• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F28D
管理番号 1272246
審判番号 不服2012-4768  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-13 
確定日 2013-04-01 
事件の表示 特願2009-132124号「ヒートパイプを備えたヒートシンクおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月 3日出願公開、特開2009-198173号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年9月9日(パリ条約による優先権主張 2003年9月12日、米国)の出願である特願2004-262592号の一部を、特許法第44条第1項の規定により平成21年6月1日に新たな特許出願としたものであって、平成23年12月5日付けで拒絶査定がなされ(発送:同年12月13日)、これに対し、平成24年3月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判請求と同時に手続補正がなされたものであり、さらに当審において平成24年10月16日付けで、平成24年3月13日の手続補正に対する補正却下の決定がなされるとともに拒絶理由が通知され、平成24年12月18日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年12月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
その内部に複数のヒートパイプ、および、前記ヒートパイプの周辺部の一部に形成された空間部を有するベース部と、複数の板状フィンが並列に配置されて前記ベース部に熱的に接続されたフィン部とからなり、
前記ベース部が、熱源と接続される第1のプレート材と、前記フィン部が熱的に接続される第2のプレート材とからなっており、前記第1のプレート材と前記第2のプレート材とが、溝部又は孔部が形成されてない平坦部分のあるプレート面を有する略均一厚の板材からなり、前記複数のヒートパイプが、前記第1のプレート材の平坦部分のあるプレート面と前記第2のプレート材の平坦部分のあるプレート面とによって挟まれて、それらに熱的に接続されており、前記第1のプレート材及び前記第2のプレート材の一方が、前記ベース部の側壁部および底面部を形成するU字形の板材からなっており、他方が、前記ベース部の上面部を形成する平らな板材からなっており、前記空間部が前記上面部、前記側壁部および前記底面部によって画定され、
前記フィン部は、前記第2のプレート材のプレート面に形成され、
前記複数のヒートパイプが、前記第1のプレート材と前記第2のプレート材との間の厚み方向に単層構造であり、プレート面方向に互いに並べられた偏平型ヒートパイプからなっており、前記偏平型ヒートパイプの上面部が前記第2のプレート材に熱的に接続し、前記偏平型ヒートパイプの底面部が前記第1のプレート材に熱的に接続され、
前記空間部は、1つの前記ヒートパイプの側面と前記ベース部の前記側壁部によって形成された第1空間と、隣接する2つの前記ヒートパイプ間に形成された第2空間とで構成され、前記第1空間が、前記側壁部に沿って前記ベース部の上記側壁に沿って設けられ且つその両端が開放された第1の冷却用空気流路を形成し、かつ前記第2空間が、隣接する2つのヒートパイプの全長長手方向にわたって設けられ且つその両端が開放された第2の冷却用空気流路を形成し、
前記複数の板状フィンは、前記ベース部の平面のほぼ全面且つ当該平面に対して略垂直に設けられ、
熱源が前記第1プレート材に接続される部分は、前記第1のプレート材の面積よりも小さい部分、又は前記第1プレート材の面の端部の部分であり、
前記複数のヒートパイプのいずれもが、前記ベース部の上記側壁の長手方向に亘って設けられ、かつ前記ヒートパイプの端が、それぞれ前記第1のプレート材の端面および前記第2のプレート材の端面に到達する長さで配設され、
前記ヒートパイプによって前記ベース部の長手方向に沿って前記第2プレート材の一端面から他端面まで熱が移動されることにより、熱源の熱が、前記熱源が前記第1のプレート材に接続される部分から、前記ベース部のほぼ全体に分散し、前記第1のプレート材の裏面の第2のプレート材を均熱化させ、
前記ベース部が均熱化した状態で、前記ベース部の前記第2のプレート材に設けられた前記複数の板状フィンから放熱されることを特徴とするヒートシンク。」(下線は当審にて付与、以下同じ。)

なお、請求項1における下線部は「第2のプレート」と記載されているが、「第2のプレート材」の誤記であることが明らかであるから、上記のように認定した。

3.引用刊行物とその記載事項
(1)当審において通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)にて引用した、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第5283715号明細書(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

ア.「FIG. 1 is a perspective view of the circuit board heat pipe assembly of the invention. FIG. 2 is a sectional view taken along the line 2-2 in FIG. 1 showing the interior of the heat pipe. The circuit board is comprised of a copper baseplate 10 with a thermally conductive dielectric layer 11 bonded to baseplate 10 in the portion of the baseplate upon which components are mounted. A copper circuit layer 12, shown in FIG. 2 is placed over the thermally conductive dielectric layer, and etched to provide lands for electrically connecting surface-mounted components such as components 13 and 14. FIG. 1 shows that the copper baseplate 10 extends considerably beyond the baseplate portion in which the surface mounted components are located. In the configuration of FIG. 1, baseplate 10 extends in two directions, along two sides, in order that heat generated in the components 13 and 14 located over the evaporator section 16 can be dissipated in the condensor sections 15 and 17. Cooling fins 18 and 19 are provided over which cooling fluid can pass to remove heat from the circuit card/heat pipe assembly.
In the sectional view shown in FIG. 2, a series of heat pipes 20 are shown directly underlaying the copper baseplate 10 which forms the top of the heat pipe assembly. The series of heat pipes 20 are held within a frame 21.」(明細書第2欄第21行?第46行)
当審仮訳(以下、同じ):
図1は、本発明の回路基板ヒートパイプ組立体の斜視図である。図2は図1の線2-2に沿った断面図であって、ヒートパイプの内部を示す。回路基板は銅製のベースプレート10からなり、ベースプレート10にはコンポーネントが実装される部位に熱伝導性の電気絶縁体層11が積層されている。前記電気絶縁層11の上には、図2に示すように銅層12が積層され、該銅層12には、図1に示される表面実装コンポーネント13、14を接続するランドがエッチングにより形成されている。図1に示すように、銅製ベースプレート10は実装コンポーネントが存在する領域を大きく超えて延出している。図1の例では、ベースプレート10は、蒸発器部16上部に位置するコンポーネント13、14の発熱を凝縮器部15、17へ拡散できるように、両側から両方向に延びている。冷却流体が流れてカード状の回路基板ヒートパイプ組立体からの熱を除去できるように、冷却フィン18,19が設けられている。
図2に示す断面図では、並列に並べられたヒートパイプ20が、ヒートパイプ組立体の頂部を構成するベースプレート10の下部に直接配置されている。前記並列ピートパイプ20はフレーム21内に保持されている。

イ.「FIG. 5 is an alternative arrangement to the construction shown in FIG. 1 for the circuit board heat pipe assembly. In FIG. 5, copper baseplate 10 extends beyond the dielectric layer 11 which corresponds to the component portion of the board, that is, the evaporating area 16, to a condensing area 15. Fins 18 and 18' are located on either side of the copper baseplate 10 in cooling area 15.」(明細書第3欄第36行?第43行)
図5には、図1で示した回路基板ヒートパイプ組立体の構成の変形例を示している。図5の例では、銅製ベースプレート10は、蒸発器部16の領域から凝縮器部15の領域まで、基板のコンポーネント配置位置に対応した電気絶縁層11より延在している。冷却領域15に位置する銅製ベースプレート10両面には、フィン18、18’が設けられている。

ウ.図1、2、4、5には、次の事項が図示されている。
・ベースプレート10及びフレーム21が内部に複数のヒートパイプ20を収納するケースを構成していること(図2)
・フレーム21が側壁部および底面部を形成するU字形の板材であり、ベースプレート10がケースの上面部を形成する平らな板材であること(図2)
・ベースプレート10及びフレーム21が平坦かつ略均一厚の板材であり、偏平型ヒートパイプ20の上面部及び底面部がベースプレート10及びフレーム21により挟まれて接続していること(図2)
・複数の冷却フィン18、19を構成する複数の板状フィンが、フレーム21の外平面の凝縮器部領域に、該外平面に対して略垂直にかつ長手方向に並列に設けられていること(図1)
・複数の冷却フィン18、18’を構成する複数の板状フィンが、ベースプレート10及びフレーム21の両外平面の凝縮器部領域に、該外平面に対して略垂直にかつ長手方向に並列に設けられていること(図5)
・ヒートパイプ20は、ベースプレート10及びフレーム21の内平面の長手方向に互いに並べて、厚み方向に単層で配置され、かつフレーム21の側壁部の長手方向に亘って設けられていること(図1、2、4、5)
・ヒートパイプ20の端が、それぞれ前記ベースプレート10の端面および前記フレーム21の端面に到達する長さで配設されていること(図4)
・コンポーネント13、14が前記ベースプレート10に実装される領域は、ベースプレート10も面積よりも小さく、かつ端部の蒸発器部16であること(図5)

エ.蒸発器部及び凝縮器部を有するヒートハイプの作動原理、並びに、金属板の熱拡散現象を踏まえると、図5に示されたヒートパイプ組立体は、次の作用を有するものであることが、当業者に理解される。
・ヒートパイプ20とベースプレート10及びフレーム21が熱的に接続していること
・冷却フィン18、18’を構成する前記複数の板状フィンは、ベースプレート10及びフレーム21と熱的に接続していること
・ヒートパイプ20によってケースの長手方向に沿って前記フレーム21の一端面から他端面まで熱が移動されることにより、コンポーネント13、14の熱が、前記コンポーネント13、14がベースプレート10の上部に実装される部分から、前記ケースのほぼ全体に分散し、前記ベースプレート10の裏面のフレーム21を均熱化させ、前記ケースが均熱化した状態で、前記冷却フィン18、18’を構成する複数の板状フィンから放熱されること

上記記載事項ア、イ、図示内容ウ、認定事項エを総合すると、刊行物1には図5対応の発明として、次の発明(以下「刊行物1記載の発明」という)が記載されているものと認められる。

「内部に複数のヒートパイプ20を収納するベースプレート10及びフレーム21から構成されるケースと、複数の板状フィンを並列に設けてベースプレート10及びフレーム21に熱的に接続された複数の冷却フィン18、18’とからなり、
前記ケースが、コンポーネント13、14と熱的に接続されるベースプレート10と、前記冷却フィン18が設けられたフレーム21とからなっており、前記ベースプレート10及びフレーム21が平坦かつ略均一厚の板材からなり、前記複数のヒートパイプ20が前記ベースプレート10及びフレーム21により挟まれて熱的に接続されており、前記フレーム21が側壁部および底面部を形成するU字形の板材であり、ベースプレート10がケースの上面部を形成する平らな板材からなっており、
前記冷却フィン18、18’はベースプレート10及びフレーム21の両外平面に設けられ、
前記複数のヒートパイプ20が、ベースプレート10とフレーム21の間の厚み方向に単層で配置され、ベースプレート10の内平面の長手方向に互いに並べられた偏平型ヒートパイプ20であり、前記偏平型ヒートパイプ20の上面部が前記ベースプレート10に熱的に接続し、前記偏平型ヒートパイプ20の底面部が前記フレーム21の底面部に熱的に接続され、
前記複数の冷却フィン18、18’を構成する複数の板状フィンは、ベースプレート10及びフレーム21の両外平面の凝縮器部領域に、該外平面に対して略垂直に設けられ 、
前記コンポーネント13,14が前記ベースプレート10に実装される領域は、ベースプレート10も面積よりも小さく、かつ端部の蒸発器部16であり、
前記ヒートパイプ20のいずれもが、前記フレーム21の側壁部の長手方向に亘って設けられ、前記ヒートパイプ20の端が、それぞれ前記ベースプレート10の端面および前記フレーム21の端面に到達する長さで配設され、
前記ヒートパイプ20によってケースの長手方向に沿って前記フレーム21の一端面から他端面まで熱が移動されることにより、コンポーネント13、14の熱が、前記コンポーネント13、14がベースプレート10の上部に実装される部分から、前記ケースのほぼ全体に分散し、前記ベースプレート10の裏面のフレーム21を均熱化させ、前記ケースが均熱化した状態で、前記複数の冷却フィン18、18’を構成する複数の板状フィンから放熱されるヒートパイプ組立体。」

(2)当審拒絶理由にて引用した、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-110074号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

オ.「【0018】このような構成により、プレート型ヒートパイプ9の左右側には、同ヒートパイプ9の両側面と、第一放熱プレート5及び第二放熱プレート7の両端部7bとによって画成される流路13が形成される。
【0019】この薄型放熱器1における発熱部品11の放熱作用について説明する。発熱部品11の熱は、まず、同発熱部品11が取り付けられているベース板3の部分に伝わる。ベース板3は熱伝導性の高い材料で作製されているため、伝えられた熱は、ベース板3の全面に広がりながら同ベース板3が取り付けられている第一放熱プレート5にも伝わる。そして、第一放熱プレート5に伝えられた熱は、第一放熱プレート5の全面に拡散されて放熱するとともに、同第一放熱プレート5に取り付けられているプレート型ヒートパイプ9にも伝わる。
【0020】プレート型ヒートパイプ9に伝えられた熱は、同ヒートパイプ9内の細孔の方向に沿って放熱部9aに移動する。放熱部9aには、第二放熱プレート7が取り付けられており、移動した熱はこの第二放熱プレート7に伝わり、両端部7bにも拡がりながら放熱する。さらに、流路13の一方(図の下方)には図示せぬファン等の送風機器が設置されており、流路13には、図の矢印で示すように、図の下方から上方への気流が生じる。この気流により両放熱プレート5、7からの放熱作用が促進される。」(段落【0018】?【0020】)

カ.「【0022】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る薄型放熱器の構造を説明する図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は正面図、図2(C)は側面図である。この例の薄型放熱器21は、図1の薄型放熱器とほぼ同様の構成であるが、2枚のプレート型ヒートパイプを備える。すなわち、発熱部品31が取り付けられるベース板23と、第一放熱プレート25と、第二放熱プレート27と、2枚のプレート型ヒートパイプ29-1、29-2とから構成される。図中の符号30は、プレート型ヒートパイプ29に作動流体を注入するための管である。
【0023】プレート型ヒートパイプ29は、図1の薄型放熱器のプレート型ヒートパイプより横幅が狭く、この例では横が19mmである。プレート型ヒートパイプ29は、第一放熱プレート25の中央付近に、ほぼ平行となるように配置される。この例では、配置間隔は13mmである。そして、これらのプレート型ヒートパイプ29も一部が発熱部品31と重なるように配置される。
【0024】この例の薄型放熱器21は、空気の流路33が、左側のプレート型ヒートパイプ29-1の左方、両プレート型ヒートパイプ29-1、29-2の間、右側のプレート型ヒートパイプ29-2の右方の3ヶ所に形成される。したがって、各放熱プレート25、27からの放熱作用をより促進させることができる。さらに、2枚のプレート型ヒートパイプ29を使用していることにより、発熱部品31からの熱の輸送作用をより高めることができる。」(段落【0022】?【0024】)

(3)当審拒絶理由にて引用した、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-267771号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

キ.「【0023】CPU15及びCPU以外の発熱素子16で発生した熱は、それぞれに接続された柔軟熱伝導部材17、18を介してダクト9の下壁面21に熱伝導される。ダクト9内は、ファン4によって空気が流通しており、下壁面21に伝熱された熱の一部が流通するダクト内の空気と熱交換される。ダクト9の壁面21、22、25は、高熱伝導性の材料であるため、ダクト壁内で熱拡散が行われ効率よくダクト内空気と熱交換する。」(段落【0023】)

ク.「【0030】図5において、ダクト9を構成する上下壁面22、21との間に単数もしくは複数のヒートパイプ30を設け、下壁面21と上壁面22とをヒートパイプ30を介して熱的に接続したものである。上下壁面22、21とヒートパイプ30との接続は、ヒートパイプ30の長手方向の全長にわたってなされるのが望ましい。このヒートパイプは、上下壁面22、21にかしめるか、熱伝導性の高い接着剤で固定しても良い。
【0031】本実施例によれば、ヒートパイプ30によって、下壁面21から上壁面22への伝熱が効率良く行え、下壁面21に伝熱された熱が、上壁面22に小さい熱抵抗で伝わる。さらに、ダクト9の長手方向への熱拡散が速やかに行われるとともに、ダクト9内の表面積がヒートパイプ30自体によっても拡大されているので、ダクト内の空気との熱交換が効率よく行える。」(段落【0030】?【0031】)

4.対比
本願発明と刊行物1記載の発明を対比すると、刊行物1記載の発明の「ベースプレート10」は本願発明の「第1のプレート材」に相当し、以下同様に「フレーム21」は「第2のプレート材」に、「ベースプレート10及びフレーム21から構成されるケース」は「ベース部」に、「設けて」は「配置されて」に、「冷却フィン18」は「フィン部」に、「コンポーネント13、14」は「熱源」に、「前記ベースプレート10及びフレーム21が平坦かつ略均一厚の板材からなり」は「前記第1のプレート材と前記第2のプレート材とが、溝部又は孔部が形成されてない平坦部分のあるプレート面を有する略均一厚の板材からなり」に、「前記複数のヒートパイプ20が前記ベースプレート10及びフレーム21により挟まれて熱的に接続されており」は「前記複数のヒートパイプが、前記第1のプレート材の平坦部分のあるプレート面と前記第2のプレート材の平坦部分のあるプレート面とによって挟まれて、それらに熱的に接続されており」に、「フレーム21の外平面」は「第2のプレート材のプレート面」に、「単層で配置され」は「単層構造であり」に、「ベースプレート10の内平面の長手方向」は「プレート面方向」に、「前記偏平型ヒートパイプ20の上面部が前記ベースプレート10に熱的に接続し、前記偏平型ヒートパイプ20の底面部が前記フレーム21の底面部に熱的に接続され」は「前記偏平型ヒートパイプの上面部が前記第2のプレート材に熱的に接続し、前記偏平型ヒートパイプの底面部が前記第1のプレート材に熱的に接続され」に、「複数の冷却フィン18、18’を構成する複数の板状フィン」は「複数の板状フィン」に、「実装される領域」は「接続される部分」に、「ヒートパイプ組立体」は「ヒートシンク」に、各々相当する。

また、刊行物1記載の発明における「内部に複数のヒートパイプ20を収納するベースプレート10及びフレーム21から構成されるケース」と本願発明における「その内部に複数のヒートパイプ、および、前記ヒートパイプの周辺部の一部に形成された空間部を有するベース部」とは、共に「その内部に複数のヒートパイプを収納するベース部」といえる。

同様に、刊行物1記載の発明における「前記複数の冷却フィン18、18’を構成する複数の板状フィンは、ベースプレート10及びフレーム21の両外平面の凝縮器部領域に、該外平面に対して略垂直に設けられ」と本願発明における「前記複数の板状フィンは、前記ベース部の平面のほぼ全面且つ当該平面に対して略垂直に設けられ」とは、共に「前記複数の板状フィンは、前記ベース部の平面に且つ当該平面に対して略垂直に設けられ」といえる。

したがって、両者の一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
その内部に複数のヒートパイプを収納するベース部と、複数の板状フィンが並列に配置されて前記ベース部に熱的に接続されたフィン部とからなり、
前記ベース部が、熱源と接続される第1のプレート材と、前記フィン部が熱的に接続される第2のプレート材とからなっており、前記第1のプレート材と前記第2のプレート材とが、溝部又は孔部が形成されてない平坦部分のあるプレート面を有する略均一厚の板材からなり、前記複数のヒートパイプが、前記第1のプレート材の平坦部分のあるプレート面と前記第2のプレート材の平坦部分のあるプレート面とによって挟まれて、それらに熱的に接続されており、
前記第2のプレート材が、前記ベース部の側壁部および底面部を形成するU字形の板材からなっており、前記第1のプレート材が、前記ベース部の上面部を形成する平らな板材からなっており、
前記フィン部は、前記第2のプレート材のプレート面に形成され、
前記複数のヒートパイプが、前記第1のプレート材と前記第2のプレート材との間の厚み方向に単層構造であり、プレート面方向に互いに並べられた偏平型ヒートパイプからなっており、前記偏平型ヒートパイプの上面部が前記第2のプレート材に熱的に接続し、前記偏平型ヒートパイプの底面部が前記第1のプレート材に熱的に接続され、
前記複数の板状フィンは、前記ベース部の平面に且つ当該平面に対して略垂直に設けられ、
熱源が前記第1プレート材に接続される部分は、前記第1のプレート材の面積よりも小さい部分、又は前記第1プレート材の面の端部の部分であり、
前記複数のヒートパイプのいずれもが、前記ベース部の上記側壁の長手方向に亘って設けられ、かつ前記ヒートパイプの端が、それぞれ前記第1のプレート材の端面および前記第2のプレート材の端面に到達する長さで配設され、
前記ヒートパイプによって前記ベース部の長手方向に沿って前記第2プレート材の一端面から他端面まで熱が移動されることにより、熱源の熱が、前記熱源が前記第1のプレート材に接続される部分から、前記ベース部のほぼ全体に分散し、前記第1のプレート材の裏面の第2のプレート材を均熱化させ、
前記ベース部が均熱化した状態で、前記ベース部の前記第2のプレート材に設けられた前記複数の板状フィンから放熱されるヒートシンク。

(相違点1)
本願発明においては、「ヒートパイプの周辺部の一部」に「ベース部の上面部、側壁部および底面部によって画定される空間部」を形成し、「前記空間部は、1つの前記ヒートパイプの側面と前記ベース部の前記側壁部によって形成された第1空間と、隣接する2つの前記ヒートパイプ間に形成された第2空間とで構成され、前記第1空間が、前記側壁部に沿って前記ベース部の上記側壁に沿って設けられ且つその両端が開放された第1の冷却用空気流路を形成し、かつ前記第2空間が、隣接する2つのヒートパイプの全長長手方向にわたって設けられ且つその両端が開放された第2の冷却用空気流路を形成」しているのに対し、刊行物1記載の発明においては、かかる冷却用空気流路としての空間部を有していない点。

(相違点2)
「板状フィン」の設置面及び設置位置が、本願補正発明においては「第2のプレート材」のみであり、かつ、「ベース部の平面のほぼ全面」に設けられているのに対し、刊行物1記載の発明においては「ベースプレート10(第1のプレート材)及びフレーム21(第2のプレート材)」の両者に、かつ、「凝縮器部15領域」のみに設けられている点。

5.判断
そこで、上記各相違点につき検討する。

(相違点1について)
発熱素子を冷却するヒートパイプを用いたヒートシンクの技術分野において、冷却作用を促進するために「2枚の伝熱板間に複数のヒートパイプを並列に設け、端部に位置するヒートパイプ外側及び隣接する2つの前記ヒートパイプ間に冷却空気を流す流路を形成する」ことことは、刊行物2、3記載のように周知の技術手段である。

よって、側壁部を有するケース内に複数のヒートパイプを長手方向に並べて収納している刊行物1記載の発明において、熱源の冷却効果を高めるために冷却空気流路として、「両端が開放され、ヒートパイプの側面と前記ベース部の前記側壁部によって形成された第1空間」及び「両端が開放され、隣接する2つの前記ヒートパイプ間に形成された第2空間第2空間」を形成することは、上記周知の技術手段に倣って、当業者が、容易になしえた事項である。

(相違点2について)
ヒートパイプを用いた冷却装置である限り、ヒートパイプを効率よく作動させるためには冷却フィン等を設けてヒートパイプ凝縮部を積極的に冷却する必要があることは当業者の技術常識である。そして、刊行物1に凝縮部における冷却フィンの設置面として、「ベースプレート10(第1のプレート材)及びフレーム21(第2のプレート材)」(図5:刊行物1記載の発明)、及び「フレーム21(第2のプレート材)のみ」(図1)の二つの形態が記載されているように、凝縮部に冷却フィンを設置する際の設置面は、熱源冷却に必要となる冷却能力やその他の設置条件に応じて選択可能である。

さらに、冷却フィンの設置位置はヒートパイプの長手方向に関してみても、実願昭50-95164号(実開昭52-10776号)のマイクロフィルム(第2図参照)や特開平10-209355号公報(段落【0018】?【0019】、【0027】、図19、20参照)に「放熱板のヒートパイプが取り付けられる平面とは逆の平面(ベース部の平面)全体に放熱フィンを設ける」ことが記載されているように、その設置位置を設置面全面にわたるものとすることも、熱源冷却に必要となる冷却能力に応じて、当業者が、適宜選択しえた事項といえる。

よって、刊行物1記載の発明において、「板状フィン」の設置面、位置を「第2のプレート材」のみ、かつ、「ベース部の平面のほぼ全面」に設けることは、熱源冷却に必要となる冷却能力やその他の設置条件に応じて、当業者が、適宜なしえた事項である。

また、本願発明により得られる効果も、刊行物1記載の発明及び上記周知の技術手段から、当業者であれば、予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

6.結び
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1記載の発明及び上記周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-30 
結審通知日 2013-02-01 
審決日 2013-02-15 
出願番号 特願2009-132124(P2009-132124)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F28D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤原 直欣西山 真二  
特許庁審判長 竹之内 秀明
特許庁審判官 前田 仁
平上 悦司
発明の名称 ヒートパイプを備えたヒートシンクおよびその製造方法  
代理人 宮城 康史  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 茜ヶ久保 公二  
代理人 住吉 秀一  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ