1(A)のA-A線に沿う断面図である。
このノイズ低減電池1は、その外郭を、例えばプラスチックの保護筒体2とする。
保護筒体2の大きさは、例えば市販の乾電池と同じサイズにし、単一型?単五型等各種のサイズとすることが好ましい。
保護筒体2の材料は、主として保護用のためであり、例えば、ゴムや金属材料を用いても良い。また、保護筒体2が設けられているため、ノイズ低減電池1を誤って床の上に落下させてしまっても、ノイズ低減電池1が変形し故障してしまうことがなく内部の保護効果がある。
【0027】
また、ノイズ低減電池1の中心には、一側電極である銅製の螺旋形成電導体3A(通電棒の役割)が設けられている。
この螺旋形成電導体3Aには、図3(A)に示すように、その外周面に螺旋状の溝3aが形成されている。
なお、図3(B)に示すような突起3bが形成された螺旋形成電導体3Bを用いても良い。
また、これらの螺旋状の溝3aや突起3bを交差させた2重螺旋状の溝3c〔図3(C)参照〕が形成された螺旋形成電導体3Cとするとより好ましい。
この螺旋形成電導体3A,3Bの溝3a又は突起3b、或いは二重螺旋状の溝3cの角度θ(いわゆるリード角)は任意に設定することが可能である(ここでは52.5度とした)。
【0028】
そして、この螺旋形成電導体3Aの外周面には、電解質塗料4が塗布される。
電解質塗料4は、高分子電解質に電子伝導性高分子を混入させることにより得ることができる。 具体的には、電解質塗料4は、高分子電解質であるポリウレタン樹脂塗料に、電子伝導性高分子であるポリフェニレンビニレン、又はポリアニリン等を0.01?0.08重量%混入させることにより得ることが好ましい。
この混入は、例えば80℃の熱湯の中で混練してから乾燥させ、有機溶剤にポリウレタン樹脂が溶解されたポリウレタン樹脂塗料に溶かし込むことにより行われる。
【0029】
電気伝導性高分子の量が0.01重量%より小さいと、発生可能な電子の数が減少し、電池のパワーが小さくなり電池の寿命が短くなる。
一方、0.08重量%より多ければ、電池の要求される寿命を十分に満たすことができ
る。
そして、この電解質塗料4には、電池効率の観点から専用特殊粉末が10?30重量%の割合で混入される。
【0030】
ここで、専用特殊粉末は、その成分として、トルマリンが30?50重量%、貴宝石(いわゆる「石英斑岩」)が30?50重量%、チタンが5?10重量%、ラピスが5?10重量%含まれた材料を、焼成し粉末化して得られることが好ましい。
トルマリン(別名「電気石」)は、珪酸塩鉱物であり、遠赤外線やマイナスイオンを発生する。
【0031】
貴宝石は、その遠赤外線放出量やマイナスイオン発生量はトルマリンより大きい。
ラピスは、主成分がラズライト、ソーダライト、ノゼアンからなる材料であり、その化学式はNa3Ca(Al3Si3O12)Sで表される。
【0032】
さて、電解質塗料4は粘性体であるため、螺旋形成電導体3Aの外周面上での膜厚安定性を得るために、塗布された電解質塗料4の上に第1紙体である和紙5が巻かれる。
そのため、和紙5には電解質塗料4が浸透して電解質塗料4を貯蔵保持する。
【0033】
なお、和紙は洋紙に比べて、水や油等の浸透性が優れているという点からも好ましい。
和紙5で電解質塗料4を包んだ後、和紙5の表面に他側電極となるアルミニウムシート6を巻く。
このように、他側電極を厚みの薄いものとすると、電解質塗料4との接触性が向上し、電池の効率アップとなる。
アルミニウムは銅に対しイオン化傾向の差が比較的大きいので、電池の性能的にも優れたものとなる。」(5頁?6頁)

上記引用例3の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が開示されていると認められる。

(引用発明3)
「螺旋形成電導体3Aの外周面に螺旋状の溝3a又は突起3bを形成した一側電極と、該螺旋形成電導体3Aの外周面に塗布された電解質塗料4と、該電解質塗料4と接触しながら螺旋形成電導体の3A外周面を覆い、且つ螺旋形成電導体3Aと異なる材質で形成された他側電極6と、を有するノイズ低減電池において、
前記電解質塗料4には、トルマリンが30?50重量%、貴宝石が30?50重量%、チタンが5?10重量%、ラピスが5?10重量%含まれた材料を焼成し粉末化して生成された専用特殊粉末を、10?30%の割合で混入したノイズ低減電池。」


D.例えば、インターネット上の情報を収集して保存するとともに、保存された情報を基に、収集時点でのウェブページを再現する機能を提供するウェブサイトである、インターネットアーカイブ(http://www.archive.org)には、
[online]、“アポロシンコンセント正規販売店のマイガード”、2008年2月23日収録、[平成25年1月7日検索]、インターネット、URL:
http//web.archive.org/web/20080223144414/http://mytecno.shop-pro.jp/?pid=4238846
(以下、「周知例1」という。)として、商品写真とともに以下の事項イ.?ニ.が記載され、
また、[online]、田上和子、“携帯電話の電磁波対策は?(テーマ:私から皆様にお伝えしたいこと”、2007年9月14日、[平成25年1月7日検索]、インターネット、URL:
http//www.funaiyukio.com/shain/index_hibi.asp?sno=200709010
(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項ホ.が記載されている。

(周知例1)
イ.「アポロ・シン・ムーンのしくみ
アポロ・シン・ムーンは、電気エネルギーを次元の高いエネルギーに変換させる働きをもつ、アポロ特殊のSynm触媒テクノロジー加工をチタンプレートに施したものです.金箔を貼ることでバランスの良い、直線状の入力場になります。これを貼ることにより電化製品から発生している不快なエネルギーを、良質なものに変え、電化製品に新たな機能を持たせるという画期的な商品です。」

ロ.上記イ.の記載の下段には、チタンの上面に「アポロ特殊触媒+純金箔」を、裏面に「両面シール」を貼り付けた「アポロ・シン・ムーン」の構造図が記載されている。

ハ.「アポロsynmサンサンムーン携帯電話用
携帯電話でのご使用方法
裏のふたを取り電池パックの上に置きます。入らない場合は、付属のテープでカバーの上に貼り付けます。
サンサンムーンを携帯電話に貼り付けると携帯電話から出る嫌なエネルギーが良いエネルギーに変わり不快感が和らぎます。通話相手とは、良いコミュニケーションをはかる事ができます。カバンや財布等アイディア次第で何にでも御使用下さい。」

ニ.上記ハ.の記載欄中には、シート状の「アポロsynmサンサンムーン」の商品写真が挿入掲載されている。

(周知例2)
ホ.「(株)アポロ科学研究所の開発した、電磁気エネルギーの波形を整えて電磁波を人体や生物に有効な波長に切り替えるというアポロSynn触媒加工の技術の一部が、米国特許を取得しました。
そして、その技術の延長にアポロムーンシリーズがあります。
これはチタンプレートにアポロの触媒加工を施し、金箔を貼ったものです。配電盤に貼ったり、電気機器に貼って使います。末廣社長自身、一枚一枚チタンプレートの表、裏の入力面と、出力面を確認してから、直線状の入力場ができるための金箔を貼っているということです。
小さいサイズのアポロサンサンムーンは、携帯電話用に作られました。電池ケースを開けて、その上に置くか、ケースの上に貼ることにより、送信者と受信者の携帯電話の周りに気持ちのいい空間を作って、マイナスのエネルギーを防御するとともに、音も良くなります。またアポロムーンから発信する電波に乗って、ハイレベルエネルギーを送ることができるという特性があり、コミュニケーションも良くなるというオマケつき。」


E.例えば、登録実用新案公報第3093968号(以下、「周知例3」という。)、又は、特開2001-143832号公報(以下、「周知例4」という。)には図面とともに以下の事項イ.?ヘ.が記載されている。

(周知例3)
イ.「 【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、商用電力を供給するコンセント具に関するものである。」(4頁)

ロ.「【0009】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、かかる実状を背景になされたものである。
すなわち、本考案の目的は、悪影響を与える電磁波の発生を極力抑制することができ、また、波動エネルギーを高める機能を有するコンセント具を提供することである。」(5頁)

ハ.「【0023】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本考案のコンセント具の実施の形態を示す斜視図である。
このコンセント具1の本体は、図2に示すように、大別するとカバー部材2、栓刃一体受刃体3、波動エネルギー整形手段4、及びボデー部材5とより構成されている。
【0024】
まず、カバー部材2は、合成樹脂により箱状に成形されてなり、栓刃挿入孔7が設けられている。
この栓刃挿入孔7は、電気機器の電源プラグの栓刃に対応した位置に形成されている。
【0025】
栓刃一体受刃体3は導電性金属部材よりなり、栓刃挿入孔7を貫通し挿入される電源プラグの栓刃を受け入れる部分である受刃32(通常、バネ性が付与されている)と、コンセント具(通常、商用電力が配電盤から電源ケーブルを介して接続されている)に挿入する部分である栓刃31とが接続部を介して一体となっているものである。
一方、カバー部材2を受けるボデー部材5は、例えば、合成樹脂よりなり、カバー部材2の形状に合った箱状に形成され、栓刃貫通孔8が設けられている。
この栓刃貫通孔8は、前記栓刃31が挿通される孔であり、該刃に対応する位置に形成されている。
【0026】
受刃32と栓刃31との接続部には、波動エネルギー整形手段4が備わっている。
ここでの波動エネルギー整形手段4は、具体的には、接続部に波動エネルギー触媒物質4Aが一定量、塗布形成されることにより構成されている。
カバー部材2とボデー部材5との間に栓刃一体受刃体3が組み込まれることで、波動エネルギー触媒物質4Aを内蔵したコンセント具が構成される。
なお、カバー部材2とボデー部材5とは、例えばネジ等の固着具6により締めつけ固定される。
【0027】
さて、前記波動エネルギー整形手段4である波動エネルギー触媒物質4Aとしては、合成樹脂に各種の無機質粉末を加えたものが採用される。
合成樹脂としては、無機質粉末を練り込み易いもの、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が採用される。
また無機質粉末としては、トルマリン粉末、蛇紋石粉末、及び貴宝石粉末、アモルファス粉等があり、それらから選ばれた1つ以上を含むものが採用される。
【0028】
コンセント具がこの波動エネルギー触媒物質4Aを有することにより、コンセント具に接続された電気機器自体の波動エネルギーが高まってくる。
この波動エネルギー触媒物質4Aは、栓刃一体受刃体3を流れる商用交流電力よって発生する極低周波数波(例えば50Hzや60Hz)の電磁波による障害を極力、排除することができる。
例えば、電磁波を整形してノイズを極力カットする働きがあり、いわば、人体に有害な電磁波の発生を抑制することが可能である。
例えば、本考案のコンセント具に接続して充電を行った携帯電話を使用する場合、電磁波障害を抑える作用が持続的に発揮できる。」(8頁?9頁)

(周知例4)
ニ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商用電力を供給するコンセントに関する。」(2頁1欄)

ホ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のコンセントでは、コンセントを経由して供給される電力により発生する電磁波の位相が崩れていたり、ノイズが乗っていたりして、きれいな波形の電磁波でなく、悪性の電磁波を発生していた。また、このような悪性の電磁波は、人間に対しても影響があり、この悪性の電磁波を受けた人が臓器の機能不全になったり、悪性腫瘍の原因となったりしていた。本発明は、上記従来の問題点を解決し、電磁波の位相が整った電力を供給できるコンセントを提供することにある。」(2頁1欄)

へ.「【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、商用電力を供給するコンセントにおいて、電力供給側のケーブルと電力を他の機器のプラグに供給する受け刃ととの間に電気エネルギー整形手段を設けることにより、供給される電力により発生される電磁波の位相が整い、このコンセントから供給される電力を使用する他の機器の動作を安定させることができる。また、電気エネルギー整形手段が、右らせん状の磁石と、この磁石の外周に右らせん状に巻回する導電性コイルと、これら磁石と導電性コイルとを周囲から囲む触媒物質からなり、この触媒物質がクロトルマリン(電気石)、じゃもん石、きほう石、磁性粉体をポリウレタン樹脂塗料に入れたものからなる。
【0006】
【実施例】実施例について図面を用いて説明する。図1は公知のテーブルタップ式のコンセントに本発明を応用したもので、一部を切り取り内部が見えるようにしたものであり、コンセント本体1は、電力を供給する電源ケーブル2に接続される。このケーブル2は本体1の内部でケーブルが2本に分離され、それぞれのケーブルが同一構成からなる電気エネルギー整形手段3a、3bの一端に接続される。そして、この電気エネルギー整形手段3a、3bの他端は、他の機器の電源プラグを挿入する本体1の挿入孔5の内部に設けられた公知の受け刃の延長部6a、6bに接続されている。この構成により、配電盤や壁のコンセントに接続した電源ケーブル2から本体1の内部の受け刃に電力が供給され、挿入孔5にプラグを差し込むことで電力が使用できる。
【0007】図2は、図1の電気エネルギー整形手段3a、3bの構造を示すもので、芯体7として、図3に示すように右巻きのらせん状の磁石と、この磁石の外周に導電性導線8を右巻きに巻きコイル状にし、この磁石7と導線8の外周に触媒物質9を設ける。この触媒物質9は、クロトルマリン(電気石)とじゃもん石ときほう石とを粉末にしたものと、磁性の粉体とを、4つの粉体が同量になるようにして、さらにポリウレタン樹脂塗料に入れ練り合わせたものである。この触媒物質9は導線8に流れる電気により発生される電磁波の位相の乱れを整えたり、電磁波のノイズを除去したりする働きがあり、電磁波を人体に影響の少ない良性のものにする。」(2頁1欄?2欄)

上記周知例3、4には、「合成樹脂にトルマリン粉末、蛇紋石粉末、貴宝石粉末等、各種の無機質粉末を加えた触媒物質」が記載され、該「触媒物質」には、「電磁波のノイズを除去する働き」があることが記載されている。


4.対比・判断
本願発明と引用発明1を対比すると、
まず、引用発明1における「アポロ・サンサン・ムーン」は、「携帯電話に装着された電池に・・・挟み込むように装着され」る部材であるところ、本願発明の「ノイズ低減部材」と「部材」である点において一致し、
電池に挟み込めば「電池の表面」に装着されることになることが自明であること、
また、「厚みが約0.5mm程度」であることから明らかなように、その形状は『シート状』の部材であることに照らすと、電池表面への装着が「貼り付け」による点は別にして、「携帯電話に装着された電池の表面にシート状の部材が装着されて」なる点で本願発明と一致する。

また、引用発明1における「アポロ・サンサン・ムーン」(部材)は、「チタンからなるベース上にアポロ特殊触媒が施され、最後に純金箔が蒸着されて形成」される ものであるところ、
前記「チタン」は金属であり、その全体の「シート状」の形状からして、「チタンよりなる金属薄板」ということができ、
前記「アポロ特殊触媒」の構成部分は、該「金属薄板」上に「層」をなすから、本願発明の「電解質塗料の層」と「層」である点で一致し、
前記「純金箔が蒸着されて形成」される部分は、「金よりなる金属膜層」といえる。

したがって、引用発明1における「アポロ・サンサン・ムーン」は、「金属薄板の他方の面に粘着材の層が形成され」ている点、チタン材が「チタン合金」である点、「層」が「電解質塗料の層」である点、該「電解質塗料」に「専用特殊粉末」が含まれる点、金属膜層、電解質塗料の層、金属膜層の各厚さが数値限定されている点、は別にして、「部材が、チタン材からなる金属薄板の一方の面に層が形成され、該層の上に金よりなる金属膜層が形成されている」点で本願発明と一致する。

したがって、両者は以下の点で一致し、また相違している。

(一致点)
「携帯電話であって、携帯電話に装着された電池の表面にシート状の部材が装着されてなり、該部材が、チタンよりなる金属薄板の一方の面に層が形成され、該層の上に金よりなる金属膜層が形成されている携帯電話。」

(相違点1)
「携帯電話」に関して、本願発明が「ノイズ低減機能を有する携帯電話」であるのに対して、引用発明1は単に「携帯電話」であって、「ノイズ低減機能を有する」か不明な点、および、
「部材」に関して、本願発明が「ノイズ低減部材」であるのに対して、引用発明1の「アポロ・サンサン・ムーン」は「ノイズ低減部材」であるか不明な点

(相違点2)
「部材」の電池表面への装着に関し、本願発明は電池の表面に「貼り付け」られているのに対して、引用発明1は単に「挟み込む」ように装着されている点。

(相違点3)
「部材」の構造に関し、
本願発明は、「チタン合金よりなる厚さ0.2?0.7mmの金属薄板の一方の面に厚さ0.1?0.3mmの電解質塗料の層が形成され、該電解質塗料の層の上に厚さ30μm?80μmの金よりなる金属膜層が形成され、金属薄板の他方の面に粘着材の層が形成されており、前記電解質塗料に10?30重量%の専用特殊粉末が更に含まれ、該専用特殊粉末がトルマリン、貴宝石、チタン、及びラピスを含む」のに対し、
引用発明1は、「チタンからなるベース上にアポロ特殊触媒が施され、最後に純金箔が蒸着されて形成」される点。


まず、上記相違点1の「ノイズ低減(機能・部材)」について検討する。
一般に、ノイズ(雑音)の周波数や電磁波としての波長と、遮蔽体(シールド)となる導電体や金属の厚みやサイズの関係、素材の導電率などの条件によって程度は異なるものではあるが、板状の導電体が電磁界を遮蔽することによりノイズを低減する効果を有することは特に例示するまでもなく電気分野において周知のことであって、引用発明1の「アポロ・サンサン・ムーン」も基本的には板状の導電体構造であるから、多少ともノイズ低減機能を有するノイズ低減部材であろうことは当業者であれば自明なことに過ぎず、
また、引用例1のロ.や周知例1,2にも「ザラザラした音」と「超なめらかな感じの音」、「嫌なエネルギーが良いエネルギー」、「マイナスのエネルギーを防御する」などと感覚的な表現ながらノイズ低減と解し得る示唆があることでもある。
したがって、引用発明1の「携帯電話」を「ノイズ低減機能を有する携帯電話」となし、「アポロ・サンサン・ムーン」(部材)を「ノイズ低減部材」とする相違点1は格別のことではない。

次に、相違点2の「部材」の電池表面への装着(挟み込む/貼り付け)について検討する。
そもそも、部材を装着する際に、単に「挟み込む」などのいわゆる係止力だけで済ませるか、より確実な固定を意図して接着、粘着などの手段で「貼り付け」るかどうかは、部材の固定方法として当業者が適宜選択可能な設計的事項に過ぎないことであるが、上記周知例1,2にも「アポロ・サンサン・ムーン」を電池に両面シールなどより貼り付ける旨の記載がある。
したがって、引用発明1の「アポロ・サンサン・ムーン」(部材)を携帯電話に装着された電池の表面に「貼り付け」ること、即ち、相違点2に係る構成を採用することは当業者が適宜になし得ることであり格別のことではない。

最後に、上記相違点3の「部材」の各構造について個別に検討する。
まず、「チタン」を「チタン合金」とした点について検討すると、
チタンよりなる材料は、主に純チタン製のものとチタン合金製の2種類に分けることができるところ、チタン材としてそのいずれを使用するかは、加工性、強度、耐食性やコスト等を考慮して当業者が適宜選択し得る設計的事項と認められるから、引用発明1において、「チタン」を「チタン合金」とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

また、上記相違点3の「層」が「電解質塗料」である点、及び「前記電解質塗料に10?30重量%の専用特殊粉末が更に含まれ、該専用特殊粉末がトルマリン、貴宝石、チタン、及びラピスを含む」点について検討すると、
引用例3には、「螺旋形成電導体3Aの外周面に螺旋状の溝3a又は突起3bを形成した一側電極と、該螺旋形成電導体3Aの外周面に塗布された電解質塗料4と、該電解質塗料4と接触しながら螺旋形成電導体の3A外周面を覆い、且つ螺旋形成電導体3Aと異なる材質で形成された他側電極6と、を有するノイズ低減電池において、前記電解質塗料4には、トルマリンが30?50重量%、貴宝石が30?50重量%、チタンが5?10重量%、ラピスが5?10重量%含まれた材料を焼成し粉末化して生成された専用特殊粉末を、10?30%の割合で混入したノイズ低減電池」の発明(引用発明3)が開示されている。
引用発明3の「電解質塗料」は、本願発明の「電解質塗料」と同じ組成を有するものであるが、その機能については、「遠赤外線やマイナスイオンを発生する」とのみ記載されている(段落0030)だけで具体的な記載がされていない。
しかしながら、トルマリンや貴宝石等の物質が電磁波のノイズを除去する働きがある旨は、上記周知例3、4にも記述があるから、引用発明3における「電解質塗料」も同様の働きを持つと考えられていたものと認められ、
また、これは、周知例3、4に記載の技術用語に従えば「触媒物質」といえるものであり、
さらに、「専用特殊粉末」の含有率に関する「10?30重量%」との数値限定に関しても、特段の臨界的意義は認め難いものである。
そうすると、引用発明1の「アポロ特殊触媒」として、ノイズを除去するために引用発明3における「電解質塗料」を用いること、即ち、引用発明1において、ノイズ低減のための「層」として「電解質塗料」を用い、また、「前記電解質塗料に10?30重量%の専用特殊粉末が更に含まれ、該専用特殊粉末がトルマリン、貴宝石、チタン、及びラピスを含む」ものとすることは、当業者が容易になし得ることである。

また、上記相違点3において、「金属薄板の他方の面に粘着材の層が形成されて」いる点について検討すると、
引用発明1においても、引用例1のイ.には、引用発明1の従来例である「アポロ・シン・ムーン」に関して、「シンムーンと違うところは、シールがあらかじめ付いていません。」とあるように、携帯電話への装着に際し粘着材の層を有する「シール」の使用が示唆されているところ、引用発明1の「アポロ・サンサン・ムーン」においても、確実な装着・固定を意図するのであれば「粘着材の層」を設けることは周知の慣用手段の付加に過ぎない。
更には、引用例2には、「携帯電話の電磁波で発生するプラスイオンを減少させる電磁波制御機能付き滑り止めシール1であって、前記シール1には、該シールを携帯電話に貼付するための接着層6が形成されている電磁波制御機能付き滑り止めシール」の発明(引用発明2)が開示されており、
前記「接着層6」は「粘着材の層」といえるから、引用発明1において、アポロ・サンサン・ムーンにおけるチタンからなるベースの裏面に「粘着材の層」を形成することは、当業者が容易になし得ることでもある。
そして、上記相違点3において、チタンよりなる金属薄板の厚さを「0.2?0.7mm」、電解質塗料の層の厚さを「0.1?0.3mm」、金よりなる金属膜層の厚さを「30μm?80μm」とした数値限定の点について検討すると、
例えばチタン金属よりなる金属薄板の厚さは、電池の表面への適合性及び電池と共に収納部に入れる場合の収納性の観点から、また、電解質塗料の層の厚さは、ノイズ低減効果の観点から、更に、金よりなる金属膜層の厚さは、基部となる金属薄板との間で電解質塗料の層を囲い込む観点から、それぞれ当業者が最適の厚さに決定し得る設計的事項に過ぎないところ、前記数値範囲の厚さとしたことで前記各観点上、顕著な作用効果を奏する臨界的意義を有するものであることを認めるに足りる証拠もないから、前記数値範囲の厚さとすることは、当業者が適宜になし得ることである。

以上、上記相違点3の各判断を総合すると、「部材」の構造に関し、引用発明1を、「チタン合金よりなる厚さ0.2?0.7mmの金属薄板の一方の面に厚さ0.1?0.3mmの電解質塗料の層が形成され、該電解質塗料の層の上に厚さ30μm?80μmの金よりなる金属膜層が形成され、金属薄板の他方の面に粘着材の層が形成されており、前記電解質塗料に10?30重量%の専用特殊粉末が更に含まれ、該専用特殊粉末がトルマリン、貴宝石、チタン、及びラピスを含む」ものとする相違点3は、引用発明2、3、及び周知技術の適用により当業者が容易になし得ることであるといわざるを得ない。


そして、本願発明の作用効果は、引用発明1?3、及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって、請求人の提出する試験結果報告書等を参酌しても格別の技術的意義のある作用効果を奏するものとも認めることはできない。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1?3、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-16 
結審通知日 2013-01-17 
審決日 2013-02-01 
出願番号 特願2008-51286(P2008-51286)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 山本 章裕
矢島 伸一
発明の名称 携帯電話  
代理人 白崎 真二  

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