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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20129701 | 審決 | 特許 |
不服201217207 | 審決 | 特許 |
不服201126373 | 審決 | 特許 |
不服20127054 | 審決 | 特許 |
不服2012475 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E04B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1272356 |
審判番号 | 不服2011-26007 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-12-01 |
確定日 | 2013-04-05 |
事件の表示 | 特願2006-258133「インサート」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 4月 3日出願公開、特開2008- 75396〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成18年9月22日の出願であって,平成23年9月6日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月1日受付で拒絶査定不服審判がなされると共に,同時に手続補正がなされた。 その後,平成24年6月4日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年7月13日受付で回答書が提出されたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成23年12月1日受付の手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容・目的 平成23年12月1日受付の手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲について,補正前(平成23年3月15日受付の手続補正書参照。)の請求項1を,以下のように補正することを含むものである。 「コンクリート内に埋設され、ボルト体が取着されるインサートであって、 コンクリート面から離間して設けられ、ボルト体が螺着される螺着部と、 コンクリート打設時にコンクリート型枠に当接するとともに前記型枠除去後はコンクリート面に露出する当接面と、 前記当接面に設けられ、前記ボルト体の端部を前記当接面側から前記螺着部側に挿入可能で、前記螺着部より大きい開口を有する挿入口と、 前記挿入口と前記螺着部との間に傾斜して設けられ、前記ボルト体の端部が前記挿入口から挿入された際、前記ボルト体の端部を前記螺着部に向けて移動させるべく案内する案内面とを備え、 前記案内面は、挿入した前記ボルト体の端部が前記挿入口から外れにくくなるよう該挿入口の周端部において急に深くなる半球殻状、椀状、ドーム状等の、挿入口から離間する側に凸となる湾曲面に形成されたことを特徴とするインサート。」 上記補正事項は,請求項1に係る発明の特定事項の一部である,「湾曲面」に「挿入した前記ボルト体の端部が前記挿入口から外れにくくなるよう該挿入口の周端部において急に深くなる」という事項を付加し限定したものと認められるから,本件補正は,少なくとも,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。 そこで,本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか,すなわち,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしているか,について以下に検討する。 2.独立特許要件違反(特許法第29条第2項違反) 2-1.引用刊行物 (1)刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,実願昭55-29770号(実開昭56-130507号)のマイクロフィルム(以下,「刊行物1」という。)には,図面と共に,次の記載がある。(下線は,当審にて付与。) (1a)「上端部に鍔を設けて下面中心にねじ孔を装設した金属製の棒状本体と、中央部下方に吊りボルト通孔を設けて肉部には少なくとも下方を開口する数個の縦の長い釘孔を適当間隔に装設した合成樹脂製の縦の受筒と、数本の頭なし釘とよりなり、その受筒に本体を鍔まで圧入し、数個の釘孔に頭なし釘をそれぞれ圧入して該釘の下方先端部を突出させると共に、上記釘を本体の鍔の下方に位置させてなるコンクリート構築用インサート。」(実用新案登録請求の範囲) (1b)「第1図乃至第5図に示す本考案の1実施例についてその構造を説明すれば、(a)はコンクリート構築用インサートを示し、(1)はインサート(a)の鉄等金属製の棒状本体で、上端部に鍔(2)を設けて下面中心にねじ孔(3)を装設する。(4)は合成樹脂製の受筒体、(5)は受筒体(4)の縦の受筒で、両側部を張出し(6)して両側部の肉厚を厚くなし、その下端に外方へ張出す円形の座板(7)を、該座板(7)の周縁下方に下方が拡開したラツパ状のスカート(8)をそれぞれ一体に設け、その受筒体(4)の受筒(5)の下方にはそれに連通して下方が拡開するテーパーの吊りボルト通孔(9)を同心に装設し、両側には張出し(6)した厚肉部から座板(7)にわたつて下方を開口した釘孔(10)を設ける。而して第1図に示すように受筒体(4)の受筒(5)に本体(1)をその鍔(2)まで、両側の釘孔(10)にはその頂部まで頭なし釘(11)をそれぞれ圧入すると共に、該釘(11)を鍔(2)の下方に位置させてその先端部を適当長さ下方へ突出させそれらを一体に固定してインサート(a)を構成する。 (12)はコンクリート構築物の床、(13)はその下面を形成するコンクリート型枠の堰板、(14)は天井等の吊りボルトで、その上端部にはねじ(15)を装設する。 次にその使用法を説明する。コンクリート構築時において、スラブ等の下面のコンクリート型枠を組立てた後、第4図に示すように堰板(13)の所要箇所上にインサート(a)を立ててその鍔(2)の上面をハンマ等で叩けば、その打撃が鍔(2)から受筒体(4)を介して釘(11)に伝達され釘(11)が堰板(13)に打込まれてインサート(a)は下降する。而して、インサート(a)のスカート(8)が堰板(13)に当つた後はそのスカート(8)が弾力に抗して拡開しながらインサート(a)は下降し座板(7)が堰板(13)に接着して固定すると共に、スカート(8)が弾性により堰板(13)の接触面に応じて適宜に変形し弾力的に密着してインサート(a)の下方部を密封状態になす。 そこで第4図に示すようにコンクリートを打設して床(12)を構成すれば、そのモルタルはスカート(8)により受止められてインサート(a)の下方部に入り込むことなくインサート(a)は床(12)内に埋没する。その後型枠を解体して堰板(13)を除去すると、インサート(a)の釘(11)は釘孔(10)から抜け出し堰板(13)と一体で取除かれて第5図に示すように床(12)内にはインサート(a)の本体(1)と受筒体(4)のみ残留する。 次いで第5図に示すように吊りボルト(14)の上端ねじ(15)をねじ孔(3)にねじ込んで吊りボルト(14)をインサート(a)に固定し、その後吊りボルト(14)の下端部に取付金具で任意に天井、配管、電線導管等を固定してそれらを吊持ちする。」(明細書第2頁第9行?第4頁第16行) (1c)上記記載事項(1b)を参照して,第5図をみると,インサート(a)は,コンクリート内に埋設され,吊りボルト(14)が取着され,ねじ孔3は,コンクリート面から離間して設けられていることが明らかであり,また第4,5図をみると,スカート8は,堰板13に当り拡開してコンクリート打設時に堰板13に当接するとともに前記堰板13除去後はコンクリート面に露出していることが明らかであり,さらに第1,4,5図をみると,下方が拡開するテーパーの吊りボルト通孔9は,上端がねじ孔3の下端に位置していてねじ孔3と略同径で,吊りボルト14が挿入される下方が拡開している円錐台状となっており,吊りボルト14の上端ねじ15が下方から挿入された際,吊りボルト14の上端ねじ15をねじ孔3に向けて移動させるべく案内する直線状の案内面となっていることがみてとれる。 これら記載事項(1a)乃至(1c)及び図面の記載から,刊行物1には,次の発明が記載されているものと認められる。 「コンクリート内に埋設され,吊りボルト(14)が取着されるインサート(a)であって, 上端部に鍔(2)を設け,下面中心にねじ孔(3)を装設する棒状本体(1)と,両側部を張出し(6)して両側部の肉厚を厚くなした縦の受筒(5),その下端に外方へ張出す円形の座板(7),該座板(7)の周縁下方に下方が拡開したラッパ状のスカート(8)をそれぞれ一体に設け,受筒(5)の下方にはそれに連通して下方が拡開するテーパーの吊りボルト通孔(9)を同心に装設するとともに,両側に張出し(6)した厚肉部から座板(7)にわたつて下方を開口した釘孔(10)を設けた受筒体(4)からなり, 受筒体(4)の受筒(5)に本体(1)をその鍔(2)まで,両側の釘孔(10)にはその頂部まで頭なし釘(11)をそれぞれ圧入すると共に,該釘(11)を鍔(2)の下方に位置させてその先端部を適当長さ下方へ突出させそれらを一体に固定して構成するもので, 前記吊りボルト(14)の上端ねじ(15)がねじ込まれる棒状本体(1)のねじ孔(3)は,コンクリート面から離間して設けられ, 前記スカート(8)は,コンクリート打設時に堰板(13)に当接するとともに前記堰板(13)除去後はコンクリート面に露出し, 前記下方が拡開するテーパーの吊りボルト通孔(9)は,上端がねじ孔(3)の下端に位置していてねじ孔(3)と略同径で,円錐台状となっており,吊りボルト(14)の上端ねじ(15)が下方から挿入された際,吊りボルト(14)の上端ねじ(15)をねじ孔(3)に向けて移動させるべく案内する直線状の案内面となっているインサート。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。) (2)刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,実願平4-32178号(実開平6-20606号)のCD-ROM(以下,「刊行物2」という。)には,図面と共に,次の記載がある。 (2a)「【請求項1】支持具主体1のテーパ状のパイプ軸2において、 上記パイプ軸2の型枠に取り付ける側に漏斗状の底面5を形成し、該パイプ軸2には軸方向に貫通する貫通孔4aを設けるとともに、該底面5とは反対側にインサート8が係合される段部3を有する上側軸4を形成し、該上側軸4にインサート8を嵌着した後、該上側軸4を覆うカバーリング7を嵌着することを特徴とするコンクリート埋設具。」 (2b)「【0008】 図1において、1はポリエチレン等の合成樹脂により一体形成された支持具主体であって、先端側が正漸次小径となるテーパ状でパイプ軸2の下端側に漏斗状の底面5を形成している。また、該パイプ軸2には軸方向に貫通する貫通孔4aを有するとともにインサート8が、上側から嵌着係合される段部3を有する上側軸4を形成し、該上側軸4にインサート8とカバーリング7とを嵌着して上記貫通孔4aに釘9を打込み、型枠10に取付けるように構成されている。 【0009】 本考案の実施例において、使用される釘9はその釘頭部の大きさを支持具主体1の上側軸4の全周壁を覆うとともに、カバーリング7の内径より若干小さくするようになっている。上記のカバーリング7は硬質合成樹脂材あるいは金属材であることが好ましい。なお、底面5の形状は、漏斗状であれば、直線状あるいは、曲線状のいずれでも構わない。 【0010】 コンクリート内に上記インサート8を埋設する方法について説明する。 【0011】 まず、構築物等のコンクリートを打設する前に型枠10の所定の位置に支持具主体1を位置決めする。次に、該上側軸4にインサート8を通し、段部3にインサート8を係止し、カバーリング7をインサート8と接触しつつ上側軸4の端側を覆うように嵌着する。その後、上記上側軸4の貫通孔4aに釘9を打込んで型枠10に取付け、コンクリートを打設し、硬化後に型枠10を取外す。そして、次に適当な工具で釘9を抜取れば支持具主体1はコンクリートから抜取られ、インサート8と支持具主体1はコンクリート内の所定の深さに埋設される。 【0012】 本考案は前述された如く、テーパ状からなる支持具主体1のパイプ軸2の下側に漏斗状の底面5を形成し、且つ該上側にはインサート8が嵌着係合する段部3を形成した上側軸4にインサート8とカバーリングとを嵌着した支持具主体1をコンクリート打設する前に型枠10の所定の個所に位置させたのち、上記上側軸4の貫通孔4aに一つの釘9を打込むことにより型枠10に取付け、釘9を抜き取るという簡単な作業により、コンクリート構築物等のコンクリート面に必要な深さにインサート8を埋設することができる。」 (2c)上記記載事項(2b)を参照して,図3,4をみると,漏斗状の底面5は,型枠側の開口が大きく該大きな開口から離間する側に凸の漏斗状の開口部を形成し,形成された開口部は,ボルト体の端部が大きな開口から挿入された際,前記ボルト体の端部をインサートの螺着部に向けて移動させるべく案内する案内面となることがみてとれる。 これら記載事項(2a)乃至(2c)及び図面の記載から,刊行物2には,次の発明が記載されているものと認められる。 「軸方向に貫通する貫通孔4aを設けたテーパ状のパイプ軸2の,型枠に取り付ける側に,型枠側の開口が大きく該大きな開口から離間する側に凸に形成された漏斗状で曲線状とした形状の底面5を形成し,該底面5とは反対側の上側軸4に,螺着部を有するインサート8を嵌着するコンクリート用埋設具であって,底面5は,型枠側の開口が大きく該大きな開口から離間する側に凸の漏斗状で曲線状とした形状の開口部を形成し,該形成された開口部は,ボルト体の端部が大きな開口から挿入された際,前記ボルト体の端部をインサートの螺着部に向けて移動させるべく案内する案内面となるコンクリート用埋設具。」(以下,「刊行物2記載の発明」という。) 2-2.補正発明と刊行物1記載の発明との対比 補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると, 刊行物1記載の発明の「吊りボルト(14)」が補正発明の「ボルト体」に相当しており,以下同様に, 「ねじ孔(3)」が「螺着部」に, 「堰板(13)」が「コンクリート型枠」に, 「スカート(8)」が「当接面」に, 「吊りボルト通孔(9)」の「吊りボルト(14)が挿入される下方」が,「挿入口」に, それぞれ相当している。 また,刊行物1記載の発明の「上端がねじ孔(3)の下端に位置していてねじ孔(3)と略同径で,円錐台状となっており,吊りボルト(14)の上端ねじ(15)が下方から挿入された際,吊りボルト(14)の上端ねじ(15)をねじ孔(3)に向けて移動させるべく案内する直線状の案内面となっている」「下方が拡開するテーパーの吊りボルト通孔(9)」と,補正発明の「挿入口と前記螺着部との間に傾斜して設けられ、前記ボルト体の端部が前記挿入口から挿入された際、前記ボルト体の端部を前記螺着部に向けて移動させるべく案内」し,「挿入口から離間する側に凸に形成された」「案内面」とは,「挿入口と螺着部との間に傾斜して設けられ、ボルト体の端部が前記挿入口から挿入された際、前記ボルト体の端部を前記螺着部に向けて移動させるべく案内する案内面」で共通する。 したがって,両者は,以下の点で一致している。 「コンクリート内に埋設され,ボルト体が取着されるインサートであって, コンクリート面から離間して設けられ,ボルト体が螺着される螺着部と, コンクリート打設時にコンクリート型枠に当接するとともに前記型枠除去後はコンクリート面に露出する当接面と, 前記当接面に設けられ,前記ボルト体の端部を前記当接面側から前記螺着部側に挿入可能で,前記螺着部より大きい開口を有する挿入口と, 前記挿入口と前記螺着部との間に傾斜して設けられ、前記ボルト体の端部が前記挿入口から挿入された際,前記ボルト体の端部を前記螺着部に向けて移動させるべく案内する案内面とを備えたインサート。」 そして,以下の点で相違している。 案内面が, 補正発明は,挿入したボルト体の端部が挿入口から外れにくくなるよう該挿入口の周端部において急に深くなる半球殻状、椀状、ドーム状等の,挿入口から離間する側に凸となる湾曲面であるのに対して, 刊行物1記載の発明は,円錐台状であって直線状の案内面となっている点。 2-3.判断 刊行物1記載の発明及び補正発明の「インサート」と同様にコンクリートに吊りボルト等のボルト体を取着するための「コンクリート用埋設具」に係る,刊行物2記載の発明において,案内面を形成する漏斗状の底面5の形状を,曲線状とすることが記載されており,漏斗状の形状を曲線で形成するには,補正発明のように半球殻状,椀状,ドーム状等の内側が凹状の湾曲面にする場合と,ラッパの開口部のような内に凸状の湾曲面にする場合が想定されるが,いずれを採用するかは設計的事項にすぎず,刊行物1記載の発明の案内面の形状として,挿入したボルト体の端部が挿入口から外れにくくなるよう該挿入口の周端部において急に深くなる半球殻状、椀状、ドーム状等の,挿入口から離間する側に凸となる等の湾曲面を採用することは,当業者が容易に想到し得ることである。 また,補正発明の作用効果も,刊行物1及び2記載の発明から当業者が予測し得る程度のことである。 したがって,補正発明は,刊行物1及び2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.補正の却下の決定のむすび 以上より,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 1.本願発明 平成23年12月1日受付の手続補正は却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成23年3月15日受付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものと認める。 「コンクリート内に埋設され、ボルト体が取着されるインサートであって、 コンクリート面から離間して設けられ、ボルト体が螺着される螺着部と、 コンクリート打設時にコンクリート型枠に当接するとともに前記型枠除去後はコンクリート面に露出する当接面と、 前記当接面に設けられ、前記ボルト体の端部を前記当接面側から前記螺着部側に挿入可能で、前記螺着部より大きい開口を有する挿入口と、 前記挿入口と前記螺着部との間に傾斜して設けられ、前記ボルト体の端部が前記挿入口から挿入された際、前記ボルト体の端部を前記螺着部に向けて移動させるべく案内する案内面とを備え、 前記案内面は、半球殻状、椀状、ドーム状等の、挿入口から離間する側に凸となる湾曲面に形成されたことを特徴とするインサート。」(以下,請求項1に係る発明を,「本願発明」という。) 2.引用刊行物 (1)刊行物1 本願出願前に頒布された,上記刊行物1には,「第2 2.2-1.(1)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。 (2)刊行物2 本願出願前に頒布された,上記刊行物2には,「第2 2.2-1.(2)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願発明は,前記「第2」で検討した補正発明から,「湾曲面」に対する限定事項を省いたものである。 そうすると,本願発明を特定するために必要な事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 2.2-3.」に記載したとおり,刊行物1及び2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,刊行物1及び2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって,本願発明は,刊行物1及び2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-01-23 |
結審通知日 | 2013-01-29 |
審決日 | 2013-02-13 |
出願番号 | 特願2006-258133(P2006-258133) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E04B)
P 1 8・ 575- Z (E04B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小野 忠悦、伊藤 昌哉 |
特許庁審判長 |
高橋 三成 |
特許庁審判官 |
筑波 茂樹 中川 真一 |
発明の名称 | インサート |
代理人 | 宇野 健一 |