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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1271801
審判番号 不服2011-22661  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-20 
確定日 2013-03-21 
事件の表示 特願2007- 15910「金属箔張り積層板の外観検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月 7日出願公開、特開2008-180667〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年1月26日を出願日とする出願であって、平成23年1月17日付けで拒絶理由が通知され、同年3月28日付けで手続補正がなされ、同年8月12日付けで拒絶査定がなされ、同年10月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明は、平成23年3月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
金属箔張り積層板の表面の打痕、キズ、ピンホール、シワなどの欠陥の有無を判定するための方法であって、あらかじめ目視にて確認した金属箔張り積層板の表面の欠陥箇所に、金属箔の反射率の2/3以下の反射率を有するマーキング剤を用いたマーキング部材でマーキングする1次判定を行い、次いで、検査対象の金属箔張り積層板のマーキング部に光を照射し、カメラで得られた積層板のマーキング部の画像と、検査対象の金属箔張り積層板の表面に形成する予定の外層回路パターンのパターンデータの画像とを合成し、マーキング部が外層回路パターンに干渉するか否かをモニター上で目視にて調べることにより欠陥の有無を判定する2次判定を行うことを特徴とする金属箔張り積層板の外観検査方法。」(以下、「本願発明」という。)

第3 引用刊行物記載の発明 (下線は当審で付与した。)
(1)本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2005-125650号公報(以下「刊行物1」という。)には、「銅張積層板および鏡板の外観検査方法」について、図面とともに次の事項が記載されている。
(1-ア) 「【0001】
本発明は、プリント基板として利用される片面銅張積層板、両面銅張積層板、シールド板、多層板(以下銅張積層板と略す)の銅箔面および鏡板の外観検査の際に付着物を簡単に確実に検出でき、きれいな銅張積層板、鏡板を提供することが可能な外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機器や電子機器用プリント板の高密度化に伴い、この基板として使用する銅張積層板の銅箔面外観に対する品質要求が益々厳しくなってきている。プリント基板の不具合の中では、銅箔面の付着物や打痕によるショート、断線等の回路不良が特に品質を左右する大きな問題となる。銅張積層板は、銅箔、プリプレグ、鏡板等の材料構成時にプリプレグから発塵した樹脂粉の銅箔面や鏡板面への付着、プレス時に流出した樹脂の付着等により汚れ易い問題がある。銅張積層板や鏡板の外観品質向上のために目視、自動による検査を行っているが、付着物が微小、透明であることから検査時間が膨大となった。付着物を確実に検出することも困難であるため、銅張積層板の銅箔面については疑わしい部分を研磨除去が必要となり、鏡板については、プレス後の鏡板を研磨材等を使用し研磨機や人手により研磨しているが、研磨後に除去されたかどうかの目視確認も困難であり、鏡板清掃時は研磨や水洗を強めに設定せざるを得なかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の外観検査方法では、外観検査に膨大な時間がかかるわりには完全に全てを確実に検出できない問題が生じていた。また、銅箔面や鏡板の表面を強く研磨した場合は、研磨跡による凹凸、錆、厚みばらつき等の発生により銅張積層板の外観、板厚面の品質低下となった。これらを解決できる外観検査方法を確立することが課題であった。
【0004】
本発明は、かかる実状に鑑み銅張積層板銅箔面、鏡板面に付着した微小な樹脂付着物を簡単に確実に検出することができ、銅張積層板の銅箔面外観品質を大幅に向上することができる外観検査方法を提供するものである。」

(1-イ) 「【0010】
以下、本発明について実施例に基づいて説明する。本発明はこれに制限されない。
実施例1
【0011】
銅張積層板プレス後のSUS製の鏡板10枚(厚さ2mm、サイズ1050mm×1050mm)の両側の表面をハンディ式の紫外線ランプを使用して暗室内で外観検査を行った。この時の条件は、波長365nm、鏡板表面から紫外線ランプまでの距離は約100mmとした。観察の結果、点状に青く光る部分が合計350個検出され、この部分をマーキングし光学顕微鏡で100倍で拡大観察した結果、樹脂付着物であった。検査所要時間は、1hrであった。」

上記(1-ア)?(1-イ)の記載と図1を参照すると、上記引用刊行物1には、「銅張積層板の両側の表面をハンディ式の紫外線ランプを使用して暗室内で外観検査を行い、点状に青く光る部分をマーキングし、光学顕微鏡で100倍で拡大観察する銅張積層板および鏡板の外観検査方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

第4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア その構造・機能からみて、引用発明の「銅張積層板の両側の表面」が、本願発明の「金属箔張り積層板の表面」に相当することは明らかである。

イ (1-ア)に「・・・【背景技術】【0002】・・・プリント基板の不具合の中では、銅箔面の付着物や打痕によるショート、断線等の回路不良が特に品質を左右する大きな問題となる。」と記載され、これら銅箔面の付着物や打痕によるショート、断線等の回路不良が、目視確認の対象であることは明らかであるから、引用発明の外観検査方法の対象として、「銅箔面の付着物や打痕によるショート、断線」が含まれるものと認められる。
そうすると、本願発明は外観検査方法の対象として、引用発明と明示的にも同じ打痕を含むのであるから、引用発明の「外観検査方法」は、本願発明の「打痕」「などの欠陥の有無を判定するための方法であって」「外観検査方法」に相当するといえる。

ウ 引用発明の「銅張積層板の両側の表面をハンディ式の紫外線ランプを使用して暗室内で外観検査を行い、点状に青く光る部分をマーキングし、光学顕微鏡で100倍で拡大観察する」と
本願発明の「あらかじめ目視にて確認した金属箔張り積層板の表面の欠陥箇所に、金属箔の反射率の2/3以下の反射率を有するマーキング剤を用いたマーキング部材でマーキングする1次判定を行い、次いで、検査対象の金属箔張り積層板のマーキング部に光を照射し、カメラで得られた積層板のマーキング部の画像と、検査対象の金属箔張り積層板の表面に形成する予定の外層回路パターンのパターンデータの画像とを合成し、マーキング部が外層回路パターンに干渉するか否かをモニター上で目視にて調べることにより欠陥の有無を判定する2次判定を行う」とは、
「あらかじめ目視にて確認した金属箔張り積層板の表面の欠陥箇所に、マーキングする1次判定を行い、次いで、目視にて調べることにより欠陥の有無を判定する2次判定を行う」の点で共通する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「金属箔張り積層板の表面の打痕などの欠陥の有無を判定するための方法であって、あらかじめ目視にて確認した金属箔張り積層板の表面の欠陥箇所に、マーキングする1次判定を行い、次いで、目視にて調べることにより欠陥の有無を判定する2次判定を行う金属箔張り積層板の外観検査方法。」である点で一致し、次の点で相違している。

(相違点1)
欠陥箇所のマーキングについて、本願発明では「表面の反射率の2/3以下の反射率を有するマーキング剤を用いたマーキング」であるのに対して、引用発明では、マーキング手段を特定していない点。

(相違点2)
マーキング部を目視にて調べる2次判定について、本願発明では「検査対象マーキング部に光を照射し、カメラで得られたマーキング部の画像と、検査対象の表面に形成する予定の外層回路パターンのパターンデータの画像とを合成し、マーキング部が外層回路パターンに干渉するか否かをモニター上で」行うのに対して、引用発明では、光学顕微鏡による拡大観察である点。

(1)相違点1についての検討
本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-45071号公報には、「【0027】・・・検査カメラ(8)から欠陥の存在を示す信号を受信すると、ペン先(3)を連続シート状物(2)に接触させて欠陥を示すマーク(23)を連続シート状物に記し、・・・」と記載されているように、欠陥箇所のマーキングとして「マーキング剤を用い」ることは周知技術である。
そして、金属箔張り積層板の表面は反射率が高いので通常は光っていてまぶしいのであるから、目視のための目印として、まぶしさを低減し見やすい反射率の低いマーキング剤を用いることは当然のことであり、どの程度を見やすいとするかは当業者が必要に応じて適宜成し得る設計事項にすぎない。
してみると、引用発明に、欠陥箇所のマーキングの点で共通する上記周知の技術事項を採用し、マーキング剤がマーキング後にまぶしさを低減し見やすいことを「金属箔の反射率の2/3以下の反射率を有するマーキング剤」として相違点における本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到するものといえる。

(2)相違点2についての検討
本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-68342号公報(以下「刊行物2」という。)には、「【0003】【発明が解決しようとする課題】通常、欠陥検査の結果は、通常、図6の(1)に示すように、ウエハ111上のダイ121のマトリクス情報および、例えば図6の(2)の示すような欠陥A,B,Cのダイ原点(0,0)から座標とそのサイズが提供される。・・・、図6の(4)に示すように、欠陥A,B,Cとパターン131とを合成した結果を得るためには、オペレータである人間が欠陥A,B,Cとパターン131が形成された下地とを観察して比較し、パターン131に対する欠陥A,B,Cの位置を判別して、各欠陥A,B,Cが及ぼす影響を判定しなければならない。・・・」と「マーキング部の画像と、検査対象の表面に形成する予定の外層回路パターンのパターンデータの画像とを合成し、欠陥部が外層回路パターンに干渉するか否かをモニター上で」判定する技術事項が記載されている。
また、本願の出願前に頒布された特開平5-196444号公報には、「【0020】・・・前記ハンド26には、支持部材41と、車体Bに照射光を投光するための投光器42と、照射光で照射された車体Bの部位を撮像するためのCCDカメラ43とを有するマーク検知装置40が設けられている。」、「【0031】次にCCDカメラ43により検知ポイント番号「1」に対応する右フロントドアの小区画Sが撮像され(S11)、その画像信号はマーク検知部32bにおいてディジタル信号に変換された後所定のデータ処理が施されて欠陥マークMの有無及び欠陥マークMの種類と位置が演算により求められる(S12)。・・・欠陥マークMが存在するときには(S14:Yes)、欠陥マークMの位置と欠陥マークMの種類(研磨グレード)とが検知データとして記憶される(S15)。」と記載され、
また、本願の出願前に頒布された特開2004-28654号公報には、「【0004】
図2は、従来の欠陥検査装置の構成を示した概略配置であって、・・・上工程のプロセスコンピューター1から送られたマーキング情報に基づいて欠陥マーカ11により、被検査材Sに実際に存在する欠陥Aの近傍に欠陥マークBを付与する。一方、下工程のラインには欠陥マーク読取装置12を設置し、欠陥マーク読取装置12により欠陥マークBを検出し、その情報を下工程のプロセスコンピューター2に伝達するように構成されている。」と記載されているように「検査対象のマーキング部に光を照射し、」「マーキング部の画像」を「カメラで得」て、その位置も特定することは板状物表面の欠陥検査において周知技術である。
また、検査においてもできるだけ自動化することは、合成樹脂からなる連続シートの表面検査においても、ウエハの表面検査においても、同様に周知の課題である。
してみると、引用発明に欠陥箇所を判定する点で共通する上記自動化した技術事項を採用して相違点における本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到するものといえ、その具体化において必要となる検査情報である、マーキング部の位置情報及び画像情報を得るために、上記周知技術を採用することは、当業者が必要に応じて適宜成し得る設計的事項である。

そして、本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2の記載事項および周知の技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2の記載事項および周知の技術事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2の記載事項および周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項について言及するまでもなく、本願出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-16 
結審通知日 2013-01-22 
審決日 2013-02-04 
出願番号 特願2007-15910(P2007-15910)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 淳史  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
後藤 時男
発明の名称 金属箔張り積層板の外観検査方法  
代理人 西澤 利夫  
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