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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1273199
審判番号 不服2012-2180  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-03 
確定日 2013-04-25 
事件の表示 特願2006-356251「電解コンデンサ電極用アルミニウム材及びその製造方法、アルミニウム電解コンデンサ用電極材ならびにアルミニウム電解コンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 7月17日出願公開、特開2008-166602〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯

[1]手続の概要
本願は、平成18年12月28日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成23年 7月 8日(起案日)
意見書 :平成23年 9月15日
手続補正 :平成23年 9月15日
拒絶査定 :平成23年11月14日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成24年 2月 3日

[2]査定
原審での査定の理由は、以下のとおりである。

〈査定の理由〉
本願の各請求項に係る発明は、下記の刊行物1?6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
記(刊行物)
刊行物1.特開昭63-079311号公報
刊行物2.特開2000-228333号公報
刊行物3.特開昭62-058609号公報
刊行物4.特開昭63-306614号公報
刊行物5.特開平04-206619号公報
刊行物6.特開2004-250772号公報

【第2】本願発明

本願の請求項1?20までに係る発明は、本願特許請求の範囲(平成23年9月15日付けの手続補正書により補正されたもの),明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?20までに記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、下記のとおりのものである(なお、下線部は、平成23年9月15日付けの手続補正書で手続補正された部分を示す。)。
記(本願発明)
アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜が形成されるとともに、円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有し、底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部が、10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で分散状態に形成されてなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材。

【第3】当審の判断

[1]引用刊行物の記載
刊行物1:特開昭63-079311号公報
原査定の拒絶理由に引用された刊行物1には、以下の記載(下線は、注目箇所を示すために当審で施したものである。)が認められる。

(K1)〈特許請求の範囲〉
「(1)弁作用金属の表面に多数の微小バンプを形成してなる電解コンデンサ用電極箔。
(2)弁作用金属を樹脂微粒子を含有する懸濁液に浸漬してのちに、乾燥加熱後、前記弁作用金属上に前記樹脂微粒子のバンプを形成する電解コンデンサ用電極箔の製造方法。」

(K2)〈産業上の利用分野〉
「産業上の利用分野
本発明は、電解コンデンサ用電極箔とその製造方法に関するものである。」(1頁左下欄12行?14行)

(K3)〈従来の技術〉
「従来の技術
電解コンデンサ用の電極箔は、コンデンサの小型化および大容量化をねらいとして、従来からその表面をできる限り巧妙にエッチングして表面積を増加する方法が行なわれてきた。たとえば、特公昭57-17080号公報には、電極箔に陽極酸化を施してからエッチングを行なう方法、特公昭60-38861号公報には、多段階エッチング法で電極箔の拡面化を行なう方法、また、特開昭55-11364号公報にはトリポリりん酸塩中でエッチングする方法が知られている。さらには、特開昭61-5187号公報および同じく特開昭61-5188号公報には、アルミニウム箔の表面に、電解エッチング液に対して耐性を有し、かつ、エッチング核を形成すべき多数の微細孔の形成された耐性被膜が一体的に付着されてなる電解コンデンサ用アルミニウム電極材、また微細孔の形成にあたっては、アルミニウム箔の表面に、金属若くは非金属の微粒子を混入した被覆材を塗布した後、微粒子を除去することにより、多数の微細孔の形成された耐久被膜を形成できることが開示されている。」(1頁左下欄15行?右下欄15行)

〈発明が解決しようとする問題点〉
(K4)「発明が解決しようとする問題点
従来の技術のうち、はじめの3つの発明が開示している如き構成では、電極箔の表面は、エッチングにさいしては、つねにエッチング液に一様に接触しておりその結果、どうしても第2図に示すような過剰エッチング6を実質的に防ぎ得るものではなく、粗面化の程度はわるいものとなる。また、あとの2つの発明による構成では、コンデンサ電極材にフォトレンジストの如きエッチング液に対して非溶性、耐食性の被膜をアルミニウム上に付着させると、エッチング後にレジスト膜を除去する工程が必須のものとなり、そのさい、除去液に浸漬すると、すでに微細にエッチングを施されたアルミニウム電極材の内部にレジストの成分が入り込んでくるために、その除去に手間がかかり、その上、十分な除去はきわめてむつかしく、その結果コンデンサ特性の低下を招く原因ともなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて、電極箔の過剰エッチングを防止し、かつ、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させることのできる電解コンデンサ用電極箔とその製造方法と提供する。」(1頁右下欄16行?2頁左上欄18行)

〈問題点を解決するための手段、作用〉
(K5)「問題点を解決するための手段
上記のような問題点を解決するために、本発明は、弁作用を有する金属箔の表面に微小バンプを形成するものであり、微小樹脂粒子を含む懸濁液に、弁作用金属を浸漬し、乾燥、加熱することにより、金属表面上に微小バンプを形成するものである。
作用
本発明は、上記の構成によって、弁作用金属の表面にバンプを形成しておくことによって、酸化処理を施してのちにバンプを除去すると、バンプの存在していた部分の金属が露出されることになり、電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、この金属部でのみエッチングが起り、過剰エッチングのない、表面積の大きい良好なエッチングが行なわれることになる。」(2頁左上欄19行?右上欄14行)

〈実施例〉
(K6)「以下に本発明の構成を第1図にもとづいてわかりやすく説明する。弁作用を有する金属としては、アルミニウムをはじめタンタル、チタン等の電解コンデンサ用として周知のものが用いられる。これらの弁作用金属箔1にバンプ2を形成する。バンプ2は、樹脂によるとっ起がもっとも適しており、具体的には、スチレン、アクリル、塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリカーボネイト、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂の粒子を含有する懸濁液に弁作用金属1を浸漬して、乾燥後加熱して、前記粒子を軟化することによって、弁作用金属1に付着させる。また、金属箔に樹脂バンプを形成するべつの方法として電着による塗装あるいは、樹脂の粒子が浮遊している雰囲気中に加熱した弁作用金属箔を導入することによっても可能である。樹脂粒子の粒径は、エッチングのピット径に合わせて、所望の大きさを選択することができるが、電解コンデンサのためのエッチピットの形成であることを考えれば、あまり大きな粒子は得策ではなく、エッチピットと同程度の粒径の0.1?10ミクロンが適当である。また、ピットの数は、たとえば懸濁液中の粒子数および、塗布厚を制御することによって容易に行なうことができる。このような比較的に粒径のわさな樹脂粒子は、乳化あるいは懸濁重合によって合成したものや、大きい粒子を機械的に粉砕して微粒化したものも使用することができる。こうしてバンプ2を形成した弁作用金属箔1は、陽極酸化あるいは、各種の酸化剤を用いて、バンプ形成のないもとのままで露出している金属表面を酸化することよよって、酸化皮膜3を形成する。電解酸化は、カルボン酸等の有機酸、ほう酸やりん酸等あるいはこれらの塩等の比較的に導電性のよい溶液で通常の陽極酸化の方法で実施できる。また、化学的に酸化する場合は、硝酸や硝酸塩、過酸化水素等の酸化剤を用いてもよいし、たんに熱溶液中に浸漬することによっても可能である。」(2頁右上欄15行?同頁右下欄12行)

(K7)「このように、樹脂のバンプ2と酸化皮膜3を表面に付着した弁作用金属箔1を溶剤に浸漬して、バンプ2を除去する。
バンプ2を除去したときのようすは第1図の4で示す。
上記の手順によって、バンプ2で被覆されていた部分の金属を露出させると、選択的に微細孔を有する弁作用金属の酸化物を表面に生成させた電解コンデンサ電極用金属箔が得られる。しかるのちに、これをエッチング液に浸漬し、所望のエッチング5を金属部に形成する。エッチングについては、既知の方法は、いずれも実施可能であるが、その代表的なものは、塩素イオンを含有する水溶液に金属箔を浸漬し、通電しながら行なう方法である。」(2頁右下欄13行?3頁左上欄7行)

《実施例1》
(K8)「実施例1
厚さ100ミクロン、純度99.99%のアルミニウム箔を平均粒径0.2ミクロンのPMMA粒子を重量百分率で0.8%含有する水溶液に浸漬し、5ミクロン厚にアルミ箔に均一に塗布する。60℃で15分間加熱して乾燥し、140?170℃で5分間加熱することにより、PMMAのバンプをアルミニウム電極箔にまんべんなく形成する。つぎに、露出しているアルミニウム部は、7%ほう酸水溶液中で55Vで化成して酸化皮膜を形成する。これをよく水洗して乾燥してからメチルエチルケトン中に浸漬し、PMMAのバンプを溶解して除去する。つぎに、5%塩酸と0.03%蓚酸からなる水溶液に浸漬し、液温80℃、電流密度3.5mA/cm^(2)で2分間エッチングした。しかるのちに、このアルミニウム箔を10%ほう酸水溶液中で380Vで化成したところ、得られた電極箔の静電容量は0.88μF/cm^(3)であった。比較的として、樹脂バンプを形成しない場合のアルミニウム電極箔の容量は、0.73μF/cm^(3)であったので約20%の容量増加が本発明のアルミニウム電極箔で達成された。」(3頁左上欄11行?右上欄11行)

〈発明の効果〉
(K9)「発明の効果
以上のように、本発明は、弁作用金属の表面に多数の微小バンプを形成し、しかるのちに、前記表面を酸化し、露出している前記弁作用金属の表面に、前記弁作用金属の酸化皮膜を形成し、そののちに、前記バンプを除去して、エッチング処理を施すことによって、過剰エッチングを防ぎ、均一にまんべんなくエッチングすることが可能であり、その結果、電極箔の粗面化が従来より非常に大きくなることから、電解コンデンサの小型化ないしは大容量化に大いに貢献できるものとする。
また、ピット径やピット数を樹脂バンプの粒径を選択することによって制御することもある程度可能であり、品質の安定化に好都合となる。また、本発明は、エッチング液に非溶性、耐食性のレジスト材料を使用しないのでこれの除去も不要で、かつ、この成分の電極材に残留することによるコンデンサ特性の低下をきたすこともない。さらに、本発明は、電解コンデンサ用の弁作用金属以外の一般の金属に微細なスポット状のエッチングを施すさいにも適用が可能である。」(3頁左下欄17行?右下欄17行)

[2]刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)

ア 刊行物1概要、引用発明概要
ア-1 刊行物1には、
「電解コンデンサ用電極箔とその製造方法に関」し{前掲(K2)}、
〔従来技術、課題〕
従来技術として、「アルミニウム箔の表面に、電解エッチング液に対して耐性を有し、かつ、エッチング核を形成すべき多数の微細孔の形成された耐性被膜が一体的に付着されてなる電解コンデンサ用アルミニウム電極材、また微細孔の形成にあたっては、アルミニウム箔の表面に、金属若くは非金属の微粒子を混入した被覆材を塗布した後、微粒子を除去することにより、多数の微細孔の形成された耐久被膜を形成できる」ものがあったが{(K3)}、
これら従来の技術は、「コンデンサ電極材にフォトレンジストの如きエッチング液に対して非溶性、耐食性の被膜をアルミニウム上に付着させると、エッチング後にレジスト膜を除去する工程が必須のものとなり、そのさい、除去液に浸漬すると、すでに微細にエッチングを施されたアルミニウム電極材の内部にレジストの成分が入り込んでくるために、その除去に手間がかかり、その上、十分な除去はきわめてむつかしく、その結果コンデンサ特性の低下を招く原因ともなる」ものであり、これらの「問題点に鑑みて」{(K4)}、 (→引用発明のM)
〔概要〕
概要、
「コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させることのできる電解コンデンサ用電極箔とその製造方法と提供する」{(K4)}ものであって、 (→引用発明のP)
「弁作用を有する金属箔の表面に微小バンプを形成するものであり、微小樹脂粒子を含む懸濁液に、弁作用金属を浸漬し、乾燥、加熱することにより、金属表面上に微小バンプを形成」し、
「弁作用金属の表面にバンプを形成しておくことによって、酸化処理を施してのちにバンプを除去すると、バンプの存在していた部分の金属が露出されることになり、電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、この金属部でのみエッチングが起り、過剰エッチングのない、表面積の大きい良好なエッチングが行なわれる」{前掲(K5)}ことになって、
「均一にまんべんなくエッチングすることが可能であり、その結果、電極箔の粗面化が従来より非常に大きくなることから、電解コンデンサの小型化ないしは大容量化に大いに貢献できる」{前掲(K11)}ようにしたものが、実施例{(K6)?(K8)}及び図面(第1図)と共に記載されている。

ア-2 引用発明は、主に、上記ア-1において、電解コンデンサ作成のためのエッチングする前の「バンプの存在していた部分の金属が露出され」た状態のものに基づいて行う。
この状態のものは、上記ア-1での検討を踏まえると、
『電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させることができ、表面積の大きい良好なエッチングが行ない得るようにした、電解コンデンサ用電極箔』であって、
『電解コンデンサ作成のためのエッチングする前のものであって、弁作用金属の表面に微小バンプを形成し、この微小バンプを、酸化処理を施してのちに除去して、微小バンプの存在していた部分の金属が露出したエッチング前の電解コンデンサ用電極箔』(以下、これを、『エッチング前の電極箔A』ということとする。)である。

イ 実施例{(K6)?(K8)、第1図}
〈実施例(K6)(K7)〉
実施例において、上記の『エッチング前の電極箔A』は、
前掲(K7)、第1図の4に示される「バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分の金属を露出させ」て、「選択的に微細孔を有する弁作用金属の酸化物を表面に生成させた電解コンデンサ電極用金属箔」であり、弁作用を有する金属としてアルミニウムを用いたものである{前掲(K6)(K8)}。
また、上記の『電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させる』点について、実施例では、
第1図の5を参照して「エッチング液に浸漬し、所望のエッチング5(第1図の5)を金属部に形成する。」{(K7)}ものであり、
これらのことを踏まえ、さらに、上記アでの検討を総合すると、
上記の『エッチング前の電極箔A』として、
弁作用金属の表面に微小バンプを形成し、この微小バンプを、酸化処理を施してのちに除去して、
『微小バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分(微小バンプの存在していた部分)の金属を露出させて、選択的に微細孔を有するアルミニウム(弁作用金属)の酸化物を表面に生成させてなる、電解コンデンサ作成のためのエッチング前の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(第1図の4)であって、
電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させ、所望のエッチング5(第1図の5)を金属部に形成することができ、
結果、均一にまんべんなく表面積の大きい良好なエッチングをすることを可能とし、小型化ないしは大容量化に大いに貢献できるようにした、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔』
を認めることができる。 (→引用発明のP)

そして、それは、前掲(K6)(K7)によれば、具体的には、次の工程1?3により製造されるものである。
すなわち、
工程1:「アルミニウム」箔1(第1図の1)の表面に、「樹脂による」「バンプ2」(とっ起,第1図の2)を形成する工程であって、
「熱可塑性樹脂の粒子を含有する懸濁液に弁作用金属であるアルミニウム箔1を浸漬して、乾燥後加熱して、前記粒子を軟化することによって、アルミニウム箔1に付着させる」工程であり、
「樹脂粒子の粒径」は、電解コンデンサの「エッチングのピット径に合わせて」、「エッチピットと同程度の粒径の0.1?10ミクロン」の大きさとし、「ピットの数は、たとえば懸濁液中の粒子数および、塗布厚を制御することによって容易に行なう」工程{(K6)(K11)}。(→引用発明のQ1)
工程2:「バンプ2を形成した」アルミニウム箔1を、「陽極酸化」して、「バンプ形成のないもとのままで露出している金属表面を酸化することによって、酸化皮膜3(第1図の3)を形成する」工程{(K6)}。
(→引用発明のQ2)
工程3:「樹脂のバンプ2と酸化皮膜3を表面に付着した弁作用金属箔1を溶剤に浸漬して、バンプ2を除去」して、「バンプ2で被覆されていた部分の金属を露出させ」る工程 (→引用発明のQ3)
によって、上記『電解コンデンサ電極用アルミニウム箔』(第1図の4)を得るものである{(K7)}。

上記実施例の更なる具体例として、実施例1,2が示されており、上記実施例における上記各工程1?3の更なる具体は、以下のようである。

〈実施例1(K8)〉
工程1':厚さ100ミクロン、純度99.99%のアルミニウム箔を平均粒径0.2ミクロンのPMMA粒子を重量百分率で0.8%含有する水溶液に浸漬し、5ミクロン厚にアルミ箔に均一に塗布する。60℃で15分間加熱して乾燥し、140?170℃で5分間加熱することにより、PMMAのバンプをアルミニウム電極箔にまんべんなく形成する。」
工程2':「つぎに、露出しているアルミニウム部は、7%ほう酸水溶液中で55Vで化成して酸化皮膜を形成する。」
工程3':「これをよく水洗して乾燥してからメチルエチルケトン中に浸漬し、PMMAのバンプを溶解して除去する。」
(→引用発明のq)

ウ 引用発明
以上によれば、本願発明と対比する、引用発明(刊行物1記載された発明)として、下記の発明を認めることができる。

記(引用発明)
M:従来技術として、アルミニウム箔の表面に、電解エッチング液に対して耐性を有し、かつ、エッチング核を形成すべき多数の微細孔の形成された耐性被膜が一体的に付着されてなる電解コンデンサ用アルミニウム電極材、また微細孔の形成にあたっては、アルミニウム箔の表面に、金属若くは非金属の微粒子を混入した被覆材を塗布した後、微粒子を除去することにより、多数の微細孔の形成された耐久被膜を形成できるものがあったが、
これら従来の技術は、コンデンサ電極材にフォトレンジストの如きエッチング液に対して非溶性、耐食性の被膜をアルミニウム上に付着させると、エッチング後にレジスト膜を除去する工程が必須のものとなり、そのさい、除去液に浸漬すると、すでに微細にエッチングを施されたアルミニウム電極材の内部にレジストの成分が入り込んでくるために、その除去に手間がかかり、その上、十分な除去はきわめてむつかしく、その結果コンデンサ特性の低下を招く原因ともなるものであり、これらの問題点に鑑みて、なされたものであって、

Q1:アルミニウム箔1(第1図の1)の表面に、樹脂によるバンプ2(とっ起,第1図の2)を形成する工程であって、
熱可塑性樹脂の粒子を含有する懸濁液に弁作用金属であるアルミニウム箔1を浸漬して、乾燥後加熱して、前記粒子を軟化することによって、アルミニウム箔1に付着させる工程であり、
樹脂粒子の粒径は、電解コンデンサのエッチングのピット径に合わせて、エッチピットと同程度の粒径の0.1?10ミクロンの大きさとし、ピットの数は、たとえば懸濁液中の粒子数および、塗布厚を制御することによって容易に行なう工程、
Q2:バンプ2を形成したアルミニウム箔1を、陽極酸化して、バンプ形成のないもとのままで露出している金属表面を酸化することによって、酸化皮膜3(第1図の3)を形成する工程、
Q3:樹脂のバンプ2と酸化皮膜3を表面に付着した弁作用金属箔1を溶剤に浸漬して、バンプ2を除去して、バンプ2で被覆されていた部分の金属を露出させる工程、
からなる工程Qによって製造される、

P:微小バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分(微小バンプの存在していた部分)の金属を露出させて、選択的に微細孔を有するアルミニウム(弁作用金属)の酸化物を表面に生成させてなる、電解コンデンサ作成のためのエッチング前の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(第1図の4)であって、
電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させ、所望のエッチング5(第1図の5)を金属部に形成することができ、
結果、均一にまんべんなく表面積の大きい良好なエッチングをすることを可能とし、小型化ないしは大容量化に大いに貢献できるようにした、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔であり、

上記工程Q(Q1?Q3)は、以下の具体工程qであることを含む工程である、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。

q:q1?q3
q1:厚さ100ミクロン、純度99.99%のアルミニウム箔を平均粒径0.2ミクロンのPMMA粒子を重量百分率で0.8%含有する水溶液に浸漬し、5ミクロン厚にアルミ箔に均一に塗布する。60℃で15分間加熱して乾燥し、140?170℃で5分間加熱することにより、PMMAのバンプをアルミニウム電極箔にまんべんなく形成する工程
q2:つぎに、露出しているアルミニウム部は、7%ほう酸水溶液中で55Vで化成して酸化皮膜を形成する工程
q3:「これをよく水洗して乾燥してからメチルエチルケトン中に浸漬し、PMMAのバンプを溶解して除去する工程

[3]本願発明と引用発明との対比(対応関係)

(1)本願発明(構成要件の分説)

本願発明は、以下のように要件A?Cに分説することができる。
本願発明(分説)
A:アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜が形成されるとともに、
B:円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有し、底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部が、10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で分散状態に形成されてなることを特徴とする
C:電解コンデンサ電極用アルミニウム材。

(2)本願発明と引用発明との対比(対応関係)
本願発明の各構成要件について、引用発明と対応する。

ア 要件C「電解コンデンサ電極用アルミニウム材」について
引用発明のPの「電解コンデンサ電極用アルミニウム箔」は「電解コンデンサ電極用アルミニウム材」といえ、要件Cにおいて本件発明と相違しない。

イ 要件A「アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜が形成されるとともに、」について
引用発明のPの「電解コンデンサ電極用アルミニウム箔」は、
「微小バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分(微小バンプの存在していた部分)の金属を露出させて、選択的に微細孔を有するアルミニウム(弁作用金属)の酸化物を表面に生成させ」たものであるところ、その表面に生成させた酸化物は、Q2「バンプ2を形成したアルミニウム箔1を、陽極酸化して、バンプ形成のないもとのままで露出している金属表面を酸化することによって、酸化皮膜3(第1図の3)を形成」したものであるから、
引用発明も、「アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜が形成されるとともに、」といえ、要件Cにおいて本件発明と相違しない。

ウ 要件Bについて
B「円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有し、底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部が、10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で分散状態に形成されてなることを特徴とする」

要件Bは、以下のB1?B3を要求している。
B1:「底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部」が形成されていること
B2:微細凹部が「円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有」すること
B3:「多数の微細凹部が、10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で分散状態に形成されてなること」

ウ-1 B1について
本願発明でいう「底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部」とは、
明細書の段落【0044】「・・・アルミニウム材1の表面全体にわたって厚さ方向に均一に陽極酸化皮膜3の除去処理を施すことにより、陽極酸化皮膜3の厚さの薄い微粒子除去領域4の内部において、陽極酸化皮膜3が早期に減少するか消失し、薄い陽極酸化皮膜が残存している状態か、あるいはアルミニウム素地が露出している状態となると共に、その周囲には陽極酸化皮膜3が残存した状態となる。即ち、前記樹脂球または樹脂球に準じる微粒子2が存在していた領域に、図1(d)、図2(d)に示すように、微細凹部6が形成される。なお、全ての微細凹部6の底部に薄い陽極酸化皮膜3が残存していても良いし、全ての微細凹部6の底部にアルミニウム素地5が露出していても良いし、一部の微細凹部6の底部にのみアルミニウム素地5が露出していても良い。」に照らせば、
図1(d)のごとく「全ての微細凹部6の底部にアルミニウム素地5が露出して」いるものを含んでいうものと認められる。

一方、引用発明は、P「微小バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分(微小バンプの存在していた部分)の金属を露出させて、選択的に微細孔を有するアルミニウム(弁作用金属)の酸化物を表面に生成させてなる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(第1図の4)であって、
電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させ、所望のエッチング5(第1図の5)を金属部に形成することができ、
結果、均一にまんべんなく表面積の大きい良好なエッチングをすることを可能とし」たものであり、
その「微細孔」は、「微小バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分(微小バンプの存在していた部分)」であって「金属を露出させ」た部分に対応し、第1図の4に示されるとおり、表面に形成された陽極酸化皮膜3が選択的に存在せず、金属が露出している部分であるから、「底部にアルミニウム素地5が露出して」いる「凹部」といい得るものであり、また、多数存在していることも明らかである。
この状態は、上記本願明細書の「全ての微細凹部6の底部にアルミニウム素地5が露出してい」る状態と変わらない。
したがって、引用発明も、「底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部」が形成されている、といえ、上記B1を満たしており、この点、本願発明と相違しない。

ウ-2 B2について
B2:微細凹部は、「円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有」すること

(1)微細凹部が「0.01?10μmの大きさ」を有する点について
引用発明では、工程Q1で「樹脂粒子の粒径は、電解コンデンサのエッチングのピット径に合わせて、エッチピットと同程度の粒径の0.1?10ミクロンの大きさとし」としているから、「エッチングのピット」も「樹脂粒子」も、同じく、径が「0.1?10ミクロンの大きさ」であると理解される。
本願発明でいう「微細凹部」といい得る「微細孔」の径・大きさについての直接的特定はないが、以下でみるように、引用発明の「微細孔」は「エッチングのピット」とほぼ同等の径の大きさを有していると理解され、
このことから、同「微細孔」も、「樹脂粒子」,「エッチングのピット」と同じく、径が「0.1?10ミクロン」の大きさであると理解される。

〈引用発明の「微細孔」は「エッチングのピット」とほぼ同等の径の大きさを有している、と理解される理由〉
引用発明の「微細孔」は、工程Q3で「バンプ2を除去」することによって生じた凹部であって、上記のとおり、「微小バンプ2(第1図の2)で被覆されていた部分(微小バンプの存在していた部分)」であって「金属を露出させ」た部分に対応し、陽極酸化皮膜3が選択的に存在せず、金属が露出している部分であるから、
「微細孔」の大きさ・径は、「微小バンプ2」及び上記「金属を露出させ」た部分の大きさ・径とほぼ同じであるということができるところ、
引用発明は、P「電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させ、所望のエッチング5(第1図の5)を金属部に形成することができ、表面積の大きい良好なエッチングが行ない得るように」するものであって、
露出した金属部でのみエッチピットが形成されるものであり、
上記のとおり、「エッチングのピット」も「樹脂粒子」も、同じく、径が「0.1?10ミクロンの大きさ」であると理解されるのであるから、
「エッチピット」と「露出した金属部」とは大きさ・径がほぼ同じであるということができ(第1図も、このことはを示している)、
そうすると、「微細孔」も、「エッチングのピット」とほぼ同等の径の大きさを有していると理解される。

なお、「微細孔」,「エッチングのピット」,「露出した金属部」に対応する「微小バンプ2」は、工程Q1、q1で「熱可塑性樹脂の粒子」(PMMA粒子)が「加熱」されて「軟化」して「アルミニウム箔1に付着」したものであるから、一般的には、「樹脂の粒子」と「微小バンプ2」とが同じ径の大きさになるとは限らない。
であるからこそ、引用発明では、Q1「樹脂粒子の粒径は、電解コンデンサのエッチングのピット径に合わせて、エッチピットと同程度の粒径の0.1?10ミクロンの大きさ」として、樹脂粒子の粒径とエッチピット径の関係を特定しているもの、と理解される。逆にいえば、樹脂粒子によるバンプの径が元の樹脂粒子の径と結果的にほぼ同程度の径となるように「加熱」「軟化」「付着」するように想定しているものと理解されるのである。

(2)「円相当直径で平均」について
上記のとおり、「微細孔」も、「樹脂粒子」,「エッチングのピット」も同じく、径が「0.1?10ミクロンの大きさ」であると理解されるところ、「樹脂粒子の粒径」については、球体を想定して「球相当直径」をいうものと普通に理解でき、
また、「エッチングのピット」については、円を想定して「円相当直径」をいうものと普通に理解でき、「微細孔」もこれと同様であるから、「円相当直径」と理解される。
そして、上記「0.1?10ミクロン」の範囲の値は、
・引用発明の具体工程qで「平均粒径0.2ミクロンのPMMA粒子」としていて、「平均粒径」を用いて特定していること、
・(粒径が分布している)個々の粒子についての粒径の上限・下限値そのものに意味があると解すべき根拠がないこと等からみても、
平均的な値の範囲を示すものと当業者に普通に理解される。

(3)具体工程q
上記(1),(2)に加え、引用発明の具体工程qで「平均粒径0.2ミクロンのPMMA粒子」を用いていて、上記と同様、形成される微細孔は、「円相当直径で平均」「0.2ミクロン」の大きさと理解され、その「微細孔」は、上記B2を満たしている。

(4)B2まとめ
以上によれば、引用発明は、上記B2を満たしており、この点、本願発明と相違するとはいえない。

ウ-3 B3について
B3「多数の微細凹部が、10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で分散状態に形成されてなること」

(1)「分散状態」について
引用発明の、P「電解コンデンサ作成のためのエッチングにさいして、露出した金属部でのみエッチングが起り、コンデンサ材料である弁作用金属上にまんべんなく均一にエッチピットを形成させ、所望のエッチング5(第1図の5)を金属部に形成することができ、
結果、均一にまんべんなく表面積の大きい良好なエッチングをすることを可能とし、小型化ないしは大容量化に大いに貢献できるようにした、電解コ
ンデンサ電極用アルミニウム箔」、
q1「PMMAのバンプをアルミニウム電極箔にまんべんなく形成する工程」
によれば、
引用発明の「微細孔」も、アルミニウム電極箔上にまんべんなく均一に形成されているといえ、B3の「多数の微細凹部が、分散状態に形成されてなる」といい得るものである。

(2)「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で」について
引用発明は、「微細孔」に対応する「エッチピット」について、Q1「ピットの数は、たとえば懸濁液中の粒子数および、塗布厚を制御することによって容易に行なう」とはしていて、ピット,樹脂粒子の数(密度)が、表面積の拡大,容量増大にとって重要視していることは十分に窺えるものの、「微細孔」の密度についての明記の特定はなく、それらの具体的数値・範囲までの技術思想を示してはいない。
すなわち、「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で」分散している発明とはいえず、この点、本願発明との相違が認められる。

ウ-3 まとめ(要件B)
以上によれば、
本願発明と引用発明とは、
B’「円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有し、底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部が分散状態に形成されてなることを特徴とする」点においては相違せず、
「多数の微細凹部が、分散状態に形成されてなる」が、
本願発明では、「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で」形成されてなる、とするのに対して、
引用発明では、形成密度について明記の特定はなく不明である点
で相違する。

[4]一致点、相違点
以上の対比結果によれば、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりであることが認められる。

[一致点]
A アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜が形成されるとともに、
B’円相当直径で平均0.01?10μmの大きさを有し、底部に、周囲よりも薄い陽極酸化皮膜が残存しているか、またはアルミニウム素地の露出した多数の微細凹部が、分散状態に形成されてなることを特徴とする
C 電解コンデンサ電極用アルミニウム材。

[相違点]
B’の「多数の微細凹部が、形成されてなる」が、
本願発明では、「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で」形成されてなる、
とするのに対して、
引用発明では、形成の密度について明記の特定はなく不明である点

[5]相違点等の判断

(1)[相違点の克服]
引用発明を出発点とし、
(引用発明では「多数の微細凹部が、形成されてなる」)密度について明記の特定はなく不明である「多数の微細凹部」を、「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度で形成されてなる」とすること、
すなわち、
引用発明の、密度について明記の特定はなく不明である「多数の微細凹部」を、「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の範囲に属する密度で形成されてなる」とすること(以下「相違点の克服」という)
で、上記[相違点]は克服され、本願発明に到達する。

(2)[相違点の克服]の容易性判断

ア 微細孔(ピット)の個数(密度)に関する刊行物1の示唆
ア-1 刊行物1には、樹脂粒子の粒径の選択についての記載{「樹脂粒子の粒径は、エッチングのピット径に合わせて、所望の大きさを選択することができるが、電解コンデンサのためのエッチピットの形成であることを考えれば、あまり大きな粒子は得策ではなく、エッチピットと同程度の粒径の0.1?10ミクロンが適当である。」(K6)}に続いて、
その個数(密度)の選択についても「また、ピットの数は、たとえば懸濁液中の粒子数および、塗布厚を制御することによって容易に行なうことができる。」とされ、
粒子数、ピット数は、表面積の拡大,容量増大にとって重要であると理解されるところ、
具体工程qでは、樹脂粒子の平均粒径及び材質(したがって、比重も特定できる)、懸濁液中の樹脂粒子の重量百分率、塗布厚が特定されていることから、
刊行物1に接した当業者であれば、具体工程qの場合について簡単な計算をして、容量増大にとって重要である、おおよその樹脂粒子、ピットの個数(密度)を容易に想定し確認し、その上で懸濁液中の粒子数・塗布厚を調整制御する、というべきである。

つまり、具体工程qの樹脂粒子は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)であるから比重約1.2であり、平均粒径0.2ミクロンであるから、1個当たりの平均の体積と重さがわかる一方、これを重量百分率0.8%含有する5ミクロン厚に塗布された水溶液中の1mm^(2)当たりの全粒子重さ(平均)も計算できるから、同水溶液中のおおよその個数もわかる。
そして、1の粒子が1のバンプ、微細孔を形成するとすると、その個数が微細孔のおおよその数となる。

ア-2 具体計算(工程q)
(1)平均粒径0.2ミクロンの多数のPMMA粒子を、比重を1.2、一律に半径r=0.1ミクロンの球とすると、
1粒子の体積は約4.2*10^(-3)ミクロン^(3)となるから、
1粒子の重量m(g)は、
m=4.2*10^(-3)*1.2*10^((-4)*3)=約5.0*10^(-15)(g)。
重量百分率でPMMA粒子を0.8%含有する水溶液が、5ミクロン厚に均一に塗布された面積1mm^(2)の、全PMMA粒子の重量M(g)は、
M=0.8*10^(-2)*5*10^(-4)*10^(-1)*10^(-1)=約4*10^(-8)(g)。
後者/前者を計算すれば、5ミクロン厚に均一に塗布された水溶液の面積1mm^(2)の全PMMA粒子の数Nは、
N=約8*10^(6)個(0.8*10^(7)個)/mm^(2) と計算される。
そして、それらの粒子1個は、上記のとおり、1のバンプを形成し、これが除去されて微細孔(本願発明でいう「微細凹部」)となり、そのとおりであれば、多数の「微細凹部」が、約8*10^(6)個(0.8*10^(7)個)/mm^(2)の密度で形成される、と計算される。
(これは、1μ*1μ中、直径0.2μの粒子(バンプ)が8個存在することに相当する。)

(2)分布を考慮
もっとも、すべての粒子が一律に同じ大きさであるはずはなく、実際は粒径(大きさ)は分布しており、一般に、その密度は平均粒径から算出した上記の値より小さくなる。
一例として下記の粒径分布モデルを想定すると、上記(1)での密度値の半分程度、約4.1*10^(6)個/mm^(2)の密度と計算される。
かかるモデルからすれば、上記工程qにおける上記粒子密度がその具体的分布態様によって異なるとしても、それは、相当程度幅広く見積もって、1.0*10^(6)個/mm^(2)?6.0*10^(6)個/mm^(2)の範囲内には入っていると予想される。

〈粒径分布の一例〉
上記水溶液(5ミクロン厚均一塗布)中の粒子の粒径(大きさ)分布状態として、全粒子(全粒子数:N)が、以下の個数割合の3種類の大きさの粒子からなっているとする。
・中粒子(平均粒径に近い粒径の粒子群の代表として)
;平均粒径と同じ粒径2r_(中)=0.2μを有する中粒子が46%(N_(中)個=N*0.46、r_(中)(半径)=0.1μ)、
・小粒子(平均粒径より相当小さい粒径の粒子群の代表として)
;平均粒径より相当小さい粒径2r_(小)=0.1μを有する粒子が36%(N_(小)個=N*0.36、r_(小)(半径)=0.05μ)、
・大粒子(平均粒径より相当大きい粒径の粒子群の代表として)
;平均粒径より相当大きい粒径2r_(大)=0.4μを有する粒子が18%(N_(大)個=N*0.18、r_(大)(半径)=0.2μ)。
3粒子の半径比:r_(小):r_(中):r_(大)=1:2:4
平均粒径=2*(r_(小 )*N_(小)+r_(中)*N_(中)+r_(大)*N_(大))/N
=2*0.05*0.36+0.1*0.46+0.2*0.18
=0.2となっている。
このとき、3種類の各粒子の重量を、m_(小),m_(中),m_(大)とすると、体積比も重量比も半径の3乗比となるから、
m_(小):m_(中):m_(大)=1:8:64で、
m_(中)= 8*m_(小)、
m_(大)=64*m_(小)
水溶液中の全粒子重量M(4*10^(-8)g)
=N_(小)*m_(小)+N_(中)*m_(中)+N_(大)*m_(大)
=0.36*N*m_(小)+0.46*N*8*m_(小)+0.18*N*64*m_(小)
=15.56*N*m_(小) ・・・(a)
m_(小)(g)=(比重=1.2)*体積(4πr_(小)^(3)/3)
=1.2*4.19*(0.05*10^(-4))^(3)
=6.25*10^(-16) ・・・(b)
(a)(b)より、4*10^(-8)g=15.56*N*6.25*10^(-16)
故に、N=4.1*10^(6)個/mm^(2)

(3)複数粒子で1バンプ
上記水溶液中をアルミニウム箔に均一に塗布し、加熱乾燥し、更に加熱して乾燥して、粒子をまんべんなく均一に付着すれば、理想的には、1の粒子が別々の1のバンプ,微細孔を形成することになるが、まんべんなく均一に付着しようとしても、粒子同士が重なり、又は、複数が塊となって1のバンプが形成されることも普通に考えられる。
複数粒子が塊となって付着する場合の想定として、最小で平均1.3個の粒子、最大で平均10個の粒子によって1のバンプが形成されると、ここでも相当幅広く見積もったとしても、バンプ・微細孔の径は2次元で効いてくるから、
平均1.3個の場合、円相当直径で平均は1.2倍程度として0.24μ程度、平均10個の場合、円相当直径で平均3?5倍程度として0.6?1.0μ程度となって、優に、本願発明の「円相当直径で平均0.01?10μmの大きさ」の範囲内となる。
また、微細孔の密度は、分布を考慮した上記(2)の密度値(1.0*10^(6)個/mm^(2)?6.0*10^(6)個/mm^(2))の1/10?1/1.3程度、すなわち、約1.0*10^(5)個/mm^(2)?4.6*10^(6)個/mm^(2)となると予想され、優に、本願発明の「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度」の範囲内に入るものである。

ア-3 まとめ
以上、刊行物1に接した当業者であれば、具体工程qの場合について簡単な計算をして、容量増大にとって重要である、おおよその樹脂粒子、バンプ・微細孔(微細凹部)の密度を容易に想定し確認するといえ、
当業者であれば、工程qの場合に形成される微細孔(微細凹部)は、相当程度広く見積もっても、約1.0*10^(5)個/mm^(2)?4.6*10^(6)個/mm^(2)に属する密度に形成されている蓋然性が相当高いと、容易に予想し得るというべきである。
そして、その約1.0*10^(5)個/mm^(2)?4.6*10^(6)個/mm^(2)に属する密度は、優に、本願発明の「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度」の範囲内に属する、といい得る密度である。

イ 本願出願前の周知事項
本願出願前、容量増大化のために、エッチング前の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の表面に、エッチング孔を形成させる核となる部分を予め形成しておくこと、
そのような核となる部分の形成密度の具体的数値には、様々な提案があるとしても、概ね、10^(4)?1.4*10^(7)/mm^(2)程度の密度(下記〈認定される技術〉参照)とされていること、
は、既に、当業者によく知られていたことであり、その密度範囲は、本願発明の「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の密度」の範囲に含まれている、といい得る密度である。
これには、例えば、下記周知例1?3が参照される。

記(周知例、周知技術)
(1)周知例1:特開平1-316924号公報
「【特許請求の範囲】
(1)エッチング前のアルミニウム箔の表面に、該アルミニウムよりも酸化されにくい平均粒子径0.1?2μmの難酸化物粒子が70000?400000個/mm^(2)の割合で定着状態に存在すると共に、これら難酸化物粒子の存在部分を除いてアルミニウム箔の表面に厚さ70?5000Åの酸化皮膜が形成されてなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材料。」
「発明が解決しようとする課題
ところが、実際上、従来既知のエッチング技術においては、概してエッチング孔形成の基礎となるエッチング核の発生部位が不均一であり、またエッチングピットどうしが連通して粗大孔となるなどして結果において十分に期待されるような拡面率の増大効果を得ることが難しいという問題があった。このため、エッチングピットの発生部位を予め意図的に決定して多数の深いエッチングピットを均一に形成し、拡面率に優れたものとなし得る電解コンデンサ用アルミニウム電極材料の製造方法として、フォトレジスト技術を用いた方法も提案されているが(例えば特開昭59-161808号)、コスト高であり実用的ではなかった。
この発明はかかる技術的背景に鑑みてなされたもので、多数の深いエッチング孔を均一かつ高密度に形成することを可能として、拡面率すなわち静電容量に優れたものとなし得るエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム材料の提供を意図してなされたものである。」(2頁左上欄1行?同頁右上欄2行)
「上記アルミニウムより酸化されにくい難酸化物粒子(2)としては、Ti5Au等の金属粒子あるいは5i02、MgO等の非金属粒子を挙げ得るが、これらに限定されることはなくアルミニウムよりも酸化されにくい粒子状の物質であれば何でも良い。係る難酸化物粒子(2)はアルミニウム箔(1)の表面に定着状態に存在せられて、後に行われるエッチング時にアルミニウム箔(1)と該難酸化物粒子(2)との界面部分が優先的に腐食されることにより、難酸化物粒子(2)の存在部分にエッチング孔(4)を形成させる核としての役割を果たす。
難酸化物粒子(2)は箔(1)の片面に存在させても良いが、好ましくは両面に存在させるのが良い。而して、難酸化物粒子(2)の平均粒子径が0,1μm未満ではエッチングの際にエッチング孔(4)が形成されない部位を多数生じて表面積の拡大による静電容量の増大効果を十分発揮し得ず、逆に2μmを超えるとエッチング孔(4)が大きくなり過ぎ、エッチング後の箔(1)の強度低下を来たす。好ましい平均粒子径は0.2?0.5μmである。また、難酸化物粒子(2)の数が1mm^(2)当り70000個未満でも同じくエッチング後の表面積拡大効果が少なく、逆に400000個/mm^(2)を超えるとやはりエッチング後の箔の強度が低下する。好ましくは1mm^(2)当り150000?250000個存在させるのが良い。」(2頁左下欄9行?同頁右下欄16行)
「上記により酸化皮膜(3)を形成したアルミニウム箔(1)は、その後これを電気化学的あるいは化学的エッチング処理した後電解コンデンサ電極箔として使用する。上記エッチング処理においては、難酸化物粒子とアルミニウム箔との界面部分から優先的に腐食が進行する一方、酸化皮膜の被覆部分は表面溶解が防止される。その結果、第3図に示すように、難酸化物粒子(2)の存在部分のみにエッチング孔(4)が形成される。」(3頁右上欄12行?同頁左下欄1行)

〈認定される技術〉
・電解コンデンサ電極用アルミニウム材料を、エッチング前のアルミニウム箔の表面に、エッチング孔(4)を形成させる核としての役割を果たし、その存在部分のみにエッチング孔(4)が形成されるようにする難酸化物粒子を、平均粒子径0.1?2μm、70000?400000個/mm^(2)の割合で定着状態に存在させ、これら難酸化物粒子の存在部分を除いてアルミニウム箔の表面に酸化皮膜が形成させる、ようにすること。
・エッチング前のアルミニウム箔の表面に、エッチング孔を形成させる核となる部分を、7*10^(4)?4*10^(5)個/mm^(2)の密度で形成すること。

(2)周知例2:特開2000-228333号公報(先の刊行物2に同じ)
「【0008】この発明は、このような技術背景に鑑み、エッチング特性の向上という観点から箔を最も効果的にエッチングピットの発生核を形成させて静電容量を増大しうる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法の提供を目的とする。
「【0011】この発明においては、最終焼鈍の前に電解エッチングを行うことによって、箔の表面に微細な凹みを均一かつ高密度に付与し、その後の最終焼鈍工程において酸化皮膜の均一な成長を妨げ、形成された凹みをエッチングピットの発生核として利用する。エッチングピットの発生核が均一かつ高密度に形成されたアルミニウム箔では、該アルミニウム箔に対するエッチングによる拡面率の向上を確実なものとして静電容量の増大を図ることができる。
【0012】このような効果を得るための微細な凹みは、平均円相当直径で0.3?3μm、深さ0.3?5μm、密度10,000?200,000個/mm2 の範囲が望ましい。なお、平均円相当直径で0.3μm、深さ0.3μm以下の凹みはピット発生核の起点にならないため好ましくない、また、平均円相当直径で3μm、深さ5μmを越える凹みは焼鈍後の直流エッチングにおけるピットが不均一となるので好ましくない。」

〈認定される技術〉
・電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に、最終焼鈍の前に、箔の表面にエッチングピットの発生核となる微細な凹みを、平均円相当直径で0.3?3μm、深さ0.3?5μm、密度10,000?200,000個/mm^(2) の範囲で、均一かつ高密度に付与しておき、該アルミニウム箔に対するエッチングによる拡面率の向上を確実なものとして静電容量の増大を図ること。
・エッチング前のアルミニウム箔の表面に、エッチングピットの発生核となる部分を、1.0*10^(4)?2*10^(5)の密度で形成すること。

(3)周知例3:特開平8-138977号公報
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム箔の表面に樹脂球を静電気力により付着させたのち、エッチング処理することを特徴とするエッチピットの分散性に優れた電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
【請求項2】 アルミニウム箔の表面に樹脂球を静電気力により付着させ、加熱して樹脂球とアルミニウム箔および樹脂球同志を固着させたのち、エッチング処理することを特徴とするエッチピットの分散性に優れた電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
【請求項3】 電解エッチング処理前のアルミニウム箔の表面に分布している樹脂球の中心間距離の平均値が0.1?10μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエッチピットの分散性に優れた電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。」
「【0003】ピットの分布を均一にする有効な手段として、フォトレジストを利用する方法がある(特開昭61-51817号公報、特開昭63-34919号公報、特開昭63-62888号公報など) が、レジストの塗布、乾燥、露光、後処理が必要で、工数が多く、長大な処理ラインが必要となるという難点がある。
【0004】エッチング処理に先立ち、エッチング核を均一且つ高密度に形成させるために、1 μm 程度の大きさを有する金属微粒子、またはC微粒子などの非金属微粒子を混入したフォトマスク用レジスト剤などの被覆剤を、アルミニウム箔の表面に塗布し、これらの微粒子が溶解する溶液中で微粒子の溶解除去処理を行い、箔表面に電解エッチング液に対して耐性を有し、且つエッチング核を形成すべき多数の微細孔の形成された耐性皮膜を一体的に付着形成させる方法が開発されている。(特開昭61-51818号公報)
【0005】アルミニウム箔の表面に、アルミニウムよりも貴な金属粉末を含む金属インキを用いて網点印刷を施すことにより、金属粒子とアルミニウムとの局部電池作用を利用するエッチング促進皮膜を有する多数の網点部分を高密度に形成させる方法(特開昭63-62890号公報) 、アルミニウム箔の表面に、エッチング核形成用として、アルミニウムよりも貴な金属微粒子、あるいはAl2O3 などの金属酸化物微粒子を圧延などを利用して埋め込み状態に分布させる方法( 特開昭63-124406 号公報) も提案されている。
【0006】しかしながら、十分な静電容量を得るためには、エッチングピットが100,000/mm^(2)程度の密度で均一に分布していなければならず、このように多数の粒子を薄いアルミニウム箔の表面にロールコート方式やスプレー方式などで均一に付着させることはきわめて困難であるから、上記の方法により得られるアルミニウム箔においては、エッチング処理後のピットの分布にムラが生じることが少なくなく、ピットの分散性は必ずしも良好ではない。」
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エッチング処理に先立って、エッチング核を均一且つ高密度に形成させるための上記の各方法における問題点を解消するために、アルミニウム箔の表面に付着させる微粒子の種類、その付着方法などについて多角的に実験検討を行った結果としてなされたものであり、その目的は、エッチングに先立ち、エッチング開始点を均一に分散させることによりエッチング効率を高め、単位体積当たりの静電容量の大きい電解コンデンサ用アルミニウム箔を得るためのエッチピットの分散性に優れた電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法を提供することにある。」
「【0011】本発明においては、アルミニウム箔の表面に樹脂球を静電気力により付着させる。樹脂球としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの平均中心粒径0.1?10μm のものが使用され、アルミニウム箔および/または樹脂球に静電気を与えて、樹脂球が重ならないように、均一に整列、固着させる。」
「【0015】アルミニウム箔の表面に樹脂球を密に配列した場合、図1に示すように、エッチング核とには、中心間の距離が1.15a(a:樹脂球の半径)の空間2が形成される。本発明においては、これらの空間2がエッチング核となって優先的にエッチングされ、規則正しく整列したピットが得られる。」
「【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
実施例1
アルミニウム純度99.99 %、厚さ100 μm で、焼鈍処理を行って(100) 面が表面に平行になる調整したアルミニウム箔の表面に、平均中心粒径が0.4 ?5 μmのアクリル樹脂球を静電気力により付着させ、試験材とした。なお、一部の試験材については、アクリル樹脂球付着後、135 ℃に加熱した2本のロールの間を通過させ、アルミニウム箔の表面と樹脂球および樹脂球同志をさらに固定した。」
段落【0019】【表1】には、樹脂球の中心間距離平均値が0.4?5μmで静電容量の増大結果が得られる旨、示されている。

〈認定される技術〉
・十分な静電容量を得るためには、アルミニウム箔に形成されるエッチングピットが100,000/mm^(2)程度の密度で均一に分布していることが必要であること
・容量増加結果が得られる実施例1の試験材No1(中心間の距離平均値0.4μm)?No6(中心間の距離平均値5μm)について、付着した樹脂球間にできるエッチング核となる空間2の密度を計算(すべての樹脂球が同じ球で図1にように樹脂球同士が固着しているとし、中心間を結ぶ正三角形内に1つのの空間2が存在するとして計算)すれば、
その密度は、0.92*10^(5)?1.44*10^(7)個/mm^(2)と計算され、その下限値はほぼ上記100,000/mm^(2)と一致していることから、
・エッチング前のアルミニウム箔の表面に、エッチング孔を形成させる核となる部分を、約1*10^(5)?約1.4*10^(7)個/mm^(2)程度の範囲に属する密度で形成すること。

ウ まとめ(相違点の克服)
上記アのとおり、刊行物1に接した当業者であれば、工程qの場合に形成される微細孔(微細凹部)は、相当程度広く見積もっても、約1.0*10^(5)個/mm^(2)?4.6*10^(6)個/mm^(2)に属する密度に形成されている蓋然性が相当高いと容易に想定し、
また、本願出願前、エッチング前の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の表面に、エッチング孔を形成させる核となる部分を予め形成しておく場合、そのような核となる部分の形成密度の具体的数値には、様々な提案があるとしても、概ね、10^(4)?1.4*10^(7)/mm^(2)程度の範囲とされていることは、既に、当業者によく知られていたことである。
そうすると、引用発明を出発点とし上記「相違点の克服」をすること、すなわち、引用発明の、密度について明記の特定はなく不明である「多数の微細凹部」を、「10^(4)?10^(8)個/mm^(2)の範囲に属する密度で形成されてなる」とすることは、当業者が容易に想到し得る、というべきである。
効果についてみても、上記密度範囲で格別顕著であるとも認められない。

(3)まとめ(相違点等の判断)
以上、引用発明を出発点として、上記[相違点の克服]をすることで、本願発明の構成に達するところ、同克服は、刊行物1および周知技術に基づいて当業者が容易になし得ることである。
効果についてみても、構成(本願密度範囲)の採用に伴って予測し得ない格別顕著なものがあるとも認められない。

【第4】むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-22 
結審通知日 2013-02-26 
審決日 2013-03-14 
出願番号 特願2006-356251(P2006-356251)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 重田 尚郎  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 大澤 孝次
山田 洋一
発明の名称 電解コンデンサ電極用アルミニウム材及びその製造方法、アルミニウム電解コンデンサ用電極材ならびにアルミニウム電解コンデンサ  
代理人 清水 久義  
代理人 清水 義仁  
代理人 清水 久義  
代理人 高田 健市  
代理人 清水 義仁  
代理人 高田 健市  
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