ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1272903 |
審判番号 | 不服2010-24466 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-29 |
確定日 | 2013-04-11 |
事件の表示 | 特願2004-569431「制御装置を使用する、簡略化されたメディア・サービスの検索」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月23日国際公開、WO2004/081823、平成18年 5月11日国内公表、特表2006-514766〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2003年12月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年3月6日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成18年12月20日付けで手続補正がなされ、平成21年9月30日付けで拒絶理由通知がなされ、平成22年3月23日付けで手続補正がなされたが、同年6月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、当審において、平成24年4月6日付けで前置報告書を利用した審尋がなされたのに対し、回答書は提出されなかったものである。 2.平成22年10月29日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年10月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の請求項1に係る発明 平成22年10月29日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を、 「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法であって、 a. メディア装置上で提供されたメディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記提供されたメディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップと、 b. 利用者が操作するスイッチを作動させ、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップと、 c. 前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが提出される、前記ステップと、 d. 前記関連するメディア・サービスを記載する検索結果を表示するために準備するステップと、 からなる、前記提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法。」 から、 「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法であって、 a. メディア装置上で提供されたメディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記提供されたメディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップと、 b. 利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップと、 c. 前記利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルすると、前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが通信ネットワークを介して提出される、前記ステップと、 d. 前記関連するメディア・サービスを記載する検索結果を表示するために準備するステップと、 からなる、前記提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法。」 に補正することを含むものである。 上記補正は、補正前の請求項1における「利用者が操作するスイッチを作動させ、検索機能をイネーブルするステップ」を「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップ」に限定するとともに、「前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが提出される、前記ステップ」を「前記利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルすると、前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが通信ネットワークを介して提出される、前記ステップ」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2)引用例及び周知例 (2-1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第02/42925号(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付与したものである。以下、同様。なお、日本語訳として、引用例1の翻訳文である特表2004-527812号公報(以下、「対応公報」という。)の記載を用いる。) ア.“[0007] The invention describes a system for searching a network for network- based content related to a search query includes an adapter for formatting a search query.”(第2頁第23?25行) (日本語訳:「【0007】 本発明は、検索照会に関係するネットワークベースのコンテンツをネットワーク中で検索するためのシステムについて開示するものであり、このシステムは、検索照会をフォーマット化するためのアダプタ(adapter)を備える。」(対応公報第6頁第25?28行)) イ.“[0014] The present invention is a system and method for retrieving network- based content, including media files and data related to media files, on a computer network via a search system utilizing metadata. As used herein, the term "media file" includes audio, video, textual, multimedia data files, and streaming media files. Multimedia files comprise any combination of text, image, video, and audio data. Streaming media comprises audio, video, multimedia, textual, and interactive data files that are delivered to a user's computer via the Internet or other communications network environment and begin to play on the user's computer/ device before delivery of the entire file is completed.”(第4頁第3?11行) (日本語訳:「【0010】 本発明は、メディア・ファイルおよびメディア・ファイルに関係するデータを含めたネットワークベースのコンテンツ(content)を、コンピュータ・ネットワーク上でメタデータ(metadata)を利用する検索システムを介して取得するためのシステムおよび方法である。本明細書では、用語「メディア・ファイル」には、オーディオ、ビデオ、テキスト、マルチメディアのデータ・ファイル、およびストリーミング・メディア・ファイルが含まれる。「マルチメディア・ファイル」は、テキスト、画像、ビデオ、オーディオのデータの任意の組合せが含まれる。「ストリーミング・メディア」には、通常はインターネットまたは他の通信ネットワーク環境を介してユーザのコンピュータに配信され、ファイル全体の配信が完了する前にユーザのコンピュータ/装置上で再生が開始する、オーディオ、ビデオ、マルチメディア、テキスト、および双方向のデータ・ファイルが含まれる。」(対応公報第7頁第11?22行)) ウ.“[0016] Metadata as descriptive data literally means "data about data." Metadata is data that comprises information that describes the contents or attributes of other data (e.g., media file). ”(第5頁第4?6行) (日本語訳:「【0012】 記述データとしてのメタデータ(metadata)は、文字どおりには「データに関するデータ」という意味である。メタデータは、他のデータ(例えば、メディア・ファイル)のコンテンツまたは属性を記述する情報を含むデータである。」(対応公報第8頁第13?16行)) エ.“A local computer processor 104, network user processor 108, and/or media device 110, programmed with a Web browser, locates and selects (e.g., by clicking with a mouse) a particular Web page, the content of which is located on the local data storage unit 106 of a computer system network 102, 112, in order to access the content of the Web page. The Web page may contain links to other computer systems and other Web pages.”(第6頁第27行?第7頁第4行) (日本語訳:「ローカル・コンピュータ・プロセッサ104、ネットワーク・ユーザ・プロセッサ108、および/またはメディア装置110は、ウェブ・ブラウザでプログラムされ、特定のウェブ・ページのコンテンツにアクセスするために、そのウェブ・ページの位置を見つけ出して選択する(例えば、マウスでクリックすることによって)。このウェブ・ページのコンテンツは、コンピュータ・システム・ネットワーク102、112のローカル・データ記憶ユニット106上にある。ウェブ・ページは、他のコンピュータ・システムおよび他のウェブ・ページへのリンクを含んでいることがある。」(対応公報第9頁第21?27行)) オ.“[0026] Adapter 12 is a functional element for translating and formatting search queries into a system format usable by system 200. Adapter 12 translates a query, such as a user submitted search query, from a standard protocol, such as hypertext transfer protocol (HTTP) into a system 200 specific format, such as extensible markup language (XML) in accordance with the schemes required by the search engine kernels 20. Specific search engines often require data to be provided in that search engine's specific format of XML. Thus, adapter 12 translates and formats search queries to each search engines specific format. Adapter 12 also formats the search results from the system format to the submitted format or requested formats, such as hypertext markup language (HMTL) and XML. ”(第9頁第23?32行) (日本語訳:「【0022】 アダプタ(adapter)12は、検索照会をシステム200により使用可能なシステム・フォーマットに変換およびフォーマット化するための機能要素である。アダプタ12は、ユーザからサブミット(提供)された検索照会などの照会を、検索エンジン・カーネル20により必要とされる方式に従って、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)などの標準的なプロトコルから拡張可能マークアップ言語(XML)などのシステム200固有のフォーマットに変換する。特定の検索エンジンでは、しばしば、その検索エンジン固有のXMLフォーマットでデータを提供する必要がある。従って、アダプタ12は、検索照会を各検索エンジン固有のフォーマットに変換およびフォーマット化する。また、アダプタ12は、検索結果をシステム・フォーマットからハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)や拡張可能なマーク付け言語(XML)など、サブミット(提起)されたフォーマットまたは要求されたフォーマットにフォーマット化することも行う。」(対応公報第11頁第18?30行)) カ.“[0037] Figure 4 is a flow diagram of a process for searching network-based content in accordance with the present invention. Adapter 12, at step 42, receives the search query. The search query may be provided by a user, a requesting system, or by both query providers. The adapter 12 translates and/or formats the search query from a standard protocol (e.g., HTTP) to a system specific format (e.g., XML) at step 44. ・・・(中略)・・・ [0039] If no content related to the search query is found in query cache 18, the formatted search query is provided to the search engine kernels 20, at step 50. The search engine kernels search databases comprising searchable metadata, which are inherent to each search engine. The query may also involve multiple search engines with their corresponding search engine kernel databases being the metadata searched against. These inherent databases may comprise the results of network searches conducted by agents, such as spiders and robots. Results are obtained by searching the search kernels 20 known subset, at step 52, yielding search engine result(s) that are merged, if the results come from multiple search engines. The search persistent store 22 is a central cache of all data coming from promotion that is used to update the search engine kernel 20 and the results data store 16. The search persistent store 22 may be co-located with the monoliths, or a geographically separated monolith may have its own search persistent store 22, which is synched via promotion. The query cache 18 is updated (for example, adding, changing, or deleting) with the information pertaining to the search results obtained from the search engine searches at step 54. Accordingly, if the current search query is provided to the system again, the system will retrieve search results from the query cache 18, rather than employing the time consuming search engine kernels 20 again. The history file is updated to with the information pertaining to the search results retrieved from the search engine kernels 20 at step 56. The information in this history file is used to update the query cache 18. The search results from the query cache 18 (keys and scores) and the returnable metadata (from the results data store 16), fetched at step 57, are merged at step 65 forming the merger of search engine query results with related data store results. The search results are then formatted to conform to the format in which the search query was originally provided, or a specifically requested format, at step 58. The search results obtained from the query cache 18 are then provided to a user and/or system through the results data store 16, search processor 14 and adapter 12, at step 60.”(第15頁第14行?第17頁第6行) (日本語訳:「【0033】 図4は、本発明による、ネットワークベースのコンテンツを検索するプロセスの流れ図である。ステップ42で、アダプタ12が検索照会を受け取る。検索照会は、ユーザ、要求元システム、または両方の照会提供側から提供することができる。ステップ44で、アダプタ12は、検索照会を標準的なプロトコル(例えば、HTTP)からシステム固有のフォーマット(例えば、XML)に変換および/またはフォーマット化する。 ・・・(中略)・・・ 【0035】 検索照会に関係するコンテンツが照会キャッシュ18中に見つからない場合は、ステップ50で、フォーマット化した検索照会を検索エンジン・カーネル20に供給する。検索エンジン・カーネルは、各検索エンジン固有の、検索可能なメタデータを含むデータベースを検索する。照会は複数の検索エンジンに係わる場合もあり、これらに対応する検索エンジン・カーネル・データベースが検索対象メタデータとなる。これらの固有データベースは、スパイダーやロボットなどのエージェントによって実施されたネットワーク検索の結果を含むことができる。ステップ52で、検索カーネル20に知られているサブセット(subset)を検索することにより結果が得られ、結果が複数の検索エンジンからきた場合はマージされて、検索エンジン結果がもたらされる。検索持続記憶域22は、プロモータ24からくるすべてのデータの中央キャッシュであり、このデータを使用して検索エンジン・カーネル20および結果データ記憶域16を更新する。検索持続記憶域22は、システムと同じ場所に位置してもよく、あるいは、地理的に離れたシステムがそれ自体の検索持続記憶域22を有してもよく、プロモータ24を介して同期がとられる。ステップ54で、照会キャッシュ18を、検索エンジンの検索から得られた検索結果に関連する情報で更新(例えば、追加、変更、削除)する。従って、現在の検索照会が再びシステムに供給された場合、システムは、時間の掛かる検索エンジン・カーネル20を再び利用するのではなく、照会キャッシュ18から検索結果を取得する。ステップ56で、検索エンジン・カーネル20から取得した検索結果に関連する情報で履歴ファイルを更新する。この履歴ファイル中の情報は、照会キャッシュ18を更新するために使用される。ステップ65で、照会キャッシュ18からの検索結果(キーおよびスコア)と、ステップ57でフェッチ(取り出)した(結果データ記憶域16からの)返送可能なメタデータとをマージして、検索エンジン照会結果と関係するデータ記憶域結果との融合を形成する。次いで、ステップ58で、検索結果をフォーマット化して、検索照会が元々提供されたフォーマット、または具体的に要求されるフォーマットに適合するようにする。次いで、ステップ60で、照会キャッシュ18から得られた結果を、結果データ記憶域16、検索プロセッサ14、およびアダプタ12を介してユーザおよび/またはシステムに提供する。」(対応公報第15頁第8行?第16頁第16行)) 上記ア.?カ.の記載から、次のことがいえる。 (ア)上記ア.の“a system for searching a network for network- based content related to a search query includes an adapter for formatting a search query”(「検索照会に関係するネットワークベースのコンテンツをネットワーク中で検索するためのシステム」)との記載、及び、上記イ.の“a system and method for retrieving network- based content, including media files and data related to media files, on a computer network via a search system utilizing metadata”(「メディア・ファイルおよびメディア・ファイルに関係するデータを含めたネットワークベースのコンテンツ(content)を、コンピュータ・ネットワーク上でメタデータ(metadata)を利用する検索システムを介して取得するためのシステムおよび方法」)との記載から、引用例1には、「メディア・ファイルおよびメディア・ファイルに関係するデータを含めたネットワークベースのコンテンツについて検索を行う方法」が記載されているといえる。 (イ)上記エ.の“media device 110, programmed with a Web browser, locates and selects (e.g., by clicking with a mouse) a particular Web page”(「メディア装置110は、ウェブ・ブラウザでプログラムされ、特定のウェブ・ページのコンテンツにアクセスするために、そのウェブ・ページの位置を見つけ出して選択する(例えば、マウスでクリックすることによって)」)との記載から、引用例1には、「マウスでクリックすることによってコンテンツを選択するステップ」が記載されているといえる。 そして、上記ウ.の“Metadata as descriptive data literally means "data about data." Metadata is data that comprises information that describes the contents or attributes of other data (e.g., media file). ”(「記述データとしてのメタデータ(metadata)は、文字どおりには「データに関するデータ」という意味である。メタデータは、他のデータ(例えば、メディア・ファイル)のコンテンツまたは属性を記述する情報を含むデータである。」)との記載から、上記「選択するステップ」により選択される「コンテンツ」には、「メタデータが関連している」といえる。 よって、引用例1には、「マウスでクリックすることによってコンテンツを選択するステップであって、前記コンテンツにメタデータが関連している、前記ステップ」が記載されているといえる。 (ウ)上記オ.の“Adapter 12 translates a query, such as a user submitted search query, from a standard protocol, such as hypertext transfer protocol (HTTP) into a system 200 specific format, such as extensible markup language (XML) in accordance with the schemes required by the search engine kernels 20.”(「アダプタ12は、ユーザからサブミット(提供)された検索照会などの照会を、検索エンジン・カーネル20により必要とされる方式に従って、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)などの標準的なプロトコルから拡張可能マークアップ言語(XML)などのシステム200固有のフォーマットに変換する。」)との記載、及び、上記カ.の“The adapter 12 translates and/or formats the search query from a standard protocol (e.g., HTTP) to a system specific format (e.g., XML) at step 44.”(「ステップ44で、アダプタ12は、検索照会を標準的なプロトコル(例えば、HTTP)からシステム固有のフォーマット(例えば、XML)に変換および/またはフォーマット化する。」)との記載から、引用例1には、「検索照会を自動的にフォーマット化するステップ」が記載されているといえる。 (エ)上記カ.の“The search results obtained from the query cache 18 are then provided to a user and/or system through the results data store 16, search processor 14 and adapter 12, at step 60.”(「ステップ60で、照会キャッシュ18から得られた結果を、結果データ記憶域16、検索プロセッサ14、およびアダプタ12を介してユーザおよび/またはシステムに提供する。」)との記載から、引用例1には、「検索結果を提供するステップ」が記載されているといえる。 上記(ア)?(エ)の事項を踏まえると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。) 「メディア・ファイルおよびメディア・ファイルに関係するデータを含めたネットワークベースのコンテンツについて検索を行う方法であって、 a. マウスでクリックすることによって前記コンテンツを選択するステップであって、前記コンテンツにメタデータが関連している、前記ステップと、 c. 検索照会を自動的にフォーマット化するステップと、 d. 検索結果を提供するステップと、 からなる、前記コンテンツについて検索を行う方法。」 (2-2)引用例2 原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-94890号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 キ.「【0103】図1のテレビジョン受像記(当審注:この「受像記」との記載は、「受像機」の誤記であると認められる。)100の動作について図1?図6を用いて説明する。 【0104】ユーザがリモコン装置200の同種内容番組検索ボタンを押下すると、リモコン装置200は、同種内容番組検索の指令を含むリモコン信号を送信する。リモコン信号受光部1は、受信したリモコン信号をマイクロコンピュータ2へ与える。リモコン信号解析部21は、リモコン信号を検知するとともに与えられたリモコン信号を解析し、同種内容番組検索の指令を同種内容番組検索および個別選択制御部23に出力する(ステップS1)。 【0105】同種内容番組検索および個別選択制御部23は、マイクロコンピュータ2に内蔵されるメモリに記憶されている番組情報を基に同種内容番組の検索を行う(ステップS2)。検索後、同種内容番組検索および個別選択制御部23は、同種内容番組の検索結果を描画データ作成部24に出力する(ステップS3)。描画データ作成部24は、与えられた同種内容番組の検索結果に基づいて同種内容番組一覧画面の描画データを作成する(ステップS4)。描画データ作成部24は、作成した同種内容一覧画面の描画データを合成処理部10に出力する(ステップS5)。 【0106】合成処理部10は、現在視聴中の番組の映像信号に同種内容番組一覧画面の描画データを合成し、合成映像信号をディスプレイ装置11に出力する。 【0107】このとき、ディスプレイ装置11の画面15には、図4に示すように同種内容番組一覧表16が表示される。この同種内容番組一覧表16は、視聴中番組表示部17、同種内容番組表示部18a?18dおよび個別選択指示表示部19からなり、視聴中の番組表示部17は点滅表示となっている。 【0108】この場合、ユーザが視聴中の番組は、地上波10チャンネルにおいて放送されている月曜ナイター「○○△△戦」である。また、視聴中の番組と同種内容の番組として抽出された番組は、BS3チャンネルにおいて放送されているプロ野球中継「○○△△戦」、AM8280において放送されている野球中継「○○△△戦」、CS8チャンネルにおいて放送されている月曜ナイター「○○△△戦」およびCS15チャンネルにおいて放送されているドーム中継「○○△△戦」である。 【0109】ユーザは、画面15に表示された同種内容番組一覧表16を基に視聴中の番組と同種内容である番組を確認し、視聴したい番組を選択する。」 上記キ.の記載において、次のことがいえる。 (オ)「番組」は、「メディア・サービス」と呼べるものであり、「ユーザが視聴中の番組」は、「提供されたメディア・サービス」と呼べるものである。そして、「視聴中の番組と同種内容の番組として抽出された番組」は、「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービス」と呼べるものである。 (カ)「リモコン装置」は、「ユーザ制御装置」と呼べるものであり、「同種内容番組検索ボタンを押下」して「同種内容番組検索」を行うことは、「ユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う」ことに該当する事項であるとともに、「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルする」ことに該当する事項である。そして、上記「同種内容番組検索ボタン」は、「リモコン装置」上に存在するものである。 上記(オ),(カ)の事項を踏まえると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の発明」という。) 「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法であって、 b. 利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップ を含む、前記提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法。」 (2-3)周知例1 本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2001-86422号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ク.「【0025】図4に示す画面表示例では、番組内容表示枠401と制御枠402があり、制御枠402内には、検索キー候補リスト403と検索開始ボタン404がある、検索キー候補リストには、番組のタイトルに加え、番組の内容を記述した文字列から連続する漢字405及び連続する片仮名406を単語として複数表示する。利用者は、検索キー候補リストに挙げられた文字列からカーソル407により選択した後、検索開始ボタン404により検索を開始する。 【0026】番組情報に含まれる文字列から、単語となりうる文字列を検索キーの候補としてリスト表示することで、検索キーの選択が容易になる。」 (2-4)周知例2 本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2001-148813号公報(以下、「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。 ケ.「【0015】本発明によれば、付帯情報から検索キーワードが抽出されて、検索画面上でユーザに提示される。ユーザは、検索画面をみて所望の検索キーワードを選択する操作を行えばよい。したがって、キーボードを操作してキーワードを打ち込むような煩雑な操作が削減され、検索操作が容易になり、さらには番組選択も容易になる。 【0016】好ましくは、前記検索処理手段は、前記付帯情報に含まれていて放送内容説明に関する項目情報を、前記検索キーワードとして抽出する。 【0017】好ましくは、放送内容説明に関する項目情報を表示中にユーザにより検索の指示操作がなされたときに、前記項目情報を検索キーワードとして含む番組検索画面への表示切換が行われる。これにより、ユーザは、項目情報表示画面から容易に検索を開始することができる。」 (3)対比 本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア.引用例1記載の発明における「メディア・ファイルおよびメディア・ファイルに関係するデータを含めたネットワークベースのコンテンツ」は、本願補正発明における「メディア・サービス」に相当する。 よって、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「メディア・サービスについて検索を行う方法」に係るものである点において、共通する。 イ.引用例1記載の発明における「マウスでクリックすることによってコンテンツを選択する」動作は、マウスを操作することによって表示画面上のカーソルを所望のコンテンツを表す場所に移動させ、その場所でマウスをクリックして当該コンテンツを選択する動作であると解され、本願補正発明における「メディア・サービスを選択する指標を操作するステップ」に相当する。 そして、引用例1記載の発明における「コンテンツ」と、本願補正発明における「メディア・サービス」とは、ともに、「メタデータが関連している」点において、共通する。 よって、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「a. メディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記メディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップ」を有する点において、共通する。 ウ.引用例1記載の発明における「検索照会」は、本願補正発明における「検索のための問合せ」に相当する。 よって、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「c. 検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップ」を有する点において、共通する。 エ.引用例1記載の発明において、「提供」された「検索結果」は、当然、ユーザ装置上で表示されるものと解され、そのための準備も当然なされると解される。 よって、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「d. 検索結果を表示するために準備するステップ」を有する点において、共通するといえる。 上記ア.?エ.の事項を踏まえると、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、 「メディア・サービスについて検索を行う方法であって、 a. メディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記メディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップと、 c. 検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップと、 d. 検索結果を表示するために準備するステップと、 からなる、前記メディア・サービスについて検索を行う方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点) 相違点1:検索対象が、本願補正発明においては、「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービス」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、「メディア・ファイルおよびメディア・ファイルに関係するデータを含めたネットワークベースのコンテンツ」であるものの、「提供されたコンテンツに関連するコンテンツ」であるとはされていない点。 相違点2:検索が、本願補正発明においては、「ユーザ制御装置の入力に応答して」行われるのに対し、引用例1記載の発明においては、どのように行われるか明らかでない点。 相違点3:「メディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記メディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップ」が、本願補正発明においては、「メディア装置上で提供されたメディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記提供されたメディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップ」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようなものであるとはされていない点。 相違点4:本願補正発明においては、「b. 利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップ」が存在するのに対し、引用例1記載の発明においては、上記ステップ「b.」が存在するか明らかでない点。 相違点5:「検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップ」が、本願補正発明においては、「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルすると、提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが通信ネットワークを介して提出される、前記ステップ」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようなものであるとはされていない点。 相違点6:「検索結果を表示するために準備するステップ」が、本願補正発明においては、「(提供されたメディア・サービスに)関連するメディア・サービスを記載する検索結果を表示するために準備するステップ」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようなものであるとはされていない点。 (4)判断 そこで、上記相違点1?6について検討する。 (相違点1,3,6について) 上記引用例2には、「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービス」について検索を行うことが記載されている。 してみれば、引用例1記載の発明に対して、メディア・サービスの検索という共通の技術分野に属する上記引用例2記載の発明を適用することにより、検索対象を「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービス」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、検索対象を「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービス」とした場合には、必然的に、「メディア・サービスを選択する指標を操作するステップ」の「メディア・サービス」が「メディア装置上で提供されたメディア・サービス」となり、表示する「検索結果」が「(提供されたメディア・サービスに)関連するメディア・サービスを記載する検索結果」となることは、当業者にとって明らかである。 よって、引用例1記載の発明を、相違点1,3,6のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (相違点2,4について) 上記引用例2には、メディア・サービスについての検索を行うに際し、「ユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う」こと、及び、「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップ」を設けることが記載されている。 してみれば、引用例1記載の発明に対して、メディア・サービスの検索という共通の技術分野に属する上記引用例2記載の発明を適用することにより、「ユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う」ようにすること、及び、「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップ」を設けるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (相違点5について) 上記「相違点2,4について」において検討したように、「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルする」ことにより検索を開始させるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 また、提供されたメディア・サービスに関連する「メタデータ」から「検索のための問合せ」を作るようにすることは、上記周知例1(「メタデータ」に相当する「番組情報」から、「検索のための問合せ」に相当する「検索キー」を選択している)や上記周知例2(「メタデータ」に相当する「付帯情報」から、「検索のための問合せ」に相当する「検索キーワード」を抽出している)に見られる周知技術を参酌することにより、当業者が適宜になし得ることである。 次に、「検索のための問合せ」を「通信ネットワーク」を介して提出することが、容易に想到し得る事項であるかを検討すると、引用例1の上記カ.に、“The search persistent store 22 may be co-located with the monoliths, or a geographically separated monolith may have its own search persistent store 22”(「検索持続記憶域22は、システムと同じ場所に位置してもよく、あるいは、地理的に離れたシステムがそれ自体の検索持続記憶域22を有してもよく」)と記載されているように、一般に、検索システムにおいて、「地理的に離れた」場所に所定の機能部分を設けるようにすることは、適宜になされていることであるから、「検索のための問合せ」を「通信ネットワーク」を介して提出して、地理的に離れた場所で検索を行わせるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 以上のことから、引用例1記載の発明において、「検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップ」を、「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルすると、提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが通信ネットワークを介して提出される、前記ステップ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (本願補正発明の作用効果について) そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用例1,2記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.補正却下の決定を踏まえた検討 (1)本願発明 平成22年10月29日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成22年3月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法であって、 a. メディア装置上で提供されたメディア・サービスを選択する指標を操作するステップであって、前記提供されたメディア・サービスにメタデータが関連している、前記ステップと、 b. 利用者が操作するスイッチを作動させ、検索機能をイネーブルするステップであって、前記スイッチが前記ユーザ制御装置上に在る、前記ステップと、 c. 前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが提出される、前記ステップと、 d. 前記関連するメディア・サービスを記載する検索結果を表示するために準備するステップと、 からなる、前記提供されたメディア・サービスに関連するメディア・サービスについてユーザ制御装置の入力に応答して検索を行う方法。」 (2)引用例及び周知例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び周知例とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルするステップ」及び「前記利用者が操作するスイッチの作動を検出し、検索機能をイネーブルすると、前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが通信ネットワークを介して提出される、前記ステップ」の下線部の限定を省き、「利用者が操作するスイッチを作動させ、検索機能をイネーブルするステップ」及び「前記提供されたメディア・サービスに関連するメタデータから検索のための問合せを自動的にフォーマット化するステップであって、検索のための前記問合せが提出される、前記ステップ」としたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1,2記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明も、同様に、引用例1,2記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1,2記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-11-08 |
結審通知日 | 2012-11-14 |
審決日 | 2012-11-27 |
出願番号 | 特願2004-569431(P2004-569431) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩間 直純 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
田中 秀人 酒井 伸芳 |
発明の名称 | 制御装置を使用する、簡略化されたメディア・サービスの検索 |
代理人 | 倉持 誠 |
代理人 | 木越 力 |
代理人 | 石井 たかし |
代理人 | 吹田 礼子 |