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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1272873
審判番号 不服2012-15363  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-08 
確定日 2013-04-08 
事件の表示 特願2008-107976「包装袋」拒絶査定不服審判事件〔平成21年11月 5日出願公開、特開2009-255959〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年4月17日の特許出願であって、平成24年5月2日付けで拒絶査定がなされ、同年8月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年1月16日付け手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲、及び、図面によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「相対面するシート(2)、(3)の周縁部が重ね合わされてシールされ、該シールされたシール部で包囲されるように被収容物を収容しうる収容部(4)が形成され、
前記周縁部のシール部の一側縁の開封起点部を起点として引き裂くことにより、前記収容部(4)が開封されて該収容部(4)の一部に前記被収容物を取り出すことのできる取出口(11)が形成されるように、前記開封起点部の側方に取出口形成部(6)が形成された包装袋において、
該開封起点部を起点として他側縁側に向かって引き裂くことによって形成される引裂線を停止させる第1ストッパー(8)と第2ストッパー(10)とが具備され、
前記取出口(11)の形成後に前記開封起点部からの引裂線が前記第1ストッパー(8)に誘導され、
該第1ストッパー(8)に誘導された引裂線が、さらにシール部の他側縁側へ誘導されて前記第2ストッパー(10)によって停止されるように、
前記第2ストッパー(10)は、前記開封起点部及び取出口形成部(6)とは反対側の他側縁側に形成されているとともに、
前記第1ストッパー(8)は取出口形成部(6)側に形成され、前記第1ストッパー(8)から前記第2ストッパー(10)に向かって形成される引裂線を誘導させるための引裂誘導線がさらに具備されていることを特徴とする包装袋。」

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-68212号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

・「【請求項1】ヒートシール手段にて周縁部を封止して内部に液体を密封可能に形成され、前記周縁部の一部が、内部から細長く袋状に突出する房室を形成するシールパターンにてシールされていて、前記房室を横断する引き裂き経路にて引き裂くことにより注ぎ口を形成可能なフィルム製の詰め替え用パッケージであって、前記房室の側部シール部に、房室の基端から側縁に沿って注ぎ口形成予定部近傍に至る曲線を描くスリット、または前記曲線を内周縁の一部とする切り抜き窓を設けたことを特徴とする詰め替え用パッケージ。
【請求項2】スリットまたは切り抜き窓から連続して引き裂かれる切り離し片に、指を掛けられる指掛け孔を設けた請求項1に記載の詰め替え用パッケージ。
【請求項3】切り抜き窓内に、外周縁が房室を横断する引き裂き経路に連続する摘み部を突設した請求項1に記載の詰め替え用パッケージ。
【請求項4】引き裂き経路終端部に、引き裂きを阻止する引き裂き止め孔を穿設した請求項1乃至3のいずれかに記載の詰め替え用パッケージ。」

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒートシール手段を利用して液体密封用に形成され、一部を引き裂いて注ぎ口を形成可能としたフィルム製の詰め替え用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒートシール手段を利用して形成された詰め替え用パッケージを手で引き裂いて開封する際に、パッケージの上部あるいはコーナー部方向に突出した位置に注ぎ口が形成されるように、曲線状の、あるいは屈曲した形状の引き裂き補助手段をシール部に設けた技術が知られている。例えば特開平10-203567号公報には、パウチ内部に連通する首・肩状の非シール部の外側にミシン目を形成し、内部の液体を詰め替える際にそのミシン目及び非シール部先端部を切り取ることにより、パウチ上部に細長く突出する注ぎ口を形成し、その先端を専用容器に入れ込んで詰め替え可能とした技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載のパッケージには、注ぎ口がパッケージ内部から細長く突出した位置に形成されるように、シール部にミシン目等のノッチを曲線状に設けているが、かかるミシン目等のノッチは、直線状に引き裂く際には効果的であるが曲線部分を引き裂く際には注意を要し、特に手の不自由な人には扱いにくいものである。そこで本発明は、パッケージ内部から突出する位置に注ぎ口が形成される引き裂き経路にて一気に引き裂き開封可能な詰め替え用パッケージを提供することを目的とする。」

・「【0013】[実施の形態3]本発明の詰め替え用パッケージの第3の実施形態について、図4及び図5をもとに説明する。図4は本発明にかかる詰め替え用パッケージ(以下単にパッケージという)31の説明図であり、図5(a)はパッケージ31を開封する様子,同図(b)はパッケージ31の内容物を専用容器に詰め替える様子をそれぞれ示している。ただし、パッケージ内部に密封される液体は図示していない。
【0014】パッケージ31はスタンディングタイプの液体密封用パッケージであって、その上部シール部は、パッケージ内部32に連通し、パッケージ上縁に向かって袋状に突出する房室33が形成されるシールパターンにてシールされている。また、房室33の側部シール部に、パッケージ周縁に設けられたVノッチ34近傍から、房室側縁を通り注ぎ口形成予定部35の一端35a近傍に至る第1のスリット36,及び、注ぎ口他端35b近傍から、房室側縁に沿ってパッケージ上部シール部の略中央に至る第2のスリット37が形成されており、その終端部には、引き裂きを阻止する引き裂き止め孔38が穿設されている。さらに、上記第1のスリット36及び第2のスリット37に連続し房室33を横断する引き裂き経路にて引き裂かれた片を係止するための係止溝39が、パッケージ上縁に切り欠き形成されている。
【0015】かかるパッケージ31の作用について説明する。まずパッケージ31を、Vノッチ34から第1のスリット36及び第2のスリット37を経て引き裂き止め孔38に至る曲線状引き裂き経路に沿って一気に引き裂き、パッケージ上部に突出する位置に注ぎ口35を形成する。引き裂きが引き裂き止め孔38に至ったとき、それまでシール部に加えられていた引き裂きに必要な剪断応力は引き裂き止め孔38の外周全体に分散するため、引き裂きはここで止まる。そして、内容物を注出する際に引き裂き片が邪魔にならないように、図5(a)に示す如く引き裂き片を引き裂き止め孔38で折り返し、パッケージ上縁に切り欠かれた係止溝39に嵌め込んで係止する。そして図5(b)に示すように、注ぎ口35を専用容器入口に入れ込んで内容物を注ぎ込み詰め替える。
【0016】上記パッケージ31は、引き裂き経路終端部に、引き裂きを阻止する引き裂き止め孔38が設けられ、かつ引き裂き片を折り返して係止するための係止溝39がパッケージ上縁に切り欠き形成されているので、パッケージ本体から分離する切り屑が出ず、その処理に困ることがない。」

・「【0026】
【発明の効果】請求項1に記載の詰め替え用パッケージは、内部から突出する位置に注ぎ口が形成される引き裂き経路にて一気に引き裂き開封することができる。また請求項2に記載の詰め替え用パッケージは、請求項1の効果に加えて、弱視の人も指掛け孔を利用して容易に引き裂き開封することができる。請求項3に記載の詰め替え用パッケージは、請求項1の効果に加え、摘み部を利用して注ぎ口を簡単かつ確実に引き裂き形成することができる。さらに請求項4に記載の詰め替え用パッケージは、請求項1乃至3の効果に加え、パッケージ本体から分離する切り屑が出ず、ゴミをまとめて捨てることができる。」

・図4には、一側縁のVノッチ34を起点として第1のスリット36の左端までを手で切り裂くと第1のスリット36の右端まで切り裂かれ、その後、スリットの設けられていない第1のスリット36と第2のスリット37の間を手で切り裂くと、第2のスリット37を経て引き裂き止め孔38に至る曲線状引き裂き経路に沿って引き裂かれ、パッケージ上部に突出する位置に注ぎ口35が形成されるように、前記Vノッチ34の側方に房室33が形成された詰め替え用パッケージが示されている。そして、曲線状引き裂き経路に沿って一気に引き裂く際に、前記注ぎ口35が形成された後に前記Vノッチ34からの引き裂きが注ぎ口他端35b近傍の第2のスリットの左端まで引き裂かれる点が示されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ヒートシール手段にて周縁部を封止して液体を密封可能とするパッケージ内部32が形成され、
前記周縁部のヒートシール手段の一側縁のVノッチ34を起点として第1のスリット36の左端までを手で切り裂くと第1のスリット36の右端まで切り裂かれ、その後、スリットの設けられていない第1のスリット36と第2のスリット37の間を手で切り裂くと、第2のスリット37を経て引き裂き止め孔38に至る曲線状引き裂き経路に沿って引き裂かれ、パッケージ上部に突出する位置にパッケージ内部32に連通する注ぎ口35が形成されるように、前記Vノッチ34の側方に房室33が形成された詰め替え用パッケージにおいて、
該Vノッチ34を起点として他側に向かって引き裂くことによって形成される引き裂きを阻止する引き裂き止め孔38とが具備され、
注ぎ口他端35b近傍の第2のスリットの左端まで引き裂かれ、さらに第2のスリットに沿って引き裂かれて、前記引き裂き止め孔38によって引き裂きが阻止されるように、
前記引き裂き止め孔38は、前記Vノッチ34及び房室33とは反対側の他側に形成されている、
詰め替え用パッケージ。」

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。

(ア)後者の「ヒートシール手段にて周縁部を封止して液体を密封可能とする」態様も、前者と同様に、相対面するシートの周縁部が重ね合わされてシールされていることは技術常識であるといえるから、
後者の「ヒートシール手段にて周縁部を封止して液体を密封可能とするパッケージ内部32」は前者の「相対面するシート(2)、(3)の周縁部が重ね合わされてシールされ、該シールされたシール部で包囲されるように被収容物を収容しうる収容部(4)」に相当する。

(イ)後者の「Vノッチ34」、「パッケージ内部32」、「注ぎ口35」、「房室33」、及び、「詰め替え用パッケージ」が、それぞれ、前者の「開封起点部」、「収容部(4)」、「取出口(11)」、「取出口形成部(6)」、及び、「包装袋」に相当している。
したがって、後者の「周縁部のヒートシール手段の一側縁のVノッチ34を起点として第1のスリット36の左端までを手で切り裂くと第1のスリット36の右端まで切り裂かれ、その後、スリットの設けられていない第1のスリット36と第2のスリット37の間を手で切り裂くと、第2のスリット37を経て引き裂き止め孔38に至る曲線状引き裂き経路に沿って引き裂」く態様は、前者の「周縁部のシール部の一側縁の開封起点部を起点として引き裂く」に相当し、以下、同様に、後者の「パッケージ上部に突出する位置にパッケージ内部32に連通する注ぎ口35が形成される」態様は、前者の「収容部(4)が開封されて該収容部(4)の一部に被収容物を取り出すことのできる取出口(11)が形成される」に、後者の「Vノッチ34の側方に房室33が形成された詰め替え用パッケージ」は前者の「開封起点部の側方に取出口形成部(6)が形成された包装袋」にそれぞれ相当する。

(ウ)後者の「引き裂き止め孔38」と前者の「第2ストッパー(10)」とは、引き裂きを阻止する機能で共通することから、「引裂線を停止させるストッパー」なる概念で共通する。
したがって、後者の「Vノッチ34を起点として他側に向かって引き裂くことによって形成される引き裂きを阻止する引き裂き止め孔38とが具備され」た態様と
前者の「開封起点部を起点として他側縁側に向かって引き裂くことによって形成される引裂線を停止させる第1ストッパー(8)と第2ストッパー(10)とが具備され、取出口(11)の形成後に前記開封起点部からの引裂線が前記第1ストッパー(8)に誘導され」た態様とは、
「開封起点部を起点として他側縁側に向かって引き裂くことによって形成される引裂線を停止させるストッパーとが具備され」との概念で共通する。

(エ)後者の「注ぎ口他端35b近傍の第2のスリットの左端まで引き裂かれ、さらに第2のスリットに沿って引き裂かれて、引き裂き止め孔38によって引き裂きが阻止される」態様と
前者の「第1ストッパー(8)に誘導された引裂線が、さらにシール部の他側縁側へ誘導されて第2ストッパー(10)によって停止される」態様とは、
「引裂線が、さらにシール部の他側縁側へ誘導されて切り裂き片を分離させないためのストッパーによって停止される」との概念で共通する。

(オ)後者の「引き裂き止め孔38は、Vノッチ34及び房室33とは反対側の他側に形成されている」態様と
前者の「第2ストッパー(10)は、開封起点部及び取出口形成部(6)とは反対側の他側縁側に形成されている」態様とは、
「ストッパーは、開封起点部及び取出口形成部とは反対側の他側縁側に形成されている」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「相対面するシートの周縁部が重ね合わされてシールされ、該シールされたシール部で包囲されるように被収容物を収容しうる収容部が形成され、
前記周縁部のシール部の一側縁の開封起点部を起点として引き裂くことにより、前記収容部が開封されて該収容部の一部に前記被収容物を取り出すことのできる取出口が形成されるように、前記開封起点部の側方に取出口形成部が形成された包装袋において、
該開封起点部を起点として他側縁側に向かって引き裂くことによって形成される引裂線を停止させるストッパーとが具備され、
引裂線が、さらにシール部の他側縁側へ誘導されて前記ストッパーによって停止されるように、
前記ストッパーは、前記開封起点部及び取出口形成部とは反対側の他側縁側に形成されている、
包装袋。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点1]
引裂線を停止させるストッパーに関し、本願発明においては、下記の相違点2で示すように第1のストッパーを設けたことから、「第2」ストッパーと称しているのに対し、引用発明では、引き裂き止め孔であるが、第1のストッパーを設けられていないことから、「第2」のストッパーと称することは特定されていない点。

[相違点2]
本願発明においては、「第1のストッパー」を設け、取出口の形成後に開封起点部からの引裂線が「第1ストッパーに誘導」され、さらに、「第1ストッパー」から「第2」ストッパーに向かって形成される引裂線「を誘導させるための引裂誘導線」が具備されているのに対し、引用発明では、第2のスリットを具備するが、「第1ストッパー」を設けておらず、また、引裂線「を誘導させるための引裂誘導線」が具備される点は特定されていない点。

5.判断
[相違点1]について
引用発明の引き裂き止め孔38と、本願発明の第2ストッパーは、引裂線を停止させるストッパーである点で共通するものである。そして、「[相違点2]について」に示すように、引用発明に「第1ストッパー」を設けることは当業者が容易に想到し得ることであって、これに伴い、引用発明の引き裂き止め孔38を第2ストッパーと称することは、単なる呼称の変更にすぎない。
したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。

[相違点2]について
(ア)本願発明において、開封起点部からの引裂線が「第1ストッパーに誘導」され、さらに、「第1ストッパー」から「第2」ストッパーに向かって形成される引裂線「を誘導させるための引裂誘導線」が具備されていることによる技術的な意義を検討する。

(イ)本願発明の「取出口の形成後に前記開封起点部からの引裂線が前記第1ストッパーに『誘導』され」る態様における「誘導」とは、「取出口が形成される部分」からさらに引き裂くことが必要な「第1ストッパー」までの距離を比較的近く、さらに、取出口の幅が包装袋の幅に比して狭いものとすることを意味するものと解され、また、「引裂線を『誘導』させるための引裂誘導線」における「誘導」とは、ミシン目のような引裂誘導線に沿って引き裂かれることであると解される。

(ウ)引用発明においては、スリットの部分の強度が弱くなる等の不都合が生じることは明らかであり、引用例の【0003】には、「上記公報に記載のパッケージには、注ぎ口がパッケージ内部から細長く突出した位置に形成されるように、シール部にミシン目等のノッチを曲線状に設けているが、かかるミシン目等のノッチは、直線状に引き裂く際には効果的であるが曲線部分を引き裂く際には注意を要し、特に手の不自由な人には扱いにくいものである。そこで本発明は、パッケージ内部から突出する位置に注ぎ口が形成される引き裂き経路にて一気に引き裂き開封可能な詰め替え用パッケージを提供することを目的とする。」と記載されており、特に「ミシン目等のノッチは、直線状に引き裂く際には効果的である」と記載されていることから、シール部にミシン目等のノッチを直線状に設けることが示唆されているといえることから、シール部にミシン目等のノッチを直線状に設けることの動機付けがあるといえる。

(エ)原審の拒絶の理由に引用された米国特許第6702462号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、開封起点部(ノッチ23)を起点として他側縁側に向かって直線的に(FIG.2の手で引き裂く部分の引裂線は直線状に引き裂かれている。)引き裂くことによって形成される「引裂線(Fig.2の波線で示される箇所)を停止させる第1ストッパー(窓20)と第2ストッパー(ストップ22)とが具備され、前記取出口(Fig.2の波線で示される箇所)の形成後に前記開封起点部(引き裂き用のノッチ23)からの引裂線が前記第1ストッパーに誘導され、該第1ストッパーに誘導された引裂線が、さらに誘導されて前記第2ストッパーによって停止される(Fig.2の引き裂き後の形状を参照)ように、前記第1ストッパーから前記第2ストッパーに向かって形成される引裂線を誘導させるための引裂誘導線(ミシン目21)がさらに具備されている点が示されている(括弧内は対応する引用文献2の構成を示す。)。

(オ)したがって、引用発明と引用文献2に記載の発明とは、ストッパーに向かって引き裂かれる包装袋である点で共通するものであるから、引用発明に、上記「(エ)」記載の引用文献2に記載の発明を採用することは当業者にとって設計事項にすぎない。また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

(カ)本願発明の第2ストッパーが「他側縁側」に形成されていることについて、第2ストッパーが本願の図1に示される他側縁部に近い側に形成されているとの趣旨にも解されることから、予備的に検討する。
Vノッチ34を起点として他側に向かって引き裂くことによって形成される引き裂きを阻止する引き裂き止め孔38が具備されているものである引用発明において、引用例の図3(b)に他側縁部に近い側まで切り裂くことが示されており、さらに、どの程度、他側縁部に近い側とするのかは当業者にとって適宜選択可能な設計事項にすぎないから、本願発明の第2ストッパーが、本願の図1に示される他側縁部に近い側に形成されていると解しても、この点は当業者にとって容易に想到し得るものにすぎない。

なお、請求人は、平成24年1月16日付けの意見書(以下、「意見書」という。)、及び、平成24年8月8日付けの審判請求書の「請求の理由」(以下、「請求の理由」という。)において、以下の主張を行っている。

主張1:「上記のように、ストッパーが1個しか形成されていない引用文献1において、その1個しか形成されていないストッパーである引き裂き止め孔を第2ストッパーに相当するものと判断するのは妥当ではないので、そのような妥当でない判断を前提として、審査官殿が拒絶査定謄本の備考欄で指摘されているように、引用文献2における窓を第1ストッパーとして引用文献1記載の発明に採用しようとすること自体が不合理であると認められる。」(請求の理由の第5頁第19行から同頁第24行参照)

主張2:平成24年5月11日付け拒絶査定謄本の備考欄においては、「出願人は意見書において『本願発明では、第2ストッパーが開封起点部及び取出口形成部とは反対側の他側縁側に形成されているとともに、第1ストッパーが取出口形成部側に形成されているので、取出口形成部側に形成された第1ストッパーの位置まで引裂線が確実に誘導され、また第1ストッパーまで誘導された引裂線は、該第1ストッパーから離間して開封起点部や取出口とは反対側の他側縁側に形成された第2ストッパーの位置まで引裂誘導線を介して確実に誘導されるので、被収容物の取り出し作業に支障を生ずるようなことがないようにするという効果が生じます。』と主張しているが、上記効果は補正後の請求項1に係る発明における『前記第2ストッパーは、前記開封起点部及び取出口形成部とは反対側の他側縁側に形成されているとともに、前記第1ストッパーは取出口形成部側に形成され』ている構成自体から得られる作用効果であるので、その作用効果は、上記で検討したとおり、引用
文献1に記載の発明と引用文献2に記載の発明を組み合わせて補正後の請求項1に係る発明の構成にすることにより、当然に生じると予測されるものであり、予測し得ない顕著な効果であるとは認められない。」と指摘されている。
しかし、かかる効果の評価は、引用文献1記載の発明と引用文献2記載の発明を組み合わせた後に予測できると評価しているものであり、後知恵としか言いようがないものである。」(請求の理由の第6頁第5行から同頁第23行参照)

そこで、上記の主張1ないし2について検討する。

主張1について:引用発明の引き裂き止め孔38と、本願発明の第2ストッパーとは、引き裂きを阻止する機能が共通するから、引用発明と本願発明は、「引裂線を停止させるストッパーとが具備され」の点で一致するといえる。このことを前提に引用発明に引用文献2の技術事項を当業者が容易に採用できることは、上記「[相違点2]について」のとおりである。よって、上記請求人の主張1を採用することができない。

主張2について:上記「[相違点2]について」の判断は、「(ウ)」に示す動機付けを踏まえて判断しているのであり、後知恵であるとの請求人の主張を採用することはできない。

したがって、請求人の上記の主張1ないし2を採用することができない。

そして、本願発明の全体構成により奏される作用効果も引用発明、及び、引用文献2の技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、及び、引用文献2の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-08 
結審通知日 2013-02-15 
審決日 2013-02-26 
出願番号 特願2008-107976(P2008-107976)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾形 元  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 河原 英雄
紀本 孝
発明の名称 包装袋  
代理人 中谷 寛昭  
代理人 藤本 昇  
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