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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1271775
審判番号 不服2011-4620  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-01 
確定日 2013-03-21 
事件の表示 特願2005-374351「アドレス情報検索装置、およびアドレス情報検索プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月12日出願公開、特開2007-179145〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成17年12月27日の出願であって、平成20年3月25日付けで審査請求がなされ、平成22年9月13日付けで拒絶理由通知(同年9月21日発送)がなされ、同年11月16日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年11月29日付けで拒絶査定(同年12月7日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、本件審判請求は、「原査定を取り消す、本願は特許をすべきものであるとの審決を求める」ことを請求の趣旨として、平成23年3月1日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成23年3月23日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年4月24日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年5月1日発送)がなされ、同年6月21日付けで回答書の提出がなされたが、同年8月1日付けで前記平成23年3月1日付け手続補正を却下する旨の補正の却下の決定(同年8月21日発送)がなされるとともに、同日付けで拒絶理由通知(同年8月7日発送)がなされ、これに対して、同年10月5日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成24年10月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「複数の階層別に構成され各階層には複数のディレクトリを有しそのディレクトリごとにそれぞれアドレス情報を記憶する情報管理装置から、前記アドレス情報を取得し使用するアドレス情報検索装置であって、
当該アドレス情報検索装置に接続される設定装置から使用者の操作により、当該アドレス情報検索装置においてアドレス情報を検索する際の階層を特定するための特定情報を前記情報管理装置から取得するためのキーワードを受信するキーワード受信手段と、
前記キーワード受信手段により前記キーワードを受信すると、前記キーワードを検索条件として、前記情報管理装置が記憶する前記複数のディレクトリの中から前記キーワードを含む特定ディレクトリを検索して取得するディレクトリ取得手段と、
前記ディレクトリ取得手段により取得された前記特定ディレクトリを前記特定情報として前記設定装置に送信するディレクトリ情報送信手段と、
前記設定装置から使用者により設定登録の指示があると、前記特定情報である前記特定ディレクトリを設定登録する登録手段と、
使用者による前記設定登録された前記特定ディレクトリの確認のために、前記登録手段により設定登録された前記特定ディレクトリより下位の階層に記憶された複数の前記アドレス情報の中から、前記複数のアドレス情報のうちの一部のアドレス情報を取得する取得手段と、
使用者による前記設定登録された前記特定ディレクトリの確認のために、前記取得手段により取得された前記一部のアドレス情報を前記設定装置に送信するアドレス情報送信手段と、
を備えることを特徴とするアドレス情報検索装置。」

3.先行技術

(1)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

本願の出願前に頒布され、当審の上記平成24年8月1日付けの拒絶理由通知において引用された、特開2004-274486号公報(平成16年9月30日出願公開。以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コピー、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、複合機、融合機等の画像形成装置及び画像形成方法に関する。」

B 「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
複合機や融合機の機能の中には「ユーザ情報」が必要となる機能が存在する。例えば、複合機や融合機がスキャナやファクシミリとして機能する場合、メールアドレスやファクシミリ電話番号のような「ユーザ情報」が必要となる。複合機や融合機には、これらのユーザ情報を管理する機能が用意されているのだが、複合機や融合機にさらに、これらのユーザ情報を「情報管理サーバ」から取得する機能が用意されていると便利である。このような「情報管理サーバ」としては、社員情報、顧客情報、住民情報等の管理に利用されているLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバ等が挙げられる。
【0004】
LDAPサーバでは、人間や組織は「オブジェクト」として観念される。個々のオブジェクトに関する情報は、個々のオブジェクトの「エントリ」により格納される。エントリには、オブジェクトの種類に関する情報である「オブジェクトクラス」や、オブジェクトの性質に関する情報である「属性」等が格納される。…(中略)…。各エントリはオブジェクトクラスにより階層化されているため、各エントリの識別名(DN)は、各エントリの1の属性(識別属性)に由来する各エントリの相対識別名(RDN)を階層順に並べて構成される。」

C 「【0067】
図1の融合機101は、ユーザ情報をネットワーク等を介してLDAPサーバから取得して管理することができる。融合機101は、ここでは図7のように、3台のLDAPサーバ701(LDAPサーバA・B・C)とLAN711で接続されており、3台のLDAPサーバ701(LDAPサーバA・B・C)からLAN711を介してユーザ情報を取得して管理することができる。」

D 「【0069】
サーバ情報は、融合機101と接続されているLDAPサーバ701に関する情報であり、UCS167によりHDD233に蓄積されて管理される。サーバ情報の管理項目は「サーバ名」「ポート番号」「IPアドレス」等である。サーバ情報は、図9のようなシステム初期設定画面901とLDAPサーバ登録/変更画面902で登録・変更することができる。具体的に言うと、システム初期設定画面901で「LDAPサーバ登録/変更ボタン」がタッチされると、LDAPサーバ登録/変更画面902に画面が移り、LDAPサーバ登録/変更画面902でサーバ情報が入力されて「設定ボタン」がタッチされると、システム初期設定画面901に画面が戻り、サーバ情報が登録・変更される。なお、これらの画面は、SCS168(図1参照)によりタッチパネル311に表示される。」

E 「【0070】
続いて、サーバ情報に基づいて所望のユーザ情報を所望のLDAPサーバ701から取得(検索)する旨の操作が入力されると、スキャナアプリ143等からUCS167にユーザ情報の検索要求が送信(S3)されて、これに応じてUCS167からLDAPサーバ701に検索操作が要求(S4)されて、これに応じてLDAPサーバ701からUCS167に検索結果が応答(S5)されて、これに応じてUCS167からスキャナアプリ143等にユーザ情報の検索終了通知が送信(S6)される。」

F 「【0074】
図11は、LDAPサーバ701からUCS167に応答(S5)された検索結果、すなわち、LDAPサーバ701から取得されたユーザ情報を表す。…(後略)」

G 「【0086】
図18の入力画面1801は、LDAPサーバ701から取得されるユーザ情報の取得項目(取得属性)と、融合機101に管理されるユーザ情報の管理項目(図5のアドレス帳501の管理項目)との対応関係を入力するための入力画面である。…(後略)」

H 「【0089】
融合機101にて、NIC241を受信部として、NFA145を構成するWebサーバソフトにより入力画面1801を表示するためのHTML文書の配信要求がパソコン1601から受信されると、NIC241を送信部として、NFA145を構成するWebサーバソフトによりその入力画面1801がHTML文書の形でパソコン1601に送信(配信)される。
【0090】
パソコン1601にて、融合機101からHTML文書の形で送信(配信)された入力画面1801で取得項目と管理項目との対応関係を入力して、入力情報送信ボタン1802をクリックすると、融合機101にその入力画面1801で入力された取得項目と管理項目との対応関係の入力情報が送信される。
【0091】
融合機101にて、NIC241を受信部として、NFA145を構成するWebサーバソフトによりその入力情報がパソコン1601から受信されると、NFA145からUCS167にその入力情報が提供(S25)される。
【0092】
続いて、UCS167は、その入力情報に基づいて、取得項目と管理項目との対応関係をカスタマイズ(S26)する。なお、カスタマイズ情報は、UCS167により図15のような対応表1501にてHDD233に蓄積されて管理される。
【0093】
このように、第2実施例では、図18のような入力画面1801により、LDAPサーバ701から取得されるユーザ情報の取得項目と、融合機101に管理されるユーザ情報の管理項目との対応関係を比較的簡単にカスタマイズすることができる。」

J 図9に、「システム初期設定画面とLDAPサーバ登録/変更画面を表す図」が提示されているが、「LDAPサーバ登録/変更」画面902において、「サーバ名」や「検索開始位置」等の登録/変更が可能である態様が読み取れる。

ここで、上記引用文献に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「本発明は、…(中略)…複合機、融合機等の画像形成装置」との記載、上記Bの「複合機や融合機の機能の中には「ユーザ情報」が必要となる機能が存在する。…(中略)…これらのユーザ情報を「情報管理サーバ」から取得する機能が用意されていると便利である。このような「情報管理サーバ」としては、…(中略)…LDAP…(中略)…サーバ等が挙げられる。」、「LDAPサーバでは、人間や組織は「オブジェクト」として観念される。個々のオブジェクトに関する情報は、個々のオブジェクトの「エントリ」により格納される。…(中略)…。各エントリはオブジェクトクラスにより階層化されている」との記載、上記Cの「融合機101は、ユーザ情報をネットワーク等を介してLDAPサーバから取得して管理することができる。」との記載からすると、引用文献には、
“階層化され各階層には複数のオブジェクトクラスを有しそのオブジェクトクラスごとにそれぞれユーザ情報を格納するLDAPサーバから、前記ユーザ情報を取得して管理する融合機”
が記載されていると解される。

(イ)上記Dの「サーバ情報は、…(中略)…HDD233に蓄積されて管理される。」、「サーバ情報は、図9のようなシステム初期設定画面901とLDAPサーバ登録/変更画面902で登録・変更することができる。」との記載、上記Jの「LDAPサーバ登録/変更画面を表す図」との記載、上記Jから読み取れる“「LDAPサーバ登録/変更」画面902において、「サーバ名」や「検索開始位置」等の登録/変更が可能である”態様、そして、上記Dの「システム初期設定画面901で「LDAPサーバ登録/変更ボタン」がタッチされると、…(中略)…、サーバ情報が登録・変更される。」との記載から、使用者が(融合機の画面から)設定登録等の指示を行っていることが読み取れることからすると、引用文献には、
“当該融合機のLDAPサーバ登録/変更画面から使用者により設定登録の指示があると、ユーザ情報を検索する際の開始位置を特定するための情報である検索開始位置を設定登録する登録手段”
が記載されていると解される。

(ウ)上記Eの「サーバ情報に基づいて所望のユーザ情報を所望のLDAPサーバ701から取得(検索)する旨の操作が入力されると、…(中略)…検索要求が送信(S3)されて、これに応じて…(中略)…LDAPサーバ701に検索操作が要求(S4)されて、これに応じてLDAPサーバ701から…(中略)…検索結果が応答(S5)されて、これに応じてUCS167から…(中略)…ユーザ情報の検索終了通知が送信(S6)される。」との記載からすると、引用文献には、
“登録手段により設定登録された検索開始位置に基づいて、LDAPサーバに格納されたユーザ情報の中から、所望のユーザ情報を取得する取得手段”
が記載されていると解される。

(エ)上記(ウ)における検討内容、及び、上記Fの「図11は、LDAPサーバ701からUCS167に応答(S5)された検索結果、すなわち、LDAPサーバ701から取得されたユーザ情報を表す。」との記載からすると、図11のユーザ情報が融合機の画面に表示されることは、自明の事項である。してみると、引用文献には、
“取得手段により取得された所望のユーザ情報を融合機の画面に表示する手段(以下、「ユーザ情報表示手段」という。)”
が記載されていると解される。

以上、(ア)ないし(エ)で指摘した事項を踏まえると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

階層化され各階層には複数のオブジェクトクラスを有しそのオブジェクトクラスごとにそれぞれユーザ情報を格納するLDAPサーバから、前記ユーザ情報を取得して管理する融合機であって、
当該融合機のLDAPサーバ登録/変更画面から使用者により設定登録の指示があると、ユーザ情報を検索する際の開始位置を特定するための情報である検索開始位置を設定登録する登録手段と、
前記登録手段により設定登録された前記検索開始位置に基づいて、前記LDAPサーバに格納された前記ユーザ情報の中から、所望のユーザ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記所望のユーザ情報を融合機の画面に表示するユーザ情報表示手段と、
を備えることを特徴とする融合機。

(2)参考文献に記載されている技術的事項

本願の出願前に頒布され、当審の上記平成24年8月1日付けの拒絶理由通知において引用された、「安村 義孝,Multikey Indexによるスコープ&フィルタ検索方式,情報処理学会研究報告 ,日本,社団法人情報処理学会,2000年 7月28日,Vol.2000 No.69,第415頁ないし第422頁」(以下、「参考文献」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

K 「2.1 スコープ
ディレクトリに格納されたオブジェクトを検索するためにはスコープ&フィルタ検索方式が利用される。スコープ処理とは、ディレクトリ上の任意のオブジェクトを基点にして、そこから任意の範囲を指定して検索範囲を絞り込む処埋である。また、フィルタ処理とは、指定した条件を満たす属性を保持するオブジェクトを探す処理である。ディレクトリサービスでは、これらの処理を組み合わせて検索処理が行われる。実際には次のようなパラメータを指定して検索要求をディレクトリサーバに発行することになる。
・べースオブジェクト:スコープの基点になるオブジェクトを指定する。
・スコープ:べースオブジェクトから見たときの検索が行われるディレクトリ上の範囲を指定する。
・フィルタ:オブジェクトの検索時に使用する属性条件を指定する。
・返却属性:返却する属性名を指定する。
・オプション:検索に制限を設けるためのオプションを指定する(必須ではない)。
べースオブジェクトはそのオブジェクトの識別名を指定する。ディレクトリサーバがクライアントから検索要求を受け取ると、まず最初にこのべースオブジェクトを探索する。べースオブジェクトが見つかると、そのオブジェクトを基点としてスコープ処理に移る。スコープの指定方法にはSUBTREE、ONELEVEL、BASEの3種類ある。SUBTREE はべースオブジェクトを含めてディレクトリ階層の下位に位置する全てのオブジェクトを、ONELEVELはべースオブジェクトから1段下のオブジェクトのみを、BASEはべースオブジェクトのみを検索対象にする。」(416頁右欄40行目?417頁左欄15行目)

4.対比

(1)引用発明の「階層化」、「オブジェクトクラス」、「ユーザ情報」、「格納」、及び「LDAPサーバ」は、それぞれ、本願発明の「複数の階層別に構成」、「ディレクトリ」、「アドレス情報」、「記憶」、及び「情報管理装置」に相当する。また、引用発明の「融合機」は、LDAPサーバからユーザ情報を取得して管理する装置であることから、本願発明の「情報管理装置」に相当する。
してみると、引用発明の「階層化され各階層には複数のオブジェクトクラスを有しそのオブジェクトクラスごとにそれぞれユーザ情報を格納するLDAPサーバから、前記ユーザ情報を取得して管理する融合機」は、本願発明の「複数の階層別に構成され各階層には複数のディレクトリを有しそのディレクトリごとにそれぞれアドレス情報を記憶する情報管理装置から、前記アドレス情報を取得し使用するアドレス情報検索装置」に相当する。

(2)引用発明の「ユーザ情報を検索する際の開始位置を特定するための情報」は、本願発明の「(アドレス情報を検索する際の階層を特定するための)特定情報」に相当する。そして、引用発明の「検索開始位置」は、ユーザ情報を検索する際の基点となる情報であることから、引用発明の「特定ディレクトリ」に相当する。
してみると、引用発明の「当該融合機のLDAPサーバ登録/変更画面から使用者により設定登録の指示があると、ユーザ情報を検索する際の開始位置を特定するための情報である検索開始位置を設定登録する登録手段」と本願発明の「前記設定装置から使用者により設定登録の指示があると、前記特定情報である前記特定ディレクトリを設定登録する登録手段」とは、ともに、“使用者により設定登録の指示があると、特定情報である特定ディレクトリを設定登録する登録手段”である点で共通する。

(3)引用発明の「前記登録手段により設定登録された前記検索開始位置に基づいて、前記LDAPサーバに格納された前記ユーザ情報の中から、所望のユーザ情報を取得する」とは、前記登録手段により設定登録された情報を基点にして、前記LDAPサーバに格納された複数の前記ユーザ情報の中から、前記複数のユーザ情報のうちの所望の一部のユーザ情報を取得することに他ならない。そして、本願発明においても、「前記登録手段により設定登録された前記特定ディレクトリより下位の階層に記憶された複数の前記アドレス情報の中から」取得するということは、前記登録手段により設定登録された情報を基点にして、前記情報管理装置に記憶された複数の前記アドレス情報の中から取得することに他ならない。
してみると、引用発明の「前記登録手段により設定登録された前記検索開始位置に基づいて、前記LDAPサーバに格納された前記ユーザ情報の中から、所望のユーザ情報を取得する取得手段」と、本願発明の「使用者による前記設定登録された前記特定ディレクトリの確認のために、前記登録手段により設定登録された前記特定ディレクトリより下位の階層に記憶された複数の前記アドレス情報の中から、前記複数のアドレス情報のうちの一部のアドレス情報を取得する取得手段」とは、ともに、“前記登録手段により設定登録された情報を基点にして、前記情報管理装置に記憶された複数の前記アドレス情報の中から、前記複数のアドレス情報のうちの一部のアドレス情報を取得する取得手段”である点で共通する。

(4)引用発明の「所望のユーザ情報を融合機の画面に表示する」とは、使用者が内容を確認するために行うものであることは、自明の事項である。したがって、引用発明の「前記取得手段により取得された前記所望のユーザ情報を融合機の画面に表示する」とは、使用者による確認のために、前記取得手段により取得された前記所望のユーザ情報を、使用者が確認する際に用いる装置(融合機)の画面に送信するものであるといえる。そして、本願発明においても、使用者による確認のために、使用者が確認する際に用いる装置(設定装置)に送信しているものである。
してみると、引用発明の「前記取得手段により取得された前記所望のユーザ情報を表示するユーザ情報表示手段」と、本願発明の「使用者による前記設定登録された前記特定ディレクトリの確認のために、前記取得手段により取得された前記一部のアドレス情報を前記設定装置に送信するアドレス情報送信手段」とは、ともに、“使用者による確認のために、前記取得手段により取得された前記一部のアドレス情報を、使用者が確認する際に用いる装置に送信するアドレス情報送信手段”である点で共通する。

以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

複数の階層別に構成され各階層には複数のディレクトリを有しそのディレクトリごとにそれぞれアドレス情報を記憶する情報管理装置から、前記アドレス情報を取得し使用するアドレス情報検索装置であって、
使用者により設定登録の指示があると、特定情報である特定ディレクトリを設定登録する登録手段と、
前記登録手段により設定登録された情報を基点にして、前記情報管理装置に記憶された複数の前記アドレス情報の中から、前記複数のアドレス情報のうちの一部のアドレス情報を取得する取得手段と、
使用者による確認のために、前記取得手段により取得された前記一部のアドレス情報を、使用者が確認する際に用いる装置に送信するアドレス情報送信手段と、
を備えることを特徴とするアドレス情報検索装置。

(相違点1)

特定ディレクトリを設定登録する登録手段に関連して、本願発明が、「当該アドレス情報検索装置に接続される設定装置から使用者の操作により、当該アドレス情報検索装置においてアドレス情報を検索する際の階層を特定するための特定情報を前記情報管理装置から取得するためのキーワードを受信するキーワード受信手段」、「前記キーワード受信手段により前記キーワードを受信すると、前記キーワードを検索条件として、前記情報管理装置が記憶する前記複数のディレクトリの中から前記キーワードを含む特定ディレクトリを検索して取得するディレクトリ取得手段」、「前記ディレクトリ取得手段により取得された前記特定ディレクトリを前記特定情報として前記設定装置に送信するディレクトリ情報送信手段」を備えるのに対して、引用発明は、これらの手段を備えるものではない点。
(すなわち、本願発明の「アドレス情報検索装置」は、設定装置からキーワードを受信し、情報管理装置から特定ディレクトリを取得し、取得した特定ディレクトリを設定端末に送信し、設定端末からの指示を受けて登録するものであるのに対して、引用発明の「融合機」は、融合機が備えるLDAPサーバ登録/変更画面から指示を受けて検索開始位置を登録するものである点。)

(相違点2)

アドレス情報を取得する取得手段に関して、本願発明が、「特定ディレクトリより下位の階層」に記憶された複数のアドレス情報の中から、アドレス情報を取得するものであるのに対して、引用発明が、ユーザ情報を取得するための「検索開始位置」は特定されているものの、どのような範囲から、ユーザ情報を取得するのか明記されていない点。

(相違点3)

本願発明の取得手段及びアドレス情報送信手段が、「使用者による前記設定登録された前記特定ディレクトリの確認のため」の手段であるのに対して、引用発明の取得手段及びユーザ情報表示手段は、そのようなものであるか不明である点。

(相違点4)

アドレス情報送信手段に関して、本願発明が、「前記取得手段により取得された前記一部のアドレス情報を前記設定装置に送信する」ものであるのに対して、引用発明は、取得手段により取得されたユーザ情報を(使用者が操作する)融合機の画面に送信するものである点。

5.当審の判断

上記相違点1ないし相違点4について検討する。

(1)相違点1及び相違点4について

複合機や融合機に対して、ネットワークで接続されたパソコンから設定登録等の指示を行うこと、登録された情報を取得して確認することは、当該技術分野において、一般的に行われている常とう手段に過ぎない。
そして、上記G及びHに記載されるように、引用文献記載の「融合機」においても、ネットワークを介して接続されるパソコンからの指示により、融合機がLDAPサーバから取得するユーザ情報の取得項目をカスタマイズする手段を備えるものである。
してみれば、引用発明においても、ネットワークを介して接続されるパソコンから受信したキーワードにより検索開始位置を登録できるように構成すること、すなわち、“融合機に接続されるパソコンから使用者の操作により、当該融合機においてユーザ情報を検索する際の検索開始位置を特定するための情報をLDAPサーバから取得するためのキーワードを受信するキーワード受信手段”、“前記キーワード受信手段により前記キーワードを受信すると、前記キーワードを検索条件として、前記LDAPサーバが格納する複数のオブジェクトの中から検索開始位置を検索して取得する検索開始位置取得手段”、“前記検索開始位置取得手段により取得された前記検索開始位置を前記パソコンに送信する送信手段”を備えるように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、引用発明が上記構成を備えた場合、取得手段により取得されたユーザ情報を、融合機の画面に送信するのに替えて、使用者が操作するパソコンに送信するように構成すること、すなわち、“取得手段により取得されたユーザ情報を、当該パソコンに送信するユーザ情報送信手段”を備えるように構成することについても、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1及び相違点4は格別なものではない。

(2)相違点2について

ディレクトリに格納されたオブジェクトを検索する際に、ディレクトリ上の任意のオブジェクトを基点にして、そこから任意の範囲を指定して検索を行う技術(「スコープ&フィルタ検索方式」)は周知技術(必要であれば、上記参考文献の上記K等参照。)であり、引用発明におけるオブジェクトの検索に際しても、検索開始位置に加えて範囲を指定して検索するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点2は格別なものではない。

(3)相違点3について

LDAPに登録されているアドレス情報を確認することは、慣用的に行われていることであり、引用発明においても、“使用者による登録されたユーザ情報の確認のために”、取得手段及びユーザ情報表示手段を行うように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点3は格別なものではない。

(4)まとめ

上記で検討したごとく、相違点1ないし相違点4は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものである。

6.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-15 
結審通知日 2013-01-22 
審決日 2013-02-05 
出願番号 特願2005-374351(P2005-374351)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨松田 直也  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 田中 秀人
原 秀人
発明の名称 アドレス情報検索装置、およびアドレス情報検索プログラム  
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