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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1273108 |
審判番号 | 不服2011-4722 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-03-02 |
確定日 | 2013-04-15 |
事件の表示 | 特願2008-556324「EDIスキーマをモデル化するためのXMLペイロード仕様」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月30日国際公開、WO2007/097848、平成21年 7月30日国内公表、特表2009-527852〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2007年1月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年2月24日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年7月24日に特許法第184条の5第1項に規定される書面が提出されるとともに、同日付けで特許法第184条の4第1項の規定による国際出願日における明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)及び要約の翻訳文が提出され、平成21年12月14日付けで審査請求がなされ、平成22年4月9日付けで手続補正がなされ、同年5月14日付けで拒絶理由通知(同年5月18日発送)がなされ、同年8月18日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年11月17日付けで拒絶査定(同年11月19日謄本送達)がなされ、これに対して、平成23年3月2日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 そして、平成23年5月10日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年4月24日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年4月25日発送)がなされたが、出願人からの応答がなかったものである。 2.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成23年3月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「コンピュータにより、ランタイム時に、拡張可能なマーク付け言語(XML)を用いて、電子データ交換(EDI)文書をモデル化するための方法であって、 コンピュータが、少なくともひとつのトランザクションを表す、前記EDI文書中の複数の構造要素を識別するステップと、 コンピュータが、前記EDI文書中の前記識別された複数の構造要素から、複数の対応するデータ値を決定するステップと、 コンピュータが、前記識別された複数の構造要素と前記決定された複数のデータ値とに応じて、構造化EDIスキーマを生成するステップと、 コンピュータが、前記複数の対応するデータ値と関連する、前記EDI文書中の1つまたは複数の規則を識別するステップと、 コンピュータが、XMLスキーマに対する前記決定されたデータ値どうしの関係を定義するために、前記1つまたは複数の識別された規則に基づいてXML注釈を生成するステップと、 コンピュータが、前記決定されたデータ値および前記生成されたXML注釈を、前記EDI文書に対応する前記XMLスキーマへと変換するステップと、 コンピュータが、ランタイム時に、前記生成されたXML注釈において表された前記複数の規則を前記決定された値に適用するように、前記XMLスキーマをランタイム時に処理するステップと、 を含むことを特徴とする方法。」 3.特許法第36条に規定する要件についての検討 本願発明は、その記載からして、次の発明特定事項(a)を含んでいる。 (a)「コンピュータが、前記識別された複数の構造要素と前記決定された複数のデータ値とに応じて、構造化EDIスキーマを生成するステップ」 しかしながら、明細書には、 (当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。) 「【0074】 図4は、本発明の諸態様が記憶され得る例示的なコンピュータ可読媒体502を示すブロック図である。例えば、コンピュータ可読媒体402は、図5に示すオペレーションを実施するための1つまたは複数のコンピュータ実行可能コンポーネントを含んでおり、その図5は、本発明の実施形態に従って、ランタイム時に、XML(拡張可能なマーク付け言語)を用いて、EDI(電子データ交換)をモデル化するオペレーションを記述するフローチャートである。 【0075】 例えば、要素コンポーネント404は、502で、EDI文書中の複数の構造要素を識別する。504で、データコンポーネント406は、EDI文書中の識別された複数の構造要素から複数の対応するデータ値を決定する。506で、注釈コンポーネント408は、EDI文書中に含まれる複数の規則に対する注釈を生成する。複数の規則は、複数の対応するデータ値に関連するオペレーションを定義する。変換コンポーネント410は、508で、決定されたデータ値および生成された注釈を、EDI文書に対応するXMLスキーマへと変更または変換する。510で、ペイロードコンポーネント512は、ランタイム時にXMLスキーマを処理する。」 と記載されているように、 「502で、EDI文書中の複数の構造要素を識別する」(本願発明の「少なくともひとつのトランザクションを表す、前記EDI文書中の複数の構造要素を識別するステップ」に相当)、 「504で、データコンポーネント406は、EDI文書中の識別された複数の構造要素から複数の対応するデータ値を決定する。」(本願発明の「前記EDI文書中の前記識別された複数の構造要素から、複数の対応するデータ値を決定するステップ」に相当)、 「506で、注釈コンポーネント408は、EDI文書中に含まれる複数の規則に対する注釈を生成する。複数の規則は、複数の対応するデータ値に関連するオペレーションを定義する。」(本願発明の「前記複数の対応するデータ値と関連する、前記EDI文書中の1つまたは複数の規則を識別するステップ」及び「XMLスキーマに対する前記決定されたデータ値どうしの関係を定義するために、前記1つまたは複数の識別された規則に基づいてXML注釈を生成するステップ」に相当)、 「508で、決定されたデータ値および生成された注釈を、EDI文書に対応するXMLスキーマへと変更または変換する。」(本願発明の「前記決定されたデータ値および前記生成されたXML注釈を、前記EDI文書に対応する前記XMLスキーマへと変換するステップ」に相当)、 「510で、…(中略)…、ランタイム時にXMLスキーマを処理する。」(本願発明の「ランタイム時に、前記生成されたXML注釈において表された前記複数の規則を前記決定された値に適用するように、前記XMLスキーマをランタイム時に処理するステップ」に相当)、 が記載されているものの、前記発明特定事項(a)(すなわち、「コンピュータが、前記識別された複数の構造要素と前記決定された複数のデータ値とに応じて、構造化EDIスキーマを生成するステップ」)については、明細書又は図面には、記載も示唆もなく、また自明な事項でもない。 従って、本願の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないため、特許を受けることができない。 4.出願人の主張等について 前記「3.特許法第36条に規定する要件についての検討」で検討した発明特定事項(a)に関して、出願人(請求人)と審査官(当審)との間で、下記の応対がなされている。 (当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。) (1)平成22年5月14日付け拒絶理由通知書 前記平成22年5月14日付けで拒絶理由が通知されたが、その内容は下記のとおりである。 『(前略)… 2. この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1及び2号に規定する要件を満たしていない。 記 …(中略)… 2)請求項:1-18 請求項1,6及び13には、「EDI文書、に含まれる少なくともひとつのEDIスキーマ」、「識別された複数の構造要素の中の共通要素を識別する」、「識別された共通要素に基づいて前記オリジナルフォーマットを変換する構造化EDIスキーマを生成する」、「セグメント構成要素の規則リスト」、「構造化EDIスキーマに対応する前記XMLスキーマへと変換する」と記載されているが、発明の詳細な説明において、対応する事項がどこに記載されているのか不明りょうである。 …(後略)』 (2)平成22年8月18日付け意見書 前記平成22年8月18日付け意見書における請求人の主張は下記のとおりである。 『(前略)… 補正前の請求項1、6および13の記載のうち、「EDI規格に関連するオリジナルフォーマット、前記EDI規格のバージョン、および前記EDI規格の1組のトランザクションを含む前記EDI文書、に含まれる少なくともひとつのEDIスキーマにより定義され、」との記載、「前記識別された複数の構造要素の中の共通要素を識別するステップと、」との記載、「前記EDI規格、前記EDI規格のバージョン、および前記EDI規格の1組のトランザクションを識別するためのユーザ入力を受信することなく、」との記載、「前記少なくともひとつのEDIスキーマを表し、前記識別された共通要素に基づいて前記オリジナルフォーマットを変換する」との記載、「クロスフィールド妥当性検証規則、トリガフィールド情報、参照指定子規則、スプリットポイント情報規則、およびセグメント構成要素の規則リストのうちの1つまたは複数を含み、」との記載、「および前記構造化EDIスキーマに対応する」との記載を削除する補正を行いました。これにより、理由2の指摘事項2は解消したものと思料いたします。 …(後略)』 (3)平成22年11月17日付け拒絶査定 前記平成22年11月17日付けで拒絶査定がなされたが、その内容は下記のとおりである。 『(前略)… (理由2) 請求項1について 出願人は、平成22年 8月18日付け手続補正書において、主に、「前記識別された複数の構造要素と前記決定された複数のデータ値とに応じて、前記少なくともひとつのEDIスキーマを表し、前記識別された共通要素に基づいて前記オリジナルフォーマットを変換する構造化EDIスキーマを生成する」との記載を「前記識別された複数の構造要素と前記決定された複数のデータ値とに応じて、構造化EDIスキーマを生成する」との記載に変更する補正を行うと共に、同日付け意見書において、理由2の指摘事項2は解消した旨を主張している。 しかし、「構造化EDIスキーマを生成する」との記載について、依然として、発明の詳細な説明において、対応する事項がどこに記載されているのか不明りょうである。 よって、出願人の上記主張は採用できない。 …(後略)』 (4)平成23年3月2日付け審判請求書 前記平成23年3月2日付け審判請求書における請求人の主張は下記のとおりである。 『(前略)… (2)審判請求の理由 本願は特許されるべきものであり、平成22年11月17日付けの拒絶査定は承服できない。本願発明が特許されるべき理由は、平成22年8月18日提出の意見書の記載を援用する。 …(後略)』 (5)平成24年4月24日付け審尋 前記平成24年4月24日付けで当審により審尋がなされたが、その内容は下記のとおりである。 『(前略)… この審判事件については、審査官による審査(特許法第162条、前置審査)の結果、以下の《前置報告書の内容》のとおり、特許をすべき旨の査定ができない旨の報告(同法第164条第3項、前置報告書)が特許庁長官になされました。この審判事件の審理は、今後、この《前置報告書の内容》を踏まえて行うことになります。 この審尋(同法第134条第4項)は、この審判事件の審理を開始するにあたり、《前置報告書の内容》について、審判請求人の意見を事前に求めるものです。意見があれば回答してください。 …(中略)… 《前置報告書の内容》 …(中略)… また、審判請求書の請求の理由では、実質的な理由の主張がなく、拒絶査定で示した見解を覆す根拠が見いだせない。(例えば、36条6項1号の査定理由である、請求項の「構造化EDIスキーマを生成する」との記載について、発明の詳細な説明において、対応する事項がどこに記載されているのか不明りょうであるという指摘に対し、審判請求書で援用される意見書の記載を見ても、対応する事項がどこに記載されているのか全く説明されていない。進歩性についても同様である。) なお、36条6項1号の査定理由について補足すると、請求項に記載された一連の手順に関連する内容は、発明の詳細な説明【0074】-【0075】段落、及び【図5】に記載がある。しかしながら、ここに記載された内容では、構造要素はデータ値の決定に、データ値は注釈と併せてXMLスキーマへの変換に用いられるものであり、構造要素とデータ値から構造化EDIスキーマを生成することは記載されていない。 以上の通りであるから、依然として請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。…(後略)』 5.当審の判断 前記発明特定事項(a)に関する審査官の度重なる指摘に対して、出願人(請求人)は、審判請求書において、「平成22年8月18日提出の意見書の記載を援用する。」と述べたのみである。 そして、前記平成22年8月18日付け意見書において、「削除する補正を行いました。これにより、理由2の指摘事項2は解消したものと思料いたします。」と主張しているものの、当該発明特定事項(a)については、削除されておらず、依然として、拒絶理由が解消していないものと認められる。 6.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていないため、特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-11-20 |
結審通知日 | 2012-11-21 |
審決日 | 2012-12-04 |
出願番号 | 特願2008-556324(P2008-556324) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今村 剛、成瀬 博之 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
原 秀人 田中 秀人 |
発明の名称 | EDIスキーマをモデル化するためのXMLペイロード仕様 |
代理人 | 千葉 昭男 |
代理人 | 小野 新次郎 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 田中 拓人 |
代理人 | 富田 博行 |