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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41M |
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管理番号 | 1272439 |
審判番号 | 不服2012-4114 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-02 |
確定日 | 2013-04-03 |
事件の表示 | 特願2007-504236「有価証券に識別マークを設けるための方法と装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月29日国際公開、WO2005/090088、平成19年11月 1日国内公表、特表2007-530312〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2005年3月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年3月24日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成22年11月25日付けの拒絶理由通知に対して、平成23年4月15日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月2日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に、明細書について手続補正がなされたものである。 その後、平成24年6月5日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったが、指定期間内に回答書は提出されていない。 第2 平成24年3月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [結論] 平成24年3月2日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正後の本願発明 平成24年3月2日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正であり、審判請求書には以下の記載がある。 「(b)補正の根拠の明示 平成24年3月2日付けで提出した手続補正書における、請求項1及び4(補正前の請求項5)について次の2点を補正した。」 上記記載によると、補正後の請求項4に対応する請求項は、補正前の請求項5と認められ、本件補正により、補正後の請求項4(補正前の請求項5)は、以下のように補正された。(下線は審決で付した。以下同様。) <補正前> 「所定領域内の表面に濡れたインキを担持した印刷プレート(6)或いはシリンダ(4)が、前記インキをシート又はウエブ上に移転し、それによってシート又はウエブの対応領域に印刷を行う印刷機において、 前記印刷プレート又はシリンダ上にレーザビームを照射するレーザマーキング装置を含み、 前記レーザマーキング装置の場所は、前記印刷プレート又はシリンダの濡れたインキを担持した所定領域の表面が前記シート又はウエブに接触する直前に、前記レーザビームが前記印刷プレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択されていることを特徴とする印刷機。」 <補正後> 「所定領域内の表面に濡れたインキを担持した凹版印刷プレート(6)或いはシリンダ(4)が、前記インキをシート又はウエブ上に移転し、それによってシート又はウエブの対応領域に印刷を行う凹版印刷機において、 前記凹版印刷プレート又はシリンダ上にレーザビームを照射するレーザマーキング装置を含み、 前記レーザマーキング装置の場所は、前記凹版印刷プレート又はシリンダの濡れたインキを担持した所定領域の表面が前記シート又はウエブに接触する直前に、前記レーザビームが前記凹版印刷プレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択され、前記レーザマーキング装置は前記凹版印刷プレート又はシリンダの表面を拭き取る拭き取り装置(10)の下流側に配置されていることを特徴とする凹版印刷機。」 上記補正は、補正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「印刷プレート」及び「印刷機」について、それぞれ「凹版印刷プレート」及び「凹版印刷機」と限定し、さらに「前記レーザマーキング装置は前記凹版印刷プレート又はシリンダの表面を拭き取る拭き取り装置(10)の下流側に配置されている」ことを限定し、補正後の請求項4とするものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項4に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2 引用刊行物とそれに記載された事項及び発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平10-151722号公報(以下「引用文献」という。)には、図面(特に図1参照)と共に、次の事項が記載されている。 ア 【請求項1】 「表面に形成したセルにインキを充填したグラビアシリンダーと被印刷物とを接触させて被印刷物に対し印刷を行うグラビア印刷装置であって、表面に多数のセルを均一に形成したグラビアシリンダーと、前記グラビアシリンダーのセルにインキを充填するインキ充填手段と、印刷すべき画像に応じて前記インキ充填手段によりインキが充填されたグラビアシリンダーの一部のセルからインキを除去するインキ除去手段と、前記インキ除去手段により一部のセルからインキを除去されたグラビアシリンダーに被印刷物を順次押圧して印刷を行う被印刷物押圧手段と、からなるグラビア印刷装置。」 イ 段落【0001】 「【発明の属する技術分野】この発明は、表面にインキを充填するためのセル(小さな窪み)を形成したグラビアシリンダーを用いて印刷を行うグラビア印刷装置及び方法に関するものである。」 ウ 段落【0002】9?12行 「この印刷においては、グラビアシリンダー上のセルにインキが充填されて、被印刷物に押圧される。これにより、セルに充填されたインキが被印刷物に転写して印刷が行われる。所謂グラビア印刷(凹版印刷)である。」 エ 段落【0027】 「インキ充填手段2は、インキKを貯留し、前記グラビアシリンダー1の一部をこのインキK中に浸漬可能なインキパン20を有する。すなわち、前記グラビアシリンダー1はインキパン20に貯留されたインキK中に一部が浸漬するような位置で回転可能に軸支されている。この状態で、グラビアシリンダー1を図1の矢印A方向に回転させると、グラビアシリンダー1表面のセルCにインキKが充填される。そして、グラビアシリンダー1におけるインキ充填位置の下流側において、前記グラビアシリンダー1の軸線方向に沿って当接するようにドクター21が設けられているので、これによりグラビアシリンダー1の表面にある余分なインキKが掻き取られ、セルC内にのみインキKが充填される。 」 オ 段落【0034】1?4行 「被印刷物押圧手段4は、ロール状の印刷用紙や軟質シート材などからなる被印刷物SをインキKが充填されたグラビアシリンダー1に順次押圧して搬送する圧胴ローラ40からなる。」 カ 段落【0042】 「〔その他の実施の形態〕上記実施の形態では、インキ除去手段3として凸版印刷版30を用いたが、グラビアシリンダー1から適宜、印刷すべき画像に応じて一部のインキKを除去することができれば、別の手段を用いても良い。」 キ 段落【0044】1?3行 「上記以外にも、例えばグラビアシリンダー1上を所定のレーザ光で走査して、余分なインキKを加熱して昇華除去することも考えられる。」 ク 【図1】から、インキ除去手段3は、グラビアシリンダー1の表面が被印刷物Sに接触する位置の上流側でインキを除去していることが看取でき、インキ除去手段3は、ドクター21の下流側に位置していることが看取できる。 上記記載事項からみて、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 「表面に形成したセル(小さな窪み)にインキを充填したグラビアシリンダーとロール状の印刷用紙や軟質シート材などからなる被印刷物とを接触させて被印刷物に対し印刷を行うグラビア印刷(凹版印刷)装置であって、 表面に多数のセルを均一に形成したグラビアシリンダーと、 前記グラビアシリンダーのセルにインキを充填するインキ充填手段と、 印刷すべき画像に応じて前記インキ充填手段によりインキが充填されたグラビアシリンダーの一部のセルからインキを除去するインキ除去手段と、 前記インキ除去手段により一部のセルからインキを除去されたグラビアシリンダーに被印刷物を順次押圧して印刷を行う被印刷物押圧手段と、 からなり、 インキ充填手段は、インキを貯留し、前記グラビアシリンダーの一部をこのインキ中に浸漬可能なインキパンを有し、 インキ除去手段として、グラビアシリンダー上をレーザ光で走査して、余分なインキを加熱して昇華除去する手段を用いても良く、 グラビアシリンダーにおけるインキ充填位置の下流側において、前記グラビアシリンダーの軸線方向に沿って当接するようにドクターが設けられており、これによりグラビアシリンダーの表面にある余分なインキが掻き取られ、セル内にのみインキが充填され、 前記インキ除去手段は、グラビアシリンダーの表面が被印刷物に接触する位置の上流側でインキを除去し、ドクターの下流側に位置している、グラビア印刷装置。」 3 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「グラビア印刷」は「凹版印刷」の一種であるから、引用発明の「グラビアシリンダー」は、本件補正発明の「凹版印刷プレート又はシリンダ」に相当し、又、引用発明の「被印刷物」は「ロール状の印刷用紙や軟質シート材」であるから、本件補正発明の「シート又はウエブ」に相当する。 b 引用発明の「インキ」は、インキパンに貯留される点からみて「濡れたインキ」であることは明らかであり、又、本件補正発明と同様に、グラビアシリンダー(凹版印刷プレート又はシリンダ)の所定領域内に充填(担持)されるものである。 c 引用発明においては、インキ除去手段として、「グラビアシリンダー上をレーザ光で走査して、余分なインキを加熱して昇華除去する手段(以下「レーザ光手段」という。)」を用いても良く、余分なインキを加熱して昇華除去することによって、マーク等の画像を作成することは明らかであり、引用発明の「レーザ光手段」がレーザビームを照射することは言うまでもないから、引用発明の「レーザ光手段」は、本件補正発明の「レーザマーキング装置」に相当する。 d 本件補正発明では、「前記レーザマーキング装置の場所は、前記凹版印刷プレート又はシリンダの濡れたインキを担持した所定領域の表面が前記シート又はウエブに接触する直前に、前記レーザビームが前記凹版印刷プレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択され」ると特定されている。 上記特定事項に言う「直前に」が、凹版印刷プレート又はシリンダの表面がシート又はウエブと接触する位置の上流側となることは明らかである。 他方、引用発明では、インキ除去手段は、「グラビアシリンダーの表面が被印刷物に接触する位置の上流側で、インキを除去し」ているから、本件補正発明と「レーザ光手段」を用いた引用発明とは、レーザビームの照射位置について、印刷プレート又はシリンダがシート又はウエブに接触する位置の上流側に選択されている点で共通する。 ただ、本件補正発明においては、接触する「直前に」と特定されているので、この点は相違点として検討する。 e 本件補正発明の「拭き取り装置」はシリンダの表面を拭き取るものであり、他方、引用発明の「ドクター」は、グラビアシリンダーの表面にある余分なインキを掻き取るものである。 そして、シリンダの表面にあるインキの拭き取り、掻き取りの後には、インキは、本件補正発明では「切欠き内」に残り(本願明細書の段落【0014】2行参照)、引用発明では「セル内」にのみ充填される(引用文献の段落【0027】13行参照)ものである。 即ち、本件補正発明の「拭き取り装置」と引用発明の「ドクタ」とは、凹版の切欠きやセル内にインキを残し、シリンダ表面のインキを除去する装置(以下「表面のインキ除去装置」という。)である点で共通する。 ただ、「拭き取り装置」と「ドクター」とは、用語としても相違するから、この点は相違点として検討する。 f 引用発明の「インキ除去手段」は「ドクターの下流側に位置している」から、インキ除去手段として「レーザ光手段」を用いる場合、「レーザ光手段」が「ドクター」の下流側に配置されるようになることは明らかである。 そして、本件補正発明の「拭き取り装置」と引用発明の「ドクター」とは、上記eのとおり、表面のインキ除去装置である点で共通するから、本件補正発明と引用発明とは、「レーザマーキング装置」を、表面のインキ除去装置の下流側に配置する点で一致する。 なお、表面のインキ除去装置が「拭き取り装置」と「ドクター」であることを相違点として検討することは、上記eのとおりである。 g 引用発明の「グラビア印刷装置」は、「凹版印刷機」と言い換えることができる。 以上の点からみて、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する一方、次の点で相違している。 《一致点》 所定領域内の表面に濡れたインキを担持した凹版印刷プレート或いはシリンダが、前記インキをシート又はウエブ上に移転し、それによってシート又はウエブの対応領域に印刷を行う凹版印刷機において、 前記凹版印刷プレート又はシリンダ上にレーザビームを照射するレーザマーキング装置を含み、 前記レーザマーキング装置の場所は、前記凹版印刷プレート又はシリンダの濡れたインキを担持した所定領域の表面が前記シート又はウエブに接触する上流側で、前記レーザビームが前記凹版印刷プレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択され、前記レーザマーキング装置は前記凹版印刷プレート又はシリンダの表面のインキ除去装置の下流側に配置されている凹版印刷機。 《相違点1》 レーザマーキング装置の場所が、本件補正発明では、シリンダの表面がシートに接触する直前に照射するように選択されているのに対して、引用発明では、シリンダの表面がシートに接触する位置の上流側で照射するように選択されている点。 《相違点2》 表面のインキ除去装置が、本件補正発明では、シリンダの表面を拭き取る「拭き取り装置」であるのに対して、引用発明では、グラビアシリンダーの表面のインキを掻き取るドクターである点。 4 判断 (1)相違点1について 本件補正発明の「直前に」なる特定事項の技術的意義を検討する。 「直前に」なる用語は、請求項1及び請求項1に係る段落【0013】に記載されるだけであり、本願明細書には、「直前に」を定義する記載、或いは、「直前に」が何を意味するか等について、記載はない。 そこで、「レーザマーキング装置」が照射される位置から、「直前に」なる用語の意味を検討する。 「レーザマーキング装置」の照射位置、即ち、「レーザマーキング装置」の配置位置に関して本願明細書を参酌すると、段落【0021】に「本発明は、更に、前述のタイプの有価証券を印刷するための凹版印刷機を提供し、この印刷機は、前記拭き取り装置の下流側で且つ前記版シリンダと、前記基板と、前記圧シリンダとの間の接触ゾーンの上流側において前記版シリンダに対面して配置されたレーザマーキング装置を含む。」との記載がある。 当該記載によれば、レーザマーキング装置は、拭き取り装置の下流側で、且つ、版シリンダと圧シリンダとの接触ゾーンの上流側に配置されているものである。 なお、「版シリンダと圧シリンダとの接触ゾーン」が、シリンダの表面がシートに接触する位置と同義であることは言うまでもない。 さらに、本願の図1を参酌すると、レーザマーキング装置は、拭き取り装置と、シリンダの表面がシートに接触する位置との略中間部分を照射しており、図1からみても、照射が、シリンダの表面がシートに接触する位置の直前に行われるとは到底認められない。 ただ、本願の図1を更に検討すると、レーザマーキング装置と、シリンダの表面がシートに接触する位置との間に、他の装置は何も存在しておらず、この点を以て「直」と言うとも認められる。 結局、本件補正発明の「直前に」の技術的意義は、「レーザマーキング装置」が、拭き取り装置の下流側で、且つ、シリンダの表面がシートに接触する位置の上流側に配置されており、レーザマーキング装置とシリンダの表面がシートに接触する位置との間に他の装置は存在していない、という程度ののものと認められる。 他方、引用発明の「インキ除去手段」(レーザマーキング装置)は、「グラビアシリンダーの表面が被印刷物に接触する位置の上流側で、インキを除去し、ドクターの下流側に位置して」おり、「インキ除去手段」(レーザマーキング装置)とグラビアシリンダーの表面が被印刷物に接触する位置との間に他の装置は存在していない(引用文献の図1参照)。 以上の検討事項からみて、本件補正発明と引用発明とにおいて、「レーザマーキング装置」がシリンダ表面を照射する位置は、相違点と言える程のものではない。 (2)相違点2について 本願明細書には「拭き取り装置」の構造等について具体的記載はない。 ただ、本願の図1において番号10で指示される円形のものを「拭き取り装置」と称しており、この円形の形状からみて、本件補正発明の「拭き取り装置」は、ロール状のインキ除去装置と一応認められる。 ところで、例えば、特開昭61-61856号公報(特に「ワイピングローラ46」)、特開平9-1780号公報(特に、「ドクターブレード61」、「ドクターローラ63」)、特開平6-238875号公報(特に、「調量ローラ9」「ドクターブレード9a」)、実願昭62-51326号(実開昭63-161730号)のマイクロフィルム(特に、「ドクター6」、「ロール・ドクター9」)等に記載されるように、印刷の技術分野において、余分なインキを除去するための手段として、ロール状のインキ除去装置とドクターとは何れも本願の優先権主張日前に周知の技術手段であるから、シリンダの表面から余分なインキを除去するための手段として、ロール状のインキ除去装置、即ち、拭き取り装置を採用することは、当業者が適宜なし得るものと認められる。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、上記各相違点に係る特定事項は、当業者が適宜想到可能なものであり、それにより得られる作用効果も当業者であれば容易に推察可能なものであって、格別なものとは言えない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項5(補正後の請求項4に対応)に係る発明は、平成23年4月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「所定領域内の表面に濡れたインキを担持した印刷プレート(6)或いはシリンダ(4)が、前記インキをシート又はウエブ上に移転し、それによってシート又はウエブの対応領域に印刷を行う印刷機において、 前記印刷プレート又はシリンダ上にレーザビームを照射するレーザマーキング装置を含み、 前記レーザマーキング装置の場所は、前記印刷プレート又はシリンダの濡れたインキを担持した所定領域の表面が前記シート又はウエブに接触する直前に、前記レーザビームが前記印刷プレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択されていることを特徴とする印刷機。」 2 引用刊行物及びその記載事項と発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項と発明は、上記「第2 2」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、「印刷プレート」及び「印刷機」が「凹版印刷プレート」及び「凹版印刷機」であるとの、又、「前記レーザマーキング装置は前記凹版印刷プレート又はシリンダの表面を拭き取る拭き取り装置(10)の下流側に配置されている」との特定事項を省いたものである。 そうすると、実質的に本願発明の発明を特定する事項を全て含み、更に、他の発明を特定する事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 4」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-10-31 |
結審通知日 | 2012-11-06 |
審決日 | 2012-11-19 |
出願番号 | 特願2007-504236(P2007-504236) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B41M)
P 1 8・ 121- Z (B41M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松川 直樹、藏田 敦之 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
黒瀬 雅一 鈴木 秀幹 |
発明の名称 | 有価証券に識別マークを設けるための方法と装置 |
代理人 | 樋口 外治 |
代理人 | 伊藤 公一 |
代理人 | 島田 哲郎 |
代理人 | 大橋 康史 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 三橋 真二 |