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審決分類 |
審判 全部無効 特38条共同出願 G07C 審判 全部無効 特123条1項6号非発明者無承継の特許 G07C |
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管理番号 | 1272128 |
審判番号 | 無効2011-800213 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2011-10-24 |
確定日 | 2013-04-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4763982号発明「動態管理システム、受信器および動態管理方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第4763982号に係る出願(特願2004-229032号)は、平成16年8月5日に出願され、その特許権の設定登録は、平成23年6月17日にされ、その後、請求人マイクロ・トーク・システムズ株式会社から無効審判が請求されたものである。以下、請求以後の経緯を整理して示す。 平成23年10月24日付け 審判請求書の提出 平成24年 1月 5日付け 答弁書の提出 平成24年 4月 5日付け 口頭審理陳述要領書の提出(請求人より) 平成24年 4月 5日受付 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人より) 平成24年 4月19日 口頭審理の実施 平成24年 5月 8日付け 上申書の提出(請求人より) 平成24年 5月22日付け 上申書の提出(被請求人より) 平成24年 5月29日付け 上申書の提出(請求人より) 平成24年 6月 5日付け 上申書の提出(被請求人より) 第2 本件発明 本件特許の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、・・・、「本件発明7」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 第1の位置に設けられ、第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号を出力する、第1トリガ信号発信器と、 第2の位置に設けられ、前記第1と異なる第2特性を有するトリガ信号を出力する、第2トリガ信号発信器と、 前記第1および第2トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグとを含み、 前記IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともに前記ID番号を出力し、 前記IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信する受信器とを含む、動態管理システム。 【請求項2】 前記IDタグは、前記トリガ信号ごとの異なる特性を記憶する記憶手段を含む、請求項1に記載の動態管理システム。 【請求項3】 前記トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される、請求項1または2に記載の動態管理システム。 【請求項4】 さらに、現在時刻を検出する現在時刻検出器を含み、前記受信器の受信したID番号を前記現在時刻とともに記憶する、請求項1から3のいずれかに記載の動態管理システム。 【請求項5】 前記受信器は複数のトリガ信号発信器に対して1個設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の動態管理システム。 【請求項6】 IDタグを起動するトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグが出力したID番号を受信する受信器であって、 前記トリガ信号は、それぞれが異なる位置に設けられ、相互に異なる特性を有するトリガ信号を出力する、複数のトリガ信号発信器から出力され、 前記IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともに前記ID番号を出力し、 前記IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報と、前記ID番号とを受信する、 受信器。 【請求項7】 異なる位置に設けられたトリガ信号発信器から、IDタグに対して相互に異なる特性を有し、IDタグを起動する複数のトリガ信号を出力するステップと、 トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力するIDタグを、前記異なる位置を通過させるステップと、 受信器によって、IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信するステップとを含む、動態管理方法。」 第3 当事者の主張 1.請求人の主張 請求人は、「特許第4763982号の請求項1?7に係る特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」(請求の趣旨)との審決を求め、証拠方法として以下の甲第1号証?甲第29号証の2を提出し、無効とすべき理由として、次の無効理由1及び無効理由2を主張している。 (1)無効理由1 本件特許は、発明者でないものであってその発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対して特許されたものであるから、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第123条第1項第6号に該当し、無効とされるべきである。 (2)無効理由2 本件特許は、特許法第38条の規定に違反してなされた特許出願に対して特許されたものであるから、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。 [証拠方法] ・甲第1号証:特許第4763982号公報(本件特許公報) ・甲第2号証:平成22年8月16日付け意見書 ・甲第3号証:平成23年1月25日付け意見書 ・甲第4号証:平成23年6月2日付け特許メモ ・甲第5号証の1:請求人従業員実川聖一作成の平成15年11月14日付け電子メールの写し ・甲第5号証の2:甲第5号証の1の電子メールの添付ファイルの写し ・甲第6号証:被請求人従業員川原武作成の平成15年11月14日付け電子メールの写し ・甲第7号証:被請求人作成の平成15年10月9日付け「IDタグ仕様書」 ・甲第8号証:被請求人従業員川原武作成の平成16年5月12日付け電子メールの写し ・甲第9号証:被請求人従業員穂崎泰宏作成の平成16年6月4日付け電子メールの写し ・甲第10号証:被請求人従業員川原武作成の平成16年6月7日付け電子メールの写し ・甲第11号証:被請求人従業員川原武作成の平成16年6月9日付け電子メールの写し ・甲第12号証:被請求人従業員川原武作成の平成16年6月14日付け電子メールの写し ・甲第13号証:最高裁判所第二小法廷判決昭和61年10月3日 昭和61年(オ)第454号(最高裁判所民事判例集40巻6号1068頁、判例時報1219号116頁) ・甲第14号証:中山信弘、小泉直樹「新・注解特許法【上巻】」364頁 ・甲第15号証:東京地方裁判所判決平成14年8月27日 平成13年(ワ)第7196号(判例時報1810号102頁) ・甲第16号証:東京地方裁判所判決平成18年1月26日 平成14年(ワ)第8496号(判例時報1943号85頁) ・甲第17号証:三村量一、「発明者の意義」、金融・商事判例増刊1236号、経済法令研究会、平成18年3月、p.122?127 ・甲第18号証:知的財産高等裁判所判決平成20年9月30日 平成19年(行ケ)第10278号 ・甲第19号証:平成15年10月7日付け「開発基本契約書」 ・甲第20号証:被請求人のウェブページの写し ・甲第21号証:被請求人代表者辻義光作成の平成16年4月9日付け、平成16年11月11日付け、平成17年7月20日付け、平成19年2月13日付け電子メールの写し ・甲第22号証:被請求人代表者辻義光作成の平成17年4月11日付け電子メールの写し ・甲第23号証:請求人作成の「(株)マトリックス資金支援内容」 ・甲第24号証:請求人のウェブページの写し ・甲第25号証:被請求人従業員川原武作成の平成15年10月9日付け電子メールの写し ・甲第26号証:被請求人従業員川原武作成の平成15年10月10日付け電子メールの写し ・甲第27号証:請求人代表者橋本純一郎作成の平成15年10月2日付け電子メールの写し ・甲第28号証:独立行政法人中小企業基盤整備機構のウェブページの写し ・甲第29号証の1:被請求人従業員川原武作成の平成15年11月6日付け電子メールの写し ・甲第29号証の2:甲第29号証の1の電子メールの添付ファイルの写し 2.被請求人の主張 被請求人は、請求人主張の無効理由1及び無効理由2はいずれも理由がなく、本件審判の請求は成り立たない旨主張し、証拠方法として乙第1?40号証を提出している。 [証拠方法] ・乙第1号証:特開2003-178381号公報 ・乙第2号証:特開2004-57805号公報 ・乙第3号証:被請求人従業員川原武作成の平成15年10月28日付け電子メールの写し ・乙第4号証:被請求人従業員川原武作成の平成16年1月16日付け電子メールの写し ・乙第5号証:平成19年5月10日付け「トリガーID方式RFIDシステムの販売に関する覚書」 ・乙第6号証:被請求人代表者辻義光作成の平成23年2月21日付け書簡 ・乙第7号証:請求人のウェブページの写し ・乙第8号証:請求人従業員池田作成の平成15年10月7日付け「注文書」 ・乙第9号証:株式会社アールビーズのウェブページの写し ・乙第10号証:表題を「非接触型高速度複数同時計測器 CATCH MAN」とする文書 ・乙第11号証:特開2003-141497号公報 ・乙第12号証:特開2004-94891号公報 ・乙第13号証:特開2004-334546号公報 ・乙第14号証:特開2005-110102号公報 ・乙第15号証:特開2005-218635号公報 ・乙第16号証:特開2005-234716号公報 ・乙第17号証:平成15年5月2日付け「秘密保持契約書」 ・乙第18号証:平成15年10月7日付け「開発基本契約書」 ・乙第19号証:表題を「請求人注文一覧」とする文書 ・乙第20号証:平成15年11月7日付け「基本取引契約書」 ・乙第21号証:表題を「八十二銀行様向け入退出管理システム-ご提案-」とする文書 ・乙第22号証:表題を「技術部業務一覧 2004/06/10」とする文書 ・乙第23号証:表題を「開発計画検討」とする文書 ・乙第24号証:総務省井岡貴司作成の平成17年2月10日付け電子メールの写し ・乙第25号証:表題を「安否確認情報に関する基本契約書」とする平成17年6月13日付け文書 ・乙第26号証:請求人従業員実川聖一作成の平成17年6月6日付け電子メールの写し ・乙第27号証:請求人従業員実川聖一作成の平成17年6月28日付け「注文書」 ・乙第28号証:請求人従業員実川聖一作成の平成17年9月20日付け電子メール及び添付ファイルの写し ・乙第29号証:特開2008-276450号公報 ・乙第30号証:表題を「タグIDシステムに関する覚書」とする文書 ・乙第31号証:被請求人代表者辻義光作成の平成23年7月22日付け書簡 ・乙第32号証:請求人代表者橋本純一郎作成の平成23年7月27日付け書簡 ・乙第33号証:株式会社日立製作所従業員熊崎寿作成の平成23年7月29日付け書簡 ・乙第34号証:被請求人代表者辻義光作成の平成23年7月29日付け書簡 ・乙第35号証:請求人代表者橋本純一郎作成の平成23年8月4日付け書簡 ・乙第36号証:被請求人代表者辻義光作成の平成23年8月12日付け書簡 ・乙第37号証:請求人代表者橋本純一郎作成の平成23年8月19日付け書簡 ・乙第38号証:請求人代表者橋本純一郎作成の平成23年8月29日付け書簡 ・乙第39号証:被請求人代表者辻義光作成の平成24年4月3日付け陳述書 ・乙第40号証:被請求人従業員川原武作成の平成24年4月3日付け陳述書 第4 甲号証の記載事項 1.甲第5号証の1 成立に争いのない甲第5号証の1は、請求人の従業員である実川聖一氏(以下、「請求人従業員実川」という。)が作成し、宛先を被請求人の従業員である川原武氏(以下、「被請求人従業員川原」という。)と、件名を「ご質問事項」と、添付ファイルを「質問事項.pdf」と、送信日時を平成15年11月14日19時23分42秒とする電子メールであって、その本文には、次の事項が記載されている。 甲5ア: 「弊社、客先から スピードタグSYSTEMを利用して 入退管理についての案件があります。 1例を付けて、ご質問事項を添付させていただきました。 ご教授の程宜しくお願い申し上げます。 今後とも宜しくお願い申し上げます。」 2.甲第5号証の2 成立に争いのない甲第5号証の2は、甲第5号証の1の電子メールの添付ファイルであり、そのファイルには、次の事項が図面とともに記載されている。 甲5イ: 「各部屋の出入口にトリガーANTを設置 各出入口にトリガANTを設置し、入退情報を把握する。」 甲5ウ: 「○1(原文は○の中に数字、以下同じ。)各出入口に設置した、トリガーANTからの情報 各出入口に設置したトリガーANTから、各トリガーのID情報を受信機に送る事によりTAG(人)の入退情報を把握する。 ○2各出入口に設置した、トリガーANTの発信を切り替え(連動)てどのトリガーANTから受信したのかを把握する事により入退情報を把握する。 ○3各トリガーANTの受信範囲を狭めて、1トリガー1チャンネルで入退情報を把握する。 ○1○2○3の中で一番実現性があるのか、ご教授ください。」 以上によれば、甲第5号証の2には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されている。 「各出入口に設置したトリガーANTから、各トリガーのID情報を受信機に送る事によりTAG(人)の入退情報を把握する装置又は方法。」 3.甲第6号証 成立に争いのない甲第6号証は、甲第5号証の1の電子メールに対する返信メールとして被請求人従業員川原が作成し、宛先を請求人従業員実川と、件名を「Re:ご質問事項」と、送信日時を平成15年11月14日23時2分44秒とする電子メールであって、その本文には、次の事項が記載されている。 甲6ア: 「お世話になっております。 以下の通りお答えしますのでよろしくお願いします。」 甲6イ: 「○1の方法は『トリガーがトリガーのIDを発信し、そのトリガーに起動されたタグがそのIDをひらって自分のIDとトリガーのIDを受信機に送る』とい うことだと思います。 可能ですが、 ・現在のタグに大きな変更を加える必要があります。 ・トリガー装置が電波法の対象になります。場合によっては免許が必要。要調査 ・タグの構造が複雑になります。 ・動作失敗の確立が高くなります。 ・この方法ですと設置方法に制限が殆どありません。実現に調査が必要です。」 甲6ウ: 「○2の方法はトリガーを時分割で起動する方法です。現行のタグの最小限の変更で実現できます。幾度も出てきている方法ですがトリガーの分割数に 限度があります。4箇所が限度でしょう。 ・出入り口は必ず切り替えのペアにする。入退出の方向が検出できる。 ・タグからの信号出力は出来るだけ低く抑え、受信機の感度も抑える。 ・隣接する入り口はペアにする。」 甲6エ: 「○3はトリガーとトリガーの距離に間隔がないと設計は困難です。」 以上によれば、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。 「トリガーがトリガーのIDを発信し、そのトリガーに起動されたタグがそのIDをひろって自分のIDとトリガーのIDを受信機に送る装置または方法。」 第5 当審の判断 1.甲6発明と本件発明との関連性について 1-1 甲6発明と本件発明1 甲6発明と本件発明1とを対比する。 (1a)甲6発明の「トリガー」は、文言の意味、形状又は機能等からみて本件発明1の「トリガ信号発信器」に相当し、以下同様に、「トリガーのID」及び「そのID」は「トリガ信号を特定する情報」に、「タグ」は「IDタグ」に、「自分のID」は「ID番号」に、「受信機」は「受信器」にそれぞれ相当する。 (1b)甲第6号証は、甲第5号証の1の電子メールに対する返信メールであって、両メールの主題は、「入退管理について」(甲5ア)又は「各出入口にトリガANTを設置し、入退情報を把握する」(甲5イ)ことであるから、甲6発明の「装置又は方法」は、「入退情報を把握する」「装置又は方法」であり、本件発明1の「動態管理システム」を包含するものである。 (1c)同様に、甲6発明は、「各出入口にトリガANTを設置し、入退情報を把握する」「装置又は方法」といえるので、甲6発明の「トリガ-」は各出入口に設けられているものといえる。 また、甲6発明の「タグ」は、「そのトリガーに起動され」、「そのIDをひろ」うものであるところ、トリガーがタグを起動するためのトリガー信号を出力することは技術常識であるから、甲6発明の各「トリガー」は、トリガー信号を「トリガーのID」を示す信号と共にIDタグに対して出力することは明らかである。そして、このトリガー信号と各トリガーのIDを示す信号とは、一つのセットとして、各トリガーごとに異なる特性を有する信号であって、かつタグを起動可能な信号を形成しているものといえる。 よって、甲6発明は、「第1の位置に設けられ、第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号を出力する、第1トリガ信号発信器と、第2の位置に設けられ、前記第1と異なる第2特性を有するトリガ信号を出力する、第2トリガ信号発信器と」を具備するものである。 (1d)甲6発明は、「そのトリガーに起動されたタグがそのIDをひろって自分のIDとトリガーのIDを受信機に送る」のであるから、甲6発明の「タグ」は、「トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、ID番号を出力する」事項及び「受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力」する事項を含むものといえ、また、甲6発明の「受信機」は、「IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信する」ものといえる。 上記(1a)?(1d)によれば、本件発明1と甲6発明とは、 「第1の位置に設けられ、第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号を出力する、第1トリガ信号発信器と、 第2の位置に設けられ、前記第1と異なる第2特性を有するトリガ信号を出力する、第2トリガ信号発信器と、 前記第1および第2トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグとを含み、 前記IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともに前記ID番号を出力し、 前記IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信する受信器とを含む、動態管理システム。」 の点で一致し、両者に差違はない。 1-2 甲6発明と本件発明6 上記(1a)?(1d)における検討を踏まえつつ、甲6発明について検討する。 (2a)甲6発明は、「第1の位置に設けられ、第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号を出力する、第1トリガ信号発信器と、第2の位置に設けられ、前記第1と異なる第2特性を有するトリガ信号を出力する、第2トリガ信号発信器と」を具備するものといえる(上記(1c))のであるから、甲6発明は、「トリガ信号は、それぞれが異なる位置に設けられ、相互に異なる特性を有するトリガ信号を出力する、複数のトリガ信号発信器から出力され、」なる事項を具備するものといえる。 よって、上記(1a)?(1d)、(2a)によれば、甲6発明は、受信器の観点からみると、 「IDタグを起動するトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグが出力したID番号を受信する受信器であって、 前記トリガ信号は、それぞれが異なる位置に設けられ、相互に異なる特性を有するトリガ信号を出力する、複数のトリガ信号発信器から出力され、 前記IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともに前記ID番号を出力し、 前記IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報と、前記ID番号とを受信する、 受信器。」 なる事項を包含するものである。 してみると、甲6発明と本件発明6とに差違はない。 1-3 甲6発明と本件発明7 上記(1a)?(1d)、(2a)における検討を踏まえつつ、甲6発明と本件発明7とを対比する。 (3a)甲6発明の「装置又は方法」は、本件発明7の「動態管理方法」を包含している。 (3b)甲6発明は、「トリガ信号は、それぞれが異なる位置に設けられ、相互に異なる特性を有するトリガ信号を出力する、複数のトリガ信号発信器から出力され、」なる事項を具備するものといえる(上記(2a))のであるから、「異なる位置に設けられたトリガ信号発信器から、IDタグに対して相互に異なる特性を有し、IDタグを起動する複数のトリガ信号を出力するステップ」をも具備するものである。 (3c)甲6発明は、入退情報を把握する「方法」といえるので、甲6発明が、「タグ」を、トリガ信号発信器が設けられた上記「異なる位置」を通過させるステップを具備することは明らかである。 (3d)甲6発明の「受信機」は、「IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信する」ものといえる(上記(1d))のであるから、甲6発明は、「受信器によって、IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信するステップ」をも具備するものである。 よって、上記(1a)?(1d)、(2a)、(3a)?(3d)によれば、甲6発明と本件発明7とは、 「異なる位置に設けられたトリガ信号発信器から、IDタグに対して相互に異なる特性を有し、IDタグを起動する複数のトリガ信号を出力するステップと、 トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力するIDタグを、前記異なる位置を通過させるステップと、 受信器によって、IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信するステップとを含む、動態管理方法。」 の点で一致し、両者に差違はない。 1-4 まとめ したがって、被請求人従業員川原は、遅くとも甲第6号証の電子メールが送信された平成15年11月14日23時頃には、少なくとも本件発明1に相当する技術思想、本件発明6に相当する技術思想及び本件発明7に相当する技術思想を実質的に知得していたものといえる。 2.甲第5号証の2に記載された発明 2-1 第1甲5発明 甲5発明の「トリガーANT」は「トリガーアンテナ」と、「各トリガーのID情報」は「各トリガーアンテナのID情報」と、「受信機」は「受信器」と、「TAG」は「IDタグ」と、「(人)の入退情報を把握する装置又は方法」は「動態管理システム」といえるものである。 甲5発明の「トリガーANT」は、「各出入口に設置」されているのであるから、甲5発明は、第1の位置に設けられた「第1トリガーアンテナ」及び第2の位置に設けられた「第2トリガーアンテナ」を含むものである。 また、トリガーアンテナがIDタグを起動するための信号を出力することは技術常識であるから、甲5発明の「トリガーANT」は、「各トリガーのID情報」及びIDタグを起動するための信号を出力するものといえる。 さらに、甲5発明は、「トリガーANTから、各トリガーのID情報を受信機に送る」のであるから、受信器は、「各トリガーANT」が出力した「各トリガーのID情報」を受信することは明らかである。 してみると、甲第5号証の2に記載された甲5発明は、次のように言い換えることができる(以下、この言い換え後の発明を「第1甲5発明」という。)。 「第1の位置に設けられ、トリガーアンテナのID情報及びIDタグを起動する信号を出力する、第1トリガーアンテナと、 第2の位置に設けられ、トリガーアンテナのID情報及びIDタグを起動する信号を出力する、第2トリガーアンテナと、 前記第1および第2トリガーアンテナが出力した、各トリガーアンテナのID情報を受信する受信器とを含む、動態管理システム。」 2-2 第2甲5発明 甲5発明の「トリガーANT」は、「各出入口に設置」されているのであるから、それぞれが異なる位置に設けられた「トリガーANT」あり、複数の「トリガーANT」といえる。 よって、上記「2-1 第1甲5発明」における検討も踏まえれば、甲5発明は「受信器」の観点から、次のように言い換えることができる(以下、この言い換え後の発明を「第2甲5発明」という。)。 「受信器であって、 各トリガーアンテナのID情報及びIDタグを起動する信号は、それぞれが異なる位置に設けられた複数のトリガーアンテナから出力され、 前記トリガーアンテナが出力した、トリガーアンテナのID情報を受信する、受信器。」 2-3 第3甲5発明 甲5発明の「(人)の入退情報を把握する装置又は方法」は「動態管理方法」といえる。また、甲5発明において、「各出入口」を「TAG(人)」が通過することは明らかである。 よって、上記「2-1 第1甲5発明」及び「2-2 第2甲5発明」における検討も踏まえれば、甲5発明は「方法」の観点から、次のように言い換えることができる(以下、この言い換え後の発明を「第3甲5発明」という。)。 「異なる位置に設けられたトリガーアンテナから、トリガーアンテナのID情報及びIDタグに対してIDタグを起動する信号を出力するステップと、 IDタグを、前記異なる位置を通過させるステップと、 受信器によって、トリガーアンテナが出力した、トリガーアンテナのID情報を受信するステップとを含む、動態管理方法。」 2-4 まとめ 以上のとおり、甲第5号証の2には、上記第1甲5発明、第2甲5発明及び第3甲5発明が実質的に記載されている。 3.本件発明1について 請求人は、「実川の上記メールには、トリガ信号にIDを付与することによって動態を管理する、すなわち、IDタグを起動するためのトリガ信号の特性を発信器ごとに異ならせるという、本件特許発明の特徴的部分が全て含まれている。」(請求書第12頁)、「請求人の従業員実川は、・・・課題を解決するための技術的な手段として、トリガ信号にIDを付与するなど、相互に異なる特性を有するトリガ信号を各発信器が出力することによって動態を管理すること、すなわち、IDタグを起動するためのトリガ信号の特性を発信器ごとに異ならせることを提示し、・・・本件特許発明の特徴的部分である課題を解決するための具体的な解決手段を着想したものであるという意味において、本件特許発明の発明者である。」(同第21頁)と主張するので、初めに「実川の上記メール」(甲第5号証の1及び甲第5号証の2)に記載された事項が誰により着想されたのかについて検討し、続いて「実川の上記メール」に記載された事項と本件発明1との関連について検討する。 3-1 甲5発明の着想者について 被請求人提出の口頭審理陳述要領書における「実川氏は,営業担当としてRFIDによって実現できることについての一通りの知識はあったかもしれないが,技術者ではないので,電波やプログラミング等RFIDの具体的な技術内容についてほとんど知識はなかった。実川氏は,請求人の取引先からマラソン用に限らずRFIDに関する技術的な質問や要望を受ける立場にあったようである。請求人には,技術者もいたはずであるが,社内に川原のように電波について詳しい人間はいなかったためか,取引先からの質問を被請求人代表者や川原にそのまま転送してくることがあった。被請求人代表者は,請求人からJ-CHIPの発注を受けたばかりであり,今後も請求人と良好な関係を築いていきたいと考えていたため,実川氏の質問に対してはできるだけ答えるよう川原に指示していた。」(第14?15頁)の記載に加え、成立に争いのない甲第8号証の「以下内容は、弊社取引先からの1CH受信機の質問事項です。資料をご確認のうえ、問題改善策をご教授くださいますようお願い致します。」(「--- Original Message ----」欄)、成立に争いのない甲第12号証の「以下の内容について回答が必要なのでご教授ください」(「--- Original Message ----」欄)、成立に争いのない乙第3号証の「以下の内容は質問事項です。<研究開発センターからのコメント>」(「--- Original Message ----」欄)、成立に争いのない乙第4号証の「大日本印刷より、質問事項が入っております。添付FILEご確認の上、ご回答頂きたく宜しくお願い申し上げます。」(「--- Original Message ----」欄)等の各記載によれば、少なくとも平成15年10月頃から平成16年夏頃にかけて、請求人従業員実川と被請求人従業員川原との間には、請求人従業員実川が顧客等から受けた技術的な質問を被請求人従業員川原に伝え、被請求人従業員川原がそれに答える、という関係があったことが窺える。 そして、甲第5号証の1は、件名を「ご質問事項」とする問い合わせの電子メールであることから、請求人従業員実川と被請求人従業員川原との上記関係を踏まえつつ、「弊社、客先から、スピードタグSYSTEMを利用して入退室管理についての案件があります。1例を付けて、ご質問事項を添付させていただきました。ご教授の程宜しくお願い申し上げます。」(甲5ア)なる記載を参酌すれば、甲第5号証の2のファイル「質問事項.pdf」が請求人従業員実川により作成されたものであったとしても、当該ファイルに記載された事項に、請求人従業員実川が「客先から」伝え聞いた事項もが含まれている蓋然性は小さくない。 さらに、全証拠を検討しても、甲第5号証の2のファイルに、請求人従業員実川により着想された事項のみが記載されていることを裏付ける根拠はなく、また、甲第5号証の1の電子メール送信前において、甲5発明を請求人従業員実川が自ら着想していたことを裏付ける根拠もない。 したがって、甲第5号証の2に甲5発明が記載されている事実をもって、請求人従業員実川が甲5発明を自ら着想した、とまではいえない。 3-2 本件発明1と甲5発明について 本件発明1と甲5発明の対比に当たり、本件発明1と第1甲5発明とを対比すると、第1甲5発明の「トリガーアンテナ」が本件発明1の「トリガ信号発信器」に対応することは、明らかである。 そこで、先ず本件発明1の「トリガ信号発信器」を第1甲5発明の「トリガーアンテナ」と対比する。 本件特許の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)における、「トリガ信号発信器11?18は、トリガ信号発信時に、それぞれ異なる特性のトリガ信号を出力する。ここでは、トリガ信号IDを出力するものとして説明する。IDタグ40は、後に説明するように、トリガ信号を受信すると、受信したトリガ信号のID番号と、自分のID番号とを合わせて、受信器35?37に送信する。」(段落【0018】)、「ここでIDタグ40に設けられた発振器47からはID番号が、トリガ信号IDとともに発信され、これらのIDをID受信器13が受信する。」(段落【0024】)、「IDタグ40は、まず、トリガ信号を検出する(ステップS11、以下、ステップを省略する)。トリガ信号を受信すると(S11でYES)、マイコン50を起動して(S12)、トリガ信号を取り込む(S13)。トリガ信号は、同期信号を含むヘッダと、トリガIDと、誤り検出用のパリティデータとフッタとを有している。このヘッダから同期信号、パリティデータ、およびトリガIDとを取り出し(S14?S16)」(段落【0026】)等の各記載によれば、本件発明1の「第1トリガ信号発信器」は、「第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号」として、“トリガIDを含むトリガ信号”をIDタグに対して出力するものである。 また、本件発明1の「第1トリガ信号発信器」が「第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号を出力する」目的は、トリガIDを含むトリガ信号を受信したIDタグに、IDタグを起動させると共に、トリガID及び自分のID番号を受信器に対して出力させるためであり、「その結果、簡単な構成で、容易に動態の移動を検出できる、動態管理システムが提供できる」(特許明細書段落【0007】)ためである。 一方、第1甲5発明における「トリガーアンテナ」は、「トリガーアンテナのID情報及びIDタグを起動する信号を出力する」ものであって、IDタグを起動する信号の出力先はIDタグであるもののトリガーアンテナのID情報の出力先は受信器である。 また、第1甲5発明における「トリガーアンテナ」が、「トリガーアンテナのID情報及びIDタグを起動する信号を出力する」目的は、IDタグを起動すると共に、トリガーアンテナのID情報を受信器に受信させて動態管理を行うことといえる。 そして、第1甲5発明の「トリガーアンテナのID情報」は、本件発明1の「第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号」即ち上記“トリガIDを含むトリガ信号”の「トリガID」部分に相当し、また、第1甲5発明の「IDタグを起動する信号」は、本件発明1の「第1特性を有し、IDタグを起動するトリガ信号」の「IDタグを起動する」「信号」部分に相当するといえることから、本件発明1の「第1トリガ信号発信器」と第1甲5発明の「第1トリガーアンテナ」とは、「トリガID」と「IDタグを起動する信号」という2種類の信号を出力するものである点で共通しているものの、少なくとも次の点で相違するものである。 (相違点)信号の出力先に関し、前者では、トリガID及びIDタグを起動する信号をIDタグに対して出力するのに対し、後者では、トリガIDを受信器に対して出力し、IDタグを起動する信号をIDタグに対して出力する点。 してみると、本件発明1の「第1トリガ信号発信器」と第1甲5発明の「第1トリガーアンテナ」とが、 「第1の位置に設けられ、トリガID及びIDタグを起動する信号を出力する、第1のトリガ信号発信器」 という上位概念で共通し、同様に、本件発明1と第1甲5発明とが、 「第1の位置に設けられ、トリガID及びIDタグを起動する信号を出力する、第1のトリガ信号発信器と、 第2の位置に設けられ、トリガID及びIDタグを起動する信号を出力する、第2のトリガ信号発信器と、を含む動態管理システム」 という上位概念で共通していたとしても、動態管理を実現するための手段の一つである「第1のトリガ信号発信器」又は「第2のトリガ信号発信器」について、本件発明1と第1甲5発明とでは、各発信器が出力するトリガIDの出力先も、各発信器がトリガIDを出力する目的も相違するのであるから、第1甲5発明の「第1トリガーアンテナ」、「第2トリガーアンテナ」が本件発明1の「第1トリガ信号発生器」、「第2トリガ信号発生器」にそれぞれ相当するとはいえない。 よって、本件発明1と第1甲5発明とは、上位概念において一部共通するものの、動態管理を実現するための具体的手段において大きく相違するものであり、第1甲5発明の「トリガーアンテナ」を用いつつ、第1甲5発明をさらに具体化させて一の発明を完成させたとしても、本件発明1には到達し得ない。 同様に、甲5発明の「トリガーANT」を用いつつ、甲5発明をさらに具体化させて一の発明を完成させたとしても、本件発明1に到達し得ないのであるから、甲5発明の着想者を、甲5発明を単に着想したこともって本件発明1の創作に実質的に関与した者である、とはいえない。 3-3 まとめ 以上のとおり、甲5発明が請求人従業員実川により着想された発明であるとまではいえず、また、仮に、請求人従業員実川が甲5発明を着想し、請求人が主張するように「トリガ信号にIDを付与するなど、相互に異なる特性を有するトリガ信号を各発信器が出力することによって動態を管理すること」を甲第5号証の1の電子メールにより被請求人従業員川原に提示していたとしても、動態管理を実現するための具体的手段の一つである当該「各発信器」、即ち甲5発明の各「トリガーANT」は、本件発明1の「第1トリガ信号発信器」及び「第2トリガ信号発信器」と対比すると、その機能や「動態管理システム」における役割が大きく相違するのであるから、請求人従業員実川が本件発明1の発明者の少なくとも一人であるとはいえない。 さらに、上記1-4で示したとおり、被請求人従業員川原は、遅くとも平成15年11月14日23時頃には、本件発明1に相当する技術思想を知得していたものといえるところ、同日時以前において請求人従業員実川が本件発明1の創作に実質的に関与したことを示す証拠は、甲第5号証の1及び甲第5号証の2以外にも見当たらない。 そして、本件特許の願書には、発明者として「辻 義光」、「川原 武」、「橋本 充正」の3名が記載されている(甲第1号証第1頁及び最終頁参照)ことに加え、被請求人の全主張によれば、被請求人はこの3名の発明者より、本件特許に係る各発明につき、特許を受ける権利を承継した者であると、一応いい得るところである。 よって、本件発明1に係る特許は、発明者でないものであってその発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対して特許されたものではなく、また、特許法第38条の規定に違反してなされた特許出願に対して特許されたものでもないので、本件発明1に係る特許についての無効理由1及び無効理由2には理由がない。 4.本件発明2?5について 本件発明2?5は、本件発明1を、「前記IDタグは、前記トリガ信号ごとの異なる特性を記憶する記憶手段を含む」、「前記トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される」、「さらに、現在時刻を検出する現在時刻検出器を含み、前記受信器の受信したID番号を前記現在時刻とともに記憶する」、「前記受信器は複数のトリガ信号発信器に対して1個設けられる」という各発明特定事項により、直接的又は間接的に限定した発明に相当する。 そこで、甲第5号証の2を検討するに、甲第5号証の2には、本件発明2に関し「記憶手段」の有無、本件発明4に関し「現在時刻検出器」の有無、本件発明5に関し「複数のトリガ信号発信器に対して」「受信器」を幾つ設けるかの各点について何らの記載がない。また、本件発明3において、「トリガ信号のIDによって区別」を行う主体が、「IDタグ」、「受信器」、「システム」のいずれであるのかは、必ずしも明確でないが、甲第5号証の2には、“トリガ信号を特定する情報を受信したIDタグにより、「トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される」”事項も、“IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信する受信器により、「トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される」”事項も、“IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報およびID番号を受信器が受信した後に、システムにより、「トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される」”事項も記載されていない。 そして、請求人従業員実川が本件発明1の発明者の少なくとも一人であるとすらいえないことは、上記3-3で検討したとおりであり、また、本件発明1をさらに限定するための上記各発明特定事項を、それぞれ請求人従業員実川が自ら着想した上で、被請求人従業員川原らと共に本件発明2?5を完成させたことについて、請求人より主張も証拠の提示もない。 よって、上記3-3で示した理由と同様の理由により、本件発明2?5に係る特許についての無効理由1及び無効理由2には理由がない。 5.本件発明6について 本件発明6と甲5発明の対比に当たり、本件発明6の「トリガ信号発信器」を第2甲5発明の「トリガーアンテナ」と対比すると、両者は、少なくとも、上記3-2の(相違点)で相違している。 よって、上記3-2で示した理由と同様の理由により、第2甲5発明の「トリガーアンテナ」を用いつつ、動態管理を行うための第2甲5発明の「受信器」をさらに具体化させて一の発明を完成させたとしても、本件発明6には到達し得えず、同様に、甲5発明の「トリガーANT」を用いつつ、甲5発明をさらに具体化させて一の発明を完成させたとしても、本件発明6には到達し得ないのであるから、甲5発明の着想者を、本件発明6の創作に実質的に関与した者とはいえない。 したがって、上記3-3で示した理由と同様の理由により、本件発明6に係る特許についての無効理由1及び無効理由2には理由がない。 6.本件発明7について 本件発明7と甲5発明の対比に当たり、本件発明7の「トリガ信号発信器」を第3甲5発明の「トリガーアンテナ」と対比すると、両者は、少なくとも、上記3-2の(相違点)で相違している。 よって、上記3-2で示した理由と同様の理由により、第3甲5発明の「トリガーアンテナ」を用いつつ、第3甲5発明をさらに具体化させて一の発明を完成させたとしても、本件発明7には到達し得えず、同様に、甲5発明の「トリガーANT」を用いつつ、甲5発明をさらに具体化させて一の発明を完成させたとしても、本件発明7には到達し得ないのであるから、甲5発明の着想者を、本件発明7の創作に実質的に関与した者とはいえない。 したがって、上記3-3で示した理由と同様の理由により、本件発明7に係る特許についての無効理由1及び無効理由2には理由がない。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明1?7に係る特許は、発明者でないものであってその発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対して特許されたものではなく、また、特許法第38条の規定に違反してなされた特許出願に対して特許されたものでもないから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明1?7に係る特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-06-04 |
結審通知日 | 2012-06-06 |
審決日 | 2012-06-22 |
出願番号 | 特願2004-229032(P2004-229032) |
審決分類 |
P
1
113・
151-
Y
(G07C)
P 1 113・ 152- Y (G07C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大谷 光司 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
高田 元樹 関谷 一夫 |
登録日 | 2011-06-17 |
登録番号 | 特許第4763982号(P4763982) |
発明の名称 | 動態管理システム、受信器および動態管理方法 |
代理人 | 伊藤 健太郎 |
代理人 | 鳥海 哲郎 |
代理人 | 森下 八郎 |
代理人 | 佐木山 友香 |
代理人 | 加藤 はるか |
代理人 | 塩谷 英明 |
代理人 | 岡嶋 豊 |
代理人 | 福田 あやこ |
代理人 | 関 真也 |