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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C12N
管理番号 1273033
審判番号 不服2010-11800  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-02 
確定日 2013-04-18 
事件の表示 特願2004-197792「ペプチド、その抗体及びその抗体の製法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年1月19日出願公開、特開2006-14694〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成16年7月5日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成25年1月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物とその記載事項
当審の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、刊行物1ないし4には下記の事項がそれぞれ記載されている。

(1)刊行物1:The Journal of Biological Chemistry,Vol.273,No.35,1998,p.22466-22470
(1a)「このcDNAによりコードされたポリペプチドは、ヒトPH-20ヒアルロニダーゼと35.2%同一である(図1)。」(第22467頁左欄下から17?16行)

(1b)図1には、遺伝子組換えにより発現させた、ヒトHYAL2ポリペプチドのアミノ酸配列が記載されている。(第22467頁Fig.1)

(1c)「ヒトHYAL2ポリペプチドに対して作成された抗血清を用いて、異なるマウス組織からの抽出物が、ウエスタンブロットにより試験された。約60kDaの分子量のタンパク質が、大人の脳は、またも目立った例外として除き、全ての組織で検出された(図3)。」(第22467頁左欄下から10?6行)

(1d)図3には、ヒトHYAL2ポリペプチドに対して作成された抗血清を、各種のマウス組織とウエスタンブロットにより反応させた結果が示されている。(第22468頁Fig3)

(2)刊行物2:Matrix Biology,Vol.20,2001,p.499-508
(2a)図4には、ヒトヒアルロニダーゼ1、2、3、4及びPH-20のアミノ酸配列が記載されている。(第503頁Fig4)

(3)刊行物3:米国特許第6682904号明細書
(3a)「好ましくは、この発明の抗HYAL2抗体は、HYAL2に特異的に結合するが、HYAL1のような非炎症性のヒアルロニダーゼや抗炎症性のヒアルロニダーゼの抗原決定基とは実質的に結合しない」(第14欄15?18行)

(3b)「HYAL2のような炎症誘発ヒアルロニダーゼと特異的に結合する抗体は、ヒアルロニダーゼを抗原として用いて、HYAL1、PH20等(Massague,supra,1998参照)と交差反応する抗体を除去することで作成されたものである。」(第14欄44?48行)

(3c)「この発明の抗体は、好都合なことに、HYAL2に特徴的な、HYAL2のペプチド部分であり、すなわち、非炎症性や抗炎症性のヒアルロニダーゼには存在しないもの、を用いて作成できる。」(第14欄48?51行)

(4)刊行物4:細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ「抗ペプチド抗体実験プロトコール」,1995年11月5日 第1版第2刷,(株)秀潤社,p.17-22頁
(4a)「親水性の領域はタンパク質分子の表面に出ていることが多く、ペプチドの合成や精製も比較的やりやすい。これに対して疎水性領域はタンパク質分子の内部に埋もれているので、一般に疎水性ペプチドは抗原として使わない。親水性アミノ酸には、塩基性アミノ酸;R、K、Hおよび酸性アミノ酸;D、E、疎水性アミノ酸には、M、V、I、L、Y、F、Wが挙げられる。」(第17頁下から6?2行)

(4b)アミノ酸の親水性と疎水性に基づいて抗原性を算出したアミノ酸構造パラメーターが示された表1.2には、Hopp&Woods以外に、Parker等のパラメーターが記載されている。(第17頁下から1行?第18頁表1.2)

(4c)抗体を得るための抗原のアミノ酸配列の選び方のフローチャート(第21頁4行?第22頁下から10行)が記載され、以下の記載がある。
「(4)末端付近の修飾に関する情報がよくわかっているか→
Yes→アミノ末端の配列がわかっている→(5)(8)」
「(8)アミノ末端から15アミノ酸残基程度の部分のAl-lndが正になっているか→
Yes(全部が負になっていなければよい)→(9)
No(疎水性が強い)→別の場所(内部配列)を探す→(10)(11)(12)」
「(11)内因性のCがある場合は、Cを含んで十数残基のペプチドを作る。ただし、Cを2つ以上入れてはならない。ペプチドの末端はアセチル化およびアミドにする。」(なお、丸付き数字は、()付数字で代用した。)

3 対比・判断
刊行物1の上記記載事項(特に、図1)から、刊行物1には、
「図1に示されるアミノ酸配列のヒトHYAL2ポリペプチド」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

そこで、本願発明と刊行物1発明とを比較すると、本願発明のポリペプチドは、刊行物1発明のヒトHYAL2ポリペプチドのN末端から38-48のアミノ酸配列であるから、両者の間には、以下の相違点がある。

(相違点)
本願発明のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるのに対して、刊行物1発明は、上記配列番号1のアミノ酸配列をその一部として含むヒトHYAL2ポリペプチドである点。

そこで、上記相違点について検討する。
刊行物3には、HYAL2に特異的に結合する抗体が記載され、この抗体は、HYAL2に特徴的であり、非炎症性や抗炎症性のヒアルロニダーセには存在しない、HYAL2のペプチド部分を用いて作成できることが記載されている。
そして、タンパク質に対する抗体を得るための抗原として用いるペプチドのアミノ酸配列の選択方法として、刊行物4には、フローチャート(上記(4c))が示されており、例えば、これを刊行物1発明のヒトHYAL2ポリペプチドに適用してみると、(8)により、刊行物1発明のペプチドのN末端から15アミノ残基は疎水性(Parkerで計算して-1.632)であるため、それより内側の配列を調べてみることとなり、(11)により、刊行物1発明のペプチドで、Cは47番目にあるため、この付近の十数残基ペプチドを用いることになる。
そして、47番目付近のペプチドを順次合成して抗体を作成し、抗原タンパク質でスクリーニングし、所望の反応性の抗体を得ることができるペプチドを選択することは、抗体作成の常套手段である(例えば、刊行物4の第67頁21?24行に、作成した抗血清をドットブロット法やELISAを用いて抗原に対する特異的なIgGの結合を調べることが記載され、「単クローン抗体実験マニュアル,1991年講談社発行」(審査の引用文献7)の第180頁15?27行には、ウエスタンブロッティング等で抗原を用いて抗体をスクリーニングすることが記載されている。)。
上記のように抗体スクリーニング法の常套手段である、ウエスタンブロッテイング法は、SDSで変性された抗原に対する反応性で抗体をスクリーニングするものである。また、作成した抗体の利用法として、抗体カラムで抗原を分画することや、免疫沈降で抗原を検出することが一般的であり(例えば、刊行物4の第112頁4?6行)、未変性の抗原との反応性も求められることは当業者が周知のことである。
そうすると、刊行物3に、抗HYAL2抗体をHYAL2に特徴的なペプチドで、HYAL1等には存在しないものを用いて作成できることが記載されていること、HYAL2以外のヒアルロニダーゼのアミノ酸配列が刊行物2に記載されるように知られていることを考慮すると、ヒトヒアルロニダーゼ2と特異的に反応する抗体を得るために、刊行物1発明のヒトHYAL2ポリペプチドについて、例えば、刊行物4のフローチャートに従い、アミノ酸配列の親水性のパラメータ等を考慮して、可能性の高い配列から順次製造し、製造したペプチドを用いて抗体を作成して、SDS変性及び未変性のヒトヒアルロニダーゼ2を用いて結合特異性を調べ、SDS変性及び未変性のヒトヒアルロニダーゼ2と反応する、所望の抗体を作成できるペプチドを選択することは当業者が容易になし得たことといえる。
また、配列番号1(38-48)の親水性値はHopp&Woodsで計算するとマイナスになるが、Parkerで計算するとプラス(+8.525)になる。また、HYAL2とHYAL1のアミノ酸配列を比べると、一致率は36%程度であるから、HYAL2に特異的な抗体を得るために、配列番号1のペプチドを選択することを妨げるものではない。
そして、本願発明ポリペプチドの有する効果は、SDS変性及び未変性のヒトヒアルロニダーゼ2と反応する抗体を作成できるものであるといえるところ、刊行物1ないし4の記載事項から予測し得たものであり、格別顕著なものとはいえいない。

4 むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、刊行物1ないし4に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-18 
結審通知日 2013-02-19 
審決日 2013-03-04 
出願番号 特願2004-197792(P2004-197792)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤井 美穂冨永 みどり  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 ▲高▼岡 裕美
郡山 順
発明の名称 ペプチド、その抗体及びその抗体の製法  
代理人 山口 健次郎  
代理人 森田 憲一  
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