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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G08B
審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G08B
管理番号 1272737
審判番号 無効2011-800134  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-07-29 
確定日 2013-03-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2562271号発明「人体検出器」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2562271号の請求項1に係る発明についての出願は,出願日が平成 1年 4月27日である実願平1-49873号を平成 5年 7月 8日に特許出願に変更したものであって,平成 8年 9月19日に設定登録(請求項の数1)されたものである。
そして,平成23年 7月29日付けで請求人 オプテックス株式会社により無効審判が請求され,請求人により平成23年 9月28日付けで手続補正書,上申書,証拠説明書が提出され,さらに,請求人により平成23年10月28日付けで上申書が提出された。
次に,平成23年12月 9日付けで被請求人 ホーチキ株式会社より答弁書及び訂正請求書が提出され,平成24年 1月18日付けで請求人より弁駁書が提出され,平成24年 2月21日付けで審理事項通知書が通知され,平成24年 3月26日付けで請求人・被請求人より口頭審理陳述要領書が提出された。
そして,平成24年 4月16日に口頭審理が行われ,同日付けで請求人・被請求人より口頭審理陳述要領書(2)が提出された。

II.訂正について
平成23年12月 9日付けの訂正請求は,特許請求の範囲の請求項1を下記のとおり訂正することを求めるものである。
「【請求項1】受信機とループ接続され,侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つ前記ループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器に於いて,
前記発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けたことを特徴とする人体検出器。」(下線部は,訂正された部分であり,当審で加筆した。)

この訂正事項について検討すると,上記訂正は,特許請求の範囲の請求項1において,「侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させる信号処理回路を備えた人体検出器に於いて,」を,「受信機とループ接続され,侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つ前記ループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器に於いて,」と訂正するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とし,願書に添付した明細書又は図面に記載された範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
したがって,平成23年12月 9日付けの訂正は,特許法第134条の2第1項及び同条第5項で準用する特許法第126条第3項,及び,第4項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

III.本件特許発明
本件特許第2562271号の請求項1に係る発明は,平成23年12月9日付け訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】受信機とループ接続され,侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つ前記ループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器に於いて,
前記発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けたことを特徴とする人体検出器。」(以下「本件特許発明」という。)

IV.請求人及び被請求人の主張の概略
1.請求人の主張
(1)無効理由ア
本件特許発明は,甲第4号証及び甲第3号証(さらに甲第5号証の1?3,甲第6号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当して無効とされるべきものである。

(2)無効理由イ
本件特許発明は,甲第3号証及び甲第4号証(さらに甲第5号証の1?3,甲第6号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当して無効とされるべきものである。

証拠方法
甲第4号証:WONDEREX SX-20C<施工説明書>の写し
甲第3号証の1:米国特許第4797657号明細書
甲第3号証の2:米国特許第4797657号明細書の要約,発明の要約,図面の簡単な説明,発明を実施するための最良の形態,特許請求の範囲の翻訳文
甲第17号証:米国特許第4797657号明細書の発明の名称,発明の背景の翻訳文
甲第5号証の1:ワイヤレス・セキュリティシステム中継器 NW-1FJのカタログの写し
甲第5号証の2:ワイヤレス・セキュリティシステムのカタログの写し
甲第5号証の3:ワイヤレス・セキュリティシステム総合取扱説明書の写し
甲第6号証:特開昭57-17541号公報
甲第15号証:WONDEREX SX-20C(公用物件2),ワイヤレス・セキュリティシステム(公用物件3)の動作説明などを収録したDVD
甲第19号証:昭和61年11月15日付け警備保障新聞の第3面(警備保障新聞社発行の縮刷版)の写し

甲第1号証:特許第2562271号公報
甲第2号証の1:特願平5-168770号の特許願,明細書
甲第2号証の2:特願平5-168770号の平成5年7月9日付け手続補正書
甲第7号証の1:米国特許第4422068号明細書
甲第7号証の2:米国特許第4422068号明細書の翻訳文
甲第8号証:特開昭55-159295号公報
甲第9号証:特開昭63-238695号公報
甲第10号証:平成1年2月15日付け警備保障新聞の写し
甲第11号証:特開平1-169700号公報
甲第12号証:センサライト 埋込 LT-5Wのカタログの写し
甲第13号証:被請求人が東京地方裁判所に提出した技術説明資料
甲第14号証:公用物件2についての報告書
甲第16号証:特開昭61-217895号公報
甲第18号証:「特許第2562271号と公知資料5件との対比及び明細書中の用語の意味」(抄本),「最初に」の意味についての被請求人の認識

2.被請求人の主張
(1)甲第4号証,甲第5号証の1?3の公知日について
カタログ等の欄外の数字が,発行年月を示すという明確なルールに基づいて記載されているとはいえないから,カタログ等の日付については合理的な疑いがある。

(2)無効理由ア
・甲第3号証,甲第5号証の1?3,甲第6号証の遅延時間の目的からすると,甲第4号証に適用しても本件特許発明の構成にならない。
・請求人は,甲第4号証にセキュリティ上の問題が記載されていないことを認めたうえで,このような問題が自明であったと述べるが,請求人の主張を裏付ける証拠は一切ない。
・請求人の主張は,本件特許発明をみて,本件特許発明の構成に近づけようとする後知恵の論理に過ぎない。

(3)無効理由イ
・本件特許発明と甲第3号証は前提となる技術が全く異なる。
・甲第3号証は,「完全に自足的な搬送型」の侵入探知器であり,旅客機毎に配置される侵入探知器を受信機とループ接続する構成とすることは不可能である。有線によってループ接続してしまえば,旅客機が離陸することもできない。

V.当審の判断
1.無効理由アについて
(1)各号証の記載事項
(ア)甲第4号証(WONDEREX SX-20C<施工説明書>)には,図面とともに以下の事項が記載又は示されている。

・末尾に番号「NO.K223-86-10」が記載されている。

・「天井取付タイプ・パッシブインフラレッドディテクタ
WONDEREX SX-20C≪施工説明書≫」
(甲第4号証の冒頭にあるタイトル(WONDEREX SX-20C≪施工説明書≫及びその上の記載)。

・「パッシブインフラレッドディテクタは,人体からの熱エネルギーを感じて動作するディテクタです。」(「1.正しく取り付けていただくために」の項)

・「3.アラームメモリーの使い方
1)アラームメモリーとは
警備中に発報すればディテクタに発報した事がメモリーされます。メモリーされたディテクタは次の警備解除している間中,表示灯が連続点灯し,警備中に発報があった事を知らせます。(警備解除中にディテクタが発報してもメモリーされません。)
これにより,ディテクタを1系統の警戒ループに2台以上使用した場合でも,警備中にどのディテクタが発報したのか個別確認が行えます。」(「3.アラームメモリーの使い方」の「1)アラームメモリーとは」の欄)

・「3)リセット 警備解除から再度,警備状態に切り替われば,メモリーは消え初期状態に戻ります。」(「3.アラームメモリーの使い方」の「3)リセット」の欄)

・「2.取り付け方法」の項「[5](丸付数字を[]で表示する。以下同様。)接点出力の設定,警報表示灯の点灯・消灯」の欄の「ALARM(警報出力) N.C.:検知時 開」なる記載によれば,警報出力をする場合である検知時にはN.C.を開くこと,つまりループ接続を開放することは明らかである。
また,「7.仕様・外形寸法」の項の一覧表の項目「表示灯(赤色LED)」の記載によれば,警備中に発報という動作があったことを確認するための警報表示灯として赤色LEDを有していることは明らかである。

・「3.アラームメモリーの使い方」の項,2)動作タイムチャート」の「動作[1]」,「備考」欄の「警備中発報があれば,次に警備解除した時,表示灯が連続点灯します。」との記載によれば,警備中に発報があった場合,つまり,侵入者と判断した際には,警報出力を行い,LEDスイッチ(「2.取り付け方法」の項[5])がONであれば,一定時間警報表示灯LEDを点灯させることは明らかである。
ここで,警報表示灯LEDの点灯時間は2.5±1秒である(「7.仕様・外形寸法」の項の一覧表の項目「警報保持時間」)。

・「3.アラームメモリーの使い方」の項,1)アラームメモリーとは,2)動作タイムチャート」の「動作[1]」,「備考」欄の「警備中発報があれば,次に警備解除した時,表示灯が連続点灯します。」なる記載によれば,警報出力を行ったことがディテクタにメモリーされ,次に警備解除を行うと,メモリーされたディテクタは警報表示灯LEDを連続点灯し,この連続点灯により警備中に発報があったことを知らせることは明らかである。

・「4.配線例」の項[3]および[4]の記載によれば,WONDEREX SX-20Cは,警報出力としてN.C.(Normally Closed)およびN.O.(Normally opened)の端子対を有していることは明らかである。

・「4.配線例」の「ディテクタを1台使用した場合」および「1系統の警戒ループに2台接続した場合」(警報出力はN.C.利用)なる記載によれば,受信器に対して1台のみ使用するだけでなく,1系統の警戒ループに2台以上接続して使用することもできるが,この場合の警報出力にはN.C.を利用することは明らかである。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,甲第4号証には,以下の発明(以下「甲第4号証に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。
「受信器に対して1系統の警戒ループに2台以上接続して利用する場合にN.C.を利用し,侵入者と判断した際には警報出力を行い,一定時間警報表示灯LEDを点灯させ,かつ,ループ接続を開放する人体からの熱エネルギーを感じて動作するディテクタにおいて,警備解除後に,警備中にメモリーされたディテクタの警報表示灯LEDを連続点灯させるディテクタ。」

(イ)本願の原出願前に頒布された刊行物である甲第3号証の1(米国特許第4797657号明細書)には,「Portable self-contained intrusion detector for passenger aircraft」{旅客機のための可搬型自足的侵入探知器}に関し,図面とともに以下の事項が記載又は示されている({}内は,甲第3号証の1の翻訳文である甲第3号証の2又は甲第17号証の記載である。)。

・「An intrusion detector for passenger aircraft has a portable housing including on board power means, at least one sensor operable to detect activity along a detection beam alignable to the aircraft and an indicator such as a strobe light providing a flashing-light alarm visible through the aircraft windows. The detector is self-sufficient, being carryable onto the aircraft by security personnel, and there activated without exposure to possible tampering. The sensor and/or indicator are armed after a delay allowing the security personnel to depart the detection zone, and activation of the indicator is delayed following detected activity, allowing security personnel to disarm the device by entry of a code, without indicating alarm conditions.」(ABSTRACT)
{旅客機の侵入探知器は,機上電源や,航空機内へ整列可能な探知ビームに沿って侵入者の挙動を探知するために作動できる少なくとも1個のセンサーや,航空機の窓を通して視認できる点滅警報をもたらすストロボ灯のような指示器などを納めた可搬性のハウジングを有する。本探知器は自足式であり,保安要員によって航空機上へ搬送可能であり,その場でいたずらされることなく作動できる。センサーおよび/または指示器は,保安要員が探知ゾーンを離れるに必要なある遅延時間後に装備化され,そして挙動の検出から指示器の作動までにある遅延時間が設けられて保安要員があるコードを入力すれば警報状態を指示することなしに装置を装備解除することを可能にする。}(第3号証の2:【要約】の欄)

・「The intrusion detector 100 according to the invention as shown in FIG. 1 is adapted to be positioned in a passenger aircraft 50, and to detect activity within sensor fields 202, for example passively detecting infrared variations along beams radiating in opposite directions from detector 100. Aircraft 50 may carry a large number of passenger seats 52, the seats defining at least one aisle 54. Detector 100 is arranged and aligned in aisle 54 such that sensor field 202 encompasses the areas of activity expected from persons entering aircraft 50, for example through side doors 56. Sensor fields 202 need not encompass all the available space within aircraft 50, but should at least cover areas immediately adjacent doors 56. Sensor fields 202 extend from detector 100 in straight lines, radiating away from detector 100 until a direct line-of-sight path from detector 100 terminates at cabin doors or bulkheads 58, placed fore and aft.」(第4欄第11行?第27行)
{図1に示すような本発明に従う探知器100は旅客機50内へ位置決めされ,そして,例えば探知器100から逆の双方向へ放射しているビームに沿っての赤外線変動を受動的に探知することにより,センサー覆域202内の挙動を探知する。旅客機50は多数の乗客座席52を備え,それらの座席が少なくとも1つの通路54を定義する。探知器100は通路54へ配置,整列され,そして例えば側面ドア56から旅客機50へ侵入する人間に対して予想される挙動領域をセンサー覆域202は包むようにする。センサー覆域202は旅客機50内の全ての利用可能な空間を包む必要はないが,少なくともドア56へ隣接する領域を包むべきである。センサー覆域202は探知器100から直線に,探知器100からの直接透視線が客室の前後にある客室ドアまたは隔壁58に達するまで,探知器100から放射される。}(甲第3号証の2:第2ページ第24行?第3ページ第13行)。

・「The invention concerns adapting intrusion detector 100 such that only a very-limited number of authorized security personnel can arm or disarm intrusion detector 100, or approach detector 100 without setting off an appropriate intruder-detected alarm. This is accomplished by means of a security keying means, for example a key pad into which any person approaching the detector (being thereby sensed as a possible intruder) must enter a code, in order to prevent actuation of detector 100.」(第4欄第38行?第47行)
{本発明は,非常に少数の許可された保安要員のみが侵入探知器100を装備化,装備解除でき,また適切な侵入探知警報を切らずに侵入探知器100へ接近できるような侵入探知器100を適応させることに関する。探知器へ接近する人(従って侵入被疑者として探知されつつある人)は探知器100の作動を防止するためにはあるコードを入力せねばならず,それは例えばキーパッドのような機密キー操作手段によって達成される。}(甲第3号証の2:第3ページ22行?第4ページ第5行)

・「Within a housing 103 of detector 100, a pair of sensors 101,102, namely, passive infrared detectors, are mounted ・・・Accordingly, activity anywhere along the aisle will be detected by detector 100, and an alarm will be issued provided one of the limited number of security personnel knowledgeable about the detector's security code does not first disable the alarm by entry of the required code.」(第4欄第49行?第64行)
{探知器100のハウジング103内には,一対のセンサー101,102すなわち受動的な赤外線検出器が装填されており,・・・。従って,通路沿いのいずれの挙動も探知器100により探知され,探知器の機密コードを知っている限られた人数の保安要員による要求コード入力によって警報を非武装にしないかぎりは,警報が発生されるであろう。}(甲第3号証の2:第4ページ第6行?第20行)

・「The respective elements of the device, including the control and keying means 105, audible alarm means 106, activity detectors 101,102, RF transmitter 107 and visible indicator 110 are all powered from DC power source 111. Remote receiver 114 is responsive to a signal broadcast from RF transmitter 107 through antenna 113, which signal is transmitted when intrusion is detected.」(第5欄第4行?第11行)
{この器具の要素である調節およびキー操作用器具105,警報音発生器106,挙動検出器101,102,無線送信機107および表示灯110は全て直流電源111で駆動される。遠隔受信機114はアンテナ113を通じて,侵入が探知されると送信される無線送信機107からの無線信号へ反応する。}(甲第3号証の2:第5ページ第2行?第7行)

・「A key switch pad 105, accessible for example on top of housing 103, allows the user to arm, disarm and otherwise program intrusion detector 100, for example by enabling detector functions. Key pad 105 is used, for example, to enter security codes for arming and disarming the device, and can also be used to program internal operations such as particular delay times between detection of activity within the field and activation of alarm indicators including, for example, audible source 106, strobe light 110 and the like.」(第5欄第19行?第29行)
{ハウジング103の上に配置されるキースイッチパッド105はユーザーが,例えば探知器の機能を可能にすることにより侵入探知器100の装備化,装備解除その他をプログラムできるようにする。キーパッド105は,例えば探知器を装備化,装備解除させる機密コードを入力するために使用され,そしてまた,現場の挙動が探知されてから,例えば音源106,ストロボ灯110等の警報表示器が作動するまでの特定な遅延時間のような内部操作をプログラムするために使用される。}(甲第3号証の2:第5ページ第14行?23行)。

・「A remote detector 114, shown in FIG. 3 and shown schematically in FIG. 2, can take the form of a beeper-type portable unit with an audible and/or visible alarm means. Security personnel generally can be equipped with such a beeper device. Preferably, beeper device 114 is not adapted to determine which of a plurality of individual intrusion detectors 100 at an airport including a number of aircraft 50, has actually initiated an alarm condition. The security personnel having noticed activation of remote beeper 114, need only look into the aircraft area to determine which of the aircraft is showing an alarm condition by virtue of strobe light 110, flashing visibly through the window 62 along the fuselage. Preferably an audible alarm is also activated, being housed in the detector housing. The audible alarm and the strobe form of visible alarm make the location of the alarm quite readily apparent, the entire aircraft functioning as a visible warning element when light is emitted through the row of windows 62 normally appearing along the fuselage and the audible alarm sounding continuously or intermittently.」(第5欄第48?68行)
{図3に図示され,図2の図表にも示される遠隔探知器114は,音響および/または視覚警報を発する携帯型警報器の形をとることができる。保安要員は一般的にそうした警報器を携帯できる。携帯型警報器114は多数の旅客機50を含む空港での複数の侵入探知器100のいずれが実際に警報状態になったかを判定するためには適応されない。遠隔探知器114の通報動作を利用する保安要員は,機体の窓62を通して点滅して見えるストロボ110の光によってどの航空機が警報状態になったかことを示しているかを判定するために航空機駐留区域を見渡すことだけが必要になる。可能ならば,探知器ハウジング内に納められている音響警報もまた活用される。音響警報とストロボ形式の視覚警報は,警報の位置を非常に迅速に明らかにでき,視覚警報が作動している航空機では通常は隔壁に沿って見られる光が窓62の列を通して放射され,そして音響警報が連続してまたは間欠的に鳴る。}(甲第3号証の2:第6ページ第15行?第7ページ第5行)。

・「The object of the delay is to allow an authorized person arming the device time to exit the aircraft prior to initiation of alarm conditions, or upon re-entry into the aircraft time to deactivate the intrusion detector in order to avoid spurious indication of alarm conditions.This short delay, e.g., thirty seconds should be sufficient to allow the security person to briskly move between the exit and intrusion detector 100 and to enter the code. Unnecessary additional delay could give an unauthorized person an opportunity to attempt to damage or disable the intrusion detector, for example by covering stroke 110 with opaque material, grounding antenna 113 and/or muffling acoustic alarm 106. Should the delay be set close to the time required to reach the detector 100 from the exit, which time period can be programmably variable from aircraft to aircraft, the unauthorized intruder will be given insufficient time to substantially affect operation.」(第7欄第57行?第8欄第6行)
{この遅延は,装置の時間を設定する保安要員が警報状態の開始前に旅客機を退出することができるようにすることを,または,旅客機内へ入り直したときに警報状態の疑似表示を避けるために侵入探知器を無作動化することを目的とするものである。この短い遅延,例えば30秒間の遅延は保安要員が出口と侵入探知器100との間をてきぱきと移動し,そしてコードを入力することができるのに充分でなければならない。不必要に長い遅延時間は,例えばストローク110(審決注:「ストロボ110」の誤記と認める。)を不透明材でカバーすることにより,アンテナ113を接地することにより,および/または音響警報106を消音させることにより不法侵入者へ侵入探知器を破壊または使用不能にする機会を与える。旅客機ごとに別々にプログラム可能である遅延時間が,出口から侵入探知器100へ近付くに必要な時間に近い値で設定されると,不法侵入者は作動を実質的に妨害する時間が与えられないことになる。}(甲第3号証の2:第11ページ第16行?第12ページ第6行)

・「In another preferred embodiment, the transmission of an "intrusion-detected" radio signal can be made immediately upon detection of activity by one or more of the sensors, and not after a delay as required prior to actuation of the visible and audible alarms. This signal can be followed by a second coded signal indicating "all is well", provided the system is deactivated within the delay period. 」(第8欄第7行?第14行)
{別の好ましい実施例として,視覚警報や聴覚警報の作動に先立って要求される遅延後でなくても1個またはそれ以上のセンサーによる不審挙動を探知次第に「侵入探知」無線信号の送信が行なえる。遅延時間内に装置が無作動化されるならば,この信号には「全てが良好」を示す2番目のコード化信号が続く。}(甲第3号証の2:第12ページ第7行?第12行)

・「Should a detected intruder not enter an appropriate authorization code within the prescribed delay or shunt term, alarm status is triggered. The system goes into the full alarm indicating and signalling condition, including activation of indicator lights including strobe 110, and emission of audible alarm via audible alarm means 106. Similarly, the radio transmitter 107 broadcasts a signal alarm 113, which is received at remote units 114 and interpreted to indicate alarm conditions. This signal can be coded to prevent jamming by intruders broadcasting a plurality of spurious alarms, and can include specific code characters representing the identity or location of the aircraft, or at least the particular intrusion detector 100 emitting the alarm. This allows the radio signal as well as the strobe light to indicate which of the aircraft 50 has been compromised. A central receiver (not shown) can also be provided, programmed responsive to the codes of all detectors in use at a facility, to allow security personnel to trace the origin of an alarm. The individual remotes, such as paging beeper units 114, need not be provided with such code means in that case, being simply operable to indicate that an intrusion detector has been triggered somewhere within the range of the RF link.」(第8欄第24行?第47行)
{探知された侵入者があらかじめ設定された遅延時間や分岐時間内に許可された適切なコードを入力しないかぎり,警報状態が始動される。この装置はストロボ110を含めた表示灯の作動を含めて完全な警報表示や信号状態へ入り,そして聴覚警報手段106による聴覚警報の発信を行なう。同様に,無線送信機107が信号警報113を送信し,それが遠隔ユニット114によって受信され,警報状態を示すように解釈される。この信号は複数の偽警報を発信する侵入者による妨害電波を予防するためにコード化されることができ,そして旅客機の識別や位置を示し,あるいは少なくとも警報を送信している特定の侵入探知器100を示す特定のコード文字を含むことができる。これにより,どの航空機50が危うくされたかを無線信号やストロボ灯が示すことを可能にする。ある施設で使用されるすべての検出器コードへ反応するようにプログラムされた集中受信機(図示せず)を備えて,保安要員がある警報の発信源を追跡できるようにすることができる。その場合,呼び出しポケットベル114のような個別の遠隔装置はそうしたコード手段を備える必要がなく,単に無線リンク範囲内のどこかで侵入探知器が作動する要因となったことを示すためにだけ操作可能であればよい。}(甲第3号証の2:第12ページ第21行?第13ページ第16行)

・「Various forms of intrusion detectors are known for use in buildings, and intrusion detectors are also known for detecting attempts to gain access to closed and locked vehicles. 」(第1欄第16行?第19行)
{建物で使用のために様々な形式の侵入探知器が知られており,ドアが閉じられてロックされた自動車に接近する試みを検出するための侵入探知器も知られている。}(甲第17号証第1ページ第9行?第11行)

・「Mounted detection and signalling devices having means to engage portions of buildings, rather than an aircraft, are known wherein the devices define detection beams. Reference can be made, for example, to U.S. Pats. Nos. 4,446,454-Pyle or 4,412,211-Lautzenheiser et al., each of which includes a sensor defining a detection means and a signalling device. These devices are useful, but apply to detection applications which are not as critical as aircraft. The typical building security system can be permanently installed without as great a danger of loss if intruders tamper with the system during maintenance on the premises.」(第2欄第36行?第47行)
{航空機よりもむしろ建物のいくつかの部分に係合するための手段を有する埋込探知および信号発生装置が知られており,それらの装置は探知ビームを定める。例えば,米国特許第4,446,454号パイルや第4,412,211号ローツェンハイザー他を引例に挙げることができるが,いずれも探知手段を定めるセンサと信号発生装置とを含む。これらの装置は有用であるが,航空機ほど重大ではない探知用途に適用する。典型的な建物保安システムは,家屋内での保守の間に侵入者がシステムを不正変更するとしても,大きな損失の危険なしに永久に設置可能である。}(甲第17号証第3ページ第2行?第8行)

・侵入探知器100と遠隔受信機114又は集中受信機とは無線により接続されていることは明らかである。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,甲第3号証の1(以下「甲第3号証」という。)には,以下の発明(以下「甲第3号証に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。
「遠隔受信機114又は集中受信機と無線により接続され,侵入を探知次第に無線信号の送信を行う侵入探知器100において,
侵入者の挙動の探知から特定の遅延時間後にストロボ灯110を含めた表示灯の作動及び聴覚警報手段106による聴覚警報を行い,ストロボ灯110は航空機の窓を通して視認できるように点滅させるとともに,前記特定の遅延時間は,保安要員が警報状態の開始前に旅客機を退出できるようにすること又は旅客機に入り直したときに警報表示の疑似表示を避けるために侵入探知器100を無作動化することを目的として設けられた侵入探知器100。」

(ウ)甲第5号証の3(ワイヤレス・セキュリティシステム総合取扱説明書)には,図面とともに以下の事項が記載又は示されている。

・表紙(第1ページ)下余白部に番号「No.K192 1986.9」が記載されている。

・「各部の名称とはたらき[4]([]は丸付数字を示す。以下同様。)
レシーブステーション RS-1FJ
・・・
[3]受信表示灯 ・緑色LEDは来客表示,赤色LEDは警報表示です。
・・・
[11]モード選択スイッチ ・3つのモードの選択スイッチです。
・・・
[14]外出・帰宅時キャンセルタイマ ・約15秒?約2分に設定できます。詳しくは11ページ「外出警戒モード」を参照してください。
・・・」(第8ページ)

・「5.外出警戒モード
*外出時キャンセルタイマ
外出時に外出警戒モードスイッチを操作します。その時点からタイマ設定時間(約15秒?約2分)後に警戒体制に入りますので,その時間以内に外出すれば本人が警戒網にかかる心配はありません。

*帰宅時キャンセルタイマ
外出警戒モードでの警戒時には,人体を検知してからタイマ設定時間(約15秒?約2分:外出時キャンセルタイマと共通)たった後に警報を出します。帰宅時にはこの時間内に「リセット」またはモード切換スイッチの操作をしてください。

*外出警戒
外出警戒モードスイッチの操作後,キャンセルタイマ設定時間を過ぎれば”外出警戒"体制に入ります。留守宅の警戒もこれで万全。安心してお出掛け下さい。」(第11ページ左側)
・第11ページ右上の四角の欄の記載によれば,
「こういう時に ・外出時の留守宅警戒に。
こういう機能が として
センサ番号1?4 に対応して,赤い受信表示灯がリセットまで継続点灯することと,アラーム音が約5秒?約10分ピピピとなること」が看て取れる。

・「6.設置場所の選択[1]
・・・
複数のセンサの併用
1つのセンサ番号に複数のセンサを併用することができます。有線式のセンサは直列に接続して下さい。上の例では5つのセンサのうちいずれか1つがはたらくとセンサ番号3が警報状態になります。」(第12ページの複数のセンサの併用の欄)

(エ)本願の原出願前に頒布された刊行物である甲第6号証(特開昭57-17541号公報)には,「予侵入検出,警報装置」に関し,図面とともに以下の事項が記載又は示されている。
・「この発明は予侵入検出・警報器,さらに詳しく言えば,潜在的侵入者を検出し警報器を作動させて,侵入の潜在的危険を住人に警報すると同時に潜在的侵入者を驚かせ侵入しようとする動きを中断させる,改良自蔵予侵入検出・警報装置に関する。」(公報第3ページ左下欄最下行?右下欄第4行)

・「もしスイッチS2が”即時”状態にセットされていれば,警報器は直ちに鳴る。しかしスイッチS2が”遅延”状態にセットされていれば,警報器は一定時間,例えば17秒間遅れてから,圧電ホーン28はつんざくような高音を発散する。このような遅延動作により正当な人はドアから入つてユニットを切つて警報器がならないようにする。」(公報第8ページ左下欄第12行?右上欄第3行)

・「装置10は,これが人の手を感知するごとに発光ダイオードD3に通電する。出口遅延時間が経過後,例えば,装置が入に切換えの後約18秒たつて,装置が”即時”作動態様にあれば,ドア取手に触わると直ちに警報器が鳴り,発光ダイオードD3が入となり,装置がリセットされるまで入のままである。装置が”遅延”態様であれば,発光ダイオードD3は直ちに入となりそのまま入となつて,入口遅延時間後,例えば約17秒後,圧電ホーン28が鳴る。装置は,一定時間後,例えば,75秒後自動的にリセットする。」(公報第8ページ右下欄第10行?第9ページ左上欄第3行)

(2)甲第4号証が本願の原出願前に頒布された刊行物であるか否かについて
まず,証拠として提出された甲第4号証の写しは,口頭審理において,原本と同じものであることを確認した。
請求人の製品であるWONDEREX SX-20Cの施工説明書(甲第4号証)には,その末尾に「NO.K223-86-10」という番号が記載されている。
次に,請求人の製品のカタログなどに限らず,このような余白部分に記載されている文字列が発行年月またはその一部を示すことは,古くから多くの業界で一般的に行われていたものである。
また,「NO.K223-86-10」内がハイフンで区切られていることから,「K223」,「86」,「10」はそれぞれが別々の意味を有することも明らかである。
この「NO.K223-86-10」のうちで「86-10」の部分が発行年月であることを裏付ける証拠として甲第19号証が請求人より提出された。
この甲第19号証は,昭和61年11月15日発行の警備保障新聞の第3面の写しであり,口頭審理において警備保障新聞社発行の縮刷版と同じものであることを確認した。
そして,甲第19号証の左中央部には,甲第4号証に記載されている請求人製品「WONDEREX SX-20C」の広告が掲載されており,この時点で既に販売が開始されていたことがわかる。
昭和61年11月は1986年11月であるから,1986年の下2桁は「86」であって上記「86-10」の前半と一致するし,11月は上記「86-10」の後半が示す10月と1ヶ月違いであることを考慮すると,甲第4号証の末尾の番号により,甲第4号証が,本件特許の原出願前である1986年(昭和61年)10月に頒布された刊行物であると認められる。
(3)甲第5号証の3が本願の原出願前に頒布された刊行物であるか否かについて
まず,証拠として提出された甲第5号証1?3の写しは,口頭審理において,原本と同じものであることを確認した。
そして,甲第5号証の3については,表紙の下余白部分に番号「No K192 1986.9」が記載されている。このうち「1986.9」の意味は,1986年 9月と解釈するのがもっとも自然であることから,甲第5号証の3が,本件特許の原出願前である1986年(昭和61年) 9月に頒布された刊行物であると認められる。

(4)発明の対比
本件特許発明と甲第4号証に記載された発明とを対比すると,後者の「受信器」は前者の「受信機」に相当し,以下同様に,「警報出力」は「発報出力」に,「一定時間警報表示灯LEDを点灯させ」る態様は「一定時間発報表示灯を点灯させ」る態様に,「人体からの熱エネルギーを感じて動作するディテクタ」及び「ディテクタ」は「人体検出器」にそれぞれ相当する。
また,後者の「受信器に対して1系統の警戒ループに2台以上接続して利用する場合にN.C.を利用」する態様は,前者の「受信機とループ接続され」る態様に相当し,「侵入者と判断した際には警報出力を行い,一定時間警報表示灯LEDを点灯させ,かつ,ループ接続を開放する」ためには,必然的に「信号処理回路を備え」ることになるから,後者の「侵入者と判断した際には警報出力を行い,一定時間警報表示灯LEDを点灯させ,かつ,ループ接続を開放する人体からの熱エネルギーを感じて動作するディテクタ」は,前者の「侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器」に相当する。
そして,後者において,「警備解除後に,警備中にメモリーされたディテクタの警報表示灯LEDを連続点灯させる」ためには,必然的に「制御手段を設け」ることになるから,後者の「警備解除後に,警備中にメモリーされたディテクタの警報表示灯LEDを連続点灯させる」態様と,前者の「発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けた」態様とは,「動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けた」概念において共通する。
そうすると,両者は,
「受信機とループ接続され,侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器に於いて,動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けた人体検出器。」の点で一致し,以下の点で相違すると認められる。

<相違点>
人体検出器の制御手段が,本件発明では,「発報出力を受けて所定時間の間遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により,動作確認のための動作確認灯を継続して点灯または点滅させる」のに対して,引用発明では,警備解除後に警備中にメモリーされたディテクタの警報表示灯LEDを連続点灯させる(動作確認のための表示灯(発報表示灯を兼用する動作確認表示灯)を継続して点灯させる)点。

(5)相違点の検討
まず,甲第4号証には,複数の部屋を同時に監視して侵入者を探知し,警報を発する警報装置において,現場確認のために警備解除を行うことにより複数の部屋が短時間の間であっても無警戒状態になることを防止するというセキュリティ上の課題について何ら記載されておらず,さらに,同警報装置の分野において,本件特許発明の原出願時において上記セキュリティ上の課題が自明の課題であったものとも認められない。
また,甲第3号証には,「本発明は,非常に少数の許可された保安要員のみが侵入探知器100を装備化,装備解除でき,また適切な侵入探知警報を切らずに侵入探知器100へ接近できるような侵入探知器100を適用することに関する。」(甲第3号証の2:第3ページ22行?第4ページ第1行)と記載されているが,そのためのストロボ灯等の作動のための遅延時間は,保安要員が警報状態の開始前に旅客機を退出できるようにすること又は旅客機に入り直したときに警報表示の疑似表示を避けるために侵入探知器を無作動化することを目的として設けられたもので,いわば,正当な保安要員に対して侵入探知器が作動しないようにするために設けられたものであって,必要な現場確認の際に侵入探知後の遅延時間の間に,侵入探知器に近づいて装備解除することになり,結局警備を解除するものである。この場合には,上記遅延時間の間,侵入探知器の警報が作動しない状態になることは避けられないし,この旅客機の侵入探知器の警備を解除しても,他の旅客機の警備を解除するものではないので,そもそも複数の監視対象を前提としたセキュリティ上の問題は存在しないものである。
また,どの航空機が危うくされたかは,集中受信機への無線信号や窓から視認できるストロボ灯により判別することができる(甲第3号証の2:第12頁第21行?第13ページ第16行)構成とされている。
請求人が主張するように,不法侵入者がストロボ灯110を不透明材でカバーしたり,アンテナ113を接地して,侵入探知器を破壊または使用不能にすることがあり得るとしても,遅延時間が出口から侵入探知器へ近づくのに必要な時間に近い値に設定されると,不法侵入者には侵入探知器の作動を実質的に妨害する時間が与えられないから,集中受信機への無線信号や窓から視認できるストロボ灯によりどの航空機が危うくされたかを判別できるものと認められる。
そうすると,どの航空機が危うくされたのかを確認(動作確認)するために,現場の航空機の中のストロボ灯まで近寄って確認しようとする動機付けは生じない。
一方,甲第3号証には,「侵入者の挙動の探知から特定の遅延時間後にストロボ灯110を含めた表示灯を点滅させる侵入探知器」という構成が記載されており,甲第3号証には,「侵入者の探知時からの遅延時間を計測するためのトリガとなる出力」が存在するのは明らかであって,これは本件特許発明の「発報出力」に相当する。そして,ストロボ灯の点滅は継続して行われるものであって,甲第3号証の「ストロボ灯を含めた表示灯」,「侵入探知器」は,本件特許発明の「発報表示灯と動作確認のための動作確認表示灯(を兼ねた表示灯)」,「人体検出器」にそれぞれ相当するものともいえるから,甲第3号証には,「発報出力を受けて所定時間遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点滅させる人体検出器」が開示されているとも認められる。
しかしながら,甲第4号証のものと甲第3号証のものは,侵入探知器である点では共通するものの,上述したように,甲第4号証にも,甲第3号証にも,現場確認のために警備解除を行うことにより複数の部屋が短時間であっても無警戒状態になることを防止するというセキュリティ上の課題についてはなんら記載されておらず,甲第3号証のものでは,航空機内に立ち入ってストロボ灯の作動状態を確認しようとはしないものであるから,甲第4号証に記載された発明に,甲第3号証に記載された発明を適用しようとする動機付けが乏しいと言わざるを得ない。その上,甲第3号証では,上記したように遅延時間の間,侵入探知器の警報が作動しない状態になるのは避けられない構成であるから,本件特許発明の課題に結びつくものでもない。
よって,本件特許発明は,甲第4号証に記載された発明,及び,甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,甲第5号証の3には,「外出警戒体制において,人体をセンサで検知すると,受信表示灯が継続点灯し,タイマ設定時間たった後にアラーム音がなるものであり,帰宅時にはタイマ設定時間内にリセットすることによりアラーム音がなるのを回避できるレシーブステーション RS-1FJ。」が開示されていると認められる。ここで,受信表示灯は人体の検出時に遅延せずに作動することは,請求人の提出したワイヤレス・セキュリティシステム(公用物件3)の動作説明などを収録したDVD(甲第15号証)に示されている。してみれば,レシーブステーション RS-1FJは,受信機であるとともに,人体を検出してから遅延時間後に受信表示灯を作動させるものではなく,帰宅時にアラーム音(警報)を回避できるように遅延時間を設けたものである。
次に,甲第6号証には,「装置が”遅延”態様であれば,人体を感知すると,発光ダイオードD3は直ちに入り,遅延時間後に圧電ホーンが鳴るもので,この遅延時間は正当な人が圧電ホーンが鳴らないようにするために設けられた予侵入検出・警報器。」が開示されていると認められる。してみれば,甲第6号証は,発光ダイオード(表示灯)を人体を感知してから遅延時間後に作動させるものではない。
そして,本件特許発明は,現場確認に向かう前に動作して侵入者検出を行った検出器の確認を,警備解除をして複数の部屋が短時間であっても無警戒状態になることなく行えるという,格別の作用効果を奏するものであって,この作用効果は,甲第4号証に記載された発明,甲第3号証に記載された発明,甲第5号証の3に開示された事項,甲第6号証に開示された事項のそれぞれが奏する作用効果から予測されるものでもない。
したがって,本件特許発明は,甲第4号証に記載された発明,甲第3号証に記載された発明,甲第5号証の3に開示された事項,及び,甲第6号証に開示された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2.無効理由イについて
(1)発明の対比
本件特許発明と甲第3号証に記載された発明とを対比すると,後者の「遠隔受信機114又は集中受信機」は前者の「受信機」に相当し,以下同様に,「侵入探知器100」は「人体検出器」に,「ストロボ灯を含めた表示灯」は「発報表示灯と動作確認のための動作確認表示灯(を兼ねた表示灯)」にそれぞれ相当する。
後者の「侵入を探知次第に無線信号の送信を行う」態様は,前者の「侵入者と判断した際には発報出力を行」う態様に相当するから,後者の「遠隔受信機114又は集中受信機と無線により接続され,侵入を探知次第に無線信号の送信を行う侵入探知器100」と,前者の「受信機とループ接続され,侵入者と判断した際には発報出力を行い,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つ前記ループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器」とは,「受信機と接続され,侵入者と判断した際には,発報出力を行う人体検出器」の点で共通する。
また,後者には,「侵入者の探知時からの遅延時間を計測するためのトリガとなる出力」が存在するのは明らかであるから,この出力は前者の「発報出力」に相当し,「侵入者の挙動の探知から特定の遅延時間後にストロボ灯を含めた表示灯を作動」し,「ストロボ灯110は航空機の窓を通して視認できるように点滅させる」ためには,必然的に「制御手段を設け」るものであり,点滅はある期間は「継続」するものであるから,後者の「侵入者の挙動の探知から特定の遅延時間後にストロボ灯110を含めた表示灯の作動及び聴覚警報手段106による聴覚警報を行い,ストロボ灯110は航空機の窓を通して視認できるように点滅させる」態様と,前者の「発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設け」る態様とは,「発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設け」る概念において共通する。
そうすると,両者は,
「受信機と接続され,侵入者と判断した際には,発報出力を行う人体検出器に於いて,
前記発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し,該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けた人体検出器」
の点で一致し,以下の各点で相違すると認められる。

<相違点1>
人体検出器と受信機との接続が,本件特許発明では,「ループ接続」であるのに対して,甲第3号証に記載された発明では,「無線」による接続である点。

<相違点2>
本件特許発明では,侵入者と判断した際には,「一定時間発報表示灯を点灯させ,且つループ接続を開放させる信号処理回路を備えた」人体検出器であるのに対して,甲第3号証に記載された発明では,侵入者と判断した際には,侵入探知器(人体検出器)の表示灯(発報表示灯)を点灯させるものではなく,ループ接続を開放するものでもない点。

(2)相違点の判断
<相違点1について>
甲第3号証の侵入探知器は,「完全に自足的な搬送型」のものであり,旅客機毎に配置される侵入探知器を受信機とループ接続する構成とすることは不可能である。もし,有線によってループ接続してしまえば,旅客機が離陸することもできない。

<相違点2について>
甲第3号証においては,旅客機毎に配置された侵入探知器を受信機とループ接続する構成とすることは,事実上あり得ないから,甲第4号証に開示された「侵入者と判断したときに,一定時間発報表示灯を点灯させ,且つ,ループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器」を適用することは,不可能である。
よって,本件特許発明は,甲第3号証に記載された発明,及び,甲第4号証に開示された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
さらに,上記甲第3号証に記載された発明に,甲第5号証の3及び甲第6号証に開示された事項を適用することによっても,上記相違点1及び相違点2に係る本件特許発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。
そして,本件特許発明は,現場確認に向かう前に動作して侵入者検出を行った検出器の確認を,警備解除をして複数の部屋が無警戒状態になることなく行えるという,格別の作用効果を奏するものであって,この作用効果は,甲第3号証に記載された発明,甲第4号証に開示された事項,甲第5号証の3に開示された事項,甲第6号証に開示された事項のそれぞれが奏する作用効果から予測されるものでもない。
したがって,本件特許発明は,甲第3号証に記載された発明,甲第4号証に開示された事項,甲第5号証の3に開示された事項,及び,甲第6号証に開示された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

VI.むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件特許発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については,特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
人体検出器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】受信機とループ接続され、侵入者と判断した際には発報出力を行い、一定時間発報表示灯を点灯させ、且つ前記ループ接続を開放させる信号処理回路を備えた人体検出器に於いて、
前記発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し、該遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けたことを特徴とする人体検出器。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動作確認表示灯を備えた人体検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の人体検出器としては、例えば図5のものが知られている。図5において、1は受信機、2a?2eは警戒区域、例えば部屋毎に設置された人体検出器であり、受信機1の電源から電源線3a,3bによって電源供給を受けている。
【0003】人体検出器2a?2eの各々は、例えば人体から発せられる熱線(赤外線)を検出するセンサ(焦電素子)を備えており、侵入者を検知すると警報リレーを駆動して常閉リレー接点4a?4eを開くようにしている。受信機1からは電源線3a,3bの他に信号線5a,5bが引き出され、信号線5a,5b間に人体検出器2a?2eの常閉リレー接点4a?4eを直列接続し、定常監視状態で監視ループを形成している。このため人体検出器2a?2eのいずれかで侵入者を検出すると、対応する常閉リレー接点が開いて信号線5a,5bのループが開放され、このループ開放を受信機1で検出して警報を出す。また侵入者により電源線3a,3b又は信号線5a,5bが切断された場合にも信号線ループが開かれるため、侵入者検出時と同様に受信機1でループ開放を検出して警報を出すことができる。
【0004】一方、人体検出器2a?2eには侵入者検出時に作動し、センサ出力及び電源が断たれても表示状態を維持する動作表示装置が設けられている。具体的には磁気反転式の表示器が使用される。この表示器は、表面にオレンジ色、裏面に黒色等を着色したディスクを有し、瞬時的にパルス電流を流すことによる磁気駆動でディスクを反転してオレンジ色の表示面を出し、電源を切ってもディスクの反転表示状態を維持できる。
【0005】このように磁気反転式の表示器を使用して電源を切っても人体検出器が動作したことを表示させる理由は、受信機側で警報が出された際に人体検出器への電源を切って現場確認に向かうことに起因している。即ち、人体検出器の電源を切っていないと、現場確認のため警戒区域に入った際に侵入者検出が行われてしまい、どの場所の人体検出器が動作したか分からなくなってしまうからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の人体検出器にあっては、磁気駆動により機械的に表示状態を反転させて保持する磁気反転式の表示器を使用していたため、表示器自体の機構構造が複雑でコスト的にも高価であり、また検出器の小型化も磁気反転式の表示器により制約される問題があった。
【0007】更に、磁気反転式の表示器は機械的にディスクを反転して動作状態を表示するため、長期間使用している間にホコリの付着や錆の発生等により動かなくなる可能性があり、更に暗い場所では作動状態が確認しにくい問題があった。本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、確認のために警戒区域に入った際の検出動作に紛らわされることなく最初に動作した検出器を容易に確認できる人体検出器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】まず本発明は、侵入者と判断した際には発報出力を行い、一定時間発報表示灯を点灯させる信号処理回路を備えた人体検出器を対象とする。このような人体検出器について本発明にあっては、信号処理回路からの発報出力を受けて所定時間のあいだ遅延し、この遅延時間経過後の遅延出力により動作確認のための動作確認表示灯を継続して点灯または点滅させる制御手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
【作用】このような構成を備えた本発明の人体検出器にあっては、発報から所定時間のあいだ遅延され、遅延時間経過後に動作確認表示のためにLED等の動作確認表示灯が継続して点灯または点滅される。このため遅延時間経過後に現場確認のために警戒区域に入っても直ちに動作確認用の表示は行なわれず、最初に動作して侵入者検出を行なった検出器の動作確認表示灯のみが継続して点灯または点滅された状態となっていることから、これによって侵入者検出を行なった検出器を容易に確認できる。
【0010】また受信機側での電源遮断が不要であることからLED等による電気的な動作確認表示ができ、暗い場所であっても容易に確認できると共に経年変化による影響はなく、更に構造が簡単であるためにコスト的にも安価にでき、小型化も容易である。
【0011】
【実施例】図1は本発明の人体検出器の一実施例を示した実施例構成図である。図1において、10は検出回路であり、検出回路10には人体から発せられる熱線(赤外線)を検出するセンサとして例えば焦電素子が使用される。勿論、検出回路10としては、超音波の送受信により人体を検出する回路等を用いてもよい。検出回路10の検出出力は増幅回路12で増幅された後、侵入者判別のための比較回路14に入力される。
【0012】比較回路14には所定の閾値レベルが基準値として設定されており、増幅出力が基準レベルを越えた時Hレベルとなる比較出力を生ずる。比較回路14の出力は信号処理回路16に与えられ、信号処理回路16は比較回路14による侵入者検出出力が例えば一定時間以上得られた時に侵入者と判断して発報出力aを生ずる。
【0013】信号処理回路16の発報出力aは発報表示回路18に与えられ、検出器に設けているLED等の発報表示灯を点灯駆動する。更に信号処理回路16の発報出力aはリレー駆動回路20に与えられ、警報リレーの駆動によりリレー接点22をa側からb側に切り換える。リレー接点22のa側は常閉リレー接点として使用するためのNC端子に接続され、従って受信機からの信号線5aはNC端子に接続され、他の検出器または受信機に対し信号線5bがコモン端子Cから接続されるため、リレー接点22をaからbに切り換えることで受信機に対する信号線のループ接続を開放するようになる。
【0014】リレー駆動回路20に対しては検出器の電源線3a,3bに対する接続極性を無極性とするためのダイオードブリッジ24を介して電源供給が行なわれ、また定電圧回路26で得られた一定の電源電圧を各回路部に供給している。更にウォームアップ回路28とLEDでなるウォームアップ表示回路30が設けられる。この実施例において検出回路10には焦電素子を使用しているため、焦電素子は電源投入から一定時間の間、出力が安定しないため、電源投入から焦電素子の出力が安定するまでの間、ウォームアップ回路28により信号処理回路16に禁止を掛け、且つウォームアップ表示回路30のウォームアップ表示灯を点灯させるようにしている。通常、電源投入からのウォームアップ時間としては1分程度が設定される。
【0015】このような構成は従来の検出器と同じであるが、これに加えて本発明にあっては、信号処理回路16の発報出力aを入力したラッチ回路32、ラッチ回路32のラッチ出力bを所定時間T1の間遅延する遅延回路34が新たに設けられ、遅延回路34の遅延出力cによりウォームアップ表示回路30のウォームアップ表示灯を点灯してウォームアップ表示灯を動作確認表示灯と兼用させている。ウォームアップ表示灯は電源投入時しか使用されないので兼用しても見間違えることはない。
【0016】ここで発報表示回路18に設けられた発報表示灯の表示色はレッド、ウォームアップ表示回路30に設けられたウォームアップ表示灯の表示色はグリーンとなる。次に図1の実施例の動作を図2の信号波形図を参照して説明する。人体検出器が設置された警戒区域に侵入者が入ると検出回路10の検出出力が得られ、検出回路10の検出出力は増幅回路12で増幅された後、比較回路14で基準レベルと比較され、基準レベルを越えると比較出力が信号処理回路16に与えられる。
【0017】信号処理回路16は比較出力が一定時間以上得られると侵入者と判断して図2の時刻t1に示すようにHレベルに立上がる発報出力aを生じ、発報表示回路18の発報表示灯を点灯すると同時にリレー駆動回路20の警報リレーを駆動し、リレー接点22をa側からb側に切り換え、受信機からの信号線5a,5bによる監視ループを開放する。この信号線5a,5bのループ開放は受信機1側で検出され、受信機側において警報が出される。
【0018】なお、信号処理回路16の発報出力aは時刻t1から一定時間出力された後にLレベルに立下がる。このため、発報表示回路18の発報表示灯は一時的に点灯するに留まると共に、リレー駆動回路20の警報リレーも一時的に駆動されるに留まるので、リレー接点22は再びa側に切換わる。一方、時刻t1で得られた信号処理回路16からの発報出力aはラッチ回路32でラッチされ、時刻t1以降ラッチ出力bがHレベルに保たれる。ラッチ回路32のラッチ出力は遅延回路34で所定時間T1の間遅延され、T1時間経過後の時刻t2に至ると遅延出力cがHレベルに立上がり、この遅延出力cにより動作確認のためのウォームアップ表示回路30のウォームアップ表示灯が点灯保持される。
【0019】従って受信機側の警報を受けて監視員が人体検出器の設置現場に確認に出向くと、動作していない人体検出器についても警戒区域への侵入で検出動作が行なわれ、この検出動作で発報表示灯の一時的な点灯は行なわれるが、動作確認のためのウォームアップ表示灯の点灯保持は遅延動作により行なわれず、最初に動作した検出器の設置場所に遅延回路34に設定した遅延時間T1経過後に入れば、ウォームアップ表示灯の点灯保持が行なわれていることとなるため、ウォームアップ表示灯の点灯保持を見ることで検出器の動作が確認できる。
【0020】このため遅延回路34に設定する所定時間T1としては、受信機側で警報が出されてから検出器の設置場所に出向いて確認するまでに必要な時間を考慮した所定の時間を決めればよい。図3は本発明の他の実施例を示した実施例構成図であり、この実施例にあっては動作確認のための表示灯を点滅駆動するようにしたことを特徴とする。
【0021】図3は図1に示した信号処理回路16と発報表示回路18の部分を取り出して示している。この信号処理回路16と発報表示回路18の間にラッチ回路32,遅延回路34及び発振回路36を設けており、発報表示回路18に対し信号処理回路16からの発報出力aと発振回路36からの発振出力dをダイオードD1,D2を介して共通に与えている。
【0022】この図3の実施例にあっては、図4の信号波形図に示すように、侵入者検出に基づいて信号処理回路16の発報出力aが時刻t1で立上がると、ダイオードD1を介して発報表示回路18の発報表示灯が一時的に点灯駆動し、同時に発報出力aはラッチ回路32でラッチされる。ラッチ回路32のラッチ出力bは遅延回路34で所定時間T1の遅延を受け、T1時間経過後に遅延回路34の遅延出力cはHレベルに立上がり、発振回路36が起動してダイオードD2を介して発報表示回路18に発振出力dを供給し、発報表示灯の点滅駆動により検出器の動作確認状態が表示保持される。
【0023】なお、図1の実施例にあっては動作表示保持のためにウォームアップ表示灯を利用しているが、図3の実施例と同様、発報表示回路18の発報表示灯を使用するようにしてもよい。また、動作確認表示灯の他にブザーを設け、所定時間T1経過後にブザーを連続鳴動あるいは間欠鳴動させることで動作した検出器の確認が容易にできるようにしてもよい。勿論、発報表示灯やウォームアップ表示灯を利用せずに専用の動作確認表示灯を別途設けるようにしてもよい。
【0024】更に、上記実施例における動作確認表示回路の表示保持は、現場確認後、受信機に戻って人体検出器への電源を一時遮断することにより解除できる。
【0025】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれば、発報から所定時間のあいだ遅延され、遅延時間経過後に動作確認表示のためのLED等の動作確認表示灯が継続して点灯または点滅され、このため遅延時間経過後に現場確認のために警戒区域に入っても直ちに動作確認のための表示は行なわれず、最初に動作して侵入者検出を行なった検出器の動作確認表示灯のみが継続して点灯または点滅された状態となり、これによって侵入者検出を行なった検出器を容易に確認できる。
【0026】また従来のように磁気反転式の表示器を使った場合のように受信機側で電源遮断してから現場確認することが不要であることから、現場確認のために無警戒状態になってしまうことを防止でき、また電気的な動作確認表示であることから構造が簡単でコスト的にも安価にでき、また小型化も容易であり、更に経年変化がなく、加えて暗い場所であっても容易に確認することができる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例構成図
【0029】
【図2】図1の実施例の動作信号波形図
【0030】
【図3】本発明の他の実施例構成図
【0031】
【図4】図3の実施例の動作信号波形
【0032】
【図5】従来システムの構成図
【0033】
【符号の説明】
1:受信機
2a?2e:人体検出器
3a,3b:電源線
5a,5b:信号線
10:検出回路
12:増幅回路
14:比較回路
16:信号処理回路
18:発報表示回路
20:リレー駆動回路
22:リレー接点
24:ダイオードブリッジ
26:定電圧回路
28:ウォームアップ回路
30:ウォームアップ表示回路
32:ラッチ回路(保持回路)
34:遅延回路
36:発振回路
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-05-08 
出願番号 特願平5-168770
審決分類 P 1 113・ 851- YA (G08B)
P 1 113・ 121- YA (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴野 幹夫  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 藤井 昇
川口 真一
登録日 1996-09-19 
登録番号 特許第2562271号(P2562271)
発明の名称 人体検出器  
代理人 大野 聖二  
代理人 倉内 義朗  
代理人 鈴木 守  
代理人 池村 正幸  
代理人 上原 理子  
代理人 大野 聖二  
代理人 宇治 美知子  
代理人 鈴木 守  
代理人 上原 健嗣  

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