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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1273038 |
審判番号 | 不服2011-19898 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-09-14 |
確定日 | 2013-04-18 |
事件の表示 | 特願2006-178990「携帯通信端末装置および着信再通知方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月17日出願公開、特開2008- 11134〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯と本願発明 本願は、平成18年6月29日の出願であって、平成23年6月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、同年3月14日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項2に記載された以下のとおりのものと認める。 (本願発明) 「未応答着信が存在することを判定後、振動が大と判定されると、前記未応答着信を再通知せず、振動が小と判定され続けると、前記未応答着信を再通知することを特徴とする携帯通信端末装置の着信再通知方法。」 2.引用発明及び周知技術 (1)原審の拒絶理由に引用された特開2006-94421号公報(以下、「引用例」という。)には、「携帯無線装置及びその通知方法」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【請求項8】 不在着信、未読、未返信メールの存在を検出する第1ステップと、 当該携帯無線装置に加えられる予め定めた環境データを検出すると共に、検出した環境データの値が所定の値以上であるか否かを示す検出結果を出力する第2ステップと、 前記第1ステップで検出した検出出力と、前記第2ステップからの検出出力に基づき、所定の通知頻度で、前記不在着信、未読、未返信メールの存在を通知する第3ステップと、 からなることを特徴とする不在着信、未読、未返信メールの存在を通知する通知方法。」(2頁?3頁、請求項8) ロ.「【0007】 しかしながら、従来技術のように、時間だけで制御して不在着信、未読、未返信メールの通知を行ってしまうと、通知が無駄になる場合がある。たとえば、利用者が現在歩行中である時にバイブレーションによる通知が行われても、利用者は、すでに歩行による振動を感じているため、バイブレーションによる通知に気づきにくいという問題がある。 【0008】 また、利用者が、現在騒音が大きな場所に滞在している時に、音による通知が行われても、周囲の騒音にさえぎられ、通知に気づきにくいという問題がある。このように通知に気づきにくい状況で無駄な通知が行われた場合、電池を無駄に消費することになり、また他人への迷惑にもなる。」(4頁、段落7?8) ハ.「【0013】 又、本発明の携帯無線装置は、前記状況検出部が、当該携帯無線装置に加わる振動量を検出する振動量検出部を具備し、前記振動量検出部により検出した振動量が大きい時には、前記通知方法制御部は、不在着信、未読、未返信メールの通知頻度を下げるように前記通知部を制御し、振動量が小さい場合には、通知頻度を上げるように前記通知部を制御する構成を採る。」(4頁、段落13) ニ.「【0015】 又、本発明の携帯無線装置は、前記不在着信、未読、未返信メールの通知頻度を下げる制御は、通知を停止する制御を含む構成を採る。」(5頁、段落15) 上記引用例の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 上記イ.等に記載の「不在着信、未読、未返信メール」は、着信しているものの未だ応答していないいわゆる「未応答着信」であり、「不在着信、未読、未返信メールの通知」は「未応答着信の再通知」である。また上記「携帯無線装置」はいわゆる「携帯通信端末装置」のことである。 そして、上記ハ.に記載の「携帯無線装置に加わる振動量を検出する振動量検出部を具備し、前記振動量検出部により検出した振動量が大きい時には、前記通知方法制御部は、不在着信、未読、未返信メールの通知頻度を下げるように前記通知部を制御し、振動量が小さい場合には、通知頻度を上げるように前記通知部を制御する」構成は、上記ニ.に記載のように「通知頻度を下げる制御は、通知を停止する制御を含む」構成であることを考慮すると、『振動が大と判定されると、前記未応答着信を再通知せず、振動が小と判定されると、前記未応答着信を再通知する』構成であるといえ、また「振動」の検出は、「未応答着信の検出」に引き続き実行されるものであるといえる。 したがって、上記引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (引用発明) 「未応答着信が存在することを判定後、振動が大と判定されると、前記未応答着信を再通知せず、振動が小と判定されると、前記未応答着信を再通知する携帯通信端末装置の着信再通知方法。」 (2)例えば、特開2004-328100号公報(以下、「周知例1」という。)、または、特開平3-274832号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 (周知例1) 「【0034】 S8:制御部62は、振動検知部61から普通列車の車内にいる振動の検出処理を行い、処理S9に移る。 【0035】 S9:制御部62は、振動検知部61から普通列車の車内にいる振動が継続して検出しているかどうか判断する。この判断で、振動を継続して検出している場合は処理S8に戻り、継続して検出していない場合は処理S10に移る。」(5頁、段落34?35) (周知例2) 「(1)振動を検知する圧電型センサと、 前記センサが一定時間以上振動を検知しないかどうかから人体に着用されているか否かを判断する着用・非着用判断手段と、 前記着用・非着用判断手段の判断結果に基づき、人体着用時にはアラーム駆動モードに設定し、人体非着用時にはブザー駆動モードに設定するモード変更手段と、 を備えてなることを特徴とするブザー・アラーム切換装置。」(1頁左下欄、特許請求の範囲第1項) 上記周知例1、2に開示されているように「振動を継続して検出しているか否かで振動の有無を判断する」ことは周知である。 3.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明の「振動が小と判定され続ける」構成と引用発明の「振動が小と判定される」構成はいずれも「振動が小と判定される」構成である点で一致している。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「未応答着信が存在することを判定後、振動が大と判定されると、前記未応答着信を再通知せず、振動が小と判定されると、前記未応答着信を再通知する携帯通信端末装置の着信再通知方法。」 <相違点> 「振動が小と判定される」構成に関し、本願発明は「振動が小と判定され続ける」構成であるのに対し、引用発明は単に「振動が小と判定される」構成である点。 4.検討・判断 上記相違点について検討するに、例えば上記周知例1、2に開示されているように「振動を継続して検出しているか否かで振動の有無を判断する」ことは周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、当該周知技術に基づいて、引用発明の「振動が小と判定される」構成を本願発明のような「振動が小と判定され続ける」構成とする程度のことは当業者であれば適宜なし得ることである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-02-15 |
結審通知日 | 2013-02-19 |
審決日 | 2013-03-06 |
出願番号 | 特願2006-178990(P2006-178990) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梶尾 誠哉 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
山中 実 矢島 伸一 |
発明の名称 | 携帯通信端末装置および着信再通知方法 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 大倉 昭人 |